説明

半導体装置の製造方法

【課題】 半導体ウェハの劈開に伴う損傷を抑制すること。
【解決手段】 本半導体装置の製造方法は、第1領域20Aと、第1領域20Aに隣接する第2領域20Bと、第2領域20Bに隣接する第3領域20Cとを有する半導体基板20の裏面上に、第1領域20A及び第2領域20Bの境界線である第1境界線22aの少なくとも一部と、第2領域20B及び第3領域20Cの境界線である第2境界線22bの少なくとも一部とを覆うように、金属または樹脂からなる連結層42を形成する工程と、半導体基板20の裏面側から第1境界線22aに沿って力を加えることにより、第1領域20Aと第2領域20Bとを劈開により分割する工程と、半導体基板20の裏面側から第2境界線22bに沿って力を加えることにより、第2領域20Bと第3領域20Cとを劈開により分割する工程と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板の表面に半導体素子または光デバイスが複数アレイ状に形成された半導体ウェハを、基板の裏面側から力を加えて劈開することにより複数のチップに分割する半導体装置の製造方法が知られている。劈開の工程は例えば、半導体ウェハの裏面に粘着シートを、表面に表面保護用のカバーシートをそれぞれ貼り付け、中央部に凹部を有する受け台上で、劈開予定線に沿って粘着シートに劈開用のブレードを押し当てることにより行うことができる。半導体ウェハを含む積層体を徐々にずらしながら劈開を行うことにより、半導体ウェハを複数のチップに分割することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−118401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の半導体装置の製造方法では、半導体ウェハの劈開を行う際に、これから劈開により分割される半導体ウェハと、既に分割された隣接の半導体ウェハとが小擦れ合い、半導体装置が損傷してしまう場合があった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、半導体ウェハの劈開に伴う損傷を抑制することのできる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本半導体装置の製造方法は、第1領域と、前記第1領域に隣接する第2領域と、前記第2領域に隣接する第3領域とを有する半導体基板の裏面上に、前記第1領域及び前記第2領域の境界線である第1境界線の少なくとも一部と、前記第2領域及び前記第3領域の境界線である第2境界線の少なくとも一部とを覆うように、金属または樹脂からなる連結層を形成する工程と、前記半導体基板の裏面側から前記第1境界線に沿って力を加えることにより、前記第1領域と前記第2領域とを劈開により分割する工程と、前記半導体基板の裏面側から前記第2境界線に沿って力を加えることにより、前記第2領域と前記第3領域とを劈開により分割する工程と、を備える。
【0007】
上記構成において、前記連結層は、前記第1領域、前記第2領域、及び前記第3領域に連続して延在している構成とすることができる。
【0008】
上記構成において、前記劈開により分割する工程の前に、前記第1境界線及び前記第2境界線の端に、前記半導体基板を劈開するための第1スクライブ溝を前記半導体基板の表面に形成する工程を備える構成とすることができる。
【0009】
上記構成において、前記第1領域、前記第2領域、及び前記第3領域はそれぞれ、分割後に半導体チップとなる主領域と、前記主領域の外側に設けられた捨て領域とを有し、前記連結層は、前記捨て領域のみに形成されている構成とすることができる。
【0010】
上記構成において、前記半導体基板の裏面側にシードメタル層を形成する工程と、前記シードメタル層上に裏面電極を形成する工程と、を備え、前記連結層は、前記シードメタル層を形成する工程と同じ工程で形成される前記シードメタル層である構成とすることができる。
【0011】
上記構成において、前記主領域には、端面入射型または端面射出型の光デバイスが形成されている構成とすることができる。
【0012】
上記構成において、前記連結層は金属を含み、メッキ、蒸着、またはスパッタリングのいずれかの工程により前記半導体基板上に形成される構成とすることができる。
【0013】
上記構成において、前記樹脂は、ポリイミド、ベンゾシクロブテン、及びフッ素系樹脂の少なくとも1つを含む構成とすることができる。
【0014】
