半透過型液晶表示装置用基板および液晶表示装置
【課題】 垂直配向方式の液晶表示装置、特に、半透過型や反射型液晶表示装置に好適なカラーフィルタ基板を提供し、あわせて液晶表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 透明基板上に形成された、複数の矩形画素を区分する開口部を有するブラックマトリクスと、前記透明基板及びブラックマトリクス上に形成された透明導電膜と、前記透明導電膜上に形成された、画素中央に凹部を有する樹脂層と、前記樹脂層上に部分的に形成され、前記ブラックマトリクス上において前記樹脂層とともに凸部を構成するセルギャップ調整層とを具備する半透過型液晶表示装置用基板。前記複数の矩形画素は、前記樹脂層の凹部を中心に対称に、中心に近い側から透過部及び反射部の順で構成され、前記反射部では、透明導電膜上に前記樹脂層及びセルギャップ調整層が積層され、前記透過部では、透明導電膜上に前記樹脂層が積層されている。
【解決手段】 透明基板上に形成された、複数の矩形画素を区分する開口部を有するブラックマトリクスと、前記透明基板及びブラックマトリクス上に形成された透明導電膜と、前記透明導電膜上に形成された、画素中央に凹部を有する樹脂層と、前記樹脂層上に部分的に形成され、前記ブラックマトリクス上において前記樹脂層とともに凸部を構成するセルギャップ調整層とを具備する半透過型液晶表示装置用基板。前記複数の矩形画素は、前記樹脂層の凹部を中心に対称に、中心に近い側から透過部及び反射部の順で構成され、前記反射部では、透明導電膜上に前記樹脂層及びセルギャップ調整層が積層され、前記透過部では、透明導電膜上に前記樹脂層が積層されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半透過型液晶表示装置用基板、カラーフィルタ基板、及びこれらを備える液晶表示装置に関する。特に、本発明は、斜め電界駆動に最適なカラーフィルタ基板及びこれを備える液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイなどの薄型表示装置のさらなる高画質化、低価格化および省電力化が求められている。液晶表示装置向けカラーフィルタにおいては、十分な色純度や高いコントラスト、平坦性など、より高画質の表示を達成するための要求がでてきている。
【0003】
高画質の液晶表示装置を得るために、VA(Vertically Alignment)、HAN(Hybrid-aligned Nematic)、TN(Twisted Nematic)、OCB(Optically Compensated Bend)、CPA(Continuous Pinwheel Alignment)などの液晶の配向方式あるいは液晶駆動方式が提案され、それにより、広視野角・高速応答の液晶表示装置が実用化されている。
【0004】
液晶分子をガラスなどの基板面に並行に配向させた、広視野角で高速応答に対応しやすいVA方式、また、広視野角に有効なHAN方式などの液晶表示装置では、カラーフィルタに対する平坦性(膜厚の均一性やカラーフィルタ表面の凹凸の低減)と誘電率などの電気的特性について、さらに高いレベルが要求されている。このような高画質液晶表示装置では、斜め方向視認での着色の低減のため、液晶セル厚(液晶層の厚み)を薄くする技術が主要な課題となっている。
【0005】
VA方式では、MVA(Multi-Domain Vertically Alignment)、PVA(Patterned Vertically Alignment)、VAECB(Vertically Alignment Electrically Controlled Birefringence)、VAHAN(Vertical Alignment Hybrid-aligned Nematic)、VATN(Vertically Alignment Twisted Nematic)等、種々の改良モードの開発が進んでいる。また、VA方式などの液晶の厚み方向に駆動電圧を印加する縦電界方式の液晶表示装置では、より高速の液晶応答、広い視野角技術、より高い透過率が主要な課題となっている。MVA技術は、液晶駆動の電圧印加時に不安定な垂直配向液晶(基板表面に対し初期垂直である液晶の、電圧印加時に倒れる方向が定まりにくいこと)の問題を解消するために、リブ状の突起あるいはスリットを複数設け、このリブ間に液晶ドメインを形成するとともに複数の配向方向のドメイン形成により、広い視野角を確保する技術である。
【0006】
特許文献1に、第1及び第2の配向規制構造体を用いて液晶ドメインを形成する技術が開示されている。特許文献2には、光配向を用いて4つの液晶ドメインを形成する技術が開示されている。当特許文献は、広い視野角を確保するためにそれぞれドメインでの厳密なチルト角(例えば89度)制御に係わる複数回の配向処理と、かつ、ドメイン形成のため、それぞれ平面視90度異なる配向軸の必要なことが開示されている。
【0007】
カラーフィルタ基板側の透明導電膜(透明電極、表示電極あるいは第3電極)と、アレイ基板側の第1と第2の電極を用い、斜め電界を用いて垂直配向の液晶を制御する技術は、特許文献3および特許文献5に開示されている。特許文献3は負の誘電率異方性の液晶を用いており、特許文献5は、その特許請求の範囲と明細書本文に正の誘電率異方性の液晶を記載している。特許文献5には、負の誘電率異方性の液晶の記載が見られない。
【0008】
特許文献6は、負の誘電率異方性の液晶を用いた半透過型液晶表示装置に関するもので、カラーフィルタ上の共通電極に電極スリット(電極開口部)を設け、さらに透過部のカラーフィルタである画素上に凸状部を設ける技術を開示している。
【0009】
通常、VA方式やTN方式などの液晶表示装置の基本的構成は、共通電極を備えたカラーフィルタ基板と、液晶を駆動する複数の画素電極(例えば、TFT素子と電気的に接続され、櫛歯状パターン状に形成された透明電極)とアレイ基板とで、液晶を挟持する構成である。この構成では、カラーフィルタ上の共通電極とアレイ基板側に形成された画素電極との間に駆動電圧を印加して液晶を駆動する。画素電極やのカラーフィルタ表面の共通電極としての透明導電膜は、通常、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、IGZO(Indium Garium Zinc Oxide)などの導電性の金属酸化物の薄膜を用いる。
【0010】
青色画素・緑色画素・赤色画素及びブラックマトリクスなどカラーフィルタを開示する技術として、例えば、ブラックマトリクスと着色画素上に透明導電膜を形成し、さらにオーバーコートを積層する技術が特許文献1に開示されている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平10−39128号公報
【特許文献2】特許第3957430号公報
【特許文献3】特許第2859093号公報
【特許文献4】特開2008−181139号公報
【特許文献5】特許第4364332号公報
【特許文献6】特許第4167963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述したように、垂直配向の液晶表示装置では、広い視野角を確保するため、リブやスリットと呼ばれる配向規制構造体で液晶のドメインを形成する(MVA技術)。液晶が負の誘電率異方性の場合、具体的には、カラーフィルタなどの上に形成した2つの樹脂製のリブ間に位置する液晶は、駆動電圧の印加時に、例えば平面視で、このリブに垂直な方向に倒れ、基板面に水平に並ぼうとする。しかし、2つのリブ間の中央の液晶は、電圧印加にも関わらず倒れる方向が一義的に定まらず、スプレー配向やベンド配向をとることがある。このような液晶の配向乱れは、液晶表示でのざらつきや表示ムラにつながっていた。また、MVA方式の場合、上記問題も含め、液晶の倒れる量を駆動電圧で細かく制御することが難しく、中間調表示に難点があった。特に駆動電圧と表示(応答時間)とのリニアリティが低く、低い駆動電圧での中間調表示に難点があった。
【0013】
この問題を解決するため、特許文献3や特許文献5に示されるように、第1と第2と第3の電極を用い、斜め電界にて液晶配向を制御する手法は極めて有効である。斜め電界により、液晶の倒れる方向を設定することができる。また、斜め電界により液晶の倒れる量を制御しやすくなり、中間調表示に大きな効果が出てくる。
【0014】
しかし、これらの技術でも、液晶のディスクリネーション対策が不十分である。ディスクリネーションとは、意図しない液晶の配向乱れや未配向により光の透過率の異なる領域が画素(画素は、液晶表示の最小単位で、本発明で表記の矩形画素と同義)内に生じる問題である。
【0015】
特許文献3では、画素中央のディスクリネーション固定化のため、対向電極(第3の電極)の画素中央に透明導電膜のない配向制御窓を設けている。しかし、画素周辺のディスクリネーションの改善策は開示されていない。また、画素中央のディスクリネーション固定化はできるものの、ディスクリネーションの最小化の方策は示されていない。さらに、液晶の応答性の改善技術についても記載されていない。
【0016】
特許文献5は、透明導電膜(透明電極)上に誘電体層を積層した分、斜め電界の効果が増長されるので好ましい。しかし、特許文献5の図7に示されるように電圧印加後も画素中央および画素端部には垂直配向の液晶が残り、透過率あるいは開口率の低下につながる問題がある。また、正の誘電率異方性の液晶を用いる場合(特許文献5は、負の誘電率異方性の液晶を その記載・実施例において開示していない)、画素中央部のディスクリネーションのため、透過率を向上させにくい。このため、半透過型液晶表示装置では採用しにくい技術となっている。さらに、特許文献5は、ブラックマトリクス上に透明導電膜を配設する構成を提案していない。
【0017】
特許文献6は、その請求項1及びその図3に開示されているように、透過部のカラーフィルタである画素の中央に凸状部を設け、さらに電極スリットにて配向の乱れ(ディスクリネーション)を生じさせにくくする技術を開示している。しかし、透過部及び反射部 それぞれ画素の中央部のみの液晶を対象としており、画素端部や画素のコーナー部でのディスクリネーションについては触れておらず、その対応策を考慮していない。ディスクリネーションの最小化への方策を示しておらず、さらに、液晶の応答性の改善技術についても記載されていない。
【0018】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされ、垂直配向方式の液晶表示装置、特に、半透過型や反射型液晶表示装置に好適なカラーフィルタ基板を提供し、あわせて液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、透明基板上に形成された、複数の矩形画素を区分する開口部を有するブラックマトリクスと、前記透明基板及びブラックマトリクス上に形成された透明導電膜と、前記透明導電膜上に形成された、画素中央に凹部を有する樹脂層と、前記樹脂層上に部分的に形成され、前記ブラックマトリクス上において前記樹脂層とともに凸部を構成するセルギャップ調整層とを具備し、前記複数の矩形画素は、前記樹脂層の凹部を中心に対称に、中心に近い側から透過部及び反射部の順で構成され、前記透過部では透明導電膜上に前記樹脂層が積層され、前記反射部では、透明導電膜上に前記樹脂層及びセルギャップ調整層が積層されていることを特徴とする半透過型液晶表示装置用基板。
【0020】
本発明の第2の態様は、透明基板上に形成された、複数の矩形画素を区分する開口部を有するブラックマトリクスと、前記透明基板及びブラックマトリクス上に形成され、前記複数の矩形画素を構成する着色層と、前記着色層上に形成された透明導電膜と、前記透明導電膜上に形成された、画素中央に凹部を有する樹脂層と、前記樹脂層上に部分的に形成され、前記ブラックマトリクス上において前記樹脂層とともに凸部を構成するセルギャップ調整層とを具備し、前記複数の矩形画素は、前記樹脂層の凹部を中心に対称に、中心に近い側から透過部及び反射部の順で構成され、前記透過部では透明導電膜上に前記樹脂層が積層され、前記反射部では、透明導電膜上に前記樹脂層及びセルギャップ調整層が積層されていることを特徴とする半透過型液晶表示装置用基板を提供する。
【0021】
上記本発明の第2の態様に係る半透過型液晶表示装置用基板において、前記反射部に配設された着色層の厚みを、前記透過部に配設された着色層の厚みの略1/2とすることが出来る。
【0022】
また、前記反射部の着色層上に1/4波長層を積層し、該1/4波長層上に透明導電膜を介して光散乱層を積層することが出来る。
【0023】
更に、前記反射部の着色層上に光散乱層を積層し、該光散乱層上に透明導電膜を介して1/4波長層を積層することが出来る。
【0024】
上記本発明の第1及び第2の態様に係る半透過型液晶表示装置用基板において、前記ブラックマトリクス上の透明基板の表面から樹脂層表面の高さのレベルA、反射部の樹脂層表面の高さのレベルB、及び透過部の樹脂層表面の高さのレベルCを、A>B>Cの関係とし、かつ、前記樹脂層の凹部の底部のレベルを、上記樹脂層表面のレベルA、B、Cより低くすることが出来る。
【0025】
前記セルギャップ調整層の厚みを、液晶表示装置の液晶層の厚みの略1/2とすることが出来る。
【0026】
前記セルギャップ調整層を、光散乱層とすることが出来る。
【0027】
前記セルギャップ調整層を、1/4波長層とすることが出来る。
【0028】
本発明の第3の態様は、第1及び第2の態様に係る液晶表示装置用基板と、液晶を駆動する素子をマトリクス状に配設したアレイ基板とを液晶を介して対向させて配置し、貼り合わせてなる液晶表示装置であって、前記アレイ基板が、それぞれ矩形画素を駆動するために電位の異なる第1電極及び第2電極を具備することを特徴とする液晶表示装置を提供する。
【0029】
上記液晶表示装置において、前記液晶の動作を、液晶を駆動する電圧を印加したときに平面視で、矩形画素中心の凹部から点対象あるいは線対称にブラックマトリクスのある辺の方向に液晶が倒れる動作とすることが出来る。
【0030】
また、前記液晶表示装置の矩形画素での液晶の動作を、液晶を駆動する電圧を印加したときに平面視で、矩形画素中心の十字型凹部を通る直線で4つに区分される動作とすることが出来る。
【0031】
また、前記第1電極が、液晶を駆動するアクティブ素子と接続された櫛歯状パターンを有し、前記第2電極が、前記第1電極と同様の櫛歯状パターンを有し、絶縁層を介して前記第1電極の下に配設され、前記第2電極のパターンが液晶の倒れる方向に前記第1電極のパターンからはみ出ている構成とすることが出来る。
【0032】
更に、前記第1電極及び第2電極を、可視域透明な導電性の金属酸化物により構成することが出来る。
【0033】
また、前記液晶として、負の誘電率異方性を有する液晶を用いることが出来る。
【発明の効果】
【0034】
本発明によると、液晶表示装置に最適な液晶装置用電極基板を提供できるとともに、より明るい液晶表示装置を提供することができる。本発明に係る液晶表示装置は、カラーフィルタ基板やアレイ基板の配向処理を軽減することができるとともに、液晶の応答性を改善することができる。また、段差部や凹部のショルダー部における液晶配向、及び第1電極、第2電極、及び透明導電膜からなる電極構成による斜め電界により、液晶のディスクリネーションを軽減し、液晶表示を向上させることができる。
【0035】
本発明によると、1/2画素あるいは1/4画素の単位で駆動電圧印加後の液晶の傾き角に分布を持たせることができ、かつ、透明導電膜上に樹脂層を積層する構成により、従来の液晶表示装置に生じていた階調シフト(中間調が白側あるいは黒側にシフトし、十分な階調表示ができないこと)を解消することができる。
【0036】
本発明に係る液晶装置用電極基板及び液晶表示装置では、電圧印加時に異なる配向状態の領域が一画素内に2つ以上あるので、液晶表示を平均化し、広い視野角を得ることができる。また、反射部において誘電体である樹脂層とセルギャップ調整層を透明導電膜上に積層することにより、反射部の液晶層の厚みが透過部の略1/2であるにも係わらず、反射部と透過部それぞれの液晶層に印加する電圧をほぼ等しくすることができる。そのため、反射部の反射光と透過部の透過光の電圧依存性を同等とすることで、反射部と透過部で違和感のない均質な表示を可能とする。
【0037】
本発明では、カラーフィルタの有効表示画素を覆うように透明導電膜を積層することにより、副次的効果として、IPS(横電界で液晶を駆動する)やFFS(櫛歯電極のフリンジに生じる電界で液晶を駆動する)方式と異なり、外部電場の影響を受けにくい液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1の実施態様に係る液晶表示装置用基板を示す断面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置を示す断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置における液晶表示装置用基板上での液晶動作の説明図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置における液晶表示装置用基板上での駆動電圧印加後の安定した白表示時の液晶分子の配向状態
【図5】本発明の他の実施形態に係る液晶表示装置のアレイ基板上での液晶動作の説明図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る液晶表示装置のアレイ基板上での液晶動作の説明図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る液晶表示装置の平面視で1画素の第1電極のパターン例を示す平面図(a)、1画素のブラックマトリクス及び光散乱層のパターン例を示す平面図(b)である。
【図8】本発明の他の実施形態に係る液晶表示装置の平面視で1画素の第1電極のパターン例を示す平面図(a)、1画素のブラックマトリクス及び光散乱層のパターン例を示す平面図(b)である。
【図9】本発明の第3の実施態様に係る液晶表示装置用基板の断面図である。
【図10】本発明の第4の実施態様に係る液晶表示装置の断面図である。
【図11】本発明の第5の実施態様に係わる液晶表示装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0040】
本発明の一実施形態は、初期配向が垂直配向の液晶を対象とし、ブラックマトリクス基板(透明基板上にブラックマトリクスを形成した基板)やカラーフィルタ基板と、TFTなどの液晶駆動素子が形成されたアレイ基板とを対向させて配置し、それらの間に垂直配向用の液晶層を挟持する形で貼り合わせた垂直配向液晶表示装置を前提とする。本発明の一実施形態は、加えて、第3電極である透明導電膜をカラーフィルタ基板に配設し、画素電極である第1電極、及びこの第1電極と電位の異なる第2電極をアレイ基板に配設し、このような電極構成で生じる斜め電界を活用する技術である。
【0041】
本発明の一実施形態に係る液晶表示装置のアレイ基板側の第1電極及び第2電極の材料は、ITOなどの導電性の金属酸化物薄膜を用いることができる。あるいは、金属酸化物薄膜より導電性の良好な金属の薄膜を採用することができる。さらに、反射型や半透過型の液晶表示装置の場合は、第1電極及び第2電極のいずれかにアルミニウム、アルミニウム合金の薄膜を用いても良い。
【0042】
本発明の一実施形態に適用できる液晶は、初期配向(駆動電圧の無印加の時)で垂直配向の液晶である。液晶の誘電率異方性は、正であっても負であっても良い。なお、負の誘電率異方性の液晶を本発明に適用した場合、チルト角設定のための配向膜の配向処理を省略できる。換言すれば、本発明で用いる垂直配向膜は、塗布形成後の熱処理だけで良く、ラビング配向や光配向などを省略できる。負の誘電率異方性の液晶を本発明に適用した場合、矩形画素中央の透過率を上げることができるため、色純度より明るさを重視する、たとえば、半透過型液晶表示装置に好適なカラーフィルタ基板を提供できる。
【0043】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る半透過型液晶表示装置用基板10を示す断面図である。この基板10は、カラーフィルタを含んでおらず、以後、ブラックマトリクス基板(BM基板)と呼ぶ。図1において、透明基板1a上に、ブラックマトリクス2、透明導電膜(第3電極)3、樹脂層4、及びセルギャップ調整層(光散乱層)5を順次形成することにより、BM基板10が構成されている。ブラックマトリクス2の開口部である矩形画素は、反射部Rと透過部Tとにより構成され、セルギャップ調整層(光散乱層)5は、反射部Rにおける樹脂層4の上に形成されている。なお、樹脂層4の中央には、線状の凹部6が形成されている。
【0044】
本発明者らは、ブラックマトリクス2の上方に突出した凸部7とセルギャップ調整層(光散乱層)5の段差のショルダー部8a,8b(肩の部分)と、矩形画素の中央部に設けられた凹部6のショルダー部9を液晶配向の制御に利用できることを見出した。この知見と第3電極3(透明導電膜)とを組み合わせ、新規な技術を提案するものである。
【0045】
ブラックマトリクス2の上方の凸部7は、異なる2色の着色画素の重畳部により構成される場合もあり、この凸部7の傾斜部での液晶配向を駆動電圧印加時の液晶の倒れに利用するものである。画素の中央の凹部6においても同様に、凹部6のショルダー部9での液晶配向を液晶の倒れに利用するものである。なお、液晶の動作については後述する。
【0046】
凸部7の頂部の、反射部Rにおけるセルギャップ調整層5の表面からの高さHは、0.4μmから2μmであるのが好ましい範囲である。0.4μm未満では、電圧印加時の“液晶の倒れのトリガー”として効果が不十分であり、その高さが2μmを超えると、液晶セルを構成した場合の液晶の流れに支障が出てくる。
【0047】
以下に、以上説明した半透過型液晶表示装置用基板の構成要素について 簡単に説明する。
【0048】
(ブラックマトリクス、矩形画素)
ブラックマトリクスとは、液晶表示のコントラストをアップさせるため、表示の最小単位である絵素の周囲、あるいは絵素の両辺に配設される遮光層からなる遮光性パターンである。遮光層は、透明樹脂に遮光性の顔料を分散させた塗膜であり、一般に感光性を付与され、露光及び現像を含むフォトリソグラフィの手法でパターニングすることにより形成される。矩形画素は、ブラックマトリクスの開口部を指し、上記絵素と同義である。
【0049】
ブラックマトリクスの傾斜部は、丸みを帯びた形状でも良く、表示領域でのブラックマトリクスの断面形状は、半月状、台形、三角形などが例示できる。ブラックマトリクスの基板面からの傾斜角度は、前記した凸部の高さが0.4μmを超えれば特に規定しなくても良い。開口率(矩形画素としての透過率)を別にすれば、2°とか3°などの低い傾斜角度でも良く、逆テーパ(上辺の大きい逆向きの台形状)でなければ良い。しかしながら、開口率の制限のため、実効的には30°から80°の範囲の傾斜が好ましい。
【0050】
(透明導電膜)
液晶表示装置用基板の上に配設される透明導電膜としては、ITOなどの金属酸化物薄膜を用いることができる。透明導電膜の形成位置は、斜め電界を活用する目的で、矩形画素周囲に形成されるブラックマトリクス上であるのが良い。
【0051】
特に、透過部の画素上における透明導電膜の位置より高いブラックマトリクス上にもあわせ形成して、アレイ基板側の画素電極(以下、第1電極)との電極間距離に差をつけることが望ましい。
【0052】
後述するように、ブラックマトリクス上に着色層を形成し、この着色層上に透明導電膜を形成することができる。
【0053】
(樹脂層)
樹脂層は、上述した透明導電膜上に配設される。樹脂層は、透明で耐熱性を有する有機樹脂により形成できる。樹脂層の厚みは、用いる液晶のセルギャップ(液晶層の厚み)や液晶の電気特性との関係で最適化すればよい。これらの観点で、たとえば、樹脂層の厚みが薄い場合には、液晶層の厚みを厚くすることができる。樹脂層の膜厚が厚い場合には、これに対応して液晶層の厚みを薄くすることができる。なお、樹脂層としては、以下の実施例で後述するアクリル樹脂などの透明な有機樹脂を採用することができる。透過部に適用できる液晶層の厚みは、2〜5μmであり、4μm前後であるのが好ましい。反射部における液晶層の厚みは、透過部の略1/2となる。
【0054】
(着色層、着色画素)
着色層は、後述する有機顔料を透明樹脂に分散させた塗膜であり、これをフォトリソグラフィの手法で矩形画素上にパターン形成したものを着色画素という。着色画素は、赤色、緑色、青色などの3原色のほか、黄色、マゼンタ、シアンや白色などから複数色を採用することができる。
【0055】
本明細書では、ブラックマトリクスを構成する遮光層を含めた複数色の着色画素からなるものをカラーフィルタと呼称し、このカラーフィルタをガラスなどの透明基板上に形成したものをカラーフィルタ基板と称する。本明細書において、略同一の膜厚とは、遮光層や着色層の形成においてその製造プロセスで制御することができる、例えば、設定膜厚に対して、カラーフィルタの製造工程において、その製造マージンである±0.2μm以内に入る膜厚を指す。
【0056】
