説明

半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタ

【課題】本発明は、ラビングの際、光散乱層のテーパー部表面に露出した微粒子が剥れるといった不具合を防ぐことが可能な、高品質の半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタを提供することを主目的とするものである。
【解決手段】上記目的を達成するために、本発明は、透明基板と、前記透明基板上に形成され、かつ開口部が形成された着色層とを有し、前記透明基板と、前記開口部を有する前記着色層とが積層された領域を反射光用領域として用い、前記透明基板と、前記開口部を有さない前記着色層とが積層された領域を透過光用領域として用いる半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタであって、前記反射光用領域の前記着色層上には透明樹脂中に微粒子を分散させてなる光散乱層が形成され、かつ前記光散乱層のテーパー部にはテーパー部を被覆する被覆層が形成されており、上記光散乱層上に電極が形成されていないことを特徴とする半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IPS方式等の横型電解駆動方式の半透過型液晶表示装置を製造する際に、異物混入等の製造上の不具合を少なくすることが可能な半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置として、外光の反射と、バックライト光の透過光とを利用した半透過型液晶表示装置が開発され、この半透過型液晶表示装置は、外光を利用して表示を行なう従来の反射型カラー液晶表示装置に、バックライトを兼ね備え、周囲が暗い場合でもバックライトによる表示(透過表示)が行なえる、という利点を有する。しかしながら、このような半透過型液晶表示装置に用いられるカラーフィルタにおいて、外光は入射光および反射光として着色層を2回通過することから、外光により表示が行われる反射光用領域の色特性と、バックライト光によって表示が行われる透過光用領域との色特性が異なるという問題を有する場合があった。
【0003】
このような問題を解決するため、例えば上記透過光用領域に膜厚の厚い着色層を形成し、上記反射光用領域に膜厚の薄い着色層を形成する方法等、それぞれの領域に異なる着色層を形成する方法等が採用されていた。しかしながら、この方法では、3色(赤(R)、緑(G)、青(B))の着色層を有するカラーフィルタを形成する際、例えばフォトリソグラフィー法等を6回繰り返し行わなければならず、工程が煩雑であった。
【0004】
そこで、例えば透過光用領域および反射光用領域における着色層の膜厚を均一なものとし、反射光用領域には着色層が形成されていない部分、すなわち孔部を設ける方法が提案されている(特許文献1参照)。この方法によれば、反射光用領域における孔部の面積を調整することによって反射光用領域における着色層の面積を調整することができ、反射光用領域の色特性を調整することが可能となる。
【0005】
一方、半透過型液晶表示装置用カラーフィルタは、反射光用領域のみに、例えば微粒子を分散させてなる光散乱層が設けられる場合が多い(特許文献2参照)。反射光用領域のみに光散乱層を形成することにより、反射光用領域に設けられた金属性の反射板によって、鏡面反射して光源が反射板に映りこみ、表示が見づらくなるといった問題を解消することが可能となるからである。また、他にも反射光用領域における視野角の拡大、明るさの向上、高コントラスト化を実現することが可能となるという利点もあるからである。
【0006】
しかしながら、このような微粒子を含有する光散乱層をフォトリソグラフィー法により形成した場合、通常、露光の際に照射される紫外線の回折等によって、本来露光されるべきではない領域にまで紫外線が照射されてしまう。その領域は、不十分に露光された領域であるため、形成された光散乱層のエッジ部がテーパー状に形成される。テーパー状に形成された部分は、膜厚が薄いため、表面に微粒子が露出しやすくなり、後に行われるラビングの際、その露出した微粒子が剥れて異物となるといった不具合が発生するといった問題を有していた。
また、紫外線の回折等によって露光された部分は、樹脂が完全に硬化していないため、ラビング時において、より微粒子が剥れやすくなるといった問題を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−333622公報
【特許文献2】特開2004−233399公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ラビングの際、光散乱層のテーパー部表面に露出した微粒子が剥れるといった不具合を防ぐことが可能な、高品質の半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタを提供することを主目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、透明基板と、上記透明基板上に形成され、かつ開口部が形成された着色層とを有し、上記透明基板と、上記開口部を有する上記着色層とが積層された領域を反射光用領域として用い、上記透明基板と、上記開口部を有さない上記着色層とが積層された領域を透過光用領域として用いる半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタであって、上記反射光用領域の上記着色層上には透明樹脂中に微粒子を分散させてなる光散乱層が形成され、かつ上記光散乱層のテーパー部にはテーパー部を被覆する被覆層が形成されていることを特徴とする半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタを提供する。
【0010】
本発明においては、光散乱層のテーパー部を被覆層により被覆することから、後に行われるラビングの際、光散乱層のテーパー部表面に露出した微粒子が、剥れることを防ぐことが可能となる。したがって、異物の発生等の製造上の不具合を防ぐことが可能となり、高品質な半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタとすることができる。
また、本発明によれば、反射光用領域に光散乱層を形成することにより、光散乱層の膜厚を利用してセルギャップの調整を行うことも可能となる。
【0011】
上記発明においては、上記被覆層が、上記反射光用領域および上記透過光用領域全面に渡って形成されているものであってもよい。これにより、透過光用領域の着色層の表面も保護されるため、半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置とした際、着色層表面からの溶出物を防ぐことができるからである。また、反射光用領域および透過光用領域それぞれの平坦性を担保することも可能となる。
【0012】
また上記発明においては、上記被覆層が、上記光散乱層のテーパー部を含むエッジ部と、上記エッジ部間の平坦部とにのみ形成されているものであってもよい。これにより、反射光用領域の平坦性を確保することが可能となるからである。
【0013】
さらに上記発明においては、上記被覆層が、上記光散乱層のテーパー部を含むエッジ部のみに形成されているものであってもよい。上記被覆層がエッジ部のみに形成されたものとすることにより、例えば被覆層をブラックマトリクスと併用することができ、製造工程数を少なくすることが可能となる。
【0014】
また、本発明においては、上記着色層および上記光散乱層の間に、オーバーコート層が形成されていてもよい。これにより、反射光用領域および透過光用領域の着色層の保護や平坦性の確保をすることが可能となる。
【0015】
さらに、本発明においては、上記光散乱層が、上記開口部を有する上記着色層の直上に形成されているものであってもよい。これにより、着色層の開口部が光散乱層によって充填され、より深い光散乱層を形成することが可能となるため、より高い散乱効果が発揮されるからである。
【0016】
また、本発明は、透明基板と、上記透明基板上に形成され、かつ開口部が形成された着色層とを有し、上記透明基板と、上記開口部を有する上記着色層とが積層された領域を反射光用領域として用い、上記透明基板と、上記開口部を有さない上記着色層とが積層された領域を透過光用領域として用いる半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタであって、上記反射光用領域の上記着色層上には、透明樹脂中に微粒子を分散させてなる光散乱層が形成され、かつ上記光散乱層のテーパー部の表面には露出した微粒子が存在しないことを特徴とする半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタを提供する。
