説明

印刷制御プログラム、印刷制御装置及び印刷システム

【課題】印刷工程におけるダウンタイムを低減して業務効率を向上できる印刷制御プログラム、印刷制御装置及び印刷システムを提供することを課題とする。
【解決手段】コンピュータ22を、プリンタ装置24又はデバイス装置25に装着されている用紙サイズを取得するプリンタ制御手段、装着されている用紙サイズ、及び、作業者が印刷出力物を生成するために指定した印刷条件に含まれる印刷を行う用紙サイズが合致するか判定する印刷条件制御処理手段、判定結果が合致しない印刷ジョブの場合、装着されている用紙の断裁によって印刷を行う用紙サイズを生成可能であれば、装着されている用紙に、印刷を行う用紙サイズに適したレイアウトで印刷出力物の描画データを配置し、印刷後に前記レイアウトに沿った断裁処理を行い、印刷出力物を生成させる全体制御手段として機能させる印刷制御プログラムにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷制御プログラム、印刷制御装置及び印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、商業印刷業界にはPOD(Print On Demand )と呼ばれる、比較的小ロットの印刷物を短納期で顧客に納品するといったPOD市場が出現している。POD市場では複数の顧客からの受注が発生することが多い。結果としてPOD市場では印刷業者に入稿される印刷物や、印刷出力物の印刷条件などが多岐にわたることが多い。このような印刷条件などが多岐にわたる状況下で利益を産み出す為には、業務効率の向上が必要である。
【0003】
業務効率の向上に繋がる1つ目の施策としては、印刷工程におけるダウンタイムの低減がある。ダウンタイムの一例としては以下のものがある。印刷業者は顧客の要望に従ってプリプレス作業を実施し、印刷処理を行う。しかし、プリプレス作業で指定した印刷条件と実際にプリンタ装置に設定されている諸条件が合致しない場合は、印刷ジョブを投入してもエラーが発生し、印刷できない。この場合、印刷業者はプリプレス作業で指定した印刷条件、もしくはプリンタ装置に設定されている条件のいずれかを変更し、両者を一致させることでエラー状態を解除し、印刷処理を行うことができる。
【0004】
このようにエラーが発生すると、プリプレス作業で指定した印刷条件、もしくはプリンタ装置に設定されている条件のいずれかの条件を変更しない限り印刷処理が中断しているので、印刷現場ではダウンタイムが発生する。更に言えば、エラー発生を作業者が認識しない程、ダウンタイムは長くなる。
【0005】
ダウンタイムが発生するケースの具体例としては、例えば顧客がA4サイズの印刷物を要望し、作業者がA4サイズの印刷物をプリプレス作業で指定し、プリンタ装置に装着されている用紙サイズがA3サイズである場合に、用紙サイズが合致せず、印刷処理が中断する。
【0006】
更に、作業者が一人であり、且つプリプレス作業の現場とプリンタ装置の設置場所とが離れている場合、作業者は用紙サイズが合致していないことに事前に気付かず、エラー通知が行われて初めて用紙サイズが合致していないことに気付くので、ダウンタイムが更に長くなる。
【0007】
上記ケースではプリンタ装置に装着されている用紙サイズをA3サイズからA4サイズに変更し、用紙サイズを合致させて印刷処理を再開させるのが一般的であるが、プリプレス作業の現場とプリンタ装置の設置場所とが離れていると、移動時間が長くなり、プリンタ装置の用紙交換作業に時間が掛かる。また、交換すべきA4サイズの用紙が印刷現場に無い場合はA4サイズの用紙を発注しない限り、印刷処理を行えない。
【0008】
上記ケースでは、顧客が要望するA4サイズの印刷データの2ページ分を、A3サイズの用紙1枚に印刷した後、A3サイズの用紙の中央部分で断裁することにより、A4サイズの印刷物を生成できる。
【0009】
印刷処理に着目して見ると、上記ケースでは、プリプレス作業においてA4サイズの2ページ分の印刷データをA3サイズの用紙1枚に2Upでレイアウトし、A3サイズの用紙への印刷設定を行い、更に印刷後の用紙の中央部分で断裁を行う設定をして印刷ジョブを生成し、プリンタ装置へ送信する。
【0010】
また、上記ケースでは、プリンタ装置にA3サイズの用紙が装着されている状態であるため、A3サイズの用紙への印刷設定がなされている印刷ジョブを受信しても、用紙サイズが合致しているので、エラーが発生することなく印刷処理を行うことができる。
【0011】
上記ケースでは、A3サイズの用紙に印刷した後、プリンタ装置に接続されている断裁機により用紙の中央部分で断裁し、A4サイズの用紙2枚分の印刷物を生成することができる。その後、作業者はA4サイズの用紙2枚分の印刷物を意図した順で重ね合わせればよい。このような連続作業により、顧客が要望するA4サイズの印刷物はダウンタイムが発生することなく生成される。
【0012】
上記ケースでは、A4サイズ、2ページの印刷データの片面印刷を一例として説明したが、用紙の表裏にそれぞれレイアウトするページを考慮すれば、両面印刷においても上記した印刷処理手順で行うことができる。
【0013】
A3サイズの用紙への印刷が複数ページになるケースでは、上記した印刷処理手順で行うと、A3サイズの用紙に全ページを印刷後、全てのA3サイズの用紙の中央部分での断裁を一度に行い、断裁後のA4サイズの印刷物をまとめて重ね合わせる印刷処理手順が最も作業効率が良いと言える。しかし、上記ケースでは、A3サイズの用紙にレイアウトするA4サイズの印刷データのページ配置を考慮する必要がある。
【0014】
単に1ページ目と2ページ目をA3サイズの用紙にレイアウトしたのであれば、断裁後の印刷物の重ね合わせを全ページまとめて行うと、最終的には期待したページ順で印刷物が生成されないことが起きうる。この為、印刷物の重ね合わせ後のページ順を考慮してA3サイズの用紙にレイアウトする必要がある。
【0015】
なお、異なる原稿を同一用紙上に複数枚面付けして印刷する多面印刷という印刷方法が存在し、同一用紙上に異なる原稿を面付けして印刷後、断裁機によって断裁した後で重ねることにより原稿の順番がそろうように面付けを行うことは、既に知られている(例えば特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、印刷工程では断裁を考慮に入れたレイアウト設定やページ順序の変更が正しく実施された印刷ジョブが生成されたとしても、印刷ジョブの用紙サイズとプリンタ装置に装着された用紙サイズとが合致しなければ、結局、エラーが発生する。エラーが発生すれば、印刷処理が中断し、印刷工程におけるダウンタイムは低減できず、業務効率を向上できないという問題があった。
【0017】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、印刷工程におけるダウンタイムを低減して業務効率を向上できる印刷制御プログラム、印刷制御装置及び印刷システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記した課題を解決するために、本発明は、コンピュータを、プリンタ装置又はデバイス装置に装着されている用紙サイズを取得するプリンタ制御手段、前記プリンタ装置又はデバイス装置に装着されている用紙サイズ、及び、作業者が印刷出力物を生成するために指定した印刷条件に含まれる印刷を行う用紙サイズが合致するか判定する印刷条件制御処理手段、前記判定結果が合致しない印刷ジョブの場合、前記装着されている用紙の断裁によって前記印刷を行う用紙サイズを生成可能であれば、前記装着されている用紙に、前記印刷を行う用紙サイズに適したレイアウトで前記印刷出力物の描画データを配置し、印刷後に前記レイアウトに沿った断裁処理を行い、前記印刷出力物を生成させる全体制御手段として機能させる印刷制御プログラムであることを特徴とする。
【0019】
なお、本発明の構成要素、表現または構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、データ構造などに適用したものも本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、印刷工程におけるダウンタイムを低減して業務効率を向上できる
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施例の印刷システムを含むシステムの一例の構成図である。
【図2】PCの一例のハードウェア構成図である。
【図3】印刷制御システムの一例について説明する為の処理ブロック図である。
