説明

単眼倒像検眼鏡用像転換アタッチメント及び単眼倒像検眼鏡

【課題】 単眼倒像検眼鏡を用いて光を照射した眼底を観察するための集光レンズ越しの倒像を正像に転換して観察する単眼倒像検眼鏡用像転換アタッチメントを提供することにある。
【解決手段】 単眼倒像検眼鏡から光を照射した眼底の観察を行うための集光レンズに映る倒像を正像に転換する単眼倒像検眼鏡用像転換アタッチメントであって、集光レンズに映る像を上下左右逆にして見るスコープと、スコープが取り付けられ、かつ、単眼倒像検眼鏡に着脱可能に取り付けられる取付部材とを備える。単眼倒像検眼鏡で光を照射した眼底の観察を行うとき、取付部材を介して単眼倒像検眼鏡に取り付けたスコープで集光レンズに映る倒像が正像に転換させた状態で見られるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を照射した眼底を観察するための集光レンズ越しの倒像を正像に転換する単眼倒像検眼鏡用像転換アタッチメント及び単眼倒像検眼鏡に関するものである。
【背景技術】
【0002】
単眼倒像検眼鏡は、眼球の内部を検査する際に、光を照射した眼底を倒像で観察するのに用いられるものである(例えば、特許文献1、2参照。)。この単眼倒像検眼鏡は、検査を行う検者が自分の手で持ったり頭に装着したりして検眼鏡からの照射光が患者等の検査対象者の瞳孔から網膜に照射されるように用いられるもので、検者が手で持った集光レンズ(凸レンズ)越しの検査対象者の倒像の眼底像を目視で観察しながら眼底検査が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平2−74006号公報
【特許文献2】実用新案登録第3162586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のように単眼倒像検眼鏡を用いて光によって照射された眼球の内部を集光レンズ越しに倒像で検査する場合、検査対象者との距離を保つことができ、かつ、視野は広く周辺部の観察も容易である、つまり、広い視野で網膜の隅々まで観察できる。しかし、観察する画像が上下左右逆の倒像であることから倒像の画像に慣れるためには熟練を要した。特に検査しながら検査対象者の眼に対して強膜圧迫等の手技を施す場合には、集光レンズ越しに得られる画像すなわち視覚的な情報と、実際に必要となる器具操作の方向が逆であるため熟練を要する。また、検査内容をカルテに記入する際には、カルテには正像に対応させた検査内容を記入するために、熟練者といえども倒像を見ながら正像に対応させて検査内容を記入し難く、カルテを上下左右逆にして検査内容を記入したり工夫するが、字が逆になったりカルテを上下左右逆にし忘れたりすることも考えられる。
本発明が解決しようとする課題は、単眼倒像検眼鏡を用いて光を照射した眼底を観察するための集光レンズ越しの倒像を正像に転換して観察することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明に係る単眼倒像検眼鏡用像転換アタッチメントは、単眼倒像検眼鏡からの光を照射した眼底の観察を行うための集光レンズに映る倒像を正像に転換する単眼倒像検眼鏡用像転換アタッチメントであって、前記集光レンズに映る像を上下左右逆にして見るスコープと、前記スコープが取り付けられ、かつ、前記単眼倒像検眼鏡に着脱可能に取り付けられる取付部材とを備え、前記単眼倒像検眼鏡で前記眼底に光を照射してこの眼底の観察を行うとき、前記取付部材を介して前記単眼倒像検眼鏡に取り付けた前記スコープで前記集光レンズに映る倒像が正像に転換された状態で見られるようにしたことを特徴とする。
【0006】
このように、スコープを取り付けた取付部材を単眼倒像検眼鏡に取り付けることで、単眼倒像検眼鏡で眼底に光を照射してこの眼底の観察を行うとき、スコープで集光レンズに映る倒像を正像に転換された状態で見ることができ、熟練を要することなく眼底の観察や検査しながら検査対象者の眼に対して強膜圧迫等の手技を施せ、かつ、検査内容をカルテに正確に記入することができる。
【0007】
この場合において、スコープを、取付部材に取り付けられ両端部間の距離が可変可能な円筒状の鏡筒と、鏡筒の一方の端部に設けられた第1の凸レンズ及び鏡筒の他方の端部に設けられた第2の凸レンズからなり、取付部材を介して鏡筒を単眼倒像検眼鏡に取り付けたとき、集光レンズ側の凸レンズが対物レンズとなりかつ残りの凸レンズが接眼レンズとなるレンズ部とを有してなることができる。また、鏡筒を、第1の凸レンズが対物レンズに第2の凸レンズが接眼レンズとなる第1パターンと第1の凸レンズが接眼レンズに第2の凸レンズが対物レンズとなる第2パターンの2つのパターンで取付部材に取り付け、第1の凸レンズと第2の凸レンズを、第1パターンと第2パターンとでは接眼レンズとなる凸レンズに映る像の倍率が異なるように度の異なる凸レンズを用いることができる。さらに、第1の凸レンズと第2の凸レンズを、第1パターンと第2パターンのいずれか一方のパターンのとき、接眼レンズとなる凸レンズに映る像の倍率が略等倍であり、かつ、他方のパターンのとき、接眼レンズとなる凸レンズに映る像の倍率が等倍を超える倍率となるように形成することができる。
【0008】
また、この場合において、取付部材を、単眼倒像検眼鏡の光を照射する円筒状の鏡筒の外周面に着脱可能に取り付けられ単眼倒像検眼鏡の鏡筒の外周面より内周面の径が小さい優弧状の弾性変形可能な検眼鏡取付部材と、スコープが取り付けられるスコープ取付部材と、検眼鏡取付部材とスコープ取付部材を互いに移動可能に連結する連結手段とで構成し、検眼鏡取付部材が、内周面が単眼倒像検眼鏡の鏡筒の外周面に接触した状態を保持し、かつ、単眼倒像検眼鏡の鏡筒にその周方向に移動可能な弾性力を有し、連結手段を、検眼鏡取付部材とスコープ取付部材のいずれか一方の取付部材に取り付けられ単眼倒像検眼鏡の鏡筒の軸に対して直交する方向に延びる支持部材と、残りの他方の取付部材に設けられ支持部材が挿入されてこの支持部材を軸に前記一方の取付部材と他方の取付部材が互いに回転可能に連結され、かつ、支持部材が長手方向に移動し得る長穴とで構成することができる。
【0009】
また、前記課題を解決するため、本発明に係る単眼倒像検眼鏡は、この単眼倒像検眼鏡用像転換アタッチメントを備えることを特徴とする。このように構成しても、前述と同様の作用効果を奏し、光を照射した眼底を観察するための集光レンズ越しの倒像を正像に転換して観察することができる。
【0010】
