説明

半結晶高速吸収重合体組成物

本発明は、半結晶吸収性共重合体組成物を含む組成物に関し、第1の成分が、ジグリコール酸と、2つのジオール(ジエチレングリコール(DEG)とエチレングリコール(EG)であって、DEGの方が添加モル数が多い)の混合物との水酸基で末端保護された重縮合生成物であり、第2の成分であるグリコリドは、後の開環重合の際に組み込まれる。得られた吸水性樹脂は、低い結晶化度と、室温よりわずかに低いガラス転移温度Tgとを有し、特に、モノフィラメント、マルチフィラメント、ミクロスフェア、又はメルトブロー不織構造物、又は速い加水分解速度と優れた機械的性質が望ましい他の医療用具の作製に有用なことがある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半結晶吸収性共重合体組成物を含む組成物であって、第1の成分が、ジグリコール酸と2つのジオール(ジエチレングリコール(DEG)とエチレングリコール(EG)であって、DEGの方が添加されるモル数が多い)の混合物の水酸基キャップド重縮合生成物であり、第2の成分(グリコリド)が、後の開環重合の際に組み込まれる組成物に関する。得られた親水性樹脂は、低い結晶化度、ガラス転移温度、室温よりわずかに低いTgを有し、また詳細には繊維、ミクロスフェア、又はメルトブロー不織構造物、又は速い加水分解速度と優れた機械的性質が望ましい他の医療用品の作製に有用なことがある。
【背景技術】
【0002】
医療用品の機械的性質は、用品の最終用途により異なるようにすることができる。例えば、縫合糸は、直線引張り強さや結節強さなどの機械的強さを示すことが望ましいことが多い。そのような所望の特性を有する縫合糸を作製する1つの技術は、ある程度の結晶化度を有する高分子を利用することである。具体的には、高分子の結晶構造又は規則的構造は、その高分子から作製された医療用品に強さを与え、その医療用品には、縫合糸、手術用メッシュ、手術用ステープル、止血クリップなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0003】
しかしながら、一般に、吸収性高分子の結晶化度が大きくなるほど、吸収率が低下する。したがって、吸収性医療用品が必要とされる用途では、高分子の結晶化度をその吸収性と釣り合わせる必要がある。例えば、会陰切開術用途や形成外科用途など、吸収性医療用品が素早く吸収する必要がある特定の用途があり、それぞれの、患者の快適さの改善及び審美的効果を達成するには、医療用品の高速吸収が極めて望ましい。
【0004】
吸収性高分子の吸収速度又は加水分解速度を高める幾つかの手法が知られている。例えば、1つの手法は、高分子の結晶化度を低下させてその吸収速度又は加水分解速度を高めることである。これは、例えば共重合段階で様々なラクトンを使用することにより高分子の化学構造をランダム化して、高分子の全体的な結晶化度を低下させることによって行われることがある。しかしながら、結晶性を乱すラクトンを使用すると、ラクトンのかなり高い疎水性により効果が制限され、得られる高分子及び医療用品はより疎水性になり、吸収又は加水分解が起こる速さが遅くなる。更に、高分子の結晶化度を下げると、その高分子から作製された医療用品の物理特性が悪影響を受けることがある。
【0005】
合成吸収性高分子の吸収率又は加水分解速度を高める第2の手法は、非吸収性親水性部分(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)などのポリエーテル)を添加して、吸収性高分子の疎水性を高めることである。しかしながら、そのような手法は、脂肪族ポリエーテルの一般化学構造により医療用品の機械的性質(例えば、引張り強さ及びモジュール)を低下させ、またPEG部分の添加は、高分子の全体的の結晶化度を低下させる。
【0006】
第3の手法は、前分解(pre-degraded)合成吸収性高分子を使用することである。例えば、吸収性高分子は、吸収性高分子の加水分解を開始させるために水酸化段階にかけられるかガンマ線が放射されることがあり、それにより前分解生成物ができる。しかしながら、前分解合成吸収性高分子の使用により起こる問題には、前分解高分子の品質と安定性を制御する困難さが挙げられる。より具体的には、最終生産物で再現可能レベルの前分解を達成しにくいことがある。
【0007】
Ethicon,Inc.に譲渡された米国特許公開2006/0051398号は、重縮合ポリエステルと少なくとも1つのラクトンとの反応生成物を含む共重合ポリエステルを記載しており、重縮合ポリエステルは、ジグリコール酸及び/又はその誘導体とエチレングリコールとの反応生成物を含む。この参考文献に記載された生成物は、付着防止に役立つ。この参考文献は、その組成物が吸収性であることを示しているが、この参考文献に記載された共重合ポリエステルは、比較的低い分子量を有する完全非晶質である。したがって、この共重合ポリエステルから作製された医療用品が、例えば縫合糸に必要とされる強度の必須物理特性を有することは期待されない。
【0008】
Ethicon,Incに譲渡された米国特許公開2008/0103284号は、重縮合ポリエステルと少なくとも1つのラクトンとの反応生成物を含む共重合ポリエステルを記載しており、重縮合ポリエステルは、ジグリコール酸及び/又はその誘導体とジエチレングリコールとの反応生成物を含む。この特許出願に記載された共重合体は、極めてブロック状のグリコリド構造を有し、その結果、結晶化度が比較的高くなり、材料の全体的な加水分解速度が遅くなる。更に、この特許出願の共重合体は、縫合糸などの全ての用途に望ましいとは限らないことがあるレベルの弾性と強度を示す。この出願は、ジオールの混合物を使用する可能性に言及していない。
【0009】
