印刷処理プログラム、印刷処理方法
【課題】多数のプリンタの識別情報が登録された状態であっても、印刷操作時の操作者の労力負担を低減する。
【解決手段】CPU203は、操作部202を介した印刷指示の入力があったかどうかを判定し、印刷指示の入力があった場合にはメモリ204に登録されている識別情報が複数あるか否かを判定し、複数あった場合には大容量記憶装置205に最新の印刷操作履歴が記憶された1つの携帯型プリンタ100に向けて情報送受信を試行して当該携帯型プリンタ100と情報送受信可能であるか否かを判定し、情報送受信可能であった場合には、印刷指示の入力に対応付けられた所望の印刷データを当該携帯型プリンタ100へ送信する。
【解決手段】CPU203は、操作部202を介した印刷指示の入力があったかどうかを判定し、印刷指示の入力があった場合にはメモリ204に登録されている識別情報が複数あるか否かを判定し、複数あった場合には大容量記憶装置205に最新の印刷操作履歴が記憶された1つの携帯型プリンタ100に向けて情報送受信を試行して当該携帯型プリンタ100と情報送受信可能であるか否かを判定し、情報送受信可能であった場合には、印刷指示の入力に対応付けられた所望の印刷データを当該携帯型プリンタ100へ送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに接続された操作端末で実行される印刷処理プログラム及びこれを用いた印刷処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信により携帯型の操作端末から被操作装置を操作するシステムとして、例えば特許文献1に記載の技術が知られている。この従来技術においては、被操作装置(ブルートゥース装置)と操作端末(携帯端末)とがブルートゥース(登録商標)通信により接続され、被操作装置は、操作端末から送信された情報に対応した動作を実行可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−71664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、上記被操作装置としてプリンタを適用し、操作者が、操作端末に備えられた操作手段を適宜に操作することで無線通信を介して印刷装置に所望の印刷を行わせるシステムが提唱されつつある。このようなシステムにおける、印刷装置に接続可能な操作端末では、一般に、プリンタが新たに接続され印刷が実行される(=印刷操作)たび、各プリンタ固有の識別情報(名称やアドレス情報等)が登録される。
【0005】
ここで、操作端末とプリンタとが無線通信を介して接続され情報送受信が行われる場合、操作端末が持ち運ばれていろいろな場所でプリンタと接続されて使用されることから、使用期間が長くなるにつれて、多数のプリンタとの印刷操作履歴が順次生じる。この場合、上記のようにして多数のプリンタの識別情報が順次登録され、蓄積された状態となる。このような多数のプリンタの登録状態において、あるときにそれら既登録の(すなわち過去に接続したことのある)多数のプリンタのうちいずれか1つに対し、操作端末から印刷操作を行うためには、操作者は、次のような操作を行う必要がある。すなわち、操作者は、上記多数のプリンタの識別情報の中から当該接続しようとする1つのプリンタの識別情報を見つけ出し、その識別情報を選択して当該接続しようとする1つのプリンタを特定して無線による接続を実行した後、印刷データを送信しなければならない。この場合、例えば当該印刷操作を行おうとする1つのプリンタが操作者の目の前や至近距離にあったとしても、上記のような識別情報の探索、選択、無線接続、送信等の操作が必ず必要となり、操作者にとって労力負担が大きく煩わしかった。
【0006】
本発明の目的は、多数のプリンタの識別情報が登録された状態であっても、印刷操作時の操作者の労力負担を低減できる印刷処理プログラム及び印刷処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本願第1発明の印刷処理プログラムは、少なくとも1つのプリンタに対し無線通信を行うための通信手段と、操作者が所望の操作を実行可能な操作手段と、プリンタが新規に接続され前記通信手段により無線通信が行われるたびに各プリンタ固有の識別情報を順次登録する登録手段と、前記操作手段を介したプリンタの印刷操作履歴を記憶可能な記憶手段と、前記操作手段及び前記記憶手段を制御する制御手段と、を有する操作端末に備えられた前記制御手段に対し、前記操作手段を介した印刷指示の入力があったかどうかを判定する指示判定手順と、前記指示判定手順で前記印刷指示の入力があったと判定された場合に、前記登録手段に登録されている前記識別情報が複数あるか否かを判定する識別情報判定手順と、前記識別情報判定手順で前記識別情報が複数あると判定された場合に、前記記憶手段に最新の印刷操作履歴が記憶された1つの第1プリンタに向けて前記通信手段を介した情報送受信を試行し、前記第1プリンタと情報送受信可能であるか否かを判定する第1プリンタ判定手順と、前記第1プリンタ判定手順で前記第1プリンタと情報送受信可能であると判定された場合に、前記印刷指示の入力に対応付けられた所望の印刷データを、前記通信手段を介して当該第1プリンタへ送信する第1印刷データ送信手順と、を実行させる。
【0008】
本願第1発明の印刷処理プログラムは、操作端末の制御手段によって実行される。操作端末には、通信手段、操作手段、登録手段、記憶手段、及び上記制御手段が備えられている。また、この操作端末は、通信手段を介し、少なくとも1つのプリンタに対し、無線通信により情報送受信可能に接続される。そして、プリンタが新たに接続されて無線通信により印刷データが送信され印刷が実行される(=印刷操作)たび、登録手段が、各プリンタ固有の識別情報(名称やアドレス情報等)を登録する。
【0009】
ここで、本願第1発明のように、無線通信を介して操作端末とプリンタとが接続され情報送受信が行われる場合、操作端末が持ち運ばれていろいろな場所でプリンタと接続されて使用されることから、使用期間が長くなるにつれて、多数のプリンタとの印刷操作履歴が順次生じる。この場合、上記のようにして登録手段によって多数のプリンタの識別情報が順次登録され、蓄積された状態となる。このような多数のプリンタの登録状態において、あるときにそれら既登録の(すなわち過去に接続したことのある)多数のプリンタのうちいずれか1つに対し、操作端末から印刷操作を行うためには、操作者は、次のような操作を行う必要がある。すなわち、操作者は、上記多数のプリンタの識別情報の中から当該接続しようとする1つのプリンタの識別情報を見つけ出し、その識別情報を選択して当該接続しようとする1つのプリンタを特定して無線による接続を実行した後、印刷データを送信しなければならない。この場合、例えば当該印刷操作を行おうとする1つのプリンタが操作者の目の前や至近距離にあったとしても、上記のような識別情報の探索、選択、無線接続、送信等の操作が必ず必要となり、操作者にとって労力負担が大きい。
【0010】
そこで、本願第1発明では、制御手段が印刷処理プログラムを実行すると、指示判定手順と、識別情報判定手順と、第1プリンタ判定手順と、第1印刷データ送信手順と、を実行する。すなわち、操作者が操作手段を用いて印刷指示入力を行うと指示判定手順の判定が満たされ、その後の識別情報判定手順で、上記登録済みの識別情報が複数あるか否かが判定される。上述のようにして多数のプリンタの印刷操作履歴により多数の識別情報が登録されていると判定が満たされ、第1プリンタ判定手順で、印刷操作履歴が最新である1つのプリンタ(第1プリンタ)に向けて情報送受信が試行される。これにより、前回の操作時と同じプリンタに対して今回また印刷操作を行おうとしている場合には、操作者が当該プリンタの比較的近傍に操作端末を持参して上記印刷指示入力操作を行うことで、上記情報送受信が成功して第1プリンタ判定手順の判定が満たされる。この結果、第1プリンタ判定手順の後の第1印刷データ送信手順で、上記印刷指示入力に対応した所望の印刷データが上記第1プリンタへ送信され、これによって当該印刷データに対応した印刷が第1プリンタにおいて実行される。
【0011】
以上のようにして、本願第1発明においては、多数のプリンタの識別情報の登録状態であっても、少なくとも、前回と同じプリンタにより印刷を実行しようとする場合においては、操作者は、当該プリンタの比較的近傍において印刷指示入力操作を行うだけで足りる。この結果、印刷を実行させようとする1つのプリンタの識別情報の探索、選択、無線接続、送信等の操作が必ず必要となる従来手法に比べ、操作者の労力負担を大きく低減することができる。
【0012】
第2発明は、上記第1発明において、前記制御手段に対し、さらに、前記第1プリンタ判定手順で前記第1プリンタと情報送受信可能でないと判定された場合に、前記登録手段に前記識別情報が登録された、前記第1プリンタ以外の少なくとも1つの第2プリンタに向けて前記通信手段を介した情報送受信を順次試行し、各第2プリンタと情報送受信可能であるか否かを判定する第2プリンタ判定手順と、前記第2プリンタ判定手順で順次行われた前記情報送受信によって1つの前記第2プリンタと情報送受信可能であると判定された場合に、前記印刷指示の入力に対応付けられた所望の印刷データを、前記通信手段を介して当該1つの第2プリンタへ送信する第2印刷データ送信手順と、を実行させる。
【0013】
これにより、前回印刷操作したプリンタ(第1プリンタ)ではないプリンタ(第2プリンタ)を今回印刷操作する場合であっても、第1プリンタ判定手順での判定が満たされなかった後で実行される第2プリンタ判定手順で、当該第2プリンタに対し情報送受信が試行される。そして、情報送受信可能であることが確認されたら、第2印刷データ送信手順で、上記印刷指示入力に対応した所望の印刷データが当該第2プリンタへ送信され、これによって当該印刷データに対応した印刷が第2プリンタにおいて実行される。
【0014】
以上のようにして、本願第2発明においては、前回とは異なるプリンタにより印刷を実行しようとする場合であっても、当該プリンタが既に識別情報が登録されているプリンタであれば、操作者は、印刷指示入力操作を行うだけで印刷を行わせることができる。これにより、上記同様、操作者の労力負担を大きく低減することができる。
【0015】
第3発明は、上記第2発明において、前記第2印刷データ送信手順では、前記第2プリンタ判定手順で順次行われた前記情報送受信によって最初に情報送受信可能であると判定された1つの前記第2プリンタに対し、前記所望の印刷データを送信することを特徴とする。
【0016】
これにより、操作者は、例えば印刷操作を行いたいプリンタの近傍でかつそれ以外のプリンタからは遠い位置まで赴き、印刷指示入力操作を行うことで、当該プリンタに確実に印刷を実行させることができる。
【0017】
第4発明は、上記第1乃至第3発明のいずれかにおいて、前記登録手段は、各プリンタの前記識別情報としての各プリンタのアドレス情報を登録しており、前記第1又は第2プリンタ判定手順では、前記登録手段により登録された前記第1又は第2プリンタの前記アドレス情報を用いて当該第1又は第2プリンタを特定しつつ、前記情報送受信を試行することを特徴とする。
【0018】
これにより、登録手段が登録したアドレス情報を用いて、今回の印刷操作対象である、前回使用した第1プリンタや第1プリンタ以外の第2プリンタを特定し、確実に接続を行って情報送受信を実行することができる。
【0019】
上記目的を達成するために、本願第5発明の印刷処理方法は、少なくとも1つのプリンタに対し無線通信を行うための通信手段と、操作者が所望の操作を実行可能な操作手段と、プリンタが新規に接続され前記通信手段により無線通信が行われるたびに各プリンタ固有の識別情報を順次登録する登録手段と、前記操作手段を介したプリンタの印刷操作履歴を記憶可能な記憶手段と、を有する操作端末が実行する、印刷処理方法であって、前記操作手段を介した印刷指示の入力があったかどうかを判定する指示判定手順と、前記指示判定手順で前記印刷指示の入力があったと判定された場合に、前記登録手段に登録されている前記識別情報が複数あるか否かを判定する識別情報判定手順と、前記識別情報判定手順で前記識別情報が複数あると判定された場合に、前記記憶手段に最新の印刷操作履歴が記憶された1つの第1プリンタに向けて前記通信手段を介した情報送受信を試行し、前記第1プリンタと情報送受信可能であるか否かを判定する第1プリンタ判定手順と、前記第1プリンタ判定手順で前記第1プリンタと情報送受信可能であると判定された場合に、前記印刷指示の入力に対応付けられた所望の印刷データを、前記通信手段を介して当該第1プリンタへ送信する第1印刷データ送信手順と、を有することを特徴とする。