また、前記課題を解決するため、本発明に係る単眼倒像検眼鏡は、人の頭部の少なくとも前面に装着される装着体と、前方に光を照射する発光部と、発光部からの光を照射した眼底の観察を行うための集光レンズに映る倒像を上下左右逆にして正像に転換して見るスコープと、装着体に前記スコープを位置調節可能に連結して、装着体を頭部に装着したとき、スコープを正面から見て頭部の左右方向の中央部を中心に左右対称の位置に動かせるとともに人の眼の前方に動かせかつその眼の前後方向に動かせる連結機構と、スコープが取り付けられた連結機構のスコープ用取付部材又はスコープに発光部を位置調節可能に取り付ける取付部材とを備えたことを特徴とする。このように構成しても、前述と同様の作用効果を奏し、光を照射した眼底を観察するための集光レンズ越しの倒像を正像に転換して観察することができる。
【0011】
この場合において、取付部材を、スコープの外周面に着脱可能に取り付けられスコープの外周面より内周面の径が小さい優弧状の弾性変形可能なスコープ取付部材と、発光部が取り付けられる発光部取付部材と、スコープ取付部材と発光部取付部材を互いに移動可能に連結する連結手段とで構成し、スコープ取付部材が、内周面がスコープの外周面に接触した状態を保持し、かつ、スコープにその周方向に移動可能な弾性力を有し、連結手段を、スコープ取付部材と発光部取付部材のいずれか一方の取付部材に取り付けられスコープの光軸に対して直交する方向に延びる支持部材と、残りの他方の取付部材に設けられ支持部材が挿入されてこの支持部材を軸に前記一方の取付部材と他方の取付部材が互いに回転可能に連結され、かつ、支持部材が長手方向に移動する長穴とで構成することができる。
【0012】
また、この場合において、取付部材を、発光部が取り付けられた発光部取付部材と、スコープ用取付部材に発光部取付部材を移動可能に連結する連結手段とで構成し、連結手段を、スコープ取付部材と発光部取付部材のいずれか一方の取付部材に取り付けられスコープの光軸に対して直交する方向に延びる支持部材と、残りの他方の取付部材に設けられ支持部材が挿入されてこの支持部材を軸に一方の取付部材と他方の取付部材が互いに回転可能に連結され、かつ、支持部材が長手方向に移動する長穴とで構成することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、単眼倒像検眼鏡を用いて光を照射した眼底を観察するための集光レンズ越しの倒像を正像に転換して観察することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る一例の実施形態の単眼倒像検眼鏡用像転換アタッチメントを示す図で、(a)は一部断面側面図、(b)は正面図である。
【図2】本実施形態の単眼倒像検眼鏡用像転換アタッチメントを示す一部断面図で、(a)は第1パターンで使用したときの状態を示す図、(b)は第2パターンで使用したときの状態を示す図である。
【図3】本実施形態の単眼倒像検眼鏡で集光レンズを見た状態を示す斜視図である。
【図4】本実施形態の単眼倒像検眼鏡用像転換アタッチメントを取り付けた単眼倒像検眼鏡の一例を示し、発光部の下方にスコープを配置した状態を示す図で、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図5】本発明に係る他の例の実施形態の単眼倒像検眼鏡用像転換アタッチメントを示す図で、(a)は一部断面側面図、(b)は正面図である。
【図6】本発明に係る他の例の倒像検眼鏡用像転換アタッチメントを取り付けた手持式の単眼倒像検眼鏡を示す側面図である。
【図7】本発明に係る他の例の単眼倒像検眼鏡を示す側面図である。
【図8】本発明に係る他の例の単眼倒像検眼鏡を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る単眼倒像検眼鏡用像転換アタッチメント及び本発明に係る単眼倒像検眼鏡の実施形態を添付図面に基づいて説明する。本実施形態の単眼倒像検眼鏡用像転換アタッチメント(以下、単に「アタッチメント」ということがある。)は、図1〜図4に示すように、単眼倒像検眼鏡2からの光を照射した眼底の観察を行うための集光レンズ3に映る倒像を正像に転換するものである。単眼倒像検眼鏡2としては、特に限定されず周知のものを用いることができ、例えば、本出願人が先に提案した特許文献2に記載された単眼倒像検眼鏡2(以下、単に「検眼鏡2」ということがある。)を用いることができる。検眼鏡2は、人の頭部11に装着される装着体22に、光を照射する発光部23を位置調節可能に連結機構24で連結したものである。
【0016】
装着体22は、人の頭部11に装着されるメガネフレームと略同じ形状の装着フレームである。装着体22は、人の額の前面に位置されるフロント22aと、フロント22aの両側がそれぞれほぼ直角に折り曲げられた端部にヒンジを介して連結され、こめかみ及び側頭部に装着されて耳にかけられるテンプル22bと、フロント22aの中央部から下方に延びる取付部22cに設けられた鼻あてでもあるパッド22dとを備えている。
【0017】
発光部23は、LEDを光源として絞り調節可能で頭部11の前面近傍から前方に光を照射するもので、円筒状の鏡筒23aを備えている。鏡筒23aには、LEDを発光させるための電力を供給する電源ケーブル39が接続されている。
【0018】
連結機構24は、装着体22と発光部23に両端が取り付けられるアーム25と、アーム25の一方の端部である装着体22側の一端を回転可能でかつ回転位置に保持する回転支持部26と、アーム25の途中に設けられアーム25を3次元的に屈曲可能でかつ屈曲状態を保持する自在継手27とを備えている。アーム25は、ボックスであるスイッチボックス28を介して装着体22に取り付けられている。
【0019】
装着体22の取付部22cには、一対の支持片22eが一体に設けられている。一対の支持片22eには、第2軸としての第2ピン22fを介してスイッチボックス28が垂下状態から90°以上回転可能に支持されている。また、スイッチボックス28には、スイッチ機構が設けられている。スイッチ機構は、スイッチボックス28が垂下された垂下状態から上方に所望の角度回転した位置までは発光部23から光が照射可能なオン状態で、その所望の角度を超えてスイッチボックス28が上方に回転した状態では発光部23から光が照射されないオフ状態にするものである。また、スイッチボックス28内には、垂下状態から上方に所望の角度以上回転したときに発光部23から光が照射されないオフ状態にするリミットスイッチを設けるようにしてもよい。また、スイッチボックス28の底面には、アーム25の一端が取り付けられている。アーム25の一端の取付は、回転支持部26によって行われ、頭部11の前後方向に延びる第1軸である第1ピンを軸に回転可能に支持しかつ回転位置に保持されるようになっている。
【0020】
