説明

印刷機ユニット用吊具装置、及び同吊具装置を備えた印刷ユニット又は輪転印刷機

【課題】 人が操作して、印刷機ユニットの版胴又はブランケット胴の外層部を構成する円筒形のスリーブを版胴又はブランケット胴に取り付け、又は取り外すための吊具装置において、重量の大きなカウンタウエイト等を排して、構造の簡素化及び重量の軽減を図り、装置の操作性と取り扱いを向上させる。
【解決手段】 印刷機ユニット11上に設置される支柱2と、同支柱に回動可能に設けられ、リンク機構を有する水平面内で揺動可能なアーム5と、同アームの先端に上下方向に摺動可能に取り付けられたガイド1と、同ガイドの下方部分に水平面内で旋回可能で、スリーブの内部に挿入されるスリーブホルダ8と、ボールスプライン1に負荷する荷重を検知する荷重センサ3と、荷重センサ3の荷重検出値を相殺する反力を前記荷重負荷位置に付加するバランス用エアシリンダ9とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人が操作して、印刷機ユニットの版胴又はブランケット胴の外層部を構成する円筒形のスリーブを印刷機ユニットの前記版胴又はブランケット胴に取り付けたり、あるいは印刷機ユニットに取り付けられている版胴又はブランケット胴から同スリーブを取り外すために用いられる吊具装置の改良に関し、従来装置に比べて大幅な構造の軽量化及び簡素化を達成するとともに、取り扱いを格段に向上させたものである。
【背景技術】
【0002】
従来人が操作して人力により荷物を簡単に移動させることができる荷役装置は、たとえば特許文献1(特開平8−143300号公報)に開示されている。この荷役装置は、立設された支持支柱に平行四辺形のリンク機構を有し、3次元方向に揺動可能なアームを有し、アームの一端に取り付けられる吊下げ具に荷物を吊り下げると、この荷物の荷重を相殺する反力を発生させるためのシリンダが設けられ、またアームの先端に荷物を吊り下げると同時にシリンダを作動させる減圧弁等が設けられ、荷物が吊り上げ状態になると、前記シリンダによって荷物の荷重を相殺する反力が発生して、両者がバランスして、人のわずかの力で吊下げ具を上下に動かすことができるようになっている。また、アームの他端にカウンタウエイトが取り付けられ、アーム自重による前記シリンダへの負荷を軽減できるようになっている。
【0003】
印刷機械において、印刷機ユニットの版胴又はブランケット胴の外層部を構成する円筒形のスリーブを版胴又はブランケット胴に取り付けたり、あるいは印刷機ユニットの版胴又はブランケット胴に装着されているスリーブを取り外すために用いられる吊具装置にも、前述の荷役装置と類似した機構が採用されている。
この装置を図4に基づいて説明する。図4は従来の吊具装置の立面図である。図4において、02は、印刷機ユニット011が設置されている近傍の天井01に本吊具装置本体を取り付けるため、天井01に固定された取付けブラケットで、同取付けブラケットには旋回座03を介してワーク重量バランス装置04が旋回可能に接続されている。
【0004】
ワーク重量バランス装置04には、平行四辺形のリンク機構を有して2次元方向に揺動可能なアーム05が取り付けられ、ワーク重量バランス装置04を中心としてアーム05の反対側には、アーム05の重量とバランスさせ、後述のバランス用シリンダ09の負荷を軽減し、軽量化するためのカウンタウエイト06が取り付けられている。アーム05の先端には、旋回具07を介してスリーブホルダ08が水平面内で旋回可能に取り付けられている。
09は、重量バランス装置04に取り付けられたバランス用シリンダで、アーム05に加わる下向きの荷重を相殺する上向きの力をアーム05に付加する機能を有する。
【0005】
012及び013は、印刷機ユニット011に組み込まれている版胴及びブランケット胴で、それらの外表面にスリーブsが装着されている。014は印刷機ユニットのカバー、015は印刷機フレーム、016は、印刷機ユニット011の近傍に置かれたスリーブ置き台、017は印刷機ユニット011及びスリーブ置き台016等が置かれた床面である。
【0006】
かかる従来の装置において、スリーブ置き台016に置かれたスリーブsを印刷機ユニット011の版胴012又はブランケット胴013に装着する場合には、作業者hが旋回具07に設けられた取っ手010を持ってスリーブホルダ08移動させ、スリーブ置き台016に置かれたスリーブsにスリーブホルダ08を挿入した後、スリーブ差し込み位置s1までスリーブsを搬送し、その後版胴012又はブランケット胴013に装着する。
