説明

印刷ショップ管理システムにおけるプリンタ判断基準に基づく印刷ジョブ依頼承認ポリシー

【課題】複数のプリンタを管理する印刷ショップ管理装置において実行される印刷ジョブの依頼を処理するための方法を提供する。
【解決手段】印刷ショップ管理システムにおいて、目標プリンタへの印刷ジョブの依頼が承認されるかまたは禁止されるかを判断するために、印刷ジョブ依頼承認ポリシーが提供される。ポリシーは、ジョブ依頼時に実施されるジョブ制限判断基準についての複数のポリシー設定を含む。制限は、PMカウント、ジャムカウント、エラーカウント、プリンタステータス、利用可能な資源のレベルなどの目標プリンタの状態に基づいている。また、ポリシーは、特定のプリンタに印刷ジョブを依頼する特定のユーザの資格を制限することができる。ジョブの依頼が禁止される場合、ユーザにメッセージが表示される。各ポリシー設定は、プリンタ種類またはIDに基づいてプリンタに適用され得る。各ポリシー設定は、管理者により作成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
技術分野
本発明は、印刷ジョブ処理方法および装置に関し、より詳しくは、複数のプリンタおよびフィニッシング装置を使用している印刷ショップのための印刷ジョブ処理方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
複数のプリンタで多数の印刷ジョブを処理する環境では、組織化された方法で印刷ジョブを効率的に管理する必要がある。そのような環境の例は、専門の印刷ショップおよび大きな組織の印刷/複写部門であり、そこでは、大量の複写および大きな書類の印刷などの様々な印刷要求が、複数のプリンタを利用することにより短い所要時間の範囲内で処理されて完成される必要がある。これらの環境は、本出願において、まとめて「印刷ショップ」と称される。一般的に、各印刷ジョブは、印刷ジョブの依頼者の要求に応じて、印刷される文書、文書が印刷されるべき用紙のサイズ、色、および種類、印刷解像度、両面または片面印刷、ならびに、製本、ステープル、部単位印刷などの特定の仕上げ条件を電気的に含むソースファイルを特定する。これらのジョブパラメータの観点からそれぞれ異なる大量の印刷ジョブを処理するために、印刷ショップは、モノクロおよびカラープリンタを含む複数の業務用プリンタを利用する。これらのプリンタのそれぞれは、用紙サイズ、用紙種、解像度設定などの利用可能なプリンタ設定に関して制限を有する。加えて、印刷ショップは、コレータ、ステープラ、穴あけパンチ、折り機、綴じ機などの様々なフィニッシング装置を使用する。複数のプリンタに接続され、印刷ジョブを実現するために一つ以上のプリンタおよびフィニッシング装置に各印刷ジョブを依頼する(すなわち、割り当てる)制御コンピュータのような印刷ショップ管理装置に、一般的に、印刷ショップ管理システムは実装される。ジョブの依頼は、印刷ショップ管理システムによって自動的に、ある程度のオペレータ介入をともなって半自動的に、または、適切なプリンタもしくはフィニッシング装置に印刷ジョブをどのように依頼するかについての決定がオペレータによりなされるところにおいて手動で実施されることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特定の環境下において、印刷ショップの経営者(manager)または所有者は、様々な印刷装置(プリンタ)にジョブを依頼する機能のより細かい制御を望むかもしれない。
【0004】
したがって、本発明は、システム管理者(administrator)が、プリンタの状態または依頼を行う従業員の経験に基づいて複数組の判定基準を定めて、プリンタへの印刷ジョブの依頼を制限することを可能にする印刷ショップ管理システムを提供する。
【0005】
本発明の目的は、生産間違い、物理資源の浪費を低減し、かつ、効率を高めるのに役立つ印刷ショップ管理システムを提供することである。
【0006】
本発明の付加的な特徴および利点は、後続する説明において示され、部分的には、説明から明らかであり、あるいは、発明の実施によって知ることができる。