説明

半芳香族の成形組成物とその使用方法

【課題】自動車分野の容器、プロフィール、又は、液体を導くラインなどを製造するのに適しており、かつ、押出加工で問題なく加工されうるポリアミド成形組成物を提供する。
【解決手段】以下の構成のポリアミド成形組成物を提供する:
(a)40〜90質量%のコポリアミドであって、
(a1)1,6-ヘキサンジアミン、及び、1,10-デカンジアミン、並びに、
(a2)テレフタル酸、及び、少なくとも1種の他のポリアミド形成モノマーで、8〜18個の炭素原子を有するジカルボン酸、ラウロラクタム、アミノラウリン酸、及び、それらの混合物の群から選択されるポリアミド形成モノマー
から構成されるコポリアミド;
(b)10〜40質量%の高分子可塑剤(但し、これらはある程度、低分子量可塑剤で置換されてもよい);
(c)0〜20質量%の添加剤及び/又は添加物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレフタル酸コポリアミドをベースとするポリアミド成形組成物に関し、更に、その製造方法及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
公知の標準的なポリアミド(例えばPA6及びPA66である)は、特にガラスファイバーで補強されている場合か、無機フィラーを含む場合に、加工が容易で、高い融点及び高い耐熱性を有する。しかしながら、一般的にそれらは水中で保存されると、最大10%の高い吸水率を有する。これらの脂肪族ポリアミドは、湿潤状態又は湿気状態下でも適合する、寸法安定性が厳しく要求される多くの応用法に、利用できない。吸水性は、寸法の変化だけでなく、機械的な特性の変化も引き起こす。吸水性は、剛性値及び強度値を初期値よりも激減させる。言い換えると、水又は周囲湿気と接触する機械的負荷を含む応用法において、このタイプの応用で標準的なポリアミド類を用いることには、問題がある。
【0003】
アミノウンデカン酸(PA11)又はラウロラクタム(PA12)製、又は、ドデカンジアミン及びドデカン二酸(PA1212)製の長鎖脂肪族ポリアミドは、吸水率が低いが、200℃以下の望ましくない低い融点を有する。PA11、PA12及びPA1212は、たとえ乾燥状態でも、弾性度が低く強度も低い。これらは、比較的高い温度で技術的応用法に適さない。
【0004】
EP-A-1 505 099は、流体ライン用の成形組成物を開示しており、これらは、半芳香族ポリアミドを含み、特に8〜20個の炭素原子を有する脂肪族ジアミンをベースとするか、芳香族ジカルボン酸、例えば、テレフタル酸をベースとするか、また、ラクタム-12又はアミノウンデカン酸をベースとするか、又は、脂肪族二塩基酸又はイソフタル酸を含むジアミンの縮合生成物をベースとする。該成形組成物は、少なくとも1種の添加剤、ナノフィラー、可塑剤、又は(架橋された)ポリオレフィンも含む。具体的に記載される系は、PA 11/10T及びPA 1010/10T (ここで、Tはテレフタル酸である)と可塑剤(BBSA)とポリオレフィンとしての「カクテルLT(Cocktail LT)」のような系である。短い押出時間の後でさえも、その実施例で使用される成形組成物によって、スクリュー上とパイプのヘッド内に、取り除くことが困難である付着物(deposit)を生じてしまう。これらの成形組成物の吸水率も幾分高すぎる。
【0005】
更に、EP-A-1 710 482では、その内層がジアミンをベースとする半芳香族ポリアミド(C9-13をベースとする)で構成されている、多層パイプが開示されている。ポリアミド9T、9N、12T及び12N(ここで、Nは、ナフタルアミドである)が実施例で使用されている。
EP-A-1 988 113は、特に熱可塑性樹脂の成形可能な部材、例えば導水部材用のハウジングを製造するためのPA 10T/6Tをベースとしたコポリアミドを開示している。繰り返していうと、これの課題は、短い押出時間の後でさえも、その実施例で使用される成形組成物によって、スクリュー上及びパイプのヘッド内に付着物が形成されうることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、特に(限定するものではないが)、自動車分野の容器、プロフィール、又は、液体を導くライン、例えば、燃料ライン、冷却ライン、オイルライン、ウレアラインなどを製造するのに適したポリアミド成形組成物を提供することである。このタイプのラインは、定義される広範な温度範囲内においてだけでなく、一定のレベルの化学ストレスに曝された場合においても、特定の機械的要求に適合しなければならない。
【0007】
本発明の他の目的は、所定の機械的要求に適合するだけでなく、押出加工で問題なく加工されうる、当該成形組成物を提供することである。詳細には、とりわけ上述した公知技術で知られる押出材料は、原則として、パイプ又はプロフィールにする押出成形によって製造されうるが、それらは実用目的で決定的に重要となる深刻な不利益を有することが実際に分かっている。その不利益とは、工業生産の間に要求される高い製造温度において、該成形組成物が、押出機内、特にスクリュー上及び吐出ヘッド内に、一般的なパージ材及び洗浄材で除けない付着物を生じさせることである。更に、得られうるその生成物が発泡性というより寧ろ圧縮性(compact)のパイプである場合には、押出加工は、非常に狭い温度範囲でのみ実施されうる。更に、押出加工の間の何らかの中断が起こると、成形組成物を発泡性にしてしまう。ひとたび押出加工が再開される際に、従来技術の材料を使用した場合には、再び十分な品質の成形パイプの製造を可能にする前に、非常に長い期間のパージが必要となる。このことは、ここで押出加工を技術的に不十分なものとする、非常に大量の廃棄物が作られることを意味する。従って、当該成形組成物は、実質は押出加工に適していない。この点に着目して本発明を有用なものとした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
