説明

印刷物作成プログラム及び印刷物作成方法

【課題】各印刷物作成装置の作業分担を高精度に均等化し、複数の印刷物を確実に迅速に作成する。
【解決手段】複数の印字ラベル作成装置1A〜1Cを操作するための端末118は、印字データに基づき決定された、当該複数の印字ラベルLそれぞれのラベル長さXを取得し、切断機構15による1回の切断動作に要する切断時間Tcを当該切断時間Tcの経過中に所定速度Vsによる搬送距離に換算した切断換算距離Xcが、ラベル長さXに対して加算され生成される処理長さXtを、各印字ラベルLごとに算出し、複数のラベル作成ジョブの分配対象となる複数の印字ラベル作成装置1A〜1Cを決定し、複数の印字ラベルLを作成するための複数のラベル作成ジョブを、複数の印字ラベル作成装置1A〜1Cに対し分配して割り当てて、各印字ラベル作成装置1ごとに割り当てられる印字ラベルLの処理長さXtの総計を互いに略均等とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望の印字が形成された印刷物を作成するための印刷物作成プログラム及び印刷物作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被印字媒体に所望の印字を行い印字後の被印字媒体を切断して印刷物を作成する印刷物作成装置を複数台用意し、これら複数の印刷物作成装置を操作端末やサーバに接続して使用する手法が従来知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この従来技術では、サーバ(印刷サーバ)は、複数の印刷物を作成するとき、当該複数の印刷物を作成するための複数の印刷物作成ジョブを、複数の印刷物作成装置(プリンタ)に適宜に分配する。これにより、複数の印刷物作成作業を各印刷物作成装置で分担して同時並行して行うことができ、複数の印刷物を迅速に作成可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−341869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術では、印刷物の数(ページ数)の大小に応じて、未処理の印刷物の数が所定のしきい値より多い場合には、当該印刷物に係わる印刷物作成ジョブを別の印刷物作成装置に割り当てることで、複数の印刷物の作成の迅速化を図っている。すなわち、印刷物の数を基準として、複数の印刷物作成装置に対する印刷物作成ジョブの分配を行っている。
【0006】
ここで、上記のような印刷物作成装置での印刷物作成作業においては、搬送方向における印字距離(あるいは印刷物の長さ)が長いほど印字作業に時間がかかる。したがって、上記のようにして例えば印刷物の数の総計が略同等となるように各印刷物作成装置へ印刷物作成ジョブが割り当てられたとしても、印字距離や長さが長い印刷物を作成する印刷物作成装置の作業時間は、印字距離や長さが短い印刷物を作成する印刷物作成装置の作業時間よりも、やや長くなる。上記従来技術においては、このような点には特に配慮されていない。この結果、各印刷物作成装置の作業分担を高精度に均等化するのは困難であった。
【0007】
本発明の目的は、各印刷物作成装置の作業分担を高精度に均等化し、複数の印刷物を確実に迅速に作成することができる、印刷物作成プログラム及び印刷物作成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本願発明は、被印字媒体を所定速度で搬送させるための搬送手段、前記搬送手段により搬送される前記被印字媒体に対し、印字データに基づく印字を行う印字手段、及び、前記印字手段により印字がなされた前記被印字媒体を切断する切断手段を有し、前記搬送手段の搬送方向に沿った前記印字データに基づく所望の長さを備えかつ所望の印字が前記被印字媒体に形成された複数の印刷物をそれぞれ作成可能な、複数の印刷物作成装置を操作するための操作端末に備えられた演算手段に対し、前記複数の印刷物それぞれに係わる前記印字データに基づき決定された、当該複数の印刷物それぞれの前記搬送方向に沿った第1長さを取得する情報取得手順と、前記切断手段による前記被印字媒体の1回の切断動作に要する切断時間を、当該切断時間の経過中に前記搬送手段が前記所定速度により前記印刷物を搬送する搬送距離に換算した切断換算距離が、前記情報取得手順により取得された各印刷物の前記第1長さに対して加算され生成される第2長さを、各印刷物ごとに算出する長さ算出手順と、前記複数の印刷物を作成するための複数の印刷物作成ジョブの分配対象となる前記複数の印刷物作成装置を決定する装置決定手順と、前記長さ算出手順で前記第2長さがそれぞれ算出された前記複数の印刷物を作成するための前記複数の印刷物作成ジョブを、前記装置決定手順で決定された前記複数の前記印刷物作成装置に対し分配して割り当てて、各印刷物作成装置ごとに割り当てられる少なくとも1つの前記印刷物の前記第2長さの総計を互いに略均等とする、ジョブ割り当て手順と、を実行させる。
【0009】
本願発明の印刷物作成プログラムが操作端末の演算手段で実行されると、印刷物作成装置では、被印字媒体が、搬送手段により所定速度で搬送される。搬送される被印字媒体に対し印字手段が所望の印字を行い、その印字後の被印字媒体を切断手段が切断することにより、印刷物が作成される。
【0010】
この操作端末は、複数の印刷物作成装置に接続されており、複数の印刷物を作成するとき、当該複数の印刷物を作成するための複数の印刷物作成ジョブを、それら複数の印刷物作成装置に適宜に分配することができる。このように複数の印刷物作成作業を各印刷物作成装置で分担して同時並行して行うことにより、それら複数の印刷物を迅速に作成可能となっている。その際、搬送方向における印刷物の長さが長いほど(搬送手段で搬送しつつの)印字手段の印字作業に時間がかかることから、上記印刷物作成ジョブの分配にあたっては、各印刷物作成装置ごとに割り当てられる印刷物の上記搬送方向長さの総計が、互いに略均等となるように図られる。
【0011】
さらに、上記のように印字形成後の被印字媒体を切断して印刷物を作成する場合においては、上記印字手段の印字作業に要する時間のほか、印字終了後における切断手段による被印字媒体の切断作業に要する時間(切断時間)がある。このため、例えば印刷物の長さの総計が同等となるように各印刷物作成装置へ印刷物作成ジョブが割り当てられたとしても、作成する印刷物の枚数(言い換えれば切断作業の回数)が多い印刷物作成装置の作業時間は、作成する印刷物の枚数が少ない印刷物作成装置の作業時間よりも、やや長くなる。
【0012】
そこで、本願発明では、印刷物作成ジョブの分配にあたり、印刷物の搬送方向長さに加え、さらに上記切断時間が加味される。すなわち、上記切断時間が、当該切断時間の経過中に搬送手段が上記所定速度により搬送する搬送距離(切断換算距離)に換算される。なおこの切断時間は1回の切断作業に要する時間であり、印刷物の長さや搬送手段の搬送速度に関係なく、常に一定の値(固定値)となる。したがって換算のための演算は一度だけ行えば足り、あるいは、予め算出したものを固定的に記憶しておいてもよい。そして、長さ算出手順において、情報取得手順で取得された各印刷物の搬送方向長さ(第1長さ)に対して上記切断換算距離が加算され、第2長さが算出される。その後、ジョブ割り当て手順において、装置決定手順で決定された複数の印刷物作成装置それぞれに対し、各印刷物作成装置ごとに割り当てられる印刷物の上記第2長さの総計が互いに略均等となるように、複数の印刷物作成ジョブが割り当てられる。このように、印刷物の搬送方向長さにさらに切断時間を組み込んだ形で印刷物作成ジョブの割り当てを行うことにより、各印刷物作成装置の作業分担の均等化を高精度に図ることができ、複数の印刷物を確実に迅速に作成することができる。
【0013】
なお、各印刷物の印字距離(各印刷物の搬送方向長さにほぼ対応づけられる)を印字手段の印字作業に要する時間(印字時間)に換算し、各印刷物作成装置ごとに割り当てられる印刷物の上記印字時間及び切断時間の総計を、互いに略均等となるようにする手法も考えられる。しかしながらこの場合は、印字データにより取得される各印刷物における印字距離を、さらに印字時間に換算する必要がある。この演算は各印刷物ごとに行う必要がある。これに対し、上記本願発明のように各印刷物の搬送方向長さ(第1長さ)及び切断換算距離の総計を互いに略均等とする手法の場合、上記印字距離から印字時間への変換が不要となる。したがって、本願発明においては、処理速度を向上できるという効果もある。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、各印刷物作成装置の作業分担を高精度に均等化し、複数の印刷物を確実に迅速に作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態の操作端末により操作される印字ラベル作成装置を備えた印字ラベル生成システムを表すシステム構成図である。