【0017】
本発明によれば、上記光散乱層のテーパー部の表面に露出した微粒子が存在しないことにより、ラビングを行った際、微粒子がテーパー部表面から剥れ落ちて異物の原因となるといったおそれのない半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタとすることができる。
また、本発明によれば、反射光用領域に光散乱層を形成することにより、光散乱層にさらにセルギャップ調整機能を付与することが可能となる。
【0018】
さらに本発明は、透明基板と、上記透明基板上に形成され、かつ開口部が形成された着色層と、上記着色層上にパターン状に形成され、透明樹脂中に微粒子を分散させてなる光散乱層とを有し、上記透明基板と、上記開口部を有する上記着色層と、上記光散乱層とが積層された領域を反射光用領域として用い、上記透明基板と、上記開口部を有さない上記着色層とが積層された領域を透過光用領域として用いる半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタを製造する半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法であって、上記反射光用領域の上記着色層上にフォトリソグラフィー法により光散乱層を形成する光散乱層形成工程を有し、上記光散乱層形成工程が、上記光散乱層のテーパー部の表面に露出した微粒子を、現像を強化することにより取り除く強化現像工程を含む工程であることを特徴とする半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法を提供する。
【0019】
本発明においては、上記強化現像工程を行うことにより、上記光散乱層のテーパー部表面に露出した微粒子が存在しないものとすることができるため、ラビングの際に微粒子がテーパー部表面から剥がれ落ちることのないものとすることができる。したがって、剥れ落ちた微粒子を原因とした異物混入等の不具合が起こることなく、高品質な半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタを製造することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ラビングの際、光散乱層のテーパー部に存在する露出した微粒子が剥れるといった不具合を防ぐことが可能な、高品質の半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタとすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタの一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタの他の例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタの他の例を示す概略断面図である。
【図4】本発明の半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタの他の例を示す概略断面図である。
【図5】本発明における実施例で形成した半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタを説明するための平面図である。
【図6】本発明における実施例で形成した半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタを説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタ(以下、単にカラーフィルタと称する場合がある。)、およびその製造方法に関するものである。以下、これらについて説明する。
【0023】
A.半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタ
まず、本発明の半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタについて説明する。本発明の半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタには、その構成の違いにより、2つの実施態様がある。
以下、本発明の半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタの各実施態様についてそれぞれ説明する。
【0024】
1.第1実施態様
本発明の半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタの第1実施態様は、透明基板と、上記透明基板上に形成され、かつ開口部が形成された着色層とを有し、上記透明基板と、上記開口部を有する上記着色層とが積層された領域を反射光用領域として用い、上記透明基板と、上記開口部を有さない上記着色層とが積層された領域を透過光用領域として用いる半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタであって、上記反射光用領域の上記着色層上には透明樹脂中に微粒子を分散させてなる光散乱層が形成され、かつ上記光散乱層のテーパー部にはテーパー部を被覆する被覆層が形成されていることを特徴とするものである。
【0025】
図1は、本実施態様の半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタの一例を示す概略断面図である。本実施態様の半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタは、例えば図1に示すように、反射光用領域rおよび透過光用領域tの2つの領域に分けられており、まず反射光用領域rには、透明基板1と、開口部aを有する着色層2と、透明樹脂中に微粒子Xが分散させてなる光散乱層3とが積層され、また透過光用領域tには、透明基板1と、開口部aを有さない着色層2とが積層されており、反射光用領域rおよび透過光用領域t全面に渡って、光散乱層3のテーパー部bを被覆する被覆層4が形成されている。なお、通常透明基板1上には、ブラックマトリクス5が形成されている。
【0026】
一般に、半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタの反射光用領域に光散乱層を形成する場合、フォトリソグラフィー法が用いられることが多いが、露光の際の紫外線の回折等の影響により、エッジ部がテーパー状に形成される。このテーパー状の部分は、膜厚が薄く、光散乱層中に分散させている微粒子が表面に露出しやすいため、ラビングの際、この微粒子が剥れ落ちやすくなるといった問題があった。また、このテーパー状の部分は、本来露光されるべき箇所ではないことから、露光が不十分な箇所であり、そのために、ラビングの際、露出した微粒子がより剥れやすくなるという問題があった。
【0027】
一方、本実施態様においては、光散乱層のテーパー部を被覆層により被覆して保護することから、ラビングの際、光散乱層のテーパー部表面に露出した微粒子が剥れることを防ぐことが可能となる。したがって、異物の発生等の製造工程上の不具合を防ぐことが可能となり、高品質な半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタとすることができる。
【0028】
また、本実施態様においては、反射光用領域のみに光散乱層を形成することにより、光散乱層の膜厚を利用してセルギャップ調整も同時に行うことが可能となる。したがって、反射光用領域に、別途セルギャップ調整層等を形成する必要がなく、製造工程を簡略化することが可能となる。
【0029】
本実施態様のカラーフィルタは、被覆層の形成領域の違いによって、3つの態様に分けられる。以下、それぞれの態様について説明する。
【0030】
(1)第1の態様
本実施態様のカラーフィルタにおける第1の態様は、被覆層が、反射光用領域および透過光用領域全面に渡って形成されているものである。これにより、光散乱層のテーパー部と共に、透過光用領域の着色層の表面も保護されるため、半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置とした際、着色層表面からの溶出物を防止することができる。また、反射光用領域および透過光用領域それぞれの平坦性を担保することも可能となる。なお、このような本態様のカラーフィルタとしては、例えば図1に示すようなカラーフィルタを挙げることができる。
【0031】
ここで、本態様においては、光散乱層が着色層の直上に形成されていてもよく、また光散乱層と着色層との間にオーバーコート層が形成されていてもよいが、特に光散乱層が着色層の直上に形成されていることが好ましい。これにより、着色層が有する開口部内が光散乱層によって充填され、光散乱層の膜厚を厚いものとすることができるため、光散乱層内に含有される微粒子の含有量が多くなり、より高い光散乱効果を得ることができるからである。
