説明

印刷ジョブスケジューリングのシステム及び方法

【課題】印刷ジョブのスケジューリングを容易にする。
【解決手段】印刷ジョブ要求のターゲットであるリモートファイルの検索を遅延させる。印刷ジョブ要求は、JDF及び/又はJMFを用いて特定される。印刷ジョブキューはターゲットであるファイルに対応するキューエントリを保持し、各キューエントリは対応するリモートファイルのロケーション情報と関連付けられる。キューエントリが処理されると、該キューエントリと関連付けられたロケーション情報を用いて、印刷のターゲットであるリモートファイルが検索される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷分野に関し、特に、印刷ジョブスケジューリングのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現代組織においてユビキタスなコンピュータ用プリンタは、保存された文書を短時間で印刷することができる。ユーザによって文書の印刷が要求されると、該文書は印刷可能な形式に変換され、該文書に関係する印刷ジョブ要求が適切なプリンタ又は印刷コントローラに送信される。多くの場合、印刷ジョブ要求はジョブデフィニションフォーマット(JDF)チケットの形式をとる。JDFは、指示及びジョブパラメータの交換フォーマットである。JDFは、ジョブ記述、パラメータ及び指示を伝達するために使用される。またJDFは、各生産プロセスや、ジョブを完了するために必要なマテリアル又は他のプロセス入力の観点からジョブを記述する際にも使用される。JDFは、JDFのファイルを使用しての通信及び/又はジョブメッセージングフォーマット(JMF)のネットワークメッセージを使用しての通信を可能にする。JMFはエクステンシブルマークアップ言語(XML)ベースである。JDFファイルやJMFメッセージは情報を含み、プリンタは該情報によって、入力ファイル、該入力ファイルのロケーション及び実行される動作を判定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
プリンタは、JDFファイル又はJMFメッセージを受信すると、該JDFファイル又はJMFメッセージ内の情報を用いて印刷対象であるリモート文書を直ちに検索し、検索された文書をローカルに保存し、該文書を印刷ジョブキューに追加する。これはスプーリングとよばれるプロセスである。しかし、スプーリングにはいくつかデメリットがある。例えば、低コストのプリンタはジョブを記憶する能力が低い場合がある。記憶容量の大きいハイエンドモデルのプリンタであっても、追加ジョブのスプーリングが困難な期間に直面することがある。また、印刷ジョブのパラメータが提出時から印刷時までの間に変化して、最初に提出(及び検索)されたジョブが既に使用不可能な場合もある。そのため、スプーリングが非実用的又は利用不可能な状況において印刷ジョブのスケジューリングを容易にするシステム及び方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
開示の実施形態に係る印刷ジョブスケジューリングのシステム及び方法を説明する。いくつかの実施形態においては、プロセッサによって実現される印刷ジョブ要求を処理する方法は、印刷ジョブ要求のターゲットである少なくとも一のリモートファイルを特定するロケーション情報を含む該印刷ジョブ要求を受信する工程と、前記少なくとも一のリモートファイルのロケーション情報を抽出するために、前記印刷ジョブ要求を構文解析する工程と、前記印刷ジョブ要求に対応し、前記少なくとも一のリモートファイルのロケーション情報と関連付けられた少なくとも一のキューエントリを、印刷ジョブキューに追加する工程と、前記少なくとも一のキューエントリが前記印刷ジョブキュー内の所定の位置に到達するまで、前記少なくとも一のリモートファイルの検索を遅延させる工程と、を備える。
【0005】
また実施形態は、コンピュータ可読媒体又はコンピュータ可読メモリを使用し、プロセッサによって生成、記憶、アクセス又は改良されるソフトウェア、ファームウェア及びプログラム指示にも関する。以下、上記の実施形態及び他の実施形態について、添付の図面を参照して更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】印刷スケジューリングのシステムの一例の高レベルブロック図である。
【図2】JDFファイルの一例を示す。
【図3】JDF印刷ジョブを処理する従来の方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態に係るJDF印刷ジョブを処理する方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
