説明

印刷順序決定装置、印刷組み合わせ決定装置、印刷順序決定方法およびプログラム

【課題】印刷時の損紙の発生を抑制する印刷順序を決定する。
【解決手段】印刷順序決定装置では、複数の用紙共通入力データの一の印刷順序について、前後に隣接する各2つの用紙共通入力データの印刷仕様に対応する印刷システムの印刷設定、および、後加工仕様に対応する後加工設定に基づいて、演算部71により損紙量記憶部72から損紙量が取得され、複数の用紙共通入力データにおける損紙量の合計である合計損紙量が求められる。そして、複数の用紙共通入力データの複数の印刷順序について損紙量の取得および合計損紙量の算出が行われ、合計損紙量が最小となる印刷順序が、複数の用紙共通入力データから生成される複数の印刷ジョブの印刷順序として決定される。このように、印刷順序決定装置では、印刷時の損紙の発生を抑制する印刷順序を決定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の印刷設定または複数の後加工設定を有する印刷システムにおいて、1単位の印刷用紙に対する複数の印刷ジョブの印刷順序または印刷組み合わせを決定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、商業用の印刷装置として、ロールタイプの連帳印刷用紙(いわゆる、ロール紙)に印刷を行うものが利用されており、このような印刷装置により、クレジットカードの請求書等のように、ページ毎に印刷内容の一部が異なる印刷(いわゆる、バリアブル印刷)が行われている。
【0003】
バリアブル印刷では、1つの案件(ジョブ)の印刷部数が比較的少ないものが多く、全長が数千mにも及ぶロール紙を1つの案件のみの印刷で使い切ることは多くない。したがって、通常は、複数のジョブを付け合わせて(マージして)1つのロール紙を使い切るだけのデータサイズにした後に印刷が実行される。
【0004】
このようなロール紙を使用する印刷装置は、印刷後の印刷用紙に対する裁断や折り加工等の後加工を行う後加工装置と組み合わされて使用されることが多い。例えば、特許文献1では、インクジェット記録部と後加工としてのダイカッティング部とを備えるインラインラベル印刷機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−268749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述のような印刷装置では、1つのロール紙に印刷される複数のジョブの間で、後加工の設定変更(いわゆる、段取り替え)が必要になる場合、作業者が段取り替えを行っている間、印刷用紙の移動を停止することがある。
【0007】
ロール紙用の印刷装置では、印刷の開始時にロール紙の移動速度が安定するまでの間、ジョブの印刷を行うことなくロール紙を移動させるため、印刷に利用されない部分(いわゆる、損紙)がロール紙に生じる。また、印刷の停止時においても、停止指令後にロール紙が慣性で移動するため、やはり損紙が発生する。特に、商業用の印刷装置では、ロール紙を高速にて移動しつつ印刷が行われるため、1つのロール紙に印刷される複数のジョブの間で段取り替えに伴う印刷の停止や再開が頻繁に行われると、多大な量の損紙が発生してしまう。また、ロール紙を停止させることなく段取り替えが可能な場合であっても、段取り替えの間は印刷ジョブを実行することはできないため、上記と同様に多大な量の損紙が発生してしまう。
【0008】
現状では、作業者の手作業により、損紙が少なくなるように複数のジョブの印刷順序を経験に基づいて決定しているが、決定作業に多大な時間を要し、また、作業者の熟練度により発生する損紙の量が変化してしまう。また、複数の印刷装置や後加工装置が存在する場合、印刷順序の決定作業はより複雑となる。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、印刷時の損紙の発生を抑制することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、複数の印刷設定または複数の後加工設定を有する印刷システムにおいて、1単位の印刷用紙に対する複数の印刷ジョブの印刷順序を決定する印刷順序決定装置であって、各印刷設定から他の印刷設定に変更する際に発生する損紙の量、または、各後加工設定から他の後加工設定に変更する際に発生する損紙の量である損紙量を予め記憶する損紙量記憶部と、それぞれが印刷用紙種類、印刷仕様、後加工仕様および印刷画像データを含む複数の入力データを記憶する入力データ記憶部と、前記複数の入力データのうち、印刷用紙種類が共通する複数の用紙共通入力データについて、a)前記複数の用紙共通入力データの一の印刷順序について、前後に隣接する各2つの用紙共通入力データの印刷仕様に対応する前記印刷システムの印刷設定、または、前記各2つの用紙共通入力データの後加工仕様に対応する前記印刷システムの後加工設定に基づいて、前記損紙量記憶部から損紙量を取得する工程と、b)前記複数の用紙共通入力データにおける損紙量の合計である合計損紙量を求める工程と、c)前記複数の用紙共通入力データの複数の印刷順序について前記a)工程および前記b)工程を行い、前記合計損紙量が最小となる印刷順序を求める工程とを行うことにより、前記複数の用紙共通入力データから生成される複数の印刷ジョブの印刷順序を決定する演算部とを備える。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の印刷順序決定装置であって、前記印刷画像データが、バリアブル印刷を実現するためのバリアブル画像データを含む。