【0032】
また、本態様は、被覆層が反射光用領域および透過光用領域全面に渡って形成されており、上述したように、透過光用領域の着色層を保護することが可能であるため、特に光散乱層と着色層との間にオーバーコート層を設ける必要のないものとすることができる。すなわち、上記被覆層はオーバーコート層としての機能も有することとなる。
以下、本態様の好ましい構成である、光散乱層が着色層の直上に形成された構成を有するカラーフィルタについて、各部材に分けて詳しく説明する。
【0033】
a.被覆層
本態様に用いられる被覆層は、後述する光散乱層のテーパー部を被覆するものであり、反射光用領域および透過光用領域全面に渡って形成されるものである。
【0034】
本態様に用いられる被覆層の膜厚としては、光散乱層のテーパー部表面の微粒子を被覆することが可能であれば特に限定されるものではなく、反射光用領域および透過光用領域のセルギャップ等を考慮して適宜決定される。したがって、反射光用領域の被覆層の膜厚と、透過光用領域の被覆層の膜厚とは、異なるものであってもよく、また同等であってもよい。
【0035】
例えば、反射光用領域における被覆層の膜厚としては、0.2μm〜2.0μmの範囲内であることが好ましく、中でも0.4μm〜1.5μmの範囲内、特に0.5μm〜1.0μmの範囲内であることが好ましい。また、例えば透過光用領域における被覆層の膜厚としては、0.5μm〜3.0μmの範囲内であることが好ましく、中でも0.5μm〜2.0μmの範囲内、特に0.8μm〜1.5μmの範囲内であることが好ましい。
【0036】
また、本態様に用いられる被覆層を形成する材料としては、透明性を有する被覆層を形成することが可能な材料であれば特に限定されるものではなく、例えばフォトリソグラフィー法により被覆層を形成する場合、透明性を有する感光性樹脂等を用いることができる。なお、この際、通常感光性樹脂と共に光重合開始剤および各種添加剤等が用いられる。
【0037】
上記感光性樹脂は、光重合反応により重合可能なモノマー成分やポリマー成分のことを示す。このようなモノマー成分、ポリマー成分としては、従来より、カラーフィルタにおける着色層の形成に用いられているものと同様とすることができる。
【0038】
例えば、ポリマー成分としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレンビニル共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、エチレンメタクリル酸樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミック酸樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂等、および、重合可能なモノマーであるメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニル−2−ピロリドン、グリシジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートの1種以上と、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸の2量体(例えば、東亜合成化学(株)製M−5600)、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、これらの酸無水物等の1種以上とからなるポリマーまたはコポリマー等が挙げられる。また、上記のコポリマーにグリシジル基または水酸基を有するエチレン性不飽和化合物を付加させたポリマー等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
上記のポリマー成分のなかで、合わせて使用するモノマー成分との相溶性等の観点から、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸エチル樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂とポリメタクリル酸エチル樹脂の共重合体、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、エチルヒドロキシエチルセルロース、セルローストリアセテート等を好ましく使用することができる。特に好ましくは、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸エチル樹脂、ポリスチレン樹脂、メタクリル酸とスチレン、グリシジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートの2種類以上からなる共重合体、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、および、これらの変性物を使用することができる。
【0040】
また、モノマー成分として、具体的には、アリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、イソデキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオール(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリ(メタ)アクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジアリルフマレート、1,10−デカンジオールジメチル(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドン、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、フェノール−エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、フェノール−プロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、ビスフェノールA−エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサド変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリウレタン構造を有するオリゴマーに(メタ)アクリレート基を結合させたウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル構造を有するオリゴマーに(メタ)アクリレート基を結合させたポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ基を有するオリゴマーに(メタ)アクリレート基を結合させたエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、(メタ)アクリレート基を有するポリウレタン(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート基を有するポリエステル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられる。
【0041】
なお、本態様において(メタ)アクリレートとはアクリレート基又はメタクリレート基のいずれかであることを意味する。
【0042】
上記重合開始剤としては、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、ミヒラーケトン系、ベンジル系、ベンゾイン系、ベンゾインエーテル系、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインベンゾエート系、α−アシロキシムエステル等のカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類等のイオウ化合物、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィノキシド等のリン化合物等が挙げられる。
【0043】
上記各種添加剤としては、例えば増感剤、帯電防止剤、保存安定剤、消泡剤、重合禁止剤、可塑剤、レベリング剤、密着助剤、各種調整剤、界面活性剤等が挙げられ、これらを必要に応じて使用することができる。なお、これらの各種添加剤は、一般的なカラーフィルタにおける着色層を形成する際に使用されるものと同様とすることができる。
【0044】
本態様に用いられる被覆層の形成方法としては、例えばフォトリソグラフィー法により形成する場合、上記感光性樹脂を含有した被覆層形成用塗工液を塗布し、露光、現像および焼成を行う方法等を挙げることができる。
