説明

印刷物の天縁部、地縁部ならびに小口縁部を裁断するための方法及び装置

【課題】
印刷物を天縁部、地縁部及び小口縁部において正確、かつ、経済的に使用可能な手段を用いて裁断するのを可能にすること。
【解決手段】
移送ロータとして形成されつつクランプを備えた移送装置2と、該移送装置2が、引取りステーションにおいて印刷物3を供給し、引渡しステーションにおいて印刷物3を引渡すための軌道上において開口した状態におかれ、引取りステーションと引渡しステーションの間における裁断工具5,7,8による裁断領域において印刷物3がクランプによって挟持され、閉じられている該クランプが引取りステーション通過後に裁断のために裁断軌道34へ移動するよう構成された装置において、裁断領域におけるクランプを第1の制御軌道30から第2の制御軌道28へ移動させ、該制御軌道内において、裁断領域におけるクランプを、裁断工程中に、裁断軌道の接線に対して垂直な位置に配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷物が同期して駆動される移送装置の閉じたクランプ内において、接続された裁断機構の裁断領域を通って移送される様式の、例えば新聞、雑誌、小冊子あるいはこれらの中の一部分のような印刷物の天縁部、脚縁部および小口縁部を裁断するための方法並びに装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は先に述べた様式の装置を開示している。回転する引っ張り手段に固定されたクランプは、印刷物を精密に裁断するために、高い経費をかけてのみ、安定した裁断位置に保持することができ、この公知の装置を組立てるには比較的大きな空域が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際特許第96/34724号明細書
【特許文献2】欧州特許出願第03405709.1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冒頭で述べた本発明の課題は、印刷物を天縁部および地縁部、ならびに小口縁部において正確に、かつ経済的に使用可能な手段を用いて裁断するのを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば上記の課題は、移送装置が外側へ突出しているクランプを備えた移送ローターとして形成されており、これらのクランプが、開いた位置で、引取りステーションで印刷物を供給するための、かつ引渡しステーションで印刷物を引渡すための軌道上を、および印刷物が閉じたクランプ内で固定されていて、かつ裁断するために裁断位置で制御可能である、引取りステーションと引渡しステーションとの間に設けられた裁断機構の裁断領域内を通り過ぎることにより解決される。それにより確実に高い生産成果を達成することができる。
【0006】
移送ローターが、水平方向の回転軸線を形成する、確実に連結した軸受ブロックに支承された少なくとも一つのホイールディスクを備えている場合に、その周囲において、クランプが移送ローターの回転軸線に対して平行に設けられた旋回軸線を中心にして固定されていることが簡単な実施形態として認められている。
【0007】
クランプに属している二つのクランプ部分の間隔を変更するためのホイールディスクが、軸受ブロックにおいて回転軸線を中心にして交互にねじり調節可能であるかあるいは固定可能な、二つの少なくともほぼ互いに隣接している薄板円盤から形成されており、これらの薄板円盤において、各々クランプに属しているクランプ部分は、旋回軸線を中心にして旋回可能に支承されているのは有利であり、したがってクランプは印刷物の厚さに応じて調節可能である。
【0008】
クランプのクランプ部分の旋回軸線が、回転軸線から同じ半径方向の間隔を有しているのが適切であり、従って部分的な製造が簡単にできる。
【0009】
クランプ部分はクランプ板を有しているのが好ましく、このクランプ板により印刷物の面の効果的な固定が可能になる。
【0010】
クランプを作動させるために、クランプのクランプ部分は各々制御軌道と連結した制御レバーを有しているのが好ましく、したがって簡単な制御工程が実現可能である。
【0011】