本発明の目的および他の利点は、添付の図面と同様、とりわけ明細書および特許請求の範囲において指摘される構成によって実現され、達成される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これらの目的および/または他の目的を達成するために、具体化されて広く記載されるように、本発明は、複数のプリンタを管理する印刷ショップ管理装置において実行される印刷ジョブの依頼を処理するための方法を提供し、その方法は、一つ以上のプリンタ状態制限判断基準を各々が規定しており、さらに、適用されるプリンタを特定するための一つ以上のプリンタ判断基準を各々が規定している複数のポリシー設定を含む印刷ジョブ依頼承認ポリシーを、前記印刷ショップ管理装置に記憶するステップ(a)と、目標プリンタへの印刷ジョブの依頼をユーザが要求するとき、各々のポリシー設定について、ポリシー設定が前記目標プリンタに適用されるかどうかを前記プリンタ判断基準に基づいて判断するステップ(b)と、一つ以上のポリシー設定が前記目標プリンタに適用される場合、前記適用されるポリシー設定の前記プリンタ状態制限判断基準を、ジョブ依頼時における前記目標プリンタの対応する実際の状態と比較することによって、前記依頼が承認されるかどうかを判断するステップ(c)と、前記依頼が承認されない場合、前記目標プリンタに前記印刷ジョブを依頼することを控えるステップ(d)と、ポリシー設定が前記目標プリンタに適用されない場合、または、前記依頼が承認される場合、印刷のために前記印刷ジョブを前記目標プリンタに依頼するステップ(e)と、を有する。
【0008】
前記プリンタ状態制限判断基準は、最大定期保守(PM)カウント、ジャムの最大数、エラーの最大数、一つ以上の禁止された状態、および一つ以上の資源の下限値のうち、一つ以上を含むことができる。
【0009】
別の態様において、本発明は、印刷ショップ管理装置に上記の方法を実行させるコンピュータプログラムを提供する。
【0010】
上述の概要および以下の詳細な説明は、ともに模範的かつ説明的なものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明のさらなる説明を提供することを目的としていることは理解される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態による印刷ジョブ依頼承認ポリシー作成処理および依頼時のポリシー実施処理を例示する。
【図2A】本発明の一実施形態による印刷ジョブ依頼承認ポリシーを作成するために用いられるユーザインタフェースを例示する。
【図2B】本発明の一実施形態による印刷ジョブ依頼承認ポリシーを作成するために用いられるユーザインタフェースを例示する。
【図3】本発明の一実施形態による印刷ショップシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
好ましい実施形態の詳細な説明
本発明の実施形態は、特定のオペレータにより要求された印刷ジョブの依頼が承認されるか、または禁止されるかを判断するための印刷ジョブ依頼承認ポリシー(便宜上、「依頼ポリシー」と称される)を提供する。図3に典型的に示されるように、LAN(ローカルエリアネットワーク)などのデータ通信回線を介して、印刷ショップのプリンタ2および他の装置に接続されている印刷ショップ管理装置1の記憶装置(たとえば、ハードディスクドライブ)に格納され、印刷ショップ管理装置1(たとえば、制御コンピュータ)によって実行される印刷ショップ管理システムソフトウエアにより依頼ポリシーは実施される。
【0013】
具体的には、印刷ショップ管理システムにおける依頼ポリシーは、ジョブの依頼時に実施される制限判断基準に関する名前を付けられた設定であり、複合的に定義される。各ポリシー設定は、印刷ショップ管理システムの管理者によって作成される。各ポリシー設定は、一組の判断基準を有する。オペレータ(ユーザ)が目標プリンタへのジョブの依頼を要求するとき(「ジョブの依頼時」と称される)、これらの判断基準は、依頼が禁止されるか、または承認されるかを判断するために用いられる。本発明の実施形態において、ポリシー判断基準は、目標プリンタの状態およびジョブの依頼を要求しているユーザに関係し、依頼されているジョブの設定とは無関係である。
【0014】
図1は、依頼ポリシー作成処理(ステップS11〜S12)および依頼時のポリシー実施処理(ステップS13〜S19)を例示する。上述したとおり、印刷ショップ管理装置1の記憶装置に格納され、印刷ショップ管理装置1のCPU(中央処理装置)によって実行される印刷ショップ管理システムソフトウエアによって、処理は実行される。まず、管理者は、印刷ショップ管理システムの適切なユーザインタフェースを通じて、依頼ポリシー設定を作成する(ステップS11)。依頼ポリシー設定は、印刷ショップ管理装置1の記憶装置に記憶される(ステップS12)。ステップS11およびS12は、時を選ばす実行され、付加的なポリシー設定を入力するために要望通りに繰り返されることができる。
【0015】
