説明

印刷装置および印刷媒体搬送装置

【課題】印刷媒体の種類が限定されず且つミストによる搬送不良が生じにくい印刷装置および印刷媒体搬送装置を提供する。
【解決手段】複数の搬送ベルト6を印刷媒体搬送方向と交差する方向に所定の間隔で配設し、搬送ベルト6に静電吸着されて搬送される印刷媒体1に液体噴射ヘッド2から液体を噴射して印刷を行うにあたり、例えば従動ローラ9のうち、搬送ベルト6が接触しない部位に接触部13を形成し、所定の電位に帯電された搬送ベルト6と印刷媒体1の裏面に接触する接触部13との間に生じる電界で印刷媒体1を搬送ベルト6に静電吸着するようにすることで、搬送ベルト6にミストが付着しても吸着力が低減することがなく、搬送不良を抑制防止することができると共に、ほぼ絶縁性の印刷媒体1であれば如何様な印刷媒体1をも静電吸着することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小な液体を複数のノズルから噴射して、その微粒子(ドット)を印刷媒体上に形成することにより、所定の文字や画像等を印刷するようにした印刷装置および印刷媒体搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このような印刷装置の一つであるインクジェットプリンタは、一般に安価で且つ高品質のカラー印刷物が容易に得られることから、パーソナルコンピュータやデジタルカメラなどの普及に伴い、オフィスのみならず一般ユーザにも広く普及してきている。
このようなインクジェットプリンタは、一般に、インクカートリッジと印字ヘッド(液体噴射ヘッド)とが一体的に備えられたキャリッジなどと称される移動体が印刷媒体上をその搬送方向と交差する方向に往復しながら印字ヘッドのノズルから液体インクを噴射して印刷媒体上に微小なインクドットを形成することで、所望の印刷物を作成するようになっている。このキャリッジに4色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のインクカートリッジと色単位に印字ヘッドを備えることで、モノクロ印刷のみならず、フルカラー印刷も容易に行えるようになっている。
【0003】
また、印刷媒体の幅と同じ寸法の長尺の印字ヘッドを配置してキャリッジを使用しないタイプのインクジェットプリンタでは、印字ヘッドを印刷媒体の幅方向に移動させる必要がなく、いわゆる1パスでの印刷が可能となるため、レーザプリンタと同様な高速な印刷が可能となる。なお、前者方式のインクジェットプリンタを一般に「マルチパス(シリアル)型インクジェットプリンタ」、後者方式のインクジェットプリンタを一般に「ラインヘッド型インクジェットプリンタ」と呼んでいる。
【0004】
下記特許文献1に記載されるインクジェット画像形成装置は、搬送ベルトを記録媒体の搬送方向と直交する方向に所定の間隔で複数配列し、搬送ベルトに記録媒体を吸着させて搬送し、搬送される記録媒体に印字記録手段からインク滴を吐出して印刷を行う。印字記録手段は搬送ベルトの隙間の部分に配設され、印字記録手段の直下にクリーニングユニットが配設されている。なお、特許文献1に記載されるインクジェット画像形成装置では、記録媒体の搬送ベルトへの吸着を確実なものとするため、静電吸着とエアー吸引による吸着を例示している。このような印刷媒体の搬送方法は、特にラインヘッド型印刷装置およびそれに用いる印刷媒体搬送装置で有効である。
【特許文献1】特開2005−75475号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、印刷媒体の搬送ベルトへの静電吸着方法には、搬送ベルトと印刷媒体との間に電位差を持たせて吸着する方法と、搬送ベルトの表面に小さな電界を持たせて吸着する方法の二種類がある。前者は、搬送ベルトに一定の電位を付与すればよいので、DC帯電とも呼ばれ、後者は、搬送ベルトに交互に逆極性の電位を付与することから、AC帯電とも呼ばれる。
【0006】
しかしながら、DC帯電による静電吸着方法では、高画質印刷に使用される印刷用紙のように複数の層状構造の印刷媒体の厚さ方向に抵抗の高い層が存在すると、印刷媒体と搬送ベルトとの間の電位差が生じないため吸着できないという問題が生じる。つまり、DC帯電による静電吸着方法では、印刷媒体の種類が限定されてしまうという問題がある。一方、AC帯電による静電吸着方法では、搬送ベルトの表面に低抵抗の液体が付着すると、電界が減衰して印刷媒体の吸着力が低減し、搬送不良を生じるという問題がある。搬送ベルトへの低抵抗の液体の付着は、液体噴射ヘッドから噴射される液体が直接搬送ベルトに付着しなくとも、霧状の液体(ミスト)の中を搬送ベルトが移動すると、搬送ベルト上には、微小ではあっても、液体が付着し、これを搬送ベルトの移動中に、フェルトなどの吸着材やワイパなどの払拭材で完全に除去するのは不可能である。つまり、AC帯電による静電吸着方法では、ミストによって搬送不良が生じるという問題がある。