クランプの回動方向に後から追従する第一クランプ部分は、第一エンドレス制御軌道内で案内される第二制御レバーにより操作することができ、その理由で第一クランプ部分の正確な操作が保証される。
【0012】
同様に印刷物を確実に固定できるように、クランプの回動方向に先立って動くクランプ部分は、第二制御軌道上で案内される第二制御レバーにより操作可能であるこのようにして、第二クランプ部分のクランプ板は、少なくとも裁断機構の裁断領域内で、バネの力によって、第一のクランプ部分のクランプ板対して押圧可能である。すなわちそれにより印刷物の現存する厚さの相違は、例えば選択的に差込む場合に補正可能である。
【0013】
他方においては、第二クランプ部分はバネの力により第二制御軌道に対して押圧され、従ってこの第二クランプ部分は印刷物を引取りかつ取出しするためにその位置に関して制御できる。
【0014】
静止した裁断カッターと、裁断カッターと共に円形の裁断軌道上で協働し、かつ回転するドラムに固定された少なくとも一つの対向カッターとから形成された裁断機構を備えた装置は重要であり、この場合クランプに属しているクランプ部分のクランプ板、あるいは印刷物は、裁断機構の裁断領域内で、裁断軌道に存在する接線に対してほぼ垂直な姿勢を有しており、従ってほぼ平坦面の裁断縁部が形成される。
【0015】
印刷物が裁断の際、裁断領域内かあるいは裁断縁部の後方で固定されて支持されているためには、裁断軌道とクランプの第二のクランプ部分のクランプ板の外側縁部との間に、間隔が存在し、裁断機構の対向カッターが第二のクランプ板に隣接する印刷物の支持装置を形成することが有利である。
【0016】
従って、第一の(後から追従する)クランプ部分のクランプ板の外側縁部は、第二の(先立って動く)クランプ部分のクランプ板の外側縁部に対して、内側に向かって、すなわち移送ローターの回転軸線に向かって位置ずれして形成されている。
【0017】
間隔をおいて設けられた保持クランプ内の印刷物を移送ローターあるいは移送装置に供給する移送機構を備えた本装置においては、印刷物をその背面において支持フィンガーにより案内する支持ドラムが、引渡し/引取り領域内の、移送機構、あるいはぶら下がっていて、かつ束でもって予め供給される印刷物に所属していることは有利である。
【0018】
サイズ差が大きい印刷物を加工するために、共通の軸線に沿って軸方向に調節可能でかつ固定可能な二つの移送ローターにより移送装置を形成することが可能であり,従って印刷物のサイズの大きさに関して、制約のない生産が可能である。
【0019】
これについては、移送装置は鏡像的に、互いに相対していて回転軸線に設けられていることが有利である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図2における切断線I−Iに沿った本発明による装置の横断面図である。
【図2】図1に示した移送装置の矢印IIにおける三次元的側面図である。
【図3】図1に示した移送装置の矢印IIIにおける三次元的側面図あるいは図2に図示した移送装置の背面図である。
【図4】本発明による装置の側面図である。
【図5】本発明による装置の代替えの移送装置の横断面図である。
【図6】図5に示した移送装置の横断面図である。
【図7】供給される印刷物のための把持装置の三次元的図である。
【図8】位置決め装置の三次元的図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明を図を参照して実施例に基づき説明する。
【0022】
図1は例えば新聞、本、雑誌、小冊子あるいはこれらの中の一部分のような印刷物3の天縁部、地縁部および小口縁部を裁断するための、図4に示した装置1の移送装置2を示す。
【0023】