【0020】
本願第5発明の印刷処理方法は、操作端末によって実行される。操作端末には、通信手段、操作手段、登録手段、及び記憶手段が備えられている。また、この操作端末は、通信手段を介し、少なくとも1つのプリンタに対し、無線通信により情報送受信可能に接続される。そして、プリンタが新たに接続されて無線通信により印刷データが送信され印刷が実行される(=印刷操作)たび、登録手段が、各プリンタ固有の識別情報(名称やアドレス情報等)を登録する。
【0021】
ここで、本願第5発明のように、無線通信を介して操作端末とプリンタとが接続され情報送受信が行われる場合、操作端末が持ち運ばれていろいろな場所でプリンタと接続されて使用されることから、使用期間が長くなるにつれて、多数のプリンタに対する印刷操作履歴が順次生じる。この場合、上記のようにして登録手段によって多数のプリンタの識別情報が順次登録され、蓄積された状態となる。このような多数のプリンタの登録状態において、あるときにそれら既登録の(すなわち過去に接続したことのある)多数のプリンタのうちいずれか1つに対し、操作端末から印刷操作を行うためには、操作者は、次のような操作を行う必要がある。すなわち、操作者は、上記多数のプリンタの識別情報の中から当該接続しようとする1つのプリンタの識別情報を見つけ出し、その識別情報を選択して当該接続しようとする1つのプリンタを特定して無線による接続を実行した後、印刷データを送信しなければならない。この場合、例えば当該印刷操作を行おうとする1つのプリンタが操作者の目の前や至近距離にあったとしても、上記のような識別情報の探索、選択、無線接続、送信等の操作が必ず必要となり、操作者にとって労力負担が大きい。
【0022】
そこで、本願第5発明の印刷処理方法では、指示判定手順と、識別情報判定手順と、第1プリンタ判定手順と、第1印刷データ送信手順と、を実行する。すなわち、操作者が操作手段を用いて印刷指示入力を行うと指示判定手順の判定が満たされ、その後の識別情報判定手順で、上記登録済みの識別情報が複数あるか否かが判定される。上述のようにして多数のプリンタの印刷操作履歴により多数の識別情報が登録されていると判定が満たされ、第1プリンタ判定手順で、印刷操作履歴が最新である1つのプリンタ(第1プリンタ)に向けて情報送受信が試行される。これにより、前回の操作時と同じプリンタに対して今回また印刷操作を行おうとしている場合には、操作者が当該プリンタの比較的近傍に操作端末を持参して上記印刷指示入力操作を行うことで、上記情報送受信が成功して第1プリンタ判定手順の判定が満たされる。この結果、第1プリンタ判定手順の後の第1印刷データ送信手順で、上記印刷指示入力に対応した所望の印刷データが上記第1プリンタへ送信され、これによって当該印刷データに対応した印刷が第1プリンタにおいて実行される。
【0023】
以上のようにして、本願第5発明においては、多数のプリンタの識別情報の登録状態であっても、少なくとも、前回と同じプリンタにより印刷を実行しようとする場合においては、操作者は、当該プリンタの比較的近傍において印刷指示入力操作を行うだけで足りる。この結果、印刷を実行させようとする1つのプリンタの識別情報の探索、選択、無線接続、送信等の操作が必ず必要となる従来手法に比べ、操作者の労力負担を大きく低減することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、多数のプリンタの識別情報が登録された状態であっても、印刷操作時の操作者の労力負担を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態が適用される操作端末をプリンタと共に示すシステム構成図である。
【図2】携帯型プリンタの外観を斜め背面側から見た斜視図である。
【図3】携帯型プリンタの内部構造を表す図2中III−III断面による側断面図である。
【図4】携帯型プリンタ及び操作端末の機能的構成を表すブロック図である。
【図5】操作端末内における処理制御上の機能的構成の一例を表すブロック図である。
【図6】操作端末からプリンタへの情報の流れを概念的に説明する図である。
【図7】種々の場所の設置されているプリンタに対し操作端末が通信を行っている状態を表す説明図、及び、操作端末に多数の携帯型プリンタの識別情報が順次登録され蓄積された状態を表す説明図である。
【図8】過去に登録された全ての携帯型プリンタから1つを選択して印刷指示を行う必要がある比較例を説明するための説明図である。
【図9】操作端末から印刷指示を行うのみで直近履歴の携帯型プリンタに印刷操作を行える本実施形態の手法を説明するための説明図である。
【図10】操作端末のCPUによって実行される制御内容を表すフローチャートである。
【図11】機種選択を行う変形例において操作端末のCPUによって実行される制御内容を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0027】
<システム構成>
図1に、本実施形態が適用される操作端末を、操作対象であるプリンタとともに示す。図1において、携帯型プリンタ100と操作端末200とによって、印刷システムPSが構成されている。携帯型プリンタ100と操作端末200とは、ブルートゥース(登録商標)通信により、情報送受信可能に接続されている。
【0028】
操作端末200は、例えば、上記ブルートゥース通信に対応する機能を備えたPDA(携帯情報端末)やスマートフォン(PDA機能を備えた携帯電話)等の情報端末である。この操作端末200は、タッチパネル201と、例えば操作ボタン202とを有している。タッチパネル201は、液晶ディスプレイ等により各種情報やメッセージを表示する表示機能を有すると共に、上記操作ボタン202と併せて操作者が所望の指示や情報を入力可能である。したがって、以降、タッチパネルの上記表示機能部分を単に「表示部201」と称し、タッチパネルの上記操作機能部分と上記操作ボタンとを、単に「操作部202」と称する。この操作部202が各請求項記載の操作手段として機能する。操作端末200は、この例では、ブルートゥース通信を介して携帯型プリンタ100に情報送受信を試行し、この情報送受信が可能となった場合のみ、携帯型プリンタ100により所望の印刷データを印刷させることができる。
【0029】
<プリンタの構成>
図2及び図3を用いて、上記携帯型プリンタ100の概略構成について説明する。
【0030】
携帯型プリンタ100は、全体が略直方体形状に形成されたハウジング102を備えている。ハウジング102の図中奥側の上面には、カバー部材103が開閉可能に設けられている。印刷時には、このカバー部材103の隙間(図示省略)に被印刷用紙S(後述の図4参照)が挿通される。図2中においてハウジング102の手前側に位置する側面は、当該携帯型プリンタ100の背面部分に相当し、この背面部分にはバッテリ室カバー104が着脱可能に設けられている。当該バッテリ室カバー104を取り外した状態では、バッテリ電源107(図3参照)を収容するバッテリ収納室105がハウジング102の背面部分に開口する。
【0031】
ハウジング102内には、プラテンローラ111とサーマルラインヘッド112とが設けられている。プラテンローラ111は、ハウジング102の内部で回転自在に支持されており、図示しない駆動機構により回転駆動されることで被印刷用紙Sを搬送する。サーマルラインヘッド112は、上記プラテンローラ111に接離自在に設置されており、印刷時にはプラテンローラ111に所定の圧接力で接触し、その間に挿通された被印刷用紙Sに所望の印刷を行う。
【0032】
通常の場合は、カバー部材103を閉じた状態で隙間の搬送路に被印刷用紙Sを挿通することで、プラテンローラ111により被印刷用紙Sが搬送され、当該被印刷用紙Sに対しサーマルラインヘッド112によって所望の印刷が行われる。なお、紙詰まりを取り除くには、カバー部材103を開けた状態にする。この時、サーマルラインヘッド112からプラテンローラ111がリリースされるため、容易に用紙を引き出すことが可能になる。
【0033】
ハウジング102は、トップカバー121、アンダーカバー131、及び2つのサイドカバー(図示省略)で構成されている。
【0034】
<プリンタ及び操作端末の機能的構成>
図4を用いて、携帯型プリンタ100及び操作端末200の機能的構成を説明する。
【0035】
図4において、携帯型プリンタ100は、被印刷用紙Sに所望の印刷を行う上記サーマルラインヘッド112と、上記プラテンローラ111と、制御回路141と、例えばRAMやROM等からなるメモリ144と、上記操作端末200との間で行われる上記ブルートゥース通信の制御を行う通信制御部142と、を備えている。
【0036】
操作端末200は、CPU203(制御手段)と、例えばRAMやROM等からなるメモリ204(登録手段)と、上記操作部202と、上記表示部201と、ハードディスク装置等からなり各種情報を記憶する大容量記憶装置205(記憶手段)と、無線通信を介して少なくとも1つの携帯型プリンタ100との情報送受信の制御を行う通信制御部206(通信手段)とを備えている。
【0037】
CPU203は、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行い、それによって携帯型プリンタ100との間で各種の指示信号・情報信号の送受を行うようになっている。なお、ROMに記憶された上記プログラムには、後述する図10や図11のフローの各手順からなる印刷処理方法を実行するための、本実施形態による印刷処理プログラムが含まれている。
【0038】
上記大容量記憶装置205(メモリ204でもよい)には、文字スタイルやフォント等の所定の書式の種類ごとに、印刷指令をプリンタコード(詳細は省略)に変換するためのプログラムが記憶されている。
【0039】
次に、図5及び図6を用いて、操作端末200内における処理上の機能的構成及び処理の流れについて説明する。
【0040】
図5において、操作端末200の上記メモリ204上に、少なくとも1つのアプリケーションプログラムAPと、プリンタドライバPDのそれぞれのプログラムが展開して起動しており、相互に指示信号と情報信号を送受信可能となっている。そしてアプリケーションプログラムAPはプリンタドライバPDに対して信号を送受し、またプリンタドライバPDは上記大容量記憶装置205と信号を送受信すると共に、上記通信制御部206,142同士のブルートゥース通信を介して携帯型プリンタ100と信号を送受信するようになっている。
【0041】
これらアプリケーションプログラムAPとプリンタドライバPDは、いずれも操作端末200が備える1つの上記CPU203によって実行される。すなわち、例えば公知のタイムシェアリングシステム(TSS)などの時分割での割り込み制御によって、CPU203においてそれぞれ個別に独立して実行される。またプリンタドライバPDについては、操作端末200の基本OSに予め組み込まれたものでもよいし、他のアプリケーションと同様にOS上で個別に起動されるプログラムであってもよい。
【0042】
ここで、アプリケーションプログラムAPとしては、文書作成や画像作成用のアプリケーションプログラム、例えば文書作成・管理用の文書管理用アプリケーションプログラムや、写真やイラスト等の画像作成・管理用の画像管理用アプリケーションプログラムなどがある。そして、アプリケーションプログラムAPは、操作者による操作部202の操作に対応して印刷指令を含む印刷ジョブを生成し、その生成された印刷ジョブは、アプリケーションプログラムAPからプリンタドライバPDへと出力される。
【0043】