【図2】印字ラベル作成装置の全体構造を表す斜視図である。
【図3】筐体内に備えられる内部ユニットをカートリッジとともに模式的に表す拡大平面図である。
【図4】印字ラベル作成装置の制御系を表す機能ブロック図である。
【図5】作成されたラベルの外観の一例を表す上面図、及び、下面図である。
【図6】図5(a)中VI−VI′断面による横断面図を反時計方向に90°回転させた図である。
【図7】比較例による、各印字ラベル作成装置へのラベル作成ジョブを説明するための説明図である。
【図8】比較例による、各印字ラベル作成装置へのラベル作成ジョブの分配の問題点を説明するための説明図である。
【図9】本発明の一実施形態の操作端末におけるラベル作成ジョブの分配を説明するための説明図である。
【図10】操作端末が実行する、ラベル作成ジョブの分配処理の制御内容を表すフローチャートである。
【図11】操作端末の制御に基づきラベル作成装置が実行する印字ラベル作成処理の制御内容を表すフローチャートである。
【図12】1つの印字ラベルの中にハーフカット線が形成される変形例を表す上面図及び下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、本発明を印字ラベルの生成システムに適用した場合の実施形態である。
【0017】
本実施形態における印刷物作成装置である印字ラベル作成装置と、本実施形態における印刷物作成方法を実行するために上記印字ラベル作成装置に接続された端末と、を備えた印字ラベル生成システムを図1に示す。この印字ラベル生成システムLSにおいて、複数の印字ラベル作成装置1(この例では3台の印字ラベル作成装置1A,1B,1C)が、有線あるいは無線による通信回線NWを介して、例えば汎用コンピュータからなる端末118(操作端末)に接続されている。
【0018】
端末118は、キーボード又はマウス等からなる操作部118aと、液晶ディスプレイ等からなる表示部118bと、CPU(演算手段)、RAM、ROM、及びHDD(いずれも図示省略)等を備えている。上記CPUは、RAMの一時記憶機能を利用しつつ、上記HDDに予め記憶された各種プログラムを実行する。これにより、印字ラベル作成装置1全体の制御を行う。そして、上記記憶されたプログラムには、3台の印字ラベル作成装置1A,1B,1Cを用いて複数の印字ラベルLを作成するときにおける作成するラベルの分配を行うため(すなわち本実施形態の印刷物作成方法を実行するため)のプログラム(印刷物作成プログラム。後述の図10のフロー参照)も含まれる。
【0019】
<ラベル作成装置の全体構造>
上記印字ラベル作成装置1A,1B,1Cの全体構造を図2を用いて説明する。なお、これら3台の印字ラベル作成装置1A,1B,1Cは互いに同等の構造であり、それぞれを区別する必要のない場合には、以下適宜、単に「印字ラベル作成装置1」と称する。
【0020】
図2に示すように、印字ラベル作成装置1は、外郭に略六面体(略立方体)形状の筐体200を有する装置本体2と、この装置本体2の上面に開閉可能(又は着脱可能としてもよい)に設けられた開閉蓋3とを有している。
【0021】
装置本体2の筐体200は、装置前方側(図2中、左手前側)に位置し、装置本体2内で作成された印字ラベルLを外部に排出するラベル排出口11を備えた前壁10と、この前壁10のうちラベル排出口11の下方に設けられ下端が回動可能に支持された前蓋12とを備えている。
【0022】
前蓋12は押部13を備えており、この押部13を上方より押し込むことで前蓋12が前方に開放されるようになっている。また、前壁10の一端部には、印字ラベル作成装置1の電源のオン・オフを行う電源キー14が設けられている。この電源キー14の下方には、装置本体2内に配設された切断機構15(後述の図3参照)を使用者の手動操作で駆動可能とするためのカッター駆動キー90が設けられている。
【0023】
開閉蓋3は、装置本体2の図2中右奥側の端部にて回動可能に軸支され、バネ等の付勢部材を介して常時開放方向に付勢されている。そして、装置本体2の上面に開閉蓋3に隣接するように配置された開閉ボタン4が押されることにより、開閉蓋3と装置本体2とのロックが解除され、上記付勢部材の作用により開放される。なお、開閉蓋3の中央側部には、透明カバーで覆われた透視窓5が設けられている。
【0024】
<内部ユニット>
筐体200内に備えられる内部ユニットを図3を用いて説明する。図3に示すように、印字ラベル作成装置1の内部ユニットは、概略的には、カートリッジ7を収納するカートリッジホルダ6と、印字手段としての印字ヘッド(サーマルヘッド)23を備えた印字機構21と、切断機構(全切断手段、切断手段)15と、固定刃40及び可動刃41のテープ搬送方向下流側に位置し、受け台38及びハーフカッタ34を備えたハーフカットユニット35(半切断手段、切断手段)と、ラベル排出機構(図示せず)とが設けられている。
【0025】
印字ヘッド23は多数の発熱素子を備えており、カートリッジホルダ6に立設されたヘッド取付部(図示せず)に取り付けられている。
【0026】
カートリッジホルダ6は、カートリッジ7のテープ排出部より排出されさらに上記ラベル排出口11から排出される印字済みラベル用テープ109の幅方向の向きが、鉛直上下方向となるようにカートリッジ7を収納する。
【0027】
カートリッジ7は、筐体7Aと、この筐体7A内に配置され帯状の基材テープ101が巻回された第1ロール102(実際は渦巻き状であるが、図では簡略的に同心円状に示す)と、上記基材テープ101と略同じ幅である透明なカバーフィルム103が巻回された第2ロール104(実際は渦巻き状であるが、図では簡略的に同心円状に示す)と、インクリボン105(熱転写リボン、但し被印字テープが感熱テープの場合は不要)を繰り出すリボン供給側ロール111と、印字後のリボン105を巻取るリボン巻取りローラ106と、カートリッジ7のテープ排出部の近傍に回転可能に支持されたテープ送りローラ27とを有する。なお、上記カバーフィルム103と、当該カバーフィルム103に上記基材テープ101が貼り合わされた上記印字済みラベル用テープ109とが、各請求項記載の被印字テープ及び被印字媒体を構成する。
【0028】
第1ロール102は、リール部材102aの周りに上記基材テープ101を巻回している。基材テープ101はこの例では4層構造となっており(図3中部分拡大図参照)、内側に巻かれる側(図3中右側)よりその反対側(図3中左側)へ向かって、適宜の粘着材からなる粘着層101a、PEL(ポリエチレンテレフタラート)等から成る色付きのベースフィルム(基材層)101b、適宜の粘着材からなる粘着層(貼り付け用粘着剤層)101c、剥離紙(剥離材層)101dの順序で積層されている。
【0029】
ベースフィルム101bの表側(図3中右側)には、後にカバーフィルム103を接着するための上記粘着層101aが形成され、またベースフィルム101bの裏側(図3中左側)には、上記粘着層101cによって上記剥離紙101dがベースフィルム101bに接着されている。
【0030】
第2ロール104は、リール部材104aの周りに上記カバーフィルム103を巻回している。
【0031】
筐体7Aは被検出部190を有している。一方カートリッジホルダ6の上記被検出部190に対応する位置には、カートリッジセンサ81が設けられている。このカートリッジセンサ81は、カートリッジ7の装着状態を検出するとともにカートリッジ7の種類に関するカートリッジ情報(テープ属性情報)を検出する。
【0032】
一方、カートリッジホルダ6にはまた、ローラホルダ(図示せず)が支持軸により回動可能に枢支され、切換機構により印字位置(当接位置)とリリース位置(離反位置)とに切換可能とされている。このローラホルダには、プラテンローラ26及びテープ圧接ローラ28が回転可能に配設されている。そして、ローラホルダが上記印字位置に切り換えられたときに、それらプラテンローラ26及びテープ圧接ローラ28が上記印字ヘッド23及び上記テープ送りローラ27に対し圧接される。カートリッジ7のテープ送りローラ27は、上記基材テープ101と上記カバーフィルム103とを押圧し接着させ上記印字済みラベル用テープ109としつつ、図3中矢印Aで示す方向にテープ送りを行う。なお、リボン巻取りローラ106及びテープ送りローラ27は、上記リボン巻取りローラ駆動軸107及びテープ送りローラ駆動軸(搬送手段)108が駆動されることによって連動して回転駆動される。これによって、印字済みラベル用テープ109及びインクリボン105に対し搬送駆動力がそれぞれ与えられる。なお、リボン巻取りローラ駆動軸107及びテープ送りローラ駆動軸108は、カートリッジ7外に設けた例えばパルスモータである搬送用モータ119(後述の図4参照)の駆動力が、図示しないギヤ機構を介し伝達されることによって駆動される。