上記構成において、前記第1領域と前記第2領域とを分割する工程、及び前記第2領域と前記第3領域とを分割する工程は、前記半導体基板の裏面に、表面に接着剤が塗布された粘着シートを貼り付ける工程と、前記半導体基板の表面に、表面保護用のカバーシートを貼り付ける工程と、中央部に凹部を有する受け台上に、前記カバーシートと前記受け台とが接触するように、前記半導体基板、前記粘着シート、及び前記粘着シートの積層体を設置する工程と、前記第1境界線が前記凹部上に位置する状態で、前記第1境界線に沿って前記粘着シートに劈開用のブレードを押し当てることにより、前記半導体基板を劈開する工程と、前記第2境界線が前記凹部上に位置する状態で、前記第2境界線に沿って前記粘着シートに前記ブレードを押し当てることにより、前記半導体基板を劈開する工程と、を含む構成とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、半導体ウェハの劈開に伴う損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、比較例に係る半導体装置の製造工程を示す図(その1)である。
【図2】図2は、比較例に係る半導体装置の製造工程を示す図(その2)である。
【図3】図3は、実施例1に係る半導体装置の製造工程を示す図(その1)である。
【図4】図4は、実施例1に係る半導体装置の製造工程を示す図(その2)である。
【図5】図5は、実施例1に係る半導体装置の製造工程を示す図(その3)である。
【図6】図6は、実施例1に係る半導体装置の製造工程を示す図(その4)である。
【図7】図7は、実施例1に係る半導体装置の製造工程を示す図(その5)である。
【図8】図8は、実施例1に係る半導体装置の製造工程を示す図(その6)である。
【図9】図9は、実施例1の変形例に係る半導体装置の製造工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(比較例)
最初に、比較例に係る半導体装置の製造方法について説明する。
【0018】
半導体ウェハを分割して半導体チップを得る方法として、劈開による分割が知られている。劈開による分割は、例えば、光デバイスで用いられる
【0019】
図1〜図2は、比較例に係る半導体装置の製造工程を示す図である。図1(a)は半導体ウェハの平面図、図1(b)は図1(a)の一部を拡大したウェハブロックの平面図、図1(c)は図1(b)の一部を拡大した半導体チップの平面図である。図1(b)に示すように、半導体ウェハ10は、縦横方向に規定された2つの境界線(劈開予定線及びチップ化予定線)により矩形状に区画されており、各区画には所定の半導体素子(例えば、光デバイス)が形成されている。半導体装置の製造工程では、最初に半導体ウェハ10を適当な大きさのウェハブロック20に分割し(図1(b))、次にウェハブロック20を半導体チップ30のチップサイズに分割する。これにより、半導体ウェハ10から複数の半導体チップ30を得ることができる。
【0020】
図2(a)はウェハブロック20を裏面側から見た詳細な構成を示す平面図であり、図2(b)はウェハブロック20を半導体チップ30に分割する工程を説明するための断面図である。図2(a)に示すように、ウェハブロック20は横方向に規定された劈開予定線22と、縦方向に規定されたチップ化予定線24により、複数の半導体チップ30に分割されている。各半導体チップ30には、半導体チップ30のグランド電極となる裏面電極40が形成されている。
【0021】
図2(b)に示すように、ウェハブロック20を分割する際には、最初にウェハブロック20の裏面側に接着剤の塗布された粘着シート72(例えば、紫外線硬化型シート)を貼り付け、表面側に表面保護用のカバーシート74を貼り付ける。そして、ウェハブロック20、粘着シート72、及びカバーシート74を含む積層体70を、中央部に凹部62を有する受け台60に、カバーシート74の側を下にして設置する。次に、図2(a)の劈開予定線22に沿ってブレード80を上側から押し当てて力を加えることにより、ウェハブロック20を劈開してアレイ状ウェハへと分割する。ウェハブロック20の劈開は、積層体を図2(b)の矢印の方向にずらしながら順次行っていく。劈開工程が全て完了したら、図2(a)のチップ化予定線24に沿ってアレイ状ウェハを分割(例えば、ダイシング)することにより、端面が劈開された半導体チップ30を得ることができる。
【0022】
ここで、図2(b)において、アレイ状ウェハとなるウェハブロック20のうち最も右側の領域を第1領域20A、その隣の領域を第2領域20B、さらにその隣の領域を第3領域20Cとする。また、第1領域20Aと第2領域20Bとの間の劈開予定線を第1境界線22a、第2領域20Bと第3領域20Cとの間の劈開予定線を第2境界線22bとする。図2(b)は、既に第1境界線22aに沿って第1領域20Aと第2領域20Bの分割が行われた後で、第2境界線22bに沿って第2領域20Bと第3領域20Cの分割が行われる状態を示している。このとき、第2領域20B及び第3領域20Cは、粘着シート72を介したブレード80の圧力により下側(受け台60側)に押し下げられている。一方、分割されてアレイ状ウェハとなった第1領域20Aは、粘着シート72から剥がれてしまい、第2領域20B及び第3領域20Cと連動しない状態となっている。その結果、第1領域20Aの角が第2領域20Bの端面と衝突し(図中の符号82)、半導体チップ30の端面に傷がついてしまう場合がある。
