説明

印刷胴用スリーブ、印刷機及び印刷胴用スリーブの内周層着脱方法

【課題】 オフセット輪転印刷機で、特にバリアブルカットオフ式の輪転印刷機の場合に、印刷運転のために劣化した印刷胴用スリーブの交換費用を安価に抑える。
【解決手段】 円筒状をなし印刷機本体側に設けられた基軸ロールの外周に装着される印刷胴用スリーブにおいて、少なくとも一部の層が半径方向の荷重に対して伸縮可能な層34で構成された内周層32と、該内周層の外周面に密着嵌合された外周層31とからなり、該内周層と該外周層とは別体に作られ、互いに分離可能に構成される。このため該内周層が劣化したスリーブを交換する場合に、該内周層を該外周層から取り外し、該内周層のみを交換し、外周層はそのまま使用できるので、スリーブ全体を交換していた従来の方式と比べて、交換費用を大幅に低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、版胴用スリーブ又はブランケット胴用スリーブとして使用される印刷胴用スリーブに関し、特にウェブのカットオフ長が変更可能なバリアブルカットオフ式の輪転印刷機に適用されて好適であり、交換時の費用低減を図った印刷胴用スリーブ及びその着脱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
輪転式の印刷機には、ウェブ(連続紙)の両面に印刷を施すため、ウェブの上面及び下面にそれぞれ版胴とブランケット胴とが備えられる。また版胴の表面には刷版が巻回され、ブランケット胴の表面には弾性のブランケットが巻回され、版胴の印刷内容がブランケットに転写された後、該ブランケットから上下ブランケット間を通るウェブに転写される。
【0003】
最近では、かかる輪転式印刷機械において、ウェブのカットオフ長(切断長さ)が変更可能とされたバリアブルカットオフ式が種々提案されている。このバリアブルカットオフ式輪転印刷機の一方式として、特許文献1(特開2004−181931号公報)に開示されているように、印刷機本体側に設けられた基軸ロールの外周に装着される円筒スリーブの直径(厚さ)を変更することによって、印刷胴(版胴又はブランケット胴)の直径を変更するとともに、一部の印刷胴の軸心位置を変更するものがある。
【0004】
かかる印刷胴用スリーブは、特許文献2(特開平2−243344号公報)に開示されているように、複数層からなる樹脂で構成され、径方向に変形可能であり、基軸ロールに印刷胴用スリーブ(版胴用スリーブ又はブランケット胴用スリーブ)を装着する場合には、特許文献3(特開平10−95102号公報)に開示されているように、基軸ロール外周から噴出する圧縮空気によってスリーブ内径を拡張させて、基軸ロールに挿入する。
【0005】
即ち印刷胴用スリーブの内径は基軸ロールの外径よりわずかに小さく作られており、基軸ロールの外周から噴出する圧縮空気によって該スリーブ内径を拡張させて基軸ロールの軸方向に挿入又は引抜きし取り付け又は取り外しを行なう。取り付けは、スリーブ挿入後圧縮空気の供給が停止されることによってスリーブの内径が収縮し、基軸ロールの外周に密着固定される。
なお本明細書中で、版胴用スリーブとブランケット胴用スリーブを区別しないときは、「印刷胴用スリーブ」又は単に「スリーブ」という。
【0006】
【特許文献1】特開2004−181931号公報
【特許文献2】特開平2−243344号公報
【特許文献3】特開平10−95102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし樹脂製のスリーブは、強度や耐久性が十分とは言えず、刷版やブランケットの両端を把持して固定する保持装置をスリーブに取り付けることが困難であった。この問題は、大型高速で版交換を頻繁に行なう必要のある輪転印刷機のバリアブルカットオフ機の場合に特に顕著となる。
そのため本発明者等は、先にこれらの問題点を解消するため、内周側には樹脂層等の半径方向に伸縮可能な変形層が形成され、最外周側は金属製からなる円筒状の印刷胴用スリーブを提案している。この印刷胴用スリーブは、最外周を金属製とすることにより強度及び耐久性を向上させ、前述の問題点を解消するようにしたものである。
【0008】
しかしながらこの印刷胴用スリーブは、印刷運転で使用するに従って、樹脂層等からなる変形層の性能が低下してくる。即ち印刷胴用スリーブは基軸ロールの外周に密着固定されているが、印刷運転中印刷胴は800〜1000rpmもの高速回転をしながら、互いのニップ部での圧縮と非ニップ部での伸長とを繰り返すため、印刷運転を長く行なうと、該変形層の伸縮性が次第に劣化してくる。
【0009】
このためスリーブと基軸ロールとの間の密着力が弱まる。また、劣化前と同一印刷運転条件下において、スリーブの伸縮量が増加する。密着力が弱まり伸縮量が増加すると、スリーブと基軸ロールとの間に芯ズレが生じ回転が不安定になる。この状態になると、版胴とブランケット胴との間の加圧力が低下しかつ不安定になるため、絵柄の見当合わせの精度が低下し、絵柄が鮮明でなくなる等の印刷障害が発生する。
【0010】
このように該変形層の性能が劣化してくると、スリーブ全体を新しいものと交換する必要が出てくるが、1本当りのスリーブが高価なため、交換費用が高価になるという問題がある。これは、刷版又はブランケットを装着するための保持装置をスリーブに取り付けるため、最外層にアルミ等の金属層を設けているので、高価となるからである。
