説明

印字情報層を備えた積層体

【課題】 生産性が優れ、印字情報層の印字情報の欠落や滲みの発生がなく、しかも包装袋の外面側からは隠蔽され、内面側からのみ視認可能な印字情報層を備えた積層体およびその製造方法を提供することである。
【解決手段】 絵柄印刷層と隠蔽層を有する第1フィルムと、インクジェットプリンターで形成された印字情報層と内層に熱接着性樹脂層を有する第2フィルムとが、接着剤層を介して積層され、前記印字情報層の印字情報が前記第2フィルム側からのみ視認可能な印字情報層を備えた積層体およびその製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品等の内容物を包装する包装袋に用いられる積層体およびその製造方法に関し、詳しくは、抽選番号等を表現した文字、記号、絵柄等の印字情報を積層体に形成し、商品の購入者が該印字情報を視認することによりサービスや景品の提供を受けたり、あるいは受ける資格が得られることで販売促進に好適に利用できると共に包装袋の外面側からは隠蔽され、内面側からのみ視認可能な印字情報層を備えた積層体およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、販売促進に好適に利用できる包装袋としては、例えば、包装袋に用いられる積層体の外側面に「あたり」「はずれ」に相当する文字、記号、絵柄等の情報を印刷し、その上から隠蔽剥離層を形成したり、隠蔽性のある粘着シールを貼着したりして上記情報が外側から見えないように隠蔽しておき、隠蔽剥離層を擦り取ったり、粘着シールを剥がし取ることにより「あたり」「はずれ」等の情報を確認することができる構成のものが知られている。
【0003】
しかしながら、上記の方法では、商品の購入者が、通常、「あたり」の部分を切り取り、販売者等が指定した宛先に送って応募することが行われており、購入者にとって面倒で手間隙がかかるという欠点があった。近年、インターネットや携帯電話の目覚しい普及に伴い、インターネットや携帯電話を利用した懸賞への応募方法が採用されている。
【0004】
例えば、基材フィルム層となる第1フィルムと内層に熱接着性樹脂層となる第2フィルムとを備えた透明な積層体からなり、基材フィルム層となる第1フィルムの熱接着性樹脂層側の面に印刷インキにより部分的に隠蔽層を設けて隠蔽領域を形成すると共に少なくとも隠蔽領域に白系ベタ印刷層を設け、隠蔽領域の白系ベタ印刷層上にインクジェットプリンターで識別文字列を印字情報として形成された構成とすることにより、外面側からは確認することができないが内面側から確認することができる識別文字列等の印字情報を備えた包装材が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、少なくとも、最外フィルム層となる第1フィルム、透明バリア層、熱接着性樹脂層(ヒートシール層)となる第2フィルムを順次、積層した積層材からなり、最外フィルム層となる第1フィルムの裏面の少なくとも一部に、最外フィルム層側から順に、インキ層からなる隠蔽層、白色インキ層、インクジェット記録方式で印字し形成された印字情報層を設け、ヒートシール層が、向かい合うように重ね合わせてシールする印字情報を備えた包装容器が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
しかしながら、特許文献1、2の技術は、いずれも、印字情報が第1フィルムの第2フィルムと積層される側に形成されるために、第1フィルムの印字情報形成面に接着剤をコーティングロールにより塗布し、接着剤層を形成する際、印字情報の一部がコーティングロール側に転移して欠落したり、あるいは塗布された接着剤により滲んだりして印字情報が視認できないという恐れがあるとういう欠点がある。これは、第2フィルム側に接着剤を塗布して接着剤層を形成すれば解決できるが、第2フィルムは熱接着性樹脂層を有するために、接着剤を塗布して乾燥する際に、熱接着性樹脂層が軟化しない程度の低温乾燥にする必要があり、十分に乾燥させるためには低速生産となり生産性が悪く、さらに乾燥時の加温により熱接着性樹脂層が伸びやすくなり、第1フィルムと積層後、積層体がカールしやすくなり、後加工の生産効率の低下や包装袋にした場合に包装袋の開口部のカールにより、開口部の密封作業がしにくいという品質の低下を併発するという問題があり、第1フィルムに接着剤を塗布せざるを得ないというのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−18058号公報