そして、図6に示すように、プリンタドライバPDは、アプリケーションプログラムAPから出力された上記印刷ジョブを受け付け、印刷ジョブに含まれる印刷指令を対応するプリンタコードに変換する。そして、携帯型プリンタ100に対してこの変換したプリンタコード(印刷データ)を出力する。携帯型プリンタ100は、プリンタドライバPDから入力されたプリンタコードに基づいて、必要な各種処理を行い、その後必要な印刷を行う。
【0044】
<本実施形態の特徴>
以上のような本実施形態の操作端末200では、携帯型プリンタ100が新規に接続され上記ブルートゥース通信等により無線通信が行われるたびに、各携帯型プリンタ100に固有のプリンタ名称や例えばMacアドレスやIPアドレス等の識別情報がメモリ204に順次登録される。
【0045】
また、操作端末200が上記無線通信を介し携帯型プリンタ100に印刷データを送信して印刷が実行されるたびに、上記大容量記憶装置205(又はメモリ204)に、上記操作部202を介した携帯型プリンタ100の印刷操作履歴が記憶される。
【0046】
<多数のプリンタの登録状態>
ここで、上記無線通信を介して操作端末200と携帯型プリンタ100とが接続され情報送受信が行われる場合、操作端末200が持ち運ばれることで、いろいろな場所で携帯型プリンタ100と接続されて使用される場合がある。例えば、図7(a)に示すように、デスクQ1に置かれた携帯型プリンタ100(以下適宜、携帯型プリンタ100A」という。図示参照)が操作端末200によって印刷操作される場合、あるいは図7(b)に示すように、例えば自動車の座席Q2に置かれた携帯型プリンタ100(以下適宜、携帯型プリンタ100B」という。図示参照)が操作端末200によって印刷操作される場合、あるいは図7(c)に示すように、棚Q3に置かれた携帯型プリンタ100(以下適宜、携帯型プリンタ100C」という。図示参照)が操作端末200によって印刷操作される場合等がある。以下適宜、これら携帯型プリンタ100A〜Cを総称して単に「携帯型プリンタ100」という。
【0047】
上記のように携帯型プリンタ100A,100B,100C・・に対し1つの操作端末200によって順次印刷操作が行われた場合、各操作履歴によって、表示部201には、図7(d)に示すように、各携帯型プリンタ100A,100B,100C,・・に対応したプリンタ識別情報、例えば上記プリンタ100Aに対応した「プリンタP−XX」、上記プリンタ100Bに対応した「プリンタP−YY」、上記プリンタ100Cに対応した「プリンタP−ZZ」等の多くのプリンタ名称等が累積表示される。すなわち、操作端末200の使用期間が長くなるにつれて、多数の携帯型プリンタ100との印刷操作履歴が順次生じ、上記のようにしてメモリ204に多数の携帯型プリンタ100の上記識別情報が順次登録され、大容量記憶装置205に蓄積保存された状態となる。
【0048】
<操作労力の増大>
このような多数の携帯型プリンタ100の登録状態において、あるときにそれら既登録の(すなわち過去に接続したことのある)多数の携帯型プリンタ100のうちいずれか1つに対し、操作端末200から印刷操作を行うためには、操作者は、次のような操作を行う必要がある。
【0049】
すなわち、操作者は、比較例として図8(a)に示すように、例えば棚Q3に置かれた上記プリンタ100Cを使用する場合、図8(b)に示すような操作端末200の表示部201に表示されている過去に登録された全ての携帯型プリンタ100のプリンタ名称の中から、当該接続しようとするプリンタ100Cに対応する「プリンタP−ZZ」を見つけ出す。そして、操作者は、その「プリンタP−ZZ」の表示を操作部202で選択し指定する(図中の網掛けは選択済みであることを示す)ことで、接続しようとする1つの携帯型プリンタ100として特定する(図8(c)参照)。その後、操作者は、例えば表示部201において「Print」ボタンを操作(図8(d))することで、無線通信により当該携帯型プリンタ100との接続を行って印刷データを送信しなければならない。この場合、例えば当該印刷操作を行おうとする1つの携帯型プリンタ100(上記の例では携帯型プリンタ100C)が操作者の目の前や至近距離にあったとしても、上記のようなプリンタ名称の探索、プリンタ名称の選択、無線接続、送信等の操作が必ず必要となり、操作者にとって労力負担が大きい。
【0050】
<本実施形態の手法>
そこで、本実施形態においては、図9(a)に示すように、前回使用した携帯型プリンタ100(上述の例では携帯型プリンタ100C)であれば、操作端末200の1回の印刷指示、すなわち図9(b)に示す表示部201の「Print」ボタンを操作のみで、無線通信による接続と印刷データの送信が自動的に実行される。これにより、上記図8(b)及び図8(c)に示したような、全てのプリンタ名称の探索やそこからの1つのプリンタ名称の選択等を不要とした。
【0051】
<制御手順>
次に、上記の内容を実現するために操作端末200の上記CPU203によって実行される、上記印刷処理プログラムに基づく制御内容を図10を用いて説明する。
【0052】
まずステップS10で、CPU203は、上記操作部202を介し操作者からの印刷指示の入力があったか否か、言い換えれば、アプリケーションプログラムAPからプリンタドライバPDへ上記印刷ジョブが出力されたか否か、を判定する。操作者が印刷開始を指示していない状態では、ステップS10の判定が満たされず(S10:NO)、ループ待機する。操作者が印刷開始を指示すると、ステップS10の判定が満たされ(S10:YES)、ステップS20に移る。なお、このステップS10が各請求項記載の指示判定手順に相当する。
【0053】
ステップS20では、CPU203は、メモリ204に上記識別情報(上述したように固有のプリンタ名称や例えばMacアドレスやIPアドレス等)が登録されている携帯型プリンタ100が複数台存在するか否かを判定する。識別情報が登録されている携帯型プリンタ100が複数台存在すれば、ステップS20の判定が満たされ(S20:YES)、後述のステップS30に移る。識別情報が登録されている携帯型プリンタ100が1台しか存在しない場合には、ステップS20の判定が満たされず(S20:NO)、ステップS21に移る。なお、このステップS20が各請求項記載の識別情報判定手順に相当する。
【0054】
ステップS21では、CPU203は、メモリ204に登録されている1台の携帯型プリンタ100を、その識別情報(上述したように固有のプリンタ名称や例えばMacアドレスやIPアドレス等)を用いて送信先として特定(認定)する。
【0055】
その後、ステップS22に移り、CPU203は、通信制御部206を介してブルートゥース通信により、上記ステップS21で特定した携帯型プリンタ100に対し、試行信号(問いかけ信号)を送信する。前述のように、携帯型プリンタ100では、通信制御部142を介して制御回路141が試行信号を受信すると、携帯型プリンタ100が操作端末200と通信可能であれば、それに対する応答信号が出力される。したがって、CPU203は、当該応答信号を通信制御部206を介して受信することで、その携帯型プリンタ100が通信可能なプリンタであると認識することができる。
【0056】
そして、ステップS23に移り、CPU203は、通信制御部206を介しての携帯型プリンタ100に対する通信が成功したか否か、言い換えれば、上記ステップS22における問いかけ信号に対応する応答信号が受信されたか否か、を判定する。通信が成功していなければ、ステップS23の判定が満たされず(S:NO)、後述のステップS25に移る。通信が成功していれば、ステップS23の判定が満たされ(S23:YES)、ステップS24に移る。
【0057】
ステップS24では、CPU203は、上述したようにしてアプリケーションAPから出力された上記印刷ジョブに含まれる印刷指令を、プリンタドライバPDを用いてプリンタコードに変換する。その後、CPU203は、この変換により生成されたプリンタコードを、通信制御部206を介して上記通信相手として特定された携帯型プリンタ100に送信する。そして、このフローを終了する。携帯型プリンタ100は、通信制御部142を介して上記出力されたプリンタコードを受信することにより当該、プリンタコードで指示された内容の所望の印刷をサーマルラインヘッド112により被印刷用紙Sに対して実行する。
【0058】
一方、ステップS25では、CPU203は、操作端末200の表示部201に、所定のエラー表示を表示させ、このフローを終了する。
【0059】
一方、ステップS20の判定が満たされずに移行したステップS30では、CPU203は、大容量記憶装置205(メモリ204でもよい)に登録されている各携帯型プリンタ100の印刷操作履歴に基づき、操作履歴が最新である1台の携帯型プリンタ100(各請求項記載の第1プリンタに相当)を、その識別情報(上記固有のプリンタ名称や例えばMacアドレスやIPアドレス等)を用いて送信先として特定する。
【0060】
その後、ステップS40で、CPU203は、上記ステップS22と同様、上記ステップS30で特定した携帯型プリンタ100に対し、試行信号(問いかけ信号)を送信する。前述と同様、携帯型プリンタ100が試行信号を受信すると、操作端末200と通信可能であれば応答信号を出力する。
【0061】
そして、ステップS50において、CPU203は、上記ステップS23と同様、上記ステップS30で特定した携帯型プリンタ100に対する通信が成功したか否かを判定する。通信が成功していなければ、ステップS50の判定が満たされず(S50:NO)、後述のステップS51に移る。通信が成功していれば、ステップS50の判定が満たされ、ステップS60に移る。なお、このステップS50及び上記ステップS40が各請求項記載の第1プリンタ判定手順に相当する。
【0062】
ステップS60では、CPU203は、上記ステップS24と同様、上記印刷ジョブに含まれる印刷指令をプリンタコードに変換した後、この変換されたプリンタコードを上記通信相手として特定された携帯型プリンタ100に送信し、このフローを終了する。なお、このステップS60が各請求項記載の第1印刷データ送信手順に相当する。
【0063】
一方、上記ステップS50の判定が満たされずに移行したステップS51では、CPU203は、大容量記憶装置205(メモリ204でもよい)に登録されている各携帯型プリンタ100の印刷操作履歴に基づき、上記ステップS30で特定した最新履歴の携帯型プリンタ100とは異なる、別の1台の携帯型プリンタ100(各請求項記載の第2プリンタに相当)を、その識別情報(上記固有のプリンタ名称や例えばMacアドレスやIPアドレス等)を用いて送信先として特定する。なお、当該別の1台の決定においては、登録順、名称順、等の所定の規則性に沿って上記最新履歴の携帯型プリンタ100の次の順番の携帯型プリンタを特定すればよい。
【0064】
その後、ステップS52に移り、CPU203は、上記ステップS40と同様、上記ステップS51で特定した携帯型プリンタ100に対し、試行信号(問いかけ信号)を送信する。前述と同様、携帯型プリンタ100が試行信号を受信すると、操作端末200と通信可能であれば応答信号を出力する。
【0065】
その後、ステップS53に移り、CPU203は、上記ステップS50と同様、上記ステップS52で特定した携帯型プリンタ100に対する通信が成功したか否かを判定する。通信が成功していれば、ステップS53の判定が満たされ(S53:YES)、後述のステップS56に移る。通信が成功していなければ、ステップS53の判定が満たされず(S53:NO)、ステップS54に移る。なお、このステップS53及び上記ステップS52が各請求項記載の第2プリンタ判定手順に相当する。
【0066】
その後、ステップS54に移り、CPU203は、通信制御部206を介し、既に上記識別情報が登録済みの全ての携帯型プリンタ100に対する試行通信が行われたか否かを判定する。まだ全ての携帯型プリンタ100に対する試行通信が完了していなければ、ステップS54の判定が満たされず(S54:NO)、上記ステップS51に戻って同様の手順を繰り返す。全ての携帯型プリンタ100について試行通信が行われていた場合には、ステップS54の判定が満たされ(S54:YES)、ステップS55に移る。