【0011】
例えば両面輪転印刷機の場合、印刷ユニットは、それぞれシアン、イエロー、マゼンダ及びブラックを印刷する4ユニットからなり、これらの混色を利用してカラー印刷を行なうものである。1ユニット当り合計4本の版胴及びブランケット胴を合わせて合計4本のスリーブが必要なので、スリーブは4ユニットで16本から構成される。さらにバリアブルカットオフ式の場合、それぞれのユニットで直径が異なるスリーブを少なくとも2セットを用意しており、スリーブ1本当りの単価を50万円とすると、1回の交換で、50万円×32本=1600万円の費用が発生する。
【0012】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、オフセット輪転印刷機で、特にバリアブルカットオフ式の輪転印刷機の場合に、印刷運転のために劣化した印刷胴用スリーブの交換費用を安価に抑えるとともに、交換作業の煩雑化を招くことがない印刷胴用スリーブ及びその着脱方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するため、本発明の印刷胴用スリーブは、
円筒状をなし、印刷機本体側に設けられた基軸ロールの外周に装着される印刷胴用スリーブにおいて、
少なくとも一部の層が半径方向の荷重に対して伸縮可能な層で構成された内周層と、該内周層の外周面に密着嵌合された外周層とからなり、該内周層と該外周層とは別体に作られ、互いに分離可能に構成されているものである。
【0014】
本発明では、前記構成により、外周層と内周層とが別体に作られ、互いに分離可能に構成されているため、該内周層が印刷運転により劣化し寿命が来た時には、該内周層のみを取り外して交換可能である。このように内周層のみ交換可能となるため、該内周層の劣化時、スリーブ全体を新品に交換する必要がなくなり、従来に比べて交換費用を大幅に低減することができる。なお好ましくは、外周層は、スリーブの強度及び耐久性を保持するため金属材料で構成し、内周層は、伸縮可能な層を備える観点から、またスリーブの重量を軽減するため、非金属材料で構成することが望ましい。
【0015】
例えば該内周層が従来のように樹脂で構成されていれば、該内周層の価格は概算1本5万円程度であり、前記のバリアブルカットオフ式の場合、4ユニット全部交換したとしても、1回の交換で、5万円×16本×2セット=160万円となり、従来に比べて10分の1の費用に低減できる。
【0016】
本発明の印刷胴用スリーブにおいて、外周層の軸方向端部に内周層を着脱するための圧縮ガスを供給する供給路と、該ガス供給路に接続され該外周層端部の内周面から該内周層側に向けて加圧ガスを噴出する噴出口とを設ければ、外周層に内周層を着脱することが容易になる。
【0017】
上述の構成によれば、外周層に内周層を着脱する場合に、該ガス噴出口から空気や不活性ガス等の加圧ガスを噴出させ、これによって内周層の外径を縮径させ、外周層と内周層の境界にガス層(空気層)を形成して内周層の外周面と外周層の内周層との接触面を少なくすることができる。このようにすれば、内周層を外周層の内周面内に挿入又は抜き出す際に、内周層の外周面と外周層の内周面との摩擦力が低減されるので、外周層から内周層の着脱を容易に行なうことができる。
【0018】
また、内周層の外周面に周方向に溝を設ければ、内周層の着脱時の内外周層の接触面(内周層の外周面と外周層の内周面との接触面)が少なくなる。即ち、内周層と外周層とを着脱させる際に、内外周層の接触面にかかる摩擦力を低減することができる。
さらに、該溝を通じて加圧ガスが外周層の内周面と内周層の外周面との間にスムーズに導入されることにより、効率的にガス層(空気層)が内外周層の接触面間に形成されるので、着脱をスムーズに行なうことができる。
【0019】
本発明の印刷胴用スリーブにおいて、外周層のうち強度を低減可能な部位の内部を中空とし、該中空部に軽量の非金属材料を充填するようにすれば、スリーブとしての必要強度を保持しながら、スリーブの軽量化を達成することができる。非金属材料として発泡ウレタンを用いれば、金属材料と比べて強度をあまり減ずることなく、大幅な軽量化を図ることができる。
【0020】
さらに具体的構成として、印刷用スリーブの外周層が、内周層の外周面と略同直径の内周面を有する第1円筒と、金属材料からなり該第1円筒の外側に該第1円筒と芯合わせをして同心円上に配置された第2円筒と、から構成されており、さらに、該第1円筒と該第2円筒の間に前記軽量の非金属材料が充填されている構成とすることができる。ここで充填される非金属材料として、液状ウレタンを充填して発泡固化された発泡ウレタン層を使用する。
【0021】
加工精度が良く、強度があり、寿命の長い金属、例えばNiなどを第1円筒に用いれば、高精度の薄厚の第1円筒を製造するのが容易であり、該薄厚の第1円筒の外側に、例えばアルミ合金製等の金属材料からなり、前記外周層の最外面を構成する円筒を芯合わせして同心円上に配置し、これら2つの円筒間に軽量の非金属材料を充填すれば、強度をほとんど損なうことなく軽量の外周層を容易に製造することができる。該軽量の非金属材料として、好ましくは、液状のウレタンを充填して発泡固化させるようにすれば、発泡ウレタンの比重はアルミ合金の比重の約0.2倍であり、かつ強度があるため、軽量で強度のあるスリーブを製造することができる。