【0045】
b.光散乱層
本態様に用いられる光散乱層は、透明樹脂中に微粒子を分散させてなるものであり、後述する反射光用領域における開口部を有する着色層上に形成されるものである。また、上記光散乱層のテーパー部は、上述した被覆層により被覆されている。ここで、本態様における光散乱層のテーパー部とは、光散乱層の中心部の平均膜厚を1とした際、膜厚が0.8以下となる部分のこととする。光散乱層の膜厚が上記値以下である部分は、表面に微粒子が露出しやすく、また、露光不足で硬化が不十分と考えられるため、微粒子が剥れやすい部分であると推測されるからである。
【0046】
本態様の光散乱層に用いられる微粒子としては、後述する透明樹脂とは屈折率が異なり、透明性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の無機物、アクリル系樹脂、ジビニルベンゼン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、スチレン系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル系樹脂等の有機物、あるいは、これらの2種以上の混合系等の微粒子を挙げることができる。
【0047】
本態様においては、上述した中でも、メラミン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル系樹脂、およびその混合系樹脂や共重合体が好ましい。全光線透過率や拡散光線透過率を向上させることが可能な透明性を有しているからである。
【0048】
また、本態様の光散乱層に用いられる微粒子の平均粒径としては、0.4μm〜2μmの範囲内であることが好ましく、中でも0.8μm〜1.5μmの範囲内、特に1.0μμm〜1.4μmの範囲内であることが好ましい。平均粒径が上記範囲内であることにより、高いヘイズ値を達成することができ、優れた光散乱特性が得られるからである。なお、微粒子の平均粒径が大きすぎると、光散乱層の膜厚の範囲に収まりきらない場合があり、また微粒子の平均粒径が小さすぎると、良好な散乱効果が得にくくなるからである。
【0049】
ここで、平均粒径とは、一般に粒子の粒度を示すために用いられるものであり、本態様においては、レーザー法により測定した値である。レーザー法とは、粒子を溶媒中に分散し、その分散溶媒にレーザー光線を当てて得られた散乱光を細くし、演算することにより、平均粒径、粒度分布等を測定する方法である。なお、上記平均粒径は、レーザー法による粒径測定機として、リーズ&ノースラップ(Leeds & Northrup)社製 粒度分析計 マイクロトラックUPA Model−9230を使用して測定した値である。
【0050】
さらに、上記光散乱層に用いられる微粒子の形状としては、特に限定されるものではないが、球状であることが好ましい。
【0051】
上記光散乱層に用いられる透明樹脂としては、上記微粒子との屈折率差、光散乱層の透明性、透明基板や着色層との密着性等を考慮して適宜選択される。このような透明樹脂としては、例えば、上述した被覆層に用いられる感光性樹脂等を挙げることができる。
【0052】
本態様においては、上記微粒子と上記透明樹脂との屈折率が異なるものであるが、その屈折率の差としては、0.05〜0.40の範囲内程度とすることが好ましく、中でも0.10〜0.40の範囲内程度、特に0.20〜0.30の範囲内程度とすることが好ましい。なお、屈折率の差は、使用する微粒子および透明樹脂それぞれの文献値から算出して求めることができる。
【0053】
また、上記光散乱層中の微粒子の含有量は、光を散乱させることが可能な量であれば特に限定されるものではなく、具体的には5質量%〜30質量%の範囲内であることが好ましく、中でも10質量%〜25質量%の範囲内、特に15質量%〜20質量%の範囲内であることが好ましい。微粒子の含有量が少なすぎると、光散乱効果が得られ難い場合があるからである。また、微粒子の含有量が多すぎると、光散乱層の強度を保つことが困難となるおそれがあるからである。
【0054】
さらに、本態様に用いられる光散乱層の膜厚としては、光散乱効果を得ることが可能なものであれば特に限定されるものではないが、開口部が形成されていない領域の着色層上に形成された光散乱層の膜厚として、具体的には0.5μm〜4.0μmの範囲内、中でも1.0μm〜2.5μmの範囲内であることが好ましく、着色層の開口部に形成された光散乱層の膜厚として具体的には、1.5μm〜6.0μmの範囲内、中でも3.5μm〜4.5μmの範囲内であることが好ましい。
【0055】
本態様に用いられる光散乱層は、例えば上記微粒子および上記透明樹脂を含有する光散乱層形成用塗工液を用いてフォトリソグラフィー法により形成することができる。具体的には、上記光散乱層形成用塗工液を塗布し、フォトマスクを介してパターン露光を行い、その後、現像および焼成を行って形成される。
【0056】
c.着色層
本態様に用いられる着色層は、後述する透明基板上に形成され、反射光用領域においては開口部を有し、透過光用領域においては開口部を有さないものである。
【0057】
上記開口部の形成面積の比率としては、反射光用領域の着色層が所望の色特性を示すように適宜決定されるものであり、具体的には反射光用領域の着色層全体に対して10%〜90%の範囲内程度であり、好ましくは35%〜65%の範囲内とされる。
【0058】
また、上記開口部の形状としては、一般的な着色層に形成される開口部の形状が用いられ、例えばストライプ状やドット状等が挙げられる。
【0059】
また、本態様に用いられる着色層は、通常、赤(R)、緑(G)、および青(B)の3色で形成される。また、上記着色層における着色パターン形状は、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の公知の配列とすることができ、着色面積は任意に設定することができる。
【0060】
また、本態様に用いられる着色層の膜厚としては、着色層の種類等により、適宜選択されるものであるが、通常1.0μm〜2.5μmの範囲内、中でも1.5μm〜2.0μmの範囲内であることが好ましい。なお、ここでいう着色層の膜厚とは、開口部の形成されていない平坦な領域の着色層の膜厚のこととする。
【0061】
また、上記着色層は、一般的な顔料分散法を用いてフォトリソグラフィー法により形成することができる。具体的には、有機顔料や無機顔料を分散させた顔料分散レジストを透明基板上に塗布し、フォトマスクを介してパターン露光を行い、現像および焼成を行うことにより、開口部の形成されたパターン状の着色層が形成される。
【0062】
d.透明基板
本態様に用いられる透明基板は、上記着色層を形成可能であり、可視光に対して透明な基板であれば特に限定されるものではなく、一般的な半透過型液晶表示装置用カラーフィルタに用いられる透明基板と同様のものとすることができる。
【0063】
上記透明基板として具体的には、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジッド材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材等が挙げられる。
【0064】
e.ブラックマトリクス
本態様においては、通常透明基板上の各着色パターン間にブラックマトリクスが形成されている。このようなブラックマトリクスは、遮光性樹脂や、クロム等の金属により形成することができる。
【0065】
f.その他
本態様においては、上記被覆層上に配向膜が形成されていてもよい。なお、配向膜の材料に関しては、一般的なものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0066】
(2)第2の態様
本実施態様のカラーフィルタにおける第2の態様は、上記被覆層が、上記光散乱層のテーパー部を含むエッジ部と、上記エッジ部間の平坦部とにのみ形成されているものである。これにより、光散乱層のテーパー部の保護と共に、反射光用領域の平坦性を確保することが可能となる。このような本態様のカラーフィルタは、例えば図2に示すように、被覆層4が光散乱層3のテーパー部bを含むエッジ部cと、エッジ部c間の平坦部dとにのみ形成されているものである。
【0067】
本態様においては、着色層の直上に光散乱層が形成されていてもよく、また例えば図2に示すように、着色層2および光散乱層3の間にオーバーコート層6が形成されていてもよい。着色層の直上に光散乱層が形成されている場合、着色層の開口部内にも光散乱層が形成され、その部分の光散乱層の膜厚を厚いものとすることができるため、光散乱層内に含有される微粒子の含有量が多くなり、より高い光散乱機能を付与することができる。しかしながら、この場合、透過光用領域の着色層が露出してしまうため、着色層からの溶出物が液晶中に移行するおそれがある。したがって、本態様においては、特に、上記着色層および上記光散乱層の間にオーバーコート層が形成されていることが好ましい。オーバーコート層が形成されていることにより、透過光用領域において着色層表面からの溶出物による液晶の汚染防止や、さらに、透過光用領域および反射光用領域の着色層の平坦化が可能となるからである。