Ethicon,Inc,に譲渡された米国特許第5,644,002号はまた、吸収性高分子と、重縮合ポリエステルとラクトンモノマーを主成分とする脂肪族ポリエステルとの混合物を記載しており、重縮合ポリエステルは、ジグリコール酸と、グリセロール、ペンタエリスチトール、トリメチロールプロパン、水酸基末端ポリ(エチレングリコール)、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、及び1,8−オクタンジオールからなる群から選択されたアルコールとの反応生成物である。この参考文献に記載された吸収性高分子は、分岐又は架橋された完全非晶質の柔軟材料であり、したがって、例えば縫合糸に必要とされる強さの必須物理特性を有する医療用品を作製することは期待されない。
【0010】
American Cyanamid Companyに譲渡された米国特許第4,048,256号、第4,095,600号、及び第4,122,129号は、ジグリコール酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコールなどのグリコールとの重縮合生成物である生物学的適合性で吸収性の重縮合ポリエステルを記載している。米国特許第4,095,600号は、(a)ジグリコール酸とアンヒンダードグリコールとで作製された約2〜50重量%の重縮合ポリエステルと、(b)反応前に30,000ドルトンを超える分子量のポリグリコール酸(PGA)とのエステル交換反応生成物を記載している。この参考文献に記載されたエステル交換反応生成物は、結晶性を示すと考えられるが、その吸収性は、ブロック状のPGA配列と、PGA部分の高融点によって示されるような共重合体のより高い結晶完成度により、極めて良好であることは期待されない。本明細書で使用される用語「ブロック状(BLOCKY)」とは、共有結合によって結合された同一モノマー(例えば、グリコール酸)の多数の繰り返し単位を含む高分子構造を指す。これらの参考文献に記載された共重合体の低固有粘度(IV)値(1.0dL/g未満)は、良好な機械/伸長特性を有する繊維を生成するとは期待されない。
【0011】
我々は、ジグリコール酸と2つのジオール(ジエチレングリコール(DEG)とエチレングリコール(EG))の混合物との反応生成物を主成分とする新規の重合体組成物を開示する。この重縮合生成物が、第2の開環段でグリコリドと反応したとき、組成物がより高いグリコリド分を含む場合でもより低い結晶化度を有する共重合体が形成される。グリコリドの量が多いとTgが高くなり、したがって、その材料から作製された繊維は、より小さい弾性を示す可能性が高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、例えば縫合糸、ミクロスフェア及び不織構造物に必要とされる機械的強さを維持しながら、より高速の吸収又は加水分解を達成する合成吸収性高分子の必要が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本明細書では、重縮合ポリエステルと少なくとも1つのラクトンとの反応生成物を含む共重合ポリエステルを含む組成物について述べ、重縮合ポリエステルは、ジグリコール酸及び/又はその誘導体と、ジエチレングリコール及びエチレングリコールとの反応生成物とを含み、ジエチレングリコールとエチレングリコールのモル比は、約2:1〜4:1の範囲にあり、共重合ポリエステルは、共重合ポリエステルの全重量を基準にして約30〜50重量%の重縮合ポリエステルを含み、また10〜50%の範囲の結晶化度を含む。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、重縮合ポリエステルと少なくとも1つのラクトンとの半結晶吸収性共重合ポリエステル、より具体的には、ポリ(エチレン−co−エトキシエチレンジグリコレート)(PEDG−21)と少なくとも1つのラクトンとの反応生成物を含む半結晶吸収性共重合ポリエステルを含む組成物に関し、ここで、共重合ポリエステルは、共重合ポリエステルの全重量を基準にして約30〜50重量%のポリ(エチレン−co−エトキシエチレンジグリコレート)を含む。
【0015】
ポリ(エチレン−co−エトキシエチレンジグリコレート)(PEDG−21)の概略表現は、以下のように示される。
【化1】

式中、xは、1〜2であり、nは、約60〜約300の範囲で10,000g/モル〜50,000g/モルの近似分子量に対応する重合度を表す。
【0016】
本発明の一実施形態では、共重合ポリエステルは、縮重合ポリマーと少なくとも1つのラクトンとの反応生成物を含み、重縮合ポリエステルは、ジグリコール酸及び/又はその誘導体と、エチレングリコール及びジエチレングリコールとの反応生成物を含む。
【0017】
別の実施形態では、重縮合ポリエステルは、ジグリコール酸及び/又はその誘導体と、酸の全重量を基準にして最大約25モルパーセントの脂肪族二酸化合物と、エチレングリコール及びジエチレングリコールとの反応生成物を含む。具体的には、脂肪族二酸化合物は、3,6−ジオキサオクタン二酸、3,6,9−トリオキサアンデカン二酸、及びこれらの組み合わせを含むがこれに限定されない脂肪族α−Ω−ジカルボン酸でよい。
【0018】
重縮合ポリエステルは、従来の技術によって合成されてもよい。例えば、縮合重合では、ジグリコール酸は、エチレングリコールとジエチレングリコールと、高い温度と低い圧力で、触媒がある状態で重合されてもよい。様々な触媒を使用することができるが、有機金属化合物が有用であることが分かっている。合成の重縮合段階の触媒は、スズ系(例えば、第一スズオクトエート)であることが好ましい。最も望ましい触媒は、ジブチルスズオキシドであり、ジグリコール酸/ジエチレングリコール/エチレングリコールモノマー混合物中に、モノマーと触媒の十分に有効なモル比、例えば約5,000/1〜約100,000/1の範囲で存在する。例えば、10,000/1の比が、かなり適切であることが分かっている。反応は、典型的には、不活性雰囲気中でジグリコール酸のエステル化が完了するまで、約100℃〜約220℃、好ましくは約140℃〜約200℃の温度範囲で行われる。垂直撹拌反応器を使用するとき、望ましい反応温度が好ましくは180℃であることが分かっている。最適な反応温度は、反応器と触媒レベルに依存することがあるが、当業者の実験の使用にのみより見出すことができることに注意されたい。重縮合反応(大気圧での不活性ガス)の最初の段の後で、所望の分子量と粘性が達成されるまで低い圧力下で重合が行われる。