【0022】
また本発明の印刷機は、かかる構成の印刷胴用スリーブを備えた印刷機であり、外周層と内周層を別体とし、互いに分離可能に構成されたスリーブを備えているので、内周層が劣化した際、内周層のみ交換できるので、スリーブ交換時の費用を従来のスリーブと比べて大幅に低減することができる。
【0023】
また本発明の内周層着脱方法は、前記加圧ガス供給路に加圧ガスを供給して前記噴出口から加圧ガスを噴出させ、該外周層と該内周層との境界にガス層を形成して該内周層を縮径させながら、内外周層の接触面を少なくして、該内周層を該外周層の内周面に挿入するか又は該外周層の内周面から抜き出すようにしたものである。
ここで内周層を外周層に装着する場合は、内周層を外周層に内周面に挿入した後、前記圧縮ガスの供給を停止して該内周層を元の外径に戻すことにより該外周層の内周面に該内周層を密着固定するようにしたものである。
【0024】
本発明の着脱方法において、好ましくは、内周層の外周面に周方向に溝を設けて該溝に加圧ガスを導入するようにすれば、外周層の内周面と内周層の外周面との間にガス層を形成しやすくなる。このようにガス層を形成することによって、内外周層の接触面を少なくすることができ、従って着脱をさらにスムーズに行なうことができる。なお該加圧ガスとして、例えば空気や不活性ガスを用いることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の印刷胴用スリーブによれば、少なくとも一部の層が半径方向の荷重に対して伸縮可能な層で構成された内周層と、該内周層の外周面に密着嵌合された外周層とからなり、該内周層と該外周層とは別体に作られ、互いに分離可能に構成されているので、該内周層が劣化したスリーブを交換する場合に、該内周層を該外周層から取り外し、該内周層のみを交換し、外周層はそのまま使用できるので、スリーブ全体を交換していた従来の方式と比べて、交換費用を大幅に低減することができる。
【0026】
また本発明の印刷機によれば、前記構成を有するスリーブを備えたことにより、スリーブ交換時の費用を大幅に低減することができる印刷機を実現することができる。
また本発明の内周層着脱方法によれば、外周層の軸方向端部で加圧ガス供給路に加圧ガスを供給し外周層端部の内周面から該内周層側に向けて開口した噴出口から加圧ガスを噴出させ、該外周層と該内周層との境界にガス層を形成して該内周層を縮径させながら、該内周層を該外周層の内周面に挿入するか又は該外周層の内周面から抜き出すようにし、内周層を外周層に装着する場合は、内周層を外周層の内周面に挿入した後、該加圧ガスの供給を停止して該内周層を元の外径に戻し、該外周層の内周面に該内周層を密着固定するようにしたことにより、外周層への内周層の着脱を大掛かりな設備を必要とせず、容易に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明をそれのみに限定する趣旨ではない。
図1は、オフセット輪転印刷機の全体概略構成を示す模式図、図2は、図1の印刷機の印刷ユニットの概略構成を示す模式図、図3は、本発明の第1実施形態に係る版胴の一部断裁斜視図、図4は、前記第1実施形態の版胴用スリーブの縦断立面図、図5は、図4中のA−A線に沿う横断側面図である。
【0028】
図6は、前記第1実施形態の版胴用スリーブの側面図、図7は、図6中のC−C断面図、図8は、図4中のB部拡大断面図、図9の(a)は、前記第1実施形態の位置決め金具周辺の部分横断側面図、(b)は前記第1実施形態の位置決め金具周辺の部分縦断立面図((c)のD−D断面)、(c)は前記第1実施形態の位置決め金具周辺を内周層の内周側から視た部分底面図、図10は、前記第1実施形態の内周層の縦断立面図、図11は、本発明の第2実施形態の版胴用スリーブの縦断立面図、図12は、図11中のE−E線に沿う横断側面図、図13は本発明の第3実施形態に係り、(a)はその横断側面図、(b)は(a)のF部拡大断面図である。
(実施形態1)
【0029】
図1に示すオフセット輪転印刷機は、ウェブのカットオフ長(切断長さ)が変更可能なバリアブルカットオフ式であり、この印刷機の構成は、ウェブwを供給する給紙装置1と、複数の印刷ユニット3と、印刷されたウェブwを乾燥させる乾燥装置6と、ウェブwを冷却する冷却装置7と、ウェブwを断截し折って折帳として排出する折機8とから構成されている。
【0030】
給紙装置1には、ウェブwがロール状に巻かれた2個の紙ロール2a及び2bが設けられ、一方の紙ロール2bから給紙している場合に、他方の紙ロール2aが装着され、紙継ぎ準備がなされる。一方の紙ロール2bのウェブwが残り少なくなると、他方の紙ロール2aのウェブに紙継ぎされ、このようにしてウェブwは給紙装置1から印刷ユニット3に連続的に繰り出されるようになっている。
【0031】
印刷ユニット3は、印刷色数に相当するユニット数が設けられる。本実施形態では、印刷ユニット3は4ユニット設けられており、それぞれシアン、イエロー、マゼンダ及びブラックを印刷し、これらの混色を利用してカラー印刷を行なう。印刷ユニット3では、走行するウェブwの上下に版胴4a、4bとブランケット胴5a、5bとが配置されている。上方のブランケット胴5aと下方のブランケット胴5bとがウェブwを挟んで対向して配置されており、相互に印圧を付与し合う機能を果たしている。