印刷物は移送装置2の移送機構4等により供給される。供給される印刷物3の周期にあわせて駆動される移送装置は、移送ローター2として形成されており、かつ後で説明する、同じ周期で作動している裁断機構5の前方で接続されている。移送装置2はクランプ6の軸線を中心として周囲に分割されて設けられた多数のクランプ6から成り、これらのクランプは、開いた姿勢で、引取りステーションで印刷物3を供給するための、かつ引渡しステーションで印刷物を引渡すための軌道上を通り過ぎる。引取りステーションと引渡しステーションとの間の途中において、クランプ6の軌道上に、各々印刷物3の天部あるいは地部を裁断するための裁断機構5,8ならびに印刷物3を前縁部あるいは小口縁部で裁断するための裁断機構7が、回転方向に対してこのような順番で設けられている(図4参照)。さらに印刷物3の開口側の裁断が、天部および地部を裁断する前に裁断機構7,5,8の相当する装置内で行われることも自明であり、この場合、天部あるいは地部の裁断に関する各々の場合において、それぞれ裁断機構5,8が設けられている。移送ローター2は機械フレームに(明らかではないが)連結している軸受ブロック9に支承されている。図1による実施形態は軸10を有しており、この軸は移送ローター2の回転軸線12を形成しており、かつ軸受ブロック9を貫通して機械フレームに連結している。軸10に対して平行に、ロッド11は軸受ブロック9を通って延びており、このロッドにより、軸10上に滑り座により押込まれる軸受ブロック9は回転できなくなる。回転軸線12の延びる方向で軸受ブロック9をロックするために、ロッド11に沿って、軸受ブロック9の両側に、調節リングが取付けられている。軸10と同様にロッド11も、図1で示した移送ローター2の構造にとっては必ずしも必要でない。なぜならこの構造は所定のサイズ範囲の印刷物3を裁断するために、例えば320mm×235mmのベルリンサイズ用に設けられているからである。印刷物のサイズがもっと大きい場合、例えば360mm×265mmのライン地方サイズかあるいは400mm×295mmの北欧サイズの場合には、クランプ6のより広い捕捉領域が必要であり、このためにさらに説明されるべき、図5および6において示した実施形態が設けられている。
【0024】
ころがり軸受13,14上において、側面で互いに隣接している二つの薄板円盤15,16から形成されたホイールディスク17は、軸受ブロック9に支承されており、そのホイールディスクの周囲において、クランプ6は均等な間隔で固定されており、この場合一方の薄板円盤15はネジ19によりハブ18に固定されており、もう一方の薄板円盤16はネジ20により薄板円盤15にねじり可能に固定されている。薄板円盤15,16の相互の調節は、例えば薄板円盤15内の湾曲部分に形成された間隙の後方でネジ20により行われる。この調節は例えばカムを介して行われる。
【0025】
クランプ6はクランプ6を形成する二つのクランプ部分21,22から成り、これらのクランプ部分は各々薄板円盤15,16に所属し、かつその周囲で移送ローター2の回転軸線12に平行に設けられた旋回軸線23を中心にして支承されている。このために薄板円盤15,16用のジャーナル軸受23,24が設けられており、このジャーナル軸受は薄板円盤15,16と、解除可能にあるいは不動に連結している。これらの旋回軸線を形成しているジャーナル軸受23,24上には、各々クランプ6のクランプ部分21,22に所属している、旋回運動の際移動可能な第一制御レバー25かあるいは第二制御レバー26がある。
【0026】
例えば移送ローター2の駆動は、図示していない駆動されるピニオンによって、内側有歯部を備え、かつ移送ローター2に回転軸線12に対して同心的にクランプ6内において定された歯付リム63に作用して行われる。
【0027】
クランプ部分21に所属する第一制御レバー25は、第一クランプ板27に固定されており、かつ自由に回転可能なローラー59が固定されているレバー自由端でもって第一制御軌道28内で案内されている。
【0028】
クランプ部分22は、第二制御レバー26が固定されている第二クランプ板29を備えており、この第二制御レバーの自由端は第二制御軌道30において案内されている。
【0029】
回転方向において、クランプ6のクランプ部分22はクランプ部分21に先行するが、後から追従するクランプ部分21はクランプ板27を有しており、その外側端部はクランプ板27が閉じた場合、クランプ部分22のクランプ板29の外縁部の内側にある。
【0030】