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたものであり、印刷媒体の種類が限定されず且つミストによる搬送不良が生じにくい印刷装置および印刷媒体搬送装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の印刷装置は、複数の搬送ベルトを印刷媒体搬送方向と交差する方向に所定の間隔で配設し、前記搬送ベルトの表面に静電気力で吸着されて搬送される印刷媒体に液体噴射ヘッドから液体を噴射して印刷を行う印刷装置および印刷媒体搬送装置であって、前記搬送ベルトの幅方向側方に、前記印刷媒体の裏面に接触し且つ前記搬送ベルトの表面には接触しない接触部を配設し、前記接触部と前記搬送ベルトとの電位差で前記印刷媒体を静電吸着することを特徴とするものである。
上記発明の印刷装置および印刷媒体搬送装置によれば、接触部と搬送ベルトとの間に生じる電界で印刷媒体を搬送ベルトに静電吸着することができ、搬送ベルトにミストが付着しても吸着力が低減することがなく、搬送不良を抑制防止することができると共に、ほぼ絶縁性の印刷媒体であれば如何様な印刷媒体をも静電吸着することができる。
【0008】
さらに、前記接触部と前記搬送ベルトとの隙間を前記搬送ベルトの蛇行量より大きな値とすることが望ましい。
上記発明によれば、搬送ベルトと接触部との接触を回避することができ、印刷媒体の静電吸着力を確保することができる。
また、前記接触部を、前記搬送ベルトの裏面に接触するローラに形成することが望ましい。
上記発明によれば、駆動ローラまたは従動ローラのうち、搬送ベルトに接触していない部分に突起を形成して、それを接触部とすることにより構成部品を増やすことなく実現できる。
【0009】
また、前記接触部を、前記印刷媒体の平面度を規制する導電性の印刷媒体平面規制体に形成することが望ましい。
上記発明によれば、印刷媒体平面規制体のうち、搬送ベルトに接触していない部分に突起を形成して、それを接触部とすることにより構成部品を増やすことなく実現できる。
また、前記接触部が、前記搬送ベルトの間に配設されたベルトで構成することが望ましい。
上記発明によれば、搬送ベルトの間に配設されているベルトを利用するので構成部品を増やすことなく実現できる。
【0010】
また、前記印刷媒体の表面に接触する補助接触部を配設し、前記補助接触部と前記搬送ベルトの電位差で前記印刷媒体を補助的に静電吸着することが望ましい。
上記発明によれば、水分量の少ない普通紙のように抵抗値の大きい印刷媒体に対しても、補助的な静電吸着力により搬送ベルトに確実に静電吸着することができる。
さらに、前記補助接触部を、印刷媒体搬送方向最上流側の液体噴射ヘッドよりも印刷媒体搬送方向上流側に配設することが望ましい。
上記発明によれば、液体で濡れて静電吸着力が増大する以前の印刷媒体に対しても、補助的な静電吸着力で搬送ベルトに確実に静電吸着することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態について、液体を噴射して印刷媒体に文字や画像等を印刷する印刷装置を用いて図面を参照しながら説明する。
図1は、第1実施形態の印刷装置の概略構成図であり、図1aは平面図、図1bは正面図である。図1において、印刷媒体1は、図の右方から左方に搬送され、その搬送途中の印刷領域で印刷されるラインヘッド型印刷装置である。但し、第1実施形態の液体噴射ヘッドは一カ所だけでなく、二カ所に分けて配設されている。
【0012】
図中の符号2は、印刷媒体1の搬送方向上流側に設けられた第1液体噴射ヘッド、符号3は、同じく下流側に設けられた第2液体噴射ヘッドであり、第1液体噴射ヘッド2の下方には印刷媒体1を搬送するための第1搬送部4が設けられ、第2液体噴射ヘッド3の下方には第2搬送部5が設けられている。第1搬送部4は、印刷媒体1の搬送方向と交差する方向(以下、ノズル列方向とも称す)に所定の間隔をあけて配設された5本の第1搬送ベルト6で構成され、第2搬送部5は、同じく印刷媒体1の搬送方向と交差する方向(ノズル列方向)に所定の間隔をあけて配設された6本の第2搬送ベルト7で構成される。なお、第1搬送ベルト6及び第2搬送ベルト7は、PET、ポリイミド、フッ素系樹脂などの絶縁性樹脂で構成される単層のベルト、又は印刷媒体1を静電吸着する表層が上述の絶縁性樹脂層、裏層が1010Ω/□以下の抵抗層の二層ベルトで構成される。
【0013】
5本の第1搬送ベルト6と同じく6本の第2搬送ベルト7とは、互いに交互に隣り合うように、いわゆる千鳥状に配設されている。そして、第1搬送ベルト6及び第2搬送ベルト7の重合部に駆動ローラ8が配設され、それより上流側に第1従動ローラ9が配設され、下流側に第2従動ローラ10が配設されている。第1搬送ベルト6は駆動ローラ8及び第1従動ローラ9に巻回され、第2搬送ベルト7は駆動ローラ8及び第2従動ローラ10に巻回されており、駆動ローラ8には図示しない電動モータが接続されている。従って、電動モータによって駆動ローラ8を回転駆動すると、第1搬送ベルト6で構成される第1搬送部4及び第2搬送ベルト7で構成される第2搬送部5は、互いに同期し且つ同じ速度で移動する。なお、後述する第1帯電ローラ22及び第2帯電ローラ25によって第1搬送ベルト6及び第2搬送ベルト7を帯電するために、第1従動ローラ9及び駆動ローラ8は接地されている。