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の印刷順序決定装置であって、前記印刷システムが、それぞれが1つ以上の後加工設定を有する複数の後加工装置を備える。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の印刷順序決定装置であって、前記複数の入力データがそれぞれ納期を含み、前記演算部により、納期までの期間が所定期間よりも短い入力データが優先的に前記複数の用紙共通入力データに含められる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の印刷順序決定装置であって、印刷画像の配置およびサイズをそれぞれ含む複数のデザインテンプレートを記憶するテンプレート記憶部と、面付けレイアウトの集合である面付けレイアウト群を、デザインテンプレートおよび用紙幅に関連付けて記憶する面付けレイアウト記憶部と、前記印刷システムにおける複数の後加工設定を、面付けレイアウトに関連付けて記憶する面付け後加工記憶部とをさらに備え、前記複数の入力データがそれぞれ、前記複数のデザインテンプレートから選択された一のデザインテンプレートを含み、前記演算部が、複数の用紙幅に対して前記a)工程ないし前記c)工程を行い、前記合計損紙量が最小となる印刷順序および用紙幅を求め、各用紙幅に対する前記a)工程および前記b)工程が、前記各2つの用紙共通入力データに含まれる2つのデザインテンプレートと前記各用紙幅とに基づいて前記面付けレイアウト記憶部から抽出された2つの面付けレイアウト群の面付けレイアウトの各組み合わせについて行われ、前記面付けレイアウトの各組み合わせに対する前記a)工程において、損紙量の取得が、前記面付け後加工記憶部において前記面付けレイアウトの各組み合わせに関連付けられる後加工設定の組み合わせにも基づいて行われる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、複数の印刷設定または複数の後加工設定を有する印刷システムにおいて、1単位の印刷用紙に対する複数の印刷ジョブの印刷組み合わせを決定する印刷組み合わせ決定装置であって、それぞれが印刷用紙種類、印刷仕様、後加工仕様および印刷画像データを含む複数の入力データを記憶する入力データ記憶部と、前記複数の入力データのうち印刷用紙種類が共通する用紙共通入力データ群から、印刷仕様または後加工仕様が共通する用紙共通入力データを優先的に含めつつ前記1単位の印刷用紙に対応する複数の用紙共通入力データを抽出し、前記複数の用紙共通入力データから生成される複数の印刷ジョブの印刷組み合わせを決定する演算部とを備える。
【0016】
請求項7に記載の発明は、複数の印刷設定または複数の後加工設定を有する印刷システムにおいて、1単位の印刷用紙に対する複数の印刷ジョブの印刷順序を決定する印刷順序決定方法であって、a)各印刷設定から他の印刷設定に変更する際に発生する損紙の量、または、各後加工設定から他の後加工設定に変更する際に発生する損紙の量である損紙量を損紙量記憶部に予め記憶する工程と、b)それぞれが印刷用紙種類、印刷仕様、後加工仕様および印刷画像データを含む複数の入力データを記憶する工程と、c)前記複数の入力データのうち、印刷用紙種類が共通する複数の用紙共通入力データについて、c1)前記複数の用紙共通入力データの一の印刷順序について、前後に隣接する各2つの用紙共通入力データの印刷仕様に対応する前記印刷システムの印刷設定、または、前記各2つの用紙共通入力データの後加工仕様に対応する前記印刷システムの後加工設定に基づいて、前記損紙量記憶部から損紙量を取得する工程と、c2)前記複数の用紙共通入力データにおける損紙量の合計である合計損紙量を求める工程と、c3)前記複数の用紙共通入力データの複数の印刷順序について前記c1)工程および前記c2)工程を行い、前記合計損紙量が最小となる印刷順序を求める工程とを行うことにより、前記複数の用紙共通入力データから生成される複数の印刷ジョブの印刷順序を決定する工程とを備える。
【0017】
請求項8に記載の発明は、CPU、メモリ、入力受付部を備えたコンピュータにおいて実行可能であり、複数の印刷設定または複数の後加工設定を有する印刷システムにおいて、1単位の印刷用紙に対する複数の印刷ジョブの印刷順序を決定するプログラムであって、前記プログラムをCPUがメモリにおいて実行することにより、a)各印刷設定から他の印刷設定に変更する際に発生する損紙の量、または、各後加工設定から他の後加工設定に変更する際に発生する損紙の量である損紙量を損紙量記憶部に予め記憶する工程と、b)それぞれが印刷用紙種類、印刷仕様、後加工仕様および印刷画像データを含む複数の入力データを記憶する工程と、c)前記複数の入力データのうち、印刷用紙種類が共通する複数の用紙共通入力データについて、c1)前記複数の用紙共通入力データの一の印刷順序について、前後に隣接する各2つの用紙共通入力データの印刷仕様に対応する前記印刷システムの印刷設定、または、前記各2つの用紙共通入力データの後加工仕様に対応する前記印刷システムの後加工設定に基づいて、前記損紙量記憶部から損紙量を取得する工程と、c2)前記複数の用紙共通入力データにおける損紙量の合計である合計損紙量を求める工程と、c3)前記複数の用紙共通入力データの複数の印刷順序について前記c1)工程および前記c2)工程を行い、前記合計損紙量が最小となる印刷順序を求める工程とを行うことにより、前記複数の用紙共通入力データから生成される複数の印刷ジョブの印刷順序を決定する工程とを前記コンピュータに実行させる。
【0018】