【0032】
版胴4a、4bには図柄を形成した刷版が巻回されている。当該刷版に後述するインカーからインキが供給され、そのインキが刷版上で図柄を構成し、その図柄がブランケット胴5a、5bに巻回されたブランケットに転写され、ブランケットからウェブwの両面に印刷される。印刷ユニット3によって両面印刷されたウェブwは、乾燥装置6によって乾燥され、冷却装置7によって冷却された後、折機8に搬送される。折機8では、搬送されてきたウェブwが、縦切断されたり、三角板により縦折りされたり、さらに横折り、横切断されたりして、所望の折帳として排出される。
【0033】
図2は、図1に示す輪転印刷機の印刷ユニット3の全体概略構成を示し、印刷ユニット3では、ウェブwを挟んで前述の版胴4a、4b及びブランケット胴5a、5bが配設され、さらに版胴4a及び4bに巻回された図示しない刷版の画線部にインキを供給するインキ装置11a、11bと、版胴4a、4bの非画線部に湿し水を供給する湿紙装置13a、13bとを備えている。
【0034】
本実施形態の輪転印刷機では、図2に実線及び二点鎖線で示すように、ウェブのカットオフ長(切断長さ)を変更するために、版胴4a、4bやブランケット胴5a、5bを直径が異なる版胴4a’、4b’やブランケット胴5a’、5b’に変更できるようになっている。即ち版胴4a、4b及びブランケット胴5a、5bを基軸ロールとその外側を覆う円筒状のスリーブとで構成し、外径(厚さ)の異なるスリーブに変更することによって、胴の直径を変更するようになっている。
【0035】
また版胴4a、4b及びブランケット胴5a、5bの直径の変更に伴い、版胴4a、4b及びブランケット胴5a、5bの軸心位置を、符号4a’、4b’及び5a’、5b’で示すように、上下方向に変化させる。
さらにインキ装置11a、11bのインキ着けロール12a、12b及び湿し装置13a、13bの水着けロール14a、14bの位置も二点鎖線に示すように変更される。
【0036】
版胴4(4aと4bの区別をしないときは、a又はbを省略して示す。)は、図3に示すように、基軸ロール21の外周に円筒状の版胴用スリーブ22が装着され、版胴用スリーブ22の外周には図柄を形成した刷版23が巻回されている。この刷版23の周方向両端23aが版保持装置24によって把持され固定されている。版保持装置24は、後述するように版胴用スリーブ22の内部に設けられている。
なおブランケット胴5も同様にブランケット胴用の基軸ロールの外周にブランケット胴用スリーブが装着されている。
【0037】
以下、本実施形態の版胴用スリーブを図3〜10により説明する。図3及び図4に示すように、版胴用スリーブ22は、円筒状をなし、アルミ合金製の外周層31と樹脂で構成された内周層32からなる。内周層32は、図8に示すように、例えば発泡ゴム又はソリッドゴム等の伸縮性を有する伸縮層33と、内側FRP層34とが積層されて構成され、外周層31と内周層32とは別体に作られ、分離可能となっている。
【0038】
図4に示す外周層31は、軽量且つ必要強度を有するという観点から、アルミ合金でつくられ、アルミ合金層の外表面には、アルマイト処理等の硬化処理が施されており、これにより外表面の磨耗や損傷を少なくしている。このように外周層31を樹脂に比べて強度の高いアルミ合金層としたので、版胴用スリーブ22をすべて樹脂で構成した場合と比べてスリーブの強度及び耐久性を向上させることができ、版保持装置24を版胴用スリーブ22に取り付けることができるようになる。
外周層31は、軸方向における中央に位置する中央部36と、この中央部36の両端に位置する端部37とで構成され、中央部36と端部37の一部を構成する接続部41とは、図7に示すように、ボルト43により着脱可能となっている。
【0039】
外周層31の中央部36は、アルミ合金層からなる外周層31の大部分を占め、巻回される刷版23(図3、4参照)の軸線長さよりもわずかに長い軸線方向長さに構成されている。版胴用スリーブ22には、軸線方向に貫通する孔38が穿設され、この孔38に版保持装置24のテンションバー39が挿入されている。中央部36には該孔38と版胴用スリーブ22の外周面をつなぐ溝35が形成されている。
【0040】
刷版23を版胴用スリーブ22に装着する方法は、次の手順で行なう。刷版23の咬え側端部を溝35の角部に係止させた状態で版胴4を1回転させて刷版23をスリーブ外周面に巻回する。次に刷版23の咬え尻側端部を溝35から孔38内に挿入し、テンションバー39の図示しないフック部に掛け、この状態で版保持装置24のハンドル40を回す。これによってテンションバー39が回転し、咬え尻側端部を引張って刷版23を緊締すると同時に、刷版23の咬え側端部を孔38の内面とテンションバー39とで挟んで固定する。なお一例として、版保持装置の詳細については、特開2000−6372号公報に開示されている。
【0041】