以下、本態様の好ましい構成である、着色層および光散乱層の間にオーバーコート層が形成されたカラーフィルタについて、各部材に分けて詳しく説明する。なお、本態様に用いられる光散乱層、着色層、透明基板およびブラックマトリクスに関しては、上述した第1の態様のものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0068】
a.被覆層
本態様に用いられる被覆層は、光散乱層のテーパー部を被覆するものであり、光散乱層のテーパー部を含むエッジ部と、上記エッジ部間の平坦部とにのみ形成されているものである。ここで、光散乱層のエッジ部とは、少なくともテーパー部を含んだ、端部領域のこととする。
【0069】
本態様に用いられる被覆層の膜厚は、反射光用領域および透過光用領域のセルギャップを考慮して適宜決定されるものであるが、例えば、光散乱層の平坦部上の被覆層の膜厚としては、0.3μm〜2.0μmの範囲内程度、中でも0.5μm〜1.0μmの範囲内程度であることが好ましい。
【0070】
なお、本態様に用いられる被覆層の形成材料、および形成方法については、上述した第1の態様に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0071】
b.オーバーコート層
本態様に用いられるオーバーコート層は、着色層および光散乱層の間に形成されるものであり、透明性を有するものである。
【0072】
上記オーバーコート層に用いられる材料としては、一般的にオーバーコート層の材料として用いられるものであれば特に限定されるものではなく、例えばアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、プロピニル系樹脂等が挙げられる。
【0073】
また、上記オーバーコート層の膜厚は、透過光用領域の着色層の平坦性確保および着色層の保護が可能であれば特に限定されるものではなく、一般的な横型電界駆動方式の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタに設けられるオーバーコート層と同様とすることができる。
【0074】
c.その他
本態様においては、上記被覆層上に配向膜が形成されていてもよい。なお、上記配向膜の材料に関しては、一般的なものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0075】
(3)第3の態様
本実施態様のカラーフィルタにおける第3の態様は、被覆層が、光散乱層のテーパー部を含むエッジ部のみに形成されているものである。上記被覆層がエッジ部のみに形成されたものとすることにより、光散乱層のテーパー部を被覆すると同時に、例えば被覆層をブラックマトリクスと併用することができるため、別途ブラックマトリクスを形成する必要がなくなり、製造工程数を少なくすることが可能となる。このような本態様のカラーフィルタは、例えば図3に示すように、被覆層4が光散乱層3のテーパー部bを含むエッジ部cのみに形成されているものである。
【0076】
本態様においては、着色層の直上に光散乱層が形成されていてもよく、また例えば図3に示すように、着色層2および光散乱層3の間にオーバーコート層6が形成されていてもよい。光散乱層が着色層の直上に形成されている場合、着色層の開口部内に光散乱層が充填され、その部分の光散乱層の膜厚を厚くすることができるため、より多くの微粒子を含有させることができ、より高い光散乱を得ることが可能となる。しかしながら、この場合、透過光用領域において、着色層の表面が露出してしまうため、着色層中からの溶出物によって液晶を汚染してしまうおそれがある。したがって、本態様においては、特に、上記着色層および上記光散乱層の間にオーバーコート層が形成されていることが好ましい。オーバーコート層が形成されていることにより、透過光用領域の着色層表面を保護することができるため、液晶が汚染されることを防いだり、さらに、透過光用領域および反射光用領域の着色層の平坦性を確保することが可能となるからである。
以下、本態様の好ましい構成である、着色層および光散乱層の間にオーバーコート層が形成されたカラーフィルタについて、各部材に分けて詳しく説明する。なお、本態様に用いられる光散乱層、着色層、および透明基板に関しては、上述した第1の態様のものと同様であるので、ここでの説明は省略する。また、オーバーコート層に関しては、上述した第2に態様のものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0077】
a.被覆層
本態様に用いられる被覆層は、光散乱層のテーパー部を被覆するものであり、光散乱層のテーパー部を含むエッジ部のみに形成されているものである。ここで、光散乱層のエッジ部とは、少なくともテーパー部を含んだ、端部領域のこととする。
【0078】
本態様に用いられる被覆層は、透明性を有する樹脂で形成されていてもよく、また遮光性を有する樹脂で形成されていてもよいが、本態様においては、特に遮光性を有する樹脂で形成されていることが好ましい。これにより、被覆層をブラックマトリクスと兼用することができ、製造工程数を減じることが可能となるからである。
【0079】
また、反射光用領域と透過光用領域との境界に形成される被覆層のみが透明性を有するものとし、着色パターン間に形成される被覆層は遮光性を有するものとしてもよい。
【0080】
このような遮光性を有する樹脂は、通常、透明樹脂に遮光性材料を添加したものが用いられる。上記遮光性材料としては、例えばカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子等が挙げられる。上記透明樹脂としては、上述した第1の態様の透明樹脂の材料と同様とすることができる。また、遮光性を有する樹脂として、ブラックマトリクスの形成に使用する材料をそのまま用いてもよい。
【0081】
また、本態様に用いられる被覆層の膜厚としては、光散乱層のテーパー部表面に露出した微粒子を被覆することが可能なものであれば特に限定されるものではなく、例えばオーバーコート層表面から被覆層表面までの最大膜厚が、1.5μm〜5.0μmの範囲内であることが好ましく、中でも2.0μm〜4.0μmの範囲内、特に2.5μm〜3.5μmの範囲内であることが好ましい。
【0082】
b.その他
本態様においては、上記被覆層上に配向膜が形成されていてもよい。なお、上記配向膜の材料に関しては、一般的なものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0083】
2.第2実施態様
本発明の半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタの第2実施態様は、透明基板と、上記透明基板上に形成され、かつ開口部が形成された着色層とを有し、上記透明基板と、上記開口部を有する上記着色層とが積層された領域を反射光用領域として用い、上記透明基板と、上記開口部を有さない上記着色層とが積層された領域を透過光用領域として用いる半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタであって、上記反射光用領域の上記着色層上には、透明樹脂中に微粒子を分散させてなる光散乱層が形成され、かつ上記光散乱層のテーパー部の表面には露出した微粒子が存在しないことを特徴とするものである。
【0084】
図4は、本実施態様の半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタの一例を示す概略断面図である。本実施態様の半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタは、例えば図4に示すように、反射光用領域rおよび透過光用領域tの2つの領域に分けられており、まず反射光用領域rには、透明基板1と、開口部aが形成された着色層2と、オーバーコート層6と、透明樹脂中に微粒子Xが分散されてなる光散乱層3とが積層され、また透過光用領域tには、透明基板1と、開口部aを有さない着色層2と、オーバーコート層6とが積層されており、上記光散乱層3のテーパー部bの表面には露出した微粒子Xが存在していないものである。なお、通常透明基板1上には、ブラックマトリクス5が形成されている。
【0085】