開示の実施形態に係る印刷ジョブスケジューリングのシステム及び方法を説明する。
【0008】
図1は、印刷スケジューリングのシステムの一例の高レベルブロック図である。一般的に、印刷スケジューリングのコンピュータソフトウェアアプリケーションは、コンピュータ110、プリンタ170及び/又は印刷コントローラ175を備えるネットワーク上に展開される。コンピュータ110、プリンタ170及び/又は印刷コントローラ175は通信リンクを介して接続され、従来の通信プロトコル及び/又はデータポートインターフェースを用いて情報交換する。
【0009】
図1に示すように、システム100は、コンピュータ又はコンピュータデバイス110、プリンタ170及び印刷コントローラ175を含む。ネットワーク140は、サブネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)及び/又は広域ネットワーク(WAN)を含む。またネットワーク140は、モデム、ルータ、リピータ及びその他の通信デバイス(図示なし)を更に含み、ネットワーク140に接続されたデバイスは、ネットワーク管理者が設定したポリシーに従って、有線接続又は無線接続で他のデバイスと通信可能となる。
【0010】
一般的に、コンピュータデバイス110は、コンピュータワークステーション、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ポータブルコンピュータ、ハンドヘルドデバイス又はネットワーク環境で使用可能な他のモバイルコンピュータデバイスである。コンピュータデバイス110、プリンタ170及び/又は印刷コントローラ175は、開示の実施形態に係る印刷ジョブスケジューリングを容易にするソフトウェア(図示なし)を実行することができる。
【0011】
コンピュータデバイス110、プリンタ170及び印刷コントローラ175は、リムーバブルメディアドライブ150を含む。リムーバブルメディアドライブ150は、例えば、3.5インチフロッピドライブ、CD−ROMドライブ、DVD−ROMドライブ、CD±RWドライブ、DVD±RWドライブ、USBフラッシュドライブ、メモリスティック(登録商標)、セキュアデジタルハイキャパシティ(SDHC)カード及び/又は本発明の実施形態に係る他のリムーバルメディアドライブを含む。ソフトウェアアプリケーションの一部はリムーバルメディアに常駐し、リムーバルメディアドライブ150を用いてコンピュータデバイス110によって読み出され実行される。いくつかの実施形態においては、アプリケーションによって作成される中間結果及び/又は中間レポート並びに最終結果及び/又は最終レポートも、リムーバブルメディアに保存される。
【0012】
プリンタ170(プリンタ170−1〜プリンタ170−5など)はレーザプリンタ、インクジェットプリンタ、LEDプリンタ、プロッタ、その他多様な種類のプリンタなどである。プリンタ170は、機能的には、コンピュータ用プリンタ、ファクシミリ装置、デジタルコピー機、複合機及び/又は文書印刷可能なその他の多様なデバイスの形態を取る。
【0013】
接続部120は、コンピュータデバイス110、印刷コントローラ175及びプリンタ170を、ネットワーク140に接続する。接続部120は、適切な従来の通信プロトコル及び/又はデータポートインターフェースを用いて、有線接続又は無線接続として実現される。一般的に、接続部120は、デバイス間でのデータ送信を可能にする任意の通信チャネルである。一実施形態においては、デバイスには、適切な接続部120を介してデータ送信を行うために、USB(登録商標)ポート、SCSIポート、ファイヤーワイヤー(登録商標)ポート及び/又はBNCポートなどのデータポートが設けられている。通信リンクは、コンピュータデバイス110、印刷コントローラ175、プリンタ170間の通信を可能にするものであれば、無線リンク、有線リンク又はこれらの組み合わせでもよい。
【0014】
プリンタ170は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはこれらの組み合わせによって制御される。プリンタ170は、印刷コントローラ175などの一以上の印刷コントローラボード175を含む。プリンタ170に外付け又は内蔵される印刷コントローラ175は、プリンタ170の動作を制御し、印刷ジョブ要求並びにプリンタ170のケイパビリティ要求及びステータス要求を受信して実行し、要求元デバイスに応答を送信することが可能である。いくつかの実施形態においては、プリンタ170は、印刷コントローラ175内のメモリデバイスに常駐するファームウェアやソフトウェアによって制御される。印刷コントローラ175も、コンピュータデバイス110及び/又はサーバ130上で実行されているソフトウェアによって一部制御される。ソフトウェアには、印刷サーバ、プリンタドライバ又はその他のソフトウェアが含まれる。