【図4】印刷処理時の印刷制御システムの処理の流れを説明する一例の図である。
【図5】顧客が要望する印刷出力物を生成するまでの処理の流れを表した一例のシーケンス図(1/6)である。
【図6】顧客が要望する印刷出力物を生成するまでの処理の流れを表した一例のシーケンス図(2/6)である。
【図7】顧客が要望する印刷出力物を生成するまでの処理の流れを表した一例のシーケンス図(3/6)である。
【図8】顧客が要望する印刷出力物を生成するまでの処理の流れを表した一例のシーケンス図(4/6)である。
【図9】顧客が要望する印刷出力物を生成するまでの処理の流れを表した一例のシーケンス図(5/6)である。
【図10】顧客が要望する印刷出力物を生成するまでの処理の流れを表した一例のシーケンス図(6/6)である。
【図11】断裁生成可能となる用紙サイズの組合せの一例を表したテーブルである。
【図12】ジョブ生成処理部の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図13】生成された印刷ジョブの一例の構成図である。
【図14】印刷出力物の一例のイメージ図である。
【図15】印刷出力物の一例のイメージ図である。
【図16】用紙交換ジョブが無い場合の一般的なキューの状態を示す説明図である。
【図17】好ましいキューの状態を示す説明図である。
【図18】用紙交換ジョブが有る場合のキューの状態を示す説明図である。
【図19】印刷ジョブが新規に投入された場合のキューの状態を示す説明図である。
【図20】用紙交換ジョブを使用して作業者が印刷ジョブを印刷させる時の印刷システムの処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明を実施するための形態を、以下の実施例に基づき図面を参照しつつ説明していく。
【0023】
(概要)
本実施例の印刷システムはプリンタ装置に装着されている用紙サイズと、作業者が印刷物の生成の為に指定した用紙サイズとが合致しない印刷ジョブによる印刷に際して、以下の特徴を有する。
【0024】
本実施例の印刷システムは、プリンタ装置に装着している用紙の断裁によって作業者が印刷物の生成の為に指定した用紙サイズを生成できる場合は、プリンタ装置に装着している用紙に、画像データのサイズに適したレイアウト及び印刷を行い、印刷後にレイアウトに沿った断裁を行う。また、本実施例の印刷システムは断裁後の用紙をまとめて重ね合わせたときに正しいページ順となるようにレイアウトを行っておく。したがって、本実施例の印刷システムでは断裁後の用紙をまとめて重ね合わせることにより、指定した用紙サイズ、且つ正しいページ順の印刷物を生成できる。
【0025】
また、本実施例の印刷システムは、プリンタ装置に装着している用紙の断裁によって作業者が印刷物の生成の為に指定した用紙サイズを生成できない場合は、作業者に用紙交換を促す用紙交換ジョブを生成し、ジョブ列の任意の位置に割り込ませることで、用紙交換作業を任意のタイミングで実施させることができる。
【0026】
本実施例の印刷システムは、第1の用紙サイズから第2の用紙サイズへの用紙交換を作業者に促す用紙交換ジョブを生成し、ジョブ列の中の一ジョブとして処理することで、以下のように用紙交換作業を低減できる。
【0027】
用紙交換ジョブはジョブの扱いとなる為、キューイングされたジョブ列の中の任意の位置に割り込ませることができる。用紙交換ジョブは、用紙交換前後の印刷ジョブが印刷する用紙サイズを情報として保持している。
【0028】
用紙交換ジョブは、作業者に用紙交換を行わせる為に実行されるジョブである。用紙交換ジョブの前にキューイングされている印刷ジョブ群が印刷する用紙サイズと、用紙交換ジョブの後にキューイングされている印刷ジョブ群が印刷する用紙サイズとが異なっていても、用紙交換ジョブを実行することにより用紙サイズの交換が行われ、用紙交換ジョブの後にキューイングされている印刷ジョブ群の印刷する用紙サイズとプリンタ装置に装着されている用紙サイズとは合致する。また、用紙交換ジョブはジョブ列の中の任意の位置に割り込ませることができるため、複数の印刷ジョブを印刷する場合において、予め用紙サイズの異なる印刷ジョブを印刷することが分かっているときは、用紙サイズの交換が発生する印刷ジョブの前に用紙交換ジョブを割り込ませることで、作業者に用紙交換を行わせることができる。
【0029】
なお、用紙交換ジョブは本来の印刷ジョブとは異なり、プリンタ装置に装着されている用紙サイズとのアンマッチが発生していても、ジョブ列にキューイングできるように制御される。さらに、印刷ジョブはプリンタ装置に装着されている用紙サイズとのアンマッチが発生していても、用紙交換ジョブが保持する用紙交換後の用紙サイズと合致していればジョブ列にキューイングできるように制御される。
【0030】
用紙交換ジョブの実行により用紙交換が行われたあと、本実施例の印刷システムはプリンタ装置に装着している用紙サイズと、用紙交換ジョブの後の印刷ジョブが印刷する用紙サイズとが合致していれば、プリンタ装置に装着している用紙に印刷を行う。
【0031】
また、用紙交換ジョブの実行により用紙交換が行われたあと、本実施例の印刷システムはプリンタ装置に装着している用紙サイズを断裁することによって、用紙交換ジョブの後の印刷ジョブが印刷する用紙サイズと合致する場合は、プリンタ装置に装着している用紙に画像データのサイズに適したレイアウト及び印刷を行い、印刷後にレイアウトに沿った断裁を行う。
【0032】
本実施例の印刷システムは上記特徴により、印刷工程におけるダウンタイムや作業の停止時間を削減でき、業務効率を向上できる。
【0033】
(印刷システムの全体構成)
図1は本実施例の印刷システムを含むシステムの一例の構成図である。図1のシステム1は顧客PC10と印刷システム20とがインターネット等のネットワーク30を介して接続されている。顧客PC10は顧客が利用する装置である。印刷システム20は印刷業者などの作業者が利用するシステムである。
【0034】
また、印刷システム20は管理サーバ21、印刷制御システム搭載サーバ22、クライアントPC23、プリンタ装置24、デバイス装置25、LANなどのネットワーク26を有する。管理サーバ21、印刷制御システム搭載サーバ22、1つ以上のクライアントPC23、プリンタ装置24はネットワーク26を介して接続されている。デバイス装置25はプリンタ装置24と接続されている。デバイス装置25はネットワーク26に接続されていてもよい。
【0035】
管理サーバ21は、顧客からの印刷物の入稿管理や印刷条件を定義したジョブチケットとも呼ばれるJDF(Job Definition Format )の生成を行う。なお、管理サーバ21はMIS(Management Information System )と呼ばれるサーバと同等の機能を有していてもよい。
【0036】
印刷制御システム搭載サーバ22は印刷制御システムを搭載する。また、クライアントPC23は作業者が印刷制御システムの持つ機能を操作して、印刷作業を行う為の装置である。プリンタ装置24は印刷ジョブを印刷し、印刷出力物を生成する装置である。プリンタ装置24はネットワーク26に1つ以上、接続することができる。デバイス装置25は印刷処理や後工程処理で必要となる装置である。
【0037】
顧客は顧客PC10を操作し、ネットワーク30を介して、印刷物の印刷データ及び印刷条件を入稿データとして管理サーバ21に送信し、印刷依頼を行う。管理サーバ21は顧客PC10からの印刷依頼を受けて、入稿データの管理、印刷作業の見積り、印刷出力物の発注納期の管理、印刷出力物の納品処理といった管理業務を行う。また、管理サーバ21はJDF生成アプリケーション等を利用して、顧客が印刷依頼した印刷出力物を生成する為に必要となる印刷条件からJDFの生成を行う。
【0038】
作業者は印刷制御システムの持つ機能を操作し、印刷制御システム搭載サーバ22に管理サーバ21からJDF、印刷データを取得させる。印刷制御システム搭載サーバ22は取得したJDF、印刷データから、後述のような制御により印刷出力物の生成を行う。
【0039】
(印刷制御システム搭載サーバ22のハードウェア構成)
印刷制御システム搭載サーバ22は例えば図2に示すようなハードウェア構成のPCにより実現される。図2はPCの一例のハードウェア構成図である。PC40はバス49で相互に接続されている入力装置41、出力装置42、記録媒体読取装置43、補助記憶装置44、主記憶装置45、演算処理装置46及びインタフェース装置47を含む。
【0040】