外周層31の両端部37は、図4に示されるように、接続部41と縁部42から構成されている。そして、この接続部41は、その内外径が中央部36の内外径と同径であり、縁部42は、接続部41よりも端部側に位置する。この縁部42は、接続部41と同径の外径をもつが、当該縁部42の内径は接続部41よりも小さい内径をもつ。即ち縁部42は接続部41より大きな肉厚を有している。
【0042】
また当該縁部42の内径は、内周層32の内径よりわずかに大きい内径を有している。さらに、後述する装着方法により版胴用スリーブ22の内周層32が拡径されて基軸ロール21に装着されたとき、縁部42の内径は、拡径された内周層32の内径よりわずかに大きく、かつ内周層32の外径より小さくなるように設定されている。
このような大きさの内径を有する縁部42を版胴用スリーブ22の両端に位置させることにより、両縁部42間で内周層32を挟持するように構成している。
【0043】
接続部41には、図7に示すように、中央部36と接続するためのボルト43が挿通される通し穴44が設けられ、通し孔44は、図6に示すように、円周方向に等角度で6箇所に設けられている。即ち、通し孔44にボルト43を通し、中央部36に形成したネジ穴45に螺合することで、接続部41を中央部36に固定している。
また図4に示すように、接続部41にはネジ穴49が設けられるとともに、縁部42には通し孔50が設けられ、通し孔50に通されネジ穴49に螺合するボルト46により縁部42が接続部41に固定されている。図6に示すように、円周方向の6箇所から上述のネジ穴49に螺合するボルト46により縁部42が接続部41に固定されている。
【0044】
なお版保持装置24は、鉄製であるため、版胴用スリーブ22の一端の重量が重くなり、印刷中にバランスが取れなくなる。そのため、図5に示すように、版保持装置24と版胴用スリーブ22の軸心を中心とした点対称の位置に軸線方向に孔47を穿設し、該孔に鉄製で棒状をなすバランスウェイト48を挿入し固定して、版胴用スリーブ22のウェイトバランスを取っている。
【0045】
また図4に示すように、接続部41の外周面は、インキ着けロール12のニップ圧を調整するためのニップ調整ロール15が転動する転動部となっている。この接続部41はアルミ合金等の軽合金によって形成されているので、樹脂製スリーブの樹脂上を転動する場合に比べて、当該接続部41の磨耗を格段に低減することができる。
またニップ調整ロール15の転動によって接続部41が磨耗したとしても、接続部41は中央部36に対して着脱可能となっているので、接続部41のみを交換することができる。そのため外周層31の全体や版胴用スリーブ22そのものを交換する必要がないので、版胴用スリーブ22の交換に要するコストを低減することができる。
【0046】
図6に示すように、縁部42の内周には、位置決め金具60が設けられている。位置決め金具60は、基軸ロール21に版胴用スリーブ22を装着する際に、基軸ロール21に対して版胴用スリーブ22の周方向及び軸線方向の位置決めを行なうものである。位置決め金具60は、本実施例では、周方向に等間隔で3個設けられているが、その個数は3個に限定されるものではなく、1個以上あればよい。
【0047】
位置決め金具60は、図9(a)及び(b)に示すように、縁部42の外周側から中心に向けて挿入されるボルト61によって固定されている。縁部42には半径方向にネジ孔62が形成され、縁部42の内周面に位置決め金具60を収容する凹部63が設けられている。
また、位置決め金具60にもボルト61と螺合するネジ穴64が設けられている。そして、該凹部63に収容された位置決め金具60のネジ穴64にボルト61の先端が螺合することによって、位置決め金具60が凹部63内に固定されている。
位置決め金具60は、概略半円の横断面を有するかまぼこ型の柱体をなし、鉄製である。
【0048】
図9(c)に示すように、位置決め金具60の平面状をなす底面には、スリーブ軸線方向に延在する溝65が形成され、溝65は、基軸ロール21の外周から突出するピン(凸部)66の側周面が係合するように円弧状の凹部67が形成されている。この凹部67に基軸ロール21のピン66が係合することにより、版胴用スリーブ22の円周方向及び軸線方向位置が決定される。
【0049】
このように位置決め金具60が取り付けられる外周層31の縁部42がアルミ合金で構成され、必要強度を有しているので、ボルト61によって固定することができる。従って樹脂製スリーブのように接着剤を用いて固定する必要がなく、ボルト61によって固定されているだけなので、位置決め金具60が磨耗ないし損傷した場合であっても、位置決め金具60のみを交換するだけで済むので、作業が極めて簡便となる。
【0050】
図4に示すように、版胴用スリーブ22の操作側(図4の紙面に対して左側)の端部37の縁部42に対して、把持用リング70がボルト71により着脱可能に取り付けられる。把持用リング70は、版胴用スリーブ22を基軸ロール21に装着する場合又は版胴用スリーブ22を基軸ロール21から脱着する場合に、作業員が当該把持用リング70を把持して版胴用スリーブ22の装着又は脱着を行なうものである。
【0051】
把持用リング70は、版胴用スリーブ22とほぼ同径の大径部70aと、この大径部70aの内側に位置する小径部70bとを備えている。
作業者は、大径部70aを把持して版胴用スリーブ22の装着又は脱着作業を行なうが、図3に示すように、大径部70aと版胴用スリーブ22の端面との間に隙間があるので、該隙間に作業者の指を入れることができ、把持用リング70を掴みやすくなっている。