アーム25は、例えば、第1アーム31、第2アーム32及び第3アーム33の3つからなり、これら3つのアーム31、32、33は自在継手27としてのボールジョイントによりそれぞれ3次元的に屈曲可能に連結されている。すなわち、アーム25の途中にボールジョイントが2つ設けられている。また、第3アーム33には、鏡筒23aの基端部が例えばネジ部材により着脱可能に取り付けられている。第3アーム33と鏡筒23aは、略L字状に形成されている。第1アーム31、第2アーム32及び第3アーム33をボールジョイントで連結して直線状に伸ばした全体のアーム25の長手方向の長さ、すなわち、回転支持片22eに対するアーム25の第1ピンの軸から鏡筒23aの軸までの長さは、人の目の中心つまり黒目の近傍の上下に鏡筒23aを位置させることができれば、特に限定されない。
【0021】
本実施形態のアタッチメント1は、検眼鏡2からの光を照射した眼底の観察を行うための集光レンズ3に映る像を上下左右逆にして見るスコープ4と、スコープ4が取り付けられ、かつ、検眼鏡2に着脱可能に取り付けられる取付部材5とを備えている。
【0022】
スコープ4は、集光レンズ3に映る像を上下左右逆にして見ることができれば特に限定されず、プリズムを用いてもよいが、凸レンズを用いることが好ましい。このスコープ4は、円筒状の鏡筒41と、鏡筒41の一方の端部に設けられた第1の凸レンズ42及び鏡筒の他方の端部に設けられた第2の凸レンズ43からなるレンズ部44とを有している。
【0023】
鏡筒41は、例えば、2つの円筒状の第1鏡筒部材45と第2鏡筒部材46とからなる。第1鏡筒部材45と第2鏡筒部材46とは、略同じ径の円筒体状に形成されている。第1鏡筒部材45と第2鏡筒部材46の一方の部材例えば第1鏡筒部材45の一方の端部外周には、ネジ山が設けられてネジ部45aとして形成されている。また、第1鏡筒部材45のネジ部45aの近傍の外周には、フランジ47が設けられている。第1鏡筒部材45と第2鏡筒部材46の他方の部材例えば第2鏡筒部材46の一方の端部は、拡径された拡径部46bとして形成されている。第2鏡筒部材46の拡径部46bの内周面には、第1鏡筒部材45のネジ部45aが螺合するネジ溝が設けられてネジ部46aとして形成されている。これら第1鏡筒部材45のネジ部45aと第2鏡筒部材46のネジ部46aが螺合されて連結されることで、鏡筒41が形成されている。この鏡筒41は、たがいに螺合して第2鏡筒部材46の一方の端面が第1鏡筒部材45のフランジ47に当接した状態が長手方向の長さが一番短い状態であり、この状態から第1鏡筒部材45と第2鏡筒部材46を一方または両方の鏡筒部材を回転させることで、鏡筒41の長さの調節すなわちピントの調節を行えるようになっている。また、鏡筒41の両端部内、すなわち、第1鏡筒部材45と第2鏡筒部材46の他方の端部内は、それぞれレンズ収容部45c、46cとして形成されている。これらレンズ収容部45c、46cに収容された凸レンズが鏡筒41の両端部に螺合により取り付けられたカバー49によって鏡筒41から離脱されないようになっている。
【0024】
レンズ部44は、鏡筒41の一方の端部であるレンズ収容部45cに設けられた第1の凸レンズ42と鏡筒41の他方の端部であるレンズ収容部46cに設けられた第2の凸レンズ43とからなる。第1の凸レンズ42と第2の凸レンズ43は、それぞれ1つ又は2つ以上、例えば、それぞれ2つの凸レンズからなる。このように、第1の凸レンズ42と第2の凸レンズ43がそれぞれ2つの凸レンズからなることで、倒立像を得ることができる。第1の凸レンズ42と第2の凸レンズ43は、一方の凸レンズが対物レンズで、残りの凸レンズが接眼レンズとなるもの、すなわち、第1の凸レンズ42が対物レンズに第2の凸レンズ43が接眼レンズとなる第1パターンと、第1の凸レンズ42が接眼レンズに第2の凸レンズ43が対物レンズとなる第2パターンの2つのパターンでスコープ4が使用可能になっている。
【0025】
また、第1の凸レンズ42と第2の凸レンズ43は、第1パターンと第2パターンとで接眼レンズとなる凸レンズに映る像の倍率が異なるように互いの焦点距離が異なる凸レンズを用いることが好ましい。特に、第1の凸レンズ42と第2の凸レンズ43は、第1パターンと第2パターンのいずれか一方のパターンの場合で、通常、単眼倒像検眼鏡で使用する距離でスコープ4によって像を見たとき、接眼レンズとなる凸レンズに映る像の倍率が略等倍で、他方のパターンの場合、接眼レンズとなる凸レンズに映る像の倍率が等倍を超える倍率となるように形成することが好ましい。具体的には例えば、一方のレンズ例えば第1の凸レンズ42に第2の凸レンズ43より度の強いレンズを用いて、第1パターンのときに接眼レンズとなる第2の凸レンズ43に映る像の倍率を略等倍(図2(a)参照。)に、第2パターンのときに接眼レンズとなる第1の凸レンズ42に映る像の倍率が等倍を超える倍率(図2(b)参照。)となるようにしてもよい。
【0026】
取付部材5は、スコープ4を検眼鏡2に着脱可能に取り付けるものである。取付部材5は、例えば、検眼鏡2の鏡筒23aの外周面に着脱可能に取り付けられる検眼鏡取付部材51と、スコープ4が取り付けられるスコープ取付部材52と、検眼鏡取付部材51とスコープ取付部材52を互いに移動可能に連結する連結手段53とを有している。
【0027】
検眼鏡取付部材51は、平板状の基部51aと、基部51aの一端が優弧状に形成された円弧部51bとが弾性変形可能な例えば合成樹脂で形成されてなる。円弧部51bは、曲率半径が可変する弾性変形可能で、内周面の径が検眼鏡2の鏡筒23aの外周面の径より小さく形成されている。円弧部51bは、開口部が広がって円弧部51bの曲率半径が大きく弾性変形して開口部から鏡筒23aが内部に押し込まれて内周面に鏡筒23aの外周面が接触しかつこの状態が保持され得る弾性力及び周方向の長さに形成されてなる。また、円弧部51bは、検眼鏡2の鏡筒23aにその周方向及び軸方向に移動可能な弾性力で形成されている。
【0028】
スコープ取付部材52は、平板状の基部52aと、基部52aの一端が優弧状に形成された円弧部52bとが弾性変形可能な例えば合成樹脂で形成されてなる。円弧部52bは、曲率半径が可変する弾性変形可能で、内周面の径がスコープ4の外周面の径より小さく形成されている。円弧部52bは、開口部が広がって円弧部の曲率半径が大きく弾性変形して開口部からスコープ4が内部に押し込まれて内周面にスコープ4の外周面が接触しかつこの状態が保持され得る弾性力及び周方向の長さに形成されてなる。また、円弧部52bは、スコープ4にその周方向及び軸方向に移動可能な弾性力で形成されている。円弧部52bの基部52aが連接されている部分は、基部52aより厚さが厚く形成されて、円弧部52bと基部52aの境目に段部が形成されている。この基部の下面に検眼鏡取付部材51の基部51aの上面が接触した状態でスコープ取付部材52と検眼鏡取付部材51が連結手段53によって連結される。
【0029】