【0033】
切断機構15は、固定刃40と、金属部材で構成された可動刃41とを備えている。カッターモータ43(後述の図4参照)の駆動力が、カッターハスバギヤ、ボス、長孔を介して可動刃41の柄部に伝達されて可動刃41が回転する。これにより可動刃41は、固定刃40と協働して、印字済みラベル用テープ109のすべての層(カバーフィルム103、粘着層101a、ベースフィルム101b、粘着層101c、及び剥離紙101d)を厚さ方向に分断(全切断)し、搬送方向に沿ってラベル後端部となる部位にフルカット線CL(後述の図5(a)等を参照)を形成する。この全切断状態は、カッターハスバギヤ用カムの作用により切り替わるマイクロスイッチ(図示せず)により検出される。
【0034】
ハーフカットユニット35は、受け台38とハーフカッタ34とが対向して配置されている。ハーフカッタ34は、所定の回動支点(図示せず)を中心として、ハーフカッターモータ129(後述の図4参照)の駆動力によって回動する。これによりハーフカッタ34は、受け台38と協働して、印字済みラベル用テープ109のうち、剥離紙101dを残しつつ、当該剥離紙101d以外の層を厚さ方向に分断(半切断)搬送方向に沿ってラベル後端部となる部位にハーフカット線HC(後述の図5(e)等を参照)を形成する。なお、上記とは逆に、ハーフカッタ34が、印字済みラベル用テープ109のうち剥離紙101dのみを分断するようにしてもよい。この場合は、図3中における印字済みラベル用テープ109を挟んだハーフカッタ34と受け台38との位置関係が逆になる。
【0035】
ラベル排出機構は、切断機構15において全切断された後の印字済みラベル用テープ109(言い換えれば上記印字ラベルL、以下同様)をラベル排出口11(図2参照)より排出する。すなわちラベル排出機構は、テープ排出モータ65(後述の図4参照)の駆動力により回転する駆動ローラ51(後述の図4参照)と、この駆動ローラ51に対して印字済みラベル用テープ109を挟んで対向する押圧ローラ(図示せず)とを有している。
【0036】
<内部ユニットの動作>
上記構成の内部ユニットにおいて、カートリッジ7が上記カートリッジホルダ6に装着され、ロールホルダが上記リリース位置から上記印字位置に移動されると、カバーフィルム103及びインクリボン105が印字ヘッド23とプラテンローラ26との間に狭持されるとともに、基材テープ101及びカバーフィルム103がテープ送りローラ27とテープ圧接ローラ28との間に狭持される。そして、搬送用モータ119の駆動力によってリボン巻取りローラ106及びテープ送りローラ27が図3中矢印B及び矢印Cで示す方向にそれぞれ同期して回転駆動される。このとき、前述のテープ送りローラ駆動軸108と上記テープ圧接ローラ28及びプラテンローラ26はギヤ機構(図示せず)にて連結されており、テープ送りローラ駆動軸108の駆動に伴いテープ送りローラ27、テープ圧接ローラ28、及びプラテンローラ26が回転し、第1ロール102から基材テープ101が繰り出され、テープ送りローラ27へ供給される。一方、第2ロール104からはカバーフィルム103が繰り出される。このカバーフィルム103の裏面には、上記リボン供給側ロール111とリボン巻取りローラ106とにより駆動される上記インクリボン105が、上記印字ヘッド23に押圧されることで当接させられる。そして、印刷駆動回路120(後述の図4参照)により印字ヘッド23の複数の発熱素子が通電される。この結果、カバーフィルム103の裏面に、端末118からの印字データに基づく印字R(後述の図5等参照)が搬送方向に沿って印刷される。そして、上記基材テープ101と上記印刷が終了したカバーフィルム103とが上記テープ送りローラ27及びテープ圧接ローラ28により接着されて一体化されて印字済みラベル用テープ109として形成され、テープ排出部よりカートリッジ7外へと、予め定められた所定速度Vs(詳細は後述)で搬送される。カバーフィルム103への印字が終了したインクリボン105は、リボン巻取りローラ駆動軸107の駆動によりリボン巻取りローラ106に巻取られる。
【0037】
そして、上述のように貼り合わされて生成された印字済みラベル用テープ109に対し切断機構15により上記全切断が行われ(又は適宜ハーフカットユニット35により上記半切断が行われ)、印字ラベルLが生成される。このラベル用テープ109(印字ラベルL)は、その後さらに上記ラベル排出機構によってラベル排出口11(図2参照)から排出される。
【0038】
<ラベル作成装置の制御系>
上記構成の印字ラベル作成装置1の制御系を図4を用いて説明する。印字ラベル作成装置1の制御基板(図示せず)上に、図4に示す制御回路110が配置されている。
【0039】
制御回路110には、各機器を制御するCPU111と、このCPU111にデータバス112を介して接続された入出力インターフェース113と、CGROM114と、ROM115,116と、RAM117とが設けられている。
【0040】
ROM116には、上記端末118から入力された操作信号に対応させて、印字バッファのデータを読み出して上記印字ヘッド23、搬送用モータ119を駆動する印字駆動制御プログラム、印字終了した場合に印字済みのラベル用テープ109を全切断位置又は半切断位置まで搬送用モータ119を駆動して搬送し、上記カッターモータ43又はハーフカッターモータ129を駆動して印字済みラベル用テープ109を全切断又は半切断する切断駆動制御プログラム、全切断された印字済みラベル用テープ109(=印字ラベルL)をテープ排出モータ65を駆動してラベル排出口11から強制的に排出するテープ排出プログラム、その他印字ラベル作成装置1の制御上必要な各種のプログラムが格納されている。CPU111は、このようなROM116に記憶されている各種プログラムに基づいて各種の演算を行う。
【0041】
RAM117には、テキストメモリ117A、印字バッファ117B、パラメータ記憶エリア117E等が設けられている。テキストメモリ117Aには、端末118から入力された印字データが格納される。印字バッファ117Bには、複数の文字や記号等の印字用ドットパターンや各ドットの形成エネルギ量である印加パルス数等がドットパターンデータとして格納され、印字ヘッド23はこの印字バッファ117Bに記憶されているドットパターンデータに従ってドット印字を行う。パラメータ記憶エリア117Eには、各種演算データ等が記憶される。
【0042】
入出力インターフェース113には、端末118と、印字ヘッド23を駆動するための上記印刷駆動回路120と、搬送用モータ119を駆動するための搬送用モータ駆動回路121と、カッターモータ43を駆動するためのカッターモータ駆動回路122と、ハーフカッターモータ129を駆動するためのハーフカッターモータ駆動回路128と、テープ排出モータ65を駆動するためのテープ排出モータ駆動回路123とが接続されている。
【0043】
このような制御回路110を核とする制御系において、端末118を介して文字データ等の上記印字データが入力された場合、そのテキスト(文書データ)がテキストメモリ117Aに順次記憶されるとともに、印字ヘッド23が駆動回路120を介して駆動され、各発熱素子が1ライン分の印字ドットに対応して選択的に発熱駆動されて印字バッファ117Bに記憶されたドットパターンデータの印字を行い、これと同期して搬送用モータ119が駆動回路121を介してテープの搬送制御を行う。
【0044】
上記印字ラベル作成装置1により印字済みラベル用テープ109を用いて作成された印字ラベルLの例(この例では、印字ラベルL1〜L4の4種類)を、図5(a)〜(f)及び図6により説明する。
【0045】
図5(a)〜(e)及び図6に示す各印字ラベルL1〜L4において、カバーフィルム103にラベル印字Rが印刷される印字領域Sが含まれている。各印字ラベルL1〜L4では、上記印字領域Sにおけるカバーフィルム103の裏面に、所望のラベル印字Rがそれぞれ印刷されている。図5(a)に示す印字ラベルL1では、印字領域Sに「ABCDEF」のラベル印字Rが印刷されている。図5(b)に示す印字ラベルL2では、印字領域Sに「A」のラベル印字Rが印刷されている。図5(c)に示す印字ラベルL3では、印字領域Sに「AB」のラベル印字Rが印刷されている。図5(d)に示す印字ラベルL4では、印字領域Sに「ABCD」のラベル印字Rが印刷されている。すなわち、印字ラベルL1〜L4は、この例では、互いに印刷内容がそれぞれ異なっており、その結果として、搬送方向に沿った長さ(ラベル長)がそれぞれ異なっている。
【0046】