請求項9に記載の発明は、CPU、メモリ、入力受付部を備えたコンピュータにおいて実行可能であり、複数の印刷設定または複数の後加工設定を有する印刷システムにおいて、1単位の印刷用紙に対する複数の印刷ジョブの印刷組み合わせを決定するプログラムであって、前記プログラムをCPUがメモリにおいて実行することにより、a)それぞれが印刷用紙種類、印刷仕様、後加工仕様および印刷画像データを含む複数の入力データを記憶する工程と、b)前記複数の入力データのうち印刷用紙種類が共通する用紙共通入力データ群から、印刷仕様または後加工仕様が共通する用紙共通入力データを優先的に含めつつ前記1単位の印刷用紙に対応する複数の用紙共通入力データを抽出し、前記複数の用紙共通入力データから生成される複数の印刷ジョブの印刷組み合わせを決定する工程とを前記コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、印刷時の損紙の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】印刷順序決定装置の構成を示す図である。
【図2】印刷システムの構成を示す図である。
【図3】印刷順序決定装置の機能を示すブロック図である。
【図4】損紙量記憶部を示す図である。
【図5】入力データ記憶部を示す図である。
【図6】テンプレート記憶部を示す図である。
【図7】面付けレイアウト記憶部を示す図である。
【図8】面付け後加工記憶部を示す図である。
【図9】印刷順序の決定の流れを示す図である。
【図10】印刷順序の決定の流れを示す図である。
【図11】印刷順序の決定の流れを示す図である。
【図12】印刷組み合わせの決定の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る印刷順序決定装置1の構成を示す図である。印刷順序決定装置1は、図2に示す印刷システム2において、1単位の印刷用紙である1つのロール紙に対する複数の印刷ジョブ(すなわち、印刷案件)の印刷順序を決定する装置である。
【0022】
図1に示すように、印刷順序決定装置1は、各種演算処理を行うCPU11、基本プログラムを記憶するROM12および各種情報を記憶するRAM13をバスラインに接続した一般的なコンピュータシステムの構成となっている。バスラインにはさらに、情報記憶を行う固定ディスク15、各種情報の表示を行うディスプレイ16、操作者からの入力を受け付けるキーボード17aやマウス17b等の入力受付部17、光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体10から情報の読み取りを行ったり記録媒体10に情報の書き込みを行う読取/書込装置18、並びに、外部との通信を行う通信部19が、適宜、インターフェイス(I/F)を介する等して接続される。
【0023】
印刷順序決定装置1には、事前に読取/書込装置18を介して記録媒体10からプログラム100が読み出され、固定ディスク15に記憶される。プログラム100は、通信部19を介して印刷順序決定装置1に読み込まれてもよい。そして、プログラム100が、CPU11によりRAM13等において実行されることにより(すなわち、コンピュータがプログラムを実行することにより)、印刷順序決定装置1が印刷順序の決定を行う。
【0024】
図2に示すように、印刷システム2は、1つのロール紙である印刷用紙9に印刷を行う印刷装置3、印刷用紙9の印刷済みの部分に後加工を行う後加工装置4、および、ロール状の印刷用紙9を保持して印刷装置3に供給する供給部51を備える。なお、印刷システム2における「印刷」は、有版印刷および無版印刷のいずれであってもよく、以下の説明では、インクジェット方式により無版にて画像を記録することをいう。
【0025】
印刷システム2では、印刷用紙9に対して、複数の印刷ジョブの印刷が順番に実行され、各印刷ジョブが示す複数の画像が印刷用紙9上に順次形成される。印刷システム2は、印刷装置3における複数の印刷設定、および、後加工装置4における複数の後加工設定を有し、一の印刷ジョブから次の印刷ジョブへの移行時に、印刷装置3における印刷設定、および、後加工装置4における後加工設定が必要に応じて変更される。一の印刷ジョブに対応する複数の画像の印刷時、すなわち、一の印刷ジョブの実行時には、印刷装置3における印刷設定、および、後加工装置4における後加工設定は変更されない。
【0026】
印刷装置3における印刷設定の変更としては、例えば、一の印刷ジョブと次の印刷ジョブとで印刷物の種別(例えば、請求書や広告用のダイレクトメール)が異なるため印字率が大きく異なる場合に、印刷用紙9に吐出されたインクを乾燥させるためのヒータの温度変更がある。この場合、変更後のヒータの温度が安定するまで次の印刷ジョブを実行することができないため、その間に移動する印刷用紙9が損紙となる。なお、ヒータの温度変更の際に印刷用紙9の移動を一旦停止した場合、印刷用紙9の停止の際の慣性による移動、および、印刷用紙9の移動再開時の速度安定までの間の移動に起因する損紙が発生する。また、印刷設定の変更として、一の印刷ジョブと次の印刷ジョブとで印刷解像度が異なる場合の印刷用紙9の移動速度変更がある。この場合も、印刷用紙9の移動速度が安定するまでの間に移動する印刷用紙9が損紙となる。
【0027】
後加工装置4における後加工設定の変更としては、例えば、印刷用紙9の切断位置の変更、折り位置の変更、折り方(例えば、2枚折りや3枚折り)の変更、折り畳んだ後の圧着の有無、中綴じ等の製本加工、封入封緘時の名寄せがある。一の印刷ジョブと次の印刷ジョブとで印刷用紙9の切断位置が異なる場合、切断に利用されるカッタの位置を作業者が変更している間は、次の印刷ジョブを実行することができない。したがって、カッタ位置変更中に移動する印刷用紙9が損紙となる。
【0028】