図2Aおよび図2Bを参照すれば、依頼ポリシーを作成するためにステップS11において使用される典型的なユーザインタフェースが例示される。図2Aは、印刷ショップ管理システムソフトウエアの「動作設定」ダイアログボックス20を示す。「詳細なプリンタポリシー」ボタン21は、依頼ポリシーを閲覧かつ作成するために提供される。好ましくは、ユーザが管理者(administrator)としてログオンする場合にのみ、このボタンは表示され、または選択可能である。ボタン21が選択されるとき、現在のプリンタポリシー設定の一覧22が表示される。各一覧項目は、設定の名称(「設定名称」)、設定が適用されるプリンタまたはプリンタ群(「適用」)、および設定の終了日時(「終了」)を表示する。新規なポリシー設定を追加するために追加ボタン23が提供され、(一覧22内の所望の設定を最初に選択することによって)既存のポリシー設定を編集するために編集ボタン24が提供され、(一覧22内の削除される設定を最初に選択することによって)既存のポリシー設定を削除するために削除ボタン25が提供される。
【0016】
「追加」ボタンまたは「編集」ボタンを選択すると、図2Bに示される「詳細なプリンタポリシー」ダイアログボックス30が開かれ、一組の判断基準の選択肢を表示する。それが、編集される既存のポリシー設定の場合、様々な入力フィールドには既存の値が入力されており、編集される既存のポリシー設定でない場合、それらは、初期的に空欄またはデフォルト値が入力されている。ダイアログボックス30は、ポリシー設定の名称を管理者が指定または変更することを可能にする入力フィールド31を含む。ポリシー設定の値は、下記のように適当な入力機構を使用して入力されることができる。
【0017】
「適用」:現在のポリシー設定がどのプリンタまたはプリンタ群に適用されるかを管理者が指定することができるように入力手段が提供される。たとえば、ポリシーは、一つ以上の特定のプリンタ種類(たとえば、プリンタ型式またはモデルクラス)、IPアドレスまたは他の何らかのID(identifications)などによって識別される特定のプリンタに適用されることができる。ポリシー設定がどのプリンタに適用されるかに関するこれらの記述は、便宜上、まとめてプリンタ判断基準と称される。ポリシー設定が適用可能なプリンタは、便宜上、「影響を受けるプリンタ」と称される。
【0018】
例示された実施形態において、入力手段は、プリンタ種類またはプリンタアドレスまたは両方にしたがってポリシー設定が適用されるかどうかを指定するための2つのチェックボックス32aを含む。ドロップダウンリスト32bは、プリンタ種類の入力値を選択するために使用される。自動的に発見された、または、印刷ショップ管理システムソフトウエアに手動で追加されたすべてのプリンタ種類が、考えられる選択肢として一覧化される。入力フィールド32cは、プリンタのIPアドレスを手動で入力するために使用される。依頼時、印刷ショップ管理システムは、目標プリンタの種類およびIPアドレスを確認する。依頼の禁止は、目標プリンタのプリンタ種類またはIPアドレスに合致するすべてのプリンタポリシー設定のすべての判断基準を用いて判断される。
【0019】
「制限ユーザ」:影響を受けるプリンタに特定のユーザが印刷ジョブを依頼することを管理者が禁止することができるように入力手段が提供される。制限ユーザは、彼らのユーザ役割(経営者、正規のオペレータ、研修員、上記の組合せなど)、彼らのユーザ名、彼らが所属する組織単位などに基づいて定義され得る。例示された実施形態において、入力手段は、入力値を選択するためのドロップダウンリスト33を含む。依頼時、(上記のプリンタ判断基準に基づいて)目標プリンタに適用されるプリンタポリシー設定に関して、印刷ショップ管理システムは、制限ユーザの判断基準を、依頼しているユーザのユーザ名およびユーザ役割と比較し、禁止を判断する。制限ユーザは、影響を受けるプリンタにいかなる印刷ジョブも依頼することを禁じられる。
【0020】
プリンタ状態制限判断基準:すべてのユーザが印刷ジョブを目標プリンタに依頼することを禁止する一組のプリンタ状態を管理者が指定することができるように入力手段が提供される。目標プリンタがこれらのプリンタ状態制限判断基準のうちの一つ以上を満たす場合、依頼は禁止される。例示された実施形態において、プリンタ状態制限判断基準は、以下のものを含む。
【0021】
「最大PMカウント」:最大定期保守(PM)カウントが指定される。プリンタのPMカウントは、現在の保守期間の間にプリンタによって印刷されたページの数を示す数値である。各プリンタは、次の定期保守が実施される前に、一定数のページを印刷する予定である。したがって、残りのPMカウントは、保守の前にプリンタが印刷することができるページの数を示す。管理者が最大PMカウントを数値として手動で入力することができるように入力フィールド34aが提供される。依頼時、目標プリンタに適用されるすべてのプリンタポリシー設定に関して、印刷ショップ管理システムは、この最大PMカウントの値を目標プリンタの実際のPMカウントと比較する。目標プリンタの実際のPMカウントが基準値を上回る場合、ジョブは禁止される。