【0067】
ステップS55では、CPU203は、上記ステップS23と同様、操作端末200の表示部201に、エラー表示を表示させ、このフローを終了する。
【0068】
一方、上記ステップS53の判定が満たされて移行するステップS56では、CPU203は、上記ステップS24やステップS60と同様、上記印刷ジョブに含まれる印刷指令をプリンタコードに変換した後、変換されたプリンタコードを上記通信相手として特定された携帯型プリンタ100に送信し、このフローを終了する。なお、このステップS56が各請求項記載の第2印刷データ送信手順に相当する。
【0069】
以上説明したように、本実施形態の印刷システムPSにおいては、操作者が操作端末200を用いて印刷指示入力を行うと、登録済みの識別情報が複数あるか否かが判定される(ステップS20参照)。上述のようにして多数の携帯型プリンタ100の印刷操作履歴により多数の識別情報が登録されていると判定されると、印刷操作履歴が最新である1つの携帯型プリンタ100に向けて情報送受信が試行される(ステップS30参照)。これにより、前回の操作時と同じ携帯型プリンタ100に対して今回また印刷操作を行おうとしている場合には、操作者が当該携帯型プリンタ100の比較的近傍に操作端末200を持参して上記印刷指示入力操作を行うことで、情報送受信が成功し、印刷指示入力に対応した所望の印刷データが上記携帯型プリンタ100へ送信され、これによって当該印刷データに対応した印刷が携帯型プリンタ100において実行される。
【0070】
以上のようにして、本実施形態においては、多数の携帯型プリンタ100の識別情報の登録状態であっても、少なくとも、前回と同じ携帯型プリンタ100により印刷を実行しようとする場合においては、操作者は、当該携帯型プリンタ100の比較的近傍において印刷指示入力操作を行うだけで足りる。この結果、印刷を実行させようとする1つの携帯型プリンタ100の識別情報の探索、選択、無線接続、送信等の操作が必ず必要となる従来手法に比べ、操作者の労力負担を大きく低減することができる。
【0071】
また、本実施形態では特に、前回印刷操作した携帯型プリンタ100ではない携帯型プリンタ100を今回印刷操作する場合であっても、ステップS51にて当該携帯型プリンタ100に対し順次情報送受信が試行される。そして、情報送受信可能であることが確認されたら、印刷指示入力に対応した所望の印刷データが当該携帯型プリンタ100へ送信され、当該印刷データに対応した印刷が携帯型プリンタ100において実行される。このようにして、本実施形態においては、前回とは異なる携帯型プリンタ100により印刷を実行しようとする場合であっても、当該携帯型プリンタ100が既に識別情報が登録されているプリンタであれば、操作者は、印刷指示入力操作を行うだけで印刷を行わせることができる。これにより、上記同様、操作者の労力負担を大きく低減することができる。
【0072】
また、本実施形態では特に、ステップS51、ステップS52、ステップS53、ステップS54を経てステップS51に戻り同様の手順を繰り返すことで順次情報送受信が行われる結果、最初に情報送受信可能であると判定された1つの携帯型プリンタ100に対し、プリンタコード(印刷データ)が送信される(ステップS56参照)。これにより、操作者は、例えば印刷操作を行いたい携帯型プリンタ100の近傍でかつそれ以外の携帯型プリンタ100からは遠い位置まで赴き、印刷指示入力操作を行うことで、当該携帯型プリンタ100に確実に印刷を実行させることができる。
【0073】
また、本実施形態では特に、前述したように、大容量記憶装置205(メモリ204でもよい)には、各携帯型プリンタ100の識別情報としての例えばMacアドレス又はIPアドレス等の固有のアドレス情報を登録しており、これら登録されたアドレス情報を用いて各携帯型プリンタ100を特定し情報送受信が試行される(ステップS22、ステップS40、ステップS52参照)。これにより、登録したアドレス情報を用いて、今回の印刷操作対象である、前回使用した携帯型プリンタ100やこれ以外の携帯型プリンタ100を特定し、確実に接続を行って情報送受信を実行することができる。
【0074】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0075】
(1)機種選択を行う場合
図11を用いて、本変形例における操作端末200AのCPU203によって実行される制御内容を説明する。この変形例は、操作者が印刷操作対象としたいプリンタの機種を指定する場合の例である。上記実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化する。
【0076】
図11に示すフローチャートでは、上記実施形態の図10のフローにおけるステップS20とステップS30との間に新たにステップS26が設けられ、またステップS30、ステップS51、ステップS54に代えて、新たにステップS30′、ステップS51′、ステップS54′がそれぞれ設けられた点が異なる。図11のフローのその他の手順は、上記図10のフローの手順と同様である。
【0077】
図11において、上記図10と同様のステップS10を経てステップS20で判定が満たされると、新たに設けたステップS26に移る。ステップS26では、CPU203は、操作者によってプリンタ機種の選択が行われたか否かを判定する。なお、この機種選択は、携帯型プリンタ100において複数の機種が存在する場合に、その中のいずれであるかが選択される。あるいは、上記携帯型プリンタ100と同等のブルートゥース通信を介した操作端末200との接続機能を備え、携帯型プリンタとは異なるタイプの機種のプリンタがあったとき、当該タイプのプリンタを含めていずれかの機種が選択されてもよい。プリンタ機種の選択が行われるまではステップS26の判定が満たされず(S26:NO)ループ待機し、機種の選択が行われた場合には、ステップS26の判定が満たされ(S26:YES)、ステップS30′に移行する。
【0078】
以降、ステップS30′、ステップS51′、ステップS54′において、上記ステップS26で選択された機種について(限定して)上記ステップS30、ステップS51、ステップS54と同等の処理を行う点が図10と異なるだけであり、それ以外の処理は図10と同等であるので、説明を省略する。
【0079】
本変形例によっても、上記実施形態と同様の効果を得る。
【0080】
(2)その他
以上においては、操作端末200と携帯型プリンタ100とがブルートゥース通信で接続される場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、操作端末200と携帯型プリンタ100とがアドホック通信等の上記ブルートゥース通信以外の適宜の相互認識無線通信で接続される場合であっても、上記同様に本発明を適用することができ、同様の効果を得る。
【0081】
なお、以上は、プリンタとして、バッテリ電源により駆動される携帯用プリンタ100に対し本発明を適用した場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、印刷装置の一例として、例えばA4、A3、B4、B5サイズ等の通常の被印刷用紙に画像を形成したり、文字を印刷するプリンタや、被印字テープに所望の印刷を行って印字ラベルを作成する印字ラベル作成装置、に対し、本発明を適用してもよい。この場合も同様の効果を得る。
【0082】
なお、以上において、図4〜図6の各図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0083】
また、図10、図11に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0084】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0085】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0086】
100 携帯型プリンタ(プリンタ)
100A〜C 携帯型プリンタ(プリンタ)
200 操作端末
201 表示部(操作手段)
202 操作部(操作手段)
203 CPU(制御手段)
204 メモリ(登録手段)
205 大容量記憶装置(記憶手段)
206 通信制御部(通信手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに接続された操作端末で実行される印刷処理プログラム及びこれを用いた印刷処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信により携帯型の操作端末から被操作装置を操作するシステムとして、例えば特許文献1に記載の技術が知られている。この従来技術においては、被操作装置(ブルートゥース装置)と操作端末(携帯端末)とがブルートゥース(登録商標)通信により接続され、被操作装置は、操作端末から送信された情報に対応した動作を実行可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−71664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、上記被操作装置としてプリンタを適用し、操作者が、操作端末に備えられた操作手段を適宜に操作することで無線通信を介して印刷装置に所望の印刷を行わせるシステムが提唱されつつある。このようなシステムにおける、印刷装置に接続可能な操作端末では、一般に、プリンタが新たに接続され印刷が実行される(=印刷操作)たび、各プリンタ固有の識別情報(名称やアドレス情報等)が登録される。
【0005】
ここで、操作端末とプリンタとが無線通信を介して接続され情報送受信が行われる場合、操作端末が持ち運ばれていろいろな場所でプリンタと接続されて使用されることから、使用期間が長くなるにつれて、多数のプリンタとの印刷操作履歴が順次生じる。この場合、上記のようにして多数のプリンタの識別情報が順次登録され、蓄積された状態となる。このような多数のプリンタの登録状態において、あるときにそれら既登録の(すなわち過去に接続したことのある)多数のプリンタのうちいずれか1つに対し、操作端末から印刷操作を行うためには、操作者は、次のような操作を行う必要がある。すなわち、操作者は、上記多数のプリンタの識別情報の中から当該接続しようとする1つのプリンタの識別情報を見つけ出し、その識別情報を選択して当該接続しようとする1つのプリンタを特定して無線による接続を実行した後、印刷データを送信しなければならない。この場合、例えば当該印刷操作を行おうとする1つのプリンタが操作者の目の前や至近距離にあったとしても、上記のような識別情報の探索、選択、無線接続、送信等の操作が必ず必要となり、操作者にとって労力負担が大きく煩わしかった。
【0006】
本発明の目的は、多数のプリンタの識別情報が登録された状態であっても、印刷操作時の操作者の労力負担を低減できる印刷処理プログラム及び印刷処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本願第1発明の印刷処理プログラムは、少なくとも1つのプリンタに対し無線通信を行うための通信手段と、操作者が所望の操作を実行可能な操作手段と、プリンタが新規に接続され前記通信手段により無線通信が行われるたびに各プリンタ固有の識別情報を順次登録する登録手段と、前記操作手段を介したプリンタの印刷操作履歴を記憶可能な記憶手段と、前記操作手段及び前記記憶手段を制御する制御手段と、を有する操作端末に備えられた前記制御手段に対し、前記操作手段を介した印刷指示の入力があったかどうかを判定する指示判定手順と、前記指示判定手順で前記印刷指示の入力があったと判定された場合に、前記登録手段に登録されている前記識別情報が複数あるか否かを判定する識別情報判定手順と、前記識別情報判定手順で前記識別情報が複数あると判定された場合に、前記記憶手段に最新の印刷操作履歴が記憶された1つの第1プリンタに向けて前記通信手段を介した情報送受信を試行し、前記第1プリンタと情報送受信可能であるか否かを判定する第1プリンタ判定手順と、前記第1プリンタ判定手順で前記第1プリンタと情報送受信可能であると判定された場合に、前記印刷指示の入力に対応付けられた所望の印刷データを、前記通信手段を介して当該第1プリンタへ送信する第1印刷データ送信手順と、を実行させる。