詳細には、本発明は、以下の構成のポリアミド成形組成物を提供する:
(a)40〜90質量%のコポリアミドであって、
(a1)1,6-ヘキサンジアミン、及び、1,10-デカンジアミン、並びに、
(a2)テレフタル酸、並びに、8〜18個の炭素原子を有するジカルボン酸、ラウロラクタム、アミノラウリン酸、及び、それらの混合物の群から選択される少なくとも1種の他のポリアミド形成モノマー
から構成されるコポリアミド;
(b)10〜40質量%の高分子可塑剤(但し、これらはある程度、低分子量可塑剤で置換されてもよい);
(c)0〜20質量%の添加剤及び/又は添加物。
【0009】
この特定の選択により、第一に、例えば自動車分野での液体ラインの手段で、所定の機械的要求に適合でき(ここで、例えば、全ての実施例が、破砕することなくVW TL 52435低温衝撃試験をパスする)、そして、第二に、このタイプのラインの製造プロセスは、押出プロセスにおける困難性なしに、すなわち、製造プロセスの間に上述の不利益を生ずることなく、行われうることが分かった。特に、その結果、要求される比較的低い加工温度において、従来技術で押出機内に生じ、取り除くことが難しい、特にスクリュー上及び吐出ヘッド内の付着物を回避できる。更に、押出加工を、比較的広範な温度範囲内で行うことができ、発泡性というより寧ろ圧縮性であるパイプを与える。更に、押出加工の間に中断しても、押出機内、及び、パイプヘッド(押出ダイ)内の成形組成物を発泡させることがない。ひとたび押出が再開されても、圧縮性パイプの製造を再び開始できるようになる前の従来技術の材料の使用で適用されるパージを必要とせず、それに応じて押出加工を不経済なものとする大量の廃棄物も生じない。
【0010】
提案されるポリアミド成形組成物の第一の好ましい形態に従って、このポリアミド成形組成物は、(a1)中、1,6-ヘキサンジアミンの割合が10〜40 mol%であり、1,10-デカンジアミンの割合が60〜90 mol%であり、(a2)中、テレフタル酸の割合が60〜90 mol%であり、他のポリアミド形成モノマーの割合が10〜40 mol%であり、ここで好ましくは、(a1)中、1,6-ヘキサンジアミンの割合が15〜35 mol%であり、1,10-デカンジアミンの割合が65〜85 mol%であり、(a2)中、テレフタル酸の割合が65〜85 mol%であり、他のポリアミド形成モノマーの割合が15〜35 mol%であることを特徴とする。本明細書中で、他のポリアミド成形モノマーの割合が一定のmol%範囲内であることを記載する場合には、この記載は、ラウロラクタム及びアミノラウリン酸について言えば、その対応する範囲は、ジカルボン酸(テレフタル酸を含む)、ラウロラクタム及びアミノラウリン酸の合計量(全体)に基づくことを意味する。
【0011】
更に、より具体的な態様は、(a1)中、1,6-ヘキサンジアミンの割合が15〜30 mol%か、15〜25 mol%であり、1,10-デカンジアミンの割合が70〜85 mol%か、75〜85 mol%であり、(a2)中、テレフタル酸の割合が75〜85 mol%であり、他のポリアミド形成モノマーの割合が15〜25 mol%であり、ここで他のポリアミド形成モノマーが、好ましくは、8〜18個の炭素原子を有するジカルボン酸の形態から選択されることを特徴とする。
使用されるC8〜C18のジカルボン酸は、芳香族の、脂肪族の、脂環式のタイプでありうる。好ましいジカルボン酸の例は、イソフタル酸(IPA)、ナフタレンジカルボン酸(NDA)、スベリン酸(C8)、アゼライン酸(C9)、セバシン酸(C10)、ウンデカン二酸(C11)、ドデカン二酸(C12)、ブラシル酸(C13)、テトラデカン二酸(C14)、ペンタデカン二酸(C15)、ヘキサデカン二酸(C16)、ヘプタデカン二酸(C17)、オクタデカン二酸(C18)、シス-及び/又はトランス-シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸、シス-及び/又はトランス-シクロヘキサン-1,3-ジカルボン酸(CHDA)、及び、それらの混合物の群から選択される、芳香族、脂肪族又は脂環式のジカルボン酸であり、ここで、特に好ましくは、8〜18個の炭素原子を有するジカルボン酸が、イソフタル酸、セバシン酸(C10)、ウンデカン二酸(C11)及びドデカン二酸(C12)の群から選択され、この最後のものが特に好ましい。なぜなら、それが、機械的特性と加工特性の優れた組合せを示すからである。
【0012】
コポリアミド成分に関しては、好ましくは、(a)の割合が60〜85質量%の範囲で、好ましくは64〜80質量%の範囲である。
添加物成分に関しては、好ましくは、(c)の割合が好ましくは0.5〜5.0質量%の範囲で、特に、0.8〜3.0質量%の範囲である。
可塑剤成分に関しては、好ましくは、(b)の割合が15〜35質量%、好ましくは20〜35質量%、特に好ましくは22〜33質量%の範囲である。
可塑剤の含量に関しては、特に有利であるのは、
(b)の割合が、
(b1)10〜35質量%の割合、好ましくは20〜35質量%の割合、特に好ましくは20〜33質量%の割合の高分子可塑剤、及び、
(b2)5〜20質量%の割合、好ましくは5〜15質量%の割合、特に好ましくは7〜15質量%の割合の低分子量可塑剤で本質的に構成されることであると証明されている。
【0013】
他の好ましい態様において、可塑剤の含量に関しては、有利であるのは、