【0023】
以下の実施例では、半導体ウェハ10の劈開に伴う半導体チップ30の損傷を抑制することのできる半導体装置及びその製造方法について説明する。
【実施例1】
【0024】
図3〜図8は、実施例1に係る半導体装置の製造工程を示す図である。図3(a)は半導体ウェハの平面図、図3(b)は半導体ウェハを分割したウェハブロックを裏面側から見た平面図である。図3(b)に示すように、ウェハブロック20は、分割後に半導体チップとなる主領域12と、その外側に位置する捨て領域14に区画されている。また、ウェハブロック20の裏面における捨て領域14には、連結層42が設けられている。連結層42は、後述するウェハブロック20の劈開工程において、捨て領域14が完全に分割されないように連結するための層である。
【0025】
図4(a)は、ウェハブロック20を裏面側から見た詳細な構成を示す平面図である。主領域12は、比較例と同じく、劈開予定線22及びチップ化予定線24により矩形状に区画されている。連結層42は、分割後にアレイ状ウェハとなる領域に連続して、劈開予定線22を覆うように形成されている。ここで、主領域12と捨て領域14との間の境界線を捨て領域境界線26(第3境界線)とする。
【0026】
図4(b)は、ウェハブロック20を表面側から見た詳細な構成を示す平面図である。矩形状に区画された主領域12の各区画には、半導体チップ30の表面側の電極である表面電極50が形成されている。表面電極50は、劈開予定線22に重ならないように形成されている。また、ウェハブロック20の捨て領域14の表面側には、電極は形成されていない。
【0027】
ここで、図3及び図4に至るまでの製造工程について説明する。製造に使用する半導体ウェハ10は、例えば厚さ350μmのn型InPを用いることができる。最初に、半導体ウェハ10上に各種の半導体層(例えば、活性層及びクラッド層)を形成した後、半導体ウェハ10の表面に表面電極50を形成する。その後、研磨工程により半導体ウェハ10の裏面側を削り、半導体ウェハ10を所定の厚さ(例えば、100μm)まで薄くする。
【0028】
次に、半導体ウェハ10の裏面側にシードメタル層(例えば、厚さ50nmのAuGeNi層、厚さ50nmのTi層、厚さ100nmのAu層を順次蒸着したもの。図4(a)では不図示)を形成する。なお、シードメタル層の厚みは上記以外の値であってもよいが、厚みの合計を150nm〜500nmとすることが好ましい。
【0029】
次に、半導体ウェハ10の裏面側にフォトリソグラフィーによりレジストパターンを形成し、シードメタル層上に裏面電極40及び連結層42をメッキにより形成する。メッキには、例えば1リットルあたり10gのAuを含むノンシアン系の金メッキ液を使用することができる。液温を例えば40℃とした上記の金メッキ液に半導体ウェハ10を浸し、さらに対電極として例えば白金メッキが施されたTi電極を液中に浸し、例えば10mAの電流を1000秒流すことにより電解メッキ処理を行う。その後、レジストパターンを除去し、例えば320℃で3分の合金化処理を行うことで、裏面電極40及び連結層42が完成する。裏面電極40及び連結層42の厚みは、例えば3μmとすることができる。なお、裏面電極40及び連結層42は、メッキ以外の方法(例えば、蒸着またはスパッタリング)により形成してもよい。
【0030】
半導体ウェハ10からウェハブロック20への分割は、例えば最初に半導体ウェハ10の裏面側をダイシングフレーム上の粘着シートに貼り付け、表面側にスクライブ溝を形成した上でカバーシートを被せ、劈開(ブレーキング)により行うことができる。本工程は、後述のウェハブロック20からアレイ状ウェハ36への分割工程と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。なお、半導体ウェハ10からウェハブロック20への分割には、上記以外の方法(例えば、ダイヤモンドカッターを用いたダイシング)を用いてもよい。例えば、直径2インチの1枚の半導体ウェハ10から、大きさが18mm×36mmの2枚の矩形のウェハブロック20を切り出すことができる。
【0031】
図5〜図8は、ウェハブロック20の分割工程を示す図である。最初に、図5(a)に示すように、ダイシングフレーム90上の粘着シート72に、ウェハブロック20の裏面側を貼り付ける。粘着シート72には、例えば約10μmの厚みで1N/20mmの密着力をもつアクリル製粘着剤が表面に塗布された、厚み80μmの塩化ビニル製の紫外線硬化型粘着シートを用いることができる。
【0032】
次に、図5(a)に示すように、ウェハブロック20の表面側(粘着シート72の反対側)の端である捨て領域14に、劈開予定線22に沿って劈開用の第1スクライブ溝32を形成する。このとき、第1スクライブ溝が、主領域12と捨て領域14との境界線である捨て領域境界線26に重ならないようにすることが好ましい。第1スクライブ溝32の長さは例えば500μm、ピッチは例えば300μmとすることができる。第1スクライブ溝32は、ウェハブロック20の両端の捨て領域14に形成してもよい。