また、図5(e)及び図5(f)には、(上記図5(a)〜(d)のようにフルカット線CLによって印字済みラベル用テープ109から個別に分離された印字ラベルL1,L2,L3,L4とは異なり)複数の印字ラベルLが、互いの境界となる上記ハーフカット線HCにおいて剥離紙101dを介した連結構造で作成された例を示している。すなわち、印字ラベルL1、印字ラベルL2、印字ラベルL3、印字ラベルL4が、この例では、「ABCDEF」のラベル印字Rが形成された印字ラベルL1、「A」のラベル印字Rが形成された印字ラベルL2、「AB」のラベル印字Rが形成された印字ラベルL3、及び、「ABCD」のラベル印字Rが形成された印字ラベルL4が、互いに連結されている。
【0047】
また、図6に示すように、各印字ラベルL1〜L4は、前述した図3に示した4層構造にカバーフィルム103が加わった5層構造となっている。すなわち、カバーフィルム103側(図6中上側)よりその反対側(図6中下側)へ向かって、カバーフィルム103、粘着層101a、ベースフィルム101b、粘着層101c、剥離紙101dで5層が構成されている。
【0048】
以上において、本実施形態の要部は、複数のラベル作成装置1A〜1Cを利用して複数の印字ラベルLを作成し、かつそのときに、作業分担が均等となるように各ラベル作成装置1A〜1Cへの印字ラベルLの作成作業(ラベル作成ジョブ)の分配を自動設定することにある。以下、その詳細を順を追って説明する。
【0049】
<比較例>
まず、本発明の比較例として、複数の印字ラベルLに係わるラベル作成ジョブを、複数の印字ラベル作成装置1(この例では上記3台の印字ラベル作成装置1A〜1C)に対し、各装置で作成される印字ラベルLの長さの総計が互いに略等しくなるように、分配する場合を図7及び図8を用いて説明する。上記実施形態と同等の部分には同一の符号を付している。この例では、操作者により作成が意図される印字ラベルLは、「ABCDEF」のラベル印字Rの印字ラベルL1が2枚と、「A」のラベル印字Rの印字ラベルL2が2枚と、「AB」のラベル印字Rの印字ラベルL3が4枚と、「ABCD」のラベル印字Rの印字ラベルL4が3枚の、合計11枚である。そして、印字データ上において、搬送方向に沿って、上記2枚の印字ラベルL1,L1→2枚の印字ラベルL2,L2→4枚の印字ラベルL3,L3,L3,L3→3枚の印字ラベルL4,L4,L4、の順で配列されている。
【0050】
そして、上記の配列順序に従い、3台の印字ラベル作成装置1のうち、1番目の印字ラベル作成装置1Aには2枚の印字ラベルL1,L1のラベル作成ジョブが割り当てられ(図7(a)参照)、2番目の印字ラベル作成装置1Bには2枚の印字ラベルL2,L2のラベル作成ジョブと4枚の印字ラベルL3,L3,L3,L3のラベル作成ジョブとが割り当てられ(図7(b)参照)、3番目の印字ラベル作成装置1Cには3枚の印字ラベルL4,L4,L4のラベル作成ジョブが割り当てられている(図7(c)参照)。これらの結果、1番目の印字ラベル作成装置1Aに割り当てられた2枚の印字ラベルL1それぞれのラベル長さの合計と、2番目の印字ラベル作成装置1Bに割り当てられた2枚の印字ラベルL2及び4枚の印字ラベルL3それぞれのラベル長さの合計と、3番目の印字ラベル作成装置1Cに割り当てられた3枚の印字ラベルL4それぞれのラベル長さの合計とが、互いにほぼ等しい値(=図示の分配長さ)となっている。
【0051】
しかしながら、上記のように印字形成後の印字済みラベル用テープ109を切断(全切断又は半切断)して印字ラベルLを作成する場合においては、上記印字ヘッド23による印字作業に要する時間のほか、印字終了後における切断機構15又はハーフカットユニット35による印字済みラベル用テープ109の切断(全切断又は半切断)作業に要する時間(切断時間)がある。このため、上記図7のように印字ラベルLの長さの総計が同等となるように各印字ラベル作成装置1A〜1Cへラベル作成ジョブが割り当てられたとしても、作成する印字ラベルLの枚数(言い換えれば切断作業の回数)が多い印字ラベル作成装置1の作業時間は、作成する印字ラベルLの枚数が少ない印字ラベル作成装置1の作業時間よりも、やや長くなる。すなわち、上記の例では、図8(a)及び図8(b)に示すように、2枚の印字ラベルL1が割り当てられた(すなわち切断作業を2回実行する)印字ラベル作成装置1Aに比べ、合計6枚の印字ラベルL2,L3が割り当てられ切断作業を6回実行する印字ラベル作成装置1Bは、切断作業が4回多い分、全体の処理時間が長くなる。同様に、図8(a)及び図8(c)に示すように、合計3枚の印字ラベルL4が割り当てられ切断作業を3回実行する印字ラベル作成装置1Cは、印字ラベル作成装置1Aに比べ切断作業が1回多い分、全体の処理時間が長くなる。これらの結果、各印字ラベル作成装置1A〜1Cの作業分担を高精度に均等化するのは困難となる。
【0052】
<本発明の手法>
これに対して、図9(a)〜(c)に示すように、本実施形態では、ラベル作成ジョブの分配にあたり、印字ラベルの(搬送方向における)ラベル長さに加え、さらに上記切断時間が加味される。すなわち、上記切断時間が、当該切断時間の経過中に上記所定速度Vsにより搬送されるテープ搬送距離(切断換算距離)に換算される。そして、各印字ラベルL1,L2,L3,L4の上記ラベル長さ(第1長さ)に対して上記切断換算距離が加算されることで、各印字ラベルL1,L2,L3,L4の処理長さ(第2長さ)がそれぞれ算出される。その後、3つの印字ラベル作成装置1A,1B,1Cそれぞれに対し、各装置ごとに割り当てられる印字ラベルL1〜4の上記処理長さの総計が互いに略均等となるように、ラベル作成ジョブが分配され各印字ラベル作成装置1A〜1Cに割り当てられる。
【0053】
なお、上記図7〜図9は、各印字ラベルLのテープ搬送方向後端部が切断機構15により全切断され、各印字ラベルLが個別に独立している場合を例にとって説明しているが、これに限られない。すなわち、既に述べたように、隣接する印字ラベルL間にハーフカットユニット35が半切断を行う場合にも適用でき、この場合には、上記切断時間として、上記全切断に要する時間(第1切断時間)に代えて上記半切断に要する時間(第2切断時間)を適用し、当該時間を元に上記切断換算距離を換算して算出すればよい。
【0054】
また、処理対象の全印字ラベルLの処理において、上記全切断と上記半切断とが混在する場合には、後端部を全切断する印字ラベルLについては上記切断時間として全切断に要する時間(第1切断時間)を適用して切断換算距離を算出し、後端部を半切断する印字ラベルLについては上記切断時間として半切断に要する時間(第2切断時間)を適用して切断換算距離を算出すればよい。
【0055】
<操作端末の制御内容>
上記を実現するために端末118の上記CPUが実行する、ラベル作成ジョブの分配処理を、図10を用いて説明する。
【0056】
まずステップS5において、CPUは、情報送受信可能に接続され、ラベル作成ジョブの分配対象となりうる、印字ラベル作成装置1の台数K(上記の例ではK=3)を検出する。なお、ユーザが分配対象となる装置を選択してもよい。このステップS5が、各請求項記載の装置決定手順に相当する。その後、ステップS10に移る。
【0057】
ステップS10では、CPUは、例えば操作者が上記操作部118aを適宜に操作することで入力された、操作者が作成を意図するM枚の印字ラベルLの搬送方向に沿った上記ラベル長さX,X,・・,Xをそれぞれ取得する。なお、上記の操作者の入力により、この時点で、M枚の印字ラベルLそれぞれの印字内容に対応した印字データが生成されており、併せて、印字ラベルLの印字内容(言い換えればラベルの種類)や、各印字ラベルLが印字済みラベル用テープ109においてどのような順序で配列されて印字形成されるか、も定まっている。なお、このステップS10が各請求項記載の情報取得手順に相当する。
【0058】
その後、ステップS15に移り、CPUは、上記既に生成された印字データに基づき、各印字ラベルLの上記全切断(又は半切断)に要する切断時間Tcを取得する。その後、ステップS20に移り、CPUは、上記ステップS15の切断時間Tcを用いて、各印字ラベルLの上記切断換算距離Xcを、前述したローラ駆動軸108の搬送速度である所定速度Vsを用いて、
Xc=Vs×Tc ・・ (式1)
により換算して算出する。なお、上記切断時間は切断機構15による1回の切断作業(又はハーフカットユニット35による1回の半切断作業)に要する時間である。したがって、切断換算距離Xcは、全印字ラベルLが全切断の場合、又は、全印字ラベルLが半切断の場合には、全ラベルLについて同じ値となる。上記のように全切断と半切断とが混在している場合には、それらのいずれを行うかで、互いに異なる値となる。また、上記切断時間は、1回の切断作業(又は1回の半切断作業)に要する時間であることから、印字ラベルLの長さやテープ送りローラ駆動軸108による搬送速度に関係なく、それぞれ常に一定の値(固定値)となる。したがって上記の式1を用いた換算のための演算は一度だけ行えば足りる(あるいは、予め算出したものを固定的に記憶しておいてもよい)。なお、このステップS25が、各請求項記載の長さ算出手順に相当する。その後、ステップS25に移る。