【0022】
「ジャムカウント」:その寿命の間に、プリンタで発生することができるジャムの最大数が指定される。管理者が最大ジャムカウントを数値として手動で入力することができるように入力フィールド34bが提供される。依頼時、目標プリンタに適用されるすべてのプリンタポリシー設定に関して、印刷ショップ管理システムは、この最大ジャムカウントの値を目標プリンタの実際のジャムカウント(プリンタの「ジャムカウンタ」によって一般的に記録され、プリンタの耐用期間の間に発生した実際のジャム)と比較する。目標プリンタの実際のジャムカウントが基準値を上回る場合、ジョブは禁止される。
【0023】
「エラーカウント」:(その寿命の間に)プリンタにおいて不具合が発生することができる最大回数が指定される。管理者が最大エラーカウントを数値として手動で入力することができるように入力フィールド34cが提供される。依頼時、目標プリンタに適用されるすべてのプリンタポリシー設定に関して、印刷ショップ管理システムは、この最大エラーカウントの値を目標プリンタの実際のエラーカウント(プリンタの不具合カウンタによって一般的に記録され、プリンタの耐用期間の間に発生した実際のエラー)と比較する。目標プリンタの実際のエラーカウントが基準値を上回る場合、ジョブは禁止される。
【0024】
「プリンタステータス」:エラー(プリンタが現在エラーを有する)、サービスコール(プリンタがサービスコールを必要とする)などの目標プリンタの一定の禁止された状態が、ドロップダウンリスト34dを用いて指定される。依頼時、目標プリンタに適用されるすべてのプリンタポリシー設定に関して、印刷ショップ管理システムは、これらの指定された状態を目標プリンタの実際の状態と比較する。目標プリンタの実際の状態が基準値に合致する場合、ジョブは禁止される。
【0025】
「トナーレベル」、「用紙レベル」、「ステープルレベル」、および「記憶装置レベル」:CMYKトナーカラーのレベル、用紙のレベル、ステープルのレベル、ハードディスク記憶装置のレベルなどの目標プリンタで利用可能な資源に関して、下限が指定される。例示された実施形態において、「制限なし」、「少ない」、「空」(トナー、用紙、ステープルについて)、「満杯」、「ほぼ満杯」(記憶装置について)などの各資源に関する記述を管理者が選択することができるように、ドロップダウンリスト34e〜34hが提供される。あるいは、資源の下限値を手動で入力するために入力フィールドが提供されてもよい。依頼時、目標プリンタに適用されるすべてのプリンタポリシー設定に関して、印刷ショップ管理システムは、これらの基準値を目標プリンタで利用可能なこれらの資源の実際のレベルと比較する。一つ以上の資源のレベルが、指定された基準値を満足する、または下回る場合、ジョブは禁止される。
【0026】
実施期間または終了:ポリシーがいつ実施されるか、または、それがいつ終了するかを指定するために入力手段が提供される。たとえば、ポリシーは、一日の(通常の業務時間のあとのような)特定の時間の間のみ実施されるように設定され、または、特定の時間後に終了するように設定され得る。例示された実施形態において、入力手段は、設定がそもそも終了するかどうかを指定するための入力フィールド35aと、終了時間を入力するためのチェックボックス35bとを含む。
【0027】
注意すべきことは、図2Aおよび図2Bは、ポリシー設定の判断基準の具体例を示しているけれども、他の望ましい判断基準が実施され得るということである。さらに、入力手段21〜25および31〜35bの具体例が記載されて示されているが、本発明は、ユーザインタフェースディスプレイの特定のものには限定されない。様々な設定をユーザが指定することを可能にする入力手段をユーザインタフェースディスプレイが含む限り、本発明は、ユーザインタフェースディスプレイの任意の形態を使用して実現され得る。入力手段は、ボタン、チェックボックス、ラジオボタン、文章入力フィールド、ドロップダウンメニュー、ポップアップメニュー、アイコン、異なるシートを表示するためのタブ、別ウインドウなど、もしくはこれらの組み合わせ、または、ユーザがコンピュータに情報を入力することを可能にするいかなる適切な構成であってもよい。入力手段の適切な構成のためのコンピュータソフトウエア設計は、明らかであり、この分野における通常の技術者によく知られている。したがって、これらの構成のための詳細な説明は、この場から省略される。用語「ユーザインタフェースディスプレイ」は、一般的に、ユーザに情報を表示し、かつ/または、ユーザが命令および他の情報を入力することを可能にする任意の適切な画面表示を意味するために用いられ、ディスプレイのいかなる特定の形態にも限定されず、一連の連続的なディスプレイを含むことができる。