【特許文献2】特開2004−67219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような従来の問題点に鑑み、生産効率が優れ、印字情報層の印字情報の欠落や滲みの発生がなく、しかも包装袋の外面側からは隠蔽され、内面側からのみ視認可能な印字情報層を備えた積層体およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の本発明は、絵柄印刷層と隠蔽層を有する第1フィルムと、インクジェットプリンターで形成された印字情報層と内層に熱接着性樹脂層を有する第2フィルムとが、接着剤層を介して積層され、前記印字情報層の印字情報が前記第2フィルム側からのみ視認可能な印字情報層を備えた積層体である。
【0010】
請求項2に記載の本発明は、絵柄印刷層を有する基材層と、隠蔽性を有する中間層と、インクジェットプリンターで形成された印字情報層と内層に熱接着性樹脂層を有する第2フィルムとが、接着剤層を介して積層され、前記印字情報層の印字情報が前記第2フィルム側からのみ視認可能な印字情報層を備えた積層体である。
【0011】
請求項3に記載の本発明は、請求項1に記載の印字情報層を備えた積層体の製造方法であって、インクジェットプリンターを備えたラミネーターを使用して、前記第2フィルムの前記第1フィルムに積層される面にインクジェットプリンターで前記第1フィルムの前記隠蔽層に同調させて印字情報を印字し印字情報層を形成すると共に、前記第1フィルムの前記第2フィルムに積層される面に接着剤を塗布し、乾燥し、接着剤層を形成した後、前記第1フィルムに形成された前記接着剤層面と前記第2フィルムに形成された前記印字情報層面とを対向させて重ね、圧着することにより積層することを特徴とするものである。
【0012】
請求項4に記載の本発明は、請求項2に記載の印字情報層を備えた積層体の製造方法であって、前記基材層と前記中間層を積層した後、インクジェットプリンターを備えたラミネーターを使用して、前記第2フィルムの前記中間層に積層される面にインクジェットプリンターで前記基材層の前記絵柄層に同調させて印字情報を印字し印字情報層を形成すると共に、前記中間層の前記第2フィルムに積層される面に接着剤を塗布し、乾燥し、接着剤層を形成した後、前記中間層に形成された前記接着剤層面と前記第2フィルムに形成された前記印字情報層面とを対向させて重ね、圧着することにより積層することを特徴とするものである。
【0013】
また、請求項5に記載の本発明は、請求項1に記載の印字情報層を備えた積層体の製造方法であって、インクジェットプリンターを備えた押出しラミネーターを使用して、前記第2フィルムの前記第1フィルムに積層される面にインクジェットプリンターで前記第1フィルムの前記隠蔽層に同調させて印字情報を印字し印字情報層を形成すると共に、前記第1フィルムの前記第2フィルムに積層される面と前記第2フィルムに形成された前記印字情報層面との間に熱可塑性樹脂を溶融押出し形成された接着剤層を介して積層することを特徴とするものである。
【0014】
また、請求項6に記載の本発明は、請求項2に記載の印字情報層を備えた積層体の製造方法であって、前記基材層と前記中間層を積層した後、インクジェットプリンターを備えた押出しラミネーターを使用して、前記第2フィルムの前記中間層に積層される面にインクジェットプリンターで前記基材層の前記絵柄層に同調させて印字情報を印字し印字情報層を形成すると共に、前記中間層面と前記第2フィルムに形成された前記印字情報層面との間に熱可塑性樹脂を溶融押出し形成された接着剤層を介して積層することを特徴とするものである。
【0015】
また、請求項7に記載の本発明は、請求項1または2に記載の印字情報層を備えた積層体において、前記第2フィルムが、熱接着性樹脂層からなることを特徴とするものである。また、請求項8に記載の本発明は、請求項3乃至6のいずれかに記載の印字情報層を備えた積層体の製造方法において、前記第2フィルムが、熱接着性樹脂層からなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の印字情報層を備えた積層体は、絵柄印刷層と隠蔽層を有する第1フィルムと、インクジェットプリンターで形成された印字情報層と内層に熱接着性樹脂層を有する第2フィルムとが、接着剤層を介して積層され、前記印字情報層の印字情報が前記第2フィルム側からのみ視認可能な構成、または、絵柄印刷層を有する基材層と、隠蔽性を有する中間層と、インクジェットプリンターで形成された印字情報層と内層に熱接着性樹脂層を有する第2フィルムとが、接着剤層を介して積層され、前記印字情報層の印字情報が前記第2フィルム側からのみ視認可能な構成とすることにより、生産性に優れ、印字情報層の印字情報の欠落や滲みの発生がない積層体とすることができる。