連結手段53は、検眼鏡取付部材51とスコープ取付部材52を互いに移動可能に連結することができればその構成は特に限定されず、検眼鏡取付部材51とスコープ取付部材52のいずれか一方の取付部材、例えば、検眼鏡取付部材51に取り付けられる支持部材54と、残りの他方の取付部材、例えば、スコープ取付部材52に設けられ支持部材54が挿入される穴55とを有している。支持部材54は、例えば、検眼鏡取付部材51の基部51aの上面から直交する方向すなわち検眼鏡取付部材51を検眼鏡2の鏡筒23aに取り付けたとき鏡筒23aの軸に対して直交する方向に延びて取り付けられている。支持部材54は、例えば、操作ネジである。この支持部材54のネジ部が螺合するネジ穴56が検眼鏡取付部材51の基部51aに設けられている。穴55は、支持部材54のネジ部が挿入されて貫通可能であるが、操作部54aが挿入できない大きさでスコープ取付部材52の基部52aに形成されている。また、穴55は、スコープ取付部材52の基部52aの長手方向(円弧部52bの軸に対して直交する方向)に長く支持部材54のネジ部が長手方向に移動し得る長穴に形成されている。この穴55の長手方向の長さは任意に設定される。
【0030】
これにより、支持部材54のネジ部をワッシャーを通してスコープ取付部材52の基部52aの穴55に上面から挿入して貫通させつつ検眼鏡取付部材51の基部51aのネジ穴56に螺合させて操作部54aと検眼鏡取付部材51の基部51aでスコープ取付部材52の基部52aを締め付けることで検眼鏡取付部材51とスコープ取付部材52が連結されるようになっている。また、支持部材54を検眼鏡取付部材51の基部51aに対して回転させて操作部54aと検眼鏡取付部材51の基部51aによるスコープ取付部材52の基部52aの締め付けを緩めて、検眼鏡取付部材51に対してスコープ取付部材52を支持部材54を軸に回転させることで、検眼鏡取付部材51に対するスコープ取付部材52の位置が調節されるようになっている。さらに、支持部材54が穴の長手方向に移動し得る範囲で検眼鏡取付部材51に対するスコープ取付部材52の位置が調節されるようになっている。
【0031】
さて、このアタッチメント1を検眼鏡2に取り付けるには、まず、支持部材54により連結されていない検眼鏡取付部材51の円弧部51bの開口部を形成する両端部に検眼鏡2の鏡筒23aの外表面を接触させる。この状態から鏡筒23aを円弧部51b内側に押圧すると、円弧部51bの開口部が広がって円弧部51bの曲率半径が大きく弾性変形して鏡筒23aが円弧部51b内に押し込まれ、円弧部51bの弾性力によって円弧部51bの内周面に鏡体23aの外周面が接触してその状態が保持される。すなわち、円弧部51b内に鏡筒23aが嵌め込まれた状態で検眼鏡取付部材51が発光部23の鏡筒23aに取り付けられる。
【0032】
また、スコープ取付部材52の円弧部52bの開口部を形成する両端部にスコープ4の外表面を接触させる。この状態からスコープ4を円弧部52b内側に押圧すると、円弧部52bの開口部が広がって円弧部52bの曲率半径が大きく弾性変形してスコープ4が円弧部52b内に押し込まれ、円弧部52bの弾性力によって円弧部52bの内周面にスコープ4の外周面が接触してその状態が保持される。すなわち、円弧部52b内にスコープ4が嵌め込まれた状態でスコープ取付部材52がスコープ4に取り付けられる。
【0033】
次に、支持部材54のネジ部をワッシャーを通してスコープ取付部材52の基部52aの穴55に上面から挿入して貫通させつつ検眼鏡取付部材51の基部51aのネジ穴56に螺合させて操作部54aと検眼鏡取付部材51の基部51aでスコープ取付部材52の基部52aを締め付ける。これにより、本実施形態のアタッチメント1が検眼鏡2に取り付けられる。このように、検眼鏡取付部材51の円弧部51bに検眼鏡2の鏡筒23aを押し込み、かつ、スコープ取付部材52の円弧部52bにスコープ4を押し込み、支持部材54をスコープ取付部材52の基部52aの穴55に挿入して検眼鏡取付部材51の基部51aのネジ穴56に螺合させることで、アタッチメント1を検眼鏡2に取り付けることができるので、アタッチメント1の検眼鏡2への取付を簡単に行える。なお、互いに連結されていない検眼鏡取付部材51とスコープ取付部材52に検眼鏡2の鏡筒23aとスコープ4を取り付けたが、支持部材54を用いて検眼鏡取付部材51とスコープ取付部材52を連結してからそれぞれ検眼鏡2の鏡筒23aとスコープ4を取り付けるようにしてもよい。
【0034】
アタッチメント1を取り付けた検眼鏡2を用いて眼底の倒像検査を行うには、まず、装着体22をメガネのように頭部11にかけて装着する。これにより、LEDを光源として発光部23の鏡筒23aから光が照射されるので、照射光が患者等の検査対象者の瞳孔から眼底すなわち網膜に照射されるように発光部23の位置を連結機構24によって調節する。発光部23の位置を調節した後、スコープ4の位置を連結手段53により調節する。スコープ4の位置調節は、検者が目視で検査対象者の目を観察しながら眼底検査を行うために片手で持った集光レンズ3に映る像がスコープ4で見られるように行う。
【0035】
具体的には、この調節は、支持部材54を検眼鏡取付部材51の基部51aに対して回転させて操作部54aと検眼鏡取付部材51の基部51aによるスコープ取付部材52の基部52aの締め付けを緩めて、検眼鏡取付部材51に対してスコープ取付部材52を支持部材54を軸に回転させたり、支持部材54が穴の長手方向に移動し得る範囲で眼鏡取付部材に対してスコープ取付部材52を移動させたりして行う。さらに、検眼鏡2の鏡筒23aへのアタッチメント1の取付部材5の取付は、鏡筒23aの外周に検眼鏡取付部材51の円弧部51bの内周面を接触させて円弧部51bの弾性力によって行っているから、鏡筒23aに対して検眼鏡取付部材51すなわちアタッチメント1を鏡筒23aの外周面の周方向に移動することができ、かつ、アタッチメント1を鏡筒23aの軸方向にも移動することができる。その結果、発光部23すなわち検眼鏡2に対してスコープ4の位置を所望の位置に容易に位置決めでき、かつ、スコープ4の位置の微調節を行える。また、検眼鏡2の発光部23に対するスコープ4の位置は、発光部23の周囲のアーム25が邪魔にならない範囲から任意に位置決めでき、例えば、図1〜図3に示すように、発光部23の上方に位置させてもよいし、図4に示すように、発光部23の下方に位置させてもよい。
【0036】
そして、アタッチメント1を取り付けた検眼鏡2で眼底に光を照射してこの眼底の観察を行うとき、スコープ4で集光レンズ3に映る倒像を正像に転換された状態で見ることができる。すなわち、検眼鏡を用いて光を照射した眼底を観察するための集光レンズ3越しの倒像を正像に転換して観察することができる。その結果、熟練を要することなく眼底の観察がし易く、かつ、検査しながら検査対象者の眼に対して強膜圧迫等の手技をし易くなる。また、検査内容をカルテに正確に記入することができる。