本実施態様によれば、上記光散乱層のテーパー部の表面に露出した微粒子が存在しないことにより、液晶表示装置を製造する際、ラビング時に微粒子がテーパー部表面から剥れ落ちて異物の原因となるといったおそれのない半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタとすることができる。
【0086】
また、本実施態様によれば、反射光用領域にのみ光散乱層を形成することにより、光散乱層にセルギャップ調整機能を持たせることが可能となるため、別途セルギャップ調整層を形成する必要のないものとすることができる。
【0087】
ここで、上記光散乱層のテーパー部の表面に露出した微粒子が存在しないとは、微粒子の直径の50%以上が露出した微粒子が存在しないことをいう。
【0088】
本実施態様において、上記光散乱層のテーパー部の表面に露出した微粒子が存在しないものとする手段としては、例えば光散乱層をフォトリソグラフィー法で形成する際、現像時おいて、現像液の濃度を高くする、現像時間を長くする、現像液の温度を上げる、または現像圧を高くする等の現像を強化する手段等を用いることができる。なお、これらの手段の詳細については、後述する「B.半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法」の強化現像工程の項に記載するので、ここでの説明は省略する。
【0089】
また、本実施態様においては、着色層の直上に光散乱層が形成されていてもよく、また例えば図4に示すように、着色層2および光散乱層3の間にオーバーコート層6が形成されていてもよい。着色層の直上に光散乱層が形成されている場合、着色層の開口部内にも光散乱層が形成され、その部分の光散乱層の膜厚を厚いものとすることができるため、光散乱層内に含有される微粒子の含有量が多くなり、より高い光散乱機能を付与することができる。また、上記着色層および上記光散乱層の間にオーバーコート層が形成されている場合、透過光用領域において着色層表面からの溶出物による液晶の汚染防止や、さらに、透過光用領域および反射光用領域の着色層の平坦化が可能となる。
【0090】
なお、本実施態様に用いられる光散乱層、オーバーコート層、着色層、透明基板およびブラックマトリクスについては、上述した第1実施態様の第1の態様に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0091】
また、本実施態様においては、上記光散乱層上に配向膜が形成されていてもよい。上記配向膜の材料に関しては、一般的なものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0092】
B.半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法
次に、本発明の半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法について説明する。本発明の半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法は、透明基板と、上記透明基板上に形成され、かつ開口部が形成された着色層と、上記着色層上にパターン状に形成され、透明樹脂中に微粒子を分散させてなる光散乱層とを有し、上記透明基板と、上記開口部を有する上記着色層と、上記光散乱層とが積層された領域を反射光用領域として用い、上記透明基板と、上記開口部を有さない上記着色層とが積層された領域を透過光用領域として用いる半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタを製造する半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法であって、上記反射光用領域の上記着色層上にフォトリソグラフィー法により光散乱層を形成する光散乱層形成工程を有し、上記光散乱層形成工程が、上記光散乱層のテーパー部の表面に露出した微粒子を、現像を強化することにより取り除く強化現像工程を含む工程であることを特徴とするものである。
【0093】
本発明においては、一般的なフォトリソグラフィー法に用いられる現像条件よりも強化した現像条件を用いて行われる強化現像工程を行うことにより、上記光散乱層のテーパー部の表面に露出した微粒子を取り除くことができるため、液晶表示装置を製造する際に行われるラビング時に微粒子がテーパー部表面から剥がれ落ちるといったおそれのないものとすることができる。したがって、製造時において、剥れ落ちた微粒子による異物の発生等の不具合が発生することなく、高品質な半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタを製造することが可能となるのである。
【0094】
また、本発明により製造されるカラーフィルタは、着色層の直上に光散乱層が形成されていてもよく、また例えば図4に示すように、着色層2および光散乱層3の間にオーバーコート層6が形成されていてもよい。着色層の直上に光散乱層が形成されている場合、着色層の開口部内に形成される光散乱層の膜厚が厚くなるため、光散乱層内全体の微粒子の含有量が多くなり、より高い光散乱機能を発揮させることができる。また、上記着色層および上記光散乱層の間にオーバーコート層が形成されている場合、透過光用領域においては、着色層表面が露出することがないため、着色層による液晶汚染の防止や、さらには、透過光用領域および反射光用領域の着色層の平坦化が可能となる。
【0095】
なお、本発明のカラーフィルタの製造方法を用いることにより、上述した「A.半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタ」の第2実施態様のカラーフィルタを形成することが可能である。
以下、本発明のカラーフィルタの製造方法について、詳しく説明する。
【0096】
1.光散乱層形成工程
本発明に用いられる光散乱層形成工程は、上記反射光用領域の上記オーバーコート層上にフォトリソグラフィー法により光散乱層を形成する工程であり、上記光散乱層のテーパー部の表面に露出した微粒子を、現像を強化することにより取り除く強化現像工程を含む工程である。
【0097】
このような光散乱層形成工程としては、フォトリソグラフィー法が用いられ、かつ上記強化現像工程を含むものであれば特に限定されるものではなく、必要に応じて他の工程を適宜有するものとすることができる。例えば上記強化現像工程の前に、光散乱層形成用塗工液をオーバーコート層上に塗布し、光散乱層形成用塗工液の塗膜を形成する塗膜形成工程と、光散乱層形成用塗工液の塗膜をフォトマスクを介して露光する露光工程とを有し、上記強化現像工程の後に光散乱層を焼成する焼成工程を有するものとすることができる。
以下、本発明に用いられる各工程について詳しく説明する。
【0098】
(1)塗膜形成工程
本発明に用いられる塗膜形成工程は、例えば、感光性樹脂および微粒子を含有する光散乱層形成用塗工液を、スピンコート法やダイコート法等、一般的な塗布方法でオーバーコート層上に塗布する方法等を用いる工程とすることができる。また、必要に応じて、塗布した光散乱層形成用塗工液をプリベーク等してもよい。
【0099】
なお、本工程に用いられる感光性樹脂および微粒子については、上述した「A.半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタ」の第1実施態様の第1の態様に記載したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0100】
(2)露光工程
本発明に用いられる露光工程は、例えば、フォトマスクを介して紫外線等の光エネルギーを照射する方法等を用いて、パターン状に露光する工程とすることができる。本工程により照射される光エネルギーや、光エネルギーの照射方法等については、上記光散乱層形成用塗工液中に含有される感光性樹脂の種類等に応じて決定され、一般的なカラーフィルタの光散乱層を形成する際と同様とすることができる。
【0101】
(3)強化現像工程
本発明に用いられる強化現像工程は、上記露光工程後に、強化した現像条件を用いて現像を行うことにより、露光パターンに応じた除去部分の除去と共に、光散乱層のテーパー部の表面に露出した微粒子を取り除く工程である。
【0102】
本工程において、現像を強化する方法としては、上記光散乱層のテーパー部の表面に露出した微粒子を取り除くことが可能な方法であれば特に限定されるものではなく、例えば現像液の濃度を高くする、現像時間を長くする、現像液の温度を上げる、および現像圧を高くする方法等を挙げることができる。なお、これらの方法は、組み合わせて使用することもできる。
【0103】