着色画素の膜厚は、透明基板の面からそれぞれ着色画素の中心(ここでは透過部の着色層での画素中心を指す)における表面までの高さを指す。反射部の着色層の膜厚と透過部の着色層の膜厚の比を1/2〜1/4の範囲とすることが好ましい。なお、膜厚比1/2の反射部の着色層の膜厚は、着色層の厚みに対して±0.2μmの誤差の範囲内で1/2であることを言う。反射部の着色層の膜厚と透過部の着色層の膜厚の比を略1/2とすることで、透過部と反射部の光路差を考慮した本来のカラー表示を得ることができる。
【0057】
反射部は、戸外などの明るい環境下で観察するためのものであり、明るさが重要である。透過部と反射部の色度域が一致していることは望ましいが、明るさを最大限重視する場合には、色がついていると認識できる程度でも十分である。例えば、反射表示は、透過部表示の色合わせより“明るさ”を重視せざるを得ない用途(たとえば太陽光のある屋外での使用)では、膜厚比1/3や1/4とすることにより、明度の高い色とすることが望ましい。
【0058】
スタティック表示(静止画)での透過部の色度域を標準的であるNTSC比70%程度とすると、反射部については1/4膜厚の時(2回透過で)NTSC比がおおむね35〜40%程度となる。NTSC比が35〜40%であれば色がついていることを容易に認識することができるが、これを大きく下回ると色がついていることを認識しにくくなる。したがって、反射部の膜厚は、NTSC比が35〜40%程度となる1/4以上であることが望ましい。
【0059】
動画階調表示での色の視認性は、静止画表示より低下する傾向にある。使用者(観察者)による個人差があるものの、着色層の膜厚に対して1/4の凹部着色層の膜厚が、動画階調表示を行った時にカラー表示であるとの認識しやすさのほぼ下限の膜厚である。隣接する着色画素の重畳部分(以下凸部と呼称)の高さは、凸部のトップから着色画素の中心における表面までの高さとする。複数色の着色画素は、青色画素、赤色画素、緑色画素、黄色画素、白色画素(透明な画素)などと表現する。
【0060】
着色層は、後述する有機顔料を複数種、透明樹脂に混合分散させたものであるが、有機顔料は、それぞれ微妙に異なる比誘電率や異なる誘電損失を持っていることが多い。本実施形態に係る半透過型液晶表示装置用基板では、これら異なる電気特性をもつ着色層(あるいは着色画素)を透明導電膜で覆う構成であるため、液晶層にかかる印加電圧に対して着色層の影響をなくすことができ、斜め電界を有効に活用することができる。
【0061】
(セルギャップ調整層)
セルギャップ調整層は、半透過型液晶表示装置の透過部と反射部の液晶層の光路差を調整する目的で配設する。セルギャップ調整層は、反射部に必要な光散乱層を兼ねることができる。また、セルギャップ調整層は、上述した樹脂層と同じ材料でグレートーンマスクを用いて1回のフォトリソ工程で形成しても良い。
【0062】
一般に、垂直配向型の半透過型液晶表示装置の反射部には、透過部の液晶と反射部の位相差を補う1/4波長の位相差層(以下1/4波長層)が必要となるため、セルギャップ調整層に位相差機能を持たせることができる。なお、光散乱層や1/4波長層は、透明導電膜の下の透明基板側のカラーフィルタ側に配設しても良い。
【0063】
以下の実施例で詳述するように1/4波長層をカラーフィルタ側に配設する構成でのセルギャップ調整層は、光散乱の機能を持たせることが好ましい。光散乱層は、出射光に拡散性を付与し、観察者の目に入る液晶表示装置からの光をペーパーホワイト様とし、視認性の良い表示とするためのディフューザーの役目を担う。
【0064】
セルギャップ調整層の表面と透過部の着色画素の表面の高さの差は、液晶表示装置を構成したときの液晶層の厚みの略1/2とすることができる。なお、液晶層の厚みの略1/2とは、液晶層の厚みの10%以内の範囲で変動してもよく、かつ、カラーフィルタの製造工程においてその製造マージンである±0.2μm以内であることが望ましい。
【0065】
(光散乱層)
光散乱層は、単一あるいは複数種の非晶質微粒子が屈折率の異なるマトリクス樹脂(以下、透明樹脂として記載する場合がある)中に分散して成るもので、入射光を散乱させて観察者の目にペーパーホワイト様の効果を持たせる光機能膜である。マトリクス樹脂は、耐熱性があり、可視域透過である透明樹脂であれば良い。光散乱層の膜厚は、非晶質微粒子径、光の波長、及び製造工程での適合しやすさの関係で、おおよそ1.5μm〜5μmの範囲が好ましい。
【0066】
光散乱層の非晶質微粒子としては、無機物から成る微粒子及び有機ポリマーから成る微粒子を例示することができる。特に、非晶質であるということから有機ポリマー微粒子が主としてあげられるが、無機物微粒子であっても、非晶質であれば問題ない。後述する相分離によりマトリクス樹脂中に非晶質微粒子を発現する方式であっても良い。非晶質微粒子をフォトリソグラフィの手法で形成し、その上に透明樹脂を塗布する方法で形成しても良い。
【0067】
例えば、無機物微粒子としては、シリカやアルミナの酸化物等の球状の非晶質微粒子、有機ポリマー微粒子としては、アクリル微粒子やスチレンアクリル微粒子及びその架橋体、メラミン微粒子、メラミン−ホルマリン縮合物、(ポリテトラフルオロエチレン)やPFA(ペルフルオロアルコキシ樹脂)、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PVDF(ポリフルオロビニリデン)、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)等の含フッ素ポリマー、シリコン樹脂微粒子等を例示することができる。そのなかでも、架橋アクリル樹脂微粒子は屈折率が1.5未満であり、更にシリカ粒子あるいはシリコン樹脂微粒子は屈折率が1.42〜1.45(ハロゲンランプD線589nm)と小さいため、特に好ましい。
【0068】
例えば、微粒子の屈折率が1.49(ハロゲンランプD線589nmを用いての値)の架橋アクリル微粒子である場合、マトリクス樹脂の屈折率は1.55〜1.65であることが好ましい。また、微粒子が屈折率1.42〜1.45のシリカ粒子あるいはシリコン樹脂微粒子である場合、マトリクス樹脂は、屈折率1.50〜1.60であることが好ましい。
【0069】
また、これらの微粒子は、光散乱層中に微粒子として主として含まれていれば良く、例えば、微粒子の70%程度以上が含まれていれば良い。これらの微粒子の他に、塗液中での微粒子の分散安定性や、光散乱特性の微調整等を目的として、不定形微粒子等の非球状微粒子や結晶性微粒子を、30%程度以下の少量加えても良い。
【0070】
非晶質微粒子の形状は特に限定するものではないが、球形または球形に類似する形状とすることができる。球形微粒子は、サイズ、粒径分布等のコントロールが容易であり、従って、光散乱層の光学特性の制御が容易になる。微粒子の粒径としては、目的とする光散乱層の膜厚や着色有無により許容範囲が異なり、特に限定されない。しかし、通常、光散乱層の膜厚よりも大きい微粒子を使用すると、光散乱層の表面が非常に粗くなってしまい、あまり好ましくない。上記微粒子の粒径は、特に限定しないが、好ましい粒径範囲としては、平均粒子径0.8μm〜3μm程度、好ましくは平均粒子径1μm〜2μmである。
【0071】
微粒子を分散させるマトリクス樹脂としては、可視光線透過率が高く、また液晶表示装置の製造工程中における熱処理や薬品処理に対する十分な耐性を具備するものが望ましく、例えば、屈折率の高い樹脂としてエポキシ変性アクリル樹脂、フローレン樹脂、ポリイミド樹脂が、また屈折率の低い樹脂としてフッ素変性アクリル樹脂、シリコン変性アクリル樹脂が適用できる。その他アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂等が適宜使用することができる。
【0072】
光散乱層中の非晶質微粒子としては、二つの樹脂を混合し、相分離することにより形成可能な微粒子を例示することができる。異なる屈折率を有する二つ以上の樹脂、添加材を適量選定し、溶剤中に溶解した塗液を基板上に塗布乾燥することにより、非晶質微粒子を形成することができる。
【0073】
相分離は二つの樹脂を溶液中に混合した時点で、或いは基板上に塗布乾燥して溶剤が揮発していく過程で成長し、塗膜が乾燥した時点で透明な非晶質微粒子を形成することができる。このとき、溶液中では相分離した一方の樹脂が球形に成長しようとするが、基板上に塗布した場合、塗膜中の溶剤が揮発するに従い、膜容積が減少し、且つ該球形は成長して容積を増していくが、上面からの応力で球形から円盤状に変形しながら成長する。
【0074】
二つの樹脂溶液から一方の樹脂が液滴として生成成長し、非晶質微粒子が形成する条件は、一方の樹脂をA、他の樹脂をBとすると
1)Aの量がBの量より少ないこと、
2)A溶液の表面張力がB溶液の表面張力より大きいこと、
3)A溶液の蒸発速度がB溶液の蒸発速度より大きいこと、
4)Aの分子量がBの分子量より大きいこと
等があげられるが、特に量の大小は強度の制約条件である。
【0075】
非晶質微粒子が、屈折率の異なる2種類以上の樹脂溶液から相分離で生成し、形成されると、非晶質微粒子が膜の内部に留まり、表面に出ることがないので、光散乱膜層の表面が平坦になり、さらにカラーフィルタの膜厚も均一なものとなる。
【0076】
非晶質微粒子が微小樹脂パターンを溶融解して形成された半球形状のマイクロレンズであると、パターン形状(大きさと形、密度)を変更することで光散乱特性を調整することができる。あるいは、マイクロレンズの断面形状を非対称にするか放物線形状にすることによって、指向性ある光散乱層とすることができる。
【0077】
光散乱膜層をフォトリソグラフィ工程でパターン状に設ける場合には、感光性と現像性とを有するアクリル系樹脂やエポキシ系樹脂が利用することができる。また、これらの樹脂に熱硬化や紫外線硬化を付与し、併用することも可能である。
【0078】
セルギャップ調整層を光散乱層とした場合、光散乱層のパターンのサイズは、位相差層の平面視の大きさと同じサイズか、あるいは位相差層より大きいサイズのパターンで形成することが望ましい。
【0079】
(1/4波長層)
半透過型液晶表示装置の反射部は、透過部と比較して光路差のほかに液晶に起因する位相差の相違が生じる。このような反射部と透過部の位相差の相違により、反射部の反射光や黒表示に着色が生じたり、コントラストが低下したり、あるいはノーマリブラック表示であるはずの表示がノーマリホワイト表示となることがあり、位相差の問題は大きい。
【0080】
これに対し、入射光を1/4波長位相差だけずらし、反射電極での反射によってさらに1/4波長分位相差を加えることで、この問題を解消することができる(直線偏光に変換した入射光を該位相差層の厚み方向に1回の往復にて90度偏光回転させる)。
【0081】
半透過型液晶表示装置において、位相差層に1/4波長位相を変化させる機能を付与する具体的な手法として、高分子液晶や架橋性高分子液晶溶液を用いた塗布形成方法、上述したアルカリ可溶な透明樹脂に複屈折調整剤を添加し形成する方法、重合性液晶化合物を用いる方法などが挙げられる。重合性液晶化合物の場合は、円盤状の分子構造を有するディスコティック重合性液晶化合物や棒状重合性液晶化合物を用いることができる。これらの列記した方法や材料を組み合わせて形成しても良い。
【0082】
また、偏光を1/4波長位相変化させる機能付与の再現性を高めるため、位相差層の形成前に配向膜を形成したり、配向処理を施しても良い。重合性液晶化合物のように露光量や露光波長により配向調整ができる場合は、着色画素の色によってその配向の密度や配向方向を調整することができる。配向膜の配向処理も、上記重合性液晶化合物と同様の光配向処理を採用することができる。
【0083】
露光機としては、超高圧水銀灯、YAGレーザ、固体レーザ、半導体レーザなどを露光波長も含め適宜選択することができる。レーザ露光の場合には、露光波長の選択やレーザショット回数による露光量の調整、レーザ光の入射角度等によって、配向の密度や配向方向を調整することができる。複数のフォトマスクを用いて、着色画素毎に選択露光しても良い。複数方向からの照射を一度に行っても良い。また、露光は、偏光照射及び非偏光照射を問わない。先に偏光照射を行った後、加温しながら非偏光照射で固定化を行っても良い。酸素阻害がある場合には、不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。
【0084】
位相差層の膜厚は、0.5μmから5μm程度の範囲で、カラーフィルタ構成材料にあわせて、あるいは液晶表示装置に用いる液晶層の厚みや液晶の複屈折率にあわせて調整すればよい。位相差層の位相差の大きさは、露光量のほか重合性液晶化合物に加える重合性開始剤の添加量やその種類或いはブレンドすることにより調整することができる。また、重合性液晶化合物がモノマーである場合、モノマーの反応性基を複数とすることで架橋密度をあげ、信頼性の高い位相差層とすることができる。
【0085】
重合性液晶化合物を位相差層として用いる場合、位相差層形成前に前処理として配向膜を塗布形成し、配向処理を行っても良い。また、位相差層を形成してカラーフィルタ基板とした後、液晶配向のための配向膜を形成することが望ましい。この配向膜が紫外線等のエネルギー線で配向量を調整できる配向膜である場合には、上述したようなレーザ露光により透過部と反射部とで配向量を変えたり、また、色毎の配向を異ならせることができる。あるいは、位相差層の配向処理に用いた配向膜を透過部の液晶配向に用い、また、反射部の位相差層には異なる配向機能をもつ膜を別途形成することもできる。
【0086】
位相差層の下地となる配向膜に用いることのできる有機化合物としては、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、スチレン/ビニルトルエン共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリカーボネート等のポリマーおよびシランカップリング剤等の化合物を挙げることができる。好ましいポリマーの例としては、ポリイミド、ポリスチレン、スチレン誘導体のポリマー、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよびアルキル基(炭素原子数6以上が好ましい)を有するアルキル変性ポリビニルアルコールを挙げることができる。
【0087】
1/4波長層の下地となるカラーフィルタの着色画素表面をラビングすることによっても配向効果を得ることができる。さらに、市販の配向膜材料を適用することができ、そのようなものとして、例えば、日産化学社製の配向膜材料(サンエバー)、日立化成デュポンマイクロシステムズ社製の配向膜材料(QL、LXシリーズ)、JSR社製の配向膜材料(ALシリーズ)、チッソ社製の配向剤(リクソンアライナー)等が挙げられる。これら配向膜材料は、インクジェット用インクとして粘度調整を行う場合、ガンマブチロラクトン、ジエチレングリコールモノエチルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルアセテート、シクロヘキサノンなどの有機溶剤の添加により可能である。
【0088】
位相差層の下地となる配向膜の配向処理は、液晶表示装置として用いる液晶の配向膜の配向方法と同じ方法が採用できる。例えば、機械的に配向膜の表面を擦るラビング手法のほか、紫外光を用いる光配向の方法であっても良い。紫外光の光源は、超高圧水銀灯、低圧水銀灯、ショートアーク型のキセノンランプ、固体レーザ、YAGレーザ、半導体レーザなど露光する紫外光の波長、照射角度、照射量など適宜選択できる。紫外光は、2方向、4方向など複数の方向からの照射方法を採用しても良い。
【0089】
後述する実施例では、配向膜のパターン形成は、最も簡便なインクジェット方式で行った例について説明するが、現像処理可能な感光性の配向膜材料を用い、フォトリソグラフィの手法でパターン形成を行っても良い。
【0090】
なお、本実施形態に係るカラーフィルタ基板の透過部と反射部の面積比率は、その液晶表示装置の使用目的・条件により調整することができる。
【0091】
(比誘電率)
本明細書で言う比誘電率は、液晶駆動に用いる周波数50Hzから500Hzにおいて、室温での測定を前提としている。液晶駆動周波数が500Hzを超える場合には、その適用される周波数で部材の電気特性を測定することが望ましい。
【0092】
(アレイ基板、第1電極、第2電極)
液晶表示装置のアレイ基板側の第1電極、第2電極の材料は、上述したITOなどの導電性の金属酸化物を用いることができる。金属酸化物より導電性の良い金属を採用しても良い。反射型や半透過型の液晶表示装置の場合には、第1電極、第2電極のいずれかにアルミニウム、アルミニウム合金の薄膜を用いても良い。あるいは、TFTのゲート配線などに用いる金属薄膜を、電気的に独立するパターンの光の反射膜として形成することができる。
【0093】
第1電極と第2電極とは、後述するように、厚み方向において絶縁層で電気的に絶縁される。着色層、樹脂層、絶縁層の厚みは、液晶層の厚み・誘電率・印加電圧や駆動条件によって調整することができる。絶縁層をSiNにより構成する場合、絶縁層のおよそ実用的な膜厚範囲は0.1μmから0.5μmである。第1電極と第2電極の膜厚方向の構成位置は逆の位置でも良い。また、本実施形態では、斜め電界をより有効に活用できるため、駆動電圧印加時の電気力線のおよぶ範囲を、液晶層や樹脂層を含む膜厚方向に拡げたことにより透過率をアップすることができる。
【0094】
次に、本発明の第2の実施形態に係る、誘電率異方性が負である液晶を用いた液晶表示装置について、図2を参照して詳細に説明する。
【0095】
図2は、図1に示すBM基板10とアレイ基板20とを液晶17を挟持する形で貼り合わせた液晶表示装置の模式断面図である。図中、1bは、透明基板を示す。カラーフィルタ上の保護層や配向膜、また、偏光板、位相差板などは図示を省略した。なお、偏光板は、クロスニコルとし、ノーマリブラックの液晶表示装置とした。偏光板は、たとえば、ヨウ素を含有するポリビニルアルコール系有機高分子を延伸して延伸方向に吸収軸を有する偏光板が使用できる。
【0096】
なお、以下に透過部Tでの液晶分子30の動作を代表して説明するが、反射部Rでの電極はそれぞれは反射部の第1電極11、反射部の第2電極12と置き換えて解釈することができる。
【0097】
図2は、透明導電膜である第3電極3、及び第1電極11、第2電極12に電圧が印加されていない状態での、垂直配向の液晶である液晶分子17a,17b,17c,17dの配向状態を示している。液晶分子17dは、垂直配向膜を介して基板面に垂直に配向している。緑色画素14(1/2画素)の中央部の液晶は緑色画素面に垂直に配向されているが、凸部のショルダー8a,8bの近傍の液晶17a,17b、及び凹部8のショルダー部7の近傍の液晶17cは、電圧が印加されていない状態で、やや斜めに配向している。凸部7及び凹部6を設けることによって、ラビングなどの配向処理を実施しなくとも液晶分子17a,17b,17cは、実質的にチルトを付与していることになる。この斜めの配向の状態で、液晶駆動の電圧が印加されると、液晶分子17a,17b,17cは、図3に示す矢印の方向に倒れることになる。
【0098】
本実施形態においては、誘電率異方性が負であるものと正であるものの両者を用いることができる。たとえば、負の液晶としては、室温付近で複屈折率Δnが0.1程度であるネマチック液晶を用いることができる。正の液晶は選択範囲が広いため、種々の液晶材料を用いることができる。液晶層の厚みは特に規定する必要もないが、本実施形態において実効的に用いることの可能な液晶層のΔndは、おおよそ300nmから500nmの範囲である。図示を省略した配向膜は、たとえば、ポリイミド系有機高分子膜を加熱硬膜して用いることができる。偏光板に貼り合わせる形で1から3枚の位相差板を用いても良い。なお、図3あるいは図11に示すように、第1電極11及び第2電極12は、SiNやSiO2などの絶縁層15を介して、異なるレイヤーに形成する。反射部Rに入射する外光は、アルミニウム合金薄膜からなる反射膜16により反射される。
【0099】
なお、本実施形態において、液晶の倒れる動作は、誘電率異方性が負の液晶の場合には、初期配向が垂直である液晶が駆動電圧印加時に水平方向に回転していく動作であり、あるいは誘電率異方性が正の液晶の場合、初期配向が水平である液晶が駆動電圧印加時に垂直方向に回転していく動作を意味する。
【0100】
図3は、駆動電圧の印加直後の、倒れ始めた液晶分子の動きを説明する模式断面図である。電圧印加にともない、まず、液晶分子17a,17b,17cが倒れ始め、続いてこれら液晶分子周辺の液晶分子が倒れていく。凸部7及び凹部6は、誘電体である樹脂層4が薄いか、あるいは存在しないか、もしくは第3電極3と第1電極11の距離が近いので、印加される駆動電圧が液晶分子に伝搬しやすく、液晶の倒れる動作の強いトリガーとなる。
【0101】
なお、図3の左右のそれぞれ1/2画素では、液晶の倒れる方向が逆向きとなる。このことは、中間調表示での光学的補償を駆動電圧の大きさだけで実施することができ、MVA液晶のように4つのマルチドメインを形成しなくとも広い視野角が確保できることになる。中間調(例えば、液晶分子それぞれが斜めの状態)では、図3の1/2画素と反対側の1/2画素が反対向きの傾斜勾配をもつ液晶配向となり、これら2つの1/2画素で透過光の平均化を行って視野角を拡げることができる。
【0102】
図4は、駆動電圧印加後の安定した白表示時の液晶分子の配向状態であり、液晶分子は、若干の傾斜を持ってほぼ基板面に平行となる。
【0103】
以上は、本実施形態に係るBM基板側に近い液晶分子の挙動を説明したものである。本発明の他の実施形態に係る液晶表示装置では、アレイ基板側にも上記BM基板側で示した液晶動作と同様の方向に液晶分子を倒していく技術を提案している。以下、そのような技術を、誘電率異方性が負である液晶の場合について説明する。
【0104】
図5は、櫛歯状パターンである第1電極11a、11b、これと同様に櫛歯状パターンである第2電極12a、12b、及び第1電極11a、11b近傍の垂直に配向した液晶分子27a,27b,27cを図示している。第2電極12aは、液晶27aを倒す方向であるブラックマトリクス2の方向にはみ出でている。このはみ出し部13の量は、用いる液晶材料や駆動電圧、液晶セル厚みなどのディメンションで種々調整することができる。はみ出し部13は、1μmから6μmの小さい量でも十分である。なお、配向膜は図示を省略した。
【0105】
図6に、液晶を駆動する電圧を印加した直後の液晶分子27a、27b、27cの動作と、電気力線26a,26b,26cあわせ示した。電圧印加により電気力線の方向Aに液晶分子27a,27b,27cが倒れ始める。この液晶分子の倒れる方向は、図3に示した液晶分子17a,17b,17cの倒れる方向と同一方向なので、図示した液晶分子は、同じ方向に瞬時に倒れることになり、液晶の応答性を大きく向上させる。
【0106】
なお、図6は、矩形画素14の1/2画素を図示しているが、残る1/2画素でのはみ出し部の方向は、図5の線対称で逆の方向としている。櫛歯状電極のパターンは、平面視、V字状や斜め方向でも良い。あるいは、1/4画素単位に90°向きを変えた櫛歯状パターンでも良い。これら電極の櫛歯状パターンは矩形画素の中心から見て線対称もしくは点対称であることが望ましい。
【0107】
なお、凹部6の平面視形状は、縦長の矩形画素であれば、矩形画素を2分する形で中央に直線状にいれることが好ましいが、第1電極や第2電極の櫛歯パターン形状によって、矩形画素の中心から十字状あるいはX字状に形成することができる。十字状あるいはX字状に凹部を形成した場合、第2電極のはみ出し部は、第1電極に対して矩形画素の4辺(ブラックマトリクス)に向かう方向に配設することが望ましい。第1電極や第2電極の櫛歯パターンは、矩形画素中央から点対称あるいは線対称であることが望ましい。画素を分割して液晶を駆動することにより、光学補償を完全に行うことができ、視野角が広く、どの角度から見ても色変化のない垂直配向液晶表示装置を提供できる。
【0108】
なお、第1電極11には液晶を駆動する電圧を印加するが、第2電極12、第3電極3は共通の電位(コモン)とすることができる。図6に示した第1電極11と第2電極12の重なり部分14は、補助容量として利用することができる。
【0109】
(透明樹脂)
遮光層あるいは着色層を形成するために用いる感光性着色組成物は、上記顔料分散体に加え、さらに、多官能モノマー、感光性樹脂ないし非感光性樹脂、重合開始剤、溶剤等を含有する。感光性樹脂及び非感光性樹脂など、本実施形態に用いることの可能な透明性の高い有機樹脂を総称して透明樹脂と呼ぶ。
【0110】
透明樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および感光性樹脂が含まれる。熱可塑性樹脂としては、例えば, ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂は、下記のメラミン樹脂とイソシアネート基を含有する化合物とを反応させてなるものを用いてもよい。
【0111】
(アルカリ可溶性樹脂)