(b)の割合が、10〜40質量%の割合、好ましくは15〜35質量%の割合、特に好ましくは22〜33質量%の割合の高分子可塑剤のみを含むことであると証明されている。
導入部で既に説明したように、加工温度は、好ましい加工のために決定的に重要である。本発明に従った成形組成物は、比較的低い加工温度を表し、このことは、従来技術の材料を使用する場合に、引き起こされる製造問題をとりわけ回避することができる。特に、成分に応じて、ポリアミド成形組成物の融点が、275℃以下か270℃以下であり、好ましくは最大265℃であるように、様々な(a)〜(c)の割合が選択される。特に好ましくは、この融点は、240〜270℃の範囲であり、より好ましくは、250〜265℃の範囲である。更に、ポリアミド成形組成物のこのタイプは、優れた低吸水率を有し、一般的に、95℃で336時間の吸水率が、最大3.5%、好ましくは最大3%である。
【0014】
更に、本発明に従ったポリアミド成形組成物は、優れた引張破壊歪みを有する。従って、一般的に、詳細には、引張試験片で測定されたその引張破壊歪みが少なくとも5%である。
本発明に従ったポリアミド成形組成物は、引張特性に関して、特に好ましいことも証明されており、ポリアミド成形組成物を材料とする成形物の引張弾性係数は、一般的に400〜1600 MPaの範囲であり、好ましくは、500〜1500 MPaの範囲である。
一つの極めて特異的で、特に好ましい態様は、以下の要素の組成によって特徴付けられる:ポリアミド成形組成物は、
(a)64〜80質量%のコポリアミドであって、
(a1)15〜25 mol%の1,6-ヘキサンジアミン及び75〜85 mol%の1,10-デカンジアミン、
(a2)75〜85 mol%のテレフタル酸及び15〜25 mol%のドデカン二酸
から構成されるコポリアミド;
(b)15〜35質量%のg-MAHエチレン-プロピレンコポリマーをベースとする高分子可塑剤(適切な場合、特にN-アルキルベンゼン-スルホンアミドをベースとする低分子量可塑剤で最大半分置換されてもよい);
(c)0.8〜3.0質量%の添加剤
から構成される。
【0015】
本発明に従った成形組成物は、10〜40質量%の可塑剤を含み、ここで、好ましくは、高分子可塑剤が使用される。しかしながら、高分子及び低分子量の可塑剤の混合物を使用することもできる。
可塑剤成分に適用される一般的な規則は、一つの好ましい態様に従うと、高分子可塑剤が、ポリオレフィンホモポリマー又はポリオレフィンコポリマーであり、好ましくは、エチレン-α-オレフィンコポリマー、非共役ジエンを有するエチレン-C3-12-α-オレフィンをベースとするターポリマー、エチレン-アクリラートコポリマー、エチレン-ブチレンコポリマー、及びそれらの混合物の群から選択されるコポリマーであり、ここで、高分子可塑剤が、好ましくは無水物基を有する構成を有し、特に、無水マレイン酸グラフト(g-MAH)の形態であり、ここで、高分子可塑剤は、特に好ましくは、無水マレイン酸修飾エチレン-プロピレンコポリマーから選択される。
従って、他の好ましい態様に従うと、本発明における成形組成物は、成分(b)が、ポリオレフィンホモポリマー、又は、エチレン-α-オレフィンコポリマー、特に好ましくは、EPエラストマー及び/又はEPDM-エラストマー(夫々、エチレン-プロピレンゴム及びエチレン-プロピレン-ジエンゴム)を含むことを特徴とする。従って、材料は、例えば、20〜96質量%、好ましくは25〜85質量%のエチレンを有するエチレン-C3-12-α-オレフィンコポリマーをベースとするエラストマーとすることができ、ここで、特に好ましくは、C3-12-α-オレフィンは、プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン及び1-ドデセンの群から選択されるオレフィンであり、成分Cは特に好ましくは、エチレン-プロピレンゴム及び/又はLLDPE及び/又はVLDPEである。
【0016】
別途、又は、付加的に(例えば混合物において)、(b)は、非共役ジエンを有するエチレン-C3-12-α-オレフィンをベースとするターポリマーを含むことができ、ここで、このターポリマーは、好ましくは、25〜85質量%のエチレン、及び、最大約10質量%までの非共役ジエンを含み、ここで、特に好ましくは、C3-12-α-オレフィンは、プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン及び1-ドデセンの群から選択されるオレフィンであり、ここで、非共役ジエンは、好ましくは、ビシクロ[2.2.1]ヘプタジエン、ヘキサジエン-1.4-ジシクロペンタジエン、及び、特に、5-エチリデンノルボルネンの群から選択される。
更に、成分(b)の構成要素としてエチレン-アクリラートコポリマーを使用することもできる。
成分(b)の構成要素の他の可能な形態は、エチレン-ブチレンコポリマー、及び、そのタイプの系を含む混合物(ブレンド)である。
【0017】
好ましくは、成分(b)は、無水物基を有する構成要素であり、ここで、これらはポリアミドに結合するのに十分なよい濃度で、不飽和ジカルボン酸無水物、不飽和ジカルボン酸又は不飽和モノアルキルジカルボキシラートを有する主鎖ポリマーの温度又はフリーラジカル反応によって導入され、ここで、この目的で使用される薬剤は、好ましくは、以下の群から選択されるものである:マレイン酸、マレイン酸無水物、モノブチル マレアート、フマル酸、アコニット酸、及び、イタコン酸無水物。好ましくは、0.1〜4.0質量%の不飽和無水物が成分(b)にグラフトされるか、不飽和ジカルボン酸無水物又はその前駆体は、他の不飽和モノマーと併用してグラフトすることによって適用される。グラフトの程度は、一般的に、好ましくは、0.1〜1.0%の範囲であり、特に好ましくは、0.3〜0.7%の範囲である。他に可能な成分(b)の構成要素は、混合物、例えば、エチレン-プロピレンコポリマー及びエチレン-ブチレンコポリマーを材料とし、ここで、そのマレイン酸-無水物グラフトの程度(MAHグラフトの程度)は、0.3〜0.7%の範囲である。