【0019】
繊維の場合、縮重合ポリマーの重量平均分子量は、約10,000〜約50,000g/モルの範囲、好ましくは約30,000〜約50,000g/モルの範囲、最も好ましくは約40,000g/モルでよい。これは、約0.70〜約1.2dL/gの固有粘度範囲に相当する。縮重合ポリマーの分子量が、約20,000g/モルより低いときは、最終共重合ポリエステルの分子量が小さすぎて、例えば縫合用途に望ましい機械的性質は達成できない。反応時間が長くなるほど分子量を大きくすることができるが、極めて高い分子量を達成することは次第に困難になる。我々は、一般に、所要の特性を達成するのに、約50,000g/モルより大きい縮重合ポリマーの分子量は必要ないことを発見した。しかしながら、この値が絶対的な制約(absolute bar)でないことを想起することができる。例えば、縮重合ポリマーの分子量を大きくすると、最終共重合ポリエステルの調製で使用されるラクトンモノマーの量が少なくなる可能性がある。
【0020】
ミクロスフェアの場合、縮重合ポリマーの重量平均分子量は、約5,000〜約15,000g/モルの範囲、好ましくは約8,000〜約12,000g/モルの範囲、最も好ましくは約10,000g/モルでよい。これは、約0.30〜約0.40dL/gの固有粘度範囲に相当する。縮重合ポリマーの分子量が、約5,000g/モルより小さいとき、最終共重合ポリエステルの分子量は小さすぎて、所望の機械的性質を達成することができない。一般に、所要の特性を達成するのに、約15,000g/モルより大きい縮重合ポリマーの分子量は不要である。しかしながら、この値が絶対的な制約ではないことを想起することができる。例えば、縮重合ポリマーの分子量を大きくすると、最終共重合ポリエステルの調製に使用されるラクトンモノマーの量が減少することがある。
【0021】
メルトブロー不織構造物の場合、縮重合ポリマーの重量平均分子量は、約10,000〜約40,000g/モルの範囲、好ましくは約20,000〜約30,000g/モルの範囲、最も好ましくは約25,000g/モルでよい。縮重合ポリマーの分子量が、約10,000g/モルより小さいとき、最終共重合ポリエステルの分子量が小さすぎて所望の機械的性質を達成できない。一般に、所望の特性を達成するのに、約40,000g/モルより大きい縮重合ポリマーの分子量は不要である。しかしながら、この値は絶対的な制約ではないことが想起される。例えば、縮重合ポリマーの分子量が増大すると、最終共重合ポリエステルの調製に使用されるラクトンモノマーの量が減少する。
【0022】
共重合体ポリ(エチレン−co−エトキシエチレンジグリコレート−co−グリコリド)(PEDG−21/Gly)の概略表現を下に示す。
【化2】

式中、n=yであり、mとy(又はn)はそれぞれ、グリコリド配列とPEDG−21の重合度を表わし、xとnは、PEDG−21について定義された通りである。最小化又は最小エステル交換反応の場合、グリコリド及びPEDG−21単位の総重合度(2m+y)は、約100〜約1,600の範囲である。
【0023】
ポリ(エチレン−co−エトキシエチレンジグリコレート)(PEDG−21)は、ジグリコール酸、ジエチレングリコール及びエチレングリコールの完全非晶質重縮合生成物である。2つのジオールが過剰に使用されたとき、得られた重縮合生成物は、水酸基で末端保護された末端基を含み、その場合、その後のグリコリドなどのラクトンモノマーとの第2段の開環重合で高分子開始剤として働くことができる。PEDG−21が、グリコリドなどのラクトンモノマーと反応し、エステル交換反応が最小化されたとき、ブロック・グリコリド配列ができ、得られる共重合コポリエステルは、結晶性材料になる。より具体的には、この結果、半結晶共重合ポリエステルができ、これは、例えば繊維製造工程で特に有利な特性である。更に、共重合ポリエステルの結晶化速度は、高速であることが確認され、これは、例えば繊維製造工程で別の有利な特性である。最後に、PEDG−21とそれから誘導された共重合ポリエステル生成物は両方とも、親水性の高速吸収高分子である。
【0024】
本発明の共重合ポリエステルを調製するために使用される重縮合ポリエステルの量は、共重合ポリエステルの総モル数を基準して約30〜50重量%の範囲である。
【0025】
重縮合ポリエステルと反応することができる適切なラクトンモノマーには、グリコリド、ラクチド(l,d,dl,meso)、p−ジオキサノン、炭酸トリメチレン、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、β−ブチロラクトン、ε−デカラクトン、2,5−ジケトモルホリン、ピバロラクトン、α,α−ジエチルプロピオラクトン、炭酸エチレン、エチレンオキザラート、3−メチル1,4−ジオキサン−2,5−ジオン、3,3−ジエチル−2−ジオキサン−2,5−ジオン、γ−ブチロラクトン、1,4−ジオキセパン−2−オン、1,5−ジオキセパン−2−オン、1,4−ジオキサン−2−オン、6,8−ジオキサバイサイクルオクタン−7−オン、及びこれらの2つ以上の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。好ましいラクトンモノマーには、グリコリドが挙げられる。
【0026】
一実施形態では、共重合ポリエステルは、ポリ(エチレン−co−エトキシエチレンジグリコレート)などの重縮合ポリエステルとグリコリドなどのラクトンとの反応生成物を含んでもよい。
【0027】