【0008】
本願第1発明の印刷処理プログラムは、操作端末の制御手段によって実行される。操作端末には、通信手段、操作手段、登録手段、記憶手段、及び上記制御手段が備えられている。また、この操作端末は、通信手段を介し、少なくとも1つのプリンタに対し、無線通信により情報送受信可能に接続される。そして、プリンタが新たに接続されて無線通信により印刷データが送信され印刷が実行される(=印刷操作)たび、登録手段が、各プリンタ固有の識別情報(名称やアドレス情報等)を登録する。
【0009】
ここで、本願第1発明のように、無線通信を介して操作端末とプリンタとが接続され情報送受信が行われる場合、操作端末が持ち運ばれていろいろな場所でプリンタと接続されて使用されることから、使用期間が長くなるにつれて、多数のプリンタとの印刷操作履歴が順次生じる。この場合、上記のようにして登録手段によって多数のプリンタの識別情報が順次登録され、蓄積された状態となる。このような多数のプリンタの登録状態において、あるときにそれら既登録の(すなわち過去に接続したことのある)多数のプリンタのうちいずれか1つに対し、操作端末から印刷操作を行うためには、操作者は、次のような操作を行う必要がある。すなわち、操作者は、上記多数のプリンタの識別情報の中から当該接続しようとする1つのプリンタの識別情報を見つけ出し、その識別情報を選択して当該接続しようとする1つのプリンタを特定して無線による接続を実行した後、印刷データを送信しなければならない。この場合、例えば当該印刷操作を行おうとする1つのプリンタが操作者の目の前や至近距離にあったとしても、上記のような識別情報の探索、選択、無線接続、送信等の操作が必ず必要となり、操作者にとって労力負担が大きい。
【0010】
そこで、本願第1発明では、制御手段が印刷処理プログラムを実行すると、指示判定手順と、識別情報判定手順と、第1プリンタ判定手順と、第1印刷データ送信手順と、を実行する。すなわち、操作者が操作手段を用いて印刷指示入力を行うと指示判定手順の判定が満たされ、その後の識別情報判定手順で、上記登録済みの識別情報が複数あるか否かが判定される。上述のようにして多数のプリンタの印刷操作履歴により多数の識別情報が登録されていると判定が満たされ、第1プリンタ判定手順で、印刷操作履歴が最新である1つのプリンタ(第1プリンタ)に向けて情報送受信が試行される。これにより、前回の操作時と同じプリンタに対して今回また印刷操作を行おうとしている場合には、操作者が当該プリンタの比較的近傍に操作端末を持参して上記印刷指示入力操作を行うことで、上記情報送受信が成功して第1プリンタ判定手順の判定が満たされる。この結果、第1プリンタ判定手順の後の第1印刷データ送信手順で、上記印刷指示入力に対応した所望の印刷データが上記第1プリンタへ送信され、これによって当該印刷データに対応した印刷が第1プリンタにおいて実行される。
【0011】
以上のようにして、本願第1発明においては、多数のプリンタの識別情報の登録状態であっても、少なくとも、前回と同じプリンタにより印刷を実行しようとする場合においては、操作者は、当該プリンタの比較的近傍において印刷指示入力操作を行うだけで足りる。この結果、印刷を実行させようとする1つのプリンタの識別情報の探索、選択、無線接続、送信等の操作が必ず必要となる従来手法に比べ、操作者の労力負担を大きく低減することができる。
【0012】
第2発明は、上記第1発明において、前記制御手段に対し、さらに、前記第1プリンタ判定手順で前記第1プリンタと情報送受信可能でないと判定された場合に、前記登録手段に前記識別情報が登録された、前記第1プリンタ以外の少なくとも1つの第2プリンタに向けて前記通信手段を介した情報送受信を順次試行し、各第2プリンタと情報送受信可能であるか否かを判定する第2プリンタ判定手順と、前記第2プリンタ判定手順で順次行われた前記情報送受信によって1つの前記第2プリンタと情報送受信可能であると判定された場合に、前記印刷指示の入力に対応付けられた所望の印刷データを、前記通信手段を介して当該1つの第2プリンタへ送信する第2印刷データ送信手順と、を実行させる。
【0013】
これにより、前回印刷操作したプリンタ(第1プリンタ)ではないプリンタ(第2プリンタ)を今回印刷操作する場合であっても、第1プリンタ判定手順での判定が満たされなかった後で実行される第2プリンタ判定手順で、当該第2プリンタに対し情報送受信が試行される。そして、情報送受信可能であることが確認されたら、第2印刷データ送信手順で、上記印刷指示入力に対応した所望の印刷データが当該第2プリンタへ送信され、これによって当該印刷データに対応した印刷が第2プリンタにおいて実行される。
【0014】
以上のようにして、本願第2発明においては、前回とは異なるプリンタにより印刷を実行しようとする場合であっても、当該プリンタが既に識別情報が登録されているプリンタであれば、操作者は、印刷指示入力操作を行うだけで印刷を行わせることができる。これにより、上記同様、操作者の労力負担を大きく低減することができる。
【0015】
第3発明は、上記第2発明において、前記第2印刷データ送信手順では、前記第2プリンタ判定手順で順次行われた前記情報送受信によって最初に情報送受信可能であると判定された1つの前記第2プリンタに対し、前記所望の印刷データを送信することを特徴とする。
【0016】
これにより、操作者は、例えば印刷操作を行いたいプリンタの近傍でかつそれ以外のプリンタからは遠い位置まで赴き、印刷指示入力操作を行うことで、当該プリンタに確実に印刷を実行させることができる。
【0017】
第4発明は、上記第1乃至第3発明のいずれかにおいて、前記登録手段は、各プリンタの前記識別情報としての各プリンタのアドレス情報を登録しており、前記第1又は第2プリンタ判定手順では、前記登録手段により登録された前記第1又は第2プリンタの前記アドレス情報を用いて当該第1又は第2プリンタを特定しつつ、前記情報送受信を試行することを特徴とする。
【0018】
これにより、登録手段が登録したアドレス情報を用いて、今回の印刷操作対象である、前回使用した第1プリンタや第1プリンタ以外の第2プリンタを特定し、確実に接続を行って情報送受信を実行することができる。
【0019】
上記目的を達成するために、本願第5発明の印刷処理方法は、少なくとも1つのプリンタに対し無線通信を行うための通信手段と、操作者が所望の操作を実行可能な操作手段と、プリンタが新規に接続され前記通信手段により無線通信が行われるたびに各プリンタ固有の識別情報を順次登録する登録手段と、前記操作手段を介したプリンタの印刷操作履歴を記憶可能な記憶手段と、を有する操作端末が実行する、印刷処理方法であって、前記操作手段を介した印刷指示の入力があったかどうかを判定する指示判定手順と、前記指示判定手順で前記印刷指示の入力があったと判定された場合に、前記登録手段に登録されている前記識別情報が複数あるか否かを判定する識別情報判定手順と、前記識別情報判定手順で前記識別情報が複数あると判定された場合に、前記記憶手段に最新の印刷操作履歴が記憶された1つの第1プリンタに向けて前記通信手段を介した情報送受信を試行し、前記第1プリンタと情報送受信可能であるか否かを判定する第1プリンタ判定手順と、前記第1プリンタ判定手順で前記第1プリンタと情報送受信可能であると判定された場合に、前記印刷指示の入力に対応付けられた所望の印刷データを、前記通信手段を介して当該第1プリンタへ送信する第1印刷データ送信手順と、を有することを特徴とする。
【0020】
本願第5発明の印刷処理方法は、操作端末によって実行される。操作端末には、通信手段、操作手段、登録手段、及び記憶手段が備えられている。また、この操作端末は、通信手段を介し、少なくとも1つのプリンタに対し、無線通信により情報送受信可能に接続される。そして、プリンタが新たに接続されて無線通信により印刷データが送信され印刷が実行される(=印刷操作)たび、登録手段が、各プリンタ固有の識別情報(名称やアドレス情報等)を登録する。
【0021】
ここで、本願第5発明のように、無線通信を介して操作端末とプリンタとが接続され情報送受信が行われる場合、操作端末が持ち運ばれていろいろな場所でプリンタと接続されて使用されることから、使用期間が長くなるにつれて、多数のプリンタに対する印刷操作履歴が順次生じる。この場合、上記のようにして登録手段によって多数のプリンタの識別情報が順次登録され、蓄積された状態となる。このような多数のプリンタの登録状態において、あるときにそれら既登録の(すなわち過去に接続したことのある)多数のプリンタのうちいずれか1つに対し、操作端末から印刷操作を行うためには、操作者は、次のような操作を行う必要がある。すなわち、操作者は、上記多数のプリンタの識別情報の中から当該接続しようとする1つのプリンタの識別情報を見つけ出し、その識別情報を選択して当該接続しようとする1つのプリンタを特定して無線による接続を実行した後、印刷データを送信しなければならない。この場合、例えば当該印刷操作を行おうとする1つのプリンタが操作者の目の前や至近距離にあったとしても、上記のような識別情報の探索、選択、無線接続、送信等の操作が必ず必要となり、操作者にとって労力負担が大きい。
【0022】
そこで、本願第5発明の印刷処理方法では、指示判定手順と、識別情報判定手順と、第1プリンタ判定手順と、第1印刷データ送信手順と、を実行する。すなわち、操作者が操作手段を用いて印刷指示入力を行うと指示判定手順の判定が満たされ、その後の識別情報判定手順で、上記登録済みの識別情報が複数あるか否かが判定される。上述のようにして多数のプリンタの印刷操作履歴により多数の識別情報が登録されていると判定が満たされ、第1プリンタ判定手順で、印刷操作履歴が最新である1つのプリンタ(第1プリンタ)に向けて情報送受信が試行される。これにより、前回の操作時と同じプリンタに対して今回また印刷操作を行おうとしている場合には、操作者が当該プリンタの比較的近傍に操作端末を持参して上記印刷指示入力操作を行うことで、上記情報送受信が成功して第1プリンタ判定手順の判定が満たされる。この結果、第1プリンタ判定手順の後の第1印刷データ送信手順で、上記印刷指示入力に対応した所望の印刷データが上記第1プリンタへ送信され、これによって当該印刷データに対応した印刷が第1プリンタにおいて実行される。
【0023】
以上のようにして、本願第5発明においては、多数のプリンタの識別情報の登録状態であっても、少なくとも、前回と同じプリンタにより印刷を実行しようとする場合においては、操作者は、当該プリンタの比較的近傍において印刷指示入力操作を行うだけで足りる。この結果、印刷を実行させようとする1つのプリンタの識別情報の探索、選択、無線接続、送信等の操作が必ず必要となる従来手法に比べ、操作者の労力負担を大きく低減することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、多数のプリンタの識別情報が登録された状態であっても、印刷操作時の操作者の労力負担を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態が適用される操作端末をプリンタと共に示すシステム構成図である。
【図2】携帯型プリンタの外観を斜め背面側から見た斜視図である。
【図3】携帯型プリンタの内部構造を表す図2中III−III断面による側断面図である。
【図4】携帯型プリンタ及び操作端末の機能的構成を表すブロック図である。
【図5】操作端末内における処理制御上の機能的構成の一例を表すブロック図である。
【図6】操作端末からプリンタへの情報の流れを概念的に説明する図である。
【図7】種々の場所の設置されているプリンタに対し操作端末が通信を行っている状態を表す説明図、及び、操作端末に多数の携帯型プリンタの識別情報が順次登録され蓄積された状態を表す説明図である。
【図8】過去に登録された全ての携帯型プリンタから1つを選択して印刷指示を行う必要がある比較例を説明するための説明図である。
【図9】操作端末から印刷指示を行うのみで直近履歴の携帯型プリンタに印刷操作を行える本実施形態の手法を説明するための説明図である。