【0059】
ステップS25では、CPUは、上記ステップS10で取得したM枚の印字ラベルLの上記ラベル長さX,X,・・,Xそれぞれに対し、上記ステップS20で算出した各印字ラベルLの上記切断換算距離Xcを加え、各印字ラベルLごとの上記処理長さXt1,Xt2,・・,XtMを算出する。
【0060】
その後、ステップS30に移り、CPUは、上記ステップS25で算出した上記処理長さの総計ΣX(=Xt1+Xt2+・・+XtM)を、上記ステップS5で検出した印字ラベル作成装置1の台数K(この例では3)で除した、切断加算距離を加味した分配長さY(図9参照)を算出する。その後、ステップS35に移る。
【0061】
ステップS35では、CPUは、ラベル枚数に係わる変数(詳細は後述)n、及び、印字ラベル作成装置1を順次特定するための変数(詳細は後述)k、を、それぞれ初期化して1とし、またラベル長さの累積値(詳細は後述。以下適宜、「ラベル長さ累積値」という)ΣXの初期値を0とする。その後、ステップS40に移る。
【0062】
ステップS40では、CPUは、上記ラベル長さ累積値ΣXに対し、上記ステップS25で算出済みのn番目の印字ラベルLの処理長さXtnを加え、新たなラベル長さ累積値ΣXとする。最初は上記のようにn=1であるとともにラベル長さ累積値ΣXの初期値が0であることから、ここで求められるラベル長さ累積値ΣX=Xt1となる。その後、ステップS25に移る。
【0063】
ステップS45では、CPUは、ステップS40で算出されたラベル長さ累積値ΣXに対し、上記ステップS25で算出済みのn+1番目の印字ラベルLの処理長さXt(n+1)の半分である(1/2)Xt(n+1)を加えた値、ΣX+Xt(n+1)が、上記分配長さY以上であるかどうかを判定する。n=1の1枚目の印字ラベルLの場合、ここでは、ΣX+(1/2)Xt2=Xt1+(1/2)Xt2≧Yが満たされるかどうかを判定することとなる。すなわち、1枚目の印字ラベルLの処理長さと2枚目の印字ラベルの処理長さの半分との合計が、上記分配長さY以上であれば判定が満たされて(S45:YES)後述のステップS60に移行し、上記合計が分配長さY未満であれば、判定が満たされず(S45:NO)、ステップS50に移行する。
【0064】
例えば、図9(a)に示したように、1枚目の印字ラベルLの処理長さと2枚目の印字ラベルの処理長さの半分との合計Xt1+(1/2)Xt2が分配長さYより小さい場合は、ステップS50に移る。CPUは、ステップS50でnの値に1を加えた後、ステップS40に戻る。上述の例ではnが1つ増えて2となり、上記ステップS40を実行することとなる。このステップS40では、この時点でのラベル長さ累積値ΣXが前述のようにXt1となっていることから、ここで求められるラベル長さ累積値ΣX=ΣX+Xtn=Xt1+Xt2となる。この結果、その後のステップS45では、CPUは、n=2であることから、この時点でのラベル長さ累積値ΣX(=Xt1+Xt2)に対し、上記ステップS25で算出済みのn+1番目(すなわち3番目)の印字ラベルLの処理長さXt(n+1)(すなわちXt3)の半分を加えた値、ΣX+(1/2)Xt(n+1)=Xt1+Xt2+(1/2)Xt3が、上記分配長さY以上であるかどうかを判定する。
【0065】
1枚目の印字ラベルLの処理長さと2枚目の印字ラベルの処理長さと3枚目の印字ラベルの処理長さの半分との合計Xt1+Xt2+(1/2)Xt3が分配長さYより小さい場合(図9(a)参照)は、再度ステップS50に移る。CPUは、ステップS50でnの値に1を加えてn=3となった後、再度ステップS40に戻る。このときのステップS40では、この時点でのラベル長さ累積値ΣXが前述のようにXt1+Xt2となっていることから、ここで求められるラベル長さ累積値ΣX=ΣX+Xtn=Xt1+Xt2+Xt3となる。この結果、その後のステップS45では、CPUは、n=3であることから、この時点でのラベル長さ累積値ΣX(=Xt1+Xt2)に対し、上記ステップS25で算出済みのn+1番目(すなわち4番目)の印字ラベルLの処理長さXt(n+1)(すなわちXt4)の半分を加えた値、ΣX+(1/2)Xt(n+1)=Xt1+Xt2+Xt3+(1/2)Xt4が、上記分配長さY以上であるかどうかを判定する。
【0066】
例えば、1枚目と2枚目の印字ラベルLの処理長さと3枚目の印字ラベルLの処理長さの半分との合計Xt1+Xt2+(1/2)Xt3は分配長さY未満であったが、1枚目と2枚目と3枚目の印字ラベルLの処理長さと4枚目の印字ラベルLの処理長さの半分との合計Xt1+Xt2+Xt3+(1/2)Xt4は分配長さY以上となる場合(図9(a)及び図9(b)参照)、このn=3の時点でこのステップS45での判定が満たされ(S45:YES)、ステップS55に移る。
【0067】
ステップS55では、CPUは、n枚目(すなわち3番目)までの印字ラベルLのラベル作成ジョブを、k番目の印字ラベル作成装置1(すなわちこの時点では1番目の印字ラベル作成装置1A)へと分配する。すなわち、上記の例では、1番目の「ABCDEF」の印字ラベルL1、2番目の「ABCDEF」の印字ラベルL1、3番目の「A」の印字ラベルL2のラベル作成ジョブが、印字ラベル作成装置1Aに割り当てられる。その後、ステップS60に移る。
【0068】
ステップS60では、CPUは、上記ステップS55で割り当て済みの印字ラベルL(すなわち1〜n枚目までの印字ラベルL)を処理対象から除外(例えば演算用に設けたバッファからデータをクリアする、等)する処理を行った後、Mからnを差し引いて新たなMとする。これにより、上記ステップS10で取得されたラベル長さX,X,・・Xのうち、Xn+1,Xn+2,・・であったものが、新たに番号がnずつ繰り上がってX,X,・・となる。同様に、上記ステップS25で算出されたラベル長さXt1,Xt2,・・XtMのうち、Xt(n+1),Xt(n+2),・・であったものが、新たに番号がnずつ繰り上がってXt1,Xt2,・・となる。その後、ステップS65に移る。
【0069】
ステップS65では、CPUは、k=K−1となったか、すなわち、(K−1)台(この例では2台)の印字ラベル作成装置1A,1Bについて、分配及び割り当て処理が終了したかどうか、を判定する。上述の例ではこの時点ではk=1であるから判定が満たされず(S65:NO)、ステップS70に移る。
【0070】
ステップS70では、CPUは、この時点でのラベル長さ累積値ΣXを0にクリアし、かつ変数nを0にクリアした後、ステップS75でkの値を1増やし、ステップS50に移る。以降、(K−1)台目の印字ラベル作成装置1(この例では2台目の印字ラベル作成装置1B)に対してのラベル作成ジョブの割り当てが終了してステップS65の判定が満たされるまで、同様の手順を繰り返す。
【0071】
(K−1)台目の印字ラベル作成装置1(この例では2台目の印字ラベル作成装置1B)に対するラベル作成ジョブの割り当てが終了したら、ステップS65の判定が満たされ(S65:YES)、ステップS80に移る。
【0072】
ステップS80では、CPUは、上記ステップS60で番号が新たに付与された、まだ割り当てられていない残りのすべての印字ラベルL(1枚目〜M枚目まで)の作成ジョブを、K番目の印字ラベル作成装置1(この例ではK=3であることから3台目の印字ラベル作成装置1C)へと分配する。その後、このフローを終了する。
【0073】
以上のようにして、搬送方向に沿って予め定められた順序で配列される複数の印字ラベルLについて、各順番の印字ラベルLの処理長さXまでの長さ累計値ΣXと次の順番の印字ラベルの処理長さXの2分の1との合計値が分配長さY未満である間は、ステップS45の判定が満たされず、上記合計値が分配長さY以上となると、ステップS45の判定が満たされ、その直前の順番の印字ラベルLまでのラベル作成ジョブがその時点の順番の印字ラベル作成装置1へ割り当てられる。そして割り当て済みの各ラベルLのデータ及びそれまでのラベル長さ累積値ΣXがクリアされ(ステップS60、ステップS70参照)、装置番号の変数kが1増加する。これにより、次の順番の印字ラベル作成装置1に関し、上記割り当て済みの印字ラベルL以降の順番で作成される複数の印字ラベルLについて、再び上記同様の分配及び割り当て処理が行われる。上記のようにして印字ラベル作成装置1の総台数Kより1つ少ない順番の印字ラベル作成装置1までの分配及び割り当てが終了したら、残りの印字ラベルLについては、最後の順番(K番目)の印字ラベル作成装置1に分配して割り当てる。このようにして、M枚のすべての各印字ラベルLのラベル作成ジョブが、順次すべての印字ラベル作成装置1に順次自動的に分配され割り当てられる。このようにして上記各手順が繰り返されことで、上記図10のフローのステップS55及びステップS80が、各請求項記載のジョブ割り当て手順に相当している。