【0007】
また印刷機ユニット011の版胴012又はブランケット胴013に装着されたスリーブsを取り外す場合には、作業者hがスリーブホルダ08をスリーブ差し込み位置s1まで移動した後、版胴012又はブランケット胴013からスリーブsを移動させて、スリーブホルダ08に移し替え、その後作業者hがアーム05をスリーブ置き台016まで移動して、スリーブ置き台016にスリーブsを載置する。
【0008】
【特許文献1】特開平8−143300号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかるに前記従来の吊具装置は、印刷工場などの高い天井に取付けブラケット02を介して取り付けられ、そのため取付けブラケット02は非常に長くなり、大型で重いブラケットとなる。
またバランス用シリンダ09等のワーク重量バランス装置04がアーム05の支点近くにあるため、スリーブsの重量によるモーメント荷重が大きく、ワーク重量バランス装置04の負荷が大きくなるので、装置も大型化する。
【0010】
またアーム05も2次元方向に移動可能とするため、平行四辺形のリンク機構を具備しており、このため構造が全体的に複雑かつ大型化するとともに、アーム自重とバランスさせるためにカウンタウエイトを取り付けるため、全体重量が巨大化している。仮にアーム重量が100kgのスリーブsを吊り下げた場合で、重量バランス装置04を支点にして、アーム05の先端までの水平方向の長さが2mで、カウンタウエイト06の重量を200kgとすると、重量バランス装置04の支持支点からカウンタウエイト06までの距離が1mなければ、バランスしないことになり、カウンタウエイト06が重量バランス装置から1m突出した状態になり、アーム05を移動あるいは旋回させると、カウンタウエイト06も旋回するため、本吊具装置の操作に広いスペースを要し、さらに重量の大きなカウンタウエイト06が旋回して、作業者に当たる危険性もあり、本吊具装置の操作には大きな注意を払う必要があった。
【0011】
また同様に重量が50kgのスリーブsを吊り下げ、重量バランス装置04の支持支点からスリーブまでの長さが2mで、取付けブラケット02からバランス用シリンダ09までの距離が10cmであると仮定すると、スリーブsの荷重を相殺するための反力として1000kgの反力をバランス用シリンダ09が発生させる必要があり、バランス用シリンダとして、巨大なシリンダが必要になる。
なお本装置を天井に取り付け可能な建屋は少なく、その場合、印刷機ユニットから離れたところに支柱を立ててこれに設置することが考えられるが、これも支柱がじゃまになることが多く、またコストもかかるという問題がある。
【0012】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、印刷機ユニットの版胴又はブランケット胴の外層部を構成する円筒形のスリーブを印刷機ユニットの前記版胴又はブランケット胴に取り付けたり、あるいは印刷機ユニットに取り付けられている版胴又はブランケット胴から同スリーブを取り外すために用いられる吊具装置において、構造の簡素化及び重量の軽減を図り、これによって装置の操作性及び取り扱いを従来の装置に比べて格段に向上させた前記吊具装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明装置は、かかる目的を達成するもので、印刷機ユニットのスリーブを印刷機ユニットの同版胴又はブランケット胴に設置するか、又は印刷機ユニットの同版胴又はブランケット胴から取り外すために用いられる印刷機ユニット用吊具装置において、印刷機ユニット又は同印刷機ユニット周辺に設けられた固定台に設置される支持部と、同支持部に回動可能に設けられ、複数のリンクからなるリンク機構を有する水平面内で揺動可能なアームと、同アームの先端に上下方向に摺動可能に取り付けられたガイド部材と、同ガイド部材の下方部分に水平面内で旋回可能に取り付けられるとともに、前記スリーブの内部に挿入されるスリーブホルダと、前記ガイド部材に負荷する荷重を検知する荷重センサと、同荷重センサが検出した荷重検出値に対して相殺する反力を前記荷重負荷点の近傍に付加するアクチュエータとを備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明装置においては、支持部を印刷機ユニット又は同印刷機ユニット周辺に設けられた固定台に設置することによって、支持部自体の構造の簡素化及び重量軽減を図るとともに、前記揺動アームの機能を水平面内の動きを可能とする機能のみに限定して、前記スリーブホルダに上下方向の動きを与える機能を前記ガイド部材に転嫁させることにより、揺動アームにおける従来の平行四辺形のリンク機構を排し、これによって揺動アームの構造を簡素化し、重量軽減を図ったものである。