【0014】
第1液体噴射ヘッド2及び第2液体噴射ヘッド3は、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の色単位に、ノズル列を印刷媒体1の搬送方向にずらして配設されている。液体噴射ヘッド2,3には、図示しない各色の液体タンクから液体供給チューブを介して液体が供給される。液体噴射ヘッド2,3には、印刷媒体1の搬送方向と交差する方向に、複数のノズルが形成されており(即ちノズル列方向)、複数のノズルから同時に必要箇所に必要量の液体を噴射することにより、印刷媒体1上に微小な液体ドットを形成する。これを色単位に行うことにより、第1搬送部4及び第2搬送部5で搬送される印刷媒体1を一度通過させるだけで、1パスによる印刷を行うことができる。即ち、これらの液体噴射ヘッド2,3の配設領域が印刷領域に相当する。
【0015】
液体噴射ヘッドの各ノズルから液体を噴射する方法としては、静電方式、ピエゾ方式、膜沸騰ジェット方式などがある。静電方式は、アクチュエータである静電ギャップに駆動信号を与えると、キャビティ内の振動板が変位してキャビティ内に圧力変化を生じ、その圧力変化によって液体がノズルから噴射されるというものである。ピエゾ方式は、アクチュエータであるピエゾ素子に駆動信号を与えると、キャビティ内の振動板が変位してキャビティ内に圧力変化を生じ、その圧力変化によって液体がノズルから噴射されるというものである。膜沸騰ジェット方式は、キャビティ内に微小ヒータがあり、瞬間的に300℃以上に加熱されて液体が膜沸騰状態となって気泡が生成し、その圧力変化によって液体がノズルから噴射されるというものである。本発明は、いずれの液体の噴射方法も適用可能である。
【0016】
第1液体噴射ヘッド2は第1搬送部4の5本の第1搬送ベルト6の間及びその両端部に形成されており、第2液体噴射ヘッド3は第2搬送部5の6本の第2搬送ベルト7の間に形成されている。これは、後述するクリーニング部によって液体噴射ヘッド2,3をクリーニングするためであるが、このようにすると、どちらか一方の液体噴射ヘッドだけでは、1パスによる全面印刷を行うことができない。そのため、互いに印刷できない部分を補うために第1液体噴射ヘッド2と第2液体噴射ヘッド3とを印刷媒体1の搬送方向にずらして配設しているのである。
【0017】
第1液体噴射ヘッド2の下方には、当該第1液体噴射ヘッド2をクリーニングする不図示の第1クリーニングキャップが配設されており、第2液体噴射ヘッド3の下方には、当該第2液体噴射ヘッド3をクリーニングする不図示の第2クリーニングキャップが配設されている。クリーニングキャップは、いずれも第1搬送部4の5本の第1搬送ベルト6の間、及び第2搬送部5の6本の第2搬送ベルト7の間を通過できる大きさに形成してある。これらのクリーニングキャップは、液体噴射ヘッド2,3の下面、即ちノズル面に形成されているノズルを覆い且つ当該ノズル面に密着可能な方形有底のキャップ体と、その底部に配設された液体吸収体と、キャップ体の底部に接続されたチューブポンプと、キャップ体を昇降する昇降装置とを備えて構成されている。
【0018】
そこで、昇降装置によってクリーニングキャップを上昇して液体噴射ヘッド2,3のノズル面に密着する。その状態で、チューブポンプによってキャップ体内を負圧にすると、液体噴射ヘッド2,3のノズル面に開設されているノズルから液体や気泡が吸い出され、液体噴射ヘッド2,3をクリーニングすることができる。クリーニングが終了したら、クリーニングキャップを下降する。場合によっては、ワイパでノズル面をなでてノズルのメニスカス(meniscus)を整えるようにしてもよい。また、印刷媒体1のない状態で液体を噴射してノズルを回復又は正常な状態に維持する、いわゆるフラッシングを行う場合には、クリーニングキャップを液体噴射ヘッド2,3のノズル面に密着させなくてもよい。
【0019】
第1従動ローラ9の上流側には、給紙部から供給される印刷媒体1の給紙タイミングを調整すると共に当該印刷媒体1のスキューを補正する二個一対のゲートローラ14が設けられている。スキューとは、搬送方向に対する印刷媒体1の捻れである。また、ゲートローラ14の上流側には、印刷媒体1を供給するための二個一対のフィードローラ16が設けられている。なお、図中の符号15は、第1従動ローラ9に印刷媒体1を押し付けて、後述するように第1搬送ベルト6に印刷媒体1を静電吸着させる圧接ローラである。
【0020】