現像液の濃度を高くする場合、具体的な現像液の濃度としては、現像液の種類に応じて適宜選択されるものであるが、例えばKOH水溶液を用いた場合、0.05質量%〜0.50質量%の範囲内が好ましく、中でも0.10質量%〜0.40質量%の範囲内、特に0.10質量%〜0.20質量%の範囲内が好ましい。現像液の濃度が低すぎると、光散乱層のテーパー部の表面から微粒子を取り除くことが困難となる場合があるからである。また、現像液の濃度が高すぎると、光散乱層のテーパー部表面の微粒子だけでなく、テーパー部表面の透明樹脂や平坦部の微粒子等が除去されるおそれがあるからである。
【0104】
また、現像時間を長くする場合、具体的な現像時間としては、現像液の種類に応じて適宜選択されるものであるが、例えば30秒〜150秒の範囲内が好ましく、中でも60秒〜120秒の範囲内、特に80秒〜100秒の範囲内が好ましい。現像時間が短すぎると、光散乱層のテーパー部の表面に、露出した微粒子が残存してしまう場合があるからである。また、現像時間が長すぎると、残すべき箇所の除去まで行われてしまうおそれがあるからである。
【0105】
さらに、現像液の温度を上げる場合、具体的な温度としては、23℃〜35℃の範囲内が好ましく、特に25℃〜30℃の範囲内が好ましい。温度が低すぎると、光散乱層のテーパー部表面に露出した微粒子の除去が不十分となる場合があるからである。また、温度が高すぎると、光散乱層の目的以外の部分まで除去されてしまう可能性があるからである。
【0106】
さらにまた、現像圧を高くする場合、具体的な圧力としては、1.5kgf/cm〜4.0kgf/cmの範囲内が好ましく、特に2.0kgf/cm〜3.0kgf/cmの範囲内が好ましい。現像圧が低すぎると、光散乱層のテーパー部表面の露出した微粒子の除去が困難となり、ラビングの際の不具合を回避できないからである。また、現像圧が高すぎると、光散乱層の残すべき部分の透明樹脂まで除去される場合があるからである。
【0107】
なお、本工程により得られる光散乱層に関しては、上述した「A.半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタ」の第2実施態様に記載したものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0108】
(4)焼成工程
本発明に用いられる焼成工程は、上記強化現像工程の後の光散乱層を焼成する工程であるが、焼成条件としては、一般的な半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法におけるポストベーク(焼成)の条件と同様とすることができる。
【0109】
2.その他の工程
本発明の半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法は、上記光散乱層形成工程の前後に必要に応じて他の工程を有していてもよい。
【0110】
他の工程としては、例えば透明基板上にブラックマトリクスを形成するブラックマトリクス形成工程や、透明基板およびブラックマトリクス上に着色層を形成する着色層形成工程、所定の位置に柱状スペーサを形成する柱状スペーサ形成工程、カラーフィルタの最表面に配向膜を形成する配向膜形成工程等が挙げられる。また、オーバーコート層を形成する場合、着色層上にオーバーコート層を形成する工程があってもよい。
このような各工程については、一般的な横型電界駆動方式の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造におけるものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0111】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0112】
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。
【0113】
[実施例1]
(ブラックマトリクスの形成)
透明基板として、300mm×400mm、厚さ0.7mmのガラス基板(コーニング社製1317ガラス)を準備した。この透明基板を定法にしたがって洗浄し、透明基板上に感光性レジスト(東京応化工業(株)製 DN83)を塗布し、所定のマスクを介して露光し、次いで現像および焼成を行い、図5に示すように、1画素の開口サイズ35×120μm(e×f)の格子状の樹脂製ブラックマトリクスを形成した。また、このブラックマトリクスの膜厚は1.3μm、線幅15μm(図5中、gで示される幅)、30μm(図5中、hで示される幅)とした。
【0114】
(赤色着色層の形成)
上記透明基板およびブラックマトリクス上に、下記組成の赤色着色層用の着色層形成用塗工液(ネガ型感光性樹脂組成物)をスピンコート法により塗布した。続いて、上記赤色パターン用のフォトマスクを用いて露光、現像した。その後、焼成することにより膜厚1.8μm、開口部の線幅30μm(図5中、iで示される幅)の赤色着色層を形成した。
【0115】
〈赤色着色層形成用塗工液〉
・赤色顔料(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製 クロモフタルレッドA2B) ・・・4.8重量部
・黄色顔料(BASF社製 パリオトールイエローD1819) ・・・1.2重量部
・分散剤(ビックケミー社製 ディスパービック161) ・・・3.0重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) ・・・4.0重量部
・ポリマーI ・・・5.0重量部
・イルガキュア907(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製) ・・・1.4重量部
・(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) ・・・0.6重量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・80.0重量部
*ポリマーIは、ベンジルメタクリレート:スチレン:アクリル酸:2−ヒドロキシエチルメタクリレート=15.6:37.0:30.5:16.9(モル比)の共重合体100モル%に対して、2‐メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを16.9モル%付加したものであり、重量平均分子量は42500である。
【0116】
(緑色着色層の形成)
上記赤色着色層が形成された透明基板上に、下記組成の緑色着色層用の着色層形成用塗工液(ネガ型感光性樹脂組成物)を用いて、赤色着色層と同様の方法により、膜厚1.8μm、開口部の線幅30μm(図5中、iで示される幅)の緑色着色層を形成した。
【0117】
〈緑色着色層形成用塗工液〉
・緑色顔料(アビシア社製 モナストラルグリーンθY−C) ・・・4.2重量部
・黄色顔料(BASF社製 パリオトールイエローD1819) ・・・1.8重量部
・分散剤(ビックケミー社製 ディスパービック161) ・・・3.0重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) ・・・4.0重量部
・ポリマーI ・・・5.0重量部
・イルガキュア907(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製) ・・・1.4重量部
・(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル‐1,2´−ビイミダゾール) ・・・0.6重量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・80.0重量部
【0118】
(青色着色層の形成)
上記赤色着色層および緑色着色層が形成された透明基板上に、下記組成の青色着色層用の着色層形成用塗工液(ネガ型感光性樹脂組成物)を用いて、赤色着色層と同様の方法により、膜厚1.8μm、開口部の線幅30μm(図5中、iで示される幅)の青色着色層を形成した。
【0119】
〈青色着色層形成用塗工液〉
・青色顔料(BASF社製 ヘイオゲンブルーL6700F) ・・・6.0重量部
・顔料誘導体(アビシア社製 ソルスパース6000) ・・・0.6重量部
・分散剤(ビックケミー社製 ディスパービック161) ・・・2.4重量部
・モノマー(サートマー社製 SR399) ・・・4.0重量部
・ポリマーI ・・・5.0重量部
・イルガキュア907(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製) ・・・1.4重量部
・(2,2´−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4´,5´−テトラフェニル−1,2´−ビイミダゾール) ・・・0.6重量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・80.0重量部