図4は、移送ローター2の上方にある印刷物3のための供給装置31、印刷物3を天部及び地部で裁断するための裁断機構5,8、印刷物3の小口縁部すなわち正面縁部を裁断するための、移送方向で接続している裁断機構7、および後続する引取り装置32と協働している状態の移送ローター2を示している。クランプ6の追従するクランプ部分21のクランプ板27の外側縁部が位置ずれしている理由は、印刷物3の小口縁部を裁断するための、裁断機構7を形成することにある。裁断機構7に関しては、印刷物を裁断するための装置として、特許文献2があり、この特許文献の場合印刷物は、裁断されるべき側縁部でもって、静止した裁断カッター33と、この側縁部と円形状の裁断軌跡34上で協働し、かつ回転するドラム35に固定された多数の対向カッター36とから形成された裁断機構7に供給される。静止した裁断カッター33が通過する間に、裁断されるべき端部を備えた印刷物3は先立って動くクランプ板29と、印刷物3を裁断するために支持し、かつ静止した裁断カッター33と協働する対抗カッター36との間にある。裁断機構5,8は、この構造は裁断機構7においても設けられているものと同じ構造である。その他の点で、先行するクランプ部分22のクランプ板29は、外側端部においてほぼ長方形の切り欠き部37を有しており、この切り欠き部は、裁断される印刷物3を捕捉するために、引取り装置32の制御されるグリッパ38を通過して設けられており、かつ印刷物3を引取りステーションにおいてクランプ6に慎重に引渡すかあるいは供給するのに使用される。引取り装置32は矢印方向Eに駆動されるホイールであり、このホイールの周囲において、開放位置あるいは閉鎖位置には制御可能なグリッパ38が固定されており、この引取り装置は開いたグリッパ38内へ入り込む印刷物3をグリッパ38の閉鎖運動により把持し、かつさらに別の加工装置へ移送する。
【0031】
時計の文字盤を基にすると、図4によれば、引取りステーションはほぼ1時に、天縁部および地縁部裁断用裁断機構5,8は9時に、小口縁部用裁断機構7はほぼ5時に、そして引渡しステーションあるいは取出し装置はほぼ4時に設けられている。この配設方法は必ずしも守られていない。
【0032】
個々の加工段階は、移送ローター2の既定の回転角度範囲に渡り、前述の位置で行われる。第一及び第二制御軌道28,30あるいは制御軌道区間は、クランプ3あるいはクランプ部分21,22が制御される回転角度範囲に所属している。エンドレスの第一制御軌道28に、薄板円盤16に枢着している制御レバー26が係合し、この制御レバーは軌道上で、追従するクランプ部分21をもう一方のクランプ部分22と対応する位置に移動させ、この位置においてクランプ部分22は第二制御軌道30により、クランプ6がその軌道上で回転方向で引取り位置の前方で開くように運動し、その後徐々に閉じ、印刷物3の天縁部及び地縁部、ならびに小口縁部を裁断する前に、印刷物はクランプ部分21,22あるいはクランプ板27,29間で、十分全面的に固定されている。すなわち、印刷物3は天部/地部裁断部と小口縁部の前面裁断部との間の部分上で固定されている。引渡しステーションまでの他の経路では、クランプ6は開いており、従って引取り装置32は三つの縁部で裁断された印刷物3をクランプ6から取り出すことができる。引取りステーションと天部及び地部裁断用の裁断機構5,8との間の区間において、クランプ6は−図4に示したように−差し当たり全面的には閉じられてはおらず、従って印刷物3はその姿勢に関して正確に整向することができる。
【0033】
天縁部および地縁部裁断を軌道上で連続して実施することは不可能ではない。印刷物3において天部及び地部を裁断するために、移送ローター2の両側に設けられた裁断機構5及び8は、クランプ6の軌道に沿って相対するように固定されている。
【0034】
軌道上で後から追従するクランプ部分21は、制御レバー26によりクランク状に形成された第一制御軌道28内に強制的に案内されているが、それに対してクランプ部分22は引張バネ39を用いて第二制御軌道30に押圧されるレバー25により案内されている。制御軌道30はクランプ部分22の開口運動のために設けられており、かつ移送ローター2の回転軸線12を中心にして、印刷物3がクランプ6内でルーズに持ち上げられている角度領域内に延在している。現時点でこの角度領域は約180°である。レバー25の案内ローラー40が第二制御軌道30を離れると同時に、裁断機構5,8および7の裁断領域が始まる前に、引張バネ39は制御軌道28内で案内されるクランプ板27に抗して、印刷物3のパッドの下の先行するクランプ板29を押圧し、従って印刷物3はクランプ6内で固定されている。
【0035】
