説明

印判

【課題】印材シートと印材ホルダーとが確実に固定され、かつ密閉性にも優れる印判を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂からなる印材シート1と、印材シート1を保持するフレーム21を有する印材ホルダー2と、からなる印判であって、フレーム21の上端面の全周にわたって1又は複数設けられた突片の上に、印材シート1の周縁部11を載置した状態で、前記突片と周縁部11とを融着保持した。また、前記突片より外側に前記突片より高さが高い位置決め突片を設け、前記位置決め突片の内周面と周縁部11の外周面とを当接した状態で、前記位置決め突片と周縁部11とを融着保持した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印材シートと印材ホルダーを全周にわたって融着保持し、両者を固定かつ密閉してなる印判に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の印判は、単に印材の周縁部と印判ホルダーの端面を熱により溶融し接着したものなので接着力が弱く、繰り返し印判を使用すると接着部分に亀裂が入り、亀裂からインキが漏れ出してしまう欠点があった。更に使用すると接着部分が破断し、印材が印判ホルダーから落ちてしまう欠点もあった。
また、印材の周縁部と印判ホルダーの端面を溶融接着する際、印材が上方へ動かないように印材の上端は基台下端に当接している必要があり、溶融接着に際し印材と印判ホルダーのほか基台は必須部材となるため、構成上制約があった。
さらに、印材の周縁部は印判ホルダー端面より内側で溶融するため、印面の有効面積が狭くなる欠点があった。また、印判ホルダー端面より印面が小さくなるため、印判ホルダーの端面輪郭を捺印印影の目安にして捺印する使用者にとって、印面の大きさや位置が分かり難い欠点があった。
【0003】
特許文献2の印判は、印判ホルダー部材の下端縁及び印材の周縁を熱圧により変形し、印材の周縁を斜面に形成するとともに、印判ホルダー部材の下端縁を印材の周縁に引っ掛ける楔(くさび)に形成したものであって、印判ホルダー部材の下端縁を楔に形成したことにより印判ホルダー部材と印材との取付けを機械的なものとし、シール性に優れ、繰り返しの使用に有効な印判を提供するものである。しかしながら、楔部分が、押印の応力を直接受ける印材側に設けてある為に、繰り返しの使用により次第に接着部分に亀裂が入り、亀裂からインキが漏れ出すことや亀裂が拡大して破断する欠点があった。
また、印材の周縁部と印判ホルダー部材の下端縁を熱圧により変形する際、印材が上方へ動かないように印材の上端はホルダ部材に設けた支持柱下端に当接している必要があり、熱圧による変形に際し印材と印判ホルダー部材のほか支持柱は必須部材となるため、構成上制約があった。
さらに、印材の周縁部は印判ホルダー部材の下端縁より内側から溶融するため、印面の有効面積が狭くなる欠点があった。また、印判ホルダー端面より印面が小さくなるため、印判ホルダーの端面輪郭を捺印印影の目安にして捺印する使用者にとって、印面の大きさや位置が分かり難い欠点があった。
【0004】
特許文献3の印判は、印判ホルダーのフレームの下端面部に突起を設けてあり接合部分はフレームの下端面部上で形成されるものであるが、フレームの下端面部の融着量が少ないため接着性に劣る欠点があった。
また、多孔質印材の周縁部と突起を溶融接合する際、多孔質印材が上方へ動かないように多孔質印材の上端はインキ吸蔵体下端に当接している必要があり、溶融接合するに際し多孔質印材とフレームのほかインキ吸蔵体は必須部材となるため、構成上制約があった。
さらに、多孔質印材の周縁部はフレーム下端面部より内側から溶融するため、印面の有効面積が狭くなる欠点があった。また、印判ホルダー端面より印面が小さくなるため、印判ホルダーの端面輪郭を捺印印影の目安にして捺印する使用者にとって、印面の大きさや位置が分かり難い欠点があった。
【0005】
特許文献4の印判は、印材の周縁部と印判ホルダーの下端部を熱により融着保持したものであるが、印判ホルダーの下端部はフラットであるため溶融面積が少なく接着性に劣る欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−363285号
【特許文献2】特開2000−94818号
【特許文献3】特開2009−73033号
【特許文献4】特開平10−181173号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、印判を繰り返し使用しても印材シートと印材ホルダーの融着部分に亀裂が入ることがなく、印材シートと印材ホルダーが確実に固定されかつ密閉性にも優れる印判を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために完成された第1の発明は、
熱可塑性樹脂からなる印材シートと、
前記印材シートを保持するフレームを有する印材ホルダーと、
からなる印判であって、
前記フレームの上端面の全周にわたって1又は複数設けられた突片の上に、前記印材シートの周縁部を載置した状態で、前記突片と前記周縁部とを融着保持したことを特徴とする印判である。