また、一の印刷ジョブと次の印刷ジョブとで印刷用紙9の折り方が変更され、印刷用紙9を折るための後加工装置を、印刷システム2が有する一の後加工装置から他の後加工装置に変更する必要がある場合、後加工装置の変更に伴って印刷用紙9の移動の停止および再開が必要となり、上述と同様に損紙が発生する。以下の説明では、印刷システム2が、それぞれが1つ以上の後加工設定を有する複数の後加工装置4を備え、印刷システム2における後加工設定の変更は、後加工装置4を変更する場合を含むものとする。
【0029】
図1に示す印刷順序決定装置1では、印刷システム2における上述のような損紙の発生が抑制されるように、印刷用紙9に対する複数の印刷ジョブの実行順序(すなわち、印刷順序)が決定される。
【0030】
図3は、図1に示すCPU11がプログラム100に従って動作することにより、CPU11、ROM12、RAM13、固定ディスク15等が実現する機能構成を示すブロック図である。図3において、演算部71がCPU11等により実現される機能であり、損紙量記憶部72、入力データ記憶部73、テンプレート記憶部74、面付けレイアウト記憶部75、および、面付け後加工記憶部76が固定ディスク15等により実現される機能である。なお、これらの機能は専用の電気的回路や専用のメモリにより実現されてもよい。
【0031】
図4に示すように、損紙量記憶部72には、印刷システム2が有する複数の印刷設定の各印刷設定から他の印刷設定に変更する際に発生する損紙の量である損紙量が、先に行われる印刷時の印刷設定と次に行われる印刷時の印刷設定との組み合わせに関連付けられて予め記憶される。また、損紙量記憶部72には、印刷システム2が有する複数の後加工設定の各後加工設定から他の後加工設定に変更する際に発生する損紙の量である損紙量が、先に行われる後加工時の後加工設定と次に行われる後加工時の後加工設定との組み合わせに関連付けられて予め記憶される。本実施の形態では、損紙量として、損紙となる印刷用紙9の移動方向の長さである損紙長が損紙量記憶部72に記憶される。
【0032】
図5に示すように、入力データ記憶部73には、複数の印刷ジョブにそれぞれ対応する複数の入力データ81が記憶される。各入力データ81は、各入力データ81から生成される印刷ジョブの納入期限を示す納期、印刷ジョブが印刷される予定の印刷用紙の種類を示す印刷用紙種類、印刷ジョブの印刷の仕様を示す印刷仕様、印刷ジョブの後加工の仕様を示す後加工仕様、印刷用紙に印刷される画像を示す印刷画像データ、および、デザインテンプレートを含む。印刷仕様には、例えば、上述の印字率や印刷解像度が含まれる。印字率は印刷物の種別で大凡決定されるため、印字率に代えて印刷物の種別が印刷仕様に含まれてもよい。
【0033】
本実施の形態では、各印刷ジョブが複数の印刷ジョブ要素を含み、印刷システム2において、印刷ジョブ要素毎に印刷内容の一部が異なるバリアブル印刷が行われる。印刷ジョブ要素は、例えば、顧客名等が記載された1ページの広告や、顧客のクレジットカードの使用履歴等が記載された複数ページの請求書である。印刷画像データは、バリアブル印刷を実現するためのバリアブル画像データを含む。デザインテンプレートは、各印刷ジョブ要素のサイズ、および、各印刷ジョブ要素における印刷画像の配置に係る情報を含む。
【0034】
図6に示すように、テンプレート記憶部74には、複数のデザインテンプレートが記憶される。上述の各入力データ81に含まれるデザインテンプレートは、テンプレート記憶部74に記憶された複数のデザインテンプレートから選択された一のデザインテンプレートである。
【0035】
図7に示すように、面付けレイアウト記憶部75には、複数の面付けレイアウトが記憶される。面付けレイアウトは、印刷の際に印刷用紙上においてデザインテンプレートをどのように配置するかを示す情報であり、印刷用紙の幅である用紙幅とデザインテンプレートとの組み合わせが1つ決定されると、当該組み合わせにおいて設定可能な1または複数の面付けレイアウトが決定される。面付けレイアウト記憶部75では、用紙幅およびデザインテンプレートの複数の組み合わせが記憶され、さらに、各組み合わせにおいて設定可能な面付けレイアウトの集合である面付けレイアウト群が、各組み合わせに関連付けられて記憶される。なお、面付けレイアウト群は、1つの面付けレイアウトであってもよく、複数の面付けレイアウトであってもよい。
【0036】
印刷装置3において一の面付けレイアウトによる印刷が行われた場合、当該面付けレイアウトに対応する後加工が、後加工装置4において行われる後加工に含まれる。例えば、印刷用紙9の幅方向に2つのデザインテンプレートが配列される(例えば、2人分の請求書が配列される)面付けレイアウトが採用された場合、後加工装置4で行われる後加工には、少なくとも、印刷用紙9を幅方向の中央にて切断する後加工が含まれる。図8に示すように、面付け後加工記憶部76では、各面付けレイアウトに対応する後加工の設定が記憶される。換言すれば、面付け後加工記憶部76では、印刷システム2における複数の後加工設定が面付けレイアウトに関連付けて記憶される。
【0037】
次に、図9を参照しつつ、印刷順序決定装置1による印刷順序の決定の流れについて説明する。印刷順序決定装置1では、まず、印刷システム2の各印刷設定から他の印刷設定に変更する際に発生する損紙量、および、各後加工設定から他の後加工設定に変更する際に発生する損紙量が、図4に示すように、損紙量記憶部72に予め記憶されることにより準備される(ステップS11)。
【0038】
また、複数のデザインテンプレートが、図6に示すように、テンプレート記憶部74に予め記憶されることにより準備され(ステップS12)、面付けレイアウト群が、図7に示すように、デザインテンプレートおよび用紙幅に関連付けられて面付けレイアウト記憶部75に予め記憶されることにより準備される(ステップS13)。さらに、複数の後加工設定が、図8に示すように、面付けレイアウトに関連付けられて面付け後加工記憶部76に予め記憶されることにより準備される(ステップS14)。ステップS11〜S14の実行順序は適宜変更されてよく、ステップS11〜S14の一部または全部が並行して行われてもよい。