第1従動ローラ9の下方には第1搬送ベルト6を帯電する第1帯電ローラ22が配設されており、第1従動ローラ9を挟んで第1搬送ベルト6に当接している。また、駆動ローラ8の下方には第2搬送ベルト7を帯電する第2帯電ローラ25が配設されており、駆動ローラ8を挟んで第2搬送ベルト7に当接している。第1帯電ローラ22及び第2帯電ローラ25は、いずれも直流電源23に接続され、数kV程度の一定の電位によって正負いずれかの電荷が付与される。一般に、これらのベルト類は、中・高抵抗体又は絶縁体で構成されており、ベルト帯電装置によって第1搬送ベルト6及び第2搬送ベルト7の表面(外周面)を帯電すると、後述する駆動ローラ8及び第1従動ローラ9に形成されている接触部との電位差によって接触部と第1搬送ベルト6及び第2搬送ベルト7との間に電界が生じ、電界によって分極した印刷媒体1と接触部及び第1搬送ベルト6及び第2搬送ベルト7との間に電位差が生じ、それが吸着力となって印刷媒体1を第1搬送ベルト6及び第2搬送ベルト7の表面に静電吸着させる。なお、搬送ベルトの帯電方法としては、単純な直流電源以外にも、交番電流に直流成分を重畳させたものでもよい。
【0021】
従って、この印刷装置によれば、第1帯電ローラ22で第1搬送ベルト6の表面を帯電すると共に第2帯電ローラ25で第2搬送ベルト7の表面を帯電し、その状態でゲートローラ14から印刷媒体1を給紙し、圧接ローラ15で印刷媒体1を第1搬送ベルト6に押し付けると、前述した電界による吸着力によって印刷媒体1は第1搬送ベルト6の表面に静電吸着される。この状態で、電動モータによって駆動ローラ8を回転駆動すると、その回転駆動力が第1搬送ベルト6を介して第1従動ローラ9に伝達される。
【0022】
このようにして印刷媒体1を静電吸着した状態で第1搬送ベルト6を搬送方向下流側に移動し、印刷媒体1を第1液体噴射ヘッド2の下方に移動し、当該第1液体噴射ヘッド2に形成されているノズルから液体を噴射して印刷を行う。この第1液体噴射ヘッド2による印刷が終了したら、印刷媒体1を搬送方向下流側に移動して第2搬送部5の第2搬送ベルト7に乗り移らせる。前述したように、第2搬送ベルト7も第2帯電ローラ25によって表面が帯電しているので、前述した電界による吸着力によって印刷媒体1は第2搬送ベルト7の表面に静電吸着される。
【0023】
この状態で、第2搬送ベルト7を搬送方向下流側に移動し、印刷媒体1を第2液体噴射ヘッド3の下方に移動し、当該第2液体噴射ヘッド3に形成されているノズルから液体を噴射して印刷を行う。この第2液体噴射ヘッドによる印刷が終了したら、印刷媒体1を更に搬送方向下流側に移動し、図示しない分離装置で印刷媒体1を第2搬送ベルト7の外周面から分離しながら排紙部に排紙する。
【0024】
また、第1及び第2液体噴射ヘッド2,3のクリーニングが必要なときには、前述したように第1及び第2クリーニングキャップを上昇して第1及び第2液体噴射ヘッド2,3のノズル面にキャップ体を密着し、その状態でキャップ体内を負圧にすることで第1及び第2液体噴射ヘッド2,3のノズルから液体や気泡を吸い出してクリーニングし、然る後、第1及び第2クリーニングキャップを下降する。
【0025】
また、第1実施形態では、第1搬送ベルト6の下方に第1ベルトクリーニングローラ11が配設され、第2搬送ベルト7の下方に第2ベルトクリーニングローラ12が配設されている。これらのベルトクリーニングローラ11,12は、図示しない光学センサによって搬送ベルト6,7の表面がミストで汚損していることを検出したら、搬送ベルト6,7に接触して回転し、ベルトをクリーニングする。ベルトクリーニングローラ11,12は、液体を吸収しやすいウレタンなどのスポンジローラで構成される。また、ベルトクリーニングローラ11,12の搬送ベルト6,7への当接・離間を行うために、図示しない移動装置も設けられている。
【0026】
次に、前述した第1従動ローラ9及び駆動ローラ8に設けられている接触部について、図1aのA−A断面図である図2を用いて、第1従動ローラ9の接触部を説明する。第1実施形態の接触部は、第1従動ローラ9のうち、第1搬送ベルト6に接触しない部分、つまり第1搬送ベルト6の間に突設された接触部13で構成される。この接触部13は、第1搬送ベルト6上に印刷媒体1が載置されると当該印刷媒体1の裏面に接触するが、第1搬送ベルト6との間には所定の隙間が設けてあるため、第1搬送ベルト6には接触しない。なお、隙間の大きさを、第1搬送ベルト6の最大蛇行量よりも大きな値とすることにより、接触部13と第1搬送ベルト6とが確実に接触しないようにしてある。
【0027】
接触部13と第1搬送ベルト6とが非接触状態にあり、且つ第1搬送ベルト6の表面が所定の電位に帯電されているので、接触部13と第1搬送ベルト6との電位差により接触部13と第1搬送ベルト6との間に電界が生じ、この電界が吸着力となって印刷媒体1を第1搬送ベルト6に静電吸着させる。従って、印刷媒体1の厚さ方向に絶縁層が存在していても印刷媒体1は第1搬送ベルト6に静電吸着されることから、静電吸着する印刷媒体1の種類を問わない。図3には、従来のDC帯電による静電吸着力を普通紙とインクジェット写真専用紙とで比較したものである。インクジェット写真専用紙は、複数の層状構造となっており、厚さ方向にレジンコート層などの高抵抗の層があるため、単に搬送ベルトの表面を帯電しただけでは、電荷が移動できずに誘電分極が発生せず、吸着力が著しく低減し、搬送不良の原因となる。なお、静電吸着の原理は、駆動ローラ8に形成された図示しない接触部及び第2搬送ベルト9間でも同じである。