【0037】
スコープ4が、取付部材5に取り付けられ両端部間の距離が可変可能な円筒状の鏡筒41と、鏡筒41の一方の端部に設けられた第1の凸レンズ42及び鏡筒41の他方の端部に設けられた第2の凸レンズ43からなるレンズ部44とを有してなることで、簡単な構造でスコープ4を形成することができる。
【0038】
第1の凸レンズ42と第2の凸レンズ43に度の異なる凸レンズを用い、かつ、第1の凸レンズ42と第2の凸レンズ43を逆にして鏡筒41を取付部材5に取り付けられるようにする、すなわち、第1の凸レンズ42が対物レンズに第2の凸レンズ43が接眼レンズとなる第1パターンと第1の凸レンズ42が接眼レンズに第2の凸レンズ43が対物レンズとなる第2パターンの2つのパターンで鏡筒41の取付を行えるようにすること、例えば、一方のパターンのとき接眼レンズとなる凸レンズに映る像の倍率を略等倍に、他方のパターンのとき接眼レンズとなる凸レンズに映る像の倍率を等倍を超える倍率となるようにすることで、眼底の観察や強膜圧迫等の手技を行う際の画像を観察や手技に応じて変えることができるので、汎用性が高い。
【0039】
図5は、本実施形態のアタッチメントの他の一例を示す図である。このアタッチメントの前記のアタッチメントと異なる点は、取付部材が一体に形成されている点である。すなわち、図5に示すように、取付部材60は、検眼鏡2の鏡筒23aの外周面に着脱可能に取り付けられる検眼鏡取付部61とスコープ4が取り付けられるスコープ取付部62とが弾性変形可能な例えば合成樹脂で一体に形成されてなる。
【0040】
検眼鏡取付部61は、曲率半径が可変する弾性変形可能な優弧状で、内周面の径が検眼鏡2の鏡筒23aの外周面の径より小さく形成されてなる。検眼鏡取付部61は、開口部が広がって検眼鏡取付部61の曲率半径が大きく弾性変形して開口部から鏡筒23aが内部に押し込まれて内周面に鏡体23aの外周面が接触しかつこの状態が保持され得る弾性力及び周方向の長さに形成されている。また、検眼鏡取付部61は、検眼鏡2の鏡筒23aにその周方向及び軸方向に移動可能な弾性力で形成されている。
【0041】
スコープ取付部62は、曲率半径が可変する弾性変形可能な優弧状で、内周面の径がスコープ4の外周面の径より小さく、かつ、開口部が検眼鏡取付部61の開口部の反対側に位置されて形成されてなる。スコープ取付部62は、開口部が広がってスコープ取付部62の曲率半径が大きく弾性変形して開口部からスコープ4が内部に押し込まれて内周面にスコープ4の外周面が接触しかつこの状態が保持され得る弾性力及び周方向の長さに形成されてなる。また、スコープ取付部62は、スコープ4にその周方向及び軸方向に移動可能な弾性力で形成されている。
【0042】
このアタッチメント6を検眼鏡2に取り付けるには、まず、検眼鏡取付部61の開口部を形成する両端部に検眼鏡2の鏡筒23aの外表面を接触させる。この状態から鏡筒23aを検眼鏡取付部61側に押圧すると、検眼鏡取付部61の開口部が広がって検眼鏡取付部61の曲率半径が大きく弾性変形して鏡筒23aが検眼鏡取付部61内に押し込まれ、検眼鏡取付部61の弾性力によって検眼鏡取付部61の内周面に鏡体23aの外周面が接触してその状態が保持される。すなわち、検眼鏡取付部61内に鏡筒23aが嵌め込まれた状態で取付部材60が鏡筒23aに取り付けられる。
【0043】
次に、スコープ取付部62の開口部を形成する両端部にスコープ4の外表面を接触させる。この状態からスコープ4をスコープ取付部62側に押圧すると、スコープ取付部62の開口部が広がってスコープ取付部62の曲率半径が大きく弾性変形してスコープ4がスコープ取付部62内に押し込まれ、スコープ取付部62の弾性力によってスコープ取付部62の内周面にスコープ4の外周面が接触してその状態が保持される。すなわち、スコープ取付部62内にスコープ4が嵌め込まれた状態でスコープ4が取付部材60に取り付けられる。これにより、検眼鏡2にアタッチメント6が取り付けられる。なお、アタッチメント6を検眼鏡2に取り付けるのに、取付部材60を検眼鏡2の鏡筒23aに取り付けてからスコープ4をその取付部材60に取り付けるようにしたが、スコープ4を取付部材60に取り付けてからこの取付部材60を検眼鏡2の鏡筒23aに取り付けるようにしてもよい。
【0044】
このようにアタッチメント6を取り付けた検眼鏡2を用いることで、眼底に光を照射してこの眼底の観察を行うとき、スコープ4で集光レンズ3に映る倒像を正像に転換された状態で見ることができる。すなわち、検眼鏡2を用いて光を照射した眼底を観察するための集光レンズ3越しの倒像を正像に転換して観察することができる。その結果、熟練を要することなく眼底の観察がし易く、かつ、検査しながら検査対象者の眼に対して強膜圧迫等の手技をし易くなる。また、検査内容をカルテに正確に記入することができる。
【0045】
図6は、本実施形態のアタッチメントの他の一例を示す図である。このアタッチメントの前記のアタッチメントと異なる点は、手持式の検眼鏡に取り付けられるようにした点である。すなわち、図6に示すように、取付部材70は、従来周知の手持式の検眼鏡8の発光部81の鏡筒81aの上部に跨って取り付けられるようにU字状に弾性変形可能な例えば合成樹脂で形成されている。取付部材70の湾曲している基部70aは、内周面が優弧状に形成されてなる。基部70aは、開口部が広がって基部70aの曲率半径が大きく弾性変形して開口部から検眼鏡8の鏡筒81aが基部70aに押し込まれて内周面にスコープ4の外周面が接触して取付部材70が鏡筒81aに取り付けられるように形成されている。取付部材70の両側部70bには、側部70bが延びる方向に長い長穴71がそれぞれ形成されている。また、検眼鏡8の鏡筒81aの上部には、光の照射方向と直交する方向に貫通する穴が設けられている。
【0046】
この鏡筒81aの穴と取付部材70の両側部70bの穴71とを穴合わせし、これら穴71に順次支持部材であるボルト72を通し、穴を貫通したボルト72のネジ部にナットを螺合させてボルト72の頭部とナットの締め付けにより、取付部材70すなわちアタッチメント7が鏡筒81aに取り付けられるようになっている。また、ボルト72とナットの締め付けを緩めることで、鏡筒81aに対してアタッチメント7がボルト72を軸に回転可能になり、かつ、ボルト72が長穴71の長手方向に移動し得る範囲で鏡筒81aに対してスコープ4の移動を行える。その結果、鏡筒81aすなわち検眼鏡8に対してスコープ4の位置を所望の位置に容易に位置決めでき、かつ、スコープ4の位置の微調節を行える。
【0047】