【0028】
図1を再び参照して、前述の通り、ステップS11およびS12は、要望通り繰り返されることができる。図1の残りのステップであるステップS13〜S19は、依頼時に実行される。実施において、ステップS11〜S12およびステップS13〜S19は、異なるプログラムモジュールによって実行されることができる。
【0029】
依頼時、すなわち、ユーザが印刷ジョブをプリンタ(目標プリンタ)に依頼することを要求するとき(ステップS13)、印刷ショップ管理システムソフトウエアは、たとえば、ポリシー設定のプリンタ判断基準を目標プリンタの種類および/またはIPアドレスと比較することによって、いずれかの依頼ポリシー設定が、目標プリンタに適用されるかどうかを判断する(ステップS14)。依頼ポリシー設定が目標プリンタに適用されない場合(ステップS14で「N」)、印刷ショップ管理システムは、続けて目標プリンタに印刷ジョブを依頼し(ステップS15)、処理が継続する(印刷ショップ管理システムは、次の印刷ジョブを処理できる状態にある)。一方、一つ以上の依頼ポリシー設定が目標プリンタに適用される場合(ステップS14で「Y」)、システムは、たとえば、ユーザ役割またはユーザ名を、適用可能なポリシー設定の制限ユーザの判断基準と比較することによって、依頼しているユーザが制限ユーザであるかどうかを判断する(ステップS16)。ユーザが制限ユーザである場合(ステップS16で「Y」)、ジョブは依頼されず、エラー通知がユーザに表示される(ステップS18)。
【0030】
ユーザが制限ユーザでない場合(ステップS16で「N」)、システムは、さらに、適用可能な設定が提供している任意のプリンタ状態制限判断基準が、ジョブの依頼を禁止するかどうかを判断する(ステップS17)。これらのプリンタ状態制限判断基準は、最大PMカウント、最大ジャムカウント、最大エラーカウント、禁止されたプリンタステータス、様々な資源(トナー、用紙、ステープル、記憶装置など)の下限、終了(すなわち、依頼時にポリシー設定が適用されるべきかどうかを判断すること)などを含む。これらのパラメータに関する目標プリンタの実際の値は、プリンタに問い合わせることによって取得される。様々なプリンタ状態制限判断基準をシステムが適用する方法の例は、図2Bに関連して前述されている。ジョブの依頼が禁止される、または、承認されないと判断される場合(ステップS17で「Y」)、ジョブは依頼されず、エラー通知がユーザに表示される(ステップS18)。ジョブの依頼が禁止されない、または承認される場合(ステップS17で「N」)、印刷ショップ管理システムは、続けて目標プリンタに印刷ジョブを依頼し(ステップS15)、処理が継続する。
【0031】
上記の説明から分かるように、ポリシー設定方法は、プリンタの状態に基づくアクセス制御を、印刷ショップの経営者または所有者が実施することを可能にするプリンタアクセスの制御を提供する。また、ポリシー設定は、印刷ジョブの依頼を要求している従業員の経験および適当な日付/時間を考慮することができる。ポリシーは、ジョブの依頼の間にのみポリシーが実施されることを意味する「ジョブの依頼の範囲(scope)」を有する。オペレーションまたはワークフローの他の領域への影響はない。アクセス制御は、終了時間を設定することによって、一時的あるいは永続的であることができる。
【0032】
本発明の実施形態による印刷ジョブ依頼承認ポリシーを使用して、印刷ショップの経営者/所有者は、特定の従業員が装置またはその種類に慣れていない場合、従業員に対して装置での印刷を禁止することによって、生産エラーおよび無駄を低減させることができる。保守の期日である、頻繁な用紙ジャムの障害がある、または大量の問題を有する装置または装置の種類へのジョブの依頼を防止することによって、彼らは、生産効率を向上させることができる。利用可能な資源が不足している、または機能状態が使用に適当でない装置へのジョブの依頼を防止することによって、彼らは、生産効率を向上させることができる。印刷ショップの経営者/所有者は、制限判断基準の複数の組み合わせを柔軟に識別、作成、および編集するために、(カスタム名称を有する)複数のポリシー設定を作成することができる。これは、経営者/所有者が複数のプリンタの問題点および目的に対処することを可能にする。各ポリシー設定は、一時的または永続的に設定されることができる。