【0028】
図4には、搬送ベルトの表面がミストで汚損しているときの搬送ベルトの表面抵抗と、汚損していないときの搬送ベルトの表面抵抗を示す。搬送ベルトの表面がミストで汚損している時の表面抵抗は、一旦、ミストを綿で拭った後のものであり、第1実施形態のベルトクリーニングローラ11,12をシミュレートしている。同図から明らかなように、搬送ベルトの表面がミストで汚損すると、表面抵抗が著しく低下するため、前述のAC帯電のように搬送ベルトの表面を小領域毎に逆極性の電位で帯電すると、極性間で電荷が移動してしまって電位が低下し、放電或いは除電状態となる。このことからAC帯電による静電吸着方法は、ミスト汚損で吸着力が低下し、搬送不良になることが考えられる。
【0029】
図5には、DC帯電時及びAC帯電時のそれぞれにおいて、搬送ベルトの表面がミストで汚損しているときの搬送ベルトの電位及びミストで汚損していないときの電位を示す。同図から明らかなように、搬送ベルト全体を一定の電位に帯電するDCでは電位が低下せず、印刷媒体に対する静電吸着力が確保されるが、AC帯電では、搬送ベルトの表面がミストで汚損すると電位が低下し、印刷媒体に対して十分な吸着力が得られずに搬送不良になることが考えられる。これに対し、第1実施形態の印刷装置では、第1搬送ベルト6及び第2搬送ベルト7を所定の電位に帯電する、DC帯電であるから、ミストの付着によって搬送ベルトの表面がミストで汚損しても吸着力が確保される。
【0030】
このように、第1実施形態の印刷装置によれば、複数の搬送ベルト6,7を印刷媒体搬送方向と交差する方向に所定の間隔で配設し、搬送ベルト6,7を所定の電位に帯電することにより当該搬送ベルト6,7の表面に印刷媒体1を静電気力で吸着し、搬送ベルト6,7に吸着されて搬送される印刷媒体1に液体噴射ヘッド2,3から液体を噴射して印刷を行うにあたり、搬送ベルト6,7の幅方向側方で印刷媒体1の裏面に接触し且つ搬送ベルト6,7の表面には接触しない接触部13を配設し、この接触部と搬送ベルト6,7の電位差で印刷媒体1を静電吸着することとしたため、接触部と搬送ベルト6,7との間に生じる電界で印刷媒体1を搬送ベルト6,7に静電吸着することができ、従って搬送ベルト6,7にミストが付着しても吸着力が低減することがなく、搬送不良を抑制防止することができると共に、ほぼ絶縁性の印刷媒体1であれば如何様な印刷媒体1をも静電吸着することができる。
【0031】
また、接触部13と搬送ベルト6,7との隙間を当該搬送ベルト6,7の蛇行量より大きな値とすることにより、搬送ベルト6,7の表面と接触部との接触を回避することができ、印刷媒体1の静電吸着力を確保することができる。
また、接触部13を、搬送ベルト6,7の裏面に接触する第1従動ローラ9及び駆動ローラ8に形成することとしたため、構成部品を増やすことなく実現できる。
【0032】
なお、この第1実施形態では、上流側の第1搬送ベルト6と下流側の第2搬送ベルト7とを同じ電源で同じ極性の同じ電位に帯電しているが、例えば第1帯電ローラ22と第2帯電ローラ25とを逆極性の電源に接続し、第1搬送ベルト6と第2搬送ベルト7とを逆極性に帯電することも可能であり、そのようにすれば上流側から下流側への印刷媒体1の乗り移り位置、つまり駆動ローラ8の位置で、第1搬送ベルト6と第2搬送ベルトとの間に強い電界が生じ、下流側への印刷媒体1の乗り移りを確実に行うことが可能となる。
【0033】
次に、本発明の印刷装置の第2実施形態について図6を用いて説明する。第2実施形態の印刷装置の基本的な構成は、第1実施形態の図1のものと同様であり、同等の構成には同等の符号を附して、その詳細な説明を省略する。第2実施形態では、第1液体噴射ヘッド2による印刷領域の下方に印刷媒体1の平面度を規制する第1平面規制体17が設けられ、第2液体噴射ヘッド3による印刷領域の下方に第2平面規制体18が設けられている。これらの平面規制体17,18は、一般にプラテンと呼ばれ、搬送ベルト6,7の軌道を下方から支持して、それに静電吸着されている印刷媒体1の平面度を規制するものである。これに合わせて、圧接ローラ15は第1平面規制体17の最上流部に設けられているが、その理由については後段に詳述する。なお、第1平面規制体17及び第2平面規制体18は導電性とする。
【0034】
第2実施形態では、第1実施形態で第1従動ローラ9及び駆動ローラ8に設けられていた接触部が、前記第1平面規制体17及び第2平面規制体18に設けられている。これらの接触部について、図6aのB−B断面図である図7を用いて、第1平面規制体17の接触部を説明する。第2実施形態の接触部は、第1平面規制体17のうち、第1搬送ベルト6に接触しない部分、つまり第1搬送ベルト6の間に突設された接触部19で構成される。この接触部19は、第1搬送ベルト6上に印刷媒体1が載置されると当該印刷媒体1の裏面に接触するが、第1搬送ベルト6との間には所定の隙間が設けてあるため、第1搬送ベルト6には接触しない。なお、隙間の大きさを、第1搬送ベルト6の最大蛇行量よりも大きな値とすることにより、接触部19と第1搬送ベルト6とが確実に接触しないようにしてある。
