説明

単一の通行レーンに沿って案内される車輌を有する輸送設備

本発明は、1つの走行軌道(10)に沿って長手方向に往来するように移動するとともに、それぞれ交差領域において軌道の側方分肢の一つに保持された2つの案内部材(19、20)によって案内される、少なくとも1つの輸送車輌(11)を含む、輸送設備に関する。輸送車輌(11)は、2つの案内部材(19、20)にそれぞれ関連づけられるとともに、それぞれ輸送車輌(11)を、対応する案内部材(19、20)の横方向に一時的に保持することが可能な、2つの分離したロック機構を含む。このようなロック機構は、交差領域に進入する際、その移動方向に対応する分肢を選択するための車載手段を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
1つの走行軌道に沿って往来する方式で長手方向に移動するように地面に配置された少なくとも1つの輸送車輌と、
走行軌道によって連結された2つの端部ターミナルと、
走行軌道が2つの横方向にずれた分岐路に局所的に分岐した、少なくとも1つの交差領域であって、分岐路は、それぞれ輸送車輌の出発動作および帰還動作に対応する、交差領域と、
輸送車輌によって保持される、少なくとも1対の主支持ユニットと、
輸送車輌を横方向に案内するよう走行軌道に沿って設けられ、それぞれ主支持ユニットに対して協働するとともに、それぞれ横方向の分岐路のうちの1つに連続的に追随する、2つの案内要素とを備えた、輸送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような輸送設備は、場合によっては反対方向に延びる引っ張りロープに逆行可能に固定されることにより、走行軌道に沿って走行される、受動的な輸送車輌を有しており、例えば文献EP1193153B1によって知られている。しかしながら、このような解決策は、出発動作の際に一方の分岐路に沿うとともに帰還動作の際に他方の分岐路に沿って輸送車輌を案内するように実行する手段について言及していない。しかしながら、このような輸送車輌の構成は、実際上の問題を意味している。
【0003】
走行軌道に沿って輸送車輌を案内する第1の解決策は、例えば文献FR2500799によって知られており、軌道に沿って連続的に配置された案内路との恒久的クランピングを構成している。しかしながら、輸送車輌と軌道の案内路との間の案内リンクが永続的であるという性質により、出発動作の際に一方の分岐路に沿うとともに帰還動作の際に他方の分岐路に沿って輸送車輌を案内することは不可能となる。
【0004】
第2の解決策は、軌道に沿って配置されるとともに、交差領域への入口および出口にポイント切り換えシステムのような可動部を有する、少なくとも1つの案内要素を設けることである。しかしながら、この解決策は、非常に面倒であるという問題を残すとともに、軌道に配置された移動部を具備しており、軌道が損傷を受けやすく、危険の源となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、簡単で、信頼性があり、高価でなく、かつ効率的な、上述したタイプの装備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による装備は、輸送車輌は、2つの案内要素にそれぞれ対応する2つの独立した把持機構を保持し、把持機構は、それぞれ輸送車輌を対応する案内要素に対して横方向に一時的に固定することができ、交差領域へ進入する際、輸送車輌の進行方向に対応する分岐路を選択するための車載装置を構成することが、注目すべき点である。
【0007】
把持機構は輸送車輌に搭載支持されており、これにより悪意ある人に損傷される可能性を排除し、かつ走行軌道から可動部分を取り除くことにより全体的な安全性を高めることができる。輸送車輌を、出発動作時に一方の分岐路に沿って案内するとともに帰還動作時に他方の分岐路に沿って案内するために、一方の把持機構は出発動作時に作動位置へと単に命令されるだけであり、他方の把持機構は帰還動作時に作動位置へと単に命令されるだけである。
【0008】
好ましい実施の形態において、把持機構は、作動装置によって、対応する案内要素に係合される作動位置と、対応する案内要素から分離された待機位置との間を動かされることが可能な、補助支持ユニットを有する。したがって、把持機構の制御は、作動装置の作動により非常に簡単な態様で実行される。
【0009】
他の技術的特徴としては、
−前記作動位置において、前記補助支持ユニットは、前記主支持ユニットと協働して、対応する前記案内要素を横方向からクランプすること、
−前記把持機構の前記補助支持ユニットは鉛直な回転軸を有する回転シーブから形成され、前記回転シーブは、前記作動位置において、前記走行軌道の外側に面する、対応する前記案内要素の外側走行路上を転動すること、