【0039】
続いて、複数の印刷ジョブにそれぞれ対応する複数の入力データ81が、入力受付部17(図1参照)を介して入力され、図5に示すように、入力データ記憶部73に記憶される(ステップS15)。次に、演算部71により、入力データ記憶部73に記憶された複数の入力データ81のうち、印刷用紙種類が共通する複数の入力データ(以下、「用紙共通入力データ」という。)が抽出され(ステップS16)、損紙の発生を抑制するように、複数の用紙共通入力データから生成される複数の印刷ジョブの印刷順序が決定される(ステップS17)。印刷順序の決定の詳細については後述する。
【0040】
印刷順序決定装置1では、ステップS16において、複数の入力データ81にそれぞれ含まれる納期が確認され、現時点において納期までの期間が所定期間よりも短い入力データ81が、演算部71により優先的に複数の用紙共通入力データに含められる。これにより、現時点から納期が近い印刷ジョブの印刷を優先的に行うことができる。
【0041】
図10は、演算部71による印刷順序の決定の詳細な流れを示す図である。ステップS16にて複数の用紙共通入力データが抽出されると、当該複数の用紙共通入力データを所定の規則に従って並べた一の印刷順序が選択される(ステップS21)。ステップS21では、複数の用紙共通入力データは、例えば、納期が早い順に並べられてもよく、データ量が大きい順に並べられてもよい。
【0042】
続いて、ステップS21にて得られた一の印刷順序について、前後に隣接する2つの用紙共通入力データに含まれる2つの印刷仕様が抽出され、前の用紙共通入力データの印刷仕様に対応する印刷設定から、後の用紙共通入力データの印刷仕様に対応する印刷設定に変更される際に発生する損紙の量が、損紙量記憶部72から取得される。また、前後に隣接する2つの用紙共通入力データに含まれる2つの後加工仕様が抽出され、前の用紙共通入力データの後加工仕様に対応する後加工設定から、後の用紙共通入力データの後加工仕様に対応する後加工設定に変更される際に発生する損紙の量が、損紙量記憶部72から取得される。そして、印刷仕様から求められる損紙量と後加工仕様から求められる損紙量とが加算され、当該2つの用紙共通入力データに係る損紙量とされる。印刷設定や後加工設定の変更がない場合、印刷設定や後加工設定に係る損紙量はゼロである。
【0043】
演算部71では、上述の印刷仕様および後加工仕様に基づく損紙量の取得が、一の印刷順序にて並べられた複数の用紙共通入力データにおいて、前後に隣接する各2つの用紙共通入力データについて行われる。換言すれば、複数の用紙共通入力データの一の印刷順序について、前後に隣接する各2つの用紙共通入力データの印刷仕様に対応する印刷システム2の印刷設定、および、当該各2つの用紙共通入力データの後加工仕様に対応する印刷システム2の後加工設定に基づいて、損紙量記憶部72から損紙量が取得される(ステップS22)。そして、上記各2つの用紙共通入力データの損紙量が合計されることにより、一の印刷順序にて並べられた複数の用紙共通入力データにおける損紙量の合計である合計損紙量が求められる(ステップS23)。
【0044】
一の印刷順序について合計損紙量が求められると、複数の用紙共通入力データの印刷順序が変更される(ステップS24,S25)。そして、ステップS22に戻り、新たな印刷順序について、前後に隣接する各2つの用紙共通入力データの損紙量が取得され、各損紙量が合計されることにより合計損紙量が求められる(ステップS22,S23)。演算部71では、複数の用紙共通入力データの全ての印刷順序について合計損紙量を求めるまでステップS22〜S25が繰り返され、その後、合計損紙量が最小となる印刷順序が求められる(ステップS26)。印刷順序決定装置1では、合計損紙量が最小となる印刷順序が、複数の用紙共通入力データから生成される複数の印刷ジョブの印刷順序として決定される。このように、印刷順序決定装置1では、印刷時の損紙の発生を抑制する印刷順序を決定することができる。
【0045】
上述のように、印刷システム2により印刷される印刷画像データは、バリアブル画像データを含んでいる。バリアブル印刷は、小ロットの印刷ジョブを実現することができるため、1つのロール紙に印刷される印刷ジョブの総数が多くなる傾向にある。したがって、複数の印刷ジョブの印刷順序を、損紙の発生を抑制しつつ決定することができる印刷順序決定装置1は、バリアブル画像データを含む印刷画像データの印刷に特に適している。
【0046】
印刷システム2は、上述のように、それぞれが1つ以上の後加工設定を有する複数の後加工装置4を備え、印刷システム2における後加工設定の変更は、後加工装置4を変更する場合を含む。後加工装置4を変更する場合には、損紙量が比較的大きくなるため、印刷順序の決定において損紙の発生を抑制することができる印刷順序決定装置1は、複数の後加工装置4を備える印刷システム2の印刷順序の決定に特に適している。
【0047】
次に、演算部71による印刷順序の決定(ステップS17)の他の例について、図11を参照しつつ説明する。ステップS16にて複数の用紙共通入力データが抽出されると、まず、印刷システム2にて印刷および後加工が可能な複数の印刷用紙9の幅のうち一の用紙幅が選択される(ステップS31)。
【0048】