別の実施形態では、共重合ポリエステルは、重縮合ポリエステルと2つ以上のラクトンとの反応生成物を含んでもよい。例えば、共重合ポリエステルは、重縮合ポリエステルと、ラクトンの全モル数を基準にして少なくとも75モルパーセントのグリコリドと、第2のラクトンモノマーとの反応生成物を含んでもよい。
【0028】
本発明の共重合ポリエステルは、従来の方法を使用する従来の技術によって、ジヒドロキシポリ(アルキレンジグリコレート)ホモポリマー又は共重合体とラクトンの反応によって合成されるのが好都合なことがある。例えば、重縮合ポリエステルは、後のラクトン又はラクトン混合物との開環重合(ROP)でα−、Ω−ジヒドロキシ高分子開始剤として使用される。ラクトンモノマーは、高温で従来の有機金属触媒がある状態で、重縮合ポリエステルに共重合される。ROP用の触媒は、重縮合ポリエステル中に残留触媒として既に存在することもあり、合成のこの第2段階で添加される更なる触媒でもよい。ROP時に添加される適切な触媒は、有機金属触媒でよい。開環有機金属化合物触媒は、好ましくはスズ系(例えば、第一スズオクトエート)であり、好ましくはラクトンモノマーと触媒のモル比が約20,000/1〜無限(即ち、更なる添加触媒が使用されない)の範囲でモノマー混合物中に十分に有効な量で存在する。これにより、二塩基酸(例えば、ジグリコール酸)と触媒の比率が約10,000/1でジブチルスズオキシドなどのスズ−IV化合物を利用して、重縮合ポリエステルを調製し、次に、開環重合時に、ラクトンと添加触媒のモル比が約240,000/1で第一スズオクトエートなどのスズ−II化合物を添加してもよい。あるいは、本発明の共重合ポリエステルは、ROP時に追加の触媒を添加しないで合成されてもよい。
【0029】
反応器が適切な熱伝達と攪拌を提供することができる場合は、重縮合ポリエステルの合成に使用されるものと同じ反応器内で、重縮合段階の完了直後に、ROP段階を直ちに行うことができる。ラクトン又はラクトン混合物は、固体、スラリー、又は溶融形態として添加することができる。あるいは、ROPは、後日に個別の反応器内で行われてもよく、又は後日に重縮合ポリエステルに使用された反応器内で行われてもよい。その場合、重縮合ポリエステルは、その反応器から放出され、吸水と加水分解を最小にする環境で保管される。グリコリドモノマーを添加する場合、モノマーは、固体として添加されもよい。反応器は、閉じられ、減圧される。反応器は、通常、乾燥を可能にするために、長時間(例えば、夜通し)減圧下に保持される。次に、窒素が、反応器に導入されて圧力が1気圧より少し高くされ、パージサイクルは合計3回繰り返される。反応質量の温度は、最大130℃まで高められる。この温度で、攪拌機が活動化される。次に、温度を150℃に高めて混合を完了する。この混合段階は、本発明の共重合ポリエステルを生成するには不可欠であり、その理由は、混合が不十分だと、ホモポリマー配列が形成されやすく、それにより結晶化が最適より大きくなる可能性があるからである。反応物が完全に混合されるように、現場分光学的プローブ(近赤外線など)をその場で好都合に使用することができる。追加触媒が添加される場合は、典型的には、バッチが完全に混合された後で添加される。温度は、最終反応温度(最も好ましい温度は210℃)まで素早く高められ、典型的には2時間その温度に保持される。厳密な反応条件は、触媒とそのレベルに依存し、最終反応温度は、約195℃〜235℃の範囲、より好ましくは約200℃〜約220℃の範囲よい。反応時間は、触媒とそのレベルにより、約30分〜数時間の範囲でよく、典型的には、モノマーから高分子への所望の変換が達成されるまで行われる。
【0030】
本発明の共重合ポリエステルを調製するために使用された代替の反応方法は、ラクトンを溶融流として反応器に添加することを伴っていた。これにより、重縮合ポリエステルは、まず典型的には溶融流として添加され、次に反応器が真空にされた。反応器を130℃まで加熱する。100℃の温度の溶融グリコリド(又は、他のグリコリドを多く含む混合物)が、反応器に添加される。バッチ温度がわずかに低下するが、すぐに130℃に戻り、その時点で混合が開始される。この時点で、前述のプロセスに続く。
【0031】
上記の条件では、重縮合ポリエステルとラクトンの共重合ポリエステルは、典型的には、約15,000g/モル(ドルトンとも呼ばれる)〜約200,000g/モルの重量平均分子量を有する。
【0032】
医療用品が繊維やフィラメントなどの引張り強さを呈することが望ましい場合、重量平均分子量は、約40,000g/モル〜約200,000g/モル、好ましくは約50,000g/モル〜約80,000g/モル、より好ましくは約60,000g/モル〜約80,000g/モルである。これらの分子量は、25℃でヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)の0.1g/dL溶液内で測定されたときに、典型的には約1.0〜約3.0デシリットル/グラム(dL/g)、好ましくは約1.2〜約2.0dL/g、より好ましくは約1.4〜約1.8dL/gの有効な固有粘度を提供するのに十分である。
【0033】
ミクロスフェアの場合、重縮合ポリエステルとラクトンの共重合ポリエステルは、典型的には、約15,000g/モル(ドルトンとも言う)〜約30,000g/モル、好ましくは約18,000g/モル〜約28,000g/モル、より好ましくは約20,000g/モル〜約26,000g/モルの重量平均分子量を有する。これらの分子量は、25℃で0.1g/dLのヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)溶液で測定されたとき、典型的には約0.4〜約1.0デシリットル/グラム(dL/g)、好ましくは約0.6〜約0.8dL/g、より好ましく約0.6〜約0.7dL/gの有効な固有粘度を提供するのに十分である。
【0034】