入力装置41はキーボードやマウス等である。入力装置41は各種信号を入力するために用いられる。出力装置42はディスプレイ装置等である。出力装置42は各種ウインドウやデータ等を表示するために用いられる。インタフェース装置47は、モデム,LANカード等である。インタフェース装置47は、ネットワーク26に接続するために用いられる。
【0041】
印刷制御システム搭載サーバ22に搭載される印刷制御プログラムは、PC40を制御する各種プログラムの少なくとも一部である。印刷制御プログラムは例えば記録媒体48の配布やネットワーク26等からのダウンロードなどによって提供される。
【0042】
記録媒体48はCD−ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等の様に情報を光学的,電気的或いは磁気的に記録する記録媒体、ROM、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記録媒体を用いることができる。
【0043】
印刷制御プログラムを記録した記録媒体48が記録媒体読取装置43にセットされることにより、印刷制御プログラムは記録媒体48から記録媒体読取装置43を介して補助記憶装置44にインストールされる。ネットワーク26等からダウンロードされた印刷制御プログラムはインタフェース装置47を介して補助記憶装置44にインストールされる。
【0044】
補助記憶装置44は印刷制御プログラム、必要なファイル、データ等を格納する。主記憶装置45は印刷制御プログラムの起動時に、補助記憶装置44から印刷制御プログラムを読み出して格納する。そして、演算処理装置46は主記憶装置45に格納された印刷制御プログラムに従って、後述するような各種処理を実現している。
【0045】
(機能構成)
図1に示すような印刷システム20の場合、印刷制御システム搭載サーバ22は例えば図3に示す処理ブロックで実現される。図3は印刷制御システムの一例について説明する為の処理ブロック図である。
【0046】
印刷制御システム搭載サーバ22は印刷制御プログラムが搭載されている。印刷制御システム搭載サーバ22は印刷制御プログラムを実行することで、全体制御部51、制御処理部52を実現する。また、クライアントPC23は入力処理部53を実現する。印刷制御システムは、全体制御部51、制御処理部52、入力処理部53を含む。
【0047】
制御処理部52は、ジョブチケット制御部61、ワークフロー制御部62、プリンタ制御部63、ジョブ制御処理部64、プリプレス制御部65を含む。入力処理部53とプリプレス制御部65とは、合わせてプリプレス処理部54となる。
【0048】
ジョブチケット制御部61は、管理サーバ21が生成したJDFを受け取る。ジョブチケット制御部61はJDFにXML(Extensible Markup Language)形式で記述してある内容を印刷工程毎に解析する。また、ジョブチケット制御部61は印刷処理手順に変更が生じた場合に、変更内容に合致するようにJDFのXML記述を編集するといった、JDFの解析、編集作業を行う。
【0049】
ワークフロー制御部62は、ジョブチケット制御部61によるJDFの解析結果に基づいて、印刷物の入稿から印刷出力物の生成を行うまでの印刷工程毎のワークフローの生成を行う。また、ワークフロー制御部62は印刷処理手順に変更が生じた場合に、ワークフローの編集制御を行う。また、ワークフロー制御部62は各印刷工程に対して動作の開始の指示を行う。さらに、ワークフロー制御部62は、印刷工程毎の進捗状態などの工程管理や、印刷工程毎の状態表示を行う。
【0050】
プリプレス制御部65は、印刷物の画像イメージデータ(印刷データ)の描画処理を行なったり、入力処理部53から作業者が入稿された印刷物に対して行う色修正、レイアウト修正、綴じ位置修正といったプリプレス作業を制御したり、前述した修正作業により修正された印刷イメージを入力処理部53に表示させたり、修正された印刷イメージから印刷ジョブを生成したりする。なお、プリプレス制御部65と入力処理部53とは、併せて同一のサーバ上に構築してもよい。
【0051】
ジョブ制御処理部64は生成された印刷ジョブに対して、プリンタ装置24への割り当て、複数の印刷ジョブを印刷するときのキューイング制御、各印刷ジョブの状態制御、並びに用紙交換ジョブの制御を行う。
【0052】
プリンタ装置24への割り当て、各印刷ジョブの状態制御についてはプリンタ制御部63との通信を行い、印刷可能なプリンタ装置24の決定、並びに例えば印刷ジョブの印刷が完了したか、といった印刷ジョブの状態取得を行う。また、キューイング制御は、後から投入された印刷ジョブを前に投入された印刷ジョブの後ろにキューイングして、複数の印刷ジョブを連続して印刷できるようにする。さらに、ジョブ制御処理部64は現在印刷中の印刷ジョブの印刷状態を取得し、印刷が完了したら次の印刷ジョブをプリンタ制御部63へ送信する。
【0053】
プリンタ制御部63は、JDFに定義されている印刷条件でプリンタ装置24を制御したり、送信された印刷ジョブを印刷する処理を行ったりする。また、プリンタ制御部63はネットワーク26に接続されたプリンタ装置24や、そのプリンタ装置24に接続されているデバイス装置25の動作情報の取得処理を行う。
【0054】
具体的に、プリンタ制御部63はプリンタ装置24の状態取得を行い、現在、プリンタ装置24が印刷可能であるか否かの状態を取得し、ジョブ制御処理部64などの関連する処理部に返信する。また、プリンタ制御部63はプリンタ装置24で印刷中の印刷ジョブの状態を取得し、関連する処理部に返信する。プリンタ装置24の状態取得は、エンジンインタフェースによる通信により取得する方法が一般的に知られている。また印刷ジョブの状態取得は、MIB(Management Information Base)による取得が知られている。
【0055】
全体制御部51は、入力処理部53、ジョブチケット制御部61、ワークフロー制御部62、プリンタ制御部63、ジョブ制御処理部64、プリプレス制御部65に対して動作指示を行う。全体制御部51は、入力処理部53、ジョブチケット制御部61、ワークフロー制御部62、プリンタ制御部63、ジョブ制御処理部64、プリプレス制御部65を構成する各サブ制御部群に対して動作指示を行う。各サブ制御部群は、この動作指示に応じて、各サブ制御部間で必要情報の送受信、ならびに動作指示を行う。各サブ制御部群の詳細については後述する。
【0056】
(処理の流れ)
図4は印刷処理時の印刷制御システムの処理の流れを説明する一例の図である。各処理を行う動作指示は、全体制御部51が行う。また、全体制御部51は関連する各処理部へ動作指示を行う為、印刷システム管理情報を保持している。
【0057】
ここで言う印刷システム管理情報とは、印刷システム20を構築した時に存在するデバイス群を管理しているものである。具体的に印刷システム管理情報はカラー印刷処理を行う時に使用する複数のプリンタ装置24のリスト、同様にモノクロ印刷処理を行う時に使用する複数のプリンタ装置24のリスト、あるいは、ネットワーク26を介して接続しているクライアントPC23等のホストの数、それらホストに組み込まれた入力処理部53等の各処理部の存在場所、等である。
【0058】
管理サーバ21は、顧客から印刷条件の指示と印刷物の入稿を受けると、JDF生成アプリケーション等を利用してJDFを生成する。顧客による印刷条件の指示は、印刷工程毎に指定できる。したがって、JDFには印刷工程毎に印刷条件が定義される。JDFを生成したら、管理サーバ21は印刷制御システムの構成要素であるジョブチケット制御部61にJDFを送付する。
【0059】
なお、管理サーバ21はMISと呼ばれるサーバが行っている管理機能を持たせることも可能である。また、管理サーバ21は管理機能とJDF生成機能とを同一サーバ内に持たせているが、別のサーバに処理機能を分散させて持たせてもよい。
【0060】
ジョブチケット制御部61は、ジョブチケット解析処理部101とジョブチケット編集処理部102とを含む。ジョブチケット解析処理部101は、管理サーバ21から送信されたJDFに定義された印刷工程毎の印刷条件を解析し、印刷システム20において印刷可能であるか判定したり、解析結果からワークフロー制御部62がワークフローを生成する為に必要な定義情報を保持したりする処理を行う。
【0061】
ジョブチケット編集処理部102は、プリプレス工程や印刷工程、後処理工程などにおいて、作業者による印刷条件の変更があった場合、変更した印刷条件に合致するようにJDFに定義されている内容を編集したり、その後、ワークフローを生成にする為に必要な定義情報を編集したりする処理を行う。