裁断機構5,8および7の裁断範囲に達する場合、静止した裁断カッター33と、裁断カッター33と円形の裁断軌跡上で協働し、かつ回転するドラム35上で固定された多数の対向カッター36とから形成された隣接する裁断機構5,8および7にあっては、クランプ6に属しているクランプ部分21,22の裁断板27,29が、裁断機構5,8および7の裁断範囲に渡り、裁断軌道に沿って存在する接線に対してほぼ直角の姿勢を有するように、クランプ6は制御軌道28およびクランプ部分21の制御レバー26を介して案内される。印刷物3の厚さに関する相違は、レバー25に作用する引張バネ39により補正される。
【0036】
印刷物3の厚さが一般的に新たな塗布処理によって変更になった場合、ホイールディスク17を形成する薄板円盤15,16が、両方の側の捩れあるいは薄板円盤15に対する薄板円盤16の捩れによって、位置を変えるかあるいは調節されることにより、クランプ6は厚さの変化に適合でき、従ってクランプ板27,29は、印刷物3が面全体でもって固定された場合、相互に押圧される。クランプ位置の変更は、薄板円盤15内で円弧状のスリットを貫通するする、薄板円盤16内に固定されたネジ20を緩めることにより行われる。薄板円盤15を厚さの変わった分だけ捩った後、ネジを再度固定する。クランプ6の調節が対応する処置により動力的に実施されることは言うまでもない。
【0037】
図4に示すように、印刷物3は移送機構42のクランプ41内で一定の間隔をおいて移送ローター2に供給され、この場合印刷物3は小口側あるいはブルーメ(Blume)において保持クランプ41内で固定されており、かつ下方へぶら下がっている。移送ローター2により引き取るために、印刷物3は開放したクランプ6の二つのクランプ板27,29の間に挿入され、かつ移送装置42の保持クランプ41内で特に、印刷物が位置決め用取付け具55上で起立するまでずっと保持される。印刷物3をその天縁部及び地縁部裁断に関して正確に置くことができるようにクランプ6は開いている。
【0038】
裁断円に接触する軌道上にある移送ローター2内の印刷物3、および裁断円上の裁断機構5,8,7は同じ速度を有しており、さらにクランプの間隔と回転する対向カッター36の間隔は同じ大きさである。このように同じであることは、取り出し装置32のグリッパ38に適用される。
【0039】
この関係において、図4に図示した実施例の場合、移送ローターとして形成された移送装置2がベルトコンベア42に同期して後方で接続されており、移送装置2に移送するのに効果的に連結した取出し装置32が続くことは固持しなければならない。
【0040】
クランプ供給を補助するために、図4に示すように、ベルトコンベア42の保持クランプ41に吊下がっている印刷物3上に作用する案内補助手段が、周期的に関連して回転する支持ドラム43の形で使用される。この支持ドラム43−図7参照−は、その周囲にローター44から横に張出しているフィンガー45を備え、これらのフィンガーは曲がった自由端を有しており、かつ引取り領域内に入る印刷物3を背面部で支持するように帯同する。この目的のために、フィンガー45はその位置に関して制御されている。すなわち、印刷物3がベルトコンベア42のクランプ41から離脱し、かつ移送ローター2のクランプ6内に存在すると同時に、フィンガーはクランプ板27の軌道を横切り、この軌道から脱出する。印刷物3を支持ドラム43に良好に支持するために、各々二つの支持フィンガー45が設けられている。支持条片47がクランプ部分21のクランプ板27の傍らを通過できるように、さらに支持フィンガー45は縦方向に延びるスリット46を有している。前述の支持条片47はクランプ6のクランプ部分21のクランプ板27における印刷物3の接触面を拡張させる。
【0041】
図4による装置1の配設方法にあって、印刷物3を供給するために規定された移送機構42は、規則的な間隔をおいて移動する保持クランプ41と隣接しており、かつ移送ローター2の上方に設けられている。この移送機構2は、一定の傾斜状態を有しており、印刷物3は登り部分上において引渡しステーションあるいは引渡し領域に達しかつ通過する。必ずしも必要ではないこの傾斜状態により、移送ローター2のクランパ6の軌道上で、引渡しステーションから裁断機構5,8まで移送区間が形成され、この移送区間上でクランパ6内にある印刷物3を、その側面位置に関して天部および地部裁断前に整向するかあるいは制御することができる。さらに移送装置2の供給区間が水平方向に整向されていて、しかしながらそれにより裁断機構5,8を同じように配設した場合に、整向区間が短くなるかあるいは整向作業の時間が短くなることは自明である。