メルトブロー不織構成の場合、重縮合ポリエステルとラクトンの共重合ポリエステルは、典型的には約25,000g/モル(ドルトンとも言う)〜約70,000g/モル、好ましくは約30,000g/モル〜約60,000g/モル、より好ましくは約40,000g/モル〜約55,000g/モルの重量平均分子量を有する。これらの分子量は、25℃で0.1g/dLのヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)溶液で測定されたとき、約0.5〜約1.8デシリットル/グラム(dL/g)、好ましくは約0.8〜約1.4dL/g、より好ましくは約1.0〜約1.3dL/gの有効な固有粘度を提供するのに十分である。
【0035】
本明細書で述べる共重合ポリエステルの結晶化度は、一般に、約10〜約50%の結晶化度の範囲である。
【0036】
医療用品が繊維やフィラメントのような引張り強さを呈することが望ましい場合、本明細書で述べる共重合ポリエステルの結晶化度は、約10〜約40%、好ましくは約20〜約40%、及びより好ましくは約20〜約30%の範囲である。ミクロスフェアの場合、本明細書で述べる共重合ポリエステルの結晶化度は、約10〜約25%、及び好ましくは約15〜約20%の範囲である。織布構成の場合、本明細書で述べた共重合ポリエステルの結晶化度は、約10〜約50%、及び好ましくは約20〜約40%の範囲である。
【0037】
本明細書で述べる重量平均分子量を有する共重合ポリエステルは、手術部位若しくは損傷部位で使用されるか又はメッシュなどの他の医療用具を作製するために使用される繊維又は縫合糸に押し出し成形されてもよい。あるいは、物品は、本明細書で述べる共重合ポリエステルから、様々な従来の射出及び押し出し成形方法によってモールド成形されてもよい。例えば、共重合ポリエステルは、縫合糸、メッシュ、フィルム、メルトブロー不織構造物、整形外科用品、射出成形用品を形成するようにモールド成形されてもよいが、これらに限定されない。あるいは、共重合ポリエステルは、医療用品の構成要素でもよく、即ち、共重合ポリエステルは、多層ヘルニア修復メッシュの1つの層を構成してもよく、又は高分子溶液中に懸濁され医療用品の少なくとも一部分に被覆されてもよい。
【実施例】
【0038】
実施例1.2つのジオールの混合物を使用して生成された水酸基末端ポリ(エチレン−co−エトキシエチレンジグリコレート)(PEDG−21)の合成。
噛合パターン・ブレード付き18.9L(5ガロン)Benco型反応器を使用した。反応器に、ジグリコール酸6.0kg、ジエチレングリコール(DEG)10.7kg、エチレングリコール(EG)2.1kg(DEG:EGのモル比が75%:25%)、及びジブチルスズオキシド触媒1.1グラムを充填した後、圧力を133Pa(1Torr)より下げ、一晩真空を保持した。翌日、乾燥窒素(アルゴンを代用することができる)を導入することによって真空を解除し、混合物の加熱を開始し、攪拌機を始動させ、逆方向の15RPMに設定した。反応器温度が150℃に達したとき、攪拌機速度を順方向の20RPMに再設定した。すぐに、水がほとんどとエステル化副産物を含む最初の留出物が現われた。反応は、ほぼ全ての水が蒸留されかつ/又は留出物にDEG又はEGのいずれかの最初の痕跡が現われるまで、約2時間180℃で継続された。最初の窒素/アルゴン段階が完了した後、バッチの温度を180℃に維持したまま圧力を完全真空まで徐々に下げた。反応の残りの間、計約60時間、約26.7〜40.0Pa(200〜300mTorr)の真空を維持した。重縮合ポリエステルが所望の分子量になるように、溶融粘度と溶液粘度を定期的に確認した。水酸基で末端保護された重縮合ポリエステルの重合は、減圧下で56時間反応後に完了した。高分子は、反応器内で、第2の開環段まで窒素を流した状態で維持された。
【0039】
重縮合生成物は、−11.0℃のガラス転移温度を有する完全非晶質で無色の強粘液である。重量平均分子量は、32,000g/モルであった。NMR分析から、DEG:EGのモル比がそれぞれ78%:22%であることが分かった。
【0040】
高分子ポリ(エチレン−co−エトキシエチレンジグリコレート)(PEDG−21)の概略表現を以下に示す。
【化3】

また、n=175で、この値は、32,000g/モルの平均分子量を有するPEDG−21にほぼ相当する。
【0041】
実施例2.α,ω−ジヒドロキシポリ(エチレン−co−エトキシエチレンジグリコレート)ホモポリマーのラクトンモノマー、グリコリドとの共重合。
実施例1で説明したように生成した重縮合ポリエステル(8.2kg)をBenco反応器内で室温で窒素雰囲気中に保持した。ステンレス鋼溶融タンクを使用して結晶グリコリドを溶融させた後で反応器内に加えた。グリコリド(12.3kg)を真空下で溶融タンクに充填し、次に加熱し120℃で窒素雰囲気中に保持した。重縮合ポリエステルを約120℃まで加熱した後、その時点で溶融グリコリドモノマーを溶融タンクから攪拌しながら移した。方法のこの段階で、追加触媒は添加しなかった。PGAが「氷結」しないように、攪拌機の混合を続け(20RPM)、バッチ温度が短期間に225℃まで上昇した。実時間フーリエ変換近赤外線プローブをその場で使用して、成分の完全混合を確認した。次に、温度を210℃に下げ、更に2時間反応を続けた。
【0042】
排出された共重合ポリエステルは、わずかに黄色がかった半結晶であった。次の段階で、共重合体を回転ナイフ造粒機で約0.476cm(3/16インチ)の大きさの粒子にし、ふるいにかけて微粉を除去し、パッターソン−ケリートゥインシェル回転式乾燥機に入れた。樹脂を約18時間、周囲温度で完全真空にさらし、その時点で乾燥機に熱を導入した。乾燥機を完全真空(<26.7Pa(<200mtorr))で、約24時間110℃まで加熱し、その時点で、熱を除去し、容器を室温まで冷却することができる。樹脂を乾燥機から取り出し、真空容器に入れ、更に使用するまで真空下で保持する。実施例2でスズの供給により、ラクトンと全スズ触媒の比は、約33,800/1になる。