【図10】操作端末のCPUによって実行される制御内容を表すフローチャートである。
【図11】機種選択を行う変形例において操作端末のCPUによって実行される制御内容を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0027】
<システム構成>
図1に、本実施形態が適用される操作端末を、操作対象であるプリンタとともに示す。図1において、携帯型プリンタ100と操作端末200とによって、印刷システムPSが構成されている。携帯型プリンタ100と操作端末200とは、ブルートゥース(登録商標)通信により、情報送受信可能に接続されている。
【0028】
操作端末200は、例えば、上記ブルートゥース通信に対応する機能を備えたPDA(携帯情報端末)やスマートフォン(PDA機能を備えた携帯電話)等の情報端末である。この操作端末200は、タッチパネル201と、例えば操作ボタン202とを有している。タッチパネル201は、液晶ディスプレイ等により各種情報やメッセージを表示する表示機能を有すると共に、上記操作ボタン202と併せて操作者が所望の指示や情報を入力可能である。したがって、以降、タッチパネルの上記表示機能部分を単に「表示部201」と称し、タッチパネルの上記操作機能部分と上記操作ボタンとを、単に「操作部202」と称する。この操作部202が各請求項記載の操作手段として機能する。操作端末200は、この例では、ブルートゥース通信を介して携帯型プリンタ100に情報送受信を試行し、この情報送受信が可能となった場合のみ、携帯型プリンタ100により所望の印刷データを印刷させることができる。
【0029】
<プリンタの構成>
図2及び図3を用いて、上記携帯型プリンタ100の概略構成について説明する。
【0030】
携帯型プリンタ100は、全体が略直方体形状に形成されたハウジング102を備えている。ハウジング102の図中奥側の上面には、カバー部材103が開閉可能に設けられている。印刷時には、このカバー部材103の隙間(図示省略)に被印刷用紙S(後述の図4参照)が挿通される。図2中においてハウジング102の手前側に位置する側面は、当該携帯型プリンタ100の背面部分に相当し、この背面部分にはバッテリ室カバー104が着脱可能に設けられている。当該バッテリ室カバー104を取り外した状態では、バッテリ電源107(図3参照)を収容するバッテリ収納室105がハウジング102の背面部分に開口する。
【0031】
ハウジング102内には、プラテンローラ111とサーマルラインヘッド112とが設けられている。プラテンローラ111は、ハウジング102の内部で回転自在に支持されており、図示しない駆動機構により回転駆動されることで被印刷用紙Sを搬送する。サーマルラインヘッド112は、上記プラテンローラ111に接離自在に設置されており、印刷時にはプラテンローラ111に所定の圧接力で接触し、その間に挿通された被印刷用紙Sに所望の印刷を行う。
【0032】
通常の場合は、カバー部材103を閉じた状態で隙間の搬送路に被印刷用紙Sを挿通することで、プラテンローラ111により被印刷用紙Sが搬送され、当該被印刷用紙Sに対しサーマルラインヘッド112によって所望の印刷が行われる。なお、紙詰まりを取り除くには、カバー部材103を開けた状態にする。この時、サーマルラインヘッド112からプラテンローラ111がリリースされるため、容易に用紙を引き出すことが可能になる。
【0033】
ハウジング102は、トップカバー121、アンダーカバー131、及び2つのサイドカバー(図示省略)で構成されている。
【0034】
<プリンタ及び操作端末の機能的構成>
図4を用いて、携帯型プリンタ100及び操作端末200の機能的構成を説明する。
【0035】
図4において、携帯型プリンタ100は、被印刷用紙Sに所望の印刷を行う上記サーマルラインヘッド112と、上記プラテンローラ111と、制御回路141と、例えばRAMやROM等からなるメモリ144と、上記操作端末200との間で行われる上記ブルートゥース通信の制御を行う通信制御部142と、を備えている。
【0036】
操作端末200は、CPU203(制御手段)と、例えばRAMやROM等からなるメモリ204(登録手段)と、上記操作部202と、上記表示部201と、ハードディスク装置等からなり各種情報を記憶する大容量記憶装置205(記憶手段)と、無線通信を介して少なくとも1つの携帯型プリンタ100との情報送受信の制御を行う通信制御部206(通信手段)とを備えている。
【0037】
CPU203は、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行い、それによって携帯型プリンタ100との間で各種の指示信号・情報信号の送受を行うようになっている。なお、ROMに記憶された上記プログラムには、後述する図10や図11のフローの各手順からなる印刷処理方法を実行するための、本実施形態による印刷処理プログラムが含まれている。
【0038】
上記大容量記憶装置205(メモリ204でもよい)には、文字スタイルやフォント等の所定の書式の種類ごとに、印刷指令をプリンタコード(詳細は省略)に変換するためのプログラムが記憶されている。
【0039】
次に、図5及び図6を用いて、操作端末200内における処理上の機能的構成及び処理の流れについて説明する。
【0040】
図5において、操作端末200の上記メモリ204上に、少なくとも1つのアプリケーションプログラムAPと、プリンタドライバPDのそれぞれのプログラムが展開して起動しており、相互に指示信号と情報信号を送受信可能となっている。そしてアプリケーションプログラムAPはプリンタドライバPDに対して信号を送受し、またプリンタドライバPDは上記大容量記憶装置205と信号を送受信すると共に、上記通信制御部206,142同士のブルートゥース通信を介して携帯型プリンタ100と信号を送受信するようになっている。
【0041】
これらアプリケーションプログラムAPとプリンタドライバPDは、いずれも操作端末200が備える1つの上記CPU203によって実行される。すなわち、例えば公知のタイムシェアリングシステム(TSS)などの時分割での割り込み制御によって、CPU203においてそれぞれ個別に独立して実行される。またプリンタドライバPDについては、操作端末200の基本OSに予め組み込まれたものでもよいし、他のアプリケーションと同様にOS上で個別に起動されるプログラムであってもよい。
【0042】
ここで、アプリケーションプログラムAPとしては、文書作成や画像作成用のアプリケーションプログラム、例えば文書作成・管理用の文書管理用アプリケーションプログラムや、写真やイラスト等の画像作成・管理用の画像管理用アプリケーションプログラムなどがある。そして、アプリケーションプログラムAPは、操作者による操作部202の操作に対応して印刷指令を含む印刷ジョブを生成し、その生成された印刷ジョブは、アプリケーションプログラムAPからプリンタドライバPDへと出力される。
【0043】
そして、図6に示すように、プリンタドライバPDは、アプリケーションプログラムAPから出力された上記印刷ジョブを受け付け、印刷ジョブに含まれる印刷指令を対応するプリンタコードに変換する。そして、携帯型プリンタ100に対してこの変換したプリンタコード(印刷データ)を出力する。携帯型プリンタ100は、プリンタドライバPDから入力されたプリンタコードに基づいて、必要な各種処理を行い、その後必要な印刷を行う。
【0044】
<本実施形態の特徴>
以上のような本実施形態の操作端末200では、携帯型プリンタ100が新規に接続され上記ブルートゥース通信等により無線通信が行われるたびに、各携帯型プリンタ100に固有のプリンタ名称や例えばMacアドレスやIPアドレス等の識別情報がメモリ204に順次登録される。
【0045】
また、操作端末200が上記無線通信を介し携帯型プリンタ100に印刷データを送信して印刷が実行されるたびに、上記大容量記憶装置205(又はメモリ204)に、上記操作部202を介した携帯型プリンタ100の印刷操作履歴が記憶される。
【0046】
<多数のプリンタの登録状態>
ここで、上記無線通信を介して操作端末200と携帯型プリンタ100とが接続され情報送受信が行われる場合、操作端末200が持ち運ばれることで、いろいろな場所で携帯型プリンタ100と接続されて使用される場合がある。例えば、図7(a)に示すように、デスクQ1に置かれた携帯型プリンタ100(以下適宜、携帯型プリンタ100A」という。図示参照)が操作端末200によって印刷操作される場合、あるいは図7(b)に示すように、例えば自動車の座席Q2に置かれた携帯型プリンタ100(以下適宜、携帯型プリンタ100B」という。図示参照)が操作端末200によって印刷操作される場合、あるいは図7(c)に示すように、棚Q3に置かれた携帯型プリンタ100(以下適宜、携帯型プリンタ100C」という。図示参照)が操作端末200によって印刷操作される場合等がある。以下適宜、これら携帯型プリンタ100A〜Cを総称して単に「携帯型プリンタ100」という。
【0047】
上記のように携帯型プリンタ100A,100B,100C・・に対し1つの操作端末200によって順次印刷操作が行われた場合、各操作履歴によって、表示部201には、図7(d)に示すように、各携帯型プリンタ100A,100B,100C,・・に対応したプリンタ識別情報、例えば上記プリンタ100Aに対応した「プリンタP−XX」、上記プリンタ100Bに対応した「プリンタP−YY」、上記プリンタ100Cに対応した「プリンタP−ZZ」等の多くのプリンタ名称等が累積表示される。すなわち、操作端末200の使用期間が長くなるにつれて、多数の携帯型プリンタ100との印刷操作履歴が順次生じ、上記のようにしてメモリ204に多数の携帯型プリンタ100の上記識別情報が順次登録され、大容量記憶装置205に蓄積保存された状態となる。
【0048】
<操作労力の増大>
このような多数の携帯型プリンタ100の登録状態において、あるときにそれら既登録の(すなわち過去に接続したことのある)多数の携帯型プリンタ100のうちいずれか1つに対し、操作端末200から印刷操作を行うためには、操作者は、次のような操作を行う必要がある。
【0049】
すなわち、操作者は、比較例として図8(a)に示すように、例えば棚Q3に置かれた上記プリンタ100Cを使用する場合、図8(b)に示すような操作端末200の表示部201に表示されている過去に登録された全ての携帯型プリンタ100のプリンタ名称の中から、当該接続しようとするプリンタ100Cに対応する「プリンタP−ZZ」を見つけ出す。そして、操作者は、その「プリンタP−ZZ」の表示を操作部202で選択し指定する(図中の網掛けは選択済みであることを示す)ことで、接続しようとする1つの携帯型プリンタ100として特定する(図8(c)参照)。その後、操作者は、例えば表示部201において「Print」ボタンを操作(図8(d))することで、無線通信により当該携帯型プリンタ100との接続を行って印刷データを送信しなければならない。この場合、例えば当該印刷操作を行おうとする1つの携帯型プリンタ100(上記の例では携帯型プリンタ100C)が操作者の目の前や至近距離にあったとしても、上記のようなプリンタ名称の探索、プリンタ名称の選択、無線接続、送信等の操作が必ず必要となり、操作者にとって労力負担が大きい。
【0050】
<本実施形態の手法>
そこで、本実施形態においては、図9(a)に示すように、前回使用した携帯型プリンタ100(上述の例では携帯型プリンタ100C)であれば、操作端末200の1回の印刷指示、すなわち図9(b)に示す表示部201の「Print」ボタンを操作のみで、無線通信による接続と印刷データの送信が自動的に実行される。これにより、上記図8(b)及び図8(c)に示したような、全てのプリンタ名称の探索やそこからの1つのプリンタ名称の選択等を不要とした。
【0051】
<制御手順>
次に、上記の内容を実現するために操作端末200の上記CPU203によって実行される、上記印刷処理プログラムに基づく制御内容を図10を用いて説明する。
【0052】
