説明

単一開口縫接弾性被せ状構造

【課題】弾性と巻き上げ縁などの特徴を同時に備えた縫接被せ状物の提供。
【解決手段】単一開口縫接弾性被せ状構造の一種であり、特徴として、本被せ状物は二つの熱可塑性素材原料から組成された半分の被せ状物の各接合部が連結され、本被せ状物に単一開口があり、また開口の端に一体構造の巻上げ部12がある。本被せ状物は少なくとも一層の熱可塑性素材原料から構成され、本熱可塑性素材原料は優れた弾力性およびリサイクルできる特徴がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
単一開口縫接弾性被せ状構造の一種で、特に単一開口および開口端に巻上げ部を有する被せ状物に関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜被せ状物(例えば使い捨て手袋、指カバー、コンドームおよび風船など一端に開口がある物品)を製造する従来の方法として、浸漬方式で鋳型を天然または人造ゴムの液体に浸し漬けて、薄膜が形成された後に乾燥成型したとされる。
【0003】
従来の方法の問題点には:大量の水とエネルギーを消費すること。硫黄や促進剤などの化学原料を加えることで、使用者のアレルギーを引き起こすこと。または溶剤、塩素、塑化剤などの使用で環境汚染および使用者の使用者遺伝子病変を引き起こすこと。且つほとんどのゴム材料がリサイクルされないか、またはリサイクル業者の手間が計り知れないほど掛かること。薄膜被せ状物製造の他の従来の方法に、熱封式(heat−sealing)または熱溶式(heat−welding)の熱接合(thermobonding)手法があり、二層の弾力性を備えないプラスチック素材(例えば低密度のポリエチレンまたはポリプロピレン)を、上述の薄膜被せ状物に形成させたとされる。例えば米国特許U.S.4,776,921号、5,833,915号、5,997,676号および6,243,875号などが、この方式を採用しより簡単に且つコストダウンしたとされる。しかし、製品に弾性が乏しく密接できず心地よく使用者に被せることができないため使用感に影響し、開口部位にゴムバンドに類似した設計がないため、使用時に緩んではずれやすい。
【0004】
熱可塑弾性体はリサイクル可能である上、ゴムの特性を備えており、伝統的なプラスチック製造方法で加工することができるため効率が良く、伝統的な天然または人造ゴムと比べてより環境に優しい。そのため業界には伝統的なゴムに取って代わって熱可塑弾性体を使う傾向が見られる。
【先行技術】
【0005】
米国特許U.S.5,640,720号ではエーテルの多元アルコール重合体を利用して弾性合成ゴム手袋を中空射出成形(blow molding)で製造する方法が提供された。しかし、この方法で製造された薄膜の厚みは均一でない。米国特許U.S.4,921,672号では電気防御手袋を中空射出成形法での製造を提供されたが、この方法は厚めの手袋しか製造できない。米国特許U.S.4,434,126号およびU.S.6,890,475号では熱可塑弾性体の薄型手袋製造の粉末塗布法を提供されたが、粉末粒子サイズの差異が薄膜の品質を影響し、例えば、針穴または厚みの不均等などの欠陥が生成され、粉末サイズの差異を極わずかの範囲内に抑えようとすれば、非常にコストが掛かることになる。その他に、液体窒素を供給して熱可塑弾性体を冷却させると硬く成型されるため、冷却にもまた非常にコストがかかることになる。
【0006】
原料コスト、リサイクルの可否、人体にやさしくアレルギーを引き起こさないなどの需要、および高度自動生産、水・エネルギーの省エネ要求に、上述各案の成型手法では、いまだ上述した要求をほとんどクリアできないため、改善が望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した従来技術で製造した縫接被せ状物に一体化した巻上げ部と弾力性があることに鑑み、本発明の目的は、弾性と巻き上げ縁などの特徴を同時に備えた縫接被せ状物を提供することにある。
【0008】
本件は単一開口縫接弾性被せ状構造の一種であり、本被せ状物は二つの熱可塑性素材原料から組成された半分の被せ状物の各接合部が連結され、本被せ状物に単一開口があり、また開口の端に一体構造の巻上げ部があり、その中において本被せ状物は少なくとも一層の熱可塑性素材原料から構成され、優れた弾力性およびリサイクルのできる熱可塑性素材原料を使用することを特徴とする、単一開口縫接弾力的被せ状構造を提供することにある。