【0052】
またスリーブ外周層31の一端側の接続部41には、圧縮空気注入用の孔51及び該孔51に連通する噴射口53が穿設されている。この噴射口53は、内周層32に接する外周層31の内周面に設けられており、さらに、当該噴射口53は、内周層32を囲むように環状に開口している。また内周層32の外周面には、図10に示すように、適宜なピッチ間隔で複数のリング状溝54が刻設されている。
【0053】
かかる構成の第1実施形態において、版胴用スリーブ22を基軸ロール21に装着する操作手順を説明する。版胴用スリーブ22を構成する外周層31と内周層32とは別体で構成されているので、まず内周層32を外周層31に装着する必要がある。なお内周層32の外周面の外径は、外周層31の内周面の内径よりやや大きく作られている。
中央部36と接続部41とが結合され縁部42が取り外された状態の外周層31において、接続部41に穿設された圧縮空気注入用孔51に図示しない圧縮空気供給源から圧縮空気を注入して噴射口53から圧縮空気を噴き出しながら内周層32を外周層31の内周面に挿入していく。
【0054】
このとき圧縮空気を吹き付けられた内周層32の端側の外周面は圧縮空気の空気圧によって縮径されるとともに、内周層32が外周層31に挿入されるにしたがって、内周層32の外周面と外周層31の内周面の間に入り込んだ空気により内周層32が外周層31に挿入された側から縮径される。これによって、外周層31の内周面と内周層32の外周面との間にスキマが生じ、外周層31の内周面と内周層32の外周面との間の接触による摩擦抵抗が少なくなる。
【0055】
そして内周層32を外周層31の内周面に容易に挿入していくことができる。特に内周層32の外周面に刻設されたリング状溝54に圧縮空気が導入されることにより、内周層32の外周面と外周層31の内周面の間に空気膜が確実に形成され、内外周層間の接触が少なくなる。なおリング状溝54の間隔は、内周層32の外周面と外周層31の内周面との間の空気膜の形成が可能なように適宜設定される。
【0056】
この操作により、内周層32の全体が外周層31の内周面に挿入される。その後孔51への圧縮空気の供給を止め、接続部41のネジ穴49にボルト46を螺合させて縁部42を接続部41にボルト結合することにより、内周層32が両端の縁部42で挟持される状態(図4に示す状態)となる。
【0057】
次に外周層31と内周層32とが一体となった版胴用スリーブ22を基軸ロール21に装着する。この場合把持用リング70をボルト71によって版胴用スリーブ22に装着し、作業員が把持用リング70を把持し、版胴用スリーブ22の駆動側端部37(図4において右側)から基軸ロール21に挿入する。基軸ロール21の操作側端部(図4において左側)の外周面に周方向に沿って圧縮空気噴射口55が設けられており、図示しない圧縮空気供給源から該噴射口55に圧縮空気を噴射する。この圧縮空気の空気圧によって版胴用スリーブ22の内周層32が膨張して拡径しながら基軸ロール21に挿入される。
なお、外周層31の縁部42の内径は、基軸ロール21の外径よりもわずかに大きく形成されているので、挿入時縁部42の内周面が基軸ロール21に対して干渉することはない。
【0058】
そして版胴用スリーブ22の周方向の位置を基軸ロール21に対して調整しながら版胴用スリーブ22をさらに駆動側へ押し出すと、基軸ロール21の外周面から突出形成されたピン66(図6及び図9参照)に位置決め金具60の溝65が嵌まり込む。そして位置決め金具60の溝65の凹部67にピン66が係合することにより、版胴用スリーブ22の周方向位置及び軸線方向位置が決定される。
その後刷版23を版胴用スリーブ22の外周に巻回し、版保持装置24によって刷版23を固定した後、印刷作業を開始する。
なお把持用リング70は、版胴用スリーブ22を基軸ロール21から抜き出すときに取り付けるようにしてもよい。
【0059】
版胴用スリーブ22を基軸ロール21に取り付け、所定期間印刷運転した後、内周層32の性能が劣化して版胴用スリーブ22を交換する必要が生じた場合には、版胴用スリーブ22を基軸ロール21から取り出す必要があるが、版胴用スリーブ22を基軸ロール21から抜き出す場合には、基軸ロール21の外周面に設けられた圧縮空気噴射口55から圧縮空気を噴出させ、版胴用スリーブ22の内周層32を拡張させて基軸ロール21の外周面から該内周層32を浮き上がらせる。この状態で作業員が把持用リング70を掴みながら版胴用スリーブ22を引抜き、版胴用スリーブ22の取り外し作業を完了させる。
【0060】
版胴用スリーブ22の外周層31から内周層32を取り出す場合は、先ず縁部42を接続部41から取り外した後、圧縮空気注入用孔51を介し噴射口53から圧縮空気を噴射させて圧縮空気の空気圧により内周層32を縮径させ、内周層32の外周面と外周層31の内周面間に溜まった空気でスキマを形成して接触による摩擦抵抗を少なくして内周層32を外周層31から抜き出すようにする。そして新しい内周層32を外周層31に装着して版胴用スリーブ22を基軸ロール21に装着する。
【0061】