【0062】
ワークフロー制御部62は、ワークフロー生成処理部103とワークフロー動作制御部104とを含む。ワークフロー生成処理部103は、JDFに定義されている内容に基づいて、印刷物の入稿から印刷出力物の生成までの作業工程を連結し、ワークフローを生成する。ワークフロー動作制御部104は印刷工程毎の状態管理と印刷工程毎の状態を作業者に対して通知する処理とを行う。
【0063】
プリプレス制御部65は、ジョブ生成処理部105と印刷条件制御処理部106とデバイス情報処理部107とを含む。なお、図4においては管理サーバ21からプリプレス制御部65への印刷物の印刷データの送受信の処理を省略している。プリプレス制御部65では顧客が入稿した印刷物の印刷データを、ページ単位で描画データに置き換える処理を行なう。また、プリプレス制御部65は、後述する印刷条件入力処理部108からの印刷条件の変更指示に基づき、指定されたレイアウトで用紙上に描画データを印刷するように描画データの編集を行う。
【0064】
ジョブ生成処理部105は、描画データに、プリンタ装置24で印刷処理を実施する為の制御情報を、プリンタ装置24が処理できるデータ形式に置き換えた後に連結して印刷ジョブを生成する処理を行う。
【0065】
デバイス情報処理部107は、プリンタ制御部63に対して印刷システム20に接続されていて、顧客が希望する印刷条件で印刷出力物を生成するのに必要となるプリンタ装置24ならびにデバイス装置25の情報を取得するデバイス情報要求を行う。ここで言うデバイス情報とは、印刷出力物を生成する時に使用する個々のプリンタ装置24ならびにデバイス装置25の情報である。デバイス情報の具体例としては、後工程処理で必要となる断裁機の搭載有無などが該当する。
【0066】
印刷条件制御処理部106は、プリンタ装置24ならびにデバイス装置25のデバイス情報と、顧客が希望する印刷条件との比較を行い、顧客が希望する印刷条件の通りに印刷処理が実施できるかの判定を行う。
【0067】
入力処理部53は、印刷条件入力処理部108を含む。印刷条件入力処理部108は印刷条件制御処理部106が顧客の希望する印刷条件の通りに印刷処理が実施できるかの判定を実施した結果、印刷不可と判定した場合、作業者からの印刷条件の変更指示を受け付ける。作業者による印刷条件の変更指示については後述する。
【0068】
ジョブ制御処理部64は、用紙交換ジョブ制御部109と、キュー制御処理部110とを含む。用紙交換ジョブ制御部109は、作業者に用紙交換を促す用紙交換ジョブを生成する。用紙交換ジョブは、用紙交換前の用紙サイズの情報、ならびに用紙交換後の用紙サイズの情報を保持している。用紙交換前後の用紙サイズは作業者が任意に設定する。作業者は印刷システム20が持つユーザインタフェースから用紙交換ジョブの生成、ならびに用紙サイズの指定を行う。用紙交換ジョブの詳細については後述する。
【0069】
キュー制御処理部110は、後から投入された印刷ジョブを前に投入された印刷ジョブの後ろにキューイングする処理が基本であるが、キューイングされている印刷ジョブの移動や割り込みといったジョブ制御も実現可能である。キューイング制御は、ジョブ生成処理部105から送信された印刷ジョブだけではなく、用紙交換ジョブについても同様の制御が可能である。
【0070】
プリンタ制御部63は、プリンタ動作制御部111と、デバイス情報制御部112とを含む。プリンタ動作制御部111は、印刷ジョブを受け取り、JDFに定義された印刷条件で印刷ジョブを印刷するようにプリンタ装置24の制御を行う。具体的に、プリンタ動作制御部111はJDFに定義された印刷条件により片面印刷、もしくは両面印刷を行うようにプリンタ装置24の動作の制御、印刷処理中に障害が発生した場合のリカバリ処理などを行う。デバイス情報制御部112は、プリンタ装置24やプリンタ装置24に接続されているデバイス装置25のデバイス情報を取得したり、デバイス情報を任意の状態に変更する制御を行ったりする。具体例として、デバイス情報制御部112は例えば後工程処理における用紙の断裁位置を任意に設定できる。
【0071】
図5〜図10は、顧客が要望する印刷出力物を生成するまでの処理の流れを表した一例のシーケンス図である。管理サーバ21は顧客から印刷条件の指示と印刷物の入稿とを受け付けると、顧客からの印刷条件(後工程処理を含む)及び印刷物の印刷データに基づいてJDFを生成する。JDFに定義される顧客の要望に伴う印刷条件としては、データサイズ=A4、用紙サイズ=A4、印刷モード=両面、用紙とじ有無=有り、とじ位置=用紙左長辺、等がある。
【0072】
管理サーバ21は、JDFを生成すると、全体制御部51に対して印刷作業の指示を行うと共に、ジョブチケット制御部61へ生成したJDFを送付する。全体制御部51は管理サーバ21から印刷作業の指示を受けると、ステップS1で処理を開始する。
【0073】
ステップS2において、全体制御部51は、ワークフロー制御部62へワークフロー生成指示を行う。ステップS3において、ワークフロー制御部62はジョブチケット制御部61によるJDFの解析結果に基づいて、JDFの属性情報から、顧客が要望する印刷条件で印刷ジョブを印刷する為のワークフローを生成する。ワークフロー制御部62は生成したワークフローの生成結果を全体制御部51に送信する。
【0074】
ステップS4において、全体制御部51はジョブ生成処理部105へジョブデータ(印刷ジョブ)の生成指示を行う。ステップS5において、ジョブ生成処理部105は、全ページ分の描画データからジョブデータを生成する処理を行う。ジョブ生成処理部105はジョブデータを生成すると、ジョブデータの生成結果を全体制御部51へ送信する。
【0075】
ステップS6において、全体制御部51は印刷条件制御処理部106に対し、印刷条件とプリンタ装置24の状態(デバイス情報)との比較を行い、生成した印刷ジョブが印刷可能であるか判定する指示を行う。
【0076】
ステップS7において、印刷条件制御処理部106は、全体制御部51から判定する指示を受けると、デバイス情報処理部107へ印刷条件に関わるプリンタ装置24ならびにデバイス装置25の状態(デバイス情報)を取得する要求を行うと共に、印刷条件に関わるデバイス情報の属性を送付する。ここで言う印刷条件に関わるデバイス情報の属性とは具体的に、トレイ1の装着有無、トレイ1の用紙サイズ、断裁装置の装着有無、等が該当する。
【0077】
ステップS8において、デバイス情報処理部107はデバイス情報を取得する要求を受けるとプリンタ制御部63へデバイス情報の取得要求を行う。ステップS9において、プリンタ制御部63はデバイス情報の取得要求を受けると、プリンタ装置24やデバイス装置25のデバイス情報の取得処理を行う。なお、デバイス情報の取得方法としてはプリンタ装置24やデバイス装置25とのインタフェースに基づいてデバイス情報コマンドを発行し、その応答によりデバイス情報を取得したり、SNMPによりデバイス情報を取得したりする方法が一般的に知られている。プリンタ制御部63は取得したデバイス情報をデバイス情報処理部107に送付する。
【0078】
ステップS10において、デバイス情報処理部107は受信したデバイス情報を印刷条件制御処理部106へ送付する。ステップS11において、印刷条件制御処理部106はデバイス情報処理部107より送付されたデバイス情報と、印刷条件とが合致するかの判定を印刷属性(用紙サイズなど)及び属性値(A4など)の比較により行う。印刷条件制御処理部106は判定を行った後、全体制御部51へ判定結果を送付する。
【0079】
ステップS12において、全体制御部51はデバイス情報と印刷条件とが合致するかの判定結果から、印刷可能であり、印刷処理を継続してよいかの判定を行う。全体制御部51は判定結果から、印刷可能であると判定した場合、ジョブ生成処理部105へジョブデータの送付指示を行う。
【0080】
一方、印刷不可能であると判定した場合、全体制御部51はステップS13において印刷条件制御処理部106へ印刷可能となる印刷属性の決定指示を行う。ステップS14において、印刷条件制御処理部106は印刷可能な印刷属性の組合せ情報から、断裁生成可能となる印刷属性の組合せの有無を決定する。言い換えれば印刷条件制御処理部106は現在、プリンタ装置24に装着されている用紙を断裁することにより印刷条件に含まれる用紙サイズを生成可能であるかを判定する。
【0081】