【0042】
図5および6において、移送装置2の簡素化して図示した実施形態を示すが、この移送装置を用いて寸法の差が大きい印刷物を加工することができる。
【0043】
このために図1〜4に示した移送ローターが二つ設けられており、これらのローターは共通の軸線12に沿って軸方向に調節可能かあるいは固定可能である。これらのローターの配設方法は左右逆である。各々二つに分かれたクランプ板27,29を有するクランプ6あるいはそのクランプ部分21,22が際立った違いを形成する。図5は、印刷物3が最小限の広さでもって捕捉可能であるかあるいはクランプ6内において固定可能であり、言い換えると移送ローターが最小間隔まで調節可能である位置において、印刷物3を固く保持している。それに対して、図6は移送ローターの間隔が広い状態の印刷物3を示しており、従って最大の印刷紙サイズがクランプ6内で固定可能である。
【0044】
印刷物3の最小サイズと同様最大サイズもクランプ板27,29に十分当接するように、すなわち最適に固定された状態であるために、二つに分かれたクランプ板27,29は、間隔をおいてずらされたフィンガー状の突出部50を有しており、相互に入り込む板部材48,49により形成されている。二つの移送ローターのクランプ6の二つの制御レバー25あるいは26は各々、板部材48,49から形成された各々二つのクランプ板27,29と制御可能に連結している。
【0045】
共通の軸線12に沿ったホイールディスク17の調節は、スピンドルナット駆動機構51を用いて行われる。駆動可能なスピンドル52は軸受ボックス9を貫通し、これらのブロック内でナット53,54は各々、右回りのネジ山あるいは左回りのネジ山とスピンドルネジ山に適合するように固定されている。
【0046】
移送装置2のクランプ6により印刷物3を引取るために、移送装置42から吊下がっている印刷物3は、その背面でもって図8に示す、配設に基づき、移送機構42と移送装置2との間で、反時計回りに約1時から11時まで延在している、位置決め装置55上に置かれ、かつ開口したクランプ6に供給される。クランプ6内での最終的な加工位置が得られると同時に、印刷物は制御軌道28とバネ39の力により閉じられ、かつ続いて裁断機構5,7,8を通過する。回転軸線12内で固くクランプされた位置決め装置55は、印刷物3の移送経路上で、例えば移送装置2の速度でもって同じように駆動される横方向に間隔をおかれた二つのエンドレスのベルト56を有しており、これらのベルトは相前後して設けられた多数のローラー57上に載置されている。位置決め装置55は、裁断されるべき印刷物3のサイズに対して調節可能に形成されている。
【0047】
調節可能な芯だし装置60により、横方向で帯同するベルト61によりクランプ6を閉じる前に、印刷物3の正確な側方位置が得られる。
【符号の説明】
【0048】
2 移送装置
3 印刷物
5 裁断工具
6 クランプ
7 裁断工具
8 裁断工具
12 回転軸線
15 円盤状薄板
16 円盤状薄板
17 ホイールディスク
21 クランプ部分
22 クランプ部分
25 制御レバー
26 制御レバー
27 クランプ板
28 制御軌道
29 クランプ板
30 制御軌道
33 裁断カッター
34 裁断軌道
35 ドラム
36 対向カッター
39 バネ
41 保持クランプ
42 移送機構
43 支持ドラム
45 支持フィンガー
55 位置決め装置
56 ベルト
57 ローラー
62 軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷物(3)が同期して駆動される移送装置(2)の閉鎖されたクランプ(6)内において、接続された裁断ユニット(5,7,8)の裁断領域を通って移送される印刷物(3)の天縁部、地縁部および小口縁部を裁断するための方法であって、前記移送装置(2)が外側へ突出しているクランプ(6)を備えた移送ローターとして形成され、該移送装置(2)が、引取りステーションにおいて印刷物を供給し、引渡しステーションにおいて印刷物を引渡すための軌道上において開口した状態におかれ、前記引取りステーションと前記引渡しステーションの間における裁断工具(5,7,8)による裁断領域において印刷物が前記クランプによって挟持され、閉じられている該クランプが、前記引取りステーション通過後に、裁断のために裁断軌道(34)へ移動する、前記方法において、