まずステップS10で、CPU203は、上記操作部202を介し操作者からの印刷指示の入力があったか否か、言い換えれば、アプリケーションプログラムAPからプリンタドライバPDへ上記印刷ジョブが出力されたか否か、を判定する。操作者が印刷開始を指示していない状態では、ステップS10の判定が満たされず(S10:NO)、ループ待機する。操作者が印刷開始を指示すると、ステップS10の判定が満たされ(S10:YES)、ステップS20に移る。なお、このステップS10が各請求項記載の指示判定手順に相当する。
【0053】
ステップS20では、CPU203は、メモリ204に上記識別情報(上述したように固有のプリンタ名称や例えばMacアドレスやIPアドレス等)が登録されている携帯型プリンタ100が複数台存在するか否かを判定する。識別情報が登録されている携帯型プリンタ100が複数台存在すれば、ステップS20の判定が満たされ(S20:YES)、後述のステップS30に移る。識別情報が登録されている携帯型プリンタ100が1台しか存在しない場合には、ステップS20の判定が満たされず(S20:NO)、ステップS21に移る。なお、このステップS20が各請求項記載の識別情報判定手順に相当する。
【0054】
ステップS21では、CPU203は、メモリ204に登録されている1台の携帯型プリンタ100を、その識別情報(上述したように固有のプリンタ名称や例えばMacアドレスやIPアドレス等)を用いて送信先として特定(認定)する。
【0055】
その後、ステップS22に移り、CPU203は、通信制御部206を介してブルートゥース通信により、上記ステップS21で特定した携帯型プリンタ100に対し、試行信号(問いかけ信号)を送信する。前述のように、携帯型プリンタ100では、通信制御部142を介して制御回路141が試行信号を受信すると、携帯型プリンタ100が操作端末200と通信可能であれば、それに対する応答信号が出力される。したがって、CPU203は、当該応答信号を通信制御部206を介して受信することで、その携帯型プリンタ100が通信可能なプリンタであると認識することができる。
【0056】
そして、ステップS23に移り、CPU203は、通信制御部206を介しての携帯型プリンタ100に対する通信が成功したか否か、言い換えれば、上記ステップS22における問いかけ信号に対応する応答信号が受信されたか否か、を判定する。通信が成功していなければ、ステップS23の判定が満たされず(S:NO)、後述のステップS25に移る。通信が成功していれば、ステップS23の判定が満たされ(S23:YES)、ステップS24に移る。
【0057】
ステップS24では、CPU203は、上述したようにしてアプリケーションAPから出力された上記印刷ジョブに含まれる印刷指令を、プリンタドライバPDを用いてプリンタコードに変換する。その後、CPU203は、この変換により生成されたプリンタコードを、通信制御部206を介して上記通信相手として特定された携帯型プリンタ100に送信する。そして、このフローを終了する。携帯型プリンタ100は、通信制御部142を介して上記出力されたプリンタコードを受信することにより当該、プリンタコードで指示された内容の所望の印刷をサーマルラインヘッド112により被印刷用紙Sに対して実行する。
【0058】
一方、ステップS25では、CPU203は、操作端末200の表示部201に、所定のエラー表示を表示させ、このフローを終了する。
【0059】
一方、ステップS20の判定が満たされずに移行したステップS30では、CPU203は、大容量記憶装置205(メモリ204でもよい)に登録されている各携帯型プリンタ100の印刷操作履歴に基づき、操作履歴が最新である1台の携帯型プリンタ100(各請求項記載の第1プリンタに相当)を、その識別情報(上記固有のプリンタ名称や例えばMacアドレスやIPアドレス等)を用いて送信先として特定する。
【0060】
その後、ステップS40で、CPU203は、上記ステップS22と同様、上記ステップS30で特定した携帯型プリンタ100に対し、試行信号(問いかけ信号)を送信する。前述と同様、携帯型プリンタ100が試行信号を受信すると、操作端末200と通信可能であれば応答信号を出力する。
【0061】
そして、ステップS50において、CPU203は、上記ステップS23と同様、上記ステップS30で特定した携帯型プリンタ100に対する通信が成功したか否かを判定する。通信が成功していなければ、ステップS50の判定が満たされず(S50:NO)、後述のステップS51に移る。通信が成功していれば、ステップS50の判定が満たされ、ステップS60に移る。なお、このステップS50及び上記ステップS40が各請求項記載の第1プリンタ判定手順に相当する。
【0062】
ステップS60では、CPU203は、上記ステップS24と同様、上記印刷ジョブに含まれる印刷指令をプリンタコードに変換した後、この変換されたプリンタコードを上記通信相手として特定された携帯型プリンタ100に送信し、このフローを終了する。なお、このステップS60が各請求項記載の第1印刷データ送信手順に相当する。
【0063】
一方、上記ステップS50の判定が満たされずに移行したステップS51では、CPU203は、大容量記憶装置205(メモリ204でもよい)に登録されている各携帯型プリンタ100の印刷操作履歴に基づき、上記ステップS30で特定した最新履歴の携帯型プリンタ100とは異なる、別の1台の携帯型プリンタ100(各請求項記載の第2プリンタに相当)を、その識別情報(上記固有のプリンタ名称や例えばMacアドレスやIPアドレス等)を用いて送信先として特定する。なお、当該別の1台の決定においては、登録順、名称順、等の所定の規則性に沿って上記最新履歴の携帯型プリンタ100の次の順番の携帯型プリンタを特定すればよい。
【0064】
その後、ステップS52に移り、CPU203は、上記ステップS40と同様、上記ステップS51で特定した携帯型プリンタ100に対し、試行信号(問いかけ信号)を送信する。前述と同様、携帯型プリンタ100が試行信号を受信すると、操作端末200と通信可能であれば応答信号を出力する。
【0065】
その後、ステップS53に移り、CPU203は、上記ステップS50と同様、上記ステップS52で特定した携帯型プリンタ100に対する通信が成功したか否かを判定する。通信が成功していれば、ステップS53の判定が満たされ(S53:YES)、後述のステップS56に移る。通信が成功していなければ、ステップS53の判定が満たされず(S53:NO)、ステップS54に移る。なお、このステップS53及び上記ステップS52が各請求項記載の第2プリンタ判定手順に相当する。
【0066】
その後、ステップS54に移り、CPU203は、通信制御部206を介し、既に上記識別情報が登録済みの全ての携帯型プリンタ100に対する試行通信が行われたか否かを判定する。まだ全ての携帯型プリンタ100に対する試行通信が完了していなければ、ステップS54の判定が満たされず(S54:NO)、上記ステップS51に戻って同様の手順を繰り返す。全ての携帯型プリンタ100について試行通信が行われていた場合には、ステップS54の判定が満たされ(S54:YES)、ステップS55に移る。
【0067】
ステップS55では、CPU203は、上記ステップS23と同様、操作端末200の表示部201に、エラー表示を表示させ、このフローを終了する。
【0068】
一方、上記ステップS53の判定が満たされて移行するステップS56では、CPU203は、上記ステップS24やステップS60と同様、上記印刷ジョブに含まれる印刷指令をプリンタコードに変換した後、変換されたプリンタコードを上記通信相手として特定された携帯型プリンタ100に送信し、このフローを終了する。なお、このステップS56が各請求項記載の第2印刷データ送信手順に相当する。
【0069】
以上説明したように、本実施形態の印刷システムPSにおいては、操作者が操作端末200を用いて印刷指示入力を行うと、登録済みの識別情報が複数あるか否かが判定される(ステップS20参照)。上述のようにして多数の携帯型プリンタ100の印刷操作履歴により多数の識別情報が登録されていると判定されると、印刷操作履歴が最新である1つの携帯型プリンタ100に向けて情報送受信が試行される(ステップS30参照)。これにより、前回の操作時と同じ携帯型プリンタ100に対して今回また印刷操作を行おうとしている場合には、操作者が当該携帯型プリンタ100の比較的近傍に操作端末200を持参して上記印刷指示入力操作を行うことで、情報送受信が成功し、印刷指示入力に対応した所望の印刷データが上記携帯型プリンタ100へ送信され、これによって当該印刷データに対応した印刷が携帯型プリンタ100において実行される。
【0070】
以上のようにして、本実施形態においては、多数の携帯型プリンタ100の識別情報の登録状態であっても、少なくとも、前回と同じ携帯型プリンタ100により印刷を実行しようとする場合においては、操作者は、当該携帯型プリンタ100の比較的近傍において印刷指示入力操作を行うだけで足りる。この結果、印刷を実行させようとする1つの携帯型プリンタ100の識別情報の探索、選択、無線接続、送信等の操作が必ず必要となる従来手法に比べ、操作者の労力負担を大きく低減することができる。
【0071】
また、本実施形態では特に、前回印刷操作した携帯型プリンタ100ではない携帯型プリンタ100を今回印刷操作する場合であっても、ステップS51にて当該携帯型プリンタ100に対し順次情報送受信が試行される。そして、情報送受信可能であることが確認されたら、印刷指示入力に対応した所望の印刷データが当該携帯型プリンタ100へ送信され、当該印刷データに対応した印刷が携帯型プリンタ100において実行される。このようにして、本実施形態においては、前回とは異なる携帯型プリンタ100により印刷を実行しようとする場合であっても、当該携帯型プリンタ100が既に識別情報が登録されているプリンタであれば、操作者は、印刷指示入力操作を行うだけで印刷を行わせることができる。これにより、上記同様、操作者の労力負担を大きく低減することができる。
【0072】
また、本実施形態では特に、ステップS51、ステップS52、ステップS53、ステップS54を経てステップS51に戻り同様の手順を繰り返すことで順次情報送受信が行われる結果、最初に情報送受信可能であると判定された1つの携帯型プリンタ100に対し、プリンタコード(印刷データ)が送信される(ステップS56参照)。これにより、操作者は、例えば印刷操作を行いたい携帯型プリンタ100の近傍でかつそれ以外の携帯型プリンタ100からは遠い位置まで赴き、印刷指示入力操作を行うことで、当該携帯型プリンタ100に確実に印刷を実行させることができる。
【0073】
また、本実施形態では特に、前述したように、大容量記憶装置205(メモリ204でもよい)には、各携帯型プリンタ100の識別情報としての例えばMacアドレス又はIPアドレス等の固有のアドレス情報を登録しており、これら登録されたアドレス情報を用いて各携帯型プリンタ100を特定し情報送受信が試行される(ステップS22、ステップS40、ステップS52参照)。これにより、登録したアドレス情報を用いて、今回の印刷操作対象である、前回使用した携帯型プリンタ100やこれ以外の携帯型プリンタ100を特定し、確実に接続を行って情報送受信を実行することができる。
【0074】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0075】
(1)機種選択を行う場合
図11を用いて、本変形例における操作端末200AのCPU203によって実行される制御内容を説明する。この変形例は、操作者が印刷操作対象としたいプリンタの機種を指定する場合の例である。上記実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化する。
【0076】
図11に示すフローチャートでは、上記実施形態の図10のフローにおけるステップS20とステップS30との間に新たにステップS26が設けられ、またステップS30、ステップS51、ステップS54に代えて、新たにステップS30′、ステップS51′、ステップS54′がそれぞれ設けられた点が異なる。図11のフローのその他の手順は、上記図10のフローの手順と同様である。