【0015】
本発明の揺動アームの揺動機構を図1の基本構成図に基づいて説明すると、図1において、本発明の吊具装置は、印刷機ユニットi又はその周辺に設けられた固定台に支持部aを設置し、同支持部aに、複数のリンクを有するリンク機構bでアームを構成し、アームを水平面内でのみ揺動可能として、アームの先端b1を水平面内において任意の位置に移動可能にしている。またアーム先端b1近傍で下方向に加わるスリーブその他の荷重cに対して、アクチュエータによって荷重cの負荷地点の近傍位置で向きが反対でかつ荷重cを相殺する反力dを付加するようにしている。さらに、スリーブその他の荷重e及びアクチュエータの反力dの作用点のズレにより生じるモーメント荷重eは、ガイド部材fが受けるようにしている。
【0016】
揺動アームbは、水平面内でのみ揺動可能として上下方向の動きを不要とし、このため平行四辺形のリンク機構が不要となり、また前記ガイド部材を介して負荷される上下方向の荷重に対しては、前記構成のアクチュエータによりスリーブの荷重が負荷される地点の近傍でスリーブの荷重を相殺する反力を付加することにより、スリーブの重量による大きなモーメント荷重が負荷されることがなくなり、また、このモーメント荷重eをガイド部材fで負荷するため、アクチュエータはスリーブその他荷重cのみを支えればよく、アクチュエータ(バランス用シリンダ)の大きさを小さくできる。また、揺動アームの自重によるモーメント荷重が、アクチュエータ(バランス用シリンダ)に作用しないため、同アクチュエータへの荷重を軽減するカウンタウエイトの設置を不要とすることができる。
【0017】
なお本発明装置において、好ましくは、前記アクチュエータがたとえばエアシリンダなどの流体圧シリンダとする。また好ましくは、前記ガイド部材に本発明装置を操作するための把持部を備え、この把持部を作業者が把持することで本発明装置を操作しやすくする。
また前記支持部は、印刷機ユニットに固定するほか、印刷機ユニット周辺に作業のじゃまにならない固定台を適宜設置して、そこに固定してもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、印刷機ユニット又は同印刷機ユニット周辺に設けられた固定台に設置される支持部と、同支持部に回動可能に設けられ、複数のリンクからなるリンク機構を有する水平面内で揺動可能なアームと、同アームの先端に上下方向に摺動可能に取り付けられたガイド部材と、同ガイド部材の下方部分に水平面内で旋回可能に取り付けられるとともに、前記スリーブの内部に挿入されるスリーブホルダと、前記ガイド部材に負荷する荷重を検知する荷重センサと、同荷重センサが検出した荷重検出値を相殺する反力を前記荷重負荷点の近傍に付加するアクチュエータとを備えたことにより、前記支持部及び前記揺動アームの構造を、従来の装置に比べて格段に構造の簡素化及び軽量化を達成することができる。
【0019】
また前記構成のアクチュエータによりスリーブの荷重が負荷される地点と同一地点でスリーブの荷重を相殺する反力を付加することにより、アクチュエータにスリーブの重量による大きなモーメント荷重が負荷されることがなくなったので、アクチュエータを小さくでき、また、揺動アームに単にスリーブの荷重そのものを支持可能な剛性を付与すれば足り、揺動アーム揺動時のスリーブホルダ部水平維持のための複雑なリンク機構が必要なくなる。また、揺動アームの自重によるモーメント荷重が、アクチュエータ(バランス用シリンダ)に作用しないため、同アクチュエータへの荷重を軽減するカウンタウエイト等が不要となるため、前記支持部及び前記揺動アームの構造の簡素化及び軽量化と合わせ、装置全体の構造の大幅な簡素化及び軽量化を達成できる。
これによって作業者による装置の操作性が格段に向上し、作業の能率が向上するとともに、カウンタウエイト等を排したことにより、作業者の危険度も低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
