説明

単一超小型回路の形態の識別タグ、識別方法、識別タグおよび識別リーダ

識別タグは単一超小型回路で形成される。超小型回路は、光送受信機と、無線送受信機とを含み、両者は識別コードを記憶するメモリに接続される。送受信機の少なくとも一方は受信モードで動作し、送受信機の少なくとも一方は送信モードで動作する。識別コードは、受信モードで動作する送受信機によって所定の信号を受信することに応答して、送信モードで動作する送受信機によって送信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包括的には、識別タグに関し、より詳細には、選択的に動作することができるタグに関する。
【背景技術】
【0002】
人を含む対象物を識別するために、従来の無線周波数識別(RFID)タグが用いられる。RFIDタグは、購入用の製品を区別し記録するバーコードの代替法を提供する。RFIDタグは、製造業者、卸売り業者、および小売業者に省力をもたらすことができる。RFIDタグを用いる比較的大きな小売業者について、推定される年間の節約は、数十億ドルに達するであろう。
【0003】
典型的な従来技術のRFIDは、マイクロチップとアンテナを含む。アンテナは、同調式誘導コイルの形態であることができる。動作は基本的に単純である。通常、マイクロチップは、タグのアンテナが、リーダのアンテナと誘導的に結合する時に検出されることができる一意の識別コードを記憶する。この結合が、受信アンテナにおけるインピーダンス、したがって、負荷を変える。負荷は、コイルをインおよびアウトで切り換えることによって、記憶された識別コードに応じて変化することができる。
【0004】
従来のRFIDタグは、以下の基本的な特性によって特徴付けられることができる。能動RFIDタグは、マイクロチップを動作させ、信号をリーダに「ブロードキャスト」する電源を含む。半受動タグは、マイクロチップを動作させる電池を使用するが、送信機を動作させるのに誘導電流を使用する。これらのタイプのタグは、製造するのによりコストがかかるため、より離れた距離で識別される必要のある高コスト対象物に使用される。受動タグの場合、リーダは、電磁放射を放出することによって、タグ内に電流を誘導する。これらのタグは、比較的安価で、送信RF信号のパワーに応じて、約50メートルのレンジまで有効である。
【0005】
タグは、読み出し専用型か、または、読み書き型であることができる。後者の型において、情報は、たとえば、電気的に消去可能なプログラム可能な読み出し専用メモリ(EEPROM)を用いて、所定期間の間、情報をタグに追加することができる。たとえば、タグは、読み出される時、または、読み出される頻度を記憶することができる。
【0006】
RFIDタグはまた、RFIDタグが動作する周波数によって区別されることができる。動作周波数は、アメリカ合衆国のFCCなどの規制当局によって行われたRFスペクトルの割り当て(assignments)を考慮する必要がある。低周波数タグは一般に、高周波数デバイスより作るのに費用がかからず、より少ない電力を使用する。異なる用途には異なる周波数が好ましい場合もある。たとえば、低周波数タグは、流体含有量の多い用途、たとえば、水中の商品、人、果物、水ベースの製品により適する。高周波数タグは、より高いデータレートおよびレンジを提供する。同様に、高周波数は、見通し線式(line of sight)になる傾向があるため、狭い視野を有する固定場所、たとえば、組み立てラインおよび出入り口において役立つことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
RFIDタグが遭遇する1つの問題は衝突である。
【0008】
リーダの衝突は、1つのリーダが、別の近くのリーダの信号と干渉する時に起こる可能性がある。これは、複数の利用者が在庫を同時に確認したいと思う場合がある倉庫への出し入れにおいて問題になる可能性がある。これは、同じタグについて複数の読みを生ずる可能性があり、これらが分析される(resolved)ことが必要となる。従来技術では、この問題を克服するのに、時分割多重化を用いてきた。しかしながら、これは、システムの複雑さおよびコストを増加させる。
【0009】
タグの衝突は、多くのタグが同じ場所にある時に起こる。これは、異なるタグの複数の同時の読みを生ずる可能性があり、これらが分析されることが必要となる。こうした衝突を緩和するために、いくつかの技法が提案されてきた。これらの技法のほとんどは、プロセスを遅くさせる複雑なプロトコルを必要とする。
【0010】
したがって、選択的に動作することができるRFIDタグが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
識別タグは単一超小型回路で形成される。超小型回路は、単一フォトダイオードまたはフォトトランジスタの形態の光送受信機を含む。ダイオードは、電流がダイオードを通して駆動される方向に応じて、光を送信し、検知することができる。
【0012】
回路は無線送受信機も含む。最も単純な形態では、送受信機は誘導コイルである。送受信機は共に識別コードを記憶するメモリに接続される。
【0013】
送受信機の少なくとも一方は、受信モードで動作し、送受信機の少なくとも一方は送信モードで動作する。識別コードは、受信モードで動作する送受信機によって所定の信号を受信することに応答して、送信モードで動作する送受信機によって送信される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1および図2は、本発明による識別タグ100を示す。タグは、単一集積化超小型回路に形成され、たとえば、各辺が2、3ミリメートルである。タグは、当技術分野で知られるRFIDタグと互換性がある。タグの主目的は、利用者に識別情報を提供することである。さらに、本発明によるタグは可視識別情報も提供する。