かかる第1実施形態によれば、版胴用スリーブ22を構成する外周層31と内周層32のうち、外周層31はアルミ合金製であるので、軽量で高強度を有し、内周層32は、ソリッドゴムや発泡ゴム等で構成された伸縮層33とその内側に配置されたFRP層34で構成されているので、版胴用スリーブ22をエア拡張して基軸ロール21に簡単に着脱できる。しかも高強度を有し、かつ外周層31と内周層32とを分離可能としているので、比較的寿命の短い内周層32が劣化して性能が低下したときには、版胴用スリーブ全体を交換する必要がなく、該内周層のみ交換可能であるため、交換費用を大幅に低減することができる。
【0062】
また外周層31と内周層32との着脱は、圧縮空気供給孔51及び噴射口53から圧縮空気を外周層31の内周面から内周層32の外周面側に向かって噴射させ、該圧縮空気の空気圧によって内周層32の外径を縮径させるとともに、外周層31の内周面と内周層32の外周面との間に圧縮空気を導入して内外周層間にスキマを付けることにより、容易に着脱を行なうことができる。
本実施形態では、内周層32の外周面にリング状溝54を設けているので、外周層31の内周面と内周層32の外周面との間の空気溜め効果が大きく、確実に内外周層間にスキマを設けることができる。
(実施形態2)
【0063】
次に本発明の第2実施形態を図11及び図12に基づいて説明する。本実施形態が前記第1実施形態と異なる点は、版胴用スリーブ22のアルミ合金製外周層31のうち比較的強度を要しない部位を中空とし、該中空部に発泡ウレタン層を充填してなるものである。即ち図12に示すように、外周層31の中央部36において、版胴用スリーブ22の内周面に面した内周面近傍の内側円筒(第1円筒)81及び、該版胴用スリーブ22の外周面に面した外周面近傍の外側円筒(第2円筒)82をアルミ製で構成し、また版保持装置24の周辺部位83と、接続部41を中央部36にボルト結合するためのネジ穴45の取り付け位置において円筒体81と円筒体82とを連結する連結部位84と、バランスウェイト48の周辺部位85とをアルミ合金製とし、これらの部位を除いた部位を中空とし、該中空部86に発泡ウレタン層87を充填したものである。
【0064】
なおその他の構成は、外周層31の端部37及び内周層32を含めて前記第1実施形態と同一であり、第1実施形態と同一の部位は第1実施形態と同一の符号を付し、それら部位の説明を省略する。また図11において、インキ着けロール12、ニップ調整ロール15及び把持用リング60の図示を省略する。
【0065】
本実施形態によれば、外周層31と内周層32とを分離可能としているので、比較的寿命の短い内周層32が劣化して性能が低下したときには、版胴用スリーブ全体を交換する必要がなく、該内周層のみ交換可能であるため、交換費用を大幅に低減することができる。
またアルミ合金製の外周層31の中央部36のうち、強度を軽減可能な部位を中空とし、該中空部86に軽量の発泡ウレタン層87を充填しているので、版胴用スリーブとして必要な強度を保持しながら、版胴用スリーブ22の軽量化を達成することができる。発泡ウレタンは比重が約0.5と小さく、アルミの約5分の1の比重であり、その割に大きな強度をもつので、外周層全体をアルミ製とした版胴用スリーブと比べて、強度をあまり減ずることなく、大幅な軽量化を図ることができる。
(実施形態3)
【0066】
次に本発明の第3実施形態を図13により説明する。本実施形態は、薄厚のNi製円筒91(第1円筒)とアルミ合金製の円筒92(第2円筒)とを芯あわせして同心円上に配置し、これら円筒間に液状ウレタンを注入して発泡させ固化させて発泡ウレタン層93を形成させ、該円筒91、92及び発泡ウレタン層93により外周層31を構成したものである。
【0067】
なお円筒92において、特に強度が必要な版保持装置24の周辺部位94、縁部42を接続部41に接続するための接続ボルト用通し穴44の周辺部位95、及びバランスウェイト48の周辺部位96をアルミ合金製で構成している。その他の構成は、前記第1実施形態と同一であるので、同一部位の説明を省略する。
【0068】
かかる第3実施形態によれば、前記第1実施形態及び第2実施形態と同様に、外周層31と内周層32とを分離可能としたことによる交換費用の大幅な低減効果に加えて、薄厚の円筒91を高強度で寿命があり、加工精度が高いNi製としているので、薄厚(例えば0.1mm)の円筒91を精度良くかつ容易に製作できるとともに、該円筒91とアルミ製の円筒92とを芯合わせして、該円筒間に液状のウレタンを充填するだけの簡易な方法で、軽量で強度もある版胴用スリーブを容易に製造することができる。
なお、前記実施形態はいずれも本発明を版胴用スリーブに適用した実施形態であるが、本発明はブランケット胴用スリーブにも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明によれば、オフセット輪転印刷機で、基軸ロールに装着された印刷胴用スリーブの交換費用を安価に抑えるとともに、交換作業の煩雑化を招くことがない印刷胴用スリーブ及びその装着方法を実現することができ、特に直径の異なる多数の印刷胴用スリーブを用意する必要のあるバリアブルカットオフ式の輪転印刷機に適用して好適である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】オフセット輪転印刷機の全体概略構成を示す模式図である。