【0033】
次に、図5(b)に示すように、主領域12と捨て領域14との境界線である捨て領域境界線26に沿って、劈開用の第2スクライブ溝34を形成する。このとき、第2スクライブ溝が、劈開予定線22に重ならないように(劈開予定線22を跨ぐように)することが好ましい。第2スクライブ溝34の長さは、例えば150μmとすることができる。第1スクライブ溝32及び第2スクライブ溝34は、例えばダイヤモンドカッター等により形成することができる。
【0034】
次に、図6(a)に示すように、ウェハブロック20に表面保護用のカバーシート74を貼り付ける。カバーシート74には、例えば透明のPET(Polyethylene Terephthalate)製シートを用いることができる。その後、ウェハブロック20の裏面側から劈開予定線22に沿って力を加えることにより、ウェハブロック20を劈開によりアレイ状ウェハ36へと分割する。ウェハブロック20の劈開は、周知のブレーキング装置により行うことができる。
【0035】
次に、図6(b)に示すように、ウェハブロック20の裏面側から捨て領域境界線26に沿って力を加え、ウェハブロック20を主領域12及び捨て領域14に分割する。その後、粘着シート72に紫外線を照射し、周知の拡張器を用いてダイシングフレーム90を拡張する。これにより、図7に示すように、捨て領域14が主領域12から分割されると共に、主領域12が複数のアレイ状ウェハ36へと分割される。その後、図4(a)のチップ化予定線24に沿ってアレイ状ウェハ36を分割することにより、半導体チップ30を得ることができる。アレイ状ウェハ36から半導体チップ30への分割は、例えばウェハブロック20からアレイ状ウェハ36への劈開工程と同様の工程により行うことができる。
【0036】
図8は、実施例1に係る半導体装置の製造工程における、ウェハブロック20の劈開工程を示す図であり、比較例と同様にウェハブロック20を第1領域20A〜第3領域20Cに順次分割する工程を示している。比較例(図2(b))と異なり、ウェハブロック20の裏面側(粘着シート72側)に連結層42(図8では不図示)が形成されているため、第1領域20A及び第2領域20Bの裏面側は、完全には分離されずに繋がっている(図中の符号84)。これにより、ブレード80の圧力で第2領域20B及び第3領域20Cが下側(受け台60側)に押し下げられた場合でも、第1領域20Aが第2領域20Bと同期して動くため、第1領域20A及び第2領域20Bの端面が傷付きにくくなっている。以上のように、実施例1に係る半導体装置の製造方法によれば、半導体ウェハ10の劈開に伴う半導体装置の損傷を抑制することができる。
【0037】
図9(a)は、実施例1の変形例に係る半導体装置の製造工程を示す図であり、実施例1の図4(a)に相当する図である。実施例1と異なり、裏面電極40の下地となるシードメタル層44が、主領域12の全面に形成されている。連結層42は、形成されていない。これにより、シードメタル層44が連結層42と同様の役割を果たし、図8の劈開工程において第1領域20A〜第3領域20Cの裏面側が分離されにくくなる。その結果、半導体ウェハ10の劈開に伴う半導体装置の損傷を抑制することができる。この場合、シードメタル層44は少なくとも劈開予定線22を跨いで形成されていればよいが、ウェハブロック20の裏面全体に形成されていることがより好ましい。シードメタル層44の厚みは、密着性向上の観点からは150nm以上であることが好ましいが、劈開工程を容易に行う観点からは500nm以下であることが好ましい。
【0038】
図9(b)は、実施例1の変形例に係る半導体装置の製造工程を示す図であり、実施例1の図4(a)に相当する図である。ウェハブロック20では、連結層42aが金属メッキではなく樹脂により形成されている。例えば、裏面電極40の形成後に、ネガ感光剤入りのポリイミド樹脂を厚さ3μmでウェハブロック20の裏面全体に塗布し、その後露光装置により捨て領域14のみを露光、現象する。その後、300℃で30分のキュア処理を行い、ポリイミド樹脂を固化させることにより、樹脂を材料とする連結層42aを得ることができる。樹脂による連結層42を用いた場合でも、実施例1と同じく半導体ウェハ10の劈開に伴う半導体装置の損傷を抑制することができる。樹脂としては、ポリイミドの他にも、例えばベンゾシクロブテン、フッ素系樹脂等を用いることができる。また、樹脂の除去は、ウェハブロック20を劈開により分割した後に行ってもよい。
【0039】
実施例1及びその変形例に係る半導体装置の製造方法は、表面に半導体素子が形成され、端面が劈開された任意の半導体装置に対し適用することができるが、端面射出型または端面入射型の光デバイス(例えば、半導体レーザ)に対し特に好適である。これらの光デバイスでは、劈開予定線22に沿った端面がデバイスの入射面または射出面となる。
【0040】