印刷条件制御処理部106は例えば図11に示すようなテーブルを用いて断裁生成可能となる用紙サイズを判定する。図11は断裁生成可能となる用紙サイズの組合せの一例を表したテーブルである。図11のテーブルは断裁前の用紙サイズと、断裁により生成できる用紙サイズとを対応付けている。図11のテーブルは例えばプリンタ装置24に装着されているA3サイズの用紙から断裁によりA4サイズ又はA5サイズの用紙を生成できることを表している。印刷条件制御処理部106は図11のテーブルを利用し、印刷可能な用紙サイズを断裁することにより生成できる用紙サイズを判定できる。
【0082】
言い換えれば、印刷条件制御処理部106は印刷可能な用紙サイズの組合せ情報及び図11のテーブルを参照することで、現在、プリンタ装置24に装着されている用紙を断裁することにより、印刷条件に含まれる用紙サイズを生成可能であるか否かを判定する。
【0083】
また、ステップS15において、印刷条件制御処理部106は印刷可能な用紙情報を参照する。印刷条件制御処理部106は印刷可能な用紙情報から、用紙交換によって印刷可能となる印刷属性の有無を決定する。例えばプリンタ装置24に現在、装着されていない用紙サイズであっても、用紙交換によってプリンタ装置24に装着されることで印刷可能な用紙サイズは、印刷可能な印刷属性と判定される。印刷条件制御処理部106は断裁生成可能となる印刷属性の組合せ、又は用紙交換によって印刷可能となる印刷属性を、印刷可能な印刷属性として全体制御部51に報告する。
【0084】
ステップS16において、全体制御部51は断裁生成可能となる印刷属性の組合せがあるか否かを判定する。断裁生成可能となる印刷属性の組合せが存在すれば、全体制御部51はステップS17において、印刷条件制御処理部106へ断裁生成可能となる印刷属性の組合せによる印刷条件表示指示を行う。
【0085】
ステップS18において、印刷条件制御処理部106は断裁生成可能となる印刷属性の組合せによる印刷条件表示指示を受信すると、印刷条件入力処理部108へ印刷可能な印刷属性の組合せによる印刷条件表示指示を行う。また、ステップS19において、印刷条件制御処理部106は印刷可能な印刷属性の組合せ情報を印刷条件入力処理部108へ送付する。
【0086】
そして、ステップS20において、印刷条件入力処理部108は、印刷可能な印刷属性の組合せ情報を印刷条件の入力表示を行うクライアントPC23の画面上に表示する処理を行う。印刷条件の入力表示を行う画面上に印刷可能な印刷属性の組合せ情報を表示する方法としては、アプリケーションが持つグラフィカル・ユーザインタフェースを使用して画面表示処理を行う方法が一般的に知られている。
【0087】
ステップS16において、全体制御部51は断裁生成可能となる印刷属性の組合せが存在しなければ、ステップS21において、用紙交換によって印刷可能となる印刷属性があるか否かを判定する。
【0088】
用紙交換によって印刷可能となる印刷属性が存在すれば、全体制御部51はステップS22において、印刷条件制御処理部106へ用紙交換によって印刷可能となる印刷属性による印刷条件表示指示を行う。
【0089】
ステップS23において、印刷条件制御処理部106は用紙交換によって印刷可能となる印刷属性による印刷条件表示指示を受信すると、印刷条件入力処理部108へ用紙交換によって印刷可能となる印刷属性による印刷条件表示指示を行う。また、ステップS24において、印刷条件制御処理部106は印刷可能な印刷属性の用紙交換情報を印刷条件入力処理部108へ送付する。
【0090】
そして、ステップS25において、印刷条件入力処理部108は、印刷可能な印刷属性の用紙交換情報を印刷条件の入力表示を行うクライアントPC23の画面上に表示する処理を行う。ステップS21において、用紙交換によって印刷可能となる印刷属性が存在しなければ、全体制御部51はステップS26において印刷を中止する。
【0091】
ここでは印刷条件制御処理部106の処理の具体例を説明する。顧客はA4サイズで複数ページの印刷データを入稿し、用紙サイズ=A4、印刷モード=両面、とじ位置=用紙左長辺となる印刷物の生成を希望したとする。また、プリンタ装置24の設置場所にはA4サイズの用紙が無いものとする。また、プリンタ装置24にはA3サイズの用紙が装着されている状態であり、且つ断裁装置が装着されているものとする。
【0092】
このような状態において、印刷システム20は顧客が希望する印刷出力物を以下の印刷処理手順で生成する。印刷条件制御処理部106は、印刷可能となる印刷属性の決定指示を受信すると、印刷条件として受信済みのJDFの印刷属性及び属性値を参照する。説明に使用する具体例で記述すると、印刷条件として受信済みのJDFの印刷属性及び属性値は用紙サイズ=A4、印刷モード=両面、とじ位置=用紙左長辺、等の情報が該当する。
【0093】
次に、印刷条件制御処理部106は印刷条件として受信済みのJDFの印刷属性及び属性値と、送付されたデバイス情報群の印刷属性及び属性値との比較を行い、合致していない印刷条件を明確にすると共に、印刷可能となる印刷属性の組合せの決定を行う。
【0094】
具体例で記述すると、プリンタ装置24のデバイス情報は、用紙サイズ=A3、断裁装置=有り、といった印刷属性及び属性値を保持している。上記ケースでは、用紙サイズの属性値が合致していないので、印刷可能となる印刷属性の組合せについて考える。用紙サイズ=A3であり、且つ断裁装置を装着している状態である為、プリンタ装置24はA3サイズの用紙の長辺方向の中央部分で断裁してA4サイズの用紙2枚を生成できることが分かる。
【0095】
具体的には、A4サイズの2ページ分の描画データをA3サイズの用紙に2Upでレイアウト設定し、A3サイズの用紙に印刷後、A3サイズの用紙の長辺方向の中央部分で断裁してA4サイズの用紙2枚を生成すれば、顧客が要望する印刷条件に合った印刷出力物を生成できる。
【0096】
上記したように、用紙サイズの属性値が合致していない状態で、且つ断裁装置を装着している場合は用紙の断裁作業を加えることで印刷可能となる印刷条件と成り得る。印刷条件制御処理部106は、用紙サイズと断裁方法との組合せにより、印刷可能となる印刷属性の組合せの情報を保持している。
【0097】
印刷条件制御処理部106は、全体制御部51から印刷可能となる印刷属性の決定指示を受けた場合、印刷条件として受信済みのJDFの印刷属性及び属性値と、送付されたデバイス情報群の印刷属性及び属性値との比較を行い、印刷可能となる印刷属性の組合せの判定を行う。
【0098】
クライアントPC23の画面上に、断裁により印刷可能となる印刷属性の組合せの表示を行ったあと、印刷条件入力処理部108はステップS27において、作業者から印刷実行継続、もしくは印刷処理中止のいずれかの動作の入力を受け付ける。
【0099】
また、クライアントPC23の画面上に、用紙交換によって印刷可能となる印刷属性の表示を行ったあと、印刷条件入力処理部108はステップS28において、作業者から印刷実行継続、もしくは、印刷処理中止のいずれかの動作の入力を受け付ける。また、印刷条件入力処理部108は、作業者から用紙交換ジョブの挿入位置の指定も受け付ける。
【0100】
ステップS27において、作業者が印刷実行継続、もしくは印刷処理中止のいずれかの動作の入力を行ったら、印刷条件入力処理部108は、全体制御部51に入力を受け付けた印刷実行継続、もしくは印刷処理中止のいずれかの動作を報告する。ステップS29において、全体制御部51は印刷処理中止の動作の報告の場合、ステップS31において印刷処理の中止を判断する。そして、ステップS32において、全体制御部51は印刷処理を中止する。この場合、印刷出力物は生成しない。ステップS29において、全体制御部51は断裁生成による印刷実行継続の動作の報告の場合、ステップS33において、断裁による印刷処理を継続する。
【0101】
ステップS30において、作業者が印刷実行継続、もしくは、印刷処理中止のいずれかの動作の入力を行ったら、印刷条件入力処理部108は、全体制御部51に入力を受け付けた印刷実行継続、もしくは、印刷処理中止のいずれかの動作を報告する。ステップS30において、全体制御部51は印刷処理中止の動作の報告の場合、ステップS31において印刷処理の中止を判断する。そして、ステップS32において、全体制御部51は印刷処理を中止する。この場合、印刷出力物は生成しない。
【0102】
ステップS30において、全体制御部51は用紙交換による印刷実行継続の動作の報告の場合、ステップS34において、用紙交換による印刷処理を継続する。ステップS35において、全体制御部51はジョブ制御処理部64へ用紙交換によって印刷可能となる印刷属性(印刷可能な用紙交換条件)の用紙交換ジョブの生成指示を行う。
【0103】