【0074】
上記ラベル作成ジョブの分配処理の後、当該処理によりすべての印字ラベルLに係わる分配及び割り当て設定が完了した状態の、M枚の印字ラベルLの最終的な印字データが、印字ラベル作成装置1へと送信される。これにより、上記設定された割り当てに沿って、各印字ラベル作成装置1A,1B,1Cにおいて上記印字データに基づきM枚の全印字ラベルLが作成される。
【0075】
<ラベル作成処理>
次に、上記端末118からの(ラベル作成ジョブの分配設定を含む)印字データにより、印字ラベル作成装置1の上記制御回路110のCPU111が実行するラベル作成処理を、図11により説明する。
【0076】
この図11において、上記端末118を介しラベル作成装置1による所定のラベル作成操作が行われるとこのフローが開始される。まずステップS110で、CPU111は、上記端末118からの上記印字データを取得する。その後、ステップS120に移る。
【0077】
ステップS120では、CPU111は、入出力インターフェース113を介し搬送用モータ駆動回路121に制御信号を出力し、搬送用モータ121の駆動力によってテープ送りローラ27及びリボン巻取りローラ106を回転駆動させる。さらに、テープ排出モータ駆動回路123を介してテープ排出モータ65に制御信号を出力し、駆動ローラ51を回転駆動させる。これらにより、第1ロール102から基材テープ101が繰り出されテープ送りローラ27へ供給されるとともに、第2ロール104からはカバーフィルム103が繰り出され、これら基材テープ101とカバーフィルム103とが上記テープ送りローラ27及びサブローラ109により接着されて一体化されて印字済ラベル用テープ109として形成され、カートリッジ7外方向からさらにラベル作成装置1外方向へと搬送される。
【0078】
その後、ステップS130において、CPU111は、上記ステップS110で取得した印字データに基づき、適宜の公知の手法(パルスモータである搬送用モータ119を駆動する搬送用モータ駆動回路121の出力するパルス数をカウントする等)により、カバーフィルム103が、印字ヘッド23による印字開始位置まで到達したかどうかを判定する。印字開始位置に到達するまで判定が満たされずループ待機し、印字開始位置に到達しされたら判定が満たされて、ステップS140に移る。
【0079】
ステップS140では、CPU111は、入出力インターフェース113を介し印刷駆動回路120に制御信号を出力し、印字ヘッド23を通電して、カバーフィルム103のうち前述した印字領域Sに、ステップS110で取得した印字データに対応した文字、記号、バーコード等のラベル印字Rの印刷を開始する。
【0080】
その後、ステップS150に移り、CPU111は、上記印字データに基づき、印字済ラベル用テープ109が印字終了位置まで搬送されたかどうかを判定する。このときの判定も、前述と同様、公知の方法で検出すればよい。印字終了位置に到達するまで判定が満たされずこの手順を繰り返し、到達したら判定が満たされてステップS160に移る。
【0081】
ステップS160では、CPU111は、入出力インターフェース113を介し印刷駆動回路120にも制御信号を出力し、印字ヘッド23の通電を停止して、上記ラベル印字Rの印刷を停止する。これによって、1枚の印字ラベルLの印字領域Sに対するラベル印字Rの印刷が完了する。その後、ステップS170に移る。
【0082】
ステップS170では、CPU111は、上記ステップS110で取得した印字データに基づき、この時点で作成している印字ラベルLについての後端部のカット設定が、フルカットとなっているかどうかを判定する。すなわち、上記ステップS110で取得された印字データにおいて、例えば前述の図5(a)〜(d)に示された印字ラベルL1〜L4では、上記後端部の設定はフルカット設定となっている。このような場合にはステップS170の判定は満たされ(S170:YES)、ステップS220に移る。
【0083】
ステップS220では、CPU111は、上記ステップS110で取得した印字データに基づき、上記ステップS130と同様の公知の手法により、印字済ラベル用テープ109が、当該印字ラベルLの後端部(搬送方向に沿って当該印字ラベルLに後続する印字ラベルLとの境界)に位置するフルカット位置まで搬送されたかどうかを判定する。言い換えれば、CPU111は、切断機構15の可動刃41が上記フルカット線CLに正対する位置まで、印字済みラベル用テープ109が到達したかどうか、を判定する。フルカット位置に到達するまで判定が満たされずループ待機し、到達したら判定が満たされて(S220:YES)ステップS230に移る。
【0084】
ステップS230では、CPU111は、入出力インターフェース113を介し搬送用モータ駆動回路121及びテープ排出モータ駆動回路123に制御信号を出力し、搬送用モータ119及びテープ排出モータ65の駆動を停止して、テープ送りローラ27、リボン巻取りローラ106、駆動ローラ51の回転を停止する。これにより、カートリッジ7から繰り出された印字済ラベル用テープ109が排出方向に移動する過程で、上記印字ラベルLのフルカット線CLに切断機構15の可動刃41が正対した状態で、第1ロール102からの基材テープ101の繰り出し、第2ロール104からのカバーフィルム103の繰り出し、及び印字済みラベル用テープ109の搬送が停止する。
【0085】
その後、ステップS240で、CPU111は、カッターモータ駆動回路122に制御信号を出力してカッターモータ43を駆動し、切断機構15の可動刃41を回動させて、印字済ラベル用テープ109のカバーフィルム103、粘着層101a、ベースフィルム101b、粘着層101c、及び剥離紙101dをすべて分断(=全切断)してフルカット線CLを形成するフルカット処理を行う。この切断機構15による分断によって印字済みラベル用テープ109から切り離され、1つの印字ラベルLが生成される。
【0086】
その後、ステップS250に移り、CPU111は、入出力インターフェース113を介し搬送用モータ駆動回路121及びテープ排出モータ駆動回路123に制御信号を出力し、テープ送りローラ27、リボン巻取りローラ106、駆動ローラ51を回転駆動させて印字済ラベル用テープ109の搬送を再開する。これにより、駆動ローラ51による搬送が開始されて、上記生成された印字ラベルLがラベル排出口11へ向かって搬送され、ラベル排出口11からラベル作成装置1外へと排出される。その後、ステップS260へ移る。
【0087】
ステップS260では、CPU111は、上記ステップS110で取得された印字データに基づき、当該印字データに含まれるすべての印字ラベルL(すなわちM枚のうち図10のステップS55で当該印字ラベル作成装置1に割り当てられたすべての印字ラベルL)の作成が終了したか否かを判定する。全ラベルの作成がまだ終了していない場合には、判定が満たされず(S260:NO)、ステップS130に戻り同様の手順を繰り返す。全ラベルの作成が終了していた場合は判定が満たされ(S260:YES)、このフローを終了する。
【0088】
一方、上記ステップS170において、前述のステップS110で取得された印字データにおいて、例えば前述の図5(e)(f)に示された印字ラベルL1,L2,L3では、上記後端部の設定はハーフカット設定となっている。このような場合には、ステップS170の判定が満たされず(S170:NO)、ステップS180に移る。
【0089】
ステップS180では、CPU111は、上記ステップS110で取得した印字データに基づき、上記ステップS130と同様の公知の手法により、印字済ラベル用テープ109が、当該印字ラベルLの後端部(搬送方向に沿って当該印字ラベルLに後続する印字ラベルLとの境界)に位置するハーフカット位置まで搬送されたかどうかを判定する。言い換えれば、CPU111は、ハーフカット機構35のハーフカッタ34が上記ハーフカット線HCに正対する位置まで、印字済みラベル用テープ109が到達したかどうか、を判定する。ハーフカット位置に到達するまで判定が満たされずループ待機し、到達したら判定が満たされて(S180:YES)ステップS190に移る。
【0090】
ステップS190では、CPU111は、上記ステップS230と同様にして、テープ送りローラ27、リボン巻取りローラ106、駆動ローラ51の回転を停止して印字済ラベル用テープ109の搬送を停止する。これにより、上記印字ラベルLのハーフカット線HCにハーフカット機構35のハーフカッタ34が正対した状態で、第1ロール102からの基材テープ101の繰り出し、第2ロール104からのカバーフィルム103の繰り出し、及び印字済みラベル用テープ109の搬送が停止する。