【0015】
印刷ジョブスケジューリングのコンピュータソフトウェアアプリケーションは、図1に示されるように、コンピュータ110、印刷コントローラ175及び/又はプリンタ170の一つ以上において展開される。例えば、プリンタ170はソフトウェア又はファームウェアを実行し、開示の実施形態に応じた印刷ジョブスケジューリングを行う。他の例では、印刷ジョブスケジューリングのアプリケーションは、コンピュータ110及び/又は印刷コントローラ175に常駐し、プリンタ170上で動作する。一般的に、アプリケーションは、システム内の一以上のコンピュータ110、印刷コントローラ175及び/又はプリンタ170上で、全体又は一部実行される。上述の実施形態は例であり、当業者にとって他の実施形態及び実現は明らかである。
【0016】
プリンタ170はバス174を含む。バス174は、CPU176、ファームウェア171、メモリ172、入出力(I/O)モジュール181、印刷エンジン177及び二次記憶装置173を接続する。プリンタ170は、印刷ジョブスケジューリングのアプリケーションを部分的に実行することができる他の特定用途向け集積回路(ASIC)及び/又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)178も含む。いくつかの実施形態においては、プリンタ170は、プリンタオペレーティングシステム、ジョブスケジューリングルーチン、JDF及びJMF処理ルーチン、構文解析及び変換ルーチン、データベース管理ソフトウェア、印刷ジョブ要求を処理するソフトウェア、プリンタステータス要求、プリンタ構成ソフトウェア並びにその他適切なアプリケーションソフトウェアを含むソフトウェアを実行することができる。
【0017】
I/Oモジュール181は、ネットワーク140上でコンピュータ110と通信可能である。コンピュータ110及び/又は印刷コントローラ175から受信した情報は、I/Oモジュール181によって処理され、メモリ172に記憶される。またI/Oモジュール181は、通信をCPU176に通知する。通信には、使用されているプロトコルに応じた、データ、コマンド、JDF及びJMF要求を含む印刷ジョブ要求、ケイパビリティ要求、ステータス要求、応答及び/又は受信通知が含まれる。CPU176はメモリ172に記憶された情報を検索し、検索された情報に更なる処理を施す。
【0018】
CPU176は、汎用プロセッサ、専用プロセッサ又は組み込みプロセッサである。CPU176は、メモリ172及び/又はファームウェア171と、制御情報や指示を含むデータのやり取りをすることができる。メモリ172は、任意の種類のダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)であり、例えば、SDRAM又はRDRAMであるが、これらに限られるものではない。ファームウェア171は指示及びデータを保持する。指示及びデータには、ブートアップシーケンス、所定のルーチン、その他コードが含まれ、所定のルーチンには、ジョブスケジューリング、JDF及びJMF要求の処理、受信した要求及びメッセージの処理、並びに、送信する応答及びメッセージの作成のルーチン、また、構成管理のルーチン、文書処理のルーチンが含まれるが、これらに限られるものではない。いくつかの実施形態においては、ファームウェア171内のコード及びデータは、CPU176によって実行される前に、メモリ172にコピーされる。ファームウェア171内のデータ及び指示は、コンピュータ110、ネットワーク140、プリンタ170に接続されたリムーバブルメディア及び/又は二次記憶装置173のうちの一つ以上を用いて更新することができる。
【0019】
CPU176は、指示及びデータを実行し、ASIC/FPGA178及び印刷エンジン177に制御及びデータを提供し、印刷文書を作成させる。ASIC/FPGA178も印刷エンジン177に制御及びデータを提供する。ASIC/FPGA178は、構成管理、メッセージ処理、その他印刷に関連するアルゴリズムのうち、いずれか一つを実現する。一以上のプリンタ170に関連する、中間及び最終印刷可能データ、メッセージ、プリンタステータス及び構成情報が、メモリ172又は二次記憶装置173に記憶される。
【0020】