ステップS36において、ジョブ制御処理部64は用紙交換ジョブの生成指示を受けると用紙交換ジョブ生成部109によって用紙交換ジョブを生成してキュー制御処理部110に渡す。ステップS37において、キュー制御処理部110は用紙交換ジョブ生成部109から渡された用紙交換ジョブをキューの指定された位置に配置したあと、全体制御部51に動作の結果を報告する。
【0104】
全体制御部51は動作の結果の報告を受けると、ステップS12に戻り、デバイス情報と印刷条件とが合致するかの判定結果から、印刷可能であり、印刷処理を継続してよいかの判定を再び行ったあと、ステップS12以降の処理を行う。
【0105】
ステップS33に続いてステップS38に進み、全体制御部51はジョブ生成処理部105へジョブデータ(印刷ジョブ)の再生成指示を行う。印刷ジョブの再生成指示を受けると、ジョブ生成処理部105はステップS39において、再生成された描画データから印刷ジョブを再生成する処理を行う。
【0106】
印刷ジョブの再生成が完了したら、ジョブ生成処理部105は、全体制御部51へ印刷ジョブを再生成する処理の完了を報告する。なお、図9のシーケンス図においては省略しているが、全体制御部51は印刷ジョブの再生成が完了したら、印刷条件制御処理部106へ印刷可能となる印刷属性の組合せを送付する指示を行う。印刷条件制御処理部106は印刷可能となる印刷属性の組合せを送付する指示を受けると、ジョブチケット編集処理部102へ印刷可能な印刷属性の組合せ情報を送付する。
【0107】
ジョブチケット編集処理部102は印刷可能な印刷属性の組合せ情報を受信すると全体制御部51へ印刷可能な印刷属性の組合せ情報の受信を報告する。印刷可能な印刷属性の組合せ情報の受信の報告を受けると、全体制御部51はジョブチケット編集処理部102へ印刷可能な印刷属性の組合せ情報から、JDFに定義されている印刷条件を変更する指示を行う。ジョブチケット編集処理部102は、JDFに定義されているXMLで記述されている印刷条件の内、関連する印刷条件の変更処理を行う。
【0108】
上記した具体例では、用紙サイズがA3、レイアウト設定が2Up、後工程処理として用紙断裁処理の追加、といった印刷条件が変更となる。ジョブチケット編集処理部102は印刷条件の変更処理が終了したら、再生成したJDFと印刷可能となる印刷属性の組合せ情報とをワークフロー制御部62へ送付する。ワークフロー制御部62は、再生成したJDFと印刷可能となる印刷属性の組合せ情報とを受信したら、全体制御部へ受信を報告する。
【0109】
ステップS40において、全体制御部51はワークフロー制御部62にワークフローの再生成指示を行う。ワークフロー制御部62は、受信したJDFと印刷可能となる印刷属性の組合せ情報とから、変更した印刷条件で印刷処理を継続して行う為にワークフローを再生成する。ワークフローを再生成したら、ワークフロー制御部62はJDFをプリンタ制御部63へ送信する。JDFを送信後、ワークフロー制御部62は全体制御部51へワークフローの再生成の完了を報告する。
【0110】
ワークフローの再生成の完了の報告を受けるか、またはステップS12において印刷可能であると判定した場合、全体制御部51はステップS42において、ジョブ生成処理部105へジョブデータの送付指示を行う。
【0111】
ステップS43において、ジョブ生成処理部105は、ジョブデータの送付指示を受信すると、自身で保持しているジョブデータ(印刷ジョブ)をジョブ制御処理部64へ送付する。ステップS44において、ジョブ制御処理部64はキューにキューイングされているジョブ列に用紙交換ジョブがあるかを判定する。
【0112】
キューにキューイングされているジョブ列に用紙交換ジョブがある場合、ジョブ制御処理部64のキュー制御処理部110はステップS45において、送付された印刷ジョブが保持している用紙サイズ情報と、用紙交換ジョブが保持している用紙交換前後の用紙サイズ情報とを比較する。
【0113】
ステップS46において、キュー制御処理部110は印刷ジョブが保持している用紙サイズ情報と用紙交換ジョブが保持している用紙交換前の用紙サイズ情報とが合致するかを判定する。印刷ジョブが保持している用紙サイズ情報と用紙交換ジョブが保持している用紙交換前の用紙サイズ情報とが合致した場合、キュー制御処理部110はステップS47において、ジョブ生成処理部105から送付された印刷ジョブを、用紙交換ジョブの前にキューイングする。なお、キュー制御処理部110は用紙交換ジョブの前に既に1つ以上の印刷ジョブがキューイングされていた場合、ジョブ生成処理部105から送付された印刷ジョブを、用紙交換ジョブの前に既にキューイングされている印刷ジョブの最後の印刷ジョブの次にキューイングする。ジョブ制御処理部64は全体制御部51へジョブデータの送付完了を報告する。
【0114】
また、ステップS46において、キュー制御処理部110は印刷ジョブが保持している用紙サイズ情報と用紙交換ジョブが保持している用紙交換前の用紙サイズ情報とが合致しない場合、ステップS48において、ジョブ生成処理部105から送付された印刷ジョブを、用紙交換ジョブの後にキューイングする。なお、キュー制御処理部110は用紙交換ジョブの後に既に1つ以上の印刷ジョブがキューイングされていた場合、ジョブ生成処理部105から送付された印刷ジョブを、用紙交換ジョブの後に既にキューイングされている印刷ジョブの最後の印刷ジョブの次にキューイングする。ジョブ制御処理部64は全体制御部51へジョブデータの送付完了を報告する。
【0115】
ステップS44において、キューにキューイングされているジョブ列に用紙交換ジョブがない場合、ジョブ制御処理部64のキュー制御処理部110はジョブ生成処理部105から送付された印刷ジョブを既にキューイングされている印刷ジョブの最後の印刷ジョブの次にキューイングする。ジョブ制御処理部64は全体制御部51へジョブデータの送付完了を報告する。
【0116】
ジョブ制御処理部64からジョブデータの送付完了の報告を受けると、全体制御部51はステップS50においてジョブ制御処理部64のキュー制御処理部110へ印刷ジョブの印刷指示を行う。ステップS51において、ジョブ制御処理部64のキュー制御処理部110はキューの先頭の印刷ジョブをプリンタ制御部63へ送信する。
【0117】
印刷ジョブを受信すると、プリンタ制御部63はステップS52において、受信した印刷ジョブを印刷する処理を行う。ステップS53において、プリンタ制御部63は印刷完了を確認後、全体制御部51へ印刷完了を報告する。
【0118】
例えば上記した具体例のケースでは、A3サイズの用紙へ2Upで描画データがレイアウトされ、印刷処理が終了すると、A3サイズの用紙への断裁処理が実施され、A4サイズの用紙の印刷出力物が生成される。作業者は、A4サイズの用紙の束をまとめて重ね合わせることで、顧客が要望した印刷出力物を生成することができる。
【0119】
図12はジョブ生成処理部の処理手順の一例を示すフローチャートである。図12では印刷ジョブのデータ形式がPostScriptである例を説明する。ステップS101において、ジョブ生成処理部105は全ページ分の描画データを受信する。ステップS102において、ジョブ生成処理部105は全体制御部51から指定されたプリンタ装置24で処理可能となる印刷ジョブのデータ形式(PostScript)を決定する。
【0120】
ステップS103において、ジョブ生成処理部105は印刷条件に関連する印刷属性及び属性値から、印刷処理を実施する為の制御情報(印刷制御情報)を決定する。ここで言う印刷制御情報とは、用紙サイズ=A4、用紙種類=普通紙、給紙トレイ=トレイ1、等である。
【0121】
ステップS104において、ジョブ生成処理部105はPostScriptのデータ形式に変換した印刷制御情報群の全てを、描画データの後に連結して図13に示すように印刷ジョブを生成する。図13は生成された印刷ジョブの一例の構成図である。図13の印刷ジョブは描画データの後に、印刷制御情報群であるPS(PostScript)コマンド列が連結されている。なお、図13の印刷ジョブの構成又は印刷ジョブの生成手順は印刷ジョブのデータ形式が変われば変化する。
【0122】
図14及び図15は印刷出力物の一例のイメージ図である。図14及び図15は用紙サイズ=A4、印刷モード=両面、20ページの印刷物を、A3サイズの用紙5枚に印刷する例を表している。
【0123】