第2の発明は、前記突片より外側に前記突片より高さが高い位置決め突片を設け、前記位置決め突片の内周面と前記周縁部の外周面とを当接した状態で、前記位置決め突片と前記周縁部とを融着保持したことを特徴とする第1の発明に記載の印判である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の印判は、フレームの上端面の全周にわたって1又は複数設けられた突片の上に、印材シートの周縁部を載置した状態で、突片と周縁部とを融着保持しているため、突片がないフラットなフレームよりも融着量が多く、押印を何度繰り返しても印材シートの周縁が印材ホルダーから外れたり隙間が開いたりすることがなく、密閉性に優れインキ漏れが生じない。
また、印材シートをフレームに融着する際、他の部品を必要とせず印材シートとフレームの2部品で完結するため構成上の制約が軽減される。
さらに、印材シートの周縁部はフレームの上端面のみで溶融されるため、フレーム内側全面の面積を印面として有効に利用することができる。また、周縁部は印判ホルダー端面でのみ溶融するため、印判ホルダーの端面輪郭を捺印印影の目安にして捺印する使用者にとって、印面の大きさや位置が分かり易くなる。
また、突片より外側に該突片より高さが高い位置決め突片を設け、該位置決め突片の内周面と印材シート周縁部の外周面とを当接した状態で、前記位置決め突片と周縁部とを融着保持しているため、別途治具等を使用しなくても容易に印材シートの位置決めをすることができ、生産効率が高い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明印判の断面図
【図2】実施例1の融着保持の説明図
【図3】実施例2の融着保持の説明図
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(実施例1)
以下に、本発明の印判にかかる実施例につき、図1、図2と共に説明する。
尚、本発明において「上方」・「上端」とは印材シート側を指し、「下方」・「下端」とは印材ホルダー側を指す。
本発明の印判は、熱可塑性樹脂からなる印材シート1と、該印材シート1を保持するフレーム21の上端面に突片22を設けた印材ホルダー2とを備える。そして、前記突片22の上に印材シート1の周縁部11を載置した状態で、前記突片22と前記周縁部11とを融着保持する。このようにすることよって、印材シート1の周縁部11と突片22が全周にわたって融着保持される。
【0012】
前記印材シート1の素材となる熱可塑性樹脂としては、50℃〜300℃で融解する熱可塑性樹脂を用いることができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン系熱可塑性エラストマー、ポリプロピレン系熱可塑性エラストマー、ポリブチレン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリジエン系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化物系熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニール共重合樹脂などを用いることができる。
その中でも、特にポリエチレン、ポリポロピレン、エチレン− α オレフィン共重合体、ポリエチレン系熱可塑性エラストマー、ポリプロピレン系熱可塑性エラストマー等のポリオレフィン系熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。
また、印材シート1は、文字等が未形成の熱可塑性樹脂製印材、又は、文字等を凸状に形成した熱可塑性樹脂製印材を用いることができる。文字等が未形成の熱可塑性樹脂製印材を用いた場合は、本発明の印判が完成後に文字等を形成することになり、あらかじめ文字等を凸状に形成した熱可塑性樹脂製印材を用いた場合は、本発明の印判が完成後すぐに使用することができる。
また、印材シート1は、多孔質体、又は、非多孔質体の印材を用いることができる。多孔質体の印材を用いた場合は、インキが内蔵できる浸透印を得ることができ、非多孔質体の印材を用いた場合は、スタンプ台からインキを転写する印判を得ることができる。
【0013】
本発明の印材ホルダー2は、グリップ部材4や他部品と嵌合するための嵌合部23と、印材シート1を保持するフレーム21を有してなるものである。
印材ホルダー2は、角柱、円柱等の柱状体でもよいし、中央部が開口した枠形状でもよい。印材ホルダー2上面外周の形状は、丸・楕円形状、三角形・四角形等の多角形などを適宜採用可能である。印材ホルダー2を枠形状とした場合は、中央の開口部にクッション材やインキ吸蔵体、かさ上げする為の底上げ部材等を収容する必要がある。
フレーム21は前記印材ホルダー2上面の縁の部分を指し、フレーム21の上端面には突片22を設ける。突片22はフレーム21の上端面の全周にわたって設けられ、その数は1つでもよいし2つ以上の複数でもよい。また、突片22はフレーム21の上端面に設けられていればよく、その位置は中央部でも端面でもどこでもよい。突片22は先端が略突出していればよく、断面形状が三角形・四角形・台形等を適宜採用可能である。
印材ホルダー2の素材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン系熱可塑性エラストマー、ポリプロピレン系熱可塑性エラストマー、ポリブチレン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリジエン系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化物系熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニール共重合樹脂などの熱可塑性樹脂が用いられる。