本実施形態に用いる遮光層、光散乱層、着色層、セルギャップ規制層には、フォトリソグラフィによるパターン形成可能な感光性樹脂組成物を用いることが好ましい。これらの透明樹脂は、アルカリ可溶性を付与された樹脂であることが望ましい。アルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシル基又は水酸基を含む樹脂であれば特に限定はない。例えば、エポキシアクリレート系樹脂、ノボラック系樹脂、ポリビニルフェノール系樹脂、アクリル系樹脂、カルボキシル基含有エポキシ樹脂、カルボキシル基含有ウレタン樹脂等が挙げられる。中でもエポキシアクリレート系樹脂、ノボラック系樹脂、アクリル系樹脂が好ましく、特に、エポキシアクリレート系樹脂やノボラック系樹脂が好ましい。
【0112】
(アクリル樹脂)
本実施形態に採用可能な透明樹脂の代表として、以下のアクリル系樹脂を示することができる。即ち、単量体として、例えば(メタ)アクリル酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレートペンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;エトキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等のエーテル基含有(メタ)アクリレート;及びシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート等を使用した、重合体が挙げられる。
【0113】
なお、以上挙げた単量体は、単独で、または、2種以上を併用して使用することができる。さらに、これら単量体と共重合可能なスチレン、シクロヘキシルマレイミド、及びフェニルマレイミド等の化合物の共重合体でもよい。
【0114】
また、例えば(メタ)アクリル酸等のエチレン性不飽和基を有するカルボン酸を共重合し、得られた共重合体と、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基及び不飽和二重結合を含有する化合物とを反応させることや、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレートの重合体、又はそれとその他の(メタ)アクリレートとの共重合体に、(メタ)アクリル酸等のカルボン酸含有化合物を付加させることによって、感光性を有する樹脂を得ることができる。
【0115】
さらに、例えばヒドロキシエチルメタアクリレート等のモノマーの、水酸基を有する重合体に、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基及びエチレン性不飽和基を有する化合物とを反応させることによっても、感光性を有する樹脂を得ることができる。
【0116】
また、上述したように、複数の水酸基を有するヒドロキシエチルメタクリレート等の共重合体と多塩基酸無水物を反応させて、共重合体にカルボキシル基を導入し、カルボキシル基を有する樹脂を得ることが出来る。その製造方法は、上記記載の方法のみに限るものではない。
【0117】
上記の反応に用いる酸無水物の例として、例えばマロン酸無水物、コハク酸無水物、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、フタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、及びトリメリト酸無水物等が挙げられる。
【0118】
上述したアクリル系樹脂の固形分酸価は、20〜180mgKOH/gであることが好ましい。酸価が20mgKOH/gより小さい場合には、感光性樹脂組成物の現像速度が遅すぎて現像に要する時間が多くなり、生産性に劣る傾向となる。また、固形分酸価が180mgKOH/gより大きい場合には、逆に現像速度が速すぎて、現像後でのパターンハガレやパターン欠けの不具合が生じる傾向となる。
【0119】
さらに、上記アクリル系樹脂が感光性を有する場合、このアクリル樹脂の二重結合当量は100以上であることが好ましく、より好ましくは100〜2000であり、最も好ましくは100〜1000である。二重結合当量が2000を越える場合には十分な光硬化性が得られない場合がある。
【0120】
(光重合性モノマー)
光重合性モノマーの例として、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0121】
また、水酸基を有する(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させて得られる(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタンアクリレートを用いることが好ましい。なお、水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートとの組み合わせは任意であり、特に限定されるものではない。また、1種の多官能ウレタンアクリレートを単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0122】
(光重合開始剤)
光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系化合物、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系化合物、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリルs−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、O−(アセチル)-N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4’−メトキシ-ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物、9,10−フェナンスレンキノン、
カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物、ボレート系化合物、カルバゾール系化合物、イミダゾール系化合物、チタノセン系化合物等が挙げられる。 感度向上にオキシム誘導体類(オキシム系化合物)が有効である。これらは1種を単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0123】
(増感剤)
重合開始剤と光増感剤とを併用することが好ましい。増感剤として、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の化合物を併用することもできる。
【0124】
増感剤は、光重合開始剤100質量部に対して、0.1質量部から60質量部の量を含有させることができる。
【0125】
(エチレン性不飽和化合物)
上記の光重合開始剤は、エチレン性不飽和化合物と共に用いることが好ましい。エチレン性不飽和化合物としては、エチレン性不飽和結合を分子内に1個以上有する化合物を意味する。中でも、重合性、架橋性、及びそれに伴う露光部と非露光部との現像液溶解性の差異を拡大できる等の点から、エチレン性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物であることが好ましい。また、その不飽和結合は(メタ)アクリロイルオキシ基に由来する(メタ)アクリレート化合物が更に好ましい。
【0126】
エチレン性不飽和結合を分子内に1個以上有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和カルボン酸、及びそのアルキルエステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、スチレン等が挙げられる。 エチレン性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物としては、代表的には、例えば、不飽和カルボン酸とポリヒドロキシ化合物とのエステル類、(メタ)アクリロイルオキシ基含有ホスフェート類、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリイソシアネート化合物とのウレタン(メタ)アクリレート類、及び、(メタ)アクリル酸又はヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリエポキシ化合物とのエポキシ(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
【0127】
上記光重合性開始剤、増感剤、及びエチレン性不飽和化合物は、後述する位相差層の形成に用いられる重合性液晶化合物を含む組成物に加えても良い・
(多官能チオール)
感光性着色組成物には、連鎖移動剤としての働きをする多官能チオールを含有させることができる。多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等が挙げられる。
【0128】
これらの多官能チオールは、1種または2種以上混合して用いることができる。多官能チオールは、感光性着色組成物中の顔料100質量部に対して、0.2〜150質量部、好ましくは0.2〜100質量部の量で用いることができる。
【0129】
(貯蔵安定剤)
感光性着色組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。貯蔵安定剤としては、例えばベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、トリエチルホスフィン、トリフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、感光性着色組成物中の顔料100質量部に対して、0.1質量部から10質量部の量で含有させることができる。
【0130】
(密着向上剤)
感光性着色組成物には、基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。シランカップリング剤としては、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等が挙げられる。シランカップリング剤は、感光性着色組成物中の顔料100質量部に対して、0.01質量部から100質量部で含有させることができる。
【0131】
(溶剤)
前記感光性着色組成物には、基板上への均一な塗布を可能とするために、水や有機溶剤等の溶剤が配合される。また、本発明の組成物がカラーフィルタの着色層である場合、溶剤は、顔料を均一に分散させる機能も有する。溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。溶剤は、着色組成物中の顔料100質量部に対して、800質量部から4000質量部、好ましくは1000質量部から2500質量部で含有させることができる。
【0132】
(有機顔料)
赤色顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、168、177、178、179、180、184、185、187、192、200、202、208、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、246、254、255、264、272、279等を用いることができる。
【0133】
黄色顔料としては、例えば、C.I. Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、144、146、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214等が挙げられる。
【0134】
青色顔料としては、例えばC.I. Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、80等を用いることができ、これらの中では、C.I. Pigment Blue 15:6が好ましい。
【0135】
紫色顔料として、例えば、C.I. Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等を用いることができ、これらの中では、C.I. Pigment Violet 23が好ましい。
【0136】
緑色顔料としては、例えば、C.I.Pigment Green1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55、58等を用いることができ、これらの中では、C.I.Pigment Green58が好ましい。
【0137】
以下、C.I.Pigmentの顔料種の記載において、単にPB(Pigment Blue)、PV(Pigment Violet)、PR(Pigment Red)、PY(Pigment Yellow)、PG(Pigment Green)などと省略して記載することがある。
【0138】
(着色組成物の調製)
[顔料製造例R2]
ジケトピロロピロール系赤色顔料PR254(チバスペシャリティケミカルズ社製「イルガフォアレッドB-CF」;R−1)100部、色素誘導体(D−1)18部、粉砕した食塩1000部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、60℃で10時間混練した。
【0139】
この混合物を温水2000部に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、115部のソルトミリング処理顔料(R2)を得た。
【0140】
[顔料製造例R3]
アントラキノン系赤色顔料PR177(チバスペシャリティケミカルズ社製「クロモフタルレッドA2B」)100部、色素誘導体(D−2)8部、粉砕した食塩700部、およびジエチレングリコール180部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で4時間混練した。この混合物を温水4000部に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、102部のソルトミリング処理顔料(R3)を得た。
【0141】
[顔料製造例R4]
スルホン化フラスコにtert−アミルアルコール170部を窒素雰囲気下において装填し、ナトリウム11.04部を添加し、この混合物を92〜102℃に加熱した。溶融したナトリウムを激しく撹拌しながら100〜107℃に一晩保持した。
【0142】
得られた溶液に、4−クロロベンゾニトリルの44.2部およびジイソプロピルスクシナートの37.2部を、80℃でtert−アミルアルコール50部中に溶解した溶液を、80〜98℃で2時間かけて導入した。導入後、この反応混合物を80℃でさらに3時間撹拌し、同時にジイソプロピルスクシナート4.88部を滴下添加した。
【0143】
この反応混合物を室温に冷却し、メタノール270部、水200部、および濃硫酸48.1部の20℃の混合物に添加し、20℃で攪拌を6時間続けた。得られた赤色混合物を濾過し、残留物をメタノールと水とで洗浄した後、80℃で乾燥して、46.7部の赤色顔料(R4)を得た。
【0144】
[顔料製造例G2]
塩化アルミニウム356部および塩化ナトリウム6部の200℃の溶融塩に、亜鉛フタ
ロシアニン46部を溶解し、130℃まで冷却し、1時間攪拌した。反応温度を180℃に昇温し、臭素を1時間あたり10部で10時間滴下した。その後、塩素を1時間あたり0.8部で5時間導入した。
【0145】
この反応液を水3200部に徐々に注入したのち、濾過、水洗して107.8部の粗製ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を得た。粗製ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の1分子内に含まれる平均臭素化数は14.1個、平均塩素数は1.9個であった。なお、当実施例において、臭素化数を限定するものでない。
【0146】
得られた粗製ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料120部、粉砕した食塩1600部、およびジエチレングリコール270部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で12時間混練した。
【0147】
この混合物を温水5000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、117部のソルトミリング処理顔料(G2)を得た。
【0148】
[顔料製造例Y2]
セパラブルフラスコに水150部を仕込み、さらに攪拌しながら35%塩酸63部を仕込み、塩酸溶液を調製した。発泡に注意しながらベンゼンスルホニルヒドラジド38.7部を仕込み、液温が0℃以下になるまで氷を追加した。冷却後、30分かけて亜硝酸ナトリウム19部を仕込み、0〜15℃の間で30分撹拌した後、ヨウ化カリウムでんぷん紙で着色が認められなくなるまでスルファミン酸を仕込んだ。
【0149】
次に、バルビツール酸25.6部を添加した後、55℃まで昇温し、2時間そのまま撹拌した。次いで、バルビツール酸25.6部を投入し、80℃まで昇温した後、pHが5になるまで水酸化ナトリウムを投入した。さらに80℃で3時間撹拌した後、70℃まで温度を下げ、濾過し、温水洗浄を行った。
【0150】
得られたプレスケーキを1200部の温水にリスラリーした後、80℃で2時間攪拌した。その後、そのままの温度で濾過を行い、80℃の水2000部で温水洗浄を行い、ベンゼンホンアミドが濾液側へ移行していることを確認した。得られたプレスケーキを80℃で乾燥し、アゾバルビツール酸ジナトリウム塩61.0部を得た。
【0151】
次いで、セパラブルフラスコに水200部を仕込み、さらに撹拌しながら、得られたアゾバルビツール酸ジナトリウム塩の粉末8.1部を投入して分散した。均一に分散した後、溶液を95℃まで昇温した、メラミン5.7部、ジアリルアミノメラミン1.0部を添加した。さらに、塩化コバルト(II)6水和物6.3部を水30部に溶解した緑色溶液を30分かけて滴下した。滴下終了後、90℃で1.5時間錯体化を行った。
【0152】
その後、pHを5.5に調整し、さらにキシレン4部、オレイン酸ナトリウム0.4部、水16部をあらかじめ攪拌してエマルジョン状態とした溶液20.4部を添加し、さらに4時間加温撹拌した。70℃まで冷却した後、速やかに濾過し、無機塩が洗浄できるまで70℃で温水洗を繰り返した。
【0153】
その後、乾燥、粉砕の工程を経て、14部のアゾ系黄色顔料(Y2)を得た。
【0154】
[顔料製造例B2]
銅フタロシアニン系青色顔料PB15:6(東洋インキ製造社製「リオノールブルーES」)100部、粉砕した食塩800部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で12時間混練した。
【0155】
この混合物を温水3000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、98部のソルトミリング処理顔料(B2)を得た。
【0156】
[顔料製造例V2]
LIONOGEN VIOLET RL(東洋インキ製造製)300部を96%硫酸3000部に投入し、1時間撹拌した後、5℃の水に注入した。1時間撹拌後、濾過し、温水で洗浄液が中性になるまで洗浄し、70℃で乾燥した。
【0157】
得られたアシッドペースティング処理顔料を120部、塩化ナトリウム1600部、およびジエチレングリコール(東京化成社製)100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、90℃で18時間混練した。次に、この混合物を約5リットルの温水に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過、水洗して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除き、80℃で24時間乾燥し、118部のソルトミリング処理顔料(V2)を得た。
【0158】
(樹脂溶液(P2)の調製)
反応容器にシクロヘキサノン800部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら100℃に加熱して、同温度で下記のモノマーおよび熱重合開始剤の混合物を1時間かけて滴下し
て重合反応を行った。
【0159】
スチレン 70.0部
メタクリル酸 10.0部
メタクリル酸メチル 65.0部
メタクリル酸ブチル 65.0部
アゾビスイソブチロニトリル 10.0部
滴下後、さらに100℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル2.0部をシクロヘキサノン50部に溶解したものを添加し、さらに100℃で1時間反応を続けて樹脂溶液を合成した。
【0160】
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃で20分間加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20%となるようにシクロヘキサノンを添加してアクリルの樹脂溶液(P2)を調製した。
【0161】
(顔料分散体および着色組成物の調製)
下記表1に示す組成(質量部)の混合物を均一に撹拌混合した後、直径1mmのジルコニアビーズを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して赤色、緑色、青色の顔料分散体を得た。
【表1】
【0162】
その後、下記表2に示すように、顔料分散体アクリル樹脂溶液(P2)、モノマー、重合開始剤、増感剤、有機溶剤などの混合物を混合撹拌した後、5μmのフィルタでろ過し、赤色、緑色、青色のそれぞれ着色組成物を得た。以下の実施例では、下記表4の着色組成物を用いて、赤色画素、緑色画素、青色画素を形成した。
【表2】
【0163】
(遮光層の色材)
遮光層あるいはブラックマトリクス含まれる遮光性の色材は、可視光波長領域に吸収を有することにより遮光機能を示す色材である。本発明において遮光性の色材には、例えば、有機顔料、無機顔料、染料等が挙げられる。無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン等が挙げられる。染料としては、例えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、フタロシアニン系染料、キノンイミン系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、カルボニル系染料、メチン系染料等が挙げられる。有機顔料については、前記した有機顔料が採用できる。なお、遮光性成分は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。また、これら色材の表面による樹脂被覆による高体積抵抗化、逆に、樹脂の母材に対して色材の含有比率を上げて若干の導電性を付与することによる低体積抵抗化を行っても良い。しかし、こうした遮光性材料の体積抵抗値は、およそ1×108 〜1×1015 Ω・cmの範囲であるので透明導電膜の抵抗値に影響するレベルではない。同様、遮光層の比誘電率も 色材の選択や含有比率でおよそ3〜11の範囲で調整できる。
【0164】
(分散剤・分散助剤)
顔料分散剤として高分子分散剤を用いると、経時の分散安定性に優れるので好ましい。高分子分散剤としては、例えば、ウレタン系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレングリコールジエステル系分散剤、ソルビタン脂肪族エステル系分散剤、脂肪族変性ポリエステル系分散剤等を挙げることができる。中でも、特に窒素原子を含有するグラフト共重合体からなる分散剤が、顔料を多く含む本発明の遮光性感光性樹脂組成物としては、現像性の点で好ましい。
【0165】
これら分散剤の具体例としては、商品名で、EFKA(エフカーケミカルズビーブイ(EFKA)社製)、Disperbik(ビックケミー社製)、ディスパロン(楠本化成社製)、SOLSPERSE(ルーブリゾール社製)、KP(信越化学工業社製)、ポリフロー(共栄社化学社製)等を挙げることができる。これらの分散剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用することができる。
【0166】
分散助剤としては、例えば色素誘導体等を用いることができる。色素誘導体としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンズイミダゾロン系、キノフタロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、アントラキノン系、インダンスレン系、ペリレン系、ペリノン系、ジケトピロロピロール系、ジオキサジン系等の誘導体が挙げられるが、中でもキノフタロン系が好ましい。
【0167】
色素誘導体の置換基としては、例えばスルホン酸基、スルホンアミド基及びその4級塩、フタルイミドメチル基、ジアルキルアミノアルキル基、水酸基、カルボキシル基、アミド基等が顔料骨格に直接又はアルキル基、アリール基、複素環基等を介して結合したものが挙げられる。これらの中では、スルホン酸基が好ましい。また、これら置換基は、一つの顔料骨格に複数置換していてもよい。
【0168】