続いて、複数の用紙共通入力データの一の印刷順序が選択される(ステップS32)。次に、当該印刷順序において前後に隣接する2つの用紙共通入力データに含まれる2つのデザインテンプレートが抽出され、各デザインテンプレートと用紙幅とに基づいて、2つの用紙共通入力データに関連づけられる2つの面付けレイアウト群が、面付けレイアウト記憶部75から取得される。そして、2つの面付けレイアウト群からそれぞれ1つだけ選択された面付けレイアウトの組み合わせについて、発生する損紙の量が求められる。具体的には、面付けレイアウトの組み合わせに基づいて後加工設定の組み合わせが面付け後加工記憶部76から求められ、当該後加工設定の組み合わせに基づいて損紙量記憶部72から求められた損紙の量と、2つの用紙共通入力データの印刷仕様および後加工仕様に基づいて上記ステップS22と同様に求められた損紙の量とが合計されることにより、損紙量が取得される。演算部71では、2つの面付けレイアウト群から選択された面付けレイアウトの各組み合わせについて、損紙量が同様に取得される。
【0049】
演算部71では、上述の損紙量の取得が、一の印刷順序にて並べられた複数の用紙共通入力データにおいて、前後に隣接する各2つの用紙共通入力データの面付けレイアウトの各組み合わせについて行われる。換言すれば、一の印刷順序に係る損紙量の取得が、前後に隣接する各2つの用紙共通入力データに含まれる2つのデザインテンプレートと用紙幅とに基づいて面付けレイアウト記憶部75から抽出された2つの面付けレイアウト群の面付けレイアウトの各組み合わせについて行われる。損紙量の取得は、各2つの用紙共通入力データの2つの印刷仕様および2つの後加工仕様に基づいて行われるのみではなく、各2つの用紙共通入力データの面付けレイアウトの各組み合わせに関連づけられる後加工設定の組み合わせにも基づいて行われる。そして、一の印刷順序において、面付けレイアウトの各組み合わせに係る合計損紙量の比較が行われ、合計損紙量が最小となる各用紙共通入力データの面付けレイアウトが、合計損紙量の最小値と共に記憶される(ステップS33)。
【0050】
一の印刷順序について合計損紙量が求められると、複数の用紙共通入力データの印刷順序が変更される(ステップS34,S35)。そして、ステップS33に戻り、新たな印刷順序について、合計損紙量が最小となる各用紙共通入力データの面付けレイアウトが、合計損紙量の最小値と共に記憶される(ステップS33)。演算部71では、複数の用紙共通入力データの全ての印刷順序について合計損紙量を求めるまでステップS33〜S35が繰り返され、その後、合計損紙量が最小となる印刷順序および各用紙共通入力データの面付けレイアウトが求められる(ステップS36)。
【0051】
次に、用紙幅が変更され(ステップS37,S38)、ステップS32に戻り、新たな用紙幅について合計損紙量が最小となる印刷順序および各用紙共通入力データの面付けレイアウトが求められる(ステップS32〜S36)。印刷順序決定装置1では、印刷システム2において利用可能な印刷用紙の全ての幅について、合計損紙量が最小となる印刷順序および各用紙共通入力データの面付けレイアウトが求められ(ステップS32〜S38)、各用紙幅に対応する合計損紙量が比較される。そして、合計損紙量が最小となる用紙幅、印刷順序および各用紙共通入力データの面付けレイアウトが求められる(ステップS39)。このように、印刷順序決定装置1では、用紙幅の影響、および、面付けレイアウトにより必須となる後加工を自動的に考慮して、損紙の発生を抑制する印刷順序を決定することができる。
【0052】
このような印刷順序決定装置1は、例えば、インターネット上で複数のクライアントからの印刷依頼を受注するシステムにおいて利用されてもよい。この場合、複数のクライアントからインターネットを介して複数の入力データ81が入力され、印刷順序決定装置1の入力データ記憶部73に記憶される。入力データ81の入力の際には、テンプレート記憶部74に記憶されている複数のデザインテンプレートが端末の画面に表示され、入力者が1つのデザインテンプレートを選択することにより、当該デザインテンプレートが入力データ81に含められる。また、端末の画面に表示されるフォーマットに従って、印刷用紙種類、納期、印刷仕様および後加工仕様等が入力され、印刷画像データも入力される。
【0053】
図1に示す印刷順序決定装置1では、複数の印刷ジョブの印刷順序が厳密に決定されることなく、プログラム100がCPU11によりRAM13等において実行されることにより(すなわち、コンピュータがプログラムを実行することにより)、1つのロール紙に印刷される複数の印刷ジョブの印刷組み合わせが決定されてもよい。
【0054】
図12は、印刷組み合わせの決定の流れを示す図である。まず、複数の印刷ジョブにそれぞれ対応する複数の入力データ81が入力データ記憶部73に記憶される(ステップS41)。続いて、演算部71により、入力データ記憶部73に記憶された複数の入力データ81のうち、印刷用紙種類が共通する用紙共通入力データ群が抽出される(ステップS42)。そして、用紙共通入力データ群から、印刷仕様または後加工仕様が共通する用紙共通入力データを優先的に含めつつ1つのロール紙に対応する(すなわち、1つのロール紙に印刷される予定の)複数の用紙共通入力データが抽出され、複数の用紙共通入力データから生成される複数の印刷ジョブの印刷組み合わせが決定される(ステップS43)。
【0055】
具体的には、用紙共通入力データ群から、まず、印刷仕様および後加工仕様が共通する用紙共通入力データが第1入力データ群として抽出される。続いて、用紙共通入力データ群の残りの入力データから、後加工仕様が共通する用紙共通入力データが第2入力データ群として抽出され、さらに、印刷仕様が共通する用紙共通入力データが第3入力データ群として抽出される。また、他の印刷仕様および後加工仕様についても第1入力データ群、第2入力データ群および第3入力データ群が抽出される。印刷システム2では、印刷仕様および後加工仕様の各組み合わせについて、第1入力データ群、第2入力データ群および第3入力データ群が順に印刷されて後加工される。各入力データ群内における印刷ジョブの印刷順序は、別途、様々な方法で決定されてよい。