【0035】
接触部19と第1搬送ベルト6とが非接触状態にあり、且つ第1搬送ベルト6の表面が所定の電位に帯電されているので、接触部19と第1搬送ベルトとの電位差により接触部19と第1搬送ベルトとの間に電界が生じ、この電界が吸着力となって印刷媒体1を第1搬送ベルト6に静電吸着させる。従って、第2実施形態では、圧接ローラ15を第1平面規制体17の最上流部に配設し、第1搬送ベルト6に印刷媒体1が効率よく静電吸着されるようにした。なお、静電吸着の原理は、第2平面規制体18に形成された図示しない接触部及び第2搬送ベルト9間でも同じである。
【0036】
このように、第2実施形態の印刷装置によれば、第1実施形態の効果に加えて、接触部19を、印刷媒体1の平面度を規制する導電性の平面規制体17,18に形成することとしたため、簡単な構成で実現できる。
なお、この第2実施形態でも、上流側の第1搬送ベルト6と下流側の第2搬送ベルト7とを同じ電源で同じ極性の同じ電位に帯電しているが、第1帯電ローラ22と第2帯電ローラ25とを逆極性の電源に接続し、第1搬送ベルト6と第2搬送ベルト7とを逆極性に帯電することも可能であり、そのようにすれば上流側から下流側への印刷媒体1の乗り移り位置、つまり駆動ローラ8の位置で、第1搬送ベルト6と第2搬送ベルトとの間に強い電界が生じ、下流側への印刷媒体1の乗り移りを確実に行うことが可能となる。
【0037】
また、第2実施形態では、平面規制体17,18全体を導電性としたが、本発明の印刷装置としては、少なくとも接触部19の一部分が導電性を有すればよい。導電性部分には、アルミニウムなどの金属そのものや、金属、カーボンなどの導電性粒子を分散させた樹脂を用いる。
また、接触部19に、印刷媒体搬送方向と平行な溝を形成して接触面積を低減し、もって印刷媒体との接触抵抗を低減するようにしてもよい。
【0038】
次に、本発明の印刷装置の第3実施形態について図8を用いて説明する。第3実施形態の印刷装置の液体噴射ヘッド2,3、ゲートローラ14、圧接ローラ15、フィードローラ16は、第1実施形態の図1のものと同様であるので、同等の符号を附して、その詳細な説明を省略する。また、図示しないクリーニングキャップも第1実施形態と同様に、液体噴射ヘッド2,3の下方に設けられている。第3実施形態では、第1実施形態と異なり、複数の搬送ベルト26,27が、第1、第2の区別なく、所定の隙間を開けて、印刷媒体搬送方向と交差する方向に配設されている。そして、これらの搬送ベルト26,27は、印刷媒体搬送方向最下流側の駆動ローラ28と、印刷媒体搬送方向最上流側及びその下方並びに駆動ローラ28下方の3つの従動ローラ29とに巻回されている。なお、印刷媒体搬送方向最上流側の従動ローラ29とその下方の従動ローラ29は接地されている。
【0039】
これらの搬送ベルト26,27のうち、第2液体噴射ヘッド3の下方を通過する搬送ベルト26は、当該第2液体噴射ヘッド3の下方の第2クリーニングキャップによるクリーニングの邪魔になるので、回避用ローラ30を介して第2クリーニングキャップの下方を通過するように取り回されている。また、第1液体噴射ヘッド2の下方を通過する搬送ベルト27は、当該第1液体噴射ヘッド2の下方の第1クリーニングキャップによるクリーニングの邪魔になるので、回避用ローラ30を介して第1クリーニングキャップの下方を通過するように取り回されている。
【0040】
印刷媒体搬送方向最上流側の従動ローラ29の下方には搬送ベルト26を帯電する帯電ローラ31が配設されており、この帯電ローラ31は第1電源32に接続されている。また、印刷媒体搬送方向最上流下方の従動ローラ29の下方には搬送ベルト27を帯電する帯電ローラ33が配設されており、この帯電ローラ33は第2電源34に接続されている。第1電源32と第2電源34とは互いに逆極性の直流電源であり、例えば搬送ベルト26が正の所定電位に帯電されるとすると、搬送ベルト27は負の所定電位に帯電される。
【0041】
第3実施形態では、第1実施形態で第1従動ローラ9及び駆動ローラ8に設けられていた接触部が、搬送ベルト26と搬送ベルト27とで構成される。これらの接触部について、図8aのC−C断面図である図9を用いて説明する。第3実施形態では、搬送ベルト26と搬送ベルト27とが互いに接触部を構成する。即ち、図9に示すように、互いに逆極性の所定電位に帯電された隣り合う搬送ベルト26と搬送ベルト27は、搬送ベルト26と搬送ベルト27とが接触していない状態で、その電位差により電界が生じ、この電界が吸着力となって印刷媒体1をそれぞれの搬送ベルト26,27に静電吸着させることができる。
【0042】
このように、第3実施形態の印刷装置によれば、第1実施形態の効果に加えて、接触部19が、搬送ベルトの間に配設された個別のベルトで構成されることとしたため、簡単な構成で実現できる。