【図2】図1の印刷機の印刷ユニットの概略構成を示す模式図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る版胴の一部断裁斜視図である。
【図4】前記第1実施形態の版胴用スリーブの縦断立面図である。
【図5】図4中のA−A線に沿う横断側面図である。
【図6】前記第1実施形態の側面図である。
【図7】図6中のC−C断面図である。
【図8】図4中のB部拡大断面図である。
【図9】(a)は、前記第1実施形態の位置決め金具周辺の部分横断側面図、(b)は部分縦断立面図((c)のD−D断面図)、(c)は内周側から視た底面図である。
【図10】前記第1実施形態の内周層の縦断立面図である。
【図11】本発明の第2実施形態の版胴用スリーブの縦断立面図である。
【図12】図11中のE−E線に沿う横断側面図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係り、(a)はその横断側面図、(b)は(a)のF部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0071】
3 印刷ユニット
4a、4b 版胴
5a、5b ブランケット胴
21 基軸ロール
22 版胴用スリーブ
23 刷版
24 版保持装置
31 外周層
32 内周層
33 伸縮層
34 FRP層
36 中央部
37 端部
41 接続部
42 縁部
51 圧縮空気注入用孔
53 圧縮空気噴射口
54 リング状溝
70 把持用リング
81 内側円筒(第1円筒)
82 外側円筒(第2円筒)
86 中空部
87、93 発泡ウレタン層
91 Ni製円筒(第1円筒)
92 アルミ製円筒(第2円筒)
w ウェブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状をなし、印刷機本体側に設けられた基軸ロールの外周に装着される印刷胴用スリーブにおいて、
少なくとも一部の層が半径方向の荷重に対して伸縮可能な層で構成された内周層と、該内周層の外周面に密着嵌合された外周層とからなり、
該内周層と該外周層とは別体に作られ、互いに分離可能に構成されていることを特徴とする印刷胴用スリーブ。
【請求項2】
前記外周層の軸方向端部に、
前記内周層を着脱するための加圧ガスを供給する供給路と、
該加圧ガス供給路に接続され該外周層端部の内周面から該内周層側に向けて該加圧ガスを噴出する噴出口と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の印刷胴用スリーブ。
【請求項3】
前記内周層の外周面に周方向に溝を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の印刷胴用スリーブ。
【請求項4】
前記外周層のうち強度を低減可能な部位の内部を中空とし、該中空部に軽量の非金属材料を充填してなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかの項に記載の印刷胴用スリーブ。
【請求項5】
前記外周層が、
前記内周層の外周面と略同直径の内周面を有する第1円筒と、
金属材料からなり該第1円筒の外側に該第1円筒と芯合わせをして同心円上に配置された第2円筒と、
から構成されており、
さらに、該第1円筒と該第2円筒の間に前記軽量の非金属材料が充填されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の印刷胴用スリーブ。
【請求項6】
前記軽量の非金属材料が発泡ウレタンであることを特徴とする請求項4又は5のいずれかの項に記載の印刷胴用スリーブ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかの項に記載の印刷胴用スリーブを備えたことを特徴とする印刷機。
【請求項8】
請求項2記載の印刷胴用スリーブの前記外周層に前記内周層を着脱する方法において、
前記供給路に加圧ガスを供給して前記噴出口から加圧ガスを噴出させ、該外周層と該内周層との境界にガス層を形成して該内周層を縮径させながら、該内周層を該外周層の内周面に挿入するか又は該外周層の内周面から抜き出すことを特徴とする印刷胴用スリーブの内周層着脱方法。
【請求項9】
前記内周層を前記外周層の内周面に挿入した後、前記ガスの供給を停止して該内周層を元の外径に戻すことにより該外周層の内周面に該内周層を密着固定することを特徴とする請求項8記載の印刷胴用スリーブの内周層着脱方法。
【請求項10】
前記内周層の外周面に周方向に溝を設けて該溝に前記加圧ガスを導入することを特徴とする請求項8又は9のいずれかの項に記載の印刷胴用スリーブの内周層着脱方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−162086(P2008−162086A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−352834(P2006−352834)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(390003344)株式会社加貫ローラ製作所 (9)
【Fターム(参考)】