説明

半導体装置

【課題】実装基板に半導体集積回路(IC)チップ及び半導体チップ部品が実装された半導体装置において、半導体ICチップの小面積化を可能とし、半導体装置全体を小型化することを可能とする。
【解決手段】半導体装置1は、実装基板10に半導体ICチップ20と半導体ICチップ20に電気的に接続される半導体チップ部品30とが実装されたものであり、半導体ICチップ20は、実装基板10に形成され、実装基板10の第1の基板面11において開口した凹部13内に実装されており、半導体チップ部品30は、半導体ICチップ20の第1の基板面側の面22と実装基板10の第1の基板面11とに跨って実装されたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実装基板にICチップ及びチップ部品が実装された半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置として、実装基板(モジュール基板)に半導体集積回路チップ(ICチップ)とチップコンデンサ等の半導体チップ部品とが実装されたMCM(Multi Chip Module)が知られ、マイクロ波を用いた通信用途などに利用されている。MCMが搭載される各種電子機器の小型化・高機能化に伴って、MCM自体についてもより一層の小型化及び高集積化が求められている。例えば、今後は、多機能の回路構成を1つのMCMに盛り込んで高集積化したFEM(Front End Module)が主流になってくると考えられる。
【0003】
MCMとしては、特許文献1に、実装基板(2)にフリップチップ実装されたICチップ(4)の裏面にチップコンデンサ(6)を搭載した半導体装置が記載されている(図3及び図4を参照)。この半導体装置では、チップコンデンサ(6)は、ICチップ(4)内に開孔された複数のビアホール(10)を介してICチップ(4)の表面に設けられた導電パッド(12)と接続されている。
本発明の関連技術として特許文献2〜4が挙げられるが、詳細については後述する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-184933号公報
【特許文献2】特開2009-094319号公報
【特許文献3】特開平08-148800号公報
【特許文献4】特開2001-007352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の上記半導体装置において、例えば図4に示すような回路を実現しようとすると、図3のような回路構造になる。図中、FETは電界効果トランジスタ、Cはチップコンデンサ、GNDはグランド、HXは実装基板内のビアホール、HYはICチップ内のビアホールを各々示す。
特許文献1に記載の半導体装置では、チップコンデンサを実装基板に電気的に接続するために、ICチップ内に複数のビアホールHYが必要であり、ICチップの小面積化が難しく、半導体装置全体を小型化することが難しい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の半導体装置は、
実装基板に半導体集積回路チップ(半導体ICチップ)と当該半導体集積回路チップに電気的に接続される半導体チップ部品とが実装されたものであり、
前記半導体集積回路チップは、前記実装基板に形成され、当該実装基板の第1の基板面において開口した凹部内に実装されており、
前記半導体チップ部品は、前記半導体集積回路チップの前記第1の基板面側の面と前記実装基板の前記第1の基板面とに跨って実装されたものである。
【0007】
本発明の半導体装置においては、半導体ICチップが実装基板に形成された凹部内に実装され、半導体チップ部品が半導体集積回路チップと実装基板とに跨って実装されているので、半導体チップ部品を実装基板に電気的に接続するために、半導体ICチップ内に1つのビアホール等の開孔導電部を設ければよく、半導体ICチップの小面積化が可能であり、半導体装置全体を小型化することができる(図1及び図2を参照)。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、実装基板に半導体集積回路チップ(半導体ICチップ)及び半導体チップ部品が実装された半導体装置において、半導体ICチップの小面積化が可能であり、半導体装置全体を小型化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る一実施形態の半導体装置の断面図である。
【図2】図1の半導体装置の等価回路図の例である。
【図3】特許文献1に記載の半導体装置の等価回路図の例である。
【図4】等価回路図の例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照して、本発明に係る一実施形態の半導体装置の構成について説明する。図1は本実施形態の半導体装置の概略断面図、図2は等価回路図の例である。図面上は視認しやすくするため、各部材の縮尺や位置は適宜、実際のものとは異ならせてある。