【0018】
成分に関して上記で引用された可能な系は、混合物でも使用されうる。
更に、成分(b)は、官能基、例えば、カルボン酸基、エステル基、エポキシ基、オキサゾリン基、カルボジイミド基、イソシアナート基、シラノール基及びカルボキシラート基を有するか、2個以上の記載された官能基の組合せを含む構成要素とすることができる。これらの官能基を有するモノマーは、コポリマー化又はグラフトによるエラストマーのポリオレフィンに結合されうる。
更に、オレフィンポリマーをベースとする高分子可塑剤は、不飽和シラン化合物、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトシラン、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン又はプロペニルトリメトキシシランでグラフトすることによって修飾されても良い。
エラストマーのポリオレフィンは、好ましくは、直鎖状、分岐状、又は、コア-シェル構造を有する、ランダム、交互、又は、セグメント化されたコポリマーであり、ポリアミドの末端基と反応することができ、それ故に、ポリアミドと高分子可塑剤との間に十分な相溶性を与えうる官能基を含む。
従って、本発明における高分子可塑剤は、一般的にオレフィンのホモポリマー又はコポリマー、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、又はオレフィンのコポリマー及びコポリマー化されうるモノマー、例えば、ビニルアセタート、(メタ)アクリル酸、及びメチルヘキサジエンを含む。
【0019】
結晶オレフィンポリマーの例は、低密度、中密度、及び高密度のポリエチレンであり、他の例は、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ-4-メチルペンテン、エチレン-プロピレンブロックコポリマー、又は、エチレン-プロピレンランダムコポリマー、エチレン-メチルヘキサジエンコポリマー、プロピレン-メチルヘキサジエンコポリマー、エチレン-プロピレン-ブテンコポリマー、エチレン-プロピレン-ヘキセンコポリマー、エチレン-プロピレン-メチルヘキサジエンコポリマー、ポリ(エチレン-ビニルアセタート)(EVA)、ポリ(エチレン-エチルアクリラート)(EEA)、エチレン-オクテンコポリマー、エチレン-ブテンコポリマー、エチレン-ヘキセンコポリマー、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー、及び上記のポリマーの組合せである。
成分(b)の構成要素の範囲内で使用されうる商業的に使用可能な高分子可塑剤の例は、以下のとおりである:
TAFMER MC201:67%EPコポリマー(20 mol%プロピレン) + 33% EB コポリマー(15 mol% 1-ブテン)のg-MAH(-0.6%)ブレンド:三井化学、日本
TAFMER MH5010:g-MAH (-0.6%) エチレン-ブチレンコポリマー;三井
TAFMER MH7010:g-MAH (-0.7%) エチレン-ブチレンコポリマー;三井
TAFMER MH7020:g-MAH (-0.7%) EP コポリマー,三井
EXXELOR VA1801:g-MAH (-0.7%) EP コポリマー;エクソンモービル化学、米国
EXXELOR VA1803:g-MAH (0.5-0.9%) EP コポリマー,アモルファス、エクソン
EXXELOR VA1810:g-MAH (-0.5%) EP コポリマー,エクソン
EXXELOR MDEX 94-1 1:g-MAH (0.7%) EPDM,エクソン
FUSABOND MN493D:g-MAH (-0.5%) エチレン-オクテンコポリマー,デュポン、米国
FUSABOND A EB560D (g-MAH) エチレン-n-ブチルアクリラートコポリマー,デュポン
ELVALOY,デュポン
【0020】
好ましくは、ポリマー-結合カルボキシル基が、全体的に互いに結合するか、金属イオンを介してある程度結合しているイオノマーを提供する。
好ましくは、マレイン酸無水物でグラフト化することによって官能性になるスチレンとブタジエンのコポリマー、無水マレイン酸でグラフトすることによって製造される非極性又は極性オレフィンホモ-及びコポリマー、及び、カルボキシル酸-官能性コポリマー、例えば、ポリ(エテン-コ-(メト)アクリル酸)又はポリ(エテン-コ-1-オレフィン-コ-(メト)アクリル酸)を提供し、その中で酸性基は、金属イオンである程度中性化される。
好ましくは、本発明における高分子可塑剤(成分(b1))は、モノマーユニットとしてアクリラートもメタクリラートも含まない。
特に好ましくは、MAH-修飾 エチレン-プロピレン コポリマーが高分子可塑剤として使用される。
本発明の目的に関して、低分子量可塑剤は、適切な場合、付加的に高分子可塑剤と使用することもできる。その際、低分子量可塑剤の濃度は、成形組成物をベースとして5〜20質量%であり、好ましくは、5〜15質量%であり、特に好ましくは、7〜15質量%である。
【0021】