色素誘導体の具体例としては、フタロシアニンのスルホン酸誘導体、キノフタロンのスルホン酸誘導体、アントラキノンのスルホン酸誘導体、キナクリドンのスルホン酸誘導体、ジケトピロロピロールのスルホン酸誘導体、ジオキサジンのスルホン酸誘導体等が挙げられる。
【0169】
以上の分散助剤及び色素誘導体は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
【0170】
実施例1
以下、図1を参照して、本実施例に係る半透過型液晶表示装置用基板について説明する。
【0171】
(ブラックマトリクス形成用分散液)
カーボン顔料#47(三菱化学社製)20質量部、高分子分散剤BYK-182(ビックケミー社製)8.3質量部、銅フタロシアニン誘導体(東洋インキ製造社製)1.0質量部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート71質量部を、ビーズミル分散機にて攪拌して、カーボンブラック分散液を作製した。
【0172】
(ブラックマトリクス形成用フォトレジスト)
ブラックマトリクス形成用レジストとして、以下の材料を使用した。
【0173】
カーボンブラック分散液:顔料#47(三菱化学社製)
樹脂:V259-ME(新日鐵化学社製)(固形分56.1質量%)
モノマー:DPHA(日本化薬社製)
開始剤:OXE-02(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
OXE-01(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
エチル-3-エトキシプロピオネート
レベリング剤;BYK-330(ビックケミー社製)
上記の如き材料を、以下の組成比で攪拌して混合し、ブラックマトリクス形成用レジストとした(固形分中の顔料濃度:約20%)。
【0174】
カーボンブラック分散液 3.0質量部
樹脂 1.4質量部
モノマー 0.3質量部
開始剤 OXE-01 0.67質量部
開始剤 OXE-02 0.17質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 14質量部
エチル-3-エトキシプロピオネート 5.0質量部
レベリング剤 1.5質量部
(ブラックマトリクスの形成)
上記フォトレジストをガラスからなる透明基板1a上にスピンコートし、乾燥させ、ブラックマトリクス形成用の塗膜を作製した。かかる塗膜を100℃で3分間乾燥した後、パターン幅(ブラックマトリクスの画線幅に相当)20.5μmの開口のある露光用フォトマスクを用い、光源として超高圧水銀灯ランプを用いて、200mJ/cm2の照射量を照射した。
【0175】
次に、2.5%炭酸ナトリウム水溶液を用いて60秒間現像し、現像後よく水洗し、さらに乾燥した後、230℃で60分加熱処理してパターンを定着させて、図1に示すように、透明基板1a上にブラックマトリクス2を形成した。このブラックマトリクス2は、画線幅約20μmであり、複数の矩形画素開口部を有するマトリクスパターンであった。ブラックマトリクス2の膜厚は1.9μmであり、透明基板1aの面からの画線端部の傾斜角度は約45度とした。
【0176】
(透明導電膜の成膜)
スパッタリング装置を用いて、ブラックマトリクス2の全面を覆うように、ITO(インジウム・スズの金属酸化物)薄膜を0.14μmの膜厚で形成し、透明導電膜3とした。
【0177】
(樹脂層の形成)
さらに、ブラックマトリクス2及びその矩形開口部(画素部)を覆うように、アルカリ可溶性のアクリル感光性樹脂塗布液を用いて、硬膜後の膜厚が0.8μmになるように、凹部8を有する樹脂層4を形成した。樹脂層4の膜厚は、0.8μmとした。凹部8の深さは0.8μmであり、凹部8では透明導電膜3を露出させた。
【0178】
アクリル感光性樹脂塗布液として、下記のようにアクリル樹脂を合成し、さらにモノマー、光開始剤を加え、0.5μmのフィルトレーションを行って得た透明樹脂塗布液を用いた。
【0179】
(アクリル樹脂の合成)
反応容器にシクロヘキサノン800質量部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら加熱し、下記モノマーおよび熱重合開始剤の混合物を滴下して重合反応を行った。
【0180】
スチレン 55質量部
メタクリル酸 65質量部
メチルメタクリレート 65質量部
ベンジルメタクリレート 60質量部
熱重合開始剤 15質量部
連鎖移動剤 3質量部
混合物を滴下し、十分に加熱した後、熱重合開始剤2.0質量部をシクロヘキサノン50質量部で溶解させたものを添加し、さらに反応を続けてアクリル樹脂の溶液を得た。
【0181】
この樹脂溶液に固形分が30質量%になるようにシクロヘキサノンを添加してアクリル樹脂溶液を調製し、樹脂溶液(1)とした。
【0182】
アクリル樹脂の重量平均分子量は、約20,000であった。
【0183】
さらに、下記組成の混合物を均一に攪拌混合し、直径1mmのガラスビーズを用いて、サンドミルで2時間分散した後、0.5μmのフィルタで濾過して、透明樹脂塗布液を得た。
【0184】
樹脂溶液(1) 100質量部
多官能重合性モノマー
EO変性ビスフェノールAメタクリレート(BPE−500:新中村化学社製)
20部
光開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア907」)
16質量部
シクロヘキサノン 190質量部
(光散乱層の形成)
感光性の光散乱層用樹脂組成物を以下に示す組成で調製した。
【0185】
アルカリ可溶型感光性透明樹脂A
:フルオレン骨格を有するエポキシアクリレート樹脂 4.5質量部
透明粒子B3:MX150(綜研化学社製) 2質量部
光重合開始剤C:イルガキュア819
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 0.45質量部
溶剤D:シクロヘキサノン 21質量部
光重合モノマーE:M400(東亞合成社製) 2質量部
透明樹脂A、光重合開始剤C、及び光重合モノマーEを混合し、塗布し、乾燥し、露光(200mJ/cm2 )し、現像し、230℃で60分間硬膜した後の透明樹脂の屈折率は、1.58(D線589nm)であった。
【0186】
上記透明樹脂A、透明粒子B、光重合開始剤C、溶剤D、及び光重合モノマーEを重量比でA:B:C:D:E=4.5:2:0.45:21:2にしてメディアレス分散機で3時間混合撹拌し、光散乱層用樹脂組成物を得た。このときの組成物の粘度は14cp/25℃であった。
【0187】
次に、樹脂層4を覆うように光散乱層樹脂組成物の塗膜を形成した。光散乱層のパターンを有するフォトマスクを用いて、200mJ/cm2の紫外線を露光し、アルカリ現像液で現像した後、230℃で40分の熱処理にて硬膜し、図1に示すように、光散乱層5を形成した。光散乱層5のパターン位置は、画素の反射部Rであり、平面視で、図7(b)に示すように、矩形画素31の長手方向に沿って、ブラックマトリクス2の長辺側に配設する形となる。これにより、光散乱層5の表面からブラックマトリクス上の凸部7までの高さが1.3μmである半透過型液晶表示装置用基板(BM基板)が得られた。
【0188】
半透過型液晶表示装置として、BM基板と貼り合わせるアレイ基板の第1電極11の形状例を図7(a)に示した。第2電極の図示は省略してある。液晶セル化したときの液晶の倒れる方向は、矢印Bで示した。
【0189】
なお、本実施例に係る半透過型液晶表示装置用基板(BM基板)は、カラーフィルタをアレイ基板側に形成する、いわゆるCOA方式液晶表示装置か、あるいは、フィールドシーケンシャル(複数色のLED光源をバックライトに用い、時分割の光源駆動により、カラーフィルタなしでカラー表示を行う手法)の半透過型カラー液晶表示装置に適用することができる。
【0190】
また、本実施例では、セルギャップ調整層として、反射部の膜厚1.8μmの光散乱層5を用いた場合を示したが、この光散乱層5の代わりに1/4波長層を用いても良く、あるいは、反射部Rの下部のみ樹脂層を除いて、この部分に1/4波長層を形成するとともに、透明導電膜3を介して光散乱層5を積層しても良い。
【0191】
本実施例に係るBM基板が対象とする半透過型液晶表示装置の透過部の液晶層の厚みは、セルギャップ調整層(本実施例では光散乱層5)の膜厚1.8μmの2倍の3.6μmとなり、反射部の液晶層の厚みは1.8μmとなる。なお、セルギャップ調整層の厚みや、液晶表示装置用基板として併設するスペーサ(透明樹脂や着色層等で形成する、透過部液晶層の厚みを規制する柱)の高さを調整することにより、種々の液晶層の厚みに対応することができる。
【0192】
実施例2
実施例1では、BM基板とアレイ基板を貼り合わせてセル化したときの液晶分子の倒れる方向を、平面視で、矩形開口部の短手方向に示した(1/2画素ごとに反対方向)。実施例2では、液晶の倒れる方向が矩形画素の1/4画素ごとに90度異なる方向である場合のBM基板のパターン構成を示す。
【0193】
BM基板の加工に用いた材料とプロセスは、実施例2と同様である。
【0194】
光散乱層5のパターン位置は、平面視で、図8(b)に示すように、矩形画素41の辺方向において、ブラックマトリクス2の一部と重なるように、かつ、矩形画素41の十字型凹部26の中心から点対称の位置とした。図1に示す反射部Rの光散乱層5の表面からブラックマトリクス上の凸部7までの高さは、1.3μmとした。
【0195】
このようにして得たBM基板と貼り合わせ、半透過型液晶表示装置を構成するアレイ基板の第1電極21の形状例を図8(a)に示した。第2電極の図示は省略したが、第1電極のパターンに対し、第2電極のパターンは、平面視で、1/4画素それぞれにおいて、ブラックマトリクス2の辺方向(矢印C方向)にはみ出す形とした。液晶セル化したときの液晶の倒れる方向は、矢印Cで示した。凹部26の深さは、実施例1と同じ0.8μmとした。なお、図8(a)において、BM基板側に配設されるブラックマトリクスや光散乱層は、破線で示した。
【0196】
実施例3
実施例3では、赤色画素、緑色画素、青色画素を具備する半透過型液晶表示装置基板について、図9を参照して説明する。
【0197】
実施例3では、実施例1と同じブラックマトリクス形成用分散液を用い、同様プロセスで形成したブラックマトリクス2の開口部(矩形画素)に赤色画素31Rを赤色着色組成物にて、緑色画素31Gを緑色着色組成物にて、青色画素31Bを青色着色組成物にて形成した。着色組成物は、前記表2に示したものを用いた。
【0198】
図9に示す反射部の着色画素を含む着色画素形成のための露光用マスクは、グレートーンフォトマスク(着色画素の透過部Tと反射部Rにそれぞれ透過率差をつけたフォトマスク)を用いた。その結果、反射部Rの着色層の厚みは、1.6μm±0.2μmと透過部膜厚の略半分とした。
【0199】
透明基板上に直接形成した着色層(赤色画素31R、緑色画素31G、青色画素31B)部分の膜厚は、いずれも3.2μm±0.2μmとした。なお、矩形画素長手方向、ブラックマトリクス上では、凸部37の高さの調整のため、2色(例えば、赤色−緑色、緑色−青色、赤色-青色)の色重ねを行った。色重ねによる凸部37の高さの調整は、着色組成物の粘度、塗布条件、ブラックマトリクス画線幅、色重ねの幅などで調整することができる。本実施例では、着色画素の反射部を囲むように、高さ約1.6μmの着色画素の壁が形成されているので、次に示すインクジェットによる配向膜の形成において、インク滴の着弾時にインク滴が凹部外に流出することなく、配向膜を塗布形成することができる。
【0200】
次に、1/4波長層38を形成する前に前処理として、配向処理を以下のようにして実施した。即ち、1/4波長層38を形成するための着色画素表面の前処理として、配向膜材料(サンエバー:日産化学社製)を粘度調整したものを用いて、インクジェット塗布装置にて反射部の着色画素上に選択的に、乾燥膜厚が0.1μmになるように吐出した。
【0201】
インクジェットにおいて、不吐出、ミスディレクション、及びミストを生ずること無く正確に吐出するためには、不吐出時におけるレオロジー特性を制御する必要がある。インクジェットに充填されたインクの優れた吐出性を有するレオロジー特性は、周波数を100から0.1Hzまで変化させた時の23℃から25℃におけるインクの複素粘性率の初期値が20mPa・s以下、かつ、最大値が1000mPa以下で、周波数10Hzから50Hzでの正接損失が1から20である。インクジェットのノズルからの吐出量として、2から10pl(ピコリットル)の範囲内にて1画素あたり1回の吐出とした。
【0202】
さらにホットプレート上で90℃で1分間加熱乾燥させた後、クリーンオーブン中260℃で40分間焼成し、硬膜した。続いて、この硬膜した塗布膜に対し、一定方向にラビング処理を施すことにより、前処理とした。
【0203】
前処理を行った反射部の色画素上に、1/4波長変化させる位相差機能をもつ位相差層、即ち、1/4波長層38を膜厚1.6μm±0.1μmにて形成した。この1/4波長層38の成膜方法は、次の通りである。
【0204】
まず、下記の組成の混合物を均一になるように攪拌混合し、0.6μmのフィルタで濾過して得た重合性液晶化合物を、前処理を施した着色画素上に、乾燥膜厚が1.6μmになるように塗布し、ホットプレートにて90℃で2分間加熱乾燥した。
【0205】
水平配向重合性液晶 39.7部
(BASFジャパン株式会社製「Paliocolor LC 242」)
光重合開始剤 0.3部
(チバスペシャリティケミカルズ株式会社製「イルガキュア907」)
界面活性剤 6.0部
(ビックケミー社製「BYK111」2%シクロヘキサノン溶液)
シクロヘキサノン 154.0部
次に、この重合性液晶化合物を塗布した基板を、半導体レーザを光源とする露光機を用い、フォトマスクを介して反射部のそれぞれ着色画素領域毎に紫外線を露光した。紫外線の照射量は、レーザのショット回数を変えて、赤色画素領域では500mJ/cm2、緑色画素領域では200mJ/cm2、青色画素領域では5mJ/cm2としてそれぞれ露光し、さらに現像処理にて1/4波長層38のパターンを形成した。
【0206】
続いて、基板をクリーンオーブンに入れ、230℃で40分間焼成を行なって1/4波長層38の形成されたカラーフィルタ基板を得た。
【0207】
得られたカラーフィルタ基板の着色画素および位相差層の位相差の合計を測定したところ、赤色画素部分は波長630nmの光において166nm、緑色画素部分は波長550nmの光において136nm、青色画素部分は波長450nmの光において112nmであった。即ち、着色画素および位相差層の位相差の合計は、赤色画素における位相差の合計≧緑色画素における位相差の合計≧青色画素における位相差の合計の関係を満たしていることがわかる。
【0208】
その結果を下記表3に示す。
【表3】
【0209】
(透明導電膜の成膜)
スパッタリング装置を用いて、前記した着色画素及び位相差層の全面を覆うように、ITO(インジウム・スズの金属酸化物薄膜)を0.14μmの膜厚で形成し透明導電膜33とした。
【0210】
(樹脂層の形成)
さらに、ブラックマトリクス96及び矩形開口部(着色画素)を覆うように、実施例1と同様にアルカリ可溶性のアクリル感光性樹脂塗布液を用いて、硬膜後の膜厚が0.8μmになるように樹脂層34を形成した。樹脂層34の膜厚は、0.8μmとした。凹部36の深さは0.8μmであり、凹部36では透明導電膜33を露出させた。
【0211】
(光散乱層/セルギャップ調整層)
次に、光散乱層(セルギャップ調整層)35を、前記の光散乱層組成物をもちいて、1.9μmの膜厚にて形成した。形成方法は、光散乱層のパターンを有するフォトマスクを用い、200mJ/cm2の紫外線露光を行い、アルカリ現像液で現像した後、230℃で40分間の熱処理にて硬膜した。この露光及び熱処理は、光散乱層35下部に既に配設された1/4波長層38の追加硬膜での安定化につながる。光散乱層35の積層により、1/4波長層38の酸素阻害が解消され、再度紫外線露光を含めた硬膜処理で安定化することができる。本実施例では、あらかじめ薄い膜厚の反射部着色画素を設けた後、1/4波長層38の熱処理での硬膜を行うので、露光量の差を問わず、形状崩れはなく、良好な形状で形成することができた。
【0212】
実施例4
(液晶表示装置の作製)
図10を参照して、本実施例に係る液晶表示装置について説明する。
【0213】
本実施例は、第一電極41と絶縁層45を介して第2電極42である櫛歯状の画素電極を備えるアレイ基板40と、実施例3と同一構成の半透過型液晶表示装置用基板30を用いて液晶表示装置を作製した。液晶表示装置の外面に貼付した偏光板、位相差板及びバックライト光源は図示を省略した。なお、図10は、半透過型液晶表示装置の部分断面図である。
【0214】
本実施例に用いた半透過型液晶表示装置用基板30では、ブラックマトリクス2の上方に透明導電膜33が形成されているため、液晶表示装置を構成したときに、ブラックマトリクス2の膜厚分だけ、アレイ基板の側の第1電極41と近い距離となり、図10に矢印で示すように、斜め電界の形成がスムーズとなるという利点がある。第1電極41による斜め電界形成のため、ブラックマトリクス2の膜厚を調整することができる。
【0215】
本実施例に係る液晶表示装置は、画像表示も極めて均質であり、良好であった。着色画素の周辺や遮光層と表示領域との境界部での液晶配向の乱れもなく、光漏れのない高画質の液晶表示装置が得られた。
【0216】
なお、第2電極42は、透過部TではITOなどの透明導電性薄膜で形成し、反射部Rでは、アルミニウム合金などの金属薄膜からなる第2電極42’とすることが望ましい。第1電極や第2電極は、櫛歯状のパターンに形成しても良い。当実施例の第2電極は、第3電極3である透明導電膜の電位と同じ電位とした。
【0217】
また、上述した実施例1〜3に記載の透明導電膜は、液晶駆動時にグランドに落としても良く、あるいは、共通電極と同じ電位としても良い。
【0218】
実施例5
実施例5で用いた半透過型液晶表示装置用基板は、実施例3と同じ構成のものである。実施例5では、図11に示すように、第1電極51および第2電極52を、導電性金属酸化物であるITOにより櫛歯状パターン状に形成したアレイ基板50を用いた。
【0219】
第1電極51および第2電極52の下に、光反射性の反射膜53を、反射部Rの大きさに配設した。反射膜53は、アルミニウム合金で構成されるゲート配線と同一工程で形成したが、電気的には独立(アイソレート)させた。
【0220】
本実施例では、反射部の第1電極51および第2電極52のパターン形状に自由度をもたせることができるので、実施例4より構成である。
【0221】
以上説明した本発明の種々の実施形態及び実施例において、液晶配向方式は垂直配向方式に限定するものでない。例えば、位相差層の厚みもしくはΔndを変えた種々の位相差機能が得られ、あるいは光配向やラビングによる配向を調整することにより種々の位相差層が得られるので、様々な配向方式の液晶表示装置に対応することができる。本発明に採用することの可能な液晶材料の誘電率異方性は、正の材料でも負の材料でも良い。配向膜の配向処理を省略できるという観点では、誘電率異方性が負の液晶を採用するのが適当である。
【0222】
なお、上記した実施例は、透明導電膜上に樹脂層と光散乱層を積層する構成で示したが、光散乱層の代わりに1/4波長層あるいは1/2波長層を積層する構成であっても良い。光散乱層は、例えば、上述した特許文献5に開示されているアレイ基板側の反射領域に設けられる凹凸を有する反射膜に置き換えても良い。また、図10及び11において、TFT素子、ゲート配線、ソース配線などのメタル配線は図示を省略した。ITOとの低コンタクト性を持ちながら、ゲート配線及びソース配線をそれぞれアルミニウム合金の単層で形成する技術は、例えば特開2009−105424号公報に開示されている。
【0223】
また、直線状凹部あるいは十字状凹部は、半透過型液晶表示装置用基板と対向するアレイ基板側に電気的に独立したメタルパターンにて同一形状の遮光パターンとして配設してもよい。さらに、液晶表示装置の画素は、線状凹部にて線対称に1/2画素、あるいは点対称に1/4画素に区分されるが、TFTを一画素に2個ないし4個形成し、さらにそれぞれ異なる電圧を印加する駆動方式をとることにより、立体画像の表示を行うことができる。
【符号の説明】
【0224】
1a,1b・・・透明基板
2・・・ブラックマトリクス
3,33・・・透明導電膜(第3電極)
4,34・・・樹脂層
5,35・・・光散乱層
6・・・凹部
7・・・凸部
8a,8b,9・・・ショルダー部
10,30・・・半透過液晶表示装置用基板
11,41・・・第1電極
12,42・・・第2電極
13・・・はみ出し部
15・・・絶縁層
16・・・反射膜
17・・・液晶
17a,17b,17c・・・液晶分子
20,40,50・・・アレイ基板
31R・・・赤色画素
31G・・・緑色画素
31B・・・青色画素
【技術分野】
【0001】
本発明は、半透過型液晶表示装置用基板、カラーフィルタ基板、及びこれらを備える液晶表示装置に関する。特に、本発明は、斜め電界駆動に最適なカラーフィルタ基板及びこれを備える液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイなどの薄型表示装置のさらなる高画質化、低価格化および省電力化が求められている。液晶表示装置向けカラーフィルタにおいては、十分な色純度や高いコントラスト、平坦性など、より高画質の表示を達成するための要求がでてきている。
【0003】
高画質の液晶表示装置を得るために、VA(Vertically Alignment)、HAN(Hybrid-aligned Nematic)、TN(Twisted Nematic)、OCB(Optically Compensated Bend)、CPA(Continuous Pinwheel Alignment)などの液晶の配向方式あるいは液晶駆動方式が提案され、それにより、広視野角・高速応答の液晶表示装置が実用化されている。
【0004】
液晶分子をガラスなどの基板面に並行に配向させた、広視野角で高速応答に対応しやすいVA方式、また、広視野角に有効なHAN方式などの液晶表示装置では、カラーフィルタに対する平坦性(膜厚の均一性やカラーフィルタ表面の凹凸の低減)と誘電率などの電気的特性について、さらに高いレベルが要求されている。このような高画質液晶表示装置では、斜め方向視認での着色の低減のため、液晶セル厚(液晶層の厚み)を薄くする技術が主要な課題となっている。
【0005】
VA方式では、MVA(Multi-Domain Vertically Alignment)、PVA(Patterned Vertically Alignment)、VAECB(Vertically Alignment Electrically Controlled Birefringence)、VAHAN(Vertical Alignment Hybrid-aligned Nematic)、VATN(Vertically Alignment Twisted Nematic)等、種々の改良モードの開発が進んでいる。また、VA方式などの液晶の厚み方向に駆動電圧を印加する縦電界方式の液晶表示装置では、より高速の液晶応答、広い視野角技術、より高い透過率が主要な課題となっている。MVA技術は、液晶駆動の電圧印加時に不安定な垂直配向液晶(基板表面に対し初期垂直である液晶の、電圧印加時に倒れる方向が定まりにくいこと)の問題を解消するために、リブ状の突起あるいはスリットを複数設け、このリブ間に液晶ドメインを形成するとともに複数の配向方向のドメイン形成により、広い視野角を確保する技術である。
【0006】
特許文献1に、第1及び第2の配向規制構造体を用いて液晶ドメインを形成する技術が開示されている。特許文献2には、光配向を用いて4つの液晶ドメインを形成する技術が開示されている。当特許文献は、広い視野角を確保するためにそれぞれドメインでの厳密なチルト角(例えば89度)制御に係わる複数回の配向処理と、かつ、ドメイン形成のため、それぞれ平面視90度異なる配向軸の必要なことが開示されている。
【0007】
カラーフィルタ基板側の透明導電膜(透明電極、表示電極あるいは第3電極)と、アレイ基板側の第1と第2の電極を用い、斜め電界を用いて垂直配向の液晶を制御する技術は、特許文献3および特許文献5に開示されている。特許文献3は負の誘電率異方性の液晶を用いており、特許文献5は、その特許請求の範囲と明細書本文に正の誘電率異方性の液晶を記載している。特許文献5には、負の誘電率異方性の液晶の記載が見られない。
【0008】
特許文献6は、負の誘電率異方性の液晶を用いた半透過型液晶表示装置に関するもので、カラーフィルタ上の共通電極に電極スリット(電極開口部)を設け、さらに透過部のカラーフィルタである画素上に凸状部を設ける技術を開示している。
【0009】
通常、VA方式やTN方式などの液晶表示装置の基本的構成は、共通電極を備えたカラーフィルタ基板と、液晶を駆動する複数の画素電極(例えば、TFT素子と電気的に接続され、櫛歯状パターン状に形成された透明電極)とアレイ基板とで、液晶を挟持する構成である。この構成では、カラーフィルタ上の共通電極とアレイ基板側に形成された画素電極との間に駆動電圧を印加して液晶を駆動する。画素電極やのカラーフィルタ表面の共通電極としての透明導電膜は、通常、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、IGZO(Indium Garium Zinc Oxide)などの導電性の金属酸化物の薄膜を用いる。