−前記作動装置は、一端が前記輸送車輌に回転自在に取り付けられるとともに他端において前記補助支持ユニットを支持するアームを有すること、
−前記主支持ユニットは鉛直な回転軸を有する回転ホイールから形成され、前記回転ホイールは、前記走行軌道の内側に面する、対応する前記案内要素の内側走行路上を転動すること、
の1つまたは組合せを用いることができる。
【0010】
他の利点および特徴は、非限定的な例としてのみ与えられることを目的とする、本発明の特定の実施の形態を示す記載から更に明確になるであろう。この実施の形態は、垂直断面として走行軌道の断面図を示す、一つの添付図面として表される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態を示す垂直断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示す輸送設備は、1つの走行軌道10を有しており、これは、往来する方式で走行軌道に沿って長手方向に移動するように地面に配置された、少なくとも1つの受動的な輸送車輌11がその上を走行するようになっている。2つの端部ターミナル(図示せず)は、走行軌道10によって連結される。一方、輸送車輌11を軌道10上で牽引するように連続的に連結された牽引ロープ(図1の断面のレベルでは2つの牽引ロープ12、13のみが示されている)は、走行中、搬送ロープ12、13の支持手段により、走行軌道10の少なくとも1つの側端14、15の一部に沿って配置される。駆動ユニット(図示せず)は、牽引ロープ12、13を走行軌道10に沿って走らせるよう、各牽引ロープ12、13に関連づけられている。
【0013】
走行軌道10は、輸送車輌が移動する際に横方向に案内するよう、軌道に沿って配置された2つの案内要素を備えており、一方、輸送車輌は、輸送車輌を側端14、15の間に配置された中央路18のレベルで地面に固定する支持手段を有している。
【0014】
中央路18が平坦面からなる場合、支持手段は、図1に示すように輸送車輌11の下面に配置されたエアクッション23、24からなっていても良く、あるいは操舵可能輪から構成なっていても良い。
【0015】
案内要素は、それぞれ軌道の側端14、15に沿って延びる、例えば2つの横側面19、20から構成されていても良い。輸送車輌11は、それぞれ対応する案内要素の内側走行路を走行するとともに、垂直な回転軸を有する2つの回転ホイール21、22を担持しており、輸送車輌11が予め決定された軌道に沿って走行することを維持するようになっている。各内側走行路は、それぞれ軌道の内側を向いている。各ホイール21、22は、エアクッション23、24の上方であって輸送車輌の下部に配置された主支持ユニットを構成する。走行軌道10が、地表面より低く位置する溝の形態として構成されている場合、横側面19、20は、支持アーム27によって溝の側端25、26に固定されていても良い。かくして、輸送車輌は、少なくとも一対の主支持ユニット21、22を担持し、主支持ユニット21、22は、それぞれ案内要素19、20と協働するよう互いから横方向にオフセットされ、案内要素19、20が主支持ユニット21、22と機械的に協働することにより、輸送車輌を横方向に案内するようになっている。
【0016】
輸送車輌11は、輸送車輌11の両側面、すなわち輸送車輌の底面に位置する容積の外側に配置された2つの把持機構16、17を有し、把持機構16、17は、それぞれ輸送車輌11を、輸送車輌の側面に対応する軌道の側端14、15の牽引ロープ12、13に対して逆行可能な態様で個々に係合することを可能にする。各把持機構16、17は、例えば、輸送車輌11の対応する側面に沿って長手方向に互い違いに配置された、複数の取外し可能なクランプを有していても良い。把持機構16、17および牽引ロープ12、13によって形成される組立体は、長手方向において対称的な構成を呈する。
【0017】
牽引ロープ12、13の支持手段は、例えば、軌道10の各側端に沿って配置された案内シーブによって形成される。支持手段は、走行軌道に対して牽引ロープ12、13の横方向の位置決めを実行する。
【0018】
輸送車輌11は、支持手段によって地面に載置されたシャーシに連結されたボディを有する単一の車輌を有していても良く、あるいは複数の車輌の列を有していても良い。
【0019】