少なくとも印刷物(3)の天縁部及び地縁部を裁断するために、前記裁断領域における前記クランプを円形状の第1の制御軌道(30)から中間の第2の制御軌道(28)へ移動させ、該制御軌道内において、前記裁断工具(5,7,8)による前記裁断領域における前記クランプを、裁断工程中に、前記裁断軌道の接線に対して垂直な位置に保持することを特徴とする方法。
【請求項2】
印刷物(3)が同期して駆動される移送装置(2)の閉鎖されたクランプ(6)内において、接続された裁断ユニット(5,7,8)の裁断領域を通って移送される印刷物(3)の天縁部、地縁部および小口縁部を裁断するための装置であって、前記移送装置(2)が外側へ突出しているクランプ(6)を備えた移送ローターとして形成されており、該移送装置(2)が、引取りステーションにおいて印刷物を供給し、引渡しステーションにおいて印刷物を引渡すための軌道上において開口した状態におかれ、前記引取りステーションと前記引渡しステーションの間における裁断工具(5,7,8)による裁断領域において印刷物が前記クランプによって挟持され、閉じられている該クランプが前記引取りステーション通過後に裁断のために裁断軌道(34)へ移動するよう構成された前記装置において、
少なくとも印刷物(3)の天縁部及び地縁部を裁断するために、前記裁断領域における前記クランプを円形状の第1の制御軌道(30)から中間の第2の制御軌道(28)へ移動させ、該制御軌道内において、前記裁断工具(5,7,8)による前記裁断領域における前記クランプを、裁断工程中に、前記裁断軌道の接線に対して垂直な位置に配置したことを特徴とする装置。
【請求項3】
前期移送装置(2)が、水平方向の回転軸線を形成する、確実に連結した軸受ブロック(9)に支承された少なくとも一つのホイールディスク(17)を備え、その周囲において、前記クランプ(6)が前記移送装置(2)の回転軸線(12)に対して平行に設けられた旋回軸線を中心にして固定されていることを特徴とする請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記クランプ(6)に属している二つのクランプ部分(21,22)の間隔を変更するための前記ホイールディスク(17)が、前記軸受ブロック(9)において前記回転軸線(12)を中心にして交互にねじり調節可能でかつ固定可能な、二つの少なくともほぼ互いに隣接している円盤状薄板(15,16)から成り、これらの円盤状薄板において、前記各クランプ(6)に属している前記クランプ部分(21,22)が、旋回軸線を中心にして旋回可能に支承されていることを特徴とする請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記クランプ(6)の前記クランプ部分(21,22)の前記旋回軸線が、前記回転軸線(12)から同じ半径方向の間隔を有しておりことを特徴とする請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記クランプ部分(21,22)がクランプ板(27,29)を有していることを特徴とする請求項4または5に記載の装置。
【請求項7】
前記クランプ(6)の前記クランプ部分(21,22)が、前記各制御軌道(28,30)と連結した制御レバー(25,26)を有していることを特徴とする請求項4又は6に記載の装置。
【請求項8】
前記クランプの回動方向に後から追従する第1クランプ部分(21)が、エンドレスの前記第1の制御軌道(28)内で強制的に案内される第1制御レバー(25)により操作されていることを特徴とする請求項4〜7のいずれか一つに記載の装置。
【請求項9】
前記クランプの回動方向に先行して動く第2クランプ部分(22)が、前記第2の制御軌道(30)上で案内される第2制御レバー(26)により操作可能であることを特徴とする請求項4〜8のいずれか一つに記載の装置。
【請求項10】
前記クランプ(6)の前記第1クランプ部分(21)を開閉運動させるための前記第1の制御軌道(28)が形成されていることを特徴とする請求項8記載の装置。