このようにアタッチメント7を取り付けた検眼鏡8を用いることで、眼底に光を照射してこの眼底の観察を行うとき、スコープ4で集光レンズ3に映る倒像を正像に転換された状態で見ることができる。すなわち、検眼鏡8を用いて光を照射した眼底を観察するための集光レンズ3越しの倒像を正像に転換して観察することができる。その結果、熟練を要することなく眼底の観察がし易く、かつ、検査内容をカルテに正確に記入することができる。
【0048】
図7及び図8は、本実施形態の検眼鏡の他の一例を示す図である。この検眼鏡(前記の検眼鏡と区別するために以下「第3の検眼鏡」という。)は、スコープ4の位置を決めた後にスコープ4に対して発光部23を移動させられるようにしたものである。この第3の検眼鏡の基本的な構造は、前記の検眼鏡2と略同じであるのでその説明を省略し同一符号を付することがある。
【0049】
第3の検眼鏡は、図7及び図8に示すように、人の頭部11の少なくとも前面に装着される装着体22と、前方に光を照射する発光部23と、発光部23からの光を照射した眼底の観察を行うための集光レンズ3に映る倒像を上下左右逆にして正像に転換して見るスコープ4と、装着体22にスコープ4を位置調節可能に連結して、装着体22を頭部11に装着したとき、スコープ4を正面から見て頭部11の左右方向の中央部を中心に左右対称の位置に動かせるとともに人の眼の前方に動かせかつその眼の前後方向に動かせる連結機構24と、スコープ4が取り付けられた連結機構24のスコープ用取付部材29又はスコープ4に発光部23を位置調節可能に取り付ける取付部材90とを備えている。
【0050】
スコープ用取付部材29は、連結機構24のアーム25の他端に設けられている。スコープ用取付部材29は、スコープ4を着脱可能に取り付けることができればその構成は特に限定されず、例えば、スコープ4の外周面に着脱可能に取り付けられる弾性変形可能な例えば合成樹脂で形成されている。スコープ用取付部材29は、曲率半径が可変する弾性変形可能で、内周面の径がスコープ4の外周面の径より小さい優弧状に形成されている。スコープ用取付部材29は、開口部が広がってスコープ用取付部材29の曲率半径が大きく弾性変形して開口部からスコープ4が内部に押し込まれて内周面にスコープ4の外周面が接触しかつこの状態が保持され得る弾性力及び周方向の長さに形成されている。スコープ用取付部材29は、図示例では、装着体22を人の頭部11に装着したとき、開口部が下方に向くように形成されているが、これに限定されず、左右や斜め上方等その他の方向に向くように形成してもよい。なお、スコープ用取付部材29は、図7に示す例ではスコープ4の拡径部46bと異なる個所のスコープ4の外周に取り付けられ、図8に示す例ではスコープ4の拡径部46bの外周に取り付けられるようにそれぞれ形成されている。
【0051】
取付部材90は、発光部23をスコープ4又はスコープ用取付部材29に位置調節可能に取り付けるものである。取付部材90は、図7に示す例では、スコープ4に発光部23を取り付けるものである。この取付部材90は、図7に示すように、スコープ4の外周面に着脱可能に取り付けられるスコープ取付部材91と、発光部23の鏡筒23aが取り付けられる発光部取付部材92と、スコープ取付部材91と発光部取付部材92を互いに移動可能に連結する連結手段93とを有している。
【0052】
スコープ取付部材91は、平板状の基部91aと、基部91aの一端が優弧状に形成された円弧部91bとが弾性変形可能な例えば合成樹脂で形成されてなる。円弧部91bは、曲率半径が可変する弾性変形可能で、内周面の径がスコープ4の外周面の径より小さく形成されている。円弧部91bは、開口部が広がって円弧部91bの曲率半径が大きく弾性変形して開口部からスコープ4が内部に押し込まれて内周面にスコープ4の外周面が接触しかつこの状態が保持され得る弾性力及び周方向の長さに形成されてなる。また、円弧部91bは、スコープ4の外周にその周方向及び軸方向に移動可能な弾性力で形成されている。
【0053】
発光部取付部材92は、平板状の基部92aと、基部92aの一端が優弧状に形成された円弧部92bとが弾性変形可能な例えば合成樹脂で形成されてなる。円弧部92bは、曲率半径が可変する弾性変形可能で、内周面の径が発光部23の鏡筒23aの外周面の径より小さく形成されている。円弧部92bは、開口部が広がって円弧部92bの曲率半径が大きく弾性変形して開口部から鏡筒が内部に押し込まれて内周面に鏡筒23aの外周面が接触しかつこの状態が保持され得る弾性力及び周方向の長さに形成されてなる。また、円弧部92bは、鏡筒23aの外周にその周方向及び軸方向に移動可能な弾性力で形成されている。円弧部92bの基部92aが連接されている部分は、基部92aより厚さが厚く形成されて、円弧部92bと基部92aの境目に段部が形成されている。この基部92aの下面にスコープ取付部材91の基部91aの上面が接触した状態でスコープ取付部材91と発光部取付部材92が連結手段93によって連結される。
【0054】
連結手段93は、スコープ取付部材91と発光部取付部材92を互いに移動可能に連結することができればその構成は特に限定されず、スコープ取付部材91と発光部取付部材92のいずれか一方の取付部材、例えば、スコープ取付部材91に取り付けられる支持部材54と、残りの他方の取付部材、例えば、発光部取付部材92に設けられ支持部材54が挿入される穴95とを有している。支持部材54は、例えば、スコープ取付部材91の基部91aの上面から直交する方向すなわちスコープ取付部材91をスコープ4に取り付けたときスコープ4の光軸に対して直交する方向に延びて取り付けられている。支持部材54は、例えば、操作ネジである。この支持部材54のネジ部が螺合するネジ穴が発光部取付部材92の基部92aに設けられている。穴95は、支持部材54のネジ部が挿入されて貫通可能であるが、操作部54aが挿入できない大きさで発光部取付部材92の基部92aに形成されている。また、穴95は、発光部取付部材92の基部92aの長手方向(円弧部92bの軸に対して直交する方向)に長く支持部材54のネジ部が長手方向に移動し得る長穴に形成されている。この穴95の長手方向の長さは任意に設定される。
【0055】
これにより、支持部材54のネジ部をワッシャーを通して発光部取付部材92の基部92aの穴95に上面から挿入して貫通させつつスコープ取付部材91の基部91aの
に螺合させて操作部54aとスコープ取付部材91の基部91aで発光部取付部材92の基部92aを締め付けることでスコープ取付部材91と発光部取付部材92が連結されるようになっている。また、支持部材54をスコープ取付部材91の基部91aに対して回転させて操作部54aとスコープ取付部材91の基部91aによる発光部取付部材92の基部92aの締め付けを緩めて、スコープ取付部材91に対して発光部取付部材92を支持部材54を軸に回転させることで、スコープ取付部材91に対する発光部取付部材92の位置が調節されるようになっている。さらに、支持部材54が穴95の長手方向に移動し得る範囲でスコープ取付部材91に対する発光部取付部材92の位置が調節されるようになっている。