様々な方法やプロトコルを使用して、プリンタ170との印刷ジョブに関する通信が行われる。例えば、ジョブ状態関連情報を取得するためにプリンタジョブ言語(PJL)が使用される。その他使用されるプロトコルとしては、多様なXMLベースのプロトコルが含まれるが、これらに限られるものではない。例えばJDFがその一例である。JDFは情報交換を簡略化するために設計された業界標準である。JDFはJMFを含む。JMFはJDFエージェントとコントローラ間の通信に用いられる言語である。JMFによって、コントローラはJDF管理情報システム又はワークフロー情報システムと通信し、プリンタ状態関連情報を取得する。なお、多くのプリンタ製造業者は、サーバ130や他のデバイスにプリンタ状態関連情報やジョブ状態関連情報を取得させるために、著作権を所有するシステムやデファクトスタンダードを用いることがある。例えば、マイクロソフト(登録商標)は、WSD(Web Services on Devices)プロトコルを提供している。WSDプロトコルも、サーバ130がプリンタ状態関連情報にアクセスするために用いられる。一般的に、サーバ130は、各プリンタ170に対応しているプロトコルに従って、多様な利用可能メカニズムのうち一以上のメカニズムを用いて、ジョブをプリンタに送信し、プリンタ状態関連情報を取得する。当業者であれば、上述の方法を他の基準やプロトコルに拡張することは容易である。
【0021】
図2はJDFファイル200の一例を示す。図2に示されるように、JDFファイル200は、ヘッダ部210及びコマンド部230を含む。なお、これら特定された部は例であり、説明のためにのみ特定されたものである。ヘッダ部210によって、XMLバージョン、JDFスキーマバージョン、JDFインスタンス、JDF要求の送信者を識別する送信者情報、並びに、年月日(YYYYMMDD)、時間(HHSS)及び協定世界時間(UTC)オフセット(±XX:YY)情報を備えるタイムスタンプを識別することができる。ヘッダ部210の情報は、JDFファイル200の構文解析用の情報を取得するために、プリンタ170及び/又は印刷コントローラ175におけるルーチンで使用される。ヘッダ部210の情報は送信者IDも含む。送信者IDはJDF要求の送信者のネットワーク名などである。例えば、ヘッダ部210はJDFファイル200の送信者を「JDFテスタ」として識別する。
【0022】
コマンド部230は、コマンド識別子及びその他の情報を含む。その他の情報としては、印刷対象であるファイルのロケーション情報などがある。例えば、ユニフォームリソースロケータ(URL)は印刷中のファイルのロケーションを特定する。URLは識別されたファイルの入手可能な場所及びそのファイルを検索するためのメカニズムを特定する。図2に示されるように、ファイル「balloons.pdf」のロケーションは、URL「file://tests/us/pdf/melange/balloons.pdf」によって特定される。
【0023】
図3はJDF印刷ジョブを処理する従来の方法300を示すフローチャートである。ステップ310において該方法が開始される。ステップ315において印刷ジョブキューが調べられる。印刷ジョブキューが空である場合(ステップ315;Y)、ステップ320において、印刷スプーラはデータを受信するまで待機する。該データはネットワークソケットを用いて配信される。ステップ325において受信データがある場合、ステップ330において該データが構文解析される。例えば、JDFファイル200又はJMFメッセージがステップ330において構文解析される。
【0024】
JDFファイル200又はJMFメッセージが印刷ジョブ要求のターゲットであるファイルのロケーション情報(URLなど)を含む場合、ステップ335においてキュー要求が印刷スプーラに提出される(ステップ335;Y)。ステップ335においてキュー要求が印刷スプーラに提出されない場合(ステップ335;N)、ステップ345においてJDFファイル200又はJMFメッセージは適切な処理を施され、アルゴリズムはステップ315に戻り、その後のステップを繰り返す。ステップ340において(ステップ335で提出された)キュー要求が処理され、URLによって特定されるターゲットであるリモートファイルが検索される。印刷ジョブ要求のターゲットである検索されたファイルはステップ350においてディスクに保存され、アルゴリズムはステップ315に戻り、その後のステップを繰り返す。
【0025】
ステップ315において印刷ジョブキューが空でない場合(ステップ315;N)、印刷対象である(事前に検索されローカルに保存された)ファイルが、ステップ335において、プリンタ170、印刷コントローラ175又はコンピュータ110のローカルにアクセス可能なディスクから検出される。ステップ360において、ターゲットであるファイルは処理され印刷される。そしてステップ365において、印刷ジョブキューは更新される。例えば、ターゲットであるファイルが問題なく印刷された場合、該ファイルに対応するキューエントリは印刷ジョブキューから削除され、該ファイルはローカルディスクから消去される。一方、ターゲットであるファイルが印刷できない場合、適切な修正動作が実行される。更新された印刷ジョブキューはステップ370においてディスクに保存され、アルゴリズムはステップ315へ戻り、その後のステップを繰り返す。