【0009】
全体的に見て、本縫接被せ状物は、(1)環境に優しく、人体に比較的刺激が少ない回収可能の可塑性素材原料を使用し、(2)製品に弾力性、フィット感が備わっている。
【0010】
開口端と一体の巻上げ部、且つ巻上げ部と被せ状物本体を違う色にすることができ、使用者にとって区別、取扱いや装着が便利であるうえ、容易に緩まずはずれにくい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は単一開口縫接弾性被せ状構造の一種であり、その特徴は、本被せ状物は二つの熱可塑性素材原料から組成された半分の被せ状物の各接合部が(11)連結され、本被せ状物に単一開口(13)があり、また開口(13)の端に一体構造の巻上げ部(12)があることにある。
【0012】
特許請求の範囲第1項に記載の単一開口縫接弾性被せ状構造と同様、本被せ状物の表面に凹凸模様(14)があることを特徴とする、単一開口縫接弾性被せ状構造。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本被せ状物形状の外観説明図(一)。
【図2】図1本被せ状物の側面図。
【図3】図2切断面の説明図。
【図4】図3巻上げ部の局部拡大図。
【図5】図3A−Aの断面図。
【図6】本被せ状物形状の外観説明図(二)。
【図7】本被せ状物形状の外観説明図(三)。
【図8】本被せ状物形状の外観説明図(四)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1および図2をご参照下さい。本件は単一開口縫接弾力的被せ状構造の一種であり、図1に示した形状において、本被せ状物は手袋100の形状であり、本手袋100は縫接形状で、単一開口13を有するものである。特徴として、本被せ状物(即ち本手袋100)は二つの熱可塑性素材原料から構成された半分の被せ状物(即ち本手袋100の上、下半部分)が接合部11で連結され、外観上は即ち縫接の手袋100の形状になる。本被せ状物上の表面(外側面または内側面)に、更に凹凸模様14があり、物品を掴み取るときの摩擦力となり、使用者の触感または製品の識別度を高めるものとなる。図2、図3および図4をご参照下さい。本手袋100の単一開口13には一体成型された巻上げ部12があり、本巻上げ部12は使用者が本手袋100を取り扱いやすくし、本巻上げ部12には弾性があり、使用者が装着している間に容易に緩まずはずれにくいようにしている。本巻上げ部12は更に製品形態を代表する色を有することができ、例えば大きいサイズ(Size
L)と小さいサイズ(Size S)の手袋100にそれぞれ、巻上げ部12に緑色または黄色の色付けで区別することができる。また本件で提出する被せ状物は様々な形状になることができる。異なった形状の被せ状物にも巻上げ部12の色づけで区別することができ、例えば凹凸模様14があるものと、凹凸模様14のない手袋100を、蛍光緑色および深緑色で区別することができる。前述の各例は巻上げ部12が提供できる効果のみについて説明したが、実際に応用する際、色は業者の定義による。
【0015】
本被せ状物は少なくとも一層の熱可塑性素材原料からとされるが、本被せ状物の物理的強度または弾性を高めるため、または本被せ状物の内・外側表面の摩擦力を変えるために、本被せ状物を複数層の熱可塑性素材原料から構成させ、且つ各層の熱可塑性素材原料をそれぞれ異なる成分にすることができる。図3、図4と図5をご参照下さい。図5は図4のA−A切断面の局部拡大図であり、既に図3と図4で見るように、本手袋100は第一熱可塑性素材原料101の一つおよび第二熱可塑性素材原料102の一つから組成された二薄層式構造である。本第一熱可塑性素材原料101と第二熱可塑性素材原料102は異なる成分または密度を具え持ち、または同時に異なる成分と密度を具え持つことで、製造者に設計上の物理的特徴を提供できる。ただ、前述の熱可塑性素材原料は少なくとも20%の熱可塑弾性体(thermoplastic elastomer)が含まれ、本熱可塑弾性体は下記材料、ポリウレタン弾性体(polyurethane elastomer)、ポリスチロール共重合反応物(polystyrene block copolymers)、アルケン弾性体(polyolefin elastomer)から選ぶことができる。
【0016】
本熱可塑性素材原料は熱可塑弾性体以外に更にポリエチレン(polyethylene)またはポリプロピレン(polypropylene)または酸化防止剤(