また、実施例1及びその変形例では、連結層42(42a)が捨て領域14に連続して形成されている例について説明したが、連結層42(42a)は少なくとも劈開予定線22の一部を覆うように形成されていればよい。ただし、前述の例のように連結層42(42a)を連続して形成する方が、捨て領域14を連結する効果が高くなるため、壁開工程における半導体装置の損傷をより抑制することができる。
【0041】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0042】
10 半導体ウェハ
12 主領域
14 捨て領域
20 ウェハブロック
22 劈開予定線
24 チップ化予定線
26 捨て領域境界線
30 半導体チップ、チップ領域
32 第1スクライブ溝
34 第2スクライブ溝
40 裏面電極
42 連結層
44 シードメタル層
50 表面電極
60 受け台
70 積層体
72 粘着シート
74 カバーシート
80 ブレード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1領域と、前記第1領域に隣接する第2領域と、前記第2領域に隣接する第3領域とを有する半導体基板の裏面上に、前記第1領域及び前記第2領域の境界線である第1境界線の少なくとも一部と、前記第2領域及び前記第3領域の境界線である第2境界線の少なくとも一部とを覆うように、金属または樹脂からなる連結層を形成する工程と、
前記半導体基板の裏面側から前記第1境界線に沿って力を加えることにより、前記第1領域と前記第2領域とを劈開により分割する工程と、
前記半導体基板の裏面側から前記第2境界線に沿って力を加えることにより、前記第2領域と前記第3領域とを劈開により分割する工程と、
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記連結層は、前記第1領域、前記第2領域、及び前記第3領域に連続して延在していることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記劈開により分割する工程の前に、
前記第1境界線及び前記第2境界線の端に、前記半導体基板を劈開するための第1スクライブ溝を前記半導体基板の表面に形成する工程を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1領域、前記第2領域、及び前記第3領域はそれぞれ、分割後に半導体チップとなる主領域と、前記主領域の外側に設けられた捨て領域とを有し、
前記連結層は、前記捨て領域のみに形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記半導体基板の裏面側にシードメタル層を形成する工程と、
前記シードメタル層上に裏面電極を形成する工程と、を備え、
前記連結層は、前記シードメタル層を形成する工程と同じ工程で形成される前記シードメタル層であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記主領域には、端面入射型または端面射出型の光デバイスが形成されていることを特徴とする請求項4または5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記連結層は金属を含み、メッキ、蒸着、またはスパッタリングのいずれかの工程により前記半導体基板上に形成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記樹脂は、ポリイミド、ベンゾシクロブテン、及びフッ素系樹脂の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1領域と前記第2領域とを分割する工程、及び前記第2領域と前記第3領域とを分割する工程は、
前記半導体基板の裏面に、表面に接着剤が塗布された粘着シートを貼り付ける工程と、
前記半導体基板の表面に、表面保護用のカバーシートを貼り付ける工程と、
中央部に凹部を有する受け台上に、前記カバーシートと前記受け台とが接触するように、前記半導体基板、前記粘着シート、及び前記粘着シートの積層体を設置する工程と、
前記第1境界線が前記凹部上に位置する状態で、前記第1境界線に沿って前記粘着シートに劈開用のブレードを押し当てることにより、前記半導体基板を劈開する工程と、
前記第2境界線が前記凹部上に位置する状態で、前記第2境界線に沿って前記粘着シートに前記ブレードを押し当てることにより、前記半導体基板を劈開する工程と、
を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−119479(P2012−119479A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267573(P2010−267573)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000154325)住友電工デバイス・イノベーション株式会社 (291)
【Fターム(参考)】