【0015】
タグ100は、光周波数(OF)送受信機201および無線周波数(RF)送受信機202を含む。OF送受信機は、単一周波数帯域(光チャネル)を用いて信号を送受信する。RF送受信機は、別の単一周波数帯域(RFチャネル)を用いて信号を送受信する。
【0016】
OF送受信機201は、特定の周波数帯域で光160を受信し、光161を送信することが可能なフォトダイオードまたはフォトトランジスタ101を含む。2002年4月19日にDietz他によって出願され、参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許出願第10/126,761号「Communication Using Bi-Directional LEDs」は、こうした光送受信機を記載する。別法として、OF送受信機はフォトトランジスタであることができる。OF送受信機を用いて、タグリーダとの通信を持続するための同期化情報を獲得することができる。OF送受信機は、狭いビームまたは全方向性であるように構成されることができる。
【0017】
RF送受信機202は、無線信号170を受信し、無線信号171を送信することができるアンテナ102を含む。「送信すること」によって、RFアンテナ102が、無線周波数信号によって別のアンテナに選択的に結合することができることを意味する。すなわち、アンテナは、誘導コイルの形態である。コイル内に誘導される電流を用いて、OFおよびRF送受信機に寄生的に給電することもできる。電流はコンデンサに蓄えられる。
【0018】
両方の送受信機201、202は、識別(ID)コードを記憶するメモリ103にアクセスする。コードは、製造日または有効期限などの他の情報を含むことができる。IDコードは、一意であるか、または、あるクラスのコードに属することができる。
【0019】
動作中、送受信機の少なくとも一方は受信モードで動作し、送受信機の少なくとも一方は送信モードで動作する。送受信する送受信機は、同じか、または、異なることができる。「受信用」送受信機は、その関連チャネル上で受信信号(光信号160かRF信号170のいずれか)を検出すると、「送信用」送受信機が送信信号(RF信号171か光信号161のいずれか)で応答するようにさせる。送信信号は、IDコード103、または、他の記憶されたある情報に応じて変化する。タグが、両方の送受信機に、両方のモードで同時に動作させることができることも理解されるべきである。たとえば、IDコードが特定の製品クラスに対応し、そのクラスの複数の製品がレンジ内にある場合、有効期限を有する製品のみが応答することができる。
【0020】
動作モード
光−イン/RF−アウト
利用者は、所定の信号光160の狭いビームをタグ100に当てる。所定の信号を受信することに応答して、タグは、所定の信号160が受信される場合にのみ、RF信号171でIDを送信する。これによって、利用者は、識別のために特定のタグを選択することが可能になる。たとえば、利用者は、手の届きにくい場所にある箱を確認することができる。RF送受信機は、RFアンテナが、たとえば、IDコード103を伝達するために、検知デバイスに選択的に結合している時、送信していると言われる。
【0021】
RF−イン/光−アウト
利用者は、1つまたは複数のタグを含むエリアに、所定の無線信号170の形態のクエリを送信する。タグはその後、受信信号がID103に一致する場合、光161を放出する。これによって、利用者は、特定のタグを視覚的に確認することが可能になる。これは、他の同じ箱の中に混じった特定の箱を取り出すのに役立つ。光は、不変であるか、または、コード103に応じて変化することができる。
【0022】
光−イン/光およびRF−アウト
利用者は、所定の信号光160の狭いビームをタグ100に当てる。タグは、所定の信号160が検知される場合、RF信号171でIDに応答する。さらに、タグは、RFクエリ信号がID103に一致する場合、光161を送信する。これによって、利用者が、識別のために特定のタグを選択し、視覚的にタグを突き止めることが可能になる。
【0023】
RF−イン/光およびRF−アウト
利用者は、所定の無線信号170の形態のクエリを、1つまたは複数のタグを含むエリアに送信する。タグはその後、クエリがID103に一致する場合、光161を放出する。さらに、タグは、クエリがID103に一致する場合、光161を放出する。これによって、利用者が、特定のタグを視覚的に識別し、その識別情報を得ることが可能になる。
【0024】
光−インおよびRF−イン//光およびRF−アウト
この場合、タグは、光信号とRF信号の両方が受信される場合にのみ、光信号とRF信号に応答するであろう。
【0025】
動作モードは、予め決められてもよく、タグ内に符号化されてもよく、または、受信信号を適切に変化させることによって動的に選択されてもよい。
【0026】
本発明によるタグは、上述した衝突の問題を解決する。さらに、タグは、多数のタグが同じ場所にある用途において視覚的な識別を可能にする。
【0027】
送受信機のレンジを増加させるための電力を蓄える手段を含むために、タグを強化することができることが理解されるべきである。送受信機は、RF信号から得られる電力によって寄生的に動作することができる。