antioxidant)または安定剤(stabilizer)、アンチブロッキング剤(anti−blocking
agent)または離型剤(mold release agent)または填充劑または着色剤などの物質が含まれる。
【0017】
前述したように、本被せ状物には弾力性、単一開口に巻上げ部があり、且つ環境に優しく、比較的人体に優しく、化学添加物の使用を避けるため、従来の技術で製造された被せ状物と比較してより多くの利点を持っている。且つ被せ状物は手袋100(
図1に示した通り)、コンドーム200(図6に示した通り)、指カバー300(図7で示した通り)、風船400(図8で示した通り)または靴カバー(図に示しておらず)など、形状は製造者の設計によるもので、且つ本コンドーム200、指カバー300、風船400などの図形にそれぞれ巻き上げ部21が設けられていることが分かる。
【0018】
前述した構造は既に完全に本件の目的を達成し、且つ従来の技術を明らかに越えたものとされる。本発明は既に比較的優れた実施例を上記の通り掲載したが、本発明を制限するものではない。この技術を熟知するあらゆる者が、本発明の精神と範疇から離脱せずに行った変更と潤色に対し、全て本発明に含まれるべきで、本発明の保護範囲は後に添付する特許請求の範囲に定める範疇とする。
【0019】
前述内容の総括として、本発明は従来の知識に比べて前記効果の上昇を創作したもので、斬新で前進的なものとして法定の創作新特許案件に十分に該本し、茲にて法律に従い申請書を提出させていただきたい。貴局には創作を奨励すべく、本件発明特許申請案をどうか許可していただきたく懇願する次第である。
【符号の説明】
【0020】
11 接合部
12 巻上げ部
13 開口
14 凹凸模様
21 巻き上げ部
100 手袋
101 第一熱可塑性素材原料
102 第二熱可塑性素材原料
200 コンドーム
300 指カバー
400 風船

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一開口縫接弾性被せ状構造であって、
本被せ状物は、二つの熱可塑性素材原料から組成された半分の被せ状物の各接合部(11)が連結され、本被せ状物に単一開口(13)があり、また開口(13)の端に一体構造の巻上げ部(12)がある
ことを特徴とする単一開口縫接弾性被せ状構造。
【請求項2】
本被せ状物は表面に凹凸模様がある
請求項1に記載の単一開口縫接弾性被せ状構造。
【請求項3】
本被せ状物は少なくとも一層の熱可塑性素材原料から構成される
請求項1または2に記載の単一開口縫接弾性被せ状構造。
【請求項4】
本被せ状物は複数層の熱可塑性素材原料から構成され、且つ各層熱可塑性素材原料に異なる成分を有する
請求項3に記載の単一開口縫接弾性被せ状構造。
【請求項5】
本巻上げ部(12)に製品形態を代表できる色を有する
請求項1ないし4のいずれかに記載の単一開口縫接弾性被せ状構造。
【請求項6】
本熱可塑性素材原料に少なくとも熱可塑弾性体が20%含まれている
請求項1ないし5のいずれかに記載の単一開口縫接弾性被せ状構造。
【請求項7】
本熱可塑弾性体がポリスチロールの共重合反応物である
請求項6に記載の単一開口縫接弾性被せ状構造。
【請求項8】
本熱可塑弾性体がアルケン弾性体またはその混合物である
請求項6に記載の単一開口縫接弾性被せ状構造。
【請求項9】
本熱可塑弾性体がポリウレタン弾性体またはその混合物である
請求項6に記載の単一開口縫接弾性被せ状構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−174187(P2011−174187A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36907(P2010−36907)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(510050753)ポーリー テクノロジー ホールディング インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】Poly Technology Holding Inc.
【住所又は居所原語表記】Britannia House, 22, 2nd Floor, Cator Road, Bandar SeriBegawan BS 8811, Brunei Darussalam
【Fターム(参考)】