図2は、本発明装置の第1実施例に係る立面図、図3は、前記第1実施例の揺動アームを示す平面図である。
【実施例1】
【0021】
本発明の第1実施例を示す図2〜3において、2は、印刷機ユニット11の上部に固定された支柱で、揺動アーム5が同支柱に水平面内で旋回自在に取り付けられている。揺動アーム5は、特に図3からわかるように、2個のリンクをもつリンク機構からなり、たとえば1個のリンクの長さが1mで、2個合わせて2mの長さを有し、水平面内で旋回自在であり、アーム先端部を水平面内において任意の位置に移動可能である。
揺動アーム5の先端には、垂直方向にボールスプライン1が垂直方向に摺動可能に取り付けられており、ボールスプライン1の下端部には、図示しないボールベアリングを具備した旋回具7を介してスリーブホルダ8が水平面内で旋回可能に取り付けられている。
【0022】
10は旋回具7に取り付けられた一対の取っ手であり、作業者はこの取っ手10を握ってスリーブホルダ8を所望位置に移動させる。尚、取手10の取付は、詳細図示していないが、旋回具7に上下方向自由に取付けられており、かつ、バランス用シリンダ9の先端部に接続されており、取手10でスリーブホルダ8を上下方向に動かす力は荷重検知センサ3に作用しない様になっている。3は、ボールスプライン1に接続され、ボールスプライン1に負荷する荷重を検知するセンサ、9は、荷重センサ3で検知した値に基づいて、前記荷重検知点と同一位置に、前記荷重を相殺するため前記荷重値と同一の反力を反対方向に付加するバランス用エアシリンダである。
12及び13は、本実施例装置により、スリーブsが装着されるか、あるいはすでに装着されたスリーブsが取り外される版胴及びブランケット胴、14は印刷機ユニット11のカバー、15は印刷機ユニット11のフレームである。16は、印刷機ユニット11の近傍に置かれたスリーブ置き台、17は印刷機ユニット11及びスリーブ置き台16等が置かれた床面である。
【0023】
かかる第1実施例の装置において、スリーブホルダ8は、水平面内に旋回自由な揺動アーム5と、垂直方向に摺動自在なボールスプラインにガイドされ、荷重センサとバランス用エアシリンダ9によってバランスされた状態になっているため、作業者が取っ手10を把持してスリーブホルダ8を自由に移動可能である。また、旋回具7によりスリーブホルダ8を水平面内で任意の方向に向けることが可能である。
印刷機ユニット11に装着してある版胴12又はブランケット胴13の外層部を構成する円筒形のスリーブsを取り外す場合においては、版胴12又はブランケット胴13からある程度抜き出したスリーブs2の位置に、作業者が取っ手10を把持して、スリーブホルダ8を移動させ、スリーブsにスリーブホルダ8を挿入し、その後スリーブsを版胴12又はブランケット胴13から完全に抜き出し、スリーブホルダ8に載せる。
次にスリーブホルダ8を移動させて、スリーブsをスリーブホルダ8に挿入したままスリーブ置き台16の所定の位置に載せ、スリーブsからスリーブホルダ8を抜き出す。
【0024】
次にスリーブsをスリーブ置き台16から印刷機ユニット11の版胴12又はブランケット胴13に装着する場合は、まずスリーブ置き台16上の待機位置s3にあるスリーブsにスリーブホルダ8を挿入する。次にスリーブホルダ8を移動させて、待機位置s1に到達したら、版胴12又はブランケット胴13の軸心にスリーブsの軸心を合わせ、スリーブsを版胴12又はブランケット胴13の外表面に挿入する。ある程度挿入できたら、スリーブホルダ8を引き抜き、スリーブを胴に押込む。その後、スリーブホルダ8は待機位置s1に移動させる。
【0025】
かかる第1実施例の装置によれば、本実施例の装置の支持部を構成する支柱2が印刷機ユニット11の上部に固定された構造となっているので、工場建屋の天井部分に固定した従来の装置に比べてコンパクトにまとめられ、重量を軽減できる。
また揺動アーム5も水平面内のみで揺動する機能を有すればよく、従来の装置のように揺動時にスリーブホルダを水平に維持するための平行四辺形のリンク機構が不要となり、そのため構造の簡素化及び重量軽減が可能となっている。
【0026】