【0091】
その後、ステップS200で、CPU111は、入出力インターフェース113を介しハーフカッターモータ駆動回路128に制御信号を出力してハーフカッターモータ129を駆動し、ハーフカッタ34を回動させて、印字済ラベル用テープ109のカバーフィルム103、粘着層101a、ベースフィルム101b、及び粘着層101cを分断(=半切断)してハーフカット線HCを形成するハーフカット処理を行う。このハーフカットユニット35による分断によって(搬送方向後端側の印字済みラベル用テープ109から切り離されず連結された状態の)1つの印字ラベルLが生成される。その後、ステップS210に移る。
【0092】
ステップS210では、CPU111は、上記ステップS250と同様、入出力インターフェース113を介してテープ排出モータ駆動回路123に制御信号を出力し、テープ排出モータ65の駆動を再開して、駆動ローラ51を回転させる。これにより、駆動ローラ51による搬送が開始されて、上記生成された印字ラベルLがラベル排出口11へ向かって搬送され、ラベル排出口11からラベル作成装置1外へと排出される(但し上述のように搬送方向後端側は印字済みラベル用テープ109と連結されたままの状態である)。その後、上記ステップS130に戻り、同様の手順を繰り返す。
【0093】
以上の制御により、ステップS130〜ステップS170、ステップS220〜ステップS250、ステップS180〜ステップS210を繰り返しつつ対応する所定のラベル印字Rを備えた印字ラベルLが順次生成され、最終的に当該印字ラベル作成装置1に割り当てられたすべての印字ラベルLが生成される。
【0094】
以上説明したように、本実施形態においては、ラベル作成ジョブの分配にあたり、印字ラベルLの搬送方向に沿ったラベル長さに加え、さらに切断機構15(又はハーフカットユニット35)による切断時間が加味される。すなわち、上記切断時間が、当該切断時間の経過中に印字済みラベル用テープ109が上記所定速度Vsにより搬送される搬送距離である切断換算距離Xcに換算される(図10のステップS20)。そして、既知の各印字ラベルLのラベル長さX,X,・・Xに対して上記切断換算距離Xが加算され、各印字ラベルLの処理長さXt1,Xt2,・・XtMが算出される(ステップS25)。その後、端末118に対する接続が検出された複数の印字ラベル作成装置1A〜1Cそれぞれに対し、各印字ラベル作成装置1ごとに割り当てられる印字ラベルLの上記処理長さの総計が互いに略均等となるように、複数のラベル作成ジョブが割り当てられる(ステップS55)。このように、印字ラベルLのラベル長さにさらに切断時間Tcを組み込んだ形でラベル作成ジョブの割り当てを行うことにより、図9に示したように各印字ラベル作成装置1の作業分担の均等化を高精度に図ることができ、複数の印字ラベルLを確実に迅速に作成することができる。
【0095】
なお、各印字ラベル作成装置1の作業分担の均等化を図る際、上記のような本実施形態の手法ではなく、各印字ラベルLの印字距離(各印字ラベルLの搬送方向に沿ったラベル長さにほぼ対応づけられる)を印字ヘッド23の印字作業に要する時間(印字時間)に換算し、各印字ラベル作成装置1ごとに割り当てられる印字ラベルLの上記印字時間及び切断時間の総計を、互いに略均等となるようにする手法も考えられる。しかしながらこの場合は、印字データにより取得される各印字ラベルLにおける印字距離を、さらに印字時間に換算する必要がある。この演算は各印字ラベルLごとに行う必要がある。これに対し、上記実施形態のように各印字ラベルLのラベル長さX及び切断換算距離Xcの総計を互いに略均等とする手法の場合、上記印字距離から印字時間への変換が不要となる。したがって、上記実施形態においては、処理速度を向上できるという効果もある。
【0096】
また、本実施形態では特に、図5(a)〜(f)及び図9(a)〜(c)に示したように、互いに異なるラベル長さや異なる印字内容である各印字ラベルLそれぞれに関して、ラベル長さXに切断換算距離Xcを加算し、対応する上記処理長さXtをそれぞれ算出する。これにより、印字ラベルLのラベル長さやラベル印字Rの内容が種々変化する場合であっても、各印字ラベル作成装置1A,1B,1Cの作業分担の均等化を高精度に図ることができ、複数の印字ラベルL確実に迅速に作成することができる。特に、印字ラベルLのラベル長さが種々変化する場合には、上述した各印字ラベルLにおける印字距離を印字時間へ換算して均等化を図る手法に比べ、印字距離から印字時間への変換が不要となることによる処理速度向上効果が大きい。
【0097】
なお、本発明は、上記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0098】
(1)1つの印字ラベルの中にハーフカット線がある場合
すなわち、例えば図12(a)及び図12(b)の印字ラベルL5に示すように、操作者が剥離紙101dを引き剥がすための便宜やその他の目的で、1枚の印字ラベルLの中にハーフカット線HCが形成される場合がある。また図12(a)(b)の例では印字ラベルL5のうち搬送方向前端側(図12(a)(b)中左側)に1つのハーフカット線HCが形成されているが、図12(c)及び図12(d)の印字ラベルL6に示すように、搬送方向前端側(図12(c)(d)中左側)と搬送方向後端側(図12(c)(d)中右側)との両方にそれぞれハーフカット線HC1,HC2が形成される場合もある。
【0099】
このような場合には、当該印字ラベルLの中に形成される上記ハーフカット線HCの個数に合わせて、上記図10のステップS20において、ハーフカットユニット35による半切断作業に要する時間を適用して切断換算距離Xcを増大すればよい。
【0100】
すなわち、上記図12(a)(b)に示す印字ラベルL5に関しては、後端部の全切断(フルカット線CLの形成)に要する時間と前端側の半切断(ハーフカット線HCの形成)に要する時間との合計を上記切断時間として、これに上記所定速度Vsを乗じて当該印字ラベルL5の切断換算距離Xcとする。また上記図12(c)(d)に示す印字ラベルL6に関しては、後端部の全切断(フルカット線CLの形成)に要する時間と、前端側の半切断(ハーフカット線HC1の形成)に要する時間と、後端側の半切断(ハーフカット線HC2の形成)に要する時間と、の合計を上記切断時間として、これに上記所定速度Vsを乗じて当該印字ラベルL5の切断換算距離Xcとすればよい。なお、前述したような、後端側の印字済みラベル用テープ109との境界がハーフカット線HCとなっている(印字済みラベル用テープ109や他の印字ラベルLと連結されている)1枚の印字ラベルLの中に、上記ハーフカット線HCが設けられる場合もあり、その場合も上記同様に、印字ラベルLの中に形成するハーフカット線HCの半切断に要する時間を上記切断時間に組み込めば足りる。
【0101】
本変形例によっても、上記実施形態と同様の効果を得る。
【0102】
(2)搬送速度が可変速の場合
すなわち、例えば操作者の種々のニーズに合わせて、印字ラベル作成装置1において、テープ送りローラ駆動軸108が付与する搬送速度が上記所定速度Vsである通常モードと、迅速な印字ラベル作成を可能とするために搬送速度が上記所定速度VsのP倍(P>1)である高速モードと、高精度な印字を行うために搬送速度が上記所定速度Vsのp倍(p<1)である低速モード(ファインモード)と、が設けられている場合がある(通常モードと、高速モード及び低速モードのいずれか一方でもよい)。
【0103】
このような場合は、上記の可変な搬送速度の設定に合わせて、上記図10のステップS20において、切断換算距離Xcを、上記式1に代えて、
Xc=P×Vs×Tc ・・ (式2A;高速モードの場合)
Xc=p×Vs×Tc ・・ (式2B;低速モードの場合)
を用いて換算して算出すればよい。
【0104】
すなわち、高速モード時においては、通常モード時に比べて切断時間Tcから換算される切断換算距離Xcが長く(P倍)となり、低速モード時においては、通常モード時に比べて切断時間Tcから換算される切断換算距離Xcが短く(p倍)となる。これにより、上記のような搬送速度の増減機能を備えた印字ラベル作成装置1にも対応して、各印字ラベル作成装置1の作業分担の均等化を高精度に図り、複数の印字ラベル作成装置1を確実に迅速に作成することができる。また、上記式2A及び式2Bを用いた換算を印字データに基づき各印字ラベルLごとに適用することで、通常モードで作成される印字ラベルL、高速モードで作成される印字ラベルL、低速モードで作成される印字ラベルL、が複数の印字ラベル作成装置1A〜1Cにおいて混在している(あるいは1つの印字ラベル作成装置1において混在している)場合にも対応することができる。