特に、接着性能の面から上述の印材シート1と同一又は同系の素材を用いることが好ましく、印材シート1にポリオレフィン系熱可塑性樹脂を用いる場合は、印材ホルダー2の素材も同じくポリオレフィン系熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
【0014】
図2Aに示すように、印材シート1はフレーム21の上端面に設けた突片22の上に載置される。前述の通り、印材ホルダー2が枠形状の場合は、印材シート1の裏面側にはクッション材3やインキ吸蔵体、かさ上げする為の底上げ部材等を収容することが好ましい。
次に、印材シート1の周縁部11とフレーム21の上端面に設けた突片22とを全周にわたって融着保持する。具体的には、図2Bに示すように、印材シート1とフレーム21とを全周にわたって同時に溶融可能な十分な大きさを有する熱シール治具5を用意し、これを印材シート1及びフレーム21の溶融温度より高い温度に加熱した後、印材シート1及びフレーム21に数秒間押圧する。
更に詳述すると、始めに熱シール治具5が印材シート1の周縁部11に接触して当該周縁部11を溶融し、更に押圧すると熱シール治具5がフレーム21に設けた突片22に接触して該突片22が溶融する。次に、両者の溶融物は重合し或いは混合した状態で接着する。両者が溶融してできた融着保持部は、溶融温度・溶融時間・溶融圧力等の相違によって、溶融物が重なり合い或いは混じり合った形状で接着するが、いずれにせよフレーム21の上端面上に形成される。
したがって、十分な融着量を確保できるため、押印を何度繰り返しても印材シート1の周縁部11が印材ホルダー2から外れたり隙間が開いたりすることがなく、印材シート1と印材ホルダー2が確実に固定できると共に、密閉性にも優れインキ漏れを防止できるものとなる。
融着保持の工程に際しては、印材シート1の表面を保護し、熱シール治具5の離型性を担保するために保護フィルム6を載置することが好ましい。保護フィルム6には高温に耐えられるプラスチックフィルムが用いられ、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム,ポリアミドフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、フッ素フィルム、シリコーンフィルムなどを用いることができる。
【0015】
本発明の熱可塑性樹脂印材の印面に文字等を形成する方法としては、キセノンフラッシュランプなどによって選択的に赤外線を照射することによって印面を形成する方法や、加熱した金型に押圧することによって印面を形成する方法や、炭酸ガスレーザやYAGレーザといった各種レーザ光を用いるレーザ加工機で直接彫刻する方法などを用いることできる。
【0016】
本実施例についてさらに詳述する。
融点70℃のポリエチレン樹脂100重量部、分子量400のポリエチレングリコール20重量部、粒径10〜60μmの塩化ナトリウム350重量部を配合したものに、若干のカーボンブラックを加えて混練し、厚み2.0mmのシート状の原部材を作成する。
次に、当該原部材を温水中に浸してポリエチレングリコールと塩化ナトリウムを完全に洗除した後、これを十分に乾燥させ、灰色味を帯びた厚さ2.0mmの多孔質シートを得る。
次に、多孔質シートをカッターで所要の大きさに切断し、熱可塑性樹脂からなる多孔質の印材シート1を得る。この際、超音波カッターを用いると切断と同時にその切断面が溶融固化された印材シート1を得ることができる。
【0017】
次に、前記印材シート1に文字等を形成する方法を説明する。
本実施例では、まずコンピュータ等で版下を作成し、次にカーボントナーを付着させて画像を形成する乾式複写機やレーザープリンター等を用いて前記版下を用紙に出力し原稿シートを作成する。
本発明において用いる用紙としてはポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などの透明シート又は白色不透明シートや、トレーシングペーパー、PPC用紙など赤外線を透過するシートを用いることができる。
原稿としては、印面となる文字または図形が形成される部分と残りの部分とにより区画形成され赤外線透過度の大小差が得られるものが用いられ、具体的には、透明シート又は白色不透明シートの片面に赤外線の照射で発熱する発熱性インキで文字または図形を描いたものや、コピー機によるPPC用紙、OHP用紙など文字または図形がシート表面で赤外線吸収性被膜として形成されているものや、用紙の片面に赤外線を反射するインキや転写テープ(白色のタイプ文字修正テープなど)で文字または図形を描いたものなどや、赤外線を透過させることのないシートに文字または図形を打ち抜いたもの等があげることができる。
次に、赤外線を透過可能なラミネートフィルム等の離型用フィルムで前記原稿シートをラッピングした後、前記印材シート1の外周とほぼ同一の大きさに切断して本発明の原稿を得る。
次に、印材シート1と原稿が完全に密着するように圧力を加えつつ赤外線を照射して、印材シート1の表面のうち、赤外線の透過で加熱される部分の表層をこれに混在されているカーボンなどの発熱材微粉末の発熱下に溶融固化させ、インキが滲み出し不能な非多孔質保護被膜を形成し、前記原稿の赤外線透過度の小さい部分に対応する多孔質印材の残部表面をインキ滲み出し面に形成し、文字等を形成する。