【0056】
また、図8に示す例では、取付部材90は、スコープ用取付部材29に発光部23を取り付けるものである。この取付部材90は、図8に示すように、発光部23の鏡筒23aが取り付けられる発光部取付部材92と、スコープ用取付部材29に発光部取付部材92を互いに移動可能に連結する連結手段97とを有している。この発光部取付部材92は、図7に示す取付部材90の発光部取付部材92と同じであるのでその説明を省略し同一符号を付する。また、連結手段97は、図7に示す取付部材90の連結手段93との異なる点が発光部取付部材92を連結する相手がスコープ取付部材91でなくスコープ用取付部材29である点で基本的な構成が同じであるので、その説明を省略する。これにより、支持部材54のネジ部をワッシャーを通して発光部取付部材92の基部92aの穴95に上面から挿入して貫通させつつスコープ用取付部材29のネジ穴に螺合させて操作部54aとスコープ用取付部材29で発光部取付部材92の基部92aを締め付けることでスコープ用取付部材29と発光部取付部材92が連結されるようになっている。また、支持部材54をスコープ用取付部材29に対して回転させて操作部54aとスコープ用取付部材29による発光部取付部材92の基部92aの締め付けを緩めて、スコープ用取付部材29に対して発光部取付部材92を支持部材54を軸に回転させることで、スコープ用取付部材29に対する発光部取付部材92の位置が調節されるようになっている。さらに、支持部材54が穴95の長手方向に移動し得る範囲でスコープ用取付部材29に対する発光部取付部材92の位置が調節されるようになっている。
【0057】
この第3の検眼鏡9を用いて眼底の倒像検査を行うには、まず、装着体22をメガネのように頭部11にかけて装着する。装着後、連結機構24によってスコープ4の位置を調節する。スコープ4の位置調節は、検者が目視で検査対象者の目を観察しながら眼底検査を行うために片手で持った集光レンズ3に映る像がスコープ4で見られるように行う。スコープ4の位置調節後に、LEDを光源として発光部23の鏡筒23aから照射された光が患者等の検査対象者の瞳孔から眼底すなわち網膜に照射されるように鏡筒23aの位置すなわち発光部23の位置を連結手段93、97によって調節する。
【0058】
具体的には、この調節は、支持部材54をスコープ取付部材91又はスコープ用取付部材29に対して回転させて操作部54aとスコープ取付部材91又はスコープ用取付部材29による発光部取付部材92の基部92aの締め付けを緩めて、スコープ取付部材91又はスコープ用取付部材29に対して発光部取付部材92を支持部材54を軸に回転させたり、支持部材54が穴95の長手方向に移動し得る範囲でスコープ取付部材91又はスコープ用取付部材29に対して発光部取付部材92を移動させたりして行う。これにより、スコープ4に対して発光部23の位置を所望の位置に容易に位置決めでき、かつ、発光部23の位置の微調節を行える。また、取付部材90が図7に示すように構成されている場合には、さらに、取付部材90すなわち発光部23をスコープ4の外周に対してその周方向に移動することができ、かつ、発光部23をスコープ4の光軸方向にも移動することができるので、スコープ4に対して発光部23の位置を所望の位置により一層容易に位置決めできる。
【0059】
このようにスコープ4及び発光部23の位置決めを行ってから、発光部23から光を眼底に照射してこの眼底の観察を行うとき、スコープ4で集光レンズ3に映る倒像を正像に転換された状態で見ることができる。すなわち、第3の検眼鏡9を用いて光を照射した眼底を観察するための集光レンズ3越しの倒像を正像に転換して観察することができる。その結果、熟練を要することなく眼底の観察がし易く、かつ、検査しながら検査対象者の眼に対して強膜圧迫等の手技をし易くなる。また、検査内容をカルテに正確に記入することができる。
【0060】
スコープ4が、取付部材90に取り付けられ両端部間の距離が可変可能な円筒状の鏡筒41と、鏡筒41の一方の端部に設けられた第1の凸レンズ42及び鏡筒41の他方の端部に設けられた第2の凸レンズ43からなるレンズ部44とを有してなることで、簡単な構造でスコープ4を形成することができる。
【0061】
第1の凸レンズ42と第2の凸レンズ43に度の異なる凸レンズを用い、かつ、第1の凸レンズ42と第2の凸レンズ43を逆にして鏡筒41を取付部材90に取り付けられるようにする、すなわち、第1の凸レンズ42が対物レンズに第2の凸レンズ43が接眼レンズとなる第1パターンと第1の凸レンズ42が接眼レンズに第2の凸レンズ43が対物レンズとなる第2パターンの2つのパターンで鏡筒41の取付を行えるようにすること、例えば、一方のパターンのとき接眼レンズとなる凸レンズに映る像の倍率を略等倍に、他方のパターンのとき接眼レンズとなる凸レンズに映る像の倍率を等倍を超える倍率となるようにすることで、眼底の観察や強膜圧迫等の手技を行う際の画像を観察や手技に応じて変えることができるので、汎用性が高い。
【0062】
なお、発光部23の鏡体23aの外径とスコープ4の鏡筒41の外径を同じ径で形成し、スコープ用取付部材29、取付部材90のスコープ取付部材91及び発光部取付部材92を外径が同じ径の発光部23の鏡体23aとスコープ4の鏡筒41のいずれか一方をそれぞれ取付可能に形成するようにしてもよい。これにより、発光部23とスコープ4の配置位置を任意に設定することが可能となる。
【符号の説明】
【0063】
1 アタッチメント
2 検眼鏡
3 集光レンズ
4 スコープ
5 取付部材
8 検眼鏡
9 検眼鏡
11 頭部
22 装着体
23 発光部
23a 鏡筒
24 連結機構
29 スコープ用取付部材
41 鏡筒
42 第1の凸レンズ
43 第2の凸レンズ
44 レンズ部
51 検眼鏡取付部材
52 スコープ取付部材
53 連結手段
54 支持部材
55 長穴
90 取付部材
91 スコープ取付部材
92 発光部取付部材
93 連結手段
95 長穴
97 連結手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
単眼倒像検眼鏡から光を照射した眼底の観察を行うための集光レンズに映る倒像を正像に転換する単眼倒像検眼鏡用像転換アタッチメントであって、
前記集光レンズに映る像を上下左右逆にして見るスコープと、
前記スコープが取り付けられ、かつ、前記単眼倒像検眼鏡に着脱可能に取り付けられる取付部材とを備え、
前記単眼倒像検眼鏡で光を照射した前記眼底の観察を行うとき、前記取付部材を介して前記単眼倒像検眼鏡に取り付けた前記スコープで前記集光レンズに映る倒像が正像に転換させた状態で見られるようにしたことを特徴とする単眼倒像検眼鏡用像転換アタッチメント。