【0026】
ステップを説明した従来の方法300にはいくつか問題点がある。例えば、低コストのプリンタは記憶容量が小さいため、ジョブを記憶する能力が限られている。それに伴って、印刷ジョブキューのサイズも制限される。記憶容量の大きいハイエンドプリンタであっても、新たな印刷ジョブのスプーリングが困難又は不可能な期間に直面することがある。例えば、多くのジョブが短時間に提出されたり、提出されたジョブの組み合わせが大きなファイルをいくつか含んでいたりする場合、プリンタ170は関連するファイルを検索して保存する容量を有し得ない。また、印刷ジョブのパラメータが提出時から印刷時までの間に変化し、最初に提出(及び検索)されたジョブが既に使用できないこともある。そのため、従来のスキームでは、一以上の印刷ジョブの再提出や再検索が必要となることがある。
【0027】
図4は開示の実施形態に係るJDF印刷ジョブを処理する方法400を示すフローチャートである。いくつかの実施形態においては、方法400は、プリンタ170、印刷コントローラ175及び/又はコンピュータ110上で実現される。いくつかの実施形態においては、ステップ410において該方法が開始される。ステップ415においてプリンタ170の印刷ジョブキューが調べられる。プリンタ170の印刷ジョブキューが空である場合(ステップ415;Y)、ステップ420において、印刷スプーラはデータ(ファイル又はメッセージ)受信まで待機する。該データはネットワークソケットを用いて配信される。ステップ425において受信データがある場合、ステップ430において該受信データが構文解析される。例えば、JDFファイル200又はJMFメッセージがステップ430において構文解析され、該ファイル又はメッセージから情報が抽出される。
【0028】
JDFファイル200又はJMFメッセージが印刷ジョブ要求のターゲットであるリモートファイルのロケーション情報(URLなど)を含む場合、ステップ435においてキュー要求が印刷スプーラに提出される(ステップ435;Y)。ステップ435においてキュー要求が印刷スプーラに提出されない場合(ステップ435;N)、ステップ445においてJDFファイル200又はJMFメッセージは適切な処理を施され、アルゴリズムはステップ415に戻り、その後のステップを繰り返す。
【0029】
一実施形態においては、ステップ440において(ステップ435で提出された)キュー要求が処理され、印刷ジョブ要求のターゲットであるリモートファイルのURLはキューエントリと関連付けられ、アルゴリズムはステップ415へ戻り、その後のステップを繰り返す。ステップ415においてプリンタ170の印刷ジョブキューが空でない場合(ステップ415;N)、ステップ455において、プリンタ170の印刷ジョブキュー内の次のキューエントリが処理される。処理は、前記次のキューエントリと関連付けられたロケーション情報を用いて、ターゲットであるリモートファイルを検索することによって行われる。一実施形態においては、ターゲットであるリモートファイルは、キューエントリに関連付けられたURLを用いて、該URLによって示されたロケーションから検索される。その後ステップ460において、検索されたターゲットであるリモートファイルは処理され印刷される。そしてステップ465において、印刷ジョブキューは更新される。例えば、ターゲットであるファイルが問題なく検索され印刷された場合、該ファイルに対応するキューエントリは印刷ジョブキューから削除される。一方、ターゲットであるファイルが印刷できない場合、適切な修正動作が実行される。例えば、ソースロケーションが一時的にアクセス不可であるためにファイルの検索ができない場合、そのキューエントリは印刷ジョブキューの後方に回され、後で処理される。更新されたキューはステップ370においてディスクに保存され、アルゴリズムはステップ315へ戻り、その後のステップを繰り返す。
【0030】
いくつかの実施形態においては、方法400は方法300と共に用いられる。例えば、ディスク記憶容量不足のため、もしくは、ディスク記憶容量が所定の閾値を下回るためにプリンタ170がファイルを検索できない場合に、方法400が呼び出され、URLをキューエントリとして追加し、ファイル検索を遅延させる。いくつかの実施形態においては、印刷ジョブに関連付けられたファイルは検索されローカルに保存されたか否か、または、検索は遅延されたか否かを判定するために、多様なパラメータを使用することができる。パラメータには、利用可能なネットワーク帯域幅、印刷ジョブに利用可能な記憶スペース、印刷ジョブが処理可能になる推定所要時間及び/又はその他多様なパラメータがある。例えば、JDFファイル200が構文解析される際に利用可能なネットワーク帯域幅が低い場合、印刷ジョブは印刷ジョブキューに追加され、印刷対象であるファイルのURLがキューエントリと関連付けられる。いくつかの実施形態においては、ジョブは既に検索済みか否か、または、検索はキューエントリの処理時に実行されるのか否かを示すために、フラッグが用いられる。