【0105】
(3)その他
なお、以上においては、基材テープ101とは別のカバーフィルム103に印字を行ってこれらを貼り合わせる方式であったが、これに限られず、基材テープに備えられた被印字テープ層に印字を行う方式(貼りあわせを行わないタイプ)に本発明を適用してもよい。また、粘着層101cが備えられた基材テープ101により印字済みラベル用テープ109を生成し、これを用いて印刷物としての印字ラベルLを作成する場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、粘着面のない紙テープやロール状の印刷用紙を適宜の長さに切断して用いる場合に本願発明を適用してもよい。この場合、当該紙テープや印刷用紙の1ページ分が、各請求項記載の1つの印刷物に相当する。この場合も、上記同様の効果を得る。
【0106】
なお、以上において、図4等に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0107】
また、図10、図11等に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0108】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0109】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0110】
1A〜C 印字ラベル作成装置(印刷物作成装置)
15 切断機構(全切断手段、切断手段)
23 印字ヘッド(印字手段)
35 ハーフカットユニット(半切断手段、切断手段)
101b ベースフィルム(基材層)
101c 粘着層(貼り付け用粘着剤層)
101d 剥離紙(剥離材層)
103 カバーフィルム(被印字テープ、被印字媒体)
108 テープ送りローラ駆動軸(搬送手段)
109 印字済みラベル用テープ(被印字媒体)
118 端末(操作端末)
L 印字ラベル(印刷物)
Tc 切断時間
Vs 所定速度
X ラベル長さ(第1長さ)
Xc 切断換算距離
Xt 処理長さ(第2長さ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印字媒体を所定速度で搬送させるための搬送手段、前記搬送手段により搬送される前記被印字媒体に対し、印字データに基づく印字を行う印字手段、及び、前記印字手段により印字がなされた前記被印字媒体を切断する切断手段を有し、前記搬送手段の搬送方向に沿った前記印字データに基づく所望の長さを備えかつ所望の印字が前記被印字媒体に形成された複数の印刷物をそれぞれ作成可能な、複数の印刷物作成装置を操作するための操作端末に備えられた演算手段に対し、
前記複数の印刷物それぞれに係わる前記印字データに基づき決定された、当該複数の印刷物それぞれの前記搬送方向に沿った第1長さを取得する情報取得手順と、
前記切断手段による前記被印字媒体の1回の切断動作に要する切断時間を、当該切断時間の経過中に前記搬送手段が前記所定速度により前記印刷物を搬送する搬送距離に換算した切断換算距離が、前記情報取得手順により取得された各印刷物の前記第1長さに対して加算され生成される第2長さを、各印刷物ごとに算出する長さ算出手順と、
前記複数の印刷物を作成するための複数の印刷物作成ジョブの分配対象となる前記複数の印刷物作成装置を決定する装置決定手順と、
前記長さ算出手順で前記第2長さがそれぞれ算出された前記複数の印刷物を作成するための前記複数の印刷物作成ジョブを、前記装置決定手順で決定された前記複数の前記印刷物作成装置に対し分配して割り当てて、各印刷物作成装置ごとに割り当てられる少なくとも1つの前記印刷物の前記第2長さの総計を互いに略均等とする、ジョブ割り当て手順と、
を実行させるための、印刷物作成プログラム。
【請求項2】
請求項1記載の印刷物作成プログラムにおいて、
前記情報取得手順は、
互いに異なる値である、前記複数の印刷物それぞれの前記第1長さを取得し、
前記長さ算出手順は、
前記情報取得手順で取得された、互いに異なる前記複数の前記第1長さそれぞれに対して前記切断換算距離を加算し、対応する前記第2長さをそれぞれ算出する
ことを特徴とする印刷物作成プログラム。
【請求項3】
請求項2記載の印刷物作成プログラムにおいて、
前記情報取得手順は、
互いに前記印字データの内容が異なる前記複数の印刷物それぞれの前記第1長さを取得し、
前記印字手段は、
前記互いに異なる印字データをそれぞれ用いて、前記複数の印刷物に対する印字を行う
ことを特徴とする印刷物作成プログラム。
【請求項4】
請求項2又は請求項3記載の印刷物作成プログラムにおいて、
前記搬送手段は、
前記所定速度として、基準速度と、前記基準速度のP倍(但しP>1)の高速度及び前記基準速度のp倍(但しp<1)の低速度のうち少なくとも一方の速度と、に切り替えて搬送可能に構成されており、
前記長さ算出手順は、
前記搬送手段の搬送速度が前記高速度である場合には、前記第2長さを、前記搬送手段の搬送速度が前記基準速度である場合のP倍にして算出し、
前記搬送手段の搬送速度が前記低速度である場合には、前記第2長さを、前記搬送手段の搬送速度が前記基準速度である場合のp倍にして算出する
ことを特徴とする印刷物作成プログラム。
【請求項5】
請求項2乃至請求項4のいずれか1項記載の印刷物作成プログラムにおいて、
前記搬送手段は、
基材層と、前記基材層を貼り付け対象に貼り付けるための貼り付け用粘着剤層と、前記貼り付け用粘着材層を覆う剥離材層とを備えた、前記被印字媒体としての被印字テープを搬送し、
前記印刷物作成装置は、
前記印刷物としての印字ラベルを作成する
ことを特徴とする印刷物作成プログラム。
【請求項6】
請求項5記載の印刷物作成プログラムにおいて、
前記印刷物作成装置の前記切断手段は、
前記被印字テープのうち、前記基材層、前記貼り付け用粘着剤層、前記剥離材層を含むすべての層を厚さ方向に分断する全切断を実行する全切断手段と、
前記被印字テープのうち、前記剥離材層以外のすべての層を厚さ方向に分断するか、若しくは、前記剥離材層のみを厚さ方向に分断する半切断を実行する半切断手段と、
を含んでおり、
前記長さ算出手順は、
前記切断時間として、前記全切断手段による1回の前記全切断動作に要する第1切断時間、若しくは、前記半切断手段による1回の前記半切断動作に要する第2切断時間、を、当該第1切断時間若しくは第2切断時間の経過中に前記搬送手段が前記所定速度により前記印刷物を搬送する搬送距離に換算した前記切断換算距離が、前記第1長さに対して加算され生成される前記第2長さを、各印刷物ごとに算出する
ことを特徴とする印刷物作成プログラム。
【請求項7】
被印字媒体を所定速度で搬送させるための搬送手段、前記搬送手段により搬送される前記被印字媒体に対し、印字データに基づく印字を行う印字手段、及び、前記印字手段により印字がなされた前記被印字媒体を切断する切断手段を有し、前記搬送手段の搬送方向に沿った前記印字データに基づいた所望の長さ及び所望の印字が前記被印字媒体に形成された複数の印刷物をそれぞれ作成可能な、複数の印刷物作成装置を操作するための操作端末が実行する、印刷物作成方法であって、
前記複数の印刷物それぞれに係わる前記印字データに基づき決定された、当該複数の印刷物それぞれの前記搬送方向に沿った第1長さを取得する情報取得手順と、
前記切断手段による前記被印字媒体の1回の切断動作に要する切断時間を、当該切断時間の経過中に前記搬送手段が前記所定速度により前記印刷物を搬送する搬送距離に換算した切断換算距離が、前記情報取得手順により取得された各印刷物の前記第1長さに対して加算され生成される第2長さを、各印刷物ごとに算出する長さ算出手順と、
前記複数の印刷物を作成するための複数の印刷物作成ジョブの分配対象となる前記複数の印刷物作成装置を決定する装置決定手順と、
前記長さ算出手順で前記第2長さがそれぞれ算出された前記複数の印刷物を作成するための前記複数の印刷物作成ジョブを、前記装置決定手順で決定された前記複数の前記印刷物作成装置に対し分配して割り当てて、各印刷物作成装置ごとに割り当てられる少なくとも1つの前記印刷物の前記第2長さの総計を互いに略均等とする、ジョブ割り当て手順と、
を有することを特徴とする印刷物作成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−4063(P2013−4063A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138195(P2011−138195)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】