【0056】
このように、印刷順序決定装置1は、1つのロール紙に対する複数の印刷ジョブの印刷組み合わせを決定する印刷組み合わせ決定装置としても機能する。この場合も、印刷システム2において、印刷設定や後加工設定の変更を抑制し、印刷設定や後加工設定の変更に係る損紙の発生を抑制することができる。
【0057】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0058】
例えば、上述のステップS22における損紙量の取得は、必ずしも印刷設定および後加工設定の双方に基づいて行われる必要はなく、印刷設定または後加工設定のみに基づいて行われてもよい。この場合、損紙量記憶部72には、ステップS22にて利用される損紙量である印刷システム2の各印刷設定から他の印刷設定に変更する際に発生する損紙量、または、各後加工設定から他の後加工設定に変更する際に発生する損紙量が記憶される。
【0059】
上述の実施の形態では、ステップS31〜S39において、複数の用紙幅のそれぞれについて、印刷順序を様々に変更しつつ合計損紙量が最小となる印刷順序を求めた後、各用紙幅における合計損紙量の最小値を比較しているが、例えば、複数の印刷順序のそれぞれについて、用紙幅を様々に変更しつつ合計損紙量が最小となる用紙幅を求めた後、各印刷順序における合計損紙量の最小値を比較してもよい。
【0060】
印刷順序決定装置1の入力データ記憶部73に記憶される入力データ81は、必ずしもバリアブル画像を含む必要はない。また、損紙量記憶部72では、損紙量として必ずしも損紙の長さが記憶される必要はなく、実質的に損紙の量を示す評価値等が記憶されてもよい。印刷システム2では、A4等の定形サイズの複数の印刷用紙に順次印刷を行う枚葉式の印刷装置3が利用されてもよい。この場合、複数の用紙共通入力データに対応する複数の印刷ジョブが印刷される1単位の印刷用紙とは、所定枚数の印刷用紙を意味し、損紙量として、例えば、印刷用紙の枚数が損紙量記憶部72に記憶される。
【0061】
上記実施形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0062】
1 印刷順序決定装置
2 印刷システム
3 印刷装置
4 後加工装置
9 印刷用紙
71 演算部
72 損紙量記憶部
73 入力データ記憶部
74 テンプレート記憶部
75 面付けレイアウト記憶部
76 面付け後加工記憶部
81 入力データ
100 プログラム
S11〜S17,S21〜S26,S31〜S39,S41〜S43 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の印刷設定または複数の後加工設定を有する印刷システムにおいて、1単位の印刷用紙に対する複数の印刷ジョブの印刷順序を決定する印刷順序決定装置であって、
各印刷設定から他の印刷設定に変更する際に発生する損紙の量、または、各後加工設定から他の後加工設定に変更する際に発生する損紙の量である損紙量を予め記憶する損紙量記憶部と、
それぞれが印刷用紙種類、印刷仕様、後加工仕様および印刷画像データを含む複数の入力データを記憶する入力データ記憶部と、
前記複数の入力データのうち、印刷用紙種類が共通する複数の用紙共通入力データについて、a)前記複数の用紙共通入力データの一の印刷順序について、前後に隣接する各2つの用紙共通入力データの印刷仕様に対応する前記印刷システムの印刷設定、または、前記各2つの用紙共通入力データの後加工仕様に対応する前記印刷システムの後加工設定に基づいて、前記損紙量記憶部から損紙量を取得する工程と、b)前記複数の用紙共通入力データにおける損紙量の合計である合計損紙量を求める工程と、c)前記複数の用紙共通入力データの複数の印刷順序について前記a)工程および前記b)工程を行い、前記合計損紙量が最小となる印刷順序を求める工程と、を行うことにより、前記複数の用紙共通入力データから生成される複数の印刷ジョブの印刷順序を決定する演算部と、
を備えることを特徴とする印刷順序決定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷順序決定装置であって、
前記印刷画像データが、バリアブル印刷を実現するためのバリアブル画像データを含むことを特徴とする印刷順序決定装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の印刷順序決定装置であって、
前記印刷システムが、それぞれが1つ以上の後加工設定を有する複数の後加工装置を備えることを特徴とする印刷順序決定装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の印刷順序決定装置であって、
前記複数の入力データがそれぞれ納期を含み、
前記演算部により、納期までの期間が所定期間よりも短い入力データが優先的に前記複数の用紙共通入力データに含められることを特徴とする印刷順序決定装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の印刷順序決定装置であって、
印刷画像の配置およびサイズをそれぞれ含む複数のデザインテンプレートを記憶するテンプレート記憶部と、
面付けレイアウトの集合である面付けレイアウト群を、デザインテンプレートおよび用紙幅に関連付けて記憶する面付けレイアウト記憶部と、
前記印刷システムにおける複数の後加工設定を、面付けレイアウトに関連付けて記憶する面付け後加工記憶部と、
をさらに備え、
前記複数の入力データがそれぞれ、前記複数のデザインテンプレートから選択された一のデザインテンプレートを含み、