【0043】
乾燥した樹脂は、加熱速度10℃/分のDSCによって決定された通り、18.0℃のガラス転移温度を有する。重量平均分子量は、約60,000g/モルであり、25℃で0.1g/dLの濃度のHFIPで決定された通り、1.60dL/gの固有粘度が記録された。組成物は、HNMRによって、40/60重量のポリ(エチレン−co−エトキシエチレンジグリコレート−co−グリコリド)であることが確認された。225℃で3700gの負荷を使用する樹脂のメルトインデックス(MI)試験から、値0.31g/10分が明らかになった。
【0044】
以下に、共重合体、ポリ(エチレン−co−エトキシエチレンジグリコレート−co−グリコリド)(PEDG−21/Gly)の概略表現を示す。
【化4】

式中、mとy(又はn)はそれぞれ、グリコリド配列のPEDG−21の重合度を表わし、x=1.75であり、エステル交換反応がない状態で、共重合体(2m+y)の全重合度は、約420であり、これは、平均分子量60,000g/モルに相当する。
【0045】
実施例3.実施例2で生成された共重合体の分析評価。
示差走査熱量(DSC)測定。
実施例2で説明したような乾燥した共重合体樹脂(7.32mg)を、その結晶化特性を決定するために、DSCパンに入れ、−40℃に急冷し、10℃/分の一定加熱速度で加熱した。主融点Tmは178℃にあり、より低い温度では複数のピークが見られた。融解熱ΔHmは、25J/gであることが分かり、これは、ほぼ結晶化度25%に相当する。この材料に見られたより低い融点とより低い結晶化度は、米国特許第2008103284A1に記載された共重合体により無作為化されたグリコリド配列を示す。
【0046】
第2の熱量計測(樹脂を溶かし次に−40℃まで急冷した)から、ガラス転移温度21℃、結晶化ピーク114.5℃、結晶化熱ΔHc 16J/g、更にまたその後の融解温度171.5℃、及び融解熱ΔHm 16J/gを得た。
【0047】
次に、樹脂を225℃で溶融させ、次に制御された冷却速度段階(−10℃/分)にかけて、冷却時の結晶化特性を決定した。結晶化ピークは、ΔHcが22J/gの場合、100℃であった。これらの実験から、生成された樹脂が容易に結晶化可能であり、したがって繊維押し出し成形に適していることが分かった。
【0048】
可能性のある繊維特性に関する予備情報を得るために、実施例2で説明した共重合体樹脂を、メルトインデックス装置(225℃)に通して押し出し、非配向繊維部品を収集し、次にASTM D5035とASTM D5034に準拠したインストロン装置によって繊維が完全に伸び切るまで手動冷延伸工程にかけ、この開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。延伸繊維をDCSによって分析して、その結晶化特性を決定した。冷間延伸繊維のガラス転移温度が20℃であり、広い融解ピークが173℃にあることが分かった。融解熱ΔHmは28J/gであり、これは、約28%の結晶化度に相当する。溶融から後の制御された冷却速度実験(速度は−10℃/分)から、ΔHcが21J/gの場合、結晶化ピークが約100℃であることが分かった。これらの結果は、前述の乾燥した樹脂の結果と極めて類似しており、優れた共重合体安定性を示し、具体的には、データから、高分子がメルトインデックス装置内で処理された後も共重合体形態が不変のままであることが分かる。
【0049】
実施例4.比較例
【表1】

表1を参照するとこ、DEGジオールのみ(表1の第1行)から作製されたPEEDG/Gly 40/60共重合体(即ち、グリコリド60重量%に対してPEEDG 40重量%の比率の共重合体)は、高結晶化(40%)を示し、加水分解速度を低下させ、比較的低いTg(13℃)を有し、これにより、この材料から作製された繊維をわずかに弾性(伸縮性)にする可能性がある。この組成物は、US20080103285の実施例2で作製されたものと同じ組成物であり、この開示は、本明細書を参照することにより組み込まれる。
【0050】
表1を再び参照すると、EGジオールのみ(表1の第2行)から作製されたPEDG/Gly 40/60共重合体(即ち、PEDG 40重量%グリコリドと60重量%の比率の共重合体)は、結晶化度(0%)を全く示さない。これは、完全非晶質であり、したがっていかなる繊維生産にも役立たないこの組成物は、US20060051398の実施例2Aで作製されたものと同じ組成物であり、この開示は、本明細書の一部を構成するものとして援用される。
【0051】
更に表1を参照すると、合成の最初の縮重合段で3:1のモル比の両方のジオール、DEG/EGから作製された本発明のPEDG21/Gly 40/60共重合体(グリコリド60重量%に対してPEDG21 40重量%の比率の共重合体)は(表1の第3行。本明細書の実施例2により作製された)、予想外にも、次のような高速吸収単繊維用途に理想的な特性を示す。
・約25%の比較的低い結晶化度。良好な寸法安定性と強度を保証し、加水分解をあまり遅くしない。
・約18℃(室温に近い)のTg。この材料から作製された繊維の弾性をかなり低下させる。
・この共重合ポリエステルの比較的高いTg(18℃)は、樹脂の低い膠着性(粘着性)による繊維押し出し成形の処理に役立つ。
【0052】
US20080103285とUS20060051398に開示されたようなジグリコール酸との反応物としてDEGのみとEGのみの使用を含む当分野の出願人のこれまでの研究から、以下の考察が行われた。
a)共重合体組成物が、70%を超えるグリコリドを含む場合、材料の高Tg(高剛性)のためモノフィラメントの作製が極めて困難になる。しかしながら、マルチフィラメントは、比較的作製し易くなる。
b)組成物が、60%よりかなり少ないグリコリドを含む場合は(例えば、組成50/50)、Tgが十分に低くなり、その結果、生成された繊維は、ASTM D5035とASTM D5034に準拠したインストロン装置を使用した引張り試験によって決定された通り、PEEDG/Gly共重合体に観察された高い伸張−破壊値(50〜80%)によって実証されたように過度に弾性になり、この開示全体は、参照することにより組み込まれる。