【0010】
青色画素・緑色画素・赤色画素及びブラックマトリクスなどカラーフィルタを開示する技術として、例えば、ブラックマトリクスと着色画素上に透明導電膜を形成し、さらにオーバーコートを積層する技術が特許文献1に開示されている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平10−39128号公報
【特許文献2】特許第3957430号公報
【特許文献3】特許第2859093号公報
【特許文献4】特開2008−181139号公報
【特許文献5】特許第4364332号公報
【特許文献6】特許第4167963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述したように、垂直配向の液晶表示装置では、広い視野角を確保するため、リブやスリットと呼ばれる配向規制構造体で液晶のドメインを形成する(MVA技術)。液晶が負の誘電率異方性の場合、具体的には、カラーフィルタなどの上に形成した2つの樹脂製のリブ間に位置する液晶は、駆動電圧の印加時に、例えば平面視で、このリブに垂直な方向に倒れ、基板面に水平に並ぼうとする。しかし、2つのリブ間の中央の液晶は、電圧印加にも関わらず倒れる方向が一義的に定まらず、スプレー配向やベンド配向をとることがある。このような液晶の配向乱れは、液晶表示でのざらつきや表示ムラにつながっていた。また、MVA方式の場合、上記問題も含め、液晶の倒れる量を駆動電圧で細かく制御することが難しく、中間調表示に難点があった。特に駆動電圧と表示(応答時間)とのリニアリティが低く、低い駆動電圧での中間調表示に難点があった。
【0013】
この問題を解決するため、特許文献3や特許文献5に示されるように、第1と第2と第3の電極を用い、斜め電界にて液晶配向を制御する手法は極めて有効である。斜め電界により、液晶の倒れる方向を設定することができる。また、斜め電界により液晶の倒れる量を制御しやすくなり、中間調表示に大きな効果が出てくる。
【0014】
しかし、これらの技術でも、液晶のディスクリネーション対策が不十分である。ディスクリネーションとは、意図しない液晶の配向乱れや未配向により光の透過率の異なる領域が画素(画素は、液晶表示の最小単位で、本発明で表記の矩形画素と同義)内に生じる問題である。
【0015】
特許文献3では、画素中央のディスクリネーション固定化のため、対向電極(第3の電極)の画素中央に透明導電膜のない配向制御窓を設けている。しかし、画素周辺のディスクリネーションの改善策は開示されていない。また、画素中央のディスクリネーション固定化はできるものの、ディスクリネーションの最小化の方策は示されていない。さらに、液晶の応答性の改善技術についても記載されていない。
【0016】
特許文献5は、透明導電膜(透明電極)上に誘電体層を積層した分、斜め電界の効果が増長されるので好ましい。しかし、特許文献5の図7に示されるように電圧印加後も画素中央および画素端部には垂直配向の液晶が残り、透過率あるいは開口率の低下につながる問題がある。また、正の誘電率異方性の液晶を用いる場合(特許文献5は、負の誘電率異方性の液晶を その記載・実施例において開示していない)、画素中央部のディスクリネーションのため、透過率を向上させにくい。このため、半透過型液晶表示装置では採用しにくい技術となっている。さらに、特許文献5は、ブラックマトリクス上に透明導電膜を配設する構成を提案していない。
【0017】
特許文献6は、その請求項1及びその図3に開示されているように、透過部のカラーフィルタである画素の中央に凸状部を設け、さらに電極スリットにて配向の乱れ(ディスクリネーション)を生じさせにくくする技術を開示している。しかし、透過部及び反射部 それぞれ画素の中央部のみの液晶を対象としており、画素端部や画素のコーナー部でのディスクリネーションについては触れておらず、その対応策を考慮していない。ディスクリネーションの最小化への方策を示しておらず、さらに、液晶の応答性の改善技術についても記載されていない。
【0018】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされ、垂直配向方式の液晶表示装置、特に、半透過型や反射型液晶表示装置に好適なカラーフィルタ基板を提供し、あわせて液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、透明基板上に形成された、複数の矩形画素を区分する開口部を有するブラックマトリクスと、前記透明基板及びブラックマトリクス上に形成された透明導電膜と、前記透明導電膜上に形成された、画素中央に凹部を有する樹脂層と、前記樹脂層上に部分的に形成され、前記ブラックマトリクス上において前記樹脂層とともに凸部を構成するセルギャップ調整層とを具備し、前記複数の矩形画素は、前記樹脂層の凹部を中心に対称に、中心に近い側から透過部及び反射部の順で構成され、前記透過部では透明導電膜上に前記樹脂層が積層され、前記反射部では、透明導電膜上に前記樹脂層及びセルギャップ調整層が積層されていることを特徴とする半透過型液晶表示装置用基板。
【0020】
本発明の第2の態様は、透明基板上に形成された、複数の矩形画素を区分する開口部を有するブラックマトリクスと、前記透明基板及びブラックマトリクス上に形成され、前記複数の矩形画素を構成する着色層と、前記着色層上に形成された透明導電膜と、前記透明導電膜上に形成された、画素中央に凹部を有する樹脂層と、前記樹脂層上に部分的に形成され、前記ブラックマトリクス上において前記樹脂層とともに凸部を構成するセルギャップ調整層とを具備し、前記複数の矩形画素は、前記樹脂層の凹部を中心に対称に、中心に近い側から透過部及び反射部の順で構成され、前記透過部では透明導電膜上に前記樹脂層が積層され、前記反射部では、透明導電膜上に前記樹脂層及びセルギャップ調整層が積層されていることを特徴とする半透過型液晶表示装置用基板を提供する。
【0021】
上記本発明の第2の態様に係る半透過型液晶表示装置用基板において、前記反射部に配設された着色層の厚みを、前記透過部に配設された着色層の厚みの略1/2とすることが出来る。
【0022】
また、前記反射部の着色層上に1/4波長層を積層し、該1/4波長層上に透明導電膜を介して光散乱層を積層することが出来る。
【0023】
更に、前記反射部の着色層上に光散乱層を積層し、該光散乱層上に透明導電膜を介して1/4波長層を積層することが出来る。
【0024】
上記本発明の第1及び第2の態様に係る半透過型液晶表示装置用基板において、前記ブラックマトリクス上の透明基板の表面から樹脂層表面の高さのレベルA、反射部の樹脂層表面の高さのレベルB、及び透過部の樹脂層表面の高さのレベルCを、A>B>Cの関係とし、かつ、前記樹脂層の凹部の底部のレベルを、上記樹脂層表面のレベルA、B、Cより低くすることが出来る。
【0025】
前記セルギャップ調整層の厚みを、液晶表示装置の液晶層の厚みの略1/2とすることが出来る。
【0026】
前記セルギャップ調整層を、光散乱層とすることが出来る。
【0027】
前記セルギャップ調整層を、1/4波長層とすることが出来る。
【0028】
本発明の第3の態様は、第1及び第2の態様に係る液晶表示装置用基板と、液晶を駆動する素子をマトリクス状に配設したアレイ基板とを液晶を介して対向させて配置し、貼り合わせてなる液晶表示装置であって、前記アレイ基板が、それぞれ矩形画素を駆動するために電位の異なる第1電極及び第2電極を具備することを特徴とする液晶表示装置を提供する。
【0029】
上記液晶表示装置において、前記液晶の動作を、液晶を駆動する電圧を印加したときに平面視で、矩形画素中心の凹部から点対象あるいは線対称にブラックマトリクスのある辺の方向に液晶が倒れる動作とすることが出来る。
【0030】
また、前記液晶表示装置の矩形画素での液晶の動作を、液晶を駆動する電圧を印加したときに平面視で、矩形画素中心の十字型凹部を通る直線で4つに区分される動作とすることが出来る。
【0031】
また、前記第1電極が、液晶を駆動するアクティブ素子と接続された櫛歯状パターンを有し、前記第2電極が、前記第1電極と同様の櫛歯状パターンを有し、絶縁層を介して前記第1電極の下に配設され、前記第2電極のパターンが液晶の倒れる方向に前記第1電極のパターンからはみ出ている構成とすることが出来る。
【0032】
更に、前記第1電極及び第2電極を、可視域透明な導電性の金属酸化物により構成することが出来る。
【0033】
また、前記液晶として、負の誘電率異方性を有する液晶を用いることが出来る。
【発明の効果】
【0034】
本発明によると、液晶表示装置に最適な液晶装置用電極基板を提供できるとともに、より明るい液晶表示装置を提供することができる。本発明に係る液晶表示装置は、カラーフィルタ基板やアレイ基板の配向処理を軽減することができるとともに、液晶の応答性を改善することができる。また、段差部や凹部のショルダー部における液晶配向、及び第1電極、第2電極、及び透明導電膜からなる電極構成による斜め電界により、液晶のディスクリネーションを軽減し、液晶表示を向上させることができる。
【0035】
本発明によると、1/2画素あるいは1/4画素の単位で駆動電圧印加後の液晶の傾き角に分布を持たせることができ、かつ、透明導電膜上に樹脂層を積層する構成により、従来の液晶表示装置に生じていた階調シフト(中間調が白側あるいは黒側にシフトし、十分な階調表示ができないこと)を解消することができる。
【0036】
本発明に係る液晶装置用電極基板及び液晶表示装置では、電圧印加時に異なる配向状態の領域が一画素内に2つ以上あるので、液晶表示を平均化し、広い視野角を得ることができる。また、反射部において誘電体である樹脂層とセルギャップ調整層を透明導電膜上に積層することにより、反射部の液晶層の厚みが透過部の略1/2であるにも係わらず、反射部と透過部それぞれの液晶層に印加する電圧をほぼ等しくすることができる。そのため、反射部の反射光と透過部の透過光の電圧依存性を同等とすることで、反射部と透過部で違和感のない均質な表示を可能とする。
【0037】
本発明では、カラーフィルタの有効表示画素を覆うように透明導電膜を積層することにより、副次的効果として、IPS(横電界で液晶を駆動する)やFFS(櫛歯電極のフリンジに生じる電界で液晶を駆動する)方式と異なり、外部電場の影響を受けにくい液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1の実施態様に係る液晶表示装置用基板を示す断面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置を示す断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置における液晶表示装置用基板上での液晶動作の説明図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置における液晶表示装置用基板上での駆動電圧印加後の安定した白表示時の液晶分子の配向状態
【図5】本発明の他の実施形態に係る液晶表示装置のアレイ基板上での液晶動作の説明図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る液晶表示装置のアレイ基板上での液晶動作の説明図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る液晶表示装置の平面視で1画素の第1電極のパターン例を示す平面図(a)、1画素のブラックマトリクス及び光散乱層のパターン例を示す平面図(b)である。
【図8】本発明の他の実施形態に係る液晶表示装置の平面視で1画素の第1電極のパターン例を示す平面図(a)、1画素のブラックマトリクス及び光散乱層のパターン例を示す平面図(b)である。
【図9】本発明の第3の実施態様に係る液晶表示装置用基板の断面図である。
【図10】本発明の第4の実施態様に係る液晶表示装置の断面図である。
【図11】本発明の第5の実施態様に係わる液晶表示装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0040】
本発明の一実施形態は、初期配向が垂直配向の液晶を対象とし、ブラックマトリクス基板(透明基板上にブラックマトリクスを形成した基板)やカラーフィルタ基板と、TFTなどの液晶駆動素子が形成されたアレイ基板とを対向させて配置し、それらの間に垂直配向用の液晶層を挟持する形で貼り合わせた垂直配向液晶表示装置を前提とする。本発明の一実施形態は、加えて、第3電極である透明導電膜をカラーフィルタ基板に配設し、画素電極である第1電極、及びこの第1電極と電位の異なる第2電極をアレイ基板に配設し、このような電極構成で生じる斜め電界を活用する技術である。
【0041】
本発明の一実施形態に係る液晶表示装置のアレイ基板側の第1電極及び第2電極の材料は、ITOなどの導電性の金属酸化物薄膜を用いることができる。あるいは、金属酸化物薄膜より導電性の良好な金属の薄膜を採用することができる。さらに、反射型や半透過型の液晶表示装置の場合は、第1電極及び第2電極のいずれかにアルミニウム、アルミニウム合金の薄膜を用いても良い。
【0042】
本発明の一実施形態に適用できる液晶は、初期配向(駆動電圧の無印加の時)で垂直配向の液晶である。液晶の誘電率異方性は、正であっても負であっても良い。なお、負の誘電率異方性の液晶を本発明に適用した場合、チルト角設定のための配向膜の配向処理を省略できる。換言すれば、本発明で用いる垂直配向膜は、塗布形成後の熱処理だけで良く、ラビング配向や光配向などを省略できる。負の誘電率異方性の液晶を本発明に適用した場合、矩形画素中央の透過率を上げることができるため、色純度より明るさを重視する、たとえば、半透過型液晶表示装置に好適なカラーフィルタ基板を提供できる。
【0043】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る半透過型液晶表示装置用基板10を示す断面図である。この基板10は、カラーフィルタを含んでおらず、以後、ブラックマトリクス基板(BM基板)と呼ぶ。図1において、透明基板1a上に、ブラックマトリクス2、透明導電膜(第3電極)3、樹脂層4、及びセルギャップ調整層(光散乱層)5を順次形成することにより、BM基板10が構成されている。ブラックマトリクス2の開口部である矩形画素は、反射部Rと透過部Tとにより構成され、セルギャップ調整層(光散乱層)5は、反射部Rにおける樹脂層4の上に形成されている。なお、樹脂層4の中央には、線状の凹部6が形成されている。
【0044】
本発明者らは、ブラックマトリクス2の上方に突出した凸部7とセルギャップ調整層(光散乱層)5の段差のショルダー部8a,8b(肩の部分)と、矩形画素の中央部に設けられた凹部6のショルダー部9を液晶配向の制御に利用できることを見出した。この知見と第3電極3(透明導電膜)とを組み合わせ、新規な技術を提案するものである。
【0045】
ブラックマトリクス2の上方の凸部7は、異なる2色の着色画素の重畳部により構成される場合もあり、この凸部7の傾斜部での液晶配向を駆動電圧印加時の液晶の倒れに利用するものである。画素の中央の凹部6においても同様に、凹部6のショルダー部9での液晶配向を液晶の倒れに利用するものである。なお、液晶の動作については後述する。
【0046】
凸部7の頂部の、反射部Rにおけるセルギャップ調整層5の表面からの高さHは、0.4μmから2μmであるのが好ましい範囲である。0.4μm未満では、電圧印加時の“液晶の倒れのトリガー”として効果が不十分であり、その高さが2μmを超えると、液晶セルを構成した場合の液晶の流れに支障が出てくる。
【0047】
以下に、以上説明した半透過型液晶表示装置用基板の構成要素について 簡単に説明する。
【0048】
(ブラックマトリクス、矩形画素)
ブラックマトリクスとは、液晶表示のコントラストをアップさせるため、表示の最小単位である絵素の周囲、あるいは絵素の両辺に配設される遮光層からなる遮光性パターンである。遮光層は、透明樹脂に遮光性の顔料を分散させた塗膜であり、一般に感光性を付与され、露光及び現像を含むフォトリソグラフィの手法でパターニングすることにより形成される。矩形画素は、ブラックマトリクスの開口部を指し、上記絵素と同義である。
【0049】
ブラックマトリクスの傾斜部は、丸みを帯びた形状でも良く、表示領域でのブラックマトリクスの断面形状は、半月状、台形、三角形などが例示できる。ブラックマトリクスの基板面からの傾斜角度は、前記した凸部の高さが0.4μmを超えれば特に規定しなくても良い。開口率(矩形画素としての透過率)を別にすれば、2°とか3°などの低い傾斜角度でも良く、逆テーパ(上辺の大きい逆向きの台形状)でなければ良い。しかしながら、開口率の制限のため、実効的には30°から80°の範囲の傾斜が好ましい。
【0050】
(透明導電膜)
液晶表示装置用基板の上に配設される透明導電膜としては、ITOなどの金属酸化物薄膜を用いることができる。透明導電膜の形成位置は、斜め電界を活用する目的で、矩形画素周囲に形成されるブラックマトリクス上であるのが良い。
【0051】
特に、透過部の画素上における透明導電膜の位置より高いブラックマトリクス上にもあわせ形成して、アレイ基板側の画素電極(以下、第1電極)との電極間距離に差をつけることが望ましい。
【0052】
後述するように、ブラックマトリクス上に着色層を形成し、この着色層上に透明導電膜を形成することができる。
【0053】
(樹脂層)
樹脂層は、上述した透明導電膜上に配設される。樹脂層は、透明で耐熱性を有する有機樹脂により形成できる。樹脂層の厚みは、用いる液晶のセルギャップ(液晶層の厚み)や液晶の電気特性との関係で最適化すればよい。これらの観点で、たとえば、樹脂層の厚みが薄い場合には、液晶層の厚みを厚くすることができる。樹脂層の膜厚が厚い場合には、これに対応して液晶層の厚みを薄くすることができる。なお、樹脂層としては、以下の実施例で後述するアクリル樹脂などの透明な有機樹脂を採用することができる。透過部に適用できる液晶層の厚みは、2〜5μmであり、4μm前後であるのが好ましい。反射部における液晶層の厚みは、透過部の略1/2となる。
【0054】
(着色層、着色画素)
着色層は、後述する有機顔料を透明樹脂に分散させた塗膜であり、これをフォトリソグラフィの手法で矩形画素上にパターン形成したものを着色画素という。着色画素は、赤色、緑色、青色などの3原色のほか、黄色、マゼンタ、シアンや白色などから複数色を採用することができる。
【0055】
本明細書では、ブラックマトリクスを構成する遮光層を含めた複数色の着色画素からなるものをカラーフィルタと呼称し、このカラーフィルタをガラスなどの透明基板上に形成したものをカラーフィルタ基板と称する。本明細書において、略同一の膜厚とは、遮光層や着色層の形成においてその製造プロセスで制御することができる、例えば、設定膜厚に対して、カラーフィルタの製造工程において、その製造マージンである±0.2μm以内に入る膜厚を指す。
【0056】
着色画素の膜厚は、透明基板の面からそれぞれ着色画素の中心(ここでは透過部の着色層での画素中心を指す)における表面までの高さを指す。反射部の着色層の膜厚と透過部の着色層の膜厚の比を1/2〜1/4の範囲とすることが好ましい。なお、膜厚比1/2の反射部の着色層の膜厚は、着色層の厚みに対して±0.2μmの誤差の範囲内で1/2であることを言う。反射部の着色層の膜厚と透過部の着色層の膜厚の比を略1/2とすることで、透過部と反射部の光路差を考慮した本来のカラー表示を得ることができる。
【0057】
反射部は、戸外などの明るい環境下で観察するためのものであり、明るさが重要である。透過部と反射部の色度域が一致していることは望ましいが、明るさを最大限重視する場合には、色がついていると認識できる程度でも十分である。例えば、反射表示は、透過部表示の色合わせより“明るさ”を重視せざるを得ない用途(たとえば太陽光のある屋外での使用)では、膜厚比1/3や1/4とすることにより、明度の高い色とすることが望ましい。
【0058】
スタティック表示(静止画)での透過部の色度域を標準的であるNTSC比70%程度とすると、反射部については1/4膜厚の時(2回透過で)NTSC比がおおむね35〜40%程度となる。NTSC比が35〜40%であれば色がついていることを容易に認識することができるが、これを大きく下回ると色がついていることを認識しにくくなる。したがって、反射部の膜厚は、NTSC比が35〜40%程度となる1/4以上であることが望ましい。
【0059】
動画階調表示での色の視認性は、静止画表示より低下する傾向にある。使用者(観察者)による個人差があるものの、着色層の膜厚に対して1/4の凹部着色層の膜厚が、動画階調表示を行った時にカラー表示であるとの認識しやすさのほぼ下限の膜厚である。隣接する着色画素の重畳部分(以下凸部と呼称)の高さは、凸部のトップから着色画素の中心における表面までの高さとする。複数色の着色画素は、青色画素、赤色画素、緑色画素、黄色画素、白色画素(透明な画素)などと表現する。
【0060】
着色層は、後述する有機顔料を複数種、透明樹脂に混合分散させたものであるが、有機顔料は、それぞれ微妙に異なる比誘電率や異なる誘電損失を持っていることが多い。本実施形態に係る半透過型液晶表示装置用基板では、これら異なる電気特性をもつ着色層(あるいは着色画素)を透明導電膜で覆う構成であるため、液晶層にかかる印加電圧に対して着色層の影響をなくすことができ、斜め電界を有効に活用することができる。
【0061】
(セルギャップ調整層)
セルギャップ調整層は、半透過型液晶表示装置の透過部と反射部の液晶層の光路差を調整する目的で配設する。セルギャップ調整層は、反射部に必要な光散乱層を兼ねることができる。また、セルギャップ調整層は、上述した樹脂層と同じ材料でグレートーンマスクを用いて1回のフォトリソ工程で形成しても良い。
【0062】
一般に、垂直配向型の半透過型液晶表示装置の反射部には、透過部の液晶と反射部の位相差を補う1/4波長の位相差層(以下1/4波長層)が必要となるため、セルギャップ調整層に位相差機能を持たせることができる。なお、光散乱層や1/4波長層は、透明導電膜の下の透明基板側のカラーフィルタ側に配設しても良い。
【0063】
以下の実施例で詳述するように1/4波長層をカラーフィルタ側に配設する構成でのセルギャップ調整層は、光散乱の機能を持たせることが好ましい。光散乱層は、出射光に拡散性を付与し、観察者の目に入る液晶表示装置からの光をペーパーホワイト様とし、視認性の良い表示とするためのディフューザーの役目を担う。
【0064】
セルギャップ調整層の表面と透過部の着色画素の表面の高さの差は、液晶表示装置を構成したときの液晶層の厚みの略1/2とすることができる。なお、液晶層の厚みの略1/2とは、液晶層の厚みの10%以内の範囲で変動してもよく、かつ、カラーフィルタの製造工程においてその製造マージンである±0.2μm以内であることが望ましい。
【0065】
(光散乱層)
光散乱層は、単一あるいは複数種の非晶質微粒子が屈折率の異なるマトリクス樹脂(以下、透明樹脂として記載する場合がある)中に分散して成るもので、入射光を散乱させて観察者の目にペーパーホワイト様の効果を持たせる光機能膜である。マトリクス樹脂は、耐熱性があり、可視域透過である透明樹脂であれば良い。光散乱層の膜厚は、非晶質微粒子径、光の波長、及び製造工程での適合しやすさの関係で、おおよそ1.5μm〜5μmの範囲が好ましい。
【0066】
光散乱層の非晶質微粒子としては、無機物から成る微粒子及び有機ポリマーから成る微粒子を例示することができる。特に、非晶質であるということから有機ポリマー微粒子が主としてあげられるが、無機物微粒子であっても、非晶質であれば問題ない。後述する相分離によりマトリクス樹脂中に非晶質微粒子を発現する方式であっても良い。非晶質微粒子をフォトリソグラフィの手法で形成し、その上に透明樹脂を塗布する方法で形成しても良い。
【0067】
例えば、無機物微粒子としては、シリカやアルミナの酸化物等の球状の非晶質微粒子、有機ポリマー微粒子としては、アクリル微粒子やスチレンアクリル微粒子及びその架橋体、メラミン微粒子、メラミン−ホルマリン縮合物、(ポリテトラフルオロエチレン)やPFA(ペルフルオロアルコキシ樹脂)、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PVDF(ポリフルオロビニリデン)、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)等の含フッ素ポリマー、シリコン樹脂微粒子等を例示することができる。そのなかでも、架橋アクリル樹脂微粒子は屈折率が1.5未満であり、更にシリカ粒子あるいはシリコン樹脂微粒子は屈折率が1.42〜1.45(ハロゲンランプD線589nm)と小さいため、特に好ましい。
【0068】
例えば、微粒子の屈折率が1.49(ハロゲンランプD線589nmを用いての値)の架橋アクリル微粒子である場合、マトリクス樹脂の屈折率は1.55〜1.65であることが好ましい。また、微粒子が屈折率1.42〜1.45のシリカ粒子あるいはシリコン樹脂微粒子である場合、マトリクス樹脂は、屈折率1.50〜1.60であることが好ましい。
【0069】