一つの好ましい態様において、低分子量可塑剤は、オクチル-p-ヒドロキシベンゾアート、ベンゼンスルホンアミド、N-アルキルベンゼンスルホンアミド(ここで、アルキル部分は合計1〜20個の炭素原子を有する)、好ましくは、N-ブチルベンゼンスルホンアミド、N-オクチルベンゼンスルホンアミド、N-シクロヘキシルベンゼンスルホンアミド、トルエンスルホンアミド、N-アルキルトルエンスルホンアミド(ここで、アルキル基は合計1〜20個の炭素原子を有する)、好ましくは、N-エチルトルエンスルホンアミド及びそれらの混合物の群から選択される。記載された系は個別に、又は、混合物で使用されうる。特に好ましくは、N-アルキルベンゼンスルホンアミド及びp-トルエンスルホンアミドの混合物である。
【0022】
添加成分(成分(c))に関しては、これは、好ましくは、添加剤又は添加物(例えば、別のポリマー)が夫々、以下の群から選択されることを特徴とする:結晶化促進剤、結晶化抑制剤、フロー助剤、潤滑剤、離型剤、顔料、染料、マーカー、安定剤、加工助剤、帯電防止剤、層状組織中のナノ粒子、伝導性添加剤、例えば、カーボンブラック、黒鉛粉末又はカーボンナノフィブリル、難燃剤、特に、ハロゲンフリーの難燃剤、特定例は、ホスフィン酸の塩をベースとしたもの、重合プロセスの残留物、例えば、触媒、塩、及びこれらの誘導体、及び、レギュレーター、例えば一塩基酸、及びモノアミン。
【0023】
本発明におけるコポリアミドは、ポリアミドに一般的に使用される重縮合プラントで、バッチ法又は前縮合(precondensate)及び後縮合(postcondensation)を含む連続法で、製造されうる。好ましくは、鎖レギュレーター(chain regulator)は、粘度を調整するために重縮合プロセスで使用される。好ましい鎖レギュレーターは、モノアミン又は一塩基酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、2-エチルヘキサン酸、シクロヘキサン酸、安息香酸、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、2-エチルヘキシルアミン、n-オクチルアミン、n-ドデシルアミン、n-テトラデシルアミン、n-ヘキサデシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン、3-(シクロヘキシルアミノ)プロピルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、2-フェニルエチルアミンなどである。
【0024】
濃度は、過剰量のジアミン又は二塩基酸を使用することでも調節されうる。
180〜230℃の溶解機温度で、塩溶液が均一で、かつ、透明であるために、20〜30%の水をモノマーに添加することが通常である。減圧及び液化の間の過剰な発泡を防ぐために、消泡剤を混合物に添加することが好ましい。好ましい消泡剤は、水性シリコンエマルジョン、ポリジメチルシロキサン担持固体担体、例えば、ゼオライト、無水物、高分子量ポリシロキサン又は有機性の水溶性溶媒中のシロキサンであり、これらの量は、0.01〜0.5質量%である。
モノマー混合物に添加される重縮合触媒は、好ましくは、0.005〜1.5質量%のリン化合物、例えば、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸及び/又は、一価から三価のカチオン、例えば、Na、K、Mg、Ca、Zn又はAlを有するそれらの塩、及び/又は、それらのエステル、例えば、トリフェニルホスファート、トリフェニルホスファイト又はトリス(ノニルフェニル)ホスファイトである。好ましくは、次亜リン酸、及び、次亜リン酸水素ナトリウム一水和物を提供し、ここでリンの量は、コポリアミドをベースとして100〜500 ppmである。
ポリアミド成形組成物は、原理的には、顆粒又は粉末の形態をとるか、その他に半製品又は細長い顆粒の形態をとることができ、ここで、これらは、繊維-架橋材料とすることができ、特に、ガラス、カーボン、他のプラスチックなどでできた繊維を使用することができる。
【0025】
更に、本発明は、上述したようなポリアミド成形組成物から製造される成形体を提供する。成形体は、例えば、ハウジングのプロフィール又は構成要素とすることができ、又は、特に、自動車分野での液体又は気体(流体)を運ぶ部材でありうる。それらは、好ましくは、特に、自動車分野で液体を導かせる、例えば、好ましくは燃料、クーラント、ウレア溶液及び/又はオイルのための、液体容器又は液体ラインの形態の成形体である。成形体は特に好ましくは燃料ライン(ガソリンライン、ディーゼルライン)、冷却ライン、オイルライン、又はウレアラインである。パイプラインの場合には、これは好ましくは、少なくとも100%の引張破壊歪みを有する。これらの容器又はラインは、単層構造で構成することができ(従って、壁がポリアミド成形組成物から構成される単層のみから形成される)、又は、複数層構造で構成することができ、ここで、後者の場合には少なくとも1層が上述したポリアミド成形組成物から構成される。
言い換えると、本発明は、これらの成形体の製造のための特定のポリアミド成形組成物の使用法も提供する。
【0026】
本発明は、押出加工におけるこれらのポリアミド成形組成物の使用も提供する。詳細には、好ましくは、例えば、上述したように、成形体が押出加工で製造される、一般的にバレル温度が280〜320℃の範囲で、特に好ましくはパイプラインを与えることを特徴とする、成形体の製造方法を提供する。独立請求項は、別の態様を与える。
【発明を実施するための形態】
【0027】
好適な態様の説明
本発明は、具体的な実施例を用いて以下のようにより詳細に説明される。以下に示される実施例は、保護が要求され、請求項に記載される対象を支持するのに役立ち、加工性を証明するのに役立つ。
コポリアミドCoPA-1からCoPA-5の保護:
バッチ法:表1に記載された系CoPA-1からCoPA-3、及びCoPA-5を、バッチ法で製造し、ここで、該表に記載された反応混合物を、上流に溶解容器(溶解機)を備えた300 Lのオートクレーブで処理した。
【0028】
表1:コポリアミド、成分(a)

【0029】
調合物の成分を、レギュレーター、消泡剤及び水と一緒に溶解機にチャージし、攪拌しながら約200℃〜230℃の温度に加熱し、その際得られた圧力は2〜20バールだった。全溶解時間は5〜9時間だった。
次いで、該溶解機の中身をオートクレーブに移して、加圧しながら280〜310℃の温度範囲に加熱し、そのとき同時に、圧力が2バールから30バールに上がった。この圧力相を1〜2時間維持した。この圧力相により、重合の初期段階での揮発性のモノマー成分の望まないロスを減少した。圧力相の後に、この混合物を緩やかにかつ段階的に減圧した。大気圧に達してから、窒素を連続的に融解物に流した。圧力相及びそれに続く液化相の間、該融解物を連続して攪拌した。液化相及び重縮合相で維持される融解温度は、約290℃〜310℃だった。
融解物の処理と縮合プロセスを、オートクレーブ中で、不活性ガス雰囲気下、特に窒素を流しながら行った(ここで流すのは、不活性ガス雰囲気の一部又は全部として、例えば圧力相の間に使用されたものでもよい。)
液化相の後、コポリアミドを、溶解ポンプでらせん状に吐出させ、水浴で冷却させ、顆粒にし、次いで、24時間、100℃で、減圧乾燥させた。
【0030】
CoPA-4を、前縮合及び後縮合の連続方法で製造した。表1における調合成分を、触媒、レギュレーター及び水と一緒に20Lオートクレーブにチャージし、製造温度260℃で、50〜80分間加熱し(加熱時間)、1時間、32バールの圧力で保持し、次いで、ダイから吐出させた。前縮合物を24時間、120℃で、30ミリバールで真空乾燥させた。
得られたCoPA前縮合物を、所定のプロセスパラメーター(バレル温度:340℃、スクリュー回転速度:150 rpm、スループット: 4 kg/h)を用いて、25 mmのスクリュー直径のWerner&Pfleiderer製のツインスクリュー押出機で後縮合させた。ゾーン10で、窒素の流れを用いて、融解物を液化させた。生成物を直径3mmのダイから、らせん状に吐出させ、顆粒にした。顆粒を24時間、100℃で、30ミリバールで真空乾燥させた。
【0031】
表2:ポリアミド成形組成物
本発明の実施例1〜6(IE1〜IE6)と比較例1及び2(CE1、CE2)

n.d.:測定せず
【0032】

【0033】
パイプテストの表の説明:
付着物:--非常に激しい付着
- 激しい付着
+ 付着なし
圧縮性:--融解した発泡性押出物の激しい発泡
+ 発泡なしの成形押出物
表面: - 著しい表面欠陥、粗悪な表面品質
+ 良い、から、非常に良い表面品質、ゲル粒子がないか、ほとんどない。
Tafmer MH-7020:g-MAH (-0.7%)EPコポリマー(三井から入手可能)
Lucalen A 2920 M:LDPE(LyondellBasellインダストリーズから入手可能)
LOTADER(登録商標)AX8840:エチレンとグリシジルメタクリラート(GMA)をベースとするランダムコポリマー(Arkemaから入手可能)
LOTADER(登録商標)4700:エチレンアクリラート無水マレイン酸をベースとするターポリマー(Arkemaから入手可能)
BBSA:n-ブチルベンゼンスルホンアミド
【0034】
1. 混合
コポリアミドCoPA-1からCoPA-5を、所定のプロセスパラメーター(バレル温度、スクリュー回転速度、スループット)を利用して、直径25mmのスクリューを有するツイン-スクリュー押出機(Werner&Pfleiderer製)で混ぜ合わせた。生成物を直径3mmのダイから、らせん状に吐出させ、顆粒にした。顆粒を100℃で24時間乾燥させた。パラメーターは表3を参照のこと。
【0035】
表3:混合パラメーター

【0036】
2. 試験片のIM
本発明の実施例と比較例のコポリアミドと混合材料を、Arburg Allrounder 320-210-750射出成形機(ゾーン1〜4の定義されたシリンダー温度、及び、定義された成形温度(表4のパラメーターを参照のこと))によって、射出成形し、ISO試験片を得た。
【0037】
表4:射出成形パラメーター

【0038】
3. パイプ押出
本発明の実施例と比較例の混合材料を、Nokia Maillefer BMA 60 24Dパイプ押出機で加工し、以下に記載する条件下で、直径8 x 1 mmのパイプを得た。パラメーターは表5を参照のこと。
【0039】
表5:パイプ-押出パラメーター

【0040】
本発明における材料を使用する場合に、押出加工を、導入部で記載された問題なしに完全に行うことができた。すなわち、ダイの中の付着物に関連した問題は起こらず、プロセスの間、又は、プロセスの実施における中断に即して、発泡性は生じない。
対照的に、比較例CE1及びCE2の場合には、プロセスを比較的大きなスケールで行ったときに、ダイの中に激しい付着が確認され、プロセスが中断されたとき問題が生じた。このプロセスの実施に伴う問題により、これらの材料が実質的に実用的用途に適さないものとなる。本明細書中、比較例CE1は、導入部で記載したEP-1 505 099に対応する成形組成物に対応し、本明細書中、比較例CE2は、導入部で記載したEP-A-1 988 113に対応する成形組成物に対応する。
言い換えると、このプロセスの問題は、本発明における成形組成物を使用することによって克服されうる。
更に、表2から明らかなように、特に自動車分野のラインの分野での機械的要求に適合することができる。本発明における全ての材料は、標準 VW TL 52435に対応する低-温度耐衝撃性に関係した要求に適合する。