【0018】
次に、融点70℃のポリエチレン製であって、下方に嵌合部23と上方に印材シート1を載置するフレーム21とを形成した印材ホルダー2を用意し、印材シート1をフレーム21に載置する。また、フレーム21の上端面の中央部には突片22が設けてある。突片22はフレーム21の内側面から少し距離を置いた中央部に設置されている。
印材シート1の表面側にポリエチレンテレフタレートフィルムを保護フィルム6として載置する。
印材シート1及びフレーム21の両者の全周を同時に溶融可能な十分な大きさを有する熱シール治具5を用意し、約100℃に加熱した後、印材シート1及びフレーム21に対して押圧する。押圧を開始すると、初めに印材シート1の周縁部11が溶融し、続けてフレーム21に設けた突片22が溶融する。押し付けたまま約3秒後に脱離すると、印材シート1の溶融部分の下に突片22の溶融部分が重なり合った形状で全周にわたって融着保持される。また、両者が溶融してできた融着保持部はフレーム21の上端面上に形成される。
保護フィルム6を取り除き、文字等を形成した印材シート1を融着保持した印材ホルダー2を得た。
印材シート1にインキを含浸した後、印材シート1の裏面にクッション材3を収容した状態で、印材ホルダー2の嵌合部23にグリップ部材4を連結させて本実施例の印判を得た。
ここで、印材シート1に文字を形成する時機は、フレーム21に融着保持する前に形成してもよいし、フレーム21に融着保持後に形成してもよい。また、印材シート1表面の保護やインキによる汚損を防止する目的で印面キャップ(図示しない)を設けてもよい。
【0019】
本実施例を用いて作成した印判は、フレーム21の上端面の全周にわたって複数設けられた突片22の上に、印材シート1の周縁部11を載置した状態で、突片22と周縁部11とを融着保持しているため、融着量が多く、押印を何十万回繰り返しても印材シート1の周縁が印材ホルダー2から外れたり隙間が開いたりすることはない。また印材シート1と印材ホルダーが確実に固定できるので、密閉性にも優れインキの蒸発やインキ漏れを防止できる。
【0020】
(実施例2)
以下に、本例の印判につき、図3と共に説明する。ここでは、前記した実施例1と異なる点のみを説明する。
図3Aに示すように、前記突片22のうち最も外側の突片22のさらに外側に位置決め突片22aを設ける。前記位置決め突片22aは、フレーム21の上端面全周にわたって設けられてもよいし、部分的に設けられてもよい。その断面形状は、突片22と同様三角形・四角形・台形等を適宜採用可能である。前記位置決め突片22aは、前記突片22のうち最も外側の突片22の高さより背を高くして設ける。印材シート1をフレーム21の上端に載置したとき、前記位置決め突片22aの内周面は前記印材シート1の周縁部11の外周面と当接する。
そして、この状態で前記位置決め突片22aと前記印材シート1の周縁部11とを融着保持する。具体的には、図3Bに示すように、前述した通り熱シール治具5を用意し、これを印材シート1及びフレーム21の溶融温度より高い温度に加熱した後押圧する。これにより、周縁部11と突片22を融着保持するとともに、周縁部11と位置決め突片22aとを同時に融着保持することができる。
前記位置決め突片22aは、印材シート1をフレーム21の上端面に載置したとき、設計仕様通りの適切な位置に誰でも瞬時に置くことができるように設けるものである。この位置決め突片22aがないと、別途位置決め用の治具等を利用する必要があり生産効率が下がる。このように前記位置決め突片22aは、印材シート1の位置決め用の突片の機能と融着用の突片の機能を合わせ持つものである。
【0021】
以上、現時点において最も実践的でありかつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う印判もまた技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【符号の説明】
【0022】
1 印材シート
11 周縁部
2 印材ホルダー
21 フレーム
22 突片
22a位置決め突片
23 嵌合部
3 クッション材
4 グリップ部材
5 熱シール治具
6 保護フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂からなる印材シートと、
前記印材シートを保持するフレームを有する印材ホルダーと、
からなる印判であって、
前記フレームの上端面の全周にわたって1又は複数設けられた突片の上に、前記印材シートの周縁部を載置した状態で、前記突片と前記周縁部とを融着保持したことを特徴とする印判。
【請求項2】
前記突片より外側に前記突片より高さが高い位置決め突片を設け、前記位置決め突片の内周面と前記周縁部の外周面とを当接した状態で、前記位置決め突片と前記周縁部とを融着保持したことを特徴とする請求項1に記載の印判。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−71416(P2013−71416A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214107(P2011−214107)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(390017891)シヤチハタ株式会社 (162)