c)プレポリマー中のDEGとEGのモル比が、2:1より小さい場合(例えば、1.5:1)は、ほとんどの組成物中に完全非晶質の高分子ができることが予想され、これは繊維生産に適切でない。
d)最後に、プレポリマー中のDEGとEGのモル比が4:1よりかなり大きい場合(例えば、5:1)、構造物中のEGの量は、少なすぎて測定できるほどの効果(結晶性低下に関する)を生成しない可能性が高く、したがって、樹脂は、PEEDG/Gly共重合体として挙動することになる。
【0053】
これにより、様々な実施形態の以下の傾向が、本発明の共重合体に期待され、したがって、適切な範囲と期待される特性の新規の共重合体を形成するために使用される。
1.グリコリド含有率が高いほど、Tgが高く共重合体の結晶化度が高くなる。
2.Tgが高いほど、繊維の弾性が小さくなる(即ち、あまり伸縮性がない)。しかしながら、Tgが室温よりかなり高いと、モノフィラメントは堅くなりすぎる。
3.結晶化度が高いと、吸収速度が遅くなる。
4.繊維用途に好ましい結晶化度の範囲は、20〜30%であり、20%未満では、繊維は寸法的に安定しないことがあり、30%を超えると、モノフィラメントは、加水分解が遅いことがある。
5.プレポリマー中のEGの含有量が高い(即ち、DEG:EGの比率が低い)と、共重合体の結晶化度が低くなり、Tgがわずかに高くなる(PEDGは、PEEDGより高いTgを有する)
【0054】
したがって、本発明の組成物は、50%以下の結晶化度と室温又はそれより少し低いガラス転移温度Tgによって特徴付けられ、モノフィラメント、マルチフィラメント、ミクロスフェア、又はメルトブロー不織構造物、又は高速加水分解速度と優れた機械的性質が望ましい他の医療用具に役立つことが期待される。したがって、本発明の組成物の以下の近似的な反応物及び/又は物理特性の範囲は、ジエチレングリコールとエチレングリコールのモル比が、約2:1〜4:1、繊維用途には好ましくは2.5:1〜3.5:1の範囲であり、共重合ポリエステルは、共重合ポリエステルの全重量を基準にして約30〜50重量%の重縮合ポリエステルを含み、本発明の共重合体は、10〜50%、不織構造体には好ましくは約20〜約40%の結晶化度、繊維実施形態では好ましくは約20〜30%の結晶化度、及びミクロスフェア実施形態には約15〜20%の結晶化度を含むものである。
【0055】
更に、本発明の組成物は、更に、抗生物質、抗菌物質(例えば、ラウリンアルギレート、ジヨードメチル−p−トリルスルホン、銀及び銀化合物、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル又はこれらの組み合わせ)、抗ウィルス物質などの抗感染薬を制限なしに含む治療薬と作用物質;鎮痛薬及び鎮痛化合物;食欲減退薬;抗蠕虫薬;抗関節炎薬;抗喘息薬;抗痙攣薬;抗うつ薬;抗利尿性薬剤;下痢止め;抗ヒスタミン薬;抗炎症薬;偏頭痛治療準備;鎮吐薬;抗新生物薬;抗パーキンソン病薬;かゆみ止め;抗精神病剤;下熱薬、鎮痙剤;抗コリン作用薬;交感神経興奮剤;キサンチン誘導体;ピンドロールや不整脈治療剤などのカルシウムチャネル遮断薬及びβ−遮断薬を含む循環器官用薬;抗高血圧剤;利尿薬;心臓、末梢及び大脳を含む血管拡張薬;中枢神経興奮薬;うっ血除去薬を含む感冒薬;コルチコステロイドを含むエストラジオールや他のステロイドなどのホルモン;催眠薬;免疫抑制薬;筋弛緩物質;副交感神経遮断薬;精神刺激薬;鎮静薬;精神安定剤;自然誘導されか遺伝子操作されたタンパク質、多糖類、糖タンパク質、又はリポ蛋白;プロトロンビン、トロンビン、フィブリノゲン、フィブリン、フィブロネクチン、ヘパリナーゼ、因子X/Xa、抗血友病因子/VIIa、クリスマス因子/IXa、第XI因子/XIa、XII因子/XIIa、組織因子、バトロキソビン、アンクロッド、エカリン、フォン・ヴィレブランド因子、コラーゲン、エラスチン、アルブミン、ゼラチン、血小板表面糖タンパク質、バソプレシン、バソプレシン・アナログ、エピネフリン、セレクチン、凝固促進性毒物、プラスミノーゲンアクチベータインヒビター、血小板活性化剤、及び止血作用を有する合成ペプチドなどの、オリゴヌクレオチド、抗体、抗原、コリン作動薬、化学療法剤、放射性薬剤、骨誘導因剤、細胞増殖抑制ヘパリン中和剤、凝固促進剤、及び止血剤を限定なしに含む、治療薬と作用物質を含んでもよい。
【0056】
本発明をその詳細な実施形態に関して示し説明してきたが、当業者は、請求された発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく実施形態の形態及び詳細の様々な変更を行うことができることを理解するであろう。
【0057】
〔実施の態様〕
(1) 重縮合ポリエステルと少なくとも1つのラクトンとの反応生成物を含む共重合ポリエステルであって、前記重縮合ポリエステルが、ジグリコール酸及び/又はその誘導体と、ジエチレングリコール及びエチレングリコールとの反応生成物を含み、前記ジエチレングリコールと前記エチレングリコールのモル比が、約2:1〜4:1の範囲であり、前記共重合ポリエステルが、前記共重合ポリエステルの全重量を基準にして約30〜50重量%の前記重縮合ポリエステルを含み、かつ約10〜50%の範囲の結晶化度を有する、共重合ポリエステル。
(2) 前記少なくとも1つのラクトンが、グリコリドである、実施態様1に記載の共重合ポリエステル組成物。