【0120】
(光散乱層の形成)
上記各色の着色層上に、下記組成の光散乱層形成用塗工液(ネガ型感光性樹脂組成物)をスピンコート法により塗布した。続いて、上記光散乱層パターン用のフォトマスクを用いて露光、現像した。その後、焼成することにより反射光用領域のみに光散乱層を形成した。なお、着色層の開口部内に形成された光散乱層の中心部の平均膜厚は4.2μmとし、テーパー部を含む光散乱層の線幅は60μm(図5中、jで示される幅)とした。
【0121】
〈光散乱層形成用塗工液〉
・アクリル系樹脂(日本化薬(株)KAYARAD PET.30) ・・・21重量部
・メラミンビーズ(平均粒径1.3μm) ・・・5重量部
・イルガキュア184(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製) ・・・4重量部
・ポリエチレングリコールモノエチルアセテート ・・・70重量部
【0122】
(被覆層の形成)
上記光散乱層および着色層上に、下記組成の被覆層形成用塗工液(ネガ型感光性樹脂組成物)をスピンコート法により塗布した。続いて、上記被覆層パターン用のフォトマスクを用いて露光、現像した。その後、焼成することにより反射光用領域および透過光用領域の全面に渡って被覆層を形成した。なお、反射光用領域の被覆層の膜厚は0.8μm、透過光用領域の被覆層の膜厚は1.2μmとし、反射光用領域と透過光用領域との段差は2.0μmであった。
【0123】
〈被覆層形成用塗工液〉
・メタクリル酸メチル−スチレン−メタクリル酸共重合体 ・・・42重量部
・エピコート180s70(三菱油化シェル(株)製) ・・・18重量部
・ペンタエリスリトールペンタアクリレート ・・・32重量部
・イルガキュア907(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製) ・・8重量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・300重量部
【0124】
[実施例2]
(ブラックマトリクスおよび着色層の形成)
実施例1と同様にして、図5に示すように、格子状のブラックマトリクスおよび着色層を形成した。
【0125】
(オーバーコート層の形成)
着色層上に、下記組成のオーバーコート層形成用塗工液(ネガ型感光性樹脂組成物)をスピンコート法により塗布した。続いて、上記オーバーコート層パターン用のフォトマスクを用いて露光、現像した。その後、焼成することにより着色層上全面に膜厚1.5μmのオーバーコート層を形成した。
【0126】
〈オーバーコート層形成用塗工液〉
・メタクリル酸メチル−スチレン−メタクリル酸共重合体 ・・・42重量部
・エピコート180s70(三菱油化シェル(株)製) ・・・18重量部
・ペンタエリスリトールペンタアクリレート ・・・32重量部
・イルガキュア907(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製) ・・8重量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・300重量部
【0127】
<光散乱層の形成>
実施例1と同様の方法を用いて、反射光用領域のみに膜厚1.5μm、線幅60μm(図5中、jで示される幅)の光散乱層を形成した。
【0128】
<被覆層の形成>
実施例1と同様の方法を用いて、光散乱層のテーパー部を含むエッジ部と、エッジ部間の平坦部とにのみ、光散乱層の平坦部上の膜厚0.5μm、線幅60μm(図5中、jで示される幅)の被覆層を形成した。なお、反射光用領域と透過光用領域との段差は2.0μmであった。
【0129】
[実施例3]
<着色層およびオーバーコート層の形成>
ブラックマトリクスを形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして透明基板上に開口部の線幅30μm(図6中、iで示される幅)を有する着色層を形成した後、実施例2と同様にして着色層上にオーバーコート層を形成した。
【0130】
<光散乱層の形成>
実施例1と同様の方法を用いて、反射光用領域のみに膜厚2.0μm、線幅60μm(図6中、jで示される幅)の光散乱層を形成した。
【0131】
<被覆層の形成>
光散乱層およびオーバーコート層上に、実施例1で用いたブラックマトリクスの形成材料(東京応化工業(株)製 DN83)を塗布し、所定のマスクを介して露光し、次いで現像および焼成を行い、光散乱層のテーパー部を含むエッジ部のみに膜厚3.0μmの被覆層を形成した。また、この被覆層の線幅については、図6に示すように、gで示される幅が15μm、hで示される幅が30μm、kで示される幅(反射光用領域と透過光用領域との境界)が10μmとした。また、この被覆層により区画される1画素の開口サイズは、35×120μm(図6中で示されるe×f)とした。
【0132】
[実施例4]
(ブラックマトリクスおよび着色層の形成)
実施例1と同様にして形成した。
【0133】
(光散乱層の形成)
現像条件を下記に示す条件に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法を用いて、反射光用領域のみに、膜厚3.8μm(着色層の開口部内に形成された光散乱層の中心部の平均膜厚)、線幅60μm(図5中、jで示される幅)の光散乱層を形成した。
<現像条件>
・現像液(KOH水溶液)の濃度:0.15質量%
・現像時間:100秒
・現像液の温度:30℃
・現像圧力:3.0kgf/cm
【0134】
[比較例]
(ブラックマトリクスおよび着色層の形成)
実施例1と同様にして形成した。
【0135】
(光散乱層の形成)
現像条件を下記に示す条件に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法を用いて、反射光用領域のみに膜厚3.8μm(着色層の開口部内に形成された光散乱層の中心部の平均膜厚)、線幅60μm(図5中、jで示される幅)の光散乱層を形成した。
<現像条件>
・現像液(KOH水溶液)の濃度:0.03質量%
・現像時間:20秒
・現像液の温度:20℃
・現像圧力:1.0kgf/cm
【0136】
[評価]
実施例1〜4および比較例で作製したカラーフィルタに配向膜を形成した後、ラビングを行った。その結果、実施例1〜4で作製したカラーフィルタでは微粒子の剥がれは発生しなかったが、比較例で作製したカラーフィルタでは微粒子の剥がれが発生した。
【符号の説明】
【0137】
1…透明基板
2…着色層
3…光散乱層
4…被覆層
a…開口部
b…テーパー部
X…微粒子
r…反射光用領域
t…透過光用領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板と、前記透明基板上に形成され、かつ開口部が形成された着色層とを有し、前記透明基板と、前記開口部を有する前記着色層とが積層された領域を反射光用領域として用い、前記透明基板と、前記開口部を有さない前記着色層とが積層された領域を透過光用領域として用いる半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタであって、
前記反射光用領域の前記着色層上には透明樹脂中に微粒子を分散させてなる光散乱層が形成され、かつ前記光散乱層のテーパー部にはテーパー部を被覆する被覆層が形成されており、
前記光散乱層上に電極が形成されていないことを特徴とする半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタ。
【請求項2】
前記被覆層が、前記反射光用領域および前記透過光用領域全面に渡って形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタ。
【請求項3】
前記着色層および前記光散乱層の間に、オーバーコート層が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタ。
【請求項4】
前記光散乱層が、前記開口部を有する前記着色層の直上に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半透過型横型電界駆動方式液晶表示装置用カラーフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−247804(P2012−247804A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−195286(P2012−195286)
【出願日】平成24年9月5日(2012.9.5)
【分割の表示】特願2007−125857(P2007−125857)の分割
【原出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】