【請求項11】
前記クランプ(6)の前記第2クランプ部分(22)を開放運動させるための前記第2の制御軌道(30)が形成されていることを特徴とする請求項9記載の装置。
【請求項12】
前記第2クランプ部分(22)のクランプ板(29)が、少なくとも前記裁断工具(5,7,8)の裁断領域内で、バネ(39)の力によって、前記第1クランプ部分(21)のクランプ板(27)に対して押圧可能であるように構成されていることを特徴とする請求項9または11に記載の装置。
【請求項13】
前記第2クランプ部分(22)が、バネ(39)の力により前記第2の制御軌道(30)に対して押圧されていることを特徴とする請求項5〜12のいずれか一つに記載の装置。
【請求項14】
静止した裁断カッター(33)と、該裁断カッター(33)と共に円形状の前記裁断軌道(34)上で協働し、かつ回転するドラム(35)に固定された少なくとも一つの対向カッター(36)とから形成された前記裁断機構(5,7,8)を備えた請求項2〜13のいずれか一つに記載の装置において、
前記クランプ(6)に属している前記クランプ部分(21,22)の前記クランプ板(27,29)が、前記裁断工具(5,7,8)による裁断領域内で、前記裁断軌道(34)に存在する接線に対してほぼ垂直な姿勢を有していることを特徴とする装置。
【請求項15】
前記裁断軌道(34)と前記クランプ(6)の前記第2クランプ部分(22)の前記クランプ板(29)の外側縁部との間に、間隔が存在し、前記裁断工具(5,7,8)における前記対向カッター(36)が第2クランプ板(29)に隣接する印刷物(3)の支持装置を形成するように構成されていることを特徴とする請求項14記載の装置。
【請求項16】
、前記第1クランプ部分(21)のクランプ板(27)の外側縁部が、前記第2クランプ部分(22)のクランプ板(29)の外側縁部に対して、内側に向かって、位置ずれしていることを特徴とする請求項14または15に記載の装置。
【請求項17】
間隔をおいて設けられた保持クランプ(41)内の印刷物(3)を前記移送装置(2)に供給する移送機構(42)を備えた請求項2〜16のいずれか一つに記載の装置において、
印刷物(3)をその背面において支持フィンガー(45)により案内する支持ドラム(43)が、引渡し領域内の前記移送機構(42)に所属していることを特徴とする装置。
【請求項18】
前記移送装置(2)が共通の軸線(12)に沿って軸方向に調節可能でかつ固定可能な二つの移送ローターを有していることを特徴とする請求項2〜17のいずれか一つに記載の装置。
【請求項19】
前記移送ローターが鏡対称に回転軸線(12)に沿って設けられていることを特徴とする請求項18記載の装置。
【請求項20】
印刷物(3)の引取り領域内において、前記クランプ(6)内における印刷物の端部位置に応じて調節可能な位置決め装置(55)が設けられていることを特徴とする請求項17〜19のいずれか一つに記載の装置。
【請求項21】
前記位置決め装置(55)が、クランパ(6)の両側で、回転するローラー(57)上に載置されていて、かつ回動するベルト(56)を有していることを特徴とする請求項20記載の装置。
【請求項22】
湾曲した区間上で相前後して設けられた前記ローラー(57)が、印刷物(3)の移送方向における前記位置決め装置(55)の前方の端部において、前記回転軸線(12)に対して平行な軸(62)の周囲で旋回可能であるように構成されていることを特徴とする請求項21記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−255499(P2011−255499A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156705(P2011−156705)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【分割の表示】特願2005−39580(P2005−39580)の分割
【原出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【出願人】(502200092)ミュラー・マルティニ・ホルディング・アクチエンゲゼルシヤフト (51)