【0077】
図11において、上記図10と同様のステップS10を経てステップS20で判定が満たされると、新たに設けたステップS26に移る。ステップS26では、CPU203は、操作者によってプリンタ機種の選択が行われたか否かを判定する。なお、この機種選択は、携帯型プリンタ100において複数の機種が存在する場合に、その中のいずれであるかが選択される。あるいは、上記携帯型プリンタ100と同等のブルートゥース通信を介した操作端末200との接続機能を備え、携帯型プリンタとは異なるタイプの機種のプリンタがあったとき、当該タイプのプリンタを含めていずれかの機種が選択されてもよい。プリンタ機種の選択が行われるまではステップS26の判定が満たされず(S26:NO)ループ待機し、機種の選択が行われた場合には、ステップS26の判定が満たされ(S26:YES)、ステップS30′に移行する。
【0078】
以降、ステップS30′、ステップS51′、ステップS54′において、上記ステップS26で選択された機種について(限定して)上記ステップS30、ステップS51、ステップS54と同等の処理を行う点が図10と異なるだけであり、それ以外の処理は図10と同等であるので、説明を省略する。
【0079】
本変形例によっても、上記実施形態と同様の効果を得る。
【0080】
(2)その他
以上においては、操作端末200と携帯型プリンタ100とがブルートゥース通信で接続される場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、操作端末200と携帯型プリンタ100とがアドホック通信等の上記ブルートゥース通信以外の適宜の相互認識無線通信で接続される場合であっても、上記同様に本発明を適用することができ、同様の効果を得る。
【0081】
なお、以上は、プリンタとして、バッテリ電源により駆動される携帯用プリンタ100に対し本発明を適用した場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、印刷装置の一例として、例えばA4、A3、B4、B5サイズ等の通常の被印刷用紙に画像を形成したり、文字を印刷するプリンタや、被印字テープに所望の印刷を行って印字ラベルを作成する印字ラベル作成装置、に対し、本発明を適用してもよい。この場合も同様の効果を得る。
【0082】
なお、以上において、図4〜図6の各図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0083】
また、図10、図11に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0084】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0085】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0086】
100 携帯型プリンタ(プリンタ)
100A〜C 携帯型プリンタ(プリンタ)
200 操作端末
201 表示部(操作手段)
202 操作部(操作手段)
203 CPU(制御手段)
204 メモリ(登録手段)
205 大容量記憶装置(記憶手段)
206 通信制御部(通信手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプリンタに対し無線通信を行うための通信手段と、操作者が所望の操作を実行可能な操作手段と、プリンタが新規に接続され前記通信手段により無線通信が行われるたびに各プリンタ固有の識別情報を順次登録する登録手段と、前記操作手段を介したプリンタの印刷操作履歴を記憶可能な記憶手段と、前記操作手段及び前記記憶手段を制御する制御手段と、を有する操作端末に備えられた前記制御手段に対し、
前記操作手段を介した印刷指示の入力があったかどうかを判定する指示判定手順と、
前記指示判定手順で前記印刷指示の入力があったと判定された場合に、前記登録手段に登録されている前記識別情報が複数あるか否かを判定する識別情報判定手順と、
前記識別情報判定手順で前記識別情報が複数あると判定された場合に、前記記憶手段に最新の印刷操作履歴が記憶された1つの第1プリンタに向けて前記通信手段を介した情報送受信を試行し、前記第1プリンタと情報送受信可能であるか否かを判定する第1プリンタ判定手順と、
前記第1プリンタ判定手順で前記第1プリンタと情報送受信可能であると判定された場合に、前記印刷指示の入力に対応付けられた所望の印刷データを、前記通信手段を介して当該第1プリンタへ送信する第1印刷データ送信手順と、
を実行させるための、印刷処理プログラム。
【請求項2】
請求項1記載の印刷処理プログラムにおいて、
前記制御手段に対し、さらに、
前記第1プリンタ判定手順で前記第1プリンタと情報送受信可能でないと判定された場合に、前記登録手段に前記識別情報が登録された、前記第1プリンタ以外の少なくとも1つの第2プリンタに向けて前記通信手段を介した情報送受信を順次試行し、各第2プリンタと情報送受信可能であるか否かを判定する第2プリンタ判定手順と、
前記第2プリンタ判定手順で順次行われた前記情報送受信によって1つの前記第2プリンタと情報送受信可能であると判定された場合に、前記印刷指示の入力に対応付けられた所望の印刷データを、前記通信手段を介して当該1つの第2プリンタへ送信する第2印刷データ送信手順と、
を実行させるための、印刷処理プログラム。
【請求項3】
請求項2記載の印刷処理プログラムにおいて、
前記第2印刷データ送信手順では、
前記第2プリンタ判定手順で順次行われた前記情報送受信によって最初に情報送受信可能であると判定された1つの前記第2プリンタに対し、前記所望の印刷データを送信する
ことを特徴とする印刷処理プログラム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の印刷処理プログラムにおいて、
前記登録手段は、各プリンタの前記識別情報としての各プリンタのアドレス情報を登録しており、
前記第1又は第2プリンタ判定手順では、
前記登録手段により登録された前記第1又は第2プリンタの前記アドレス情報を用いて当該第1又は第2プリンタを特定しつつ、前記情報送受信を試行する
ことを特徴とする印刷処理プログラム。
【請求項5】
少なくとも1つのプリンタに対し無線通信を行うための通信手段と、操作者が所望の操作を実行可能な操作手段と、プリンタが新規に接続され前記通信手段により無線通信が行われるたびに各プリンタ固有の識別情報を順次登録する登録手段と、前記操作手段を介したプリンタの印刷操作履歴を記憶可能な記憶手段と、を有する操作端末が実行する、印刷処理方法であって、
前記操作手段を介した印刷指示の入力があったかどうかを判定する指示判定手順と、
前記指示判定手順で前記印刷指示の入力があったと判定された場合に、前記登録手段に登録されている前記識別情報が複数あるか否かを判定する識別情報判定手順と、
前記識別情報判定手順で前記識別情報が複数あると判定された場合に、前記記憶手段に最新の印刷操作履歴が記憶された1つの第1プリンタに向けて前記通信手段を介した情報送受信を試行し、前記第1プリンタと情報送受信可能であるか否かを判定する第1プリンタ判定手順と、
前記第1プリンタ判定手順で前記第1プリンタと情報送受信可能であると判定された場合に、前記印刷指示の入力に対応付けられた所望の印刷データを、前記通信手段を介して当該第1プリンタへ送信する第1印刷データ送信手順と、
を有することを特徴とする印刷処理方法。
【請求項1】
少なくとも1つのプリンタに対し無線通信を行うための通信手段と、操作者が所望の操作を実行可能な操作手段と、プリンタが新規に接続され前記通信手段により無線通信が行われるたびに各プリンタ固有の識別情報を順次登録する登録手段と、前記操作手段を介したプリンタの印刷操作履歴を記憶可能な記憶手段と、前記操作手段及び前記記憶手段を制御する制御手段と、を有する操作端末に備えられた前記制御手段に対し、
前記操作手段を介した印刷指示の入力があったかどうかを判定する指示判定手順と、
前記指示判定手順で前記印刷指示の入力があったと判定された場合に、前記登録手段に登録されている前記識別情報が複数あるか否かを判定する識別情報判定手順と、
前記識別情報判定手順で前記識別情報が複数あると判定された場合に、前記記憶手段に最新の印刷操作履歴が記憶された1つの第1プリンタに向けて前記通信手段を介した情報送受信を試行し、前記第1プリンタと情報送受信可能であるか否かを判定する第1プリンタ判定手順と、
前記第1プリンタ判定手順で前記第1プリンタと情報送受信可能であると判定された場合に、前記印刷指示の入力に対応付けられた所望の印刷データを、前記通信手段を介して当該第1プリンタへ送信する第1印刷データ送信手順と、
を実行させるための、印刷処理プログラム。
【請求項2】
請求項1記載の印刷処理プログラムにおいて、
前記制御手段に対し、さらに、
前記第1プリンタ判定手順で前記第1プリンタと情報送受信可能でないと判定された場合に、前記登録手段に前記識別情報が登録された、前記第1プリンタ以外の少なくとも1つの第2プリンタに向けて前記通信手段を介した情報送受信を順次試行し、各第2プリンタと情報送受信可能であるか否かを判定する第2プリンタ判定手順と、
前記第2プリンタ判定手順で順次行われた前記情報送受信によって1つの前記第2プリンタと情報送受信可能であると判定された場合に、前記印刷指示の入力に対応付けられた所望の印刷データを、前記通信手段を介して当該1つの第2プリンタへ送信する第2印刷データ送信手順と、
を実行させるための、印刷処理プログラム。
【請求項3】
請求項2記載の印刷処理プログラムにおいて、
前記第2印刷データ送信手順では、
前記第2プリンタ判定手順で順次行われた前記情報送受信によって最初に情報送受信可能であると判定された1つの前記第2プリンタに対し、前記所望の印刷データを送信する
ことを特徴とする印刷処理プログラム。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の印刷処理プログラムにおいて、
前記登録手段は、各プリンタの前記識別情報としての各プリンタのアドレス情報を登録しており、
前記第1又は第2プリンタ判定手順では、
前記登録手段により登録された前記第1又は第2プリンタの前記アドレス情報を用いて当該第1又は第2プリンタを特定しつつ、前記情報送受信を試行する
ことを特徴とする印刷処理プログラム。
【請求項5】
少なくとも1つのプリンタに対し無線通信を行うための通信手段と、操作者が所望の操作を実行可能な操作手段と、プリンタが新規に接続され前記通信手段により無線通信が行われるたびに各プリンタ固有の識別情報を順次登録する登録手段と、前記操作手段を介したプリンタの印刷操作履歴を記憶可能な記憶手段と、を有する操作端末が実行する、印刷処理方法であって、
前記操作手段を介した印刷指示の入力があったかどうかを判定する指示判定手順と、
前記指示判定手順で前記印刷指示の入力があったと判定された場合に、前記登録手段に登録されている前記識別情報が複数あるか否かを判定する識別情報判定手順と、
前記識別情報判定手順で前記識別情報が複数あると判定された場合に、前記記憶手段に最新の印刷操作履歴が記憶された1つの第1プリンタに向けて前記通信手段を介した情報送受信を試行し、前記第1プリンタと情報送受信可能であるか否かを判定する第1プリンタ判定手順と、
前記第1プリンタ判定手順で前記第1プリンタと情報送受信可能であると判定された場合に、前記印刷指示の入力に対応付けられた所望の印刷データを、前記通信手段を介して当該第1プリンタへ送信する第1印刷データ送信手順と、
を有することを特徴とする印刷処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−73571(P2013−73571A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214192(P2011−214192)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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