また、これらの微粒子は、光散乱層中に微粒子として主として含まれていれば良く、例えば、微粒子の70%程度以上が含まれていれば良い。これらの微粒子の他に、塗液中での微粒子の分散安定性や、光散乱特性の微調整等を目的として、不定形微粒子等の非球状微粒子や結晶性微粒子を、30%程度以下の少量加えても良い。
【0070】
非晶質微粒子の形状は特に限定するものではないが、球形または球形に類似する形状とすることができる。球形微粒子は、サイズ、粒径分布等のコントロールが容易であり、従って、光散乱層の光学特性の制御が容易になる。微粒子の粒径としては、目的とする光散乱層の膜厚や着色有無により許容範囲が異なり、特に限定されない。しかし、通常、光散乱層の膜厚よりも大きい微粒子を使用すると、光散乱層の表面が非常に粗くなってしまい、あまり好ましくない。上記微粒子の粒径は、特に限定しないが、好ましい粒径範囲としては、平均粒子径0.8μm〜3μm程度、好ましくは平均粒子径1μm〜2μmである。
【0071】
微粒子を分散させるマトリクス樹脂としては、可視光線透過率が高く、また液晶表示装置の製造工程中における熱処理や薬品処理に対する十分な耐性を具備するものが望ましく、例えば、屈折率の高い樹脂としてエポキシ変性アクリル樹脂、フローレン樹脂、ポリイミド樹脂が、また屈折率の低い樹脂としてフッ素変性アクリル樹脂、シリコン変性アクリル樹脂が適用できる。その他アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂等が適宜使用することができる。
【0072】
光散乱層中の非晶質微粒子としては、二つの樹脂を混合し、相分離することにより形成可能な微粒子を例示することができる。異なる屈折率を有する二つ以上の樹脂、添加材を適量選定し、溶剤中に溶解した塗液を基板上に塗布乾燥することにより、非晶質微粒子を形成することができる。
【0073】
相分離は二つの樹脂を溶液中に混合した時点で、或いは基板上に塗布乾燥して溶剤が揮発していく過程で成長し、塗膜が乾燥した時点で透明な非晶質微粒子を形成することができる。このとき、溶液中では相分離した一方の樹脂が球形に成長しようとするが、基板上に塗布した場合、塗膜中の溶剤が揮発するに従い、膜容積が減少し、且つ該球形は成長して容積を増していくが、上面からの応力で球形から円盤状に変形しながら成長する。
【0074】
二つの樹脂溶液から一方の樹脂が液滴として生成成長し、非晶質微粒子が形成する条件は、一方の樹脂をA、他の樹脂をBとすると
1)Aの量がBの量より少ないこと、
2)A溶液の表面張力がB溶液の表面張力より大きいこと、
3)A溶液の蒸発速度がB溶液の蒸発速度より大きいこと、
4)Aの分子量がBの分子量より大きいこと
等があげられるが、特に量の大小は強度の制約条件である。
【0075】
非晶質微粒子が、屈折率の異なる2種類以上の樹脂溶液から相分離で生成し、形成されると、非晶質微粒子が膜の内部に留まり、表面に出ることがないので、光散乱膜層の表面が平坦になり、さらにカラーフィルタの膜厚も均一なものとなる。
【0076】
非晶質微粒子が微小樹脂パターンを溶融解して形成された半球形状のマイクロレンズであると、パターン形状(大きさと形、密度)を変更することで光散乱特性を調整することができる。あるいは、マイクロレンズの断面形状を非対称にするか放物線形状にすることによって、指向性ある光散乱層とすることができる。
【0077】
光散乱膜層をフォトリソグラフィ工程でパターン状に設ける場合には、感光性と現像性とを有するアクリル系樹脂やエポキシ系樹脂が利用することができる。また、これらの樹脂に熱硬化や紫外線硬化を付与し、併用することも可能である。
【0078】
セルギャップ調整層を光散乱層とした場合、光散乱層のパターンのサイズは、位相差層の平面視の大きさと同じサイズか、あるいは位相差層より大きいサイズのパターンで形成することが望ましい。
【0079】
(1/4波長層)
半透過型液晶表示装置の反射部は、透過部と比較して光路差のほかに液晶に起因する位相差の相違が生じる。このような反射部と透過部の位相差の相違により、反射部の反射光や黒表示に着色が生じたり、コントラストが低下したり、あるいはノーマリブラック表示であるはずの表示がノーマリホワイト表示となることがあり、位相差の問題は大きい。
【0080】
これに対し、入射光を1/4波長位相差だけずらし、反射電極での反射によってさらに1/4波長分位相差を加えることで、この問題を解消することができる(直線偏光に変換した入射光を該位相差層の厚み方向に1回の往復にて90度偏光回転させる)。
【0081】
半透過型液晶表示装置において、位相差層に1/4波長位相を変化させる機能を付与する具体的な手法として、高分子液晶や架橋性高分子液晶溶液を用いた塗布形成方法、上述したアルカリ可溶な透明樹脂に複屈折調整剤を添加し形成する方法、重合性液晶化合物を用いる方法などが挙げられる。重合性液晶化合物の場合は、円盤状の分子構造を有するディスコティック重合性液晶化合物や棒状重合性液晶化合物を用いることができる。これらの列記した方法や材料を組み合わせて形成しても良い。
【0082】
また、偏光を1/4波長位相変化させる機能付与の再現性を高めるため、位相差層の形成前に配向膜を形成したり、配向処理を施しても良い。重合性液晶化合物のように露光量や露光波長により配向調整ができる場合は、着色画素の色によってその配向の密度や配向方向を調整することができる。配向膜の配向処理も、上記重合性液晶化合物と同様の光配向処理を採用することができる。
【0083】
露光機としては、超高圧水銀灯、YAGレーザ、固体レーザ、半導体レーザなどを露光波長も含め適宜選択することができる。レーザ露光の場合には、露光波長の選択やレーザショット回数による露光量の調整、レーザ光の入射角度等によって、配向の密度や配向方向を調整することができる。複数のフォトマスクを用いて、着色画素毎に選択露光しても良い。複数方向からの照射を一度に行っても良い。また、露光は、偏光照射及び非偏光照射を問わない。先に偏光照射を行った後、加温しながら非偏光照射で固定化を行っても良い。酸素阻害がある場合には、不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。
【0084】
位相差層の膜厚は、0.5μmから5μm程度の範囲で、カラーフィルタ構成材料にあわせて、あるいは液晶表示装置に用いる液晶層の厚みや液晶の複屈折率にあわせて調整すればよい。位相差層の位相差の大きさは、露光量のほか重合性液晶化合物に加える重合性開始剤の添加量やその種類或いはブレンドすることにより調整することができる。また、重合性液晶化合物がモノマーである場合、モノマーの反応性基を複数とすることで架橋密度をあげ、信頼性の高い位相差層とすることができる。
【0085】
重合性液晶化合物を位相差層として用いる場合、位相差層形成前に前処理として配向膜を塗布形成し、配向処理を行っても良い。また、位相差層を形成してカラーフィルタ基板とした後、液晶配向のための配向膜を形成することが望ましい。この配向膜が紫外線等のエネルギー線で配向量を調整できる配向膜である場合には、上述したようなレーザ露光により透過部と反射部とで配向量を変えたり、また、色毎の配向を異ならせることができる。あるいは、位相差層の配向処理に用いた配向膜を透過部の液晶配向に用い、また、反射部の位相差層には異なる配向機能をもつ膜を別途形成することもできる。
【0086】
位相差層の下地となる配向膜に用いることのできる有機化合物としては、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、スチレン/ビニルトルエン共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリカーボネート等のポリマーおよびシランカップリング剤等の化合物を挙げることができる。好ましいポリマーの例としては、ポリイミド、ポリスチレン、スチレン誘導体のポリマー、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよびアルキル基(炭素原子数6以上が好ましい)を有するアルキル変性ポリビニルアルコールを挙げることができる。
【0087】
1/4波長層の下地となるカラーフィルタの着色画素表面をラビングすることによっても配向効果を得ることができる。さらに、市販の配向膜材料を適用することができ、そのようなものとして、例えば、日産化学社製の配向膜材料(サンエバー)、日立化成デュポンマイクロシステムズ社製の配向膜材料(QL、LXシリーズ)、JSR社製の配向膜材料(ALシリーズ)、チッソ社製の配向剤(リクソンアライナー)等が挙げられる。これら配向膜材料は、インクジェット用インクとして粘度調整を行う場合、ガンマブチロラクトン、ジエチレングリコールモノエチルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルアセテート、シクロヘキサノンなどの有機溶剤の添加により可能である。
【0088】
位相差層の下地となる配向膜の配向処理は、液晶表示装置として用いる液晶の配向膜の配向方法と同じ方法が採用できる。例えば、機械的に配向膜の表面を擦るラビング手法のほか、紫外光を用いる光配向の方法であっても良い。紫外光の光源は、超高圧水銀灯、低圧水銀灯、ショートアーク型のキセノンランプ、固体レーザ、YAGレーザ、半導体レーザなど露光する紫外光の波長、照射角度、照射量など適宜選択できる。紫外光は、2方向、4方向など複数の方向からの照射方法を採用しても良い。
【0089】
後述する実施例では、配向膜のパターン形成は、最も簡便なインクジェット方式で行った例について説明するが、現像処理可能な感光性の配向膜材料を用い、フォトリソグラフィの手法でパターン形成を行っても良い。
【0090】
なお、本実施形態に係るカラーフィルタ基板の透過部と反射部の面積比率は、その液晶表示装置の使用目的・条件により調整することができる。
【0091】
(比誘電率)
本明細書で言う比誘電率は、液晶駆動に用いる周波数50Hzから500Hzにおいて、室温での測定を前提としている。液晶駆動周波数が500Hzを超える場合には、その適用される周波数で部材の電気特性を測定することが望ましい。
【0092】
(アレイ基板、第1電極、第2電極)
液晶表示装置のアレイ基板側の第1電極、第2電極の材料は、上述したITOなどの導電性の金属酸化物を用いることができる。金属酸化物より導電性の良い金属を採用しても良い。反射型や半透過型の液晶表示装置の場合には、第1電極、第2電極のいずれかにアルミニウム、アルミニウム合金の薄膜を用いても良い。あるいは、TFTのゲート配線などに用いる金属薄膜を、電気的に独立するパターンの光の反射膜として形成することができる。
【0093】
第1電極と第2電極とは、後述するように、厚み方向において絶縁層で電気的に絶縁される。着色層、樹脂層、絶縁層の厚みは、液晶層の厚み・誘電率・印加電圧や駆動条件によって調整することができる。絶縁層をSiNにより構成する場合、絶縁層のおよそ実用的な膜厚範囲は0.1μmから0.5μmである。第1電極と第2電極の膜厚方向の構成位置は逆の位置でも良い。また、本実施形態では、斜め電界をより有効に活用できるため、駆動電圧印加時の電気力線のおよぶ範囲を、液晶層や樹脂層を含む膜厚方向に拡げたことにより透過率をアップすることができる。
【0094】
次に、本発明の第2の実施形態に係る、誘電率異方性が負である液晶を用いた液晶表示装置について、図2を参照して詳細に説明する。
【0095】
図2は、図1に示すBM基板10とアレイ基板20とを液晶17を挟持する形で貼り合わせた液晶表示装置の模式断面図である。図中、1bは、透明基板を示す。カラーフィルタ上の保護層や配向膜、また、偏光板、位相差板などは図示を省略した。なお、偏光板は、クロスニコルとし、ノーマリブラックの液晶表示装置とした。偏光板は、たとえば、ヨウ素を含有するポリビニルアルコール系有機高分子を延伸して延伸方向に吸収軸を有する偏光板が使用できる。
【0096】
なお、以下に透過部Tでの液晶分子30の動作を代表して説明するが、反射部Rでの電極はそれぞれは反射部の第1電極11、反射部の第2電極12と置き換えて解釈することができる。
【0097】
図2は、透明導電膜である第3電極3、及び第1電極11、第2電極12に電圧が印加されていない状態での、垂直配向の液晶である液晶分子17a,17b,17c,17dの配向状態を示している。液晶分子17dは、垂直配向膜を介して基板面に垂直に配向している。緑色画素14(1/2画素)の中央部の液晶は緑色画素面に垂直に配向されているが、凸部のショルダー8a,8bの近傍の液晶17a,17b、及び凹部8のショルダー部7の近傍の液晶17cは、電圧が印加されていない状態で、やや斜めに配向している。凸部7及び凹部6を設けることによって、ラビングなどの配向処理を実施しなくとも液晶分子17a,17b,17cは、実質的にチルトを付与していることになる。この斜めの配向の状態で、液晶駆動の電圧が印加されると、液晶分子17a,17b,17cは、図3に示す矢印の方向に倒れることになる。
【0098】
本実施形態においては、誘電率異方性が負であるものと正であるものの両者を用いることができる。たとえば、負の液晶としては、室温付近で複屈折率Δnが0.1程度であるネマチック液晶を用いることができる。正の液晶は選択範囲が広いため、種々の液晶材料を用いることができる。液晶層の厚みは特に規定する必要もないが、本実施形態において実効的に用いることの可能な液晶層のΔndは、おおよそ300nmから500nmの範囲である。図示を省略した配向膜は、たとえば、ポリイミド系有機高分子膜を加熱硬膜して用いることができる。偏光板に貼り合わせる形で1から3枚の位相差板を用いても良い。なお、図3あるいは図11に示すように、第1電極11及び第2電極12は、SiNやSiO2などの絶縁層15を介して、異なるレイヤーに形成する。反射部Rに入射する外光は、アルミニウム合金薄膜からなる反射膜16により反射される。
【0099】
なお、本実施形態において、液晶の倒れる動作は、誘電率異方性が負の液晶の場合には、初期配向が垂直である液晶が駆動電圧印加時に水平方向に回転していく動作であり、あるいは誘電率異方性が正の液晶の場合、初期配向が水平である液晶が駆動電圧印加時に垂直方向に回転していく動作を意味する。
【0100】
図3は、駆動電圧の印加直後の、倒れ始めた液晶分子の動きを説明する模式断面図である。電圧印加にともない、まず、液晶分子17a,17b,17cが倒れ始め、続いてこれら液晶分子周辺の液晶分子が倒れていく。凸部7及び凹部6は、誘電体である樹脂層4が薄いか、あるいは存在しないか、もしくは第3電極3と第1電極11の距離が近いので、印加される駆動電圧が液晶分子に伝搬しやすく、液晶の倒れる動作の強いトリガーとなる。
【0101】
なお、図3の左右のそれぞれ1/2画素では、液晶の倒れる方向が逆向きとなる。このことは、中間調表示での光学的補償を駆動電圧の大きさだけで実施することができ、MVA液晶のように4つのマルチドメインを形成しなくとも広い視野角が確保できることになる。中間調(例えば、液晶分子それぞれが斜めの状態)では、図3の1/2画素と反対側の1/2画素が反対向きの傾斜勾配をもつ液晶配向となり、これら2つの1/2画素で透過光の平均化を行って視野角を拡げることができる。
【0102】
図4は、駆動電圧印加後の安定した白表示時の液晶分子の配向状態であり、液晶分子は、若干の傾斜を持ってほぼ基板面に平行となる。
【0103】
以上は、本実施形態に係るBM基板側に近い液晶分子の挙動を説明したものである。本発明の他の実施形態に係る液晶表示装置では、アレイ基板側にも上記BM基板側で示した液晶動作と同様の方向に液晶分子を倒していく技術を提案している。以下、そのような技術を、誘電率異方性が負である液晶の場合について説明する。
【0104】
図5は、櫛歯状パターンである第1電極11a、11b、これと同様に櫛歯状パターンである第2電極12a、12b、及び第1電極11a、11b近傍の垂直に配向した液晶分子27a,27b,27cを図示している。第2電極12aは、液晶27aを倒す方向であるブラックマトリクス2の方向にはみ出でている。このはみ出し部13の量は、用いる液晶材料や駆動電圧、液晶セル厚みなどのディメンションで種々調整することができる。はみ出し部13は、1μmから6μmの小さい量でも十分である。なお、配向膜は図示を省略した。
【0105】
図6に、液晶を駆動する電圧を印加した直後の液晶分子27a、27b、27cの動作と、電気力線26a,26b,26cあわせ示した。電圧印加により電気力線の方向Aに液晶分子27a,27b,27cが倒れ始める。この液晶分子の倒れる方向は、図3に示した液晶分子17a,17b,17cの倒れる方向と同一方向なので、図示した液晶分子は、同じ方向に瞬時に倒れることになり、液晶の応答性を大きく向上させる。
【0106】
なお、図6は、矩形画素14の1/2画素を図示しているが、残る1/2画素でのはみ出し部の方向は、図5の線対称で逆の方向としている。櫛歯状電極のパターンは、平面視、V字状や斜め方向でも良い。あるいは、1/4画素単位に90°向きを変えた櫛歯状パターンでも良い。これら電極の櫛歯状パターンは矩形画素の中心から見て線対称もしくは点対称であることが望ましい。
【0107】
なお、凹部6の平面視形状は、縦長の矩形画素であれば、矩形画素を2分する形で中央に直線状にいれることが好ましいが、第1電極や第2電極の櫛歯パターン形状によって、矩形画素の中心から十字状あるいはX字状に形成することができる。十字状あるいはX字状に凹部を形成した場合、第2電極のはみ出し部は、第1電極に対して矩形画素の4辺(ブラックマトリクス)に向かう方向に配設することが望ましい。第1電極や第2電極の櫛歯パターンは、矩形画素中央から点対称あるいは線対称であることが望ましい。画素を分割して液晶を駆動することにより、光学補償を完全に行うことができ、視野角が広く、どの角度から見ても色変化のない垂直配向液晶表示装置を提供できる。
【0108】
なお、第1電極11には液晶を駆動する電圧を印加するが、第2電極12、第3電極3は共通の電位(コモン)とすることができる。図6に示した第1電極11と第2電極12の重なり部分14は、補助容量として利用することができる。
【0109】
(透明樹脂)
遮光層あるいは着色層を形成するために用いる感光性着色組成物は、上記顔料分散体に加え、さらに、多官能モノマー、感光性樹脂ないし非感光性樹脂、重合開始剤、溶剤等を含有する。感光性樹脂及び非感光性樹脂など、本実施形態に用いることの可能な透明性の高い有機樹脂を総称して透明樹脂と呼ぶ。
【0110】
透明樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および感光性樹脂が含まれる。熱可塑性樹脂としては、例えば, ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂は、下記のメラミン樹脂とイソシアネート基を含有する化合物とを反応させてなるものを用いてもよい。
【0111】
(アルカリ可溶性樹脂)
本実施形態に用いる遮光層、光散乱層、着色層、セルギャップ規制層には、フォトリソグラフィによるパターン形成可能な感光性樹脂組成物を用いることが好ましい。これらの透明樹脂は、アルカリ可溶性を付与された樹脂であることが望ましい。アルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシル基又は水酸基を含む樹脂であれば特に限定はない。例えば、エポキシアクリレート系樹脂、ノボラック系樹脂、ポリビニルフェノール系樹脂、アクリル系樹脂、カルボキシル基含有エポキシ樹脂、カルボキシル基含有ウレタン樹脂等が挙げられる。中でもエポキシアクリレート系樹脂、ノボラック系樹脂、アクリル系樹脂が好ましく、特に、エポキシアクリレート系樹脂やノボラック系樹脂が好ましい。
【0112】
(アクリル樹脂)
本実施形態に採用可能な透明樹脂の代表として、以下のアクリル系樹脂を示することができる。即ち、単量体として、例えば(メタ)アクリル酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレートペンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;エトキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等のエーテル基含有(メタ)アクリレート;及びシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート等を使用した、重合体が挙げられる。
【0113】
なお、以上挙げた単量体は、単独で、または、2種以上を併用して使用することができる。さらに、これら単量体と共重合可能なスチレン、シクロヘキシルマレイミド、及びフェニルマレイミド等の化合物の共重合体でもよい。
【0114】
また、例えば(メタ)アクリル酸等のエチレン性不飽和基を有するカルボン酸を共重合し、得られた共重合体と、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基及び不飽和二重結合を含有する化合物とを反応させることや、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレートの重合体、又はそれとその他の(メタ)アクリレートとの共重合体に、(メタ)アクリル酸等のカルボン酸含有化合物を付加させることによって、感光性を有する樹脂を得ることができる。
【0115】
さらに、例えばヒドロキシエチルメタアクリレート等のモノマーの、水酸基を有する重合体に、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基及びエチレン性不飽和基を有する化合物とを反応させることによっても、感光性を有する樹脂を得ることができる。
【0116】
また、上述したように、複数の水酸基を有するヒドロキシエチルメタクリレート等の共重合体と多塩基酸無水物を反応させて、共重合体にカルボキシル基を導入し、カルボキシル基を有する樹脂を得ることが出来る。その製造方法は、上記記載の方法のみに限るものではない。
【0117】
上記の反応に用いる酸無水物の例として、例えばマロン酸無水物、コハク酸無水物、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、フタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、及びトリメリト酸無水物等が挙げられる。
【0118】
上述したアクリル系樹脂の固形分酸価は、20〜180mgKOH/gであることが好ましい。酸価が20mgKOH/gより小さい場合には、感光性樹脂組成物の現像速度が遅すぎて現像に要する時間が多くなり、生産性に劣る傾向となる。また、固形分酸価が180mgKOH/gより大きい場合には、逆に現像速度が速すぎて、現像後でのパターンハガレやパターン欠けの不具合が生じる傾向となる。
【0119】
さらに、上記アクリル系樹脂が感光性を有する場合、このアクリル樹脂の二重結合当量は100以上であることが好ましく、より好ましくは100〜2000であり、最も好ましくは100〜1000である。二重結合当量が2000を越える場合には十分な光硬化性が得られない場合がある。
【0120】
(光重合性モノマー)
光重合性モノマーの例として、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0121】
また、水酸基を有する(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させて得られる(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタンアクリレートを用いることが好ましい。なお、水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートとの組み合わせは任意であり、特に限定されるものではない。また、1種の多官能ウレタンアクリレートを単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0122】
(光重合開始剤)
光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系化合物、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系化合物、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリルs−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、O−(アセチル)-N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4’−メトキシ-ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物、9,10−フェナンスレンキノン、
カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物、ボレート系化合物、カルバゾール系化合物、イミダゾール系化合物、チタノセン系化合物等が挙げられる。 感度向上にオキシム誘導体類(オキシム系化合物)が有効である。これらは1種を単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0123】
(増感剤)