A3サイズの用紙をランドスケープ(横)方向に置いたとき、A3サイズの用紙の左側と右側とにはデータサイズがA4のページをそれぞれ配置できる。図14はA3サイズの用紙5枚のページ配置を表している。図14は左側にA3サイズの用紙の表面のページ配列を表し、右側にA3サイズの用紙の裏面のページ配列を表している。図15(A)はA3サイズの用紙5枚の表面及び裏面にデータサイズがA4の20ページを印刷した状態を表している。
【0124】
図15(B)は図15(A)に示したA3サイズの用紙5枚を重ね合わせて中央部で全て断裁してA4サイズの用紙10枚を生成した状態を表している。図15(B)の左側のA4サイズの用紙5枚には1ページ目から10ページ目までが配置されている。また、図15(B)の右側のA4サイズの用紙5枚には11ページ目から20ページ目までが配置されている。
【0125】
図15(C)は図15(B)の左側の1ページ目から10ページ目までが配置されているA4サイズの用紙5枚を、図15(B)の右側の11ページ目から20ページ目までが配置されているA4サイズの用紙5枚の上に重ね合わせた状態を表している。
【0126】
なお、図15(C)に示すような印刷出力物を生成するためには、図14に表したようにA3サイズの1枚目の用紙の表面の左側に1ページ目、1枚目の用紙の表面の右側に11ページ目、1枚目の用紙の裏面の左側に12ページ目、1枚目の用紙の裏面の右側に2ページ目、をそれぞれ配置すればよい。
【0127】
以下同様に、2枚目の用紙の表面の左側に3ページ目、2枚目の用紙の表面の右側に13ページ目、2枚目の用紙の裏面の左側に14ページ目、2枚目の用紙の裏面の右側に4ページ目、をそれぞれ配置し、5枚目の用紙まで上記した理論の繰り返しでページ配置を行う。図14のページ配置はスピード印刷と呼ばれることもある。A3サイズの用紙の左右に同じページを配置するページ配置はダブル印刷と呼ばれることもある。
【0128】
図16は用紙交換ジョブが無い場合の一般的なキューの状態を示す説明図である。図16では「ジョブ1」から「ジョブ8」の順に、計8つの印刷ジョブが連続して投入された状態を表している。奇数番目の印刷ジョブはA3用紙への印刷が指定されている。偶数番目の印刷ジョブはA4用紙への印刷が指定されている。一般的には前に投入された印刷ジョブの次に、後から投入された印刷ジョブをキューイングする。このようなキューイング制御を繰り返すことにより、本発明ではA3用紙への印刷の印刷ジョブとA4用紙への印刷の印刷ジョブとが交互にキューイングされる。
【0129】
キューイングは、プリンタ装置24の給紙部に実際にセットされている用紙サイズと印刷ジョブで指定されている用紙サイズとが一致するときに行われる。したがって、図16に示す印刷ジョブを全て印刷する為には、給紙部が一つのプリンタ装置24の場合、1つの印刷ジョブの完了が通知される毎に、A3サイズの用紙からA4サイズの用紙もしくはA4サイズの用紙からA3サイズの用紙への用紙交換作業が発生し、印刷作業停止時間が長くなる。
【0130】
図17は好ましいキューの状態を示す説明図である。図16に示した8つの印刷ジョブは図17に示すような順番で連続して投入されれば、A3サイズの用紙への印刷ジョブが4つ纏めてキューイングされる。図17では、A3サイズの用紙への4つの印刷ジョブの完了が通知された後、A3サイズの用紙からA4サイズの用紙への用紙交換作業が発生する。その後、図17ではA4サイズの用紙への印刷ジョブが4つ纏めてキューイングされるため、A3サイズの用紙からA4サイズの用紙への用紙交換作業が1回で済み、印刷作業停止時間が短くなる。
【0131】
本発明では図17に示すキューの状態を実現する為に用紙交換ジョブを利用する。図18は用紙交換ジョブが有る場合のキューの状態を示す説明図である。図18ではA3サイズの用紙への印刷ジョブが4つ纏めて実行されたあと、A3サイズの用紙からA4サイズの用紙への用紙交換を作業者に促す用紙交換ジョブ200が実行される。用紙交換ジョブ200が実行されると、作業者はA3サイズの用紙からA4サイズの用紙への用紙交換作業を行う。そして、図18ではA3サイズの用紙からA4サイズの用紙への用紙交換作業のあと、A4サイズの用紙への印刷ジョブが4つ纏めて実行される。
【0132】
図18では印刷ジョブで指定されている用紙サイズがA3サイズからA4サイズに変わる印刷ジョブの境目において用紙交換ジョブ200を実行することで、作業者に用紙交換の必要性を通知することができる。作業者に用紙交換の必要性を認知させる方法としては印刷制御システム搭載サーバ22やクライアントPC23のディスプレイ装置などに警告画面を出したり、プリンタ装置24の操作パネルに警告表示を出したりすることが考えられる。
【0133】
用紙交換ジョブ200は用紙交換前の用紙サイズと用紙交換後の用紙サイズとを用紙情報として持つ。印刷制御システム搭載サーバ22では用紙交換ジョブ制御部109に作業者が用紙交換前の用紙サイズと用紙交換後の用紙サイズとをUIから設定する機能を設けることで、用紙交換前の用紙サイズと用紙交換後の用紙サイズとの設定並びに情報保持が実現できる。
【0134】
なお、前述したように、一般的にプリンタ装置24の給紙部に実際にセットされている用紙サイズと印刷ジョブで指定されている用紙サイズとが一致していなければ印刷ジョブのキューイングは行われない。
【0135】
一方、用紙交換ジョブ200を利用したキューイングはプリンタ装置24の給紙部に実際にセットされている用紙サイズと印刷ジョブで指定されている用紙サイズとが一致していなくても、用紙交換ジョブ200が保持している用紙交換後の用紙サイズと印刷ジョブで指定されている用紙サイズとが一致していれば、行われる。
【0136】
このように用紙交換ジョブ200は、プリンタ装置24の給紙部に実際にセットされている用紙サイズの情報(Current値)の補完機能として働く。用紙交換ジョブ200が保持している用紙交換後の用紙サイズはプリンタ装置24の給紙部に実際にセットされている用紙サイズの情報の補完情報となる。
【0137】
本実施例では用紙交換ジョブ200がプリンタ装置24の給紙部に実際にセットされている用紙サイズの情報の補完機能として働くため、図18に示すような状態に印刷ジョブがキューイングされる。
【0138】
図18に示すキューの状態から用紙サイズがA3サイズの印刷ジョブ「ジョブ9」と用紙サイズがA4サイズの印刷ジョブ「ジョブ10」とが新規に投入された場合、キューの状態は図19に示すようになる。図19は印刷ジョブが新規に投入された場合のキューの状態を示す説明図である。
【0139】
新規に投入される印刷ジョブは、印刷ジョブで指定されている用紙サイズと、用紙交換ジョブ200が保持している用紙交換前後の用紙サイズとが比較され、用紙交換ジョブ200の前にキューイングされるか後にキューイングされるかが決定される。
【0140】
例えば用紙交換ジョブ200の前にキューイングされることが決定されると、新規に投入される印刷ジョブは用紙交換ジョブ200の前にキューイングされている印刷ジョブの最後(A3用紙印刷のサブキューの最後)にキューイングされる。図19の例では「ジョブ9」が投入されると、A3用紙印刷のサブキューの最後にキューイングされている「ジョブ7」の後にキューイングされる。
【0141】
また、用紙交換ジョブ200の後にキューイングされることが決定されると、新規に投入される印刷ジョブは用紙交換ジョブ200の後にキューイングされている印刷ジョブの最後(A4用紙印刷のサブキューの最後)にキューイングされる。図19の例では「ジョブ10」が投入されると、A4用紙印刷のサブキューの最後にキューイングされている「ジョブ8」の後にキューイングされる。このように、用紙交換ジョブ200は印刷ジョブのスケジュールの振り分け機能として働く。
【0142】
図20は用紙交換ジョブを使用して作業者が印刷ジョブを印刷させる時の印刷システムの処理手順の一例を示すフローチャートである。印刷システム20の処理手順は多くのパターンが存在するため、下記を前提条件とした具体例で説明する。
【0143】
前提条件は、プリンタ給紙部が1か所(A4、A3サイズの用紙をセット可能)、プリンタ給紙部にA3サイズの用紙が装着、断裁機なし、の印刷システム20とする。ステップS201において、作業者は「ジョブ1」から「ジョブ10」までの印刷ジョブの印刷を行う。作業者は、奇数番目の印刷ジョブとしてA3サイズの用紙への印刷、偶数番目の印刷ジョブとしてA4サイズの用紙への印刷、を印刷条件として指定する。
【0144】
ステップS202において「ジョブ1」は前提条件で印刷可能なため、キューの先頭にキューイングされる。ステップS203において「ジョブ2」は前提条件で印刷不可であるが用紙交換により印刷が可能である。そこで、印刷システム20は作業者に対して印刷条件(A3サイズからA4サイズへの用紙交換ジョブ作成)を表示する。ステップS204において、作業者は「ジョブ2」の印刷継続(用紙交換ジョブ作成)または印刷中止を選択して入力する。