【0011】
本実施形態の半導体装置1は、実装基板(モジュール基板)10に半導体集積回路チップ(半導体ICチップ)20と半導体チップ部品30とが実装されたMCM(Multi Chip Module)である。半導体チップ部品30としては、チップコンデンサ等が挙げられる。
本実施形態において、実装基板10は、第1の基板面(図示上面)11において開口し、内部にICチップ20が実装される凹部(キャビティ)13が形成されたCIB(Chip In Board)構造の基板である。
【0012】
ICチップ20は、実装基板10の凹部13内に、フリップチップ実装されている。ICチップ20において、凹部13の底面13B側の面(図示下面)を「ICチップ20の表面21」、実装基板10の第1の基板面11側の面(図示上面)を「ICチップ20の裏面22」と定義する。
実装基板10において、凹部13は、凹部13内に実装されたICチップ20の裏面22と実装基板10の第1の基板面11とが略面一となる深さで形成されている。
本実施形態において、チップ部品30は、ICチップ20の裏面22と実装基板10の第1の基板面11とに跨って実装されている。
【0013】
実装基板10において、第2の基板面(図示下面)12には金メッキ等によりグランド電極パターン(GNDパターン、導電部)14が形成され、第1の基板面11の凹部13に隣接する領域にはチップ部品30を実装基板10に実装するための導電パッド15が形成されている。
【0014】
実装基板10内には、凹部13の底面13Bから実装基板10の第2の基板面12との間に開孔され、内部に導電材料が充填された1つのビアホール(開孔導電部)16が形成されている。実装基板10内にはまた、第1の基板面11に形成された導電パッド15と第2の基板面12に形成されたGNDパターン14との間に開孔され、内部に導電材料が充填された1つのビアホール(開孔導電部)17が形成されている。
【0015】
ICチップ20において、その表面21にはICチップ20を実装基板10に実装するための導電パッド23、24が形成され、裏面22にはチップ部品30をICチップ20に実装するための導電パッド25が形成されている。
ICチップ20内には、一端が導電パッド25に接続され、ICチップ20を貫通して開孔され、内部に導電材料が充填された1つのビアホール(開孔導電部)26が形成されている。
ICチップ20の表面21に設けられた導電パッド23、24が、実装基板10の凹部13の底面13Bに対して半田等の導電材41を介して接続されている。ICチップ20の表面21に形成された導電パッド23、24のうち一方の導電パッド24は、導電材41を介して実装基板10に形成されたビアホール16に接続されている。
【0016】
チップ部品30は、ICチップ20の裏面22に形成された導電パッド25と、実装基板10の第1の基板面11に形成された導電パッド15に対して半田等の導電材42を介して接続されている。
導電パッド15、23〜25、及びビアホール16、17、26の位置は、上記電気的接続が実現される位置にそれぞれ設計されている。
【0017】
チップ部品30は、半田等の導電材42を介してICチップ20と実装基板10に実装されるので、凹部13内に実装されたICチップ20の裏面22の高さと実装基板10の第1の基板面11の高さとが多少ずれていても、チップ部品30の実装は可能である。
換言すれば、凹部13内に実装されたICチップ20の裏面22の高さと実装基板10の第1の基板面11の高さは、チップ部品30をICチップ20と実装基板10とに跨って実装することができる範囲内であればよい。
本明細書において、「凹部13内に実装されたICチップ20の裏面22と実装基板10の第1の基板面11とが略面一」とは、凹部13内に実装されたICチップ20の裏面22の高さと実装基板10の第1の基板面11の高さとのずれが100μm以内を目安としている。
【0018】
本実施形態では、以上の構成により、実装基板10の第2の基板面12に形成されたGNDパターン14とチップ部品30とが、実装基板10の凹部13の底面13Bから実装基板10の第2の基板面12との間に形成された1つのビアホール16と、ICチップ20内に形成された1つのビアホール26とを介して互いに導通されている。
【0019】
本実施形態の半導体装置において、図4に示すような回路を実現しようとすると、図2のような回路構造になる。図中、FETは電界効果トランジスタ、Cはチップコンデンサ、GNDはグランド、HXは実装基板内のビアホール、HYはICチップ内のビアホールを各々示す。
【0020】
「発明が解決しようとする課題」の項において、特許文献1に記載の半導体装置において、図4に示すような回路を実現しようとすると、図3のような回路構造になることを説明した。特許文献1に記載の半導体装置では、チップコンデンサ等のチップ部品を実装基板に電気的に接続するために、ICチップ内に複数のビアホールが必要であり、ICチップの小面積化が難しく、半導体装置全体を小型化することが難しいことを述べた。