【0041】
測定は以下の標準に従って、以下の試験片で行なわれた。
吸水率:水中での貯蔵を95℃、336時間で行なった。引張試験片を用いた。
引張弾性係数:ISO 527(1 mm/分の引張テスト速度)
ISO引張試験片、標準:ISO/CD 3167、タイプAl、170 x 20/10 x 4 mm、温度23℃
最大引張強度及び引張破壊歪み:ISO 527(引張テスト速度:50 mm/分(非強化変形))
ISO試験片、標準:ISO/CD 3167、タイプAl、170 x 20/10 x 4 mm、温度23℃
熱挙動(融点、融解エンタルピー及びガラス遷移温度(Tg)):ISO標準11357-11-2、顆粒、示差走査熱量測定法(DSC)を加熱速度20℃/分で行った。
ガラス遷移温度(Tg)に関しては、開始温度を記載する。
相対粘度:DIN-EN-ISO 307、m-クレゾール溶液中0.5質量%の濃度、温度20℃、顆粒
シャルピー耐衝撃性:ISO 179/*eU;ISO 試験片、標準:ISO/CD 3167、タイプB1、80 x 10 x 4 mm、温度23℃;* 1 = 非計装化、2 = 計装化。
シャルピーノッチ付耐衝撃性:ISO 179/*eA;ISO 試験片、標準ISO/CD 3167、タイプB1、80 x 10 x 4 mm、温度 23℃;* 1 = 非計装化、2 = 計装化。
HDT A(1.8 MPa)及びHDT B(0.45 MPa):ISO 75;ISO 衝撃試験片、80 x 10 x 4
パイプテスト(低温耐衝撃性、引張破壊応力、引張破壊歪み):VW TL 52435;低-温度耐衝撃性テストを-40℃で500 gにて行なった。引張テストを縦方向に、23℃、50%湿度、100 mm/分で、8 x 1 mm パイプで行なった。
破裂圧力:DIN-73378;8 x 1 mm パイプ
最小曲げ半径:SAE J2260、8 x 1 mm パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構成のポリアミド成形組成物:
(a)40〜90質量%のコポリアミドであって、
(a1)1,6-ヘキサンジアミン、及び、1,10-デカンジアミン、並びに、
(a2)テレフタル酸、並びに、8〜18個の炭素原子を有するジカルボン酸、ラウロラクタム、アミノラウリン酸、及び、それらの混合物の群から選択される少なくとも1種の他のポリアミド形成モノマー
から構成されるコポリアミド;
(b)10〜40質量%の高分子可塑剤(但し、これらはある程度、低分子量可塑剤で置換されてもよい);
(c)0〜20質量%の添加剤及び/又は添加物。
【請求項2】
(a1)中、1,6-ヘキサンジアミンの割合が10〜40 mol%であり、1,10-デカンジアミンの割合が60〜90 mol%であり、
(a2)中、テレフタル酸の割合が60〜90 mol%であり、他のポリアミド形成モノマーの割合が10〜40 mol%であり、
ここで、好ましくは、
(a1)中、1,6-ヘキサンジアミンの割合が15〜35 mol%であり、1,10-デカンジアミンの割合が65〜85 mol%であり、
(a2)中、テレフタル酸の割合が65〜85 mol%であり、他のポリアミド形成モノマーの割合が15〜35 mol%である、請求項1に記載のポリアミド成形組成物。
【請求項3】
(a1)中、1,6-ヘキサンジアミンの割合が15〜30 mol%か、15〜25 mol%であり、1,10-デカンジアミンの割合が70〜85 mol%か、75〜85 mol%であり、
(a2)中、テレフタル酸の割合が75〜85 mol%であり、他のポリアミド形成モノマーの割合が15〜25 mol%であり、
ここで、好ましくは、他のポリアミド形成モノマーが、8〜18個の炭素原子を有するジカルボン酸の形態から選択される、請求項1又は2記載のポリアミド成形組成物。
【請求項4】
8〜18個の炭素原子を有するジカルボン酸が、
イソフタル酸(IPA)、ナフタレンジカルボン酸(NDA)、スベリン酸(C8)、アゼライン酸(C9)、セバシン酸(C10)、ウンデカン二酸(C11)、ドデカン二酸(C12)、ブラシル酸(C13)、テトラデカン二酸(C14)、ペンタデカン二酸(C15)、ヘキサデカン二酸(C16)、ヘプタデカン二酸(C17)、オクタデカン二酸(C18)、シス-及び/又はトランス-シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸、シス-及び/又はトランス-シクロヘキサン-1,3-ジカルボン酸(CHDA)、及び、それらの混合物の群から選択される、芳香族、脂肪族又は脂環式のジカルボン酸であり、
ここで、好ましくは、8〜18個の炭素原子を有するジカルボン酸が、
イソフタル酸、セバシン酸(C10)、ウンデカン二酸(C11)、及び、ドデカン二酸(C12)の群から選択され、
ここで、この最後のものが特に好ましい、請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。
【請求項5】
(a)の割合が60〜85質量%の範囲で、好ましくは64〜80質量%の範囲であり、
(c)の割合が好ましくは0.5〜5.0質量%の範囲で、特に、0.8〜3.0質量%の範囲である、請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。
【請求項6】
(b)の割合が15〜35質量%、好ましくは20〜35質量%、特に好ましくは22〜33質量%の範囲である、請求項1〜5のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。