【0028】
タグは、受信データを記憶し、記憶したデータに従って動作するさらなる処理を行うことができる。
【0029】
本発明は、好ましい実施の形態によって述べられたが、本発明の精神および範囲内で、種々の適応および変更を行うことができることが理解されるはずである。したがって、本発明の真の精神および範囲内にある、全てのこうした変形および変更を包含することが添付の特許請求の範囲の目的である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明による識別タグ100のブロック図である。
【図2】一定の比率に応じた図1のタグの平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一超小型回路の形態の識別タグであって、
光送受信機と、
無線送受信機と、
前記光送受信機および前記無線送受信機に接続される、識別コードを記憶するメモリと、
前記送受信機の少なくとも一方を受信モードで動作させ、一方、前記送受信機の少なくとも一方を送信モードで動作させる手段と、
前記受信モードで動作する前記送受信機によって所定の信号を受信することに応答して、前記送信モードで動作する前記送受信機によって前記識別コードを送信する手段と
を備える単一超小型回路の形態の識別タグ。
【請求項2】
前記光送受信機は、光信号を送受信するように構成された単一のフォトダイオードを含む請求項1に記載の識別タグ。
【請求項3】
前記無線送受信機は、誘導コイルとして形成されたアンテナを含む請求項1に記載の識別タグ。
【請求項4】
前記誘導コイルは、前記光送受信機用の電力を獲得する請求項3に記載の識別タグ。
【請求項5】
前記電力を蓄える手段をさらに備える請求項4に記載の識別タグ。
【請求項6】
前記識別コードは1つまたは複数の日付を含む請求項1に記載の識別タグ。
【請求項7】
前記受信信号は光信号であり、前記送信信号は無線信号である請求項1に記載の識別タグ。
【請求項8】
前記受信信号は無線信号である請求項1に記載の識別タグ。
【請求項9】
前記送受信機の少なくとも一方を受信モードと送信モードで動作させ、一方、他方の前記送受信機を送信モードで動作させる手段をさらに備える請求項1に記載の識別タグ。
【請求項10】
前記送受信機の少なくとも一方を受信モードと送信モードで動作させ、一方、他方の前記送受信機を受信モードで動作させる手段をさらに備える請求項1に記載の識別タグ。
【請求項11】
前記送受信機の少なくとも一方を受信モードと送信モードで動作させ、一方、他方の前記送受信機を受信モードと送信モードで動作させる手段をさらに備える請求項1に記載の識別タグ。
【請求項12】
光を受信することに応じて、前記送信と受信を同期化する手段をさらに備える請求項1に記載の識別タグ。
【請求項13】
前記OF送受信機は全方向性である請求項1に記載の識別タグ。
【請求項14】
前記OF送受信機は狭いビームである請求項1に記載の識別タグ。
【請求項15】
光送受信機および無線送受信機に接続されるメモリに識別コードを記憶すること、
前記送受信機の少なくとも一方を受信モードで動作させ、一方、前記送受信機の少なくとも一方を送信モードで動作させること、および、
前記受信モードで動作する前記送受信機によって所定の信号を受信することに応答して、前記送信モードで動作する前記送受信機によって前記識別コードを送信することを含む識別方法。
【請求項16】
識別コードを記憶するメモリと、
所定の光信号を受信する光通信部と、
該光通信部によって前記所定の光信号を受信すると、前記メモリに記憶された前記識別コードを送信する無線通信部とを備える識別タグ。
【請求項17】
前記光通信部は光信号を送信し、前記無線通信部は無線信号を受信し、
前記通信部の少なくとも一方を受信モードで動作させ、一方、前記通信部の少なくとも一方を送信モードで動作させる手段と、
前記受信モードで動作する前記通信部によって所定の信号を受信することに応答して、前記送信モードで動作する前記通信部によって前記識別コードを送信する手段とを備える請求項16に記載の識別タグ。
【請求項18】
識別タグの光通信部において所定の光信号を受信すること、および、
前記光通信部によって前記所定の光信号を受信すると、メモリに記憶された識別コードを無線通信部によって送信することを含む識別方法。
【請求項19】
前記通信部の少なくとも一方を受信モードで動作させ、一方、前記通信部の少なくとも一方を送信モードで動作させること、および、
前記受信モードで動作する前記通信部によって所定の信号を受信することに応答して、前記送信モードで動作する前記通信部によって前記識別コードを送信することを含む請求項18に記載の識別方法。
【請求項20】
所定の光信号を送信する光通信部と、
前記所定の光信号を受信すると、識別タグによって送信される識別コードを受信する無線通信部とを備える識別リーダ。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−519059(P2007−519059A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−519265(P2006−519265)
【出願日】平成16年8月11日(2004.8.11)
【国際出願番号】PCT/JP2004/011787
【国際公開番号】WO2005/017823
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】