前記演算部が、複数の用紙幅に対して前記a)工程ないし前記c)工程を行い、前記合計損紙量が最小となる印刷順序および用紙幅を求め、
各用紙幅に対する前記a)工程および前記b)工程が、前記各2つの用紙共通入力データに含まれる2つのデザインテンプレートと前記各用紙幅とに基づいて前記面付けレイアウト記憶部から抽出された2つの面付けレイアウト群の面付けレイアウトの各組み合わせについて行われ、
前記面付けレイアウトの各組み合わせに対する前記a)工程において、損紙量の取得が、前記面付け後加工記憶部において前記面付けレイアウトの各組み合わせに関連付けられる後加工設定の組み合わせにも基づいて行われることを特徴とする印刷順序決定装置。
【請求項6】
複数の印刷設定または複数の後加工設定を有する印刷システムにおいて、1単位の印刷用紙に対する複数の印刷ジョブの印刷組み合わせを決定する印刷組み合わせ決定装置であって、
それぞれが印刷用紙種類、印刷仕様、後加工仕様および印刷画像データを含む複数の入力データを記憶する入力データ記憶部と、
前記複数の入力データのうち印刷用紙種類が共通する用紙共通入力データ群から、印刷仕様または後加工仕様が共通する用紙共通入力データを優先的に含めつつ前記1単位の印刷用紙に対応する複数の用紙共通入力データを抽出し、前記複数の用紙共通入力データから生成される複数の印刷ジョブの印刷組み合わせを決定する演算部と、
を備えることを特徴とする印刷組み合わせ決定装置。
【請求項7】
複数の印刷設定または複数の後加工設定を有する印刷システムにおいて、1単位の印刷用紙に対する複数の印刷ジョブの印刷順序を決定する印刷順序決定方法であって、
a)各印刷設定から他の印刷設定に変更する際に発生する損紙の量、または、各後加工設定から他の後加工設定に変更する際に発生する損紙の量である損紙量を損紙量記憶部に予め記憶する工程と、
b)それぞれが印刷用紙種類、印刷仕様、後加工仕様および印刷画像データを含む複数の入力データを記憶する工程と、
c)前記複数の入力データのうち、印刷用紙種類が共通する複数の用紙共通入力データについて、c1)前記複数の用紙共通入力データの一の印刷順序について、前後に隣接する各2つの用紙共通入力データの印刷仕様に対応する前記印刷システムの印刷設定、または、前記各2つの用紙共通入力データの後加工仕様に対応する前記印刷システムの後加工設定に基づいて、前記損紙量記憶部から損紙量を取得する工程と、c2)前記複数の用紙共通入力データにおける損紙量の合計である合計損紙量を求める工程と、c3)前記複数の用紙共通入力データの複数の印刷順序について前記c1)工程および前記c2)工程を行い、前記合計損紙量が最小となる印刷順序を求める工程と、を行うことにより、前記複数の用紙共通入力データから生成される複数の印刷ジョブの印刷順序を決定する工程と、
を備えることを特徴とする印刷順序決定方法。
【請求項8】
CPU、メモリ、入力受付部を備えたコンピュータにおいて実行可能であり、複数の印刷設定または複数の後加工設定を有する印刷システムにおいて、1単位の印刷用紙に対する複数の印刷ジョブの印刷順序を決定するプログラムであって、
前記プログラムをCPUがメモリにおいて実行することにより、
a)各印刷設定から他の印刷設定に変更する際に発生する損紙の量、または、各後加工設定から他の後加工設定に変更する際に発生する損紙の量である損紙量を損紙量記憶部に予め記憶する工程と、
b)それぞれが印刷用紙種類、印刷仕様、後加工仕様および印刷画像データを含む複数の入力データを記憶する工程と、
c)前記複数の入力データのうち、印刷用紙種類が共通する複数の用紙共通入力データについて、c1)前記複数の用紙共通入力データの一の印刷順序について、前後に隣接する各2つの用紙共通入力データの印刷仕様に対応する前記印刷システムの印刷設定、または、前記各2つの用紙共通入力データの後加工仕様に対応する前記印刷システムの後加工設定に基づいて、前記損紙量記憶部から損紙量を取得する工程と、c2)前記複数の用紙共通入力データにおける損紙量の合計である合計損紙量を求める工程と、c3)前記複数の用紙共通入力データの複数の印刷順序について前記c1)工程および前記c2)工程を行い、前記合計損紙量が最小となる印刷順序を求める工程と、を行うことにより、前記複数の用紙共通入力データから生成される複数の印刷ジョブの印刷順序を決定する工程と、
を前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
CPU、メモリ、入力受付部を備えたコンピュータにおいて実行可能であり、複数の印刷設定または複数の後加工設定を有する印刷システムにおいて、1単位の印刷用紙に対する複数の印刷ジョブの印刷組み合わせを決定するプログラムであって、
前記プログラムをCPUがメモリにおいて実行することにより、
a)それぞれが印刷用紙種類、印刷仕様、後加工仕様および印刷画像データを含む複数の入力データを記憶する工程と、
b)前記複数の入力データのうち印刷用紙種類が共通する用紙共通入力データ群から、印刷仕様または後加工仕様が共通する用紙共通入力データを優先的に含めつつ前記1単位の印刷用紙に対応する複数の用紙共通入力データを抽出し、前記複数の用紙共通入力データから生成される複数の印刷ジョブの印刷組み合わせを決定する工程と、
を前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−61867(P2013−61867A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200819(P2011−200819)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)