なお、第3実施形態では、搬送ベルト26と搬送ベルト27とを逆極性の所定電位に帯電したが、本発明の印刷装置としては、いずれか一方の搬送ベルトだけを所定の電位に帯電し、他方の搬送ベルトは帯電しなくてもよい。即ち、帯電しない搬送ベルトと帯電した搬送ベルトとの間の電位差によって電界を生じせしめ、その電界で印刷媒体を搬送ベルトに静電吸着する。この場合、帯電しない他方の搬送ベルトには導電性を付与すると共に接地する必要がある。
【0043】
次に、本発明の印刷装置の第4実施形態について図10を用いて説明する。第4実施形態の印刷装置の基本的な構成は、第1実施形態の図1のものと同様であり、同等の構成には同等の符号を附して、その詳細な説明を省略する。第4実施形態では、圧接ローラ15が接地され、これにより印刷媒体1の表面に接触する補助接触部が構成されている。また、圧接ローラ15を接地して補助接触部とすることにより、印刷媒体搬送方向最上流側の液体噴射ヘッドである第1液体噴射ヘッド2よりも更に印刷媒体搬送方向上流側に補助接触部を配設したことになる。
【0044】
圧接ローラ15を接地すると、前記接触部13と搬送ベルト6との間の電界による静電吸着力に加えて、圧接ローラ15と第1搬送ベルト6との間の電界による補助的な静電吸着力が作用して、印刷媒体2をより確実に第1搬送ベルト6に静電吸着することができる。水分量の少ない普通紙などの印刷媒体1は比較的抵抗値が大きく、静電吸着しにくい。この種の印刷媒体1も、導電性のある液体で濡れると抵抗値が低下して静電吸着力が大きくなるが、液体が噴射されていない印刷前の状態では抵抗値が大きいままなので静電吸着力が小さいのである。第4実施形態では、このような印刷媒体1に対し、圧接ローラ15を接地して、印刷媒体1の表面に接触する補助接触部とし、且つこれを印刷媒体搬送方向最上流側の第1液体噴射ヘッド2よりも印刷媒体搬送方向上流側に配設したことで、当該圧接ローラ15と第1搬送ベルト6との間の電界で印刷媒体1を補助的に静電吸着することができ、抵抗値が大きく静電吸着しにくい印刷前の印刷媒体1も第1搬送ベルト6に確実に静電吸着することができる。
【0045】
このように、第4実施形態の印刷装置によれば、印刷媒体1の表面に接触する補助接触部(圧接ローラ15)を配設し、この補助接触部と搬送ベルト6の電位差で印刷媒体1を補助的に静電吸着することとしたため、水分量の少ない普通紙のように抵抗値の大きい印刷媒体1に対しても、補助的な静電吸着力により搬送ベルト6に確実に静電吸着することができる。
【0046】
また、印刷媒体搬送方向最上流側の液体噴射ヘッド2よりも印刷媒体搬送方向上流側に補助接触部(圧接ローラ15)を配設したことにより、液体で濡れて静電吸着力が増大する以前の印刷媒体1に対しても、補助的な静電吸着力で搬送ベルト6に確実に静電吸着することができる。
なお、印刷媒体1の表面に接触する補助接触部は、圧接ローラ15に限定されるものではない。また、その形態も、ローラ型である必要はなく、例えば第2実施形態のような平板状のものやベルト状のものであってもよい。
【0047】
また、第1〜第4の実施形態では、ラインヘッド型印刷装置を対象として本発明の印刷装置を適用した例についてのみ詳述したが、本発明の印刷装置は、マルチパス型印刷装置を始めとして、印刷媒体を搬送ベルトで静電吸着する、あらゆるタイプの印刷装置を対象として適用可能である。
また、本発明の印刷装置あるいは印刷媒体搬送装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置き換えてもよいし、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
【0048】
また、本発明の液体噴射ヘッドから噴射する液体としては、特に限定されず、例えば以下のような各種の材料を含む液体(サスペンション、エマルジョン等の分散液を含む)とすることができる。すなわち、カラーフィルタのフィルタ材料を含むインク、有機EL(Electro Luminescence)装置におけるEL発光層を形成するための発光材料、電子放出装置における電極上に蛍光体を形成するための蛍光材料、PDP(Plasma Display Panel)装置における蛍光体を形成するための蛍光材料、電気泳動表示装置における泳動体を形成する泳動体材料、基板Wの表面にバンクを形成するためのバンク材料、各種コーティング材料、電極を形成するための液状電極材料、2枚の基板間に微小なセルギャップを構成するためのスペーサを構成する粒子材料、金属配線を形成するための液状金属材料、マイクロレンズを形成するためのレンズ材料、レジスト材料、光拡散体を形成するための光拡散材料などである。
また、本発明では、液体を噴射する対象となる印刷媒体は、記録用紙のような紙に限らず、フィルム、織布、不織布等の他のメディアや、ガラス基板、シリコン基板等の各種基板のようなワークであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の印刷装置の第1実施形態を示す概略構成図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】印刷媒体の違いによる静電吸着力の説明図である。