【0031】
いくつかの実施形態においては、印刷ジョブと関連付けられたURLによって特定されるファイルの検索は、印刷ジョブキューの先頭とキューエントリの相対的な位置関係に基づいて実行される。例えば、印刷ジョブ要求を受信すると、最初の5つのキューエントリに関連するファイルが検索されローカルに保存される。その一方で、6番目のキューエントリに関連するファイルの検索は遅延させられる。
【0032】
いくつかの実施形態においては、アルゴリズムを説明した方法400の工程を実現するためのプログラムを、コンピュータ可読媒体150又はコンピュータ可読メモリに記録することができる。コンピュータ可読媒体150又はコンピュータ可読メモリには、リードオンリーメモリ(ROM)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、フラッシュメモリ、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、デジタルメモリカードがあり、デジタルメモリカードには、セキュアデジタル(SD)メモリカード、コンパクトフラッシュ(登録商標)、スマートメディア(登録商標)、メモリスティック(登録商標)があるが、これらに限られるものではない。いくつかの実施形態においては、一以上の種類のコンピュータ可読媒体がプリンタ170に接続される。また、ある実施形態においては、開示されたシステム、方法及び構成を実現するプログラムの一部は、ネットワーク140上で配信される。
【0033】
本明細書及び開示された実施形態の実施に鑑みれば、本発明の他の実施形態は当業者にとって明らかである。本明細書及び開示された実施形態はひとえに例示的なものとしてみなされるべきであり、その真なる範囲及び趣旨は以下の特許請求の範囲によって示されることを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ジョブ要求のターゲットである少なくとも一のリモートファイルを特定するロケーション情報を含む該印刷ジョブ要求を受信する工程と、
前記少なくとも一のリモートファイルのロケーション情報を抽出するために、前記印刷ジョブ要求を構文解析する工程と、
前記印刷ジョブ要求に対応し、前記少なくとも一のリモートファイルのロケーション情報と関連付けられた少なくとも一のキューエントリを、印刷ジョブキューに追加する工程と、
前記少なくとも一のキューエントリが前記印刷ジョブキュー内の所定の位置に到達するまで、前記少なくとも一のリモートファイルの検索を遅延させる工程と、
を備える、プロセッサによって実現される印刷ジョブ要求を処理する方法。
【請求項2】
前記印刷ジョブ要求は、JDF要求またはJMF要求であることを特徴とする、クレーム1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも一のリモートファイルのロケーション情報は、URLを使用して特定されることを特徴とする、クレーム1に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、前記少なくとも一のリモートファイルの処理に利用可能なローカル記憶容量が所定の閾値を下回る場合に、前記印刷ジョブ要求を受信すると実行される、クレーム1に記載の方法。
【請求項5】
前記方法は、利用可能なネットワーク帯域幅が所定の閾値を下回る場合に、前記印刷ジョブ要求を受信すると実行される、クレーム1に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、前記少なくとも一のリモートファイルが印刷可能になるまでの推定所要時間が所定の閾値を超える場合に、前記印刷ジョブ要求を受信すると実行される、クレーム1に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、プリンタ、プリンタに接続された印刷コントローラ、プリンタに接続されたコンピュータのうち、少なくとも一つにおいて実行される、クレーム1に記載の方法。
【請求項8】
コンピュータによって実行されるプログラム指示を含むコンピュータ可読媒体であって、前記プログラム指示は印刷ジョブ要求を処理する方法における工程を行うものであり、前記工程は、
印刷ジョブ要求のターゲットである少なくとも一のリモートファイルを特定するロケーション情報を含む該印刷ジョブ要求を受信する工程と、