走行軌道は、少なくとも一箇所で、2つの横方向にずれた分岐路に局所的に分岐し、各分岐路は、それぞれ輸送車輌の出発動作および帰還動作に対応し、複数の輸送車輌が存在する場合に、輸送車輌が行き交うことを可能にする。局所的な軌道の重複部分は、端部ターミナル間で走行軌道10に沿って配置された交差領域を構成する。走行軌道は、連続的な軌道部分の輪郭を描く少なくとも1つの交差領域を有する。出発方向または帰還方向のいずれかに対応する要求された方向に走行する、少なくとも1つの牽引ロープは、各分岐路のそれぞれの側端の一つに沿って進む。輸送車輌11の両側部に2つの把持機構が設けられていることにより、把持機構の一方によって、局所的に重複する分岐路の一方において輸送車輌を牽引することが実行可能となり、かつ把持機構の他方によって、局所的に重複する分岐路の他方において輸送車輌を牽引することが実行可能となる。
【0020】
集電手段は、輸送車輌に電気を供給するよう、輸送車輌に組み込まれて搭載されていても良い。集電手段は、外部電力源の性質によるであろう。例示の目的として、集電手段は、外部電力源を構成するよう軌道の側端14、15に設けられた導電レール30、31に関連づけられた、電流コレクタ28、29によって形成されていても良い。これは、磁気誘導により遠隔的に協働する、集電手段および外部電力源としても想定することができる。
【0021】
案内要素19、20は、各交差領域において互いに横方向に遠ざかり、それぞれ横方向の分岐路のうちの1つに連続的に追随するように構成されている。すなわち、各案内要素によってもたらされうる案内が、長手方向に不連続になることはない。各案内要素は、分岐路の外側においてその側部に対応する分岐路に追随する。すなわち、左の案内要素は、左側の分岐路の左側に沿って配置され、右の案内要素は、右側の分岐路の右側に沿って配置される。このような構成は、分岐路の内側において側方の分岐路に沿う、他の暫定的な案内要素を設けることを除外するものではない。例えば、左側の分岐路は、右側の分岐路に沿って連続的に追随する、右側の案内要素とは異なる他の右側の案内要素を具備していても良い。
【0022】
主支持ユニットに加え、輸送車輌11は2つの独立した把持機構を支持しており、2つの把持機構は、2つの案内要素にそれぞれ関連づけられるとともに、交差領域に進入する際、それぞれ輸送車輌11を、関連する案内要素に対して横方向に一時的に固定することが可能である。2つの把持機構は、交差領域に進入する際、その進行方向に関連づけられた分岐路を選択するための車載装置を構成する。把持の性質は、とりわけ把持機構の性質に依存する。
【0023】
図示した実施の形態において、各把持機構は、作動装置によって、対応する案内要素に係合される作動位置と、対応する案内要素から離れるとともにこの案内要素に係合されない待機位置との間を動かされることが可能な、補助支持ユニットを有している。各補助支持ユニットは、例えば鉛直な回転軸を有する回転シーブ32、33によって形成され、回転シーブ32、33は、作動位置において対応する案内要素の外側走行路上を走行し、ここで外側走行路は走行軌道の外側に面する。内側走行路および外側走行路は、例えば対応する横側面19、20の内面および外面にそれぞれ対応する。各回転シーブ32、33およびその作動装置は、ホイール21、22が通常走行する通路上に向けて、シーブが横方向に対向する通路上を移動するように、構成されている。この結果、その作動位置において、補助支持ユニット32、33が主支持ユニット21、22と協働して、関連する案内要素19、20を横方向に把持し、輸送車輌を案内要素に対して横方向に選択的かつ一時的に機械的に固定することを生じる。
【0024】
図示する形態において、作動装置は、一端が輸送車輌11に回転自在に取り付けられるとともに他端において補助支持ユニット32、33を支持するアーム34、35を有していても良い。待機位置はアーム34、35が下げられた位置に対応し、作動位置はアームが上げられた位置に対応する。図1において、左の補助支持ユニットは作動位置をとっており、右の補助支持ユニットは待機位置をとっている。アームの回転動作は、電気、液圧または空圧アクチュエータ等の適当な手段によって制御されても良い。
【0025】
交差領域に進入した際、輸送車輌11は、その進行方向に対応する軌道の横方向の分岐路を選択する必要がある。制御手段は、この横方向の分岐路に連続的に追随する案内要素に関連する把持機構を作動位置にするように、切換えを実行する。他方の把持機構は待機位置をとり、関連する案内要素に対して輸送車輌を解放するようになっている。作動位置をとる把持機構は、輸送車輌を関連する案内要素に対して横方向に固定し、同時に、輸送車輌が案内要素に沿って長手方向に移動することは許容する。案内要素が、進行方向に対応する横方向の分岐路に連続的に追随するので、輸送車輌は、これ以上の機械的切換えを要求されることなく、自然に横方向の分岐路を走行するであろう。この動作中、他方の横方向の分岐路に追随する第2の案内要素は、もはや輸送車輌と協働しない。他方の横方向の分岐路で反対方向に移動する場合は、他方の把持機構が作動位置をとるように命令することにより、他方で達成されるであろう。交差領域の外側では、把持機構は待機位置をとり、主たる案内要素のみが案内部材と協働して作動する。把持機構の位置変更を実行する制御手段は、輸送車輌に搭載支持されていても良く、または、アームに一体化されたカムが動作するように軌道に沿って配置された、作動傾斜路の形態をとる機械タイプのものであっても良い。