【0033】
さらに、ユーザによって依頼された印刷ジョブが、ポリシー設定の種々の制限判断基準のいずれか一つに抵触するとき、エラー通知がユーザに表示されるけれども、印刷ジョブは、たとえば、管理者、経営者、または所有者などの権限保持者による検査を受けることができ、それから、権限保持者が印刷ジョブの依頼を一旦承認すれば、印刷ジョブは、目標プリンタへと転送される。この点において、印刷ジョブの禁止は、継続的な禁止と一時的な禁止を含むことができる。
【0034】
本発明の精神または範囲から逸脱することなく、本発明の印刷ジョブ依頼承認ポリシーの作成および実施方法において様々な修正および変更がなされることができることは、当業者にとって明らかである。したがって、本発明が、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内に入る修正および変更に及ぶことは意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプリンタを管理する印刷ショップ管理装置において実行される印刷ジョブの依頼を処理するための方法であって、
一つ以上のプリンタ状態制限判断基準を各々が規定しており、さらに、適用されるプリンタを特定するための一つ以上のプリンタ判断基準を各々が規定している複数のポリシー設定を含む印刷ジョブ依頼承認ポリシーを、前記印刷ショップ管理装置に記憶するステップ(a)と、
目標プリンタへの印刷ジョブの依頼をユーザが要求するとき、各々のポリシー設定について、ポリシー設定が前記目標プリンタに適用されるかどうかを前記プリンタ判断基準に基づいて判断するステップ(b)と、
一つ以上のポリシー設定が前記目標プリンタに適用される場合、前記適用されるポリシー設定の前記プリンタ状態制限判断基準を、ジョブ依頼時における前記目標プリンタの対応する実際の状態と比較することによって、前記依頼が承認されるかどうかを判断するステップ(c)と、
前記依頼が承認されない場合、前記目標プリンタに前記印刷ジョブを依頼することを控えるステップ(d)と、
ポリシー設定が前記目標プリンタに適用されない場合、または、前記依頼が承認される場合、印刷のために前記印刷ジョブを前記目標プリンタに依頼するステップ(e)と、
を有する方法。
【請求項2】
前記ステップ(d)は、ユーザに非承認を通知するステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プリンタ判断基準は、プリンタ種類またはプリンタIDまたは両方を含む請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記プリンタ状態制限判断基準は、最大定期保守(PM)カウント、ジャムの最大数、エラーの最大数、一つ以上の禁止された状態、および一つ以上の資源の下限値のうち、一つ以上を含む請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
前記資源は、トナー、用紙、ステープル、および記憶装置を含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ステップ(c)は、前記目標プリンタに問い合わせて、依頼時における実際のPMカウント、ジャムの実際の数、エラーの実際の数、実際の状態、および一つ以上の資源の実際のレベルのうち、一つ以上を取得するステップを含む請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記ステップ(a)において、少なくともいくつかのポリシー設定は、制限ユーザについての記述をさらに含み、
前記方法は、前記ステップ(b)の後に、
一つ以上のポリシー設定が前記目標プリンタに適用される場合、ユーザが制限ユーザであるかどうかを判断するステップ(f)と、
前記ユーザが制限ユーザである場合、前記目標プリンタに前記印刷ジョブを依頼することなく、前記ユーザに依頼の非承認を通知するステップ(g)と、をさらに有し、
前記ユーザが制限ユーザでない場合、前記ステップ(e)が実行される請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
前記制限ユーザについての記述は、ユーザの役割またはユーザ名または両方を含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
各ポリシー設定は、ポリシー設定がいつ実施されるかを特定する実施期間を含む請求項1〜8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