前記少なくとも一のリモートファイルのロケーション情報を抽出するために、前記印刷ジョブ要求を構文解析する工程と、
前記印刷ジョブ要求に対応し、前記少なくとも一のリモートファイルのロケーション情報と関連付けられた少なくとも一のキューエントリを、印刷ジョブキューに追加する工程と、
前記少なくとも一のキューエントリが前記印刷ジョブキュー内の所定の位置に到達するまで、前記少なくとも一のリモートファイルの検索を遅延させる工程と、
を含む、コンピュータ可読媒体。
【請求項9】
前記印刷ジョブ要求は、JDF要求またはJMF要求であることを特徴とする、クレーム8に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項10】
前記少なくとも一のリモートファイルのロケーション情報は、URLを使用して特定されることを特徴とする、クレーム8に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項11】
前記方法は、前記少なくとも一のリモートファイルの処理に利用可能なローカル記憶容量が所定の閾値を下回る場合に、前記印刷ジョブ要求を受信すると実行される、クレーム8に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項12】
前記方法は、利用可能なネットワーク帯域幅が所定の閾値を下回る場合に、前記印刷ジョブ要求を受信すると実行される、クレーム8に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項13】
前記方法は、前記少なくとも一のリモートファイルが印刷可能になるまでの推定所要時間が所定の閾値を超える場合に、前記印刷ジョブ要求を受信すると実行される、クレーム8に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記方法は、プリンタ、プリンタに接続された印刷コントローラ、プリンタに接続されたコンピュータのうち、少なくとも一つにおいて実行される、クレーム8に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項15】
コンピュータによって実行されるプログラム指示を含むコンピュータ可読メモリであって、前記プログラム指示は印刷ジョブ要求を処理する方法における工程を行うものであり、前記工程は、
印刷ジョブ要求のターゲットである少なくとも一のリモートファイルを特定するロケーション情報を含む該印刷ジョブ要求を受信する工程と、
前記少なくとも一のリモートファイルのロケーション情報を抽出するために、前記印刷ジョブ要求を構文解析する工程と、
前記印刷ジョブ要求に対応し、前記少なくとも一のリモートファイルのロケーション情報と関連付けられた少なくとも一のキューエントリを、印刷ジョブキューに追加する工程と、
前記少なくとも一のキューエントリが前記印刷ジョブキュー内の所定の位置に到達するまで、前記少なくとも一のリモートファイルの検索を遅延させる工程と、
を含む、コンピュータ可読メモリ。
【請求項16】
前記印刷ジョブ要求は、JDF要求またはJMF要求であることを特徴とする、クレーム15に記載のコンピュータ可読メモリ。
【請求項17】
前記少なくとも一のリモートファイルのロケーション情報は、URLを使用して特定されることを特徴とする、クレーム15に記載のコンピュータ可読メモリ。
【請求項18】
前記方法は、前記少なくとも一のリモートファイルの処理に利用可能なローカル記憶容量が所定の閾値を下回る場合に、前記印刷ジョブ要求を受信すると実行される、クレーム15に記載のコンピュータ可読メモリ。
【請求項19】
前記方法は、利用可能なネットワーク帯域幅が所定の閾値を下回る場合に、前記印刷ジョブ要求を受信すると実行される、クレーム8に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記方法は、前記少なくとも一のリモートファイルが印刷可能になるまでの推定所要時間が所定の閾値を超える場合に、前記印刷ジョブ要求を受信すると実行される、クレーム15に記載のコンピュータ可読メモリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−210258(P2011−210258A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−67261(P2011−67261)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(507031918)コニカ ミノルタ ラボラトリー ユー.エス.エー.,インコーポレイテッド (157)
【Fターム(参考)】