また揺動アーム5の先端にはボールスプライン1が上下に摺動可能に取り付けられてるとともに、ボールスプライン1の下端にはスリーブホルダ8が水平面内で旋回可能に取り付けられているので、ボールスプライン1がスリーブホルダ8を上下方向に移動させる機能を有し、ボールスプライン1に負荷するスリーブsの重量を含めた荷重は、荷重検知センサ3により検知され、同検知値に基づいて、バランス用シリンダ9に前記検知値にバランスするエア圧が供給され、スリーブsの重量がキャンセルされるため、スリーブホルダ8は作業者によって上下方向に軽い力で動くようになっている。また、ボールスプラインがスリーブ重量、バランス用シリンダ9の出力によるモーメント荷重を負担するため、重量バランス機構はモーメント荷重を受けない。さらに、スリーブ重量等の負荷重心とボールスプラインの水平方向位置が近いため、ボールスプラインに作用するモーメント荷重も小さい。
【0027】
このように本装置の重量バランス機構はスリーブsの重量によるモーメント荷重を受けないので、前記重量バランス機構の小型軽量化を達成することができる。また、アーム自重によるモーメント荷重も受けないので、従来装置のようなカウンタウエイトを取り付ける必要がなくなり、なお一層の軽量化を図ることができる。
【0028】
カウンタウエイトを不要にできるため、カウンタウエイトが揺動して作業者に当たる心配がなくなり、作業の安全が図れるという利点もある。
なお前記第1実施例において、スリーブホルダ8をスリーブsに挿入した後、スリーブsの抜け落ちを防止するため、スリーブホルダ8にスリーブsの抜け落ち防止部材を取り付けることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明によれば、人が操作して、印刷機ユニットの版胴又はブランケット胴の外層部を構成する円筒形のスリーブを印刷機ユニットの前記版胴又はブランケット胴に取り付けたり、あるいは印刷機ユニットに取り付けられている版胴又はブランケット胴から同スリーブを取り外す作業を行なう際に、前記スリーブを搬送する吊具装置の構造を従来と比べて格段に簡素化及び軽量化を可能とし、これによって装置の取り扱い及び作業能率を飛躍的に向上させたものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の揺動アームの揺動機構を説明する基本構成図である。
【図2】本発明の第1実施例の立面図である。
【図3】前記第1実施例の揺動アームを示す平面図である。
【図4】従来の吊具装置を示す立面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 ボールスプライン
2 支柱
3 荷重検知センサ
5 揺動アーム
7 旋回具
8 スリーブホルダ
9 バランス用エアシリンダ
10 取っ手
11 印刷機ユニット
12 版胴
13 ブランケット胴
14 印刷機カバー
15 印刷機フレーム
16 スリーブ置き台
17 床
s スリーブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷機ユニットのスリーブを印刷機ユニットの同版胴又はブランケット胴に装着するか、又は同スリーブを印刷機ユニットの同版胴又はブランケット胴から取り外すために用いられる印刷機ユニット用吊具装置において、印刷機ユニット又は同印刷機ユニット周辺に設けられた固定台に設置される支持部と、同支持部に旋回可能に設けられ、複数のリンクからなるリンク機構を有する水平面内で揺動可能なアームと、同アームの先端に上下方向に摺動可能に取り付けられたガイド部材と、同ガイド部材の下方部分に水平面内で旋回可能に取り付けられるとともに前記スリーブの内部に挿入されるスリーブホルダと、前記ガイド部材に負荷する荷重を検知する荷重センサと、同荷重センサが検出した荷重検出値に対して相殺する反力を前記荷重負荷点又はその近傍に付加するアクチュエータとを備えたことを特徴とする印刷機ユニット用吊具装置。
【請求項2】
前記アクチュエータが流体圧シリンダであることを特徴とする請求項1記載の印刷機ユニット用吊具装置。
【請求項3】
前記ガイド部材に操作するための把持部を備えたことを特徴とする請求項1記載の印刷機ユニット用吊具装置。
【請求項4】
請求項1記載の印刷機ユニット用吊具装置を備えたことを特徴とする印刷ユニット又は輪転印刷機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−96518(P2006−96518A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−284683(P2004−284683)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)