【0026】
上述した作用は、他のタイプの把持機構、例えば、作動位置において、関連する案内要素に設けられたスロットに係合するピンを用いるもの、にも適用することができる。輸送車輌を動かす手段は異なっていても良く、例えば自己推進タイプのものであっても良い。最後に、主支持ユニットは、軌道の外側の案内要素に設けられた外側走行路を走行するように構成された、回転ホイールによって形成されていても良く、この手段は、さらに横側面以外の何らかの適当な手段によって形成されていても良い。所定の交差領域は、中間ターミナルを構成するように配置されていても良い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送設備において、
1つの走行軌道(10)に沿って往来する方式で長手方向に移動するように地面に配置された、少なくとも1つの輸送車輌(11)と、
前記走行軌道(10)によって連結された2つの端部ターミナルと、
前記走行軌道(10)が2つの横方向にずれた分岐路に局所的に分岐した、少なくとも1つの交差領域であって、前記分岐路は、それぞれ前記輸送車輌(11)の出発動作および帰還動作に対応する、交差領域と、
前記輸送車輌(11)によって保持される、少なくとも1対の主支持ユニット(21、22)と、
前記輸送車輌(11)を横方向に案内するよう前記走行軌道(10)に沿って設けられ、それぞれ前記主支持ユニット(21、22)に対して協働するとともに、それぞれ横方向の前記分岐路のうちの1つに連続的に追随する、2つの案内要素(19、20)とを備え、
前記輸送車輌(11)は、前記2つの案内要素(19、20)にそれぞれ対応する2つの独立した把持機構を保持し、前記把持機構は、それぞれ前記輸送車輌(11)を対応する前記案内要素(19、20)に対して横方向に一時的に固定することができ、前記交差領域へ進入する際、前記輸送車輌(11)の進行方向に対応する前記分岐路を選択するための車載装置を構成することを特徴とする輸送設備。
【請求項2】
前記把持機構は、作動装置によって、対応する前記案内要素(19、20)に係合される作動位置と、対応する前記案内要素(19、20)から分離された待機位置との間を動かされることが可能な、補助支持ユニット(32、33)を有することを特徴とする請求項1記載の輸送設備。
【請求項3】
前記作動位置において、前記補助支持ユニット(32、33)は、前記主支持ユニット(21、22)と協働して、対応する前記案内要素(19、20)を横方向からクランプすることを特徴とする請求項2記載の輸送設備。
【請求項4】
前記把持機構の前記補助支持ユニット(32、33)は、鉛直な回転軸を有する回転シーブ(32、33)から形成され、前記回転シーブ(32、33)は、前記作動位置において、前記走行軌道(10)の外側に面する、対応する前記案内要素(19、20)の外側走行路上を転動することを特徴とする請求項3記載の輸送設備。
【請求項5】
前記作動装置は、一端が前記輸送車輌(11)に回転自在に取り付けられるとともに他端において前記補助支持ユニット(32、33)を支持するアーム(34、35)を有することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項記載の輸送設備。
【請求項6】
前記主支持ユニット(21、22)は、鉛直な回転軸を有する回転ホイール(21、22)から形成され、前記回転ホイール(21、22)は、前記走行軌道(10)の内側に面する、対応する前記案内要素(19、20)の内側走行路上を転動することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項記載の輸送設備。

【図1】
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【公表番号】特表2012−520210(P2012−520210A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500284(P2012−500284)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【国際出願番号】PCT/FR2010/000129
【国際公開番号】WO2010/106236
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(591108444)ポマガルスキー (16)
【氏名又は名称原語表記】POMAGALSKI