【請求項7】
(b)の割合が、
(b1)10〜35質量%の割合、好ましくは15〜30質量%の割合、特に好ましくは17〜27質量%の割合の高分子可塑剤、及び、
(b2)5〜20質量%の割合、好ましくは5〜15質量%の割合、特に好ましくは7〜15質量%の割合の低分子量可塑剤で構成されるか、
又は、
(b)の割合が、10〜40質量%の割合、好ましくは15〜35質量%か20〜35質量%の割合、特に好ましくは22〜33質量%の割合の高分子可塑剤のみを含む、
請求項1〜6のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。
【請求項8】
融点が、275℃以下か270℃以下であり、好ましくは最大265℃であり、
ここで、この融点が、好ましくは240〜270℃の範囲であり、特に、250〜265℃の範囲である、請求項1〜7のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。
【請求項9】
95℃で336時間の吸水率が、最大3.5%、好ましくは最大3%であり、及び/又は、
引張試験片で測定される、引張破壊歪みが、少なくとも5%であり、及び/又は、
引張弾性係数が、400〜1600 MPaの範囲であり、好ましくは、500〜1500 MPaの範囲である、請求項1〜8のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。
【請求項10】
(a)64〜80質量%のコポリアミドであって、
(a1)15〜25 mol%の1,6-ヘキサンジアミン及び75〜85 mol%の1,10-デカンジアミン、
(a2)75〜85 mol%のテレフタル酸及び15〜25 mol%のドデカン二酸
から構成されるコポリアミド;
(b)15〜35質量%のエチレン-プロピレンコポリマーをベースとする高分子のg-MAH可塑剤(適切な場合、特にN-アルキルベンゼン-スルホンアミドをベースとする、低分子量可塑剤で最大半分置換されてもよい);
(c)0.8〜3.0質量%の添加剤
から構成される、請求項1〜9のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。
【請求項11】
高分子可塑剤が、
ポリオレフィンホモポリマー又はポリオレフィンコポリマーであり、好ましくは、エチレン-α-オレフィンコポリマー、非共役ジエンを有するエチレン-C3-12-α-オレフィンをベースとするターポリマー、エチレン-アクリラートコポリマー、エチレン-ブチレンコポリマー、及びそれらの混合物の群から選択され、
ここで、高分子可塑剤が、好ましくは無水物基を有する構成を有し、特に、無水マレイン酸グラフト(g-MAH)の形態であり、ここで、高分子可塑剤が、特に好ましくは、無水マレイン酸修飾エチレン-プロピレンコポリマーから選択される、請求項1〜10のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。
【請求項12】
低分子量可塑剤が、
オクチル p-ヒドロキシベンゾアート、ベンゼンスルホンアミド、N-アルキルベンゼンスルホンアミド(ここで、アルキル部分は合計1〜20個の炭素原子を有する)の群から選択され、好ましくは、N-ブチルベンゼンスルホンアミド、N-オクチルベンゼンスルホンアミド、N-シクロヘキシルベンゼンスルホンアミド、トルエンスルホンアミド、N-アルキルトルエンスルホンアミド(ここで、アルキル基は合計1〜20個の炭素原子を有する)、好ましくは、N-エチルトルエンスルホンアミド、及び/又は、それらの混合物であり、
好ましくは、N-アルキルベンゼンスルホンアミド及びp-トルエンスルホンアミドを使用することである、請求項1〜11のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。
【請求項13】
添加剤又は添加物が、夫々、
結晶化促進剤、結晶化抑制剤、フロー助剤、潤滑剤、離型剤、顔料、染料、マーカー、安定剤、加工助剤、帯電防止剤、層状組織中のナノ粒子、伝導性添加剤、例えばカーボンブラック、黒鉛粉末又はカーボンナノフィブリル、難燃剤、特に、ハロゲンフリーの難燃剤、特定例は、ホスフィン酸の塩をベースとしたもの、重合プロセスの残留物、例えば、触媒、塩、及びこれらの誘導体、及び、レギュレーター、例えば一塩基酸、及びモノアミンからなる群から選択される、請求項1〜12のいずれかに記載のポリアミド成形組成物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載のポリアミド成形組成物から製造された成形体であって、
好ましくは、液体容器又は液体ラインの形態で、特に、自動車分野で液体を導かせるもの(ここで、好ましい例は、燃料、クーラント、ウレア、又はそれらの溶液、及び/又はオイルである)のための形態で、
ここで、これは、好ましくはパイプラインであり、好ましくは引張破壊歪みが少なくとも100%である、成形体。
【請求項15】
請求項14に記載の成形体の製造方法であって、
成形体を、
280〜320℃の範囲のバレル温度で、好ましくはスクリュー押出機を使用する押出加工で製造し、特に好ましくはパイプラインにする、製造方法。

【公開番号】特開2011−111624(P2011−111624A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−275076(P2010−275076)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(510022808)エーエムエス−パテント アクチェンゲゼルシャフト (12)
【Fターム(参考)】