【請求項2】
前記スコープは、前記取付部材に取り付けられ両端部間の距離が可変可能な円筒状の鏡筒と、前記鏡筒の一方の端部に設けられた第1の凸レンズ及び前記鏡筒の他方の端部に設けられた第2の凸レンズからなり、前記取付部材を介して前記鏡筒を前記単眼倒像検眼鏡に取り付けたとき、前記集光レンズ側の凸レンズが対物レンズとなりかつ残りの凸レンズが接眼レンズとなるレンズ部とを有してなる請求項1に記載の単眼倒像検眼鏡用像転換アタッチメント。
【請求項3】
前記鏡筒は、前記第1の凸レンズが対物レンズに前記第2の凸レンズが接眼レンズとなる第1パターンと前記第1の凸レンズが接眼レンズに前記第2の凸レンズが対物レンズとなる第2パターンの2つのパターンで前記取付部材に取り付けられ、
前記第1の凸レンズと前記第2の凸レンズは、前記第1パターンと前記第2パターンとでは接眼レンズとなる凸レンズに映る像の倍率が異なるように度の異なる凸レンズを用いた請求項2に記載の単眼倒像検眼鏡用像転換アタッチメント。
【請求項4】
前記第1の凸レンズと前記第2の凸レンズは、前記第1パターンと前記第2パターンのいずれか一方のパターンのとき、接眼レンズとなる凸レンズに映る像の倍率が略等倍であり、かつ、他方のパターンのとき、接眼レンズとなる凸レンズに映る像の倍率が等倍を超える倍率となるように形成されている請求項3に記載の単眼倒像検眼鏡用像転換アタッチメント。
【請求項5】
前記取付部材は、前記単眼倒像検眼鏡の光を照射する円筒状の鏡筒の外周面に着脱可能に取り付けられ前記単眼倒像検眼鏡の鏡筒の外周面より内周面の径が小さい優弧状の弾性変形可能な検眼鏡取付部材と、前記スコープが取り付けられるスコープ取付部材と、前記検眼鏡取付部材と前記スコープ取付部材を互いに移動可能に連結する連結手段とを有し、
前記検眼鏡取付部材は、内周面が前記単眼倒像検眼鏡の鏡筒の外周面に接触した状態を保持し、かつ、前記単眼倒像検眼鏡の鏡筒にその周方向に移動可能な弾性力を有し、
前記連結手段は、前記検眼鏡取付部材と前記スコープ取付部材のいずれか一方の取付部材に取り付けられ前記単眼倒像検眼鏡の鏡筒の軸に対して直交する方向に延びる支持部材と、残りの他方の取付部材に設けられ前記支持部材が挿入されてこの支持部材を軸に前記一方の取付部材と前記他方の取付部材が互いに回転可能に連結され、かつ、前記支持部材が長手方向に移動し得る長穴とを有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の単眼倒像検眼鏡用像転換アタッチメント。
【請求項6】
前記請求項1〜5のいずれか1項に記載の単眼倒像検眼鏡用像転換アタッチメントを備えたことを特徴とする単眼倒像検眼鏡。
【請求項7】
人の頭部の少なくとも前面に装着される装着体と、前方に光を照射する発光部と、前記発光部からの光を照射した眼底の観察を行うための集光レンズに映る倒像を上下左右逆にして正像に転換して見るスコープと、前記装着体に前記スコープを位置調節可能に連結して、前記装着体を前記頭部に装着したとき、前記スコープを正面から見て前記頭部の左右方向の中央部を中心に左右対称の位置に動かせるとともに前記人の眼の前方に動かせかつその眼の前後方向に動かせる連結機構と、前記スコープが取り付けられた前記連結機構のスコープ用取付部材又は前記スコープに前記発光部を位置調節可能に取り付ける取付部材とを備えたことを特徴とする単眼倒像検眼鏡。
【請求項8】
前記取付部材は、前記スコープの外周面に着脱可能に取り付けられ前記スコープの外周面より内周面の径が小さい優弧状の弾性変形可能なスコープ取付部材と、前記発光部が取り付けられる発光部取付部材と、前記スコープ取付部材と前記発光部取付部材を互いに移動可能に連結する連結手段とを有し、
前記スコープ取付部材は、内周面が前記スコープの外周面に接触した状態を保持し、かつ、前記スコープにその周方向に移動可能な弾性力を有し、
前記連結手段は、前記スコープ取付部材と前記発光部取付部材のいずれか一方の取付部材に取り付けられ前記スコープの光軸に対して直交する方向に延びる支持部材と、残りの他方の取付部材に設けられ前記支持部材が挿入されてこの支持部材を軸に前記一方の取付部材と前記他方の取付部材が互いに回転可能に連結され、かつ、前記支持部材が長手方向に移動する長穴とを有する請求項7に記載の単眼倒像検眼鏡。
【請求項9】
前記取付部材は、前記発光部が取り付けられた発光部取付部材と、前記スコープ用取付部材に前記発光部取付部材を移動可能に連結する連結手段とを有し、
前記連結手段は、前記スコープ取付部材と前記発光部取付部材のいずれか一方の取付部材に取り付けられ前記スコープの光軸に対して直交する方向に延びる支持部材と、残りの他方の取付部材に設けられ前記支持部材が挿入されてこの支持部材を軸に前記一方の取付部材と前記他方の取付部材が互いに回転可能に連結され、かつ、前記支持部材が長手方向に移動する長穴とを有する請求項7に記載の単眼倒像検眼鏡。
【請求項10】
前記スコープは、前記スコープ取付部材に取り付けられ両端部間の距離が可変可能な円筒状の鏡筒と、前記鏡筒の一方の端部に設けられた第1の凸レンズ及び前記鏡筒の他方の端部に設けられた第2の凸レンズからなり、前記取付部材を介して前記鏡筒を前記単眼倒像検眼鏡に取り付けたとき、前記集光レンズ側の凸レンズが対物レンズとなりかつ残りの凸レンズが接眼レンズとなるレンズ部とを有してなる請求項7〜9のいずれか1項に記載の単眼倒像検眼鏡。
【請求項11】
前記鏡筒は、前記第1の凸レンズが対物レンズに前記第2の凸レンズが接眼レンズとなる第1パターンと前記第1の凸レンズが接眼レンズに前記第2の凸レンズが対物レンズとなる第2パターンの2つのパターンで前記スコープ取付部材に取り付けられ、
前記第1の凸レンズと前記第2の凸レンズは、前記第1パターンと前記第2パターンとでは接眼レンズとなる凸レンズに映る像の倍率が異なるように互いの焦点距離が異なる凸レンズを用いた請求項10に記載の単眼倒像検眼鏡。
【請求項12】
前記第1の凸レンズと前記第2の凸レンズは、前記第1パターンと前記第2パターンのいずれか一方のパターンのとき、接眼レンズとなる凸レンズに映る像の倍率が略等倍であり、かつ、他方のパターンのとき、接眼レンズとなる凸レンズに映る像の倍率が等倍を超える倍率となるように形成されている請求項11に記載の単眼倒像検眼鏡。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−152382(P2012−152382A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14168(P2011−14168)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(392023289)
【出願人】(000134648)株式会社ナイツ (2)