前記ステップ(a)の前に、管理者によって前記印刷ショップ管理装置に一つ以上のポリシー設定を入力するステップ(h)をさらに含む請求項1〜9のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
複数のプリンタを管理する印刷ショップ管理装置を制御するためのコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、印刷ジョブの依頼についての処理を前記印刷ショップ管理装置に実行させるように構成されており、
前記処理は、
一つ以上のプリンタ状態制限判断基準を各々が規定しており、さらに、適用されるプリンタを特定するための一つ以上のプリンタ判断基準を各々が規定している複数のポリシー設定を含む印刷ジョブ依頼承認ポリシーを、前記印刷ショップ管理装置に記憶するステップ(a)と、
目標プリンタへの印刷ジョブの依頼のユーザ要求を受けて、各々のポリシー設定について、ポリシー設定が前記目標プリンタに適用されるかどうかを前記プリンタ判断基準に基づいて判断するステップ(b)と、
一つ以上のポリシー設定が前記目標プリンタに適用される場合、前記適用されるポリシー設定の前記プリンタ状態制限判断基準を、ジョブ依頼時における前記目標プリンタの対応する実際の状態と比較することによって、前記依頼が承認されるかどうかを判断するステップ(c)と、
前記依頼が承認されない場合、前記目標プリンタに前記印刷ジョブを依頼することを控えるステップ(d)と、
ポリシー設定が前記目標プリンタに適用されない場合、または、前記依頼が承認される場合、印刷のために前記印刷ジョブを前記目標プリンタに依頼するステップ(e)と、
を有するコンピュータプログラム。
【請求項12】
前記ステップ(d)は、ユーザに非承認を通知するステップを含む請求項11に記載のコンピュータプログラム。
【請求項13】
前記プリンタ判断基準は、プリンタ種類またはプリンタIDまたは両方を含む請求項11または12に記載のコンピュータプログラム。
【請求項14】
前記プリンタ状態制限判断基準は、最大定期保守(PM)カウント、ジャムの最大数、エラーの最大数、一つ以上の禁止された状態、および一つ以上の資源の下限値のうち、一つ以上を含む請求項11〜13のいずれか一つに記載のコンピュータプログラム。
【請求項15】
前記資源は、トナー、用紙、ステープル、および記憶装置を含む請求項14に記載のコンピュータプログラム。
【請求項16】
前記ステップ(c)は、前記目標プリンタに問い合わせて、依頼時における実際のPMカウント、ジャムの実際の数、エラーの実際の数、実際の状態、および一つ以上の資源の実際のレベルのうち、一つ以上を取得するステップを含む請求項14または15に記載のコンピュータプログラム。
【請求項17】
前記ステップ(a)において、少なくともいくつかのポリシー設定は、制限ユーザについての記述をさらに含み、
前記処理は、前記ステップ(b)の後に、
一つ以上のポリシー設定が前記目標プリンタに適用される場合、ユーザが制限ユーザであるかどうかを判断するステップ(f)と、
前記ユーザが制限ユーザである場合、前記目標プリンタに前記印刷ジョブを依頼することなく、前記ユーザに依頼の禁止を通知するステップ(g)と、をさらに有し、
前記ユーザが制限ユーザでない場合、前記ステップ(e)が実行される請求項11〜16のいずれか一つに記載のコンピュータプログラム。
【請求項18】
前記制限ユーザについての記述は、ユーザの役割またはユーザ名または両方を含む請求項17に記載のコンピュータプログラム。
【請求項19】
各ポリシー設定は、ポリシー設定がいつ実施されるかを特定する実施期間を含む請求項11〜18のいずれか一つに記載のコンピュータプログラム。
【請求項20】
前記ステップ(a)の前に、
ポリシー設定の値の入力のためのユーザインタフェースを表示するステップ(h)と、
ポリシー設定の値の入力を受け付けるステップ(i)と、をさらに有する請求項11〜19のいずれか一つに記載のコンピュータプログラム。
【請求項21】
請求項11〜20のいずれか一つに記載のコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−44748(P2010−44748A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−151504(P2009−151504)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(507031918)コニカ ミノルタ システムズ ラボラトリー, インコーポレイテッド (157)
【Fターム(参考)】