重合開始剤と光増感剤とを併用することが好ましい。増感剤として、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の化合物を併用することもできる。
【0124】
増感剤は、光重合開始剤100質量部に対して、0.1質量部から60質量部の量を含有させることができる。
【0125】
(エチレン性不飽和化合物)
上記の光重合開始剤は、エチレン性不飽和化合物と共に用いることが好ましい。エチレン性不飽和化合物としては、エチレン性不飽和結合を分子内に1個以上有する化合物を意味する。中でも、重合性、架橋性、及びそれに伴う露光部と非露光部との現像液溶解性の差異を拡大できる等の点から、エチレン性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物であることが好ましい。また、その不飽和結合は(メタ)アクリロイルオキシ基に由来する(メタ)アクリレート化合物が更に好ましい。
【0126】
エチレン性不飽和結合を分子内に1個以上有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和カルボン酸、及びそのアルキルエステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、スチレン等が挙げられる。 エチレン性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物としては、代表的には、例えば、不飽和カルボン酸とポリヒドロキシ化合物とのエステル類、(メタ)アクリロイルオキシ基含有ホスフェート類、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリイソシアネート化合物とのウレタン(メタ)アクリレート類、及び、(メタ)アクリル酸又はヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリエポキシ化合物とのエポキシ(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
【0127】
上記光重合性開始剤、増感剤、及びエチレン性不飽和化合物は、後述する位相差層の形成に用いられる重合性液晶化合物を含む組成物に加えても良い・
(多官能チオール)
感光性着色組成物には、連鎖移動剤としての働きをする多官能チオールを含有させることができる。多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等が挙げられる。
【0128】
これらの多官能チオールは、1種または2種以上混合して用いることができる。多官能チオールは、感光性着色組成物中の顔料100質量部に対して、0.2〜150質量部、好ましくは0.2〜100質量部の量で用いることができる。
【0129】
(貯蔵安定剤)
感光性着色組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。貯蔵安定剤としては、例えばベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、トリエチルホスフィン、トリフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、感光性着色組成物中の顔料100質量部に対して、0.1質量部から10質量部の量で含有させることができる。
【0130】
(密着向上剤)
感光性着色組成物には、基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。シランカップリング剤としては、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等が挙げられる。シランカップリング剤は、感光性着色組成物中の顔料100質量部に対して、0.01質量部から100質量部で含有させることができる。
【0131】
(溶剤)
前記感光性着色組成物には、基板上への均一な塗布を可能とするために、水や有機溶剤等の溶剤が配合される。また、本発明の組成物がカラーフィルタの着色層である場合、溶剤は、顔料を均一に分散させる機能も有する。溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。溶剤は、着色組成物中の顔料100質量部に対して、800質量部から4000質量部、好ましくは1000質量部から2500質量部で含有させることができる。
【0132】
(有機顔料)
赤色顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、168、177、178、179、180、184、185、187、192、200、202、208、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、246、254、255、264、272、279等を用いることができる。
【0133】
黄色顔料としては、例えば、C.I. Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、144、146、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214等が挙げられる。
【0134】
青色顔料としては、例えばC.I. Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、80等を用いることができ、これらの中では、C.I. Pigment Blue 15:6が好ましい。
【0135】
紫色顔料として、例えば、C.I. Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等を用いることができ、これらの中では、C.I. Pigment Violet 23が好ましい。
【0136】
緑色顔料としては、例えば、C.I.Pigment Green1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55、58等を用いることができ、これらの中では、C.I.Pigment Green58が好ましい。
【0137】
以下、C.I.Pigmentの顔料種の記載において、単にPB(Pigment Blue)、PV(Pigment Violet)、PR(Pigment Red)、PY(Pigment Yellow)、PG(Pigment Green)などと省略して記載することがある。
【0138】
(着色組成物の調製)
[顔料製造例R2]
ジケトピロロピロール系赤色顔料PR254(チバスペシャリティケミカルズ社製「イルガフォアレッドB-CF」;R−1)100部、色素誘導体(D−1)18部、粉砕した食塩1000部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、60℃で10時間混練した。
【0139】
この混合物を温水2000部に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、115部のソルトミリング処理顔料(R2)を得た。
【0140】
[顔料製造例R3]
アントラキノン系赤色顔料PR177(チバスペシャリティケミカルズ社製「クロモフタルレッドA2B」)100部、色素誘導体(D−2)8部、粉砕した食塩700部、およびジエチレングリコール180部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で4時間混練した。この混合物を温水4000部に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、102部のソルトミリング処理顔料(R3)を得た。
【0141】
[顔料製造例R4]
スルホン化フラスコにtert−アミルアルコール170部を窒素雰囲気下において装填し、ナトリウム11.04部を添加し、この混合物を92〜102℃に加熱した。溶融したナトリウムを激しく撹拌しながら100〜107℃に一晩保持した。
【0142】
得られた溶液に、4−クロロベンゾニトリルの44.2部およびジイソプロピルスクシナートの37.2部を、80℃でtert−アミルアルコール50部中に溶解した溶液を、80〜98℃で2時間かけて導入した。導入後、この反応混合物を80℃でさらに3時間撹拌し、同時にジイソプロピルスクシナート4.88部を滴下添加した。
【0143】
この反応混合物を室温に冷却し、メタノール270部、水200部、および濃硫酸48.1部の20℃の混合物に添加し、20℃で攪拌を6時間続けた。得られた赤色混合物を濾過し、残留物をメタノールと水とで洗浄した後、80℃で乾燥して、46.7部の赤色顔料(R4)を得た。
【0144】
[顔料製造例G2]
塩化アルミニウム356部および塩化ナトリウム6部の200℃の溶融塩に、亜鉛フタ
ロシアニン46部を溶解し、130℃まで冷却し、1時間攪拌した。反応温度を180℃に昇温し、臭素を1時間あたり10部で10時間滴下した。その後、塩素を1時間あたり0.8部で5時間導入した。
【0145】
この反応液を水3200部に徐々に注入したのち、濾過、水洗して107.8部の粗製ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を得た。粗製ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の1分子内に含まれる平均臭素化数は14.1個、平均塩素数は1.9個であった。なお、当実施例において、臭素化数を限定するものでない。
【0146】
得られた粗製ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料120部、粉砕した食塩1600部、およびジエチレングリコール270部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で12時間混練した。
【0147】
この混合物を温水5000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、117部のソルトミリング処理顔料(G2)を得た。
【0148】
[顔料製造例Y2]
セパラブルフラスコに水150部を仕込み、さらに攪拌しながら35%塩酸63部を仕込み、塩酸溶液を調製した。発泡に注意しながらベンゼンスルホニルヒドラジド38.7部を仕込み、液温が0℃以下になるまで氷を追加した。冷却後、30分かけて亜硝酸ナトリウム19部を仕込み、0〜15℃の間で30分撹拌した後、ヨウ化カリウムでんぷん紙で着色が認められなくなるまでスルファミン酸を仕込んだ。
【0149】
次に、バルビツール酸25.6部を添加した後、55℃まで昇温し、2時間そのまま撹拌した。次いで、バルビツール酸25.6部を投入し、80℃まで昇温した後、pHが5になるまで水酸化ナトリウムを投入した。さらに80℃で3時間撹拌した後、70℃まで温度を下げ、濾過し、温水洗浄を行った。
【0150】
得られたプレスケーキを1200部の温水にリスラリーした後、80℃で2時間攪拌した。その後、そのままの温度で濾過を行い、80℃の水2000部で温水洗浄を行い、ベンゼンホンアミドが濾液側へ移行していることを確認した。得られたプレスケーキを80℃で乾燥し、アゾバルビツール酸ジナトリウム塩61.0部を得た。
【0151】
次いで、セパラブルフラスコに水200部を仕込み、さらに撹拌しながら、得られたアゾバルビツール酸ジナトリウム塩の粉末8.1部を投入して分散した。均一に分散した後、溶液を95℃まで昇温した、メラミン5.7部、ジアリルアミノメラミン1.0部を添加した。さらに、塩化コバルト(II)6水和物6.3部を水30部に溶解した緑色溶液を30分かけて滴下した。滴下終了後、90℃で1.5時間錯体化を行った。
【0152】
その後、pHを5.5に調整し、さらにキシレン4部、オレイン酸ナトリウム0.4部、水16部をあらかじめ攪拌してエマルジョン状態とした溶液20.4部を添加し、さらに4時間加温撹拌した。70℃まで冷却した後、速やかに濾過し、無機塩が洗浄できるまで70℃で温水洗を繰り返した。
【0153】
その後、乾燥、粉砕の工程を経て、14部のアゾ系黄色顔料(Y2)を得た。
【0154】
[顔料製造例B2]
銅フタロシアニン系青色顔料PB15:6(東洋インキ製造社製「リオノールブルーES」)100部、粉砕した食塩800部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で12時間混練した。
【0155】
この混合物を温水3000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、98部のソルトミリング処理顔料(B2)を得た。
【0156】
[顔料製造例V2]
LIONOGEN VIOLET RL(東洋インキ製造製)300部を96%硫酸3000部に投入し、1時間撹拌した後、5℃の水に注入した。1時間撹拌後、濾過し、温水で洗浄液が中性になるまで洗浄し、70℃で乾燥した。
【0157】
得られたアシッドペースティング処理顔料を120部、塩化ナトリウム1600部、およびジエチレングリコール(東京化成社製)100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、90℃で18時間混練した。次に、この混合物を約5リットルの温水に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過、水洗して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除き、80℃で24時間乾燥し、118部のソルトミリング処理顔料(V2)を得た。
【0158】
(樹脂溶液(P2)の調製)
反応容器にシクロヘキサノン800部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら100℃に加熱して、同温度で下記のモノマーおよび熱重合開始剤の混合物を1時間かけて滴下し
て重合反応を行った。
【0159】
スチレン 70.0部
メタクリル酸 10.0部
メタクリル酸メチル 65.0部
メタクリル酸ブチル 65.0部
アゾビスイソブチロニトリル 10.0部
滴下後、さらに100℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル2.0部をシクロヘキサノン50部に溶解したものを添加し、さらに100℃で1時間反応を続けて樹脂溶液を合成した。
【0160】
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃で20分間加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20%となるようにシクロヘキサノンを添加してアクリルの樹脂溶液(P2)を調製した。
【0161】
(顔料分散体および着色組成物の調製)
下記表1に示す組成(質量部)の混合物を均一に撹拌混合した後、直径1mmのジルコニアビーズを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して赤色、緑色、青色の顔料分散体を得た。
【表1】
【0162】
その後、下記表2に示すように、顔料分散体アクリル樹脂溶液(P2)、モノマー、重合開始剤、増感剤、有機溶剤などの混合物を混合撹拌した後、5μmのフィルタでろ過し、赤色、緑色、青色のそれぞれ着色組成物を得た。以下の実施例では、下記表4の着色組成物を用いて、赤色画素、緑色画素、青色画素を形成した。
【表2】
【0163】
(遮光層の色材)
遮光層あるいはブラックマトリクス含まれる遮光性の色材は、可視光波長領域に吸収を有することにより遮光機能を示す色材である。本発明において遮光性の色材には、例えば、有機顔料、無機顔料、染料等が挙げられる。無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン等が挙げられる。染料としては、例えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、フタロシアニン系染料、キノンイミン系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、カルボニル系染料、メチン系染料等が挙げられる。有機顔料については、前記した有機顔料が採用できる。なお、遮光性成分は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。また、これら色材の表面による樹脂被覆による高体積抵抗化、逆に、樹脂の母材に対して色材の含有比率を上げて若干の導電性を付与することによる低体積抵抗化を行っても良い。しかし、こうした遮光性材料の体積抵抗値は、およそ1×108 〜1×1015 Ω・cmの範囲であるので透明導電膜の抵抗値に影響するレベルではない。同様、遮光層の比誘電率も 色材の選択や含有比率でおよそ3〜11の範囲で調整できる。
【0164】
(分散剤・分散助剤)
顔料分散剤として高分子分散剤を用いると、経時の分散安定性に優れるので好ましい。高分子分散剤としては、例えば、ウレタン系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレングリコールジエステル系分散剤、ソルビタン脂肪族エステル系分散剤、脂肪族変性ポリエステル系分散剤等を挙げることができる。中でも、特に窒素原子を含有するグラフト共重合体からなる分散剤が、顔料を多く含む本発明の遮光性感光性樹脂組成物としては、現像性の点で好ましい。
【0165】
これら分散剤の具体例としては、商品名で、EFKA(エフカーケミカルズビーブイ(EFKA)社製)、Disperbik(ビックケミー社製)、ディスパロン(楠本化成社製)、SOLSPERSE(ルーブリゾール社製)、KP(信越化学工業社製)、ポリフロー(共栄社化学社製)等を挙げることができる。これらの分散剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用することができる。
【0166】
分散助剤としては、例えば色素誘導体等を用いることができる。色素誘導体としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンズイミダゾロン系、キノフタロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、アントラキノン系、インダンスレン系、ペリレン系、ペリノン系、ジケトピロロピロール系、ジオキサジン系等の誘導体が挙げられるが、中でもキノフタロン系が好ましい。
【0167】
色素誘導体の置換基としては、例えばスルホン酸基、スルホンアミド基及びその4級塩、フタルイミドメチル基、ジアルキルアミノアルキル基、水酸基、カルボキシル基、アミド基等が顔料骨格に直接又はアルキル基、アリール基、複素環基等を介して結合したものが挙げられる。これらの中では、スルホン酸基が好ましい。また、これら置換基は、一つの顔料骨格に複数置換していてもよい。
【0168】
色素誘導体の具体例としては、フタロシアニンのスルホン酸誘導体、キノフタロンのスルホン酸誘導体、アントラキノンのスルホン酸誘導体、キナクリドンのスルホン酸誘導体、ジケトピロロピロールのスルホン酸誘導体、ジオキサジンのスルホン酸誘導体等が挙げられる。
【0169】
以上の分散助剤及び色素誘導体は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
【0170】
実施例1
以下、図1を参照して、本実施例に係る半透過型液晶表示装置用基板について説明する。
【0171】
(ブラックマトリクス形成用分散液)
カーボン顔料#47(三菱化学社製)20質量部、高分子分散剤BYK-182(ビックケミー社製)8.3質量部、銅フタロシアニン誘導体(東洋インキ製造社製)1.0質量部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート71質量部を、ビーズミル分散機にて攪拌して、カーボンブラック分散液を作製した。
【0172】
(ブラックマトリクス形成用フォトレジスト)
ブラックマトリクス形成用レジストとして、以下の材料を使用した。
【0173】
カーボンブラック分散液:顔料#47(三菱化学社製)
樹脂:V259-ME(新日鐵化学社製)(固形分56.1質量%)
モノマー:DPHA(日本化薬社製)
開始剤:OXE-02(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
OXE-01(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
エチル-3-エトキシプロピオネート
レベリング剤;BYK-330(ビックケミー社製)
上記の如き材料を、以下の組成比で攪拌して混合し、ブラックマトリクス形成用レジストとした(固形分中の顔料濃度:約20%)。
【0174】
カーボンブラック分散液 3.0質量部
樹脂 1.4質量部
モノマー 0.3質量部
開始剤 OXE-01 0.67質量部
開始剤 OXE-02 0.17質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 14質量部
エチル-3-エトキシプロピオネート 5.0質量部
レベリング剤 1.5質量部
(ブラックマトリクスの形成)
上記フォトレジストをガラスからなる透明基板1a上にスピンコートし、乾燥させ、ブラックマトリクス形成用の塗膜を作製した。かかる塗膜を100℃で3分間乾燥した後、パターン幅(ブラックマトリクスの画線幅に相当)20.5μmの開口のある露光用フォトマスクを用い、光源として超高圧水銀灯ランプを用いて、200mJ/cm2の照射量を照射した。
【0175】
次に、2.5%炭酸ナトリウム水溶液を用いて60秒間現像し、現像後よく水洗し、さらに乾燥した後、230℃で60分加熱処理してパターンを定着させて、図1に示すように、透明基板1a上にブラックマトリクス2を形成した。このブラックマトリクス2は、画線幅約20μmであり、複数の矩形画素開口部を有するマトリクスパターンであった。ブラックマトリクス2の膜厚は1.9μmであり、透明基板1aの面からの画線端部の傾斜角度は約45度とした。
【0176】
(透明導電膜の成膜)
スパッタリング装置を用いて、ブラックマトリクス2の全面を覆うように、ITO(インジウム・スズの金属酸化物)薄膜を0.14μmの膜厚で形成し、透明導電膜3とした。
【0177】
(樹脂層の形成)
さらに、ブラックマトリクス2及びその矩形開口部(画素部)を覆うように、アルカリ可溶性のアクリル感光性樹脂塗布液を用いて、硬膜後の膜厚が0.8μmになるように、凹部8を有する樹脂層4を形成した。樹脂層4の膜厚は、0.8μmとした。凹部8の深さは0.8μmであり、凹部8では透明導電膜3を露出させた。
【0178】
アクリル感光性樹脂塗布液として、下記のようにアクリル樹脂を合成し、さらにモノマー、光開始剤を加え、0.5μmのフィルトレーションを行って得た透明樹脂塗布液を用いた。
【0179】
(アクリル樹脂の合成)
反応容器にシクロヘキサノン800質量部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら加熱し、下記モノマーおよび熱重合開始剤の混合物を滴下して重合反応を行った。
【0180】
スチレン 55質量部
メタクリル酸 65質量部
メチルメタクリレート 65質量部
ベンジルメタクリレート 60質量部
熱重合開始剤 15質量部
連鎖移動剤 3質量部
混合物を滴下し、十分に加熱した後、熱重合開始剤2.0質量部をシクロヘキサノン50質量部で溶解させたものを添加し、さらに反応を続けてアクリル樹脂の溶液を得た。
【0181】
この樹脂溶液に固形分が30質量%になるようにシクロヘキサノンを添加してアクリル樹脂溶液を調製し、樹脂溶液(1)とした。
【0182】
アクリル樹脂の重量平均分子量は、約20,000であった。
【0183】
さらに、下記組成の混合物を均一に攪拌混合し、直径1mmのガラスビーズを用いて、サンドミルで2時間分散した後、0.5μmのフィルタで濾過して、透明樹脂塗布液を得た。
【0184】
樹脂溶液(1) 100質量部
多官能重合性モノマー
EO変性ビスフェノールAメタクリレート(BPE−500:新中村化学社製)
20部
光開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア907」)
16質量部
シクロヘキサノン 190質量部
(光散乱層の形成)
感光性の光散乱層用樹脂組成物を以下に示す組成で調製した。
【0185】
アルカリ可溶型感光性透明樹脂A
:フルオレン骨格を有するエポキシアクリレート樹脂 4.5質量部
透明粒子B3:MX150(綜研化学社製) 2質量部
光重合開始剤C:イルガキュア819
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 0.45質量部
溶剤D:シクロヘキサノン 21質量部
光重合モノマーE:M400(東亞合成社製) 2質量部
透明樹脂A、光重合開始剤C、及び光重合モノマーEを混合し、塗布し、乾燥し、露光(200mJ/cm2 )し、現像し、230℃で60分間硬膜した後の透明樹脂の屈折率は、1.58(D線589nm)であった。
【0186】