【0145】
ステップS205において、作業者が印刷中止を選択した場合は「ジョブ2」の印刷は中止される。作業者が印刷継続を選択し「ジョブ1」の後ろにA3サイズからA4サイズへの用紙交換ジョブの挿入を指定した場合は「ジョブ1」の後ろに用紙交換ジョブ200が作成され、用紙交換ジョブ200の後に「ジョブ2」がキューイングされる。
【0146】
ステップS206において、A3サイズからA4サイズへの用紙交換ジョブ200が作成されている場合は、ジョブ制御処理部64の処理により、印刷ジョブが用紙交換ジョブ200の前後にキューイングされていく。
【0147】
A3サイズの印刷ジョブ(ジョブ3、5、7、9)は用紙交換ジョブ200の直前にキューイングされていく。また、A4サイズの印刷ジョブ(ジョブ4、6、8、10)はキューの末端にキューイングされていく。なお、A3サイズからA4サイズへの用紙交換ジョブ200が作成されていない場合、印刷システム20はステップS203〜S205と同様の処理を行う。
【0148】
ステップS207において、ジョブ制御処理部64はA3サイズの印刷ジョブをプリンタ制御部63に送信する。A3サイズの5つの印刷ジョブは全て印刷される。A3サイズの印刷ジョブがプリンタ装置24に全て出力された後、A3サイズの印刷ジョブの印刷が終了して印刷が中断すると、用紙交換ジョブ200は作業者に対してA3サイズの用紙からA4サイズの用紙への用紙交換通知を行う。
【0149】
ステップS209において、作業者は、プリンタ装置24の用紙をA3サイズの用紙からA4サイズの用紙に交換する。ステップS210において、ジョブ制御処理部64は用紙交換ジョブ200が作業者に用紙交換を促す用紙交換通知を行ったら、プリンタ制御部63との通信を定期的に行い、給紙部の用紙がA3サイズの用紙からA4サイズの用紙に変更されたか判定する。A4サイズの用紙に変更されたら、ジョブ制御処理部64は自身でジョブ列に積んである用紙交換ジョブ200を削除する。その後、ジョブ制御処理部64は、A4サイズの印刷ジョブ(ジョブ4、6、8、10)をプリンタ制御部63に送信する。A4サイズの5つの印刷ジョブは全て印刷される。
【0150】
本実施例によれば、背景技術において、プリンタ装置24に装着している用紙サイズと印刷を行う用紙サイズとの組合せにより適切なレイアウトを決定するという点が考慮されていないという課題を解決できる。
【0151】
例えば上記した具体例ではプリンタ装置24に装着している用紙サイズがA3サイズであり、印刷を行う用紙サイズがA4サイズであるからA3サイズの用紙にA4サイズの印刷データの2ページ分を2UPでレイアウトするのが適していると判定する。印刷を行う用紙サイズがA5サイズの場合はA3サイズの用紙にA5サイズの印刷データの4ページ分を4UPでレイアウトするのが適していると判定できる。
【0152】
本発明は、具体的に開示された実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。なお、特許請求の範囲に記載した印刷制御装置が印刷制御システム搭載サーバ22に相当する。
【符号の説明】
【0153】
1 システム
10 顧客PC
20 印刷システム
21 管理サーバ
22 印刷制御システム搭載サーバ
23 クライアントPC
24 プリンタ装置
25 デバイス装置
26、30 ネットワーク
40 PC
41 入力装置
42 出力装置
43 記録媒体読取装置
44 補助記憶装置
45 主記憶装置
46 演算処理装置
47 インタフェース装置
48 記録媒体
49 バス
51 全体制御部
52 制御処理部
53 入力処理部
61 ジョブチケット制御部
62 ワークフロー制御部
63 プリンタ制御部
64 ジョブ制御処理部
65 プリプレス制御部
101 ジョブチケット解析処理部
102 ジョブチケット編集処理部
103 ワークフロー生成処理部
104 ワークフロー動作制御部
105 ジョブ生成処理部
106 印刷条件制御処理部
107 デバイス情報処理部
108 印刷条件入力処理部
109 用紙交換ジョブ制御部
110 キュー制御処理部
111 プリンタ動作制御部
112 デバイス情報制御部
200 用紙交換ジョブ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0154】
【特許文献1】特開2009−134440号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
プリンタ装置又はデバイス装置に装着されている用紙サイズを取得するプリンタ制御手段、
前記プリンタ装置又はデバイス装置に装着されている用紙サイズ、及び、作業者が印刷出力物を生成するために指定した印刷条件に含まれる印刷を行う用紙サイズが合致するか判定する印刷条件制御処理手段、
前記判定結果が合致しない印刷ジョブの場合、前記装着されている用紙の断裁によって前記印刷を行う用紙サイズを生成可能であれば、前記装着されている用紙に、前記印刷を行う用紙サイズに適したレイアウトで前記印刷出力物の描画データを配置し、印刷後に前記レイアウトに沿った断裁処理を行い、前記印刷出力物を生成させる全体制御手段
として機能させる印刷制御プログラム。
【請求項2】
作業者に用紙交換作業を促す用紙交換ジョブの生成する用紙交換ジョブ制御手段、
前記用紙交換ジョブをキューイングするキュー制御処理手段
として前記コンピュータを更に機能させ、
前記全体制御手段は、前記判定結果が合致しない印刷ジョブの場合、前記装着されている用紙の断裁によって前記印刷を行う用紙サイズを生成可能でなければ、前記プリンタ装置又はデバイス装置に装着されている用紙サイズの変更によって、前記印刷を行う用紙サイズを生成可能であれば、前記用紙交換ジョブ制御手段に前記用紙交換ジョブの生成を指示すると共に、前記キュー制御処理手段に、前記用紙交換ジョブが持つ用紙交換前後の用紙サイズの情報と前記印刷を行う用紙サイズとが合致するように、前記印刷出力物の印刷ジョブを前記用紙交換ジョブの前後にキューイングする
ことを特徴とする請求項1記載の印刷制御プログラム。
【請求項3】
前記全体制御手段は、前記プリンタ装置又はデバイス装置に装着されている用紙サイズが変更された後、前記装着されている用紙の断裁によって前記印刷を行う用紙サイズを生成可能であれば、前記装着されている用紙に、前記印刷を行う用紙サイズに適したレイアウトで前記印刷出力物の描画データを配置し、印刷後に前記レイアウトに沿った断裁処理を行い、前記印刷出力物を生成させる
ことを特徴とする請求項2記載の印刷制御プログラム。
【請求項4】
前記キュー制御処理手段は、前記用紙交換ジョブが持つ用紙交換前の用紙サイズの情報と前記印刷を行う用紙サイズが合致する前記印刷ジョブを、前記用紙交換ジョブの前の印刷ジョブの最後にキューイングし、前記用紙交換ジョブが持つ用紙交換後の用紙サイズの情報と前記印刷を行う用紙サイズが合致する前記印刷ジョブを、前記用紙交換ジョブの後の印刷ジョブの最後にキューイングする
ことを特徴とする請求項2記載の印刷制御プログラム。
【請求項5】
プリンタ装置又はデバイス装置に装着されている用紙サイズを取得するプリンタ制御手段と、
前記プリンタ装置又はデバイス装置に装着されている用紙サイズ、及び、作業者が印刷出力物を生成するために指定した印刷条件に含まれる印刷を行う用紙サイズが合致するか判定する印刷条件制御処理手段と、
前記判定結果が合致しない印刷ジョブの場合、前記装着されている用紙の断裁によって前記印刷を行う用紙サイズを生成可能であれば、前記装着されている用紙に、前記印刷を行う用紙サイズに適したレイアウトで前記印刷出力物の描画データを配置し、印刷後に前記レイアウトに沿った断裁処理を行い、前記印刷出力物を生成させる全体制御手段と
を有することを特徴とする印刷制御装置。
【請求項6】
コンピュータにより実行可能な請求項1に記載の印刷制御プログラムと、画像形成装置とを有することを特徴とする印刷システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−252513(P2012−252513A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124538(P2011−124538)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】