【図4】搬送ベルトのミスト汚損による表面抵抗の説明図である。
【図5】搬送ベルトのミスト汚損による搬送ベルト電位のDC帯電とAC帯電の違いの説明図である。
【図6】本発明の印刷装置の第2実施形態を示す概略構成図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図7】図6のB−B断面図である。
【図8】本発明の印刷装置の第3実施形態を示す概略構成図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図9】図8のC−C断面図である。
【図10】本発明の印刷装置の第4実施形態を示す概略構成図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図11】図10のD−D断面図である。
【符号の説明】
【0050】
1は印刷媒体、2は第1液体噴射ヘッド、3は第2液体噴射ヘッド、4は第1搬送部、5は第2搬送部、6は第1搬送ベルト、7は第2搬送ベルト、8は駆動ローラ、9は第1従動ローラ、10は第2従動ローラ、11、12はベルトクリーニングローラ、13は接触部、14はゲートローラ、15は圧接ローラ、16はフィードローラ、17は第1平面規制体、18は第2平面規制体、19は接触部、22、25は帯電ローラ、23は直流電源、26は一方の搬送ベルト、27は他方の搬送ベルト、28は駆動ローラ、29は従動ローラ、30は回避用ローラ、31、33は帯電ローラ、32は第1電源、34は第2電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の搬送ベルトを印刷媒体搬送方向と交差する方向に所定の間隔で配設し、前記搬送ベルトの表面に静電気力で吸着されて搬送される印刷媒体に液体噴射ヘッドから液体を噴射して印刷を行う印刷装置であって、
前記搬送ベルトの幅方向側方に、前記印刷媒体の裏面に接触し且つ前記搬送ベルトの表面には接触しない接触部を配設し、前記接触部と前記搬送ベルトとの電位差で前記印刷媒体を静電吸着することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記接触部を、前記搬送ベルトの裏面に接触するローラに形成したことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記接触部を、前記印刷媒体の平面度を規制する導電性の印刷媒体平面規制体に形成したことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記接触部が、前記複数の搬送ベルトの間に配設されたベルトで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記印刷媒体の表面に接触する補助接触部を配設し、前記補助接触部と前記搬送ベルトの電位差で前記印刷媒体を補助的に静電吸着することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記補助接触部を、印刷媒体搬送方向最上流側の液体噴射ヘッドよりも印刷媒体搬送方向上流側に配設したことを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。
【請求項7】
複数の搬送ベルトを印刷媒体搬送方向と交差する方向に所定の間隔で配設し、前記搬送ベルトの表面に印刷媒体を静電気力で吸着して搬送する印刷媒体搬送装置であって、
前記搬送ベルトの幅方向側方に、前記印刷媒体の裏面に接触し且つ前記搬送ベルトの表面には接触しない接触部を配設し、前記接触部と前記搬送ベルトとの電位差で前記印刷媒体を静電吸着することを特徴とする印刷媒体搬送装置。
【請求項8】
前記接触部を、前記搬送ベルトの裏面に接触するローラに形成したことを特徴とする請求項7に記載の印刷媒体搬送装置。
【請求項9】
前記接触部を、前記印刷媒体の平面度を規制する導電性の印刷媒体平面規制体に形成したことを特徴とする請求項7に記載の印刷媒体搬送装置。
【請求項10】
前記接触部が、前記複数の搬送ベルトの間に配設されたベルトで構成されていることを特徴とする請求項7に記載の印刷媒体搬送装置。
【請求項11】
前記印刷媒体の表面に接触する補助接触部を配設し、前記補助接触部と前記搬送ベルトの電位差で前記印刷媒体を補助的に静電吸着することを特徴とする請求項7乃至10のいずれか一項に記載の印刷媒体搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−105394(P2008−105394A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−235106(P2007−235106)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】