【0021】
本実施形態の半導体装置1では、チップコンデンサ等のチップ部品30を実装基板10に接続するために、ICチップ20内に1つのビアホール26を設ければよく、ICチップ20の小面積化が可能であり、半導体装置1全体を小型化することができる。
【0022】
基板に凹部を設けて、ICチップ等の電子部品を搭載することに関しては、「背景技術」の項で挙げた特許文献2〜4に記載がある。
特許文献2の図2には、実装基板(121)の凹部に回路基板(122)が実装され、この回路基板(122)と実装基板(121)の凸部に設けられたLEDチップ(30)とがボンディングワイヤ(40)を介して接続された発光装置が記載されている。この発明は発光装置に関するものであり、実装基板にICチップとチップ部品とが搭載されたものではない。また、この装置では、LEDチップ(30)は回路基板(122)と実装基板(121)に跨って形成されておらず、LEDチップ(30)と回路基板(122)とはボンディングワイヤ(40)を用いた電気的接続であるので、本発明のように装置の小型化を図ることは難しい。
【0023】
特許文献3の図3には、実装基板(1)に設けられた凹部(16)内に回路部品(15)が搭載され、凹部(16)を多層基板(2)により封止し、この上にSMD部品(3)が実装された半導体装置が記載されている。この装置は構成が複雑であり、SMD部品(3)は回路部品(15)と実装基板(1)とに跨って形成されておらず、実装基板(1)及び多層基板(2)内に多数のビアホール(18、19)が必要である。
【0024】
特許文献4の図1には、実装基板(1)に設けられた凹部内に電気素子(2)を搭載し、実装基板(1)と電気素子(2)とに跨るように光素子(3)を搭載した光・電気モジュールが記載されている。この発明は光・電気モジュールに関するものであり、実装基板にICチップとチップ部品とが搭載されたものではない。
【0025】
以上説明したように、本実施形態によれば、実装基板10にICチップ20及びチップ部品30が実装された半導体装置において、ICチップ20の小面積化が可能であり、半導体装置1全体を小型化することが可能となる。
【符号の説明】
【0026】
1 半導体装置
10 実装基板
11 第1の基板面
12 第2の基板面
13 凹部
13B 凹部の底面
14 GNDパターン(導電部)
15 導電パッド
16、17 ビアホール(開孔導電部)
20 半導体集積回路チップ(半導体ICチップ)
21 表面
22 裏面
23〜25 導電パッド
26 ビアホール(開孔導電部)
30 半導体チップ部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装基板に半導体集積回路チップと当該半導体集積回路チップに電気的に接続される半導体チップ部品とが実装されたものであり、
前記半導体集積回路チップは、前記実装基板に形成され、当該実装基板の第1の基板面において開口した凹部内に実装されており、
前記半導体チップ部品は、前記半導体集積回路チップの前記第1の基板面側の面と前記実装基板の前記第1の基板面とに跨って実装された半導体装置。
【請求項2】
前記凹部が、当該凹部内に実装された前記半導体集積回路チップの前記第1の基板面側の面と前記実装基板の前記第1の基板面とが略面一となる深さで形成された請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記実装基板の第2の基板面に形成された導電部と前記半導体チップ部品とが、
前記実装基板の前記凹部の底面から前記実装基板の前記第2の基板面との間に開孔され、内部に導電材料が充填された1つの開孔導電部と、前記半導体集積回路チップ内に開孔され、内部に導電材料が充填された1つの開孔導電部とを介して互いに導通された請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体集積回路チップは、当該半導体集積回路チップにおいて前記実装基板の前記凹部の底面側の面に形成された導電パッドを介して、前記実装基板に実装されており、
前記半導体チップ部品は、前記半導体集積回路チップにおいて前記実装基板の前記第1の基板面側の面に形成された導電パッドを介して、前記半導体集積回路チップに実装されると共に、前記実装基板の前記第1の基板面において前記凹部に隣接する領域に形成された導電パッドを介して、前記実装基板の前記第1の基板面に実装された請求項1〜3のいずれかに記載の半導体装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−171488(P2011−171488A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33500(P2010−33500)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)