(3) 前記共重合ポリエステルが、重縮合ポリエステルと、ラクトンの総モル数を基準にして少なくとも75モルパーセントのグリコリドと、ラクチド(l,d,dl,meso)、p−ジオキサノン、炭酸トリメチレン、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、β−ブチロラクトン、ε−デカラクトン、2,5−ジケトモルホリン、ピバロラクトン、α,α−ジエチルプロピオラクトン、炭酸エチレン、エチレンオキザラート、3−メチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン、3,3−ジエチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン、γ−ブチロラクトン、1,4−ジオキセパン−2−オン、1,5−ジオキセパン−2−オン、1,4−ジオキサン−2−オン、6,8−ジオキサバイサイクルオクタン−7−オン、またこれらの組み合わせからなる群から選択されたラクトンとの反応生成物を含む、実施態様1に記載の共重合ポリエステル組成物。
(4) 前記重縮合ポリエステルが、ジグリコール酸及び/又はその誘導体と、酸の総モル数を基準にして最大約25モルパーセントの脂肪族二酸化合物と、総モル数のジオールとの反応生成物を含む、実施態様1に記載の共重合ポリエステル組成物。
(5) 前記共重合ポリエステルの重量平均分子量が、約15,000〜約200,000g/モルである、実施態様1に記載の共重合ポリエステル組成物。
(6) ジエチレングリコールとエチレングリコールのモル比が、約2.5:1〜3.5:1の範囲であり、前記共重合ポリエステルの重量平均分子量が、約50,000〜約80,000g/モルであり、前記結晶化度が、約20〜約30%の範囲である、実施態様1に記載の共重合ポリエステル組成物。
(7) 前記共重合ポリエステルの重量平均分子量が、約15,000〜約30,000g/モルであり、前記結晶化度が、約10〜約25%の範囲である、実施態様1に記載の共重合ポリエステル組成物。
(8) 前記共重合ポリエステルの重量平均分子量が、約25,000〜約70,000g/モルであり、前記結晶化度が、約10〜約50%の範囲である、実施態様1に記載の共重合ポリエステル組成物。
(9) 治療薬と作用物質を更に含む、実施態様1に記載の共重合ポリエステル組成物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重縮合ポリエステルと少なくとも1つのラクトンとの反応生成物を含む共重合ポリエステルであって、前記重縮合ポリエステルが、ジグリコール酸及び/又はその誘導体と、ジエチレングリコール及びエチレングリコールとの反応生成物を含み、前記ジエチレングリコールと前記エチレングリコールのモル比が、約2:1〜4:1の範囲であり、前記共重合ポリエステルが、前記共重合ポリエステルの全重量を基準にして約30〜50重量%の前記重縮合ポリエステルを含み、かつ約10〜50%の範囲の結晶化度を有する、共重合ポリエステル。
【請求項2】
前記少なくとも1つのラクトンが、グリコリドである、請求項1に記載の共重合ポリエステル組成物。
【請求項3】
前記共重合ポリエステルが、重縮合ポリエステルと、ラクトンの総モル数を基準にして少なくとも75モルパーセントのグリコリドと、ラクチド(l,d,dl,meso)、p−ジオキサノン、炭酸トリメチレン、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、β−ブチロラクトン、ε−デカラクトン、2,5−ジケトモルホリン、ピバロラクトン、α,α−ジエチルプロピオラクトン、炭酸エチレン、エチレンオキザラート、3−メチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン、3,3−ジエチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン、γ−ブチロラクトン、1,4−ジオキセパン−2−オン、1,5−ジオキセパン−2−オン、1,4−ジオキサン−2−オン、6,8−ジオキサバイサイクルオクタン−7−オン、またこれらの組み合わせからなる群から選択されたラクトンとの反応生成物を含む、請求項1に記載の共重合ポリエステル組成物。
【請求項4】
前記重縮合ポリエステルが、ジグリコール酸及び/又はその誘導体と、酸の総モル数を基準にして最大約25モルパーセントの脂肪族二酸化合物と、総モル数のジオールとの反応生成物を含む、請求項1に記載の共重合ポリエステル組成物。
【請求項5】
前記共重合ポリエステルの重量平均分子量が、約15,000〜約200,000g/モルである、請求項1に記載の共重合ポリエステル組成物。
【請求項6】
ジエチレングリコールとエチレングリコールのモル比が、約2.5:1〜3.5:1の範囲であり、前記共重合ポリエステルの重量平均分子量が、約50,000〜約80,000g/モルであり、前記結晶化度が、約20〜約30%の範囲である、請求項1に記載の共重合ポリエステル組成物。
【請求項7】
前記共重合ポリエステルの重量平均分子量が、約15,000〜約30,000g/モルであり、前記結晶化度が、約10〜約25%の範囲である、請求項1に記載の共重合ポリエステル組成物。
【請求項8】
前記共重合ポリエステルの重量平均分子量が、約25,000〜約70,000g/モルであり、前記結晶化度が、約10〜約50%の範囲である、請求項1に記載の共重合ポリエステル組成物。
【請求項9】
治療薬と作用物質を更に含む、請求項1に記載の共重合ポリエステル組成物。

【公表番号】特表2013−501849(P2013−501849A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524770(P2012−524770)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/044836
【国際公開番号】WO2011/019631
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(591286579)エシコン・インコーポレイテッド (170)
【氏名又は名称原語表記】ETHICON, INCORPORATED
【Fターム(参考)】