上記透明樹脂A、透明粒子B、光重合開始剤C、溶剤D、及び光重合モノマーEを重量比でA:B:C:D:E=4.5:2:0.45:21:2にしてメディアレス分散機で3時間混合撹拌し、光散乱層用樹脂組成物を得た。このときの組成物の粘度は14cp/25℃であった。
【0187】
次に、樹脂層4を覆うように光散乱層樹脂組成物の塗膜を形成した。光散乱層のパターンを有するフォトマスクを用いて、200mJ/cm2の紫外線を露光し、アルカリ現像液で現像した後、230℃で40分の熱処理にて硬膜し、図1に示すように、光散乱層5を形成した。光散乱層5のパターン位置は、画素の反射部Rであり、平面視で、図7(b)に示すように、矩形画素31の長手方向に沿って、ブラックマトリクス2の長辺側に配設する形となる。これにより、光散乱層5の表面からブラックマトリクス上の凸部7までの高さが1.3μmである半透過型液晶表示装置用基板(BM基板)が得られた。
【0188】
半透過型液晶表示装置として、BM基板と貼り合わせるアレイ基板の第1電極11の形状例を図7(a)に示した。第2電極の図示は省略してある。液晶セル化したときの液晶の倒れる方向は、矢印Bで示した。
【0189】
なお、本実施例に係る半透過型液晶表示装置用基板(BM基板)は、カラーフィルタをアレイ基板側に形成する、いわゆるCOA方式液晶表示装置か、あるいは、フィールドシーケンシャル(複数色のLED光源をバックライトに用い、時分割の光源駆動により、カラーフィルタなしでカラー表示を行う手法)の半透過型カラー液晶表示装置に適用することができる。
【0190】
また、本実施例では、セルギャップ調整層として、反射部の膜厚1.8μmの光散乱層5を用いた場合を示したが、この光散乱層5の代わりに1/4波長層を用いても良く、あるいは、反射部Rの下部のみ樹脂層を除いて、この部分に1/4波長層を形成するとともに、透明導電膜3を介して光散乱層5を積層しても良い。
【0191】
本実施例に係るBM基板が対象とする半透過型液晶表示装置の透過部の液晶層の厚みは、セルギャップ調整層(本実施例では光散乱層5)の膜厚1.8μmの2倍の3.6μmとなり、反射部の液晶層の厚みは1.8μmとなる。なお、セルギャップ調整層の厚みや、液晶表示装置用基板として併設するスペーサ(透明樹脂や着色層等で形成する、透過部液晶層の厚みを規制する柱)の高さを調整することにより、種々の液晶層の厚みに対応することができる。
【0192】
実施例2
実施例1では、BM基板とアレイ基板を貼り合わせてセル化したときの液晶分子の倒れる方向を、平面視で、矩形開口部の短手方向に示した(1/2画素ごとに反対方向)。実施例2では、液晶の倒れる方向が矩形画素の1/4画素ごとに90度異なる方向である場合のBM基板のパターン構成を示す。
【0193】
BM基板の加工に用いた材料とプロセスは、実施例2と同様である。
【0194】
光散乱層5のパターン位置は、平面視で、図8(b)に示すように、矩形画素41の辺方向において、ブラックマトリクス2の一部と重なるように、かつ、矩形画素41の十字型凹部26の中心から点対称の位置とした。図1に示す反射部Rの光散乱層5の表面からブラックマトリクス上の凸部7までの高さは、1.3μmとした。
【0195】
このようにして得たBM基板と貼り合わせ、半透過型液晶表示装置を構成するアレイ基板の第1電極21の形状例を図8(a)に示した。第2電極の図示は省略したが、第1電極のパターンに対し、第2電極のパターンは、平面視で、1/4画素それぞれにおいて、ブラックマトリクス2の辺方向(矢印C方向)にはみ出す形とした。液晶セル化したときの液晶の倒れる方向は、矢印Cで示した。凹部26の深さは、実施例1と同じ0.8μmとした。なお、図8(a)において、BM基板側に配設されるブラックマトリクスや光散乱層は、破線で示した。
【0196】
実施例3
実施例3では、赤色画素、緑色画素、青色画素を具備する半透過型液晶表示装置基板について、図9を参照して説明する。
【0197】
実施例3では、実施例1と同じブラックマトリクス形成用分散液を用い、同様プロセスで形成したブラックマトリクス2の開口部(矩形画素)に赤色画素31Rを赤色着色組成物にて、緑色画素31Gを緑色着色組成物にて、青色画素31Bを青色着色組成物にて形成した。着色組成物は、前記表2に示したものを用いた。
【0198】
図9に示す反射部の着色画素を含む着色画素形成のための露光用マスクは、グレートーンフォトマスク(着色画素の透過部Tと反射部Rにそれぞれ透過率差をつけたフォトマスク)を用いた。その結果、反射部Rの着色層の厚みは、1.6μm±0.2μmと透過部膜厚の略半分とした。
【0199】
透明基板上に直接形成した着色層(赤色画素31R、緑色画素31G、青色画素31B)部分の膜厚は、いずれも3.2μm±0.2μmとした。なお、矩形画素長手方向、ブラックマトリクス上では、凸部37の高さの調整のため、2色(例えば、赤色−緑色、緑色−青色、赤色-青色)の色重ねを行った。色重ねによる凸部37の高さの調整は、着色組成物の粘度、塗布条件、ブラックマトリクス画線幅、色重ねの幅などで調整することができる。本実施例では、着色画素の反射部を囲むように、高さ約1.6μmの着色画素の壁が形成されているので、次に示すインクジェットによる配向膜の形成において、インク滴の着弾時にインク滴が凹部外に流出することなく、配向膜を塗布形成することができる。
【0200】
次に、1/4波長層38を形成する前に前処理として、配向処理を以下のようにして実施した。即ち、1/4波長層38を形成するための着色画素表面の前処理として、配向膜材料(サンエバー:日産化学社製)を粘度調整したものを用いて、インクジェット塗布装置にて反射部の着色画素上に選択的に、乾燥膜厚が0.1μmになるように吐出した。
【0201】
インクジェットにおいて、不吐出、ミスディレクション、及びミストを生ずること無く正確に吐出するためには、不吐出時におけるレオロジー特性を制御する必要がある。インクジェットに充填されたインクの優れた吐出性を有するレオロジー特性は、周波数を100から0.1Hzまで変化させた時の23℃から25℃におけるインクの複素粘性率の初期値が20mPa・s以下、かつ、最大値が1000mPa以下で、周波数10Hzから50Hzでの正接損失が1から20である。インクジェットのノズルからの吐出量として、2から10pl(ピコリットル)の範囲内にて1画素あたり1回の吐出とした。
【0202】
さらにホットプレート上で90℃で1分間加熱乾燥させた後、クリーンオーブン中260℃で40分間焼成し、硬膜した。続いて、この硬膜した塗布膜に対し、一定方向にラビング処理を施すことにより、前処理とした。
【0203】
前処理を行った反射部の色画素上に、1/4波長変化させる位相差機能をもつ位相差層、即ち、1/4波長層38を膜厚1.6μm±0.1μmにて形成した。この1/4波長層38の成膜方法は、次の通りである。
【0204】
まず、下記の組成の混合物を均一になるように攪拌混合し、0.6μmのフィルタで濾過して得た重合性液晶化合物を、前処理を施した着色画素上に、乾燥膜厚が1.6μmになるように塗布し、ホットプレートにて90℃で2分間加熱乾燥した。
【0205】
水平配向重合性液晶 39.7部
(BASFジャパン株式会社製「Paliocolor LC 242」)
光重合開始剤 0.3部
(チバスペシャリティケミカルズ株式会社製「イルガキュア907」)
界面活性剤 6.0部
(ビックケミー社製「BYK111」2%シクロヘキサノン溶液)
シクロヘキサノン 154.0部
次に、この重合性液晶化合物を塗布した基板を、半導体レーザを光源とする露光機を用い、フォトマスクを介して反射部のそれぞれ着色画素領域毎に紫外線を露光した。紫外線の照射量は、レーザのショット回数を変えて、赤色画素領域では500mJ/cm2、緑色画素領域では200mJ/cm2、青色画素領域では5mJ/cm2としてそれぞれ露光し、さらに現像処理にて1/4波長層38のパターンを形成した。
【0206】
続いて、基板をクリーンオーブンに入れ、230℃で40分間焼成を行なって1/4波長層38の形成されたカラーフィルタ基板を得た。
【0207】
得られたカラーフィルタ基板の着色画素および位相差層の位相差の合計を測定したところ、赤色画素部分は波長630nmの光において166nm、緑色画素部分は波長550nmの光において136nm、青色画素部分は波長450nmの光において112nmであった。即ち、着色画素および位相差層の位相差の合計は、赤色画素における位相差の合計≧緑色画素における位相差の合計≧青色画素における位相差の合計の関係を満たしていることがわかる。
【0208】
その結果を下記表3に示す。
【表3】
【0209】
(透明導電膜の成膜)
スパッタリング装置を用いて、前記した着色画素及び位相差層の全面を覆うように、ITO(インジウム・スズの金属酸化物薄膜)を0.14μmの膜厚で形成し透明導電膜33とした。
【0210】
(樹脂層の形成)
さらに、ブラックマトリクス96及び矩形開口部(着色画素)を覆うように、実施例1と同様にアルカリ可溶性のアクリル感光性樹脂塗布液を用いて、硬膜後の膜厚が0.8μmになるように樹脂層34を形成した。樹脂層34の膜厚は、0.8μmとした。凹部36の深さは0.8μmであり、凹部36では透明導電膜33を露出させた。
【0211】
(光散乱層/セルギャップ調整層)
次に、光散乱層(セルギャップ調整層)35を、前記の光散乱層組成物をもちいて、1.9μmの膜厚にて形成した。形成方法は、光散乱層のパターンを有するフォトマスクを用い、200mJ/cm2の紫外線露光を行い、アルカリ現像液で現像した後、230℃で40分間の熱処理にて硬膜した。この露光及び熱処理は、光散乱層35下部に既に配設された1/4波長層38の追加硬膜での安定化につながる。光散乱層35の積層により、1/4波長層38の酸素阻害が解消され、再度紫外線露光を含めた硬膜処理で安定化することができる。本実施例では、あらかじめ薄い膜厚の反射部着色画素を設けた後、1/4波長層38の熱処理での硬膜を行うので、露光量の差を問わず、形状崩れはなく、良好な形状で形成することができた。
【0212】
実施例4
(液晶表示装置の作製)
図10を参照して、本実施例に係る液晶表示装置について説明する。
【0213】
本実施例は、第一電極41と絶縁層45を介して第2電極42である櫛歯状の画素電極を備えるアレイ基板40と、実施例3と同一構成の半透過型液晶表示装置用基板30を用いて液晶表示装置を作製した。液晶表示装置の外面に貼付した偏光板、位相差板及びバックライト光源は図示を省略した。なお、図10は、半透過型液晶表示装置の部分断面図である。
【0214】
本実施例に用いた半透過型液晶表示装置用基板30では、ブラックマトリクス2の上方に透明導電膜33が形成されているため、液晶表示装置を構成したときに、ブラックマトリクス2の膜厚分だけ、アレイ基板の側の第1電極41と近い距離となり、図10に矢印で示すように、斜め電界の形成がスムーズとなるという利点がある。第1電極41による斜め電界形成のため、ブラックマトリクス2の膜厚を調整することができる。
【0215】
本実施例に係る液晶表示装置は、画像表示も極めて均質であり、良好であった。着色画素の周辺や遮光層と表示領域との境界部での液晶配向の乱れもなく、光漏れのない高画質の液晶表示装置が得られた。
【0216】
なお、第2電極42は、透過部TではITOなどの透明導電性薄膜で形成し、反射部Rでは、アルミニウム合金などの金属薄膜からなる第2電極42’とすることが望ましい。第1電極や第2電極は、櫛歯状のパターンに形成しても良い。当実施例の第2電極は、第3電極3である透明導電膜の電位と同じ電位とした。
【0217】
また、上述した実施例1〜3に記載の透明導電膜は、液晶駆動時にグランドに落としても良く、あるいは、共通電極と同じ電位としても良い。
【0218】
実施例5
実施例5で用いた半透過型液晶表示装置用基板は、実施例3と同じ構成のものである。実施例5では、図11に示すように、第1電極51および第2電極52を、導電性金属酸化物であるITOにより櫛歯状パターン状に形成したアレイ基板50を用いた。
【0219】
第1電極51および第2電極52の下に、光反射性の反射膜53を、反射部Rの大きさに配設した。反射膜53は、アルミニウム合金で構成されるゲート配線と同一工程で形成したが、電気的には独立(アイソレート)させた。
【0220】
本実施例では、反射部の第1電極51および第2電極52のパターン形状に自由度をもたせることができるので、実施例4より構成である。
【0221】
以上説明した本発明の種々の実施形態及び実施例において、液晶配向方式は垂直配向方式に限定するものでない。例えば、位相差層の厚みもしくはΔndを変えた種々の位相差機能が得られ、あるいは光配向やラビングによる配向を調整することにより種々の位相差層が得られるので、様々な配向方式の液晶表示装置に対応することができる。本発明に採用することの可能な液晶材料の誘電率異方性は、正の材料でも負の材料でも良い。配向膜の配向処理を省略できるという観点では、誘電率異方性が負の液晶を採用するのが適当である。
【0222】
なお、上記した実施例は、透明導電膜上に樹脂層と光散乱層を積層する構成で示したが、光散乱層の代わりに1/4波長層あるいは1/2波長層を積層する構成であっても良い。光散乱層は、例えば、上述した特許文献5に開示されているアレイ基板側の反射領域に設けられる凹凸を有する反射膜に置き換えても良い。また、図10及び11において、TFT素子、ゲート配線、ソース配線などのメタル配線は図示を省略した。ITOとの低コンタクト性を持ちながら、ゲート配線及びソース配線をそれぞれアルミニウム合金の単層で形成する技術は、例えば特開2009−105424号公報に開示されている。
【0223】
また、直線状凹部あるいは十字状凹部は、半透過型液晶表示装置用基板と対向するアレイ基板側に電気的に独立したメタルパターンにて同一形状の遮光パターンとして配設してもよい。さらに、液晶表示装置の画素は、線状凹部にて線対称に1/2画素、あるいは点対称に1/4画素に区分されるが、TFTを一画素に2個ないし4個形成し、さらにそれぞれ異なる電圧を印加する駆動方式をとることにより、立体画像の表示を行うことができる。
【符号の説明】
【0224】
1a,1b・・・透明基板
2・・・ブラックマトリクス
3,33・・・透明導電膜(第3電極)
4,34・・・樹脂層
5,35・・・光散乱層
6・・・凹部
7・・・凸部
8a,8b,9・・・ショルダー部
10,30・・・半透過液晶表示装置用基板
11,41・・・第1電極
12,42・・・第2電極
13・・・はみ出し部
15・・・絶縁層
16・・・反射膜
17・・・液晶
17a,17b,17c・・・液晶分子
20,40,50・・・アレイ基板
31R・・・赤色画素
31G・・・緑色画素
31B・・・青色画素
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板上に形成された、複数の矩形画素を区分する開口部を有するブラックマトリクスと、前記透明基板及びブラックマトリクス上に形成された透明導電膜と、前記透明導電膜上に形成された、画素中央に凹部を有する樹脂層と、前記樹脂層上に部分的に形成され、前記ブラックマトリクス上において前記樹脂層とともに凸部を構成するセルギャップ調整層とを具備し、前記複数の矩形画素は、前記樹脂層の凹部を中心に対称に、中心に近い側から透過部及び反射部の順で構成され、前記透過部では透明導電膜上に前記樹脂層が積層され、前記反射部では、透明導電膜上に前記樹脂層及びセルギャップ調整層が積層されていることを特徴とする半透過型液晶表示装置用基板。
【請求項2】
透明基板上に形成された、複数の矩形画素を区分する開口部を有するブラックマトリクスと、前記透明基板及びブラックマトリクス上に形成され、前記複数の矩形画素を構成する着色層と、前記着色層上に形成された透明導電膜と、前記透明導電膜上に形成された、画素中央に凹部を有する樹脂層と、前記樹脂層上に部分的に形成され、前記ブラックマトリクス上において前記樹脂層とともに凸部を構成するセルギャップ調整層とを具備し、前記複数の矩形画素は、前記樹脂層の凹部を中心に対称に、中心に近い側から透過部及び反射部の順で構成され、前記透過部では透明導電膜上に前記樹脂層が積層され、前記反射部では、透明導電膜上に前記樹脂層及びセルギャップ調整層が積層されていることを特徴とする半透過型液晶表示装置用基板。
【請求項3】
前記反射部に配設された着色層の厚みが、前記透過部に配設された着色層の厚みの略1/2であることを特徴とする請求項2に記載の半透過型液晶表示装置用基板。
【請求項4】
前記反射部の着色層上に1/4波長層を積層し、該1/4波長層上に透明導電膜を介して光散乱層を積層したことを特徴とする請求項2又は3に記載の半透過型液晶表示装置用基板。
【請求項5】
前記反射部の着色層上に光散乱層を積層し、該光散乱層上に透明導電膜を介して1/4波長層を積層したことを特徴とする請求項2又は3に記載の半透過型液晶表示装置用基板。
【請求項6】
前記ブラックマトリクス上の透明基板表面からの樹脂層表面の高さのレベルA、反射部の樹脂層表面の高さのレベルB、及び透過部の樹脂層表面の高さのレベルCが、A>B>Cの関係にあり、かつ、前記樹脂層の凹部の底部のレベルが、上記樹脂層表面のレベルA、B、Cより低いことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の半透過型液晶表示装置用基板。
【請求項7】
前記セルギャップ調整層の厚みが、液晶表示装置の液晶層の厚みの略1/2であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の半透過型液晶表示装置用基板。
【請求項8】
前記セルギャップ調整層が、光散乱層であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の半透過型液晶表示装置用基板。
【請求項9】
前記セルギャップ調整層が、1/4波長層であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の半透過型液晶表示装置用基板。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の液晶表示装置用基板と、液晶を駆動する素子をマトリクス状に配設したアレイ基板とを液晶を介して対向させて配置し、貼り合わせてなる液晶表示装置であって、前記アレイ基板が、それぞれ矩形画素を駆動するために電位の異なる第1電極及び第2電極を具備することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項11】
前記液晶の動作が、液晶を駆動する電圧を印加したときに平面視で、矩形画素中心の凹部から点対象あるいは線対称にブラックマトリクスのある辺の方向に液晶が倒れる動作であることを特徴とする請求項10に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
前記液晶表示装置の矩形画素での液晶の動作が、液晶を駆動する電圧を印加したときに平面視で、矩形画素中心の十字型凹部を通る直線で4つに区分される動作であることを特徴とする請求項10又は11に記載の液晶表示装置。
【請求項13】
前記第1電極が、液晶を駆動するアクティブ素子と接続された櫛歯状パターンを有し、前記第2電極が、前記第1電極と同様の櫛歯状パターンを有し、絶縁層を介して前記第1電極の下に配設され、前記第2電極のパターンが液晶の倒れる方向に前記第1電極のパターンからはみ出ていることを特徴とする請求項10〜請求項12に記載の液晶表示装置。
【請求項14】
前記第1電極及び第2電極が、可視域透明な導電性の金属酸化物から構成されることを特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項15】
前記液晶が、負の誘電率異方性を有する液晶であることを特徴とする請求項10〜14のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項1】
透明基板上に形成された、複数の矩形画素を区分する開口部を有するブラックマトリクスと、前記透明基板及びブラックマトリクス上に形成された透明導電膜と、前記透明導電膜上に形成された、画素中央に凹部を有する樹脂層と、前記樹脂層上に部分的に形成され、前記ブラックマトリクス上において前記樹脂層とともに凸部を構成するセルギャップ調整層とを具備し、前記複数の矩形画素は、前記樹脂層の凹部を中心に対称に、中心に近い側から透過部及び反射部の順で構成され、前記透過部では透明導電膜上に前記樹脂層が積層され、前記反射部では、透明導電膜上に前記樹脂層及びセルギャップ調整層が積層されていることを特徴とする半透過型液晶表示装置用基板。
【請求項2】
透明基板上に形成された、複数の矩形画素を区分する開口部を有するブラックマトリクスと、前記透明基板及びブラックマトリクス上に形成され、前記複数の矩形画素を構成する着色層と、前記着色層上に形成された透明導電膜と、前記透明導電膜上に形成された、画素中央に凹部を有する樹脂層と、前記樹脂層上に部分的に形成され、前記ブラックマトリクス上において前記樹脂層とともに凸部を構成するセルギャップ調整層とを具備し、前記複数の矩形画素は、前記樹脂層の凹部を中心に対称に、中心に近い側から透過部及び反射部の順で構成され、前記透過部では透明導電膜上に前記樹脂層が積層され、前記反射部では、透明導電膜上に前記樹脂層及びセルギャップ調整層が積層されていることを特徴とする半透過型液晶表示装置用基板。
【請求項3】
前記反射部に配設された着色層の厚みが、前記透過部に配設された着色層の厚みの略1/2であることを特徴とする請求項2に記載の半透過型液晶表示装置用基板。
【請求項4】
前記反射部の着色層上に1/4波長層を積層し、該1/4波長層上に透明導電膜を介して光散乱層を積層したことを特徴とする請求項2又は3に記載の半透過型液晶表示装置用基板。
【請求項5】
前記反射部の着色層上に光散乱層を積層し、該光散乱層上に透明導電膜を介して1/4波長層を積層したことを特徴とする請求項2又は3に記載の半透過型液晶表示装置用基板。
【請求項6】
前記ブラックマトリクス上の透明基板表面からの樹脂層表面の高さのレベルA、反射部の樹脂層表面の高さのレベルB、及び透過部の樹脂層表面の高さのレベルCが、A>B>Cの関係にあり、かつ、前記樹脂層の凹部の底部のレベルが、上記樹脂層表面のレベルA、B、Cより低いことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の半透過型液晶表示装置用基板。
【請求項7】
前記セルギャップ調整層の厚みが、液晶表示装置の液晶層の厚みの略1/2であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の半透過型液晶表示装置用基板。
【請求項8】
前記セルギャップ調整層が、光散乱層であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の半透過型液晶表示装置用基板。
【請求項9】
前記セルギャップ調整層が、1/4波長層であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の半透過型液晶表示装置用基板。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の液晶表示装置用基板と、液晶を駆動する素子をマトリクス状に配設したアレイ基板とを液晶を介して対向させて配置し、貼り合わせてなる液晶表示装置であって、前記アレイ基板が、それぞれ矩形画素を駆動するために電位の異なる第1電極及び第2電極を具備することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項11】
前記液晶の動作が、液晶を駆動する電圧を印加したときに平面視で、矩形画素中心の凹部から点対象あるいは線対称にブラックマトリクスのある辺の方向に液晶が倒れる動作であることを特徴とする請求項10に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
前記液晶表示装置の矩形画素での液晶の動作が、液晶を駆動する電圧を印加したときに平面視で、矩形画素中心の十字型凹部を通る直線で4つに区分される動作であることを特徴とする請求項10又は11に記載の液晶表示装置。
【請求項13】
前記第1電極が、液晶を駆動するアクティブ素子と接続された櫛歯状パターンを有し、前記第2電極が、前記第1電極と同様の櫛歯状パターンを有し、絶縁層を介して前記第1電極の下に配設され、前記第2電極のパターンが液晶の倒れる方向に前記第1電極のパターンからはみ出ていることを特徴とする請求項10〜請求項12に記載の液晶表示装置。
【請求項14】
前記第1電極及び第2電極が、可視域透明な導電性の金属酸化物から構成されることを特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項15】
前記液晶が、負の誘電率異方性を有する液晶であることを特徴とする請求項10〜14のいずれかに記載の液晶表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−3144(P2012−3144A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139672(P2010−139672)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]