しかも印字情報が積層体の外面側から確認することができず、内面側からのみ視認可能となり、購入者以外の他人には見ることができない機密性と他人の不正を防止できるという効果を奏する。また、印字情報層は第1フィルムと第2フィルムの間に積層されており、製造から販売に至る間において印字情報層が脱落することがない積層体とすることができると共に改竄防止効果も有する。さらに、インクジェットプリンターで印字情報層を形成する構成とすることにより、印字情報を例えば、容易に乱数からなる識別文字列や記号や絵柄等の可変情報として生成することができる。
【0017】
また、請求項3は、インクジェットプリンターを備えたラミネーターを使用して、前記第2フィルムの前記第1フィルムに積層される面にインクジェットプリンターで前記第1フィルムの前記隠蔽層に同調させて印字情報を印字し印字情報層を形成すると共に、前記第1フィルムの前記第2フィルムに積層される面に接着剤を塗布し、乾燥し、接着剤層を形成した後、前記第1フィルムに形成された前記接着剤層面と前記第2フィルムに形成された前記印字情報層面とを対向させて重ね、圧着するドライラミネーション法により積層する構成とすることにより、第2フィルムに形成された印字情報層面に接着剤を塗布することがないので印字情報層の印字情報の欠落や滲みの発生がなく、しかも第1フィルム側に接着剤を塗布することにより、高温で乾燥できるので高速生産が可能となり生産効率が優れたものとなる。
【0018】
また、請求項4記載の本発明は、ドライラミネーション法により請求項2に記載の印字情報層を備えた積層体の製造方法であって、第2フィルムに形成された印字情報層面に接着剤を塗布することがないので上記効果を奏する。
【0019】
また、請求項5は、インクジェットプリンターを備えた押出しラミネーターを使用して、前記第2フィルムの前記第1フィルムに積層される面にインクジェットプリンターで前記第1フィルムの前記隠蔽層に同調させて印字情報を印字し印字情報層を形成すると共に、前記第1フィルムの前記第2フィルムに積層される面と前記第2フィルムに形成された前記印字情報層面との間に熱可塑性樹脂を溶融押出し形成された接着剤層を介して積層する押出しラミネーション法により積層する構成とすることにより、第2フィルムに形成された印字情報層面に接着剤を塗布することがないので印字情報層の印字情報の欠落や滲みの発生がなく、しかも生産性が優れたものとなる。
【0020】
また、請求項6記載の本発明は、押出しラミネーション法により請求項2に記載の印字情報層を備えた積層体の製造方法であって、第2フィルムに形成された印字情報層面に接着剤を塗布することがないので上記効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る印字情報層を備えた積層体の第一実施形態を示す内面側から見た平面図である。
【図2】図1のX−X線断面図で内面側を下側にして示したものある。
【図3】図1に示す積層体を用いて作製した包装袋の一実施例を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る印字情報層を備えた積層体の第二実施形態を示す図2に相当する断面図である。
【図5】本発明に係る印字情報層を備えた積層体の製造方法の一実施形態の要部概略を示す説明図である。
【図6】本発明に係る印字情報層を備えた積層体の製造方法のその他の実施形態の要部概略を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下図面を用いて、本発明の実施形態について説明する。図1は本発明に係る印字情報層を備えた積層体の第一実施形態を示す内面側から見た平面図、図2は図1のX−X線断面図で内面側を下側にして示したもの、図3は図1に示す積層体を用いて作製した包装袋の一実施例を示す斜視図、図4は本発明に係る印字情報層を備えた積層体の第二実施形態を示す図2に相当する断面図、図5は本発明に係る印字情報層を備えた積層体の製造方法の一実施形態の要部概略を示す説明図、図6は本発明に係る印字情報層を備えた積層体の製造方法のその他の実施形態の要部概略を示す説明図である。図中の符号1は1、1’は印字情報層を備えた積層体、2は包装袋、3は背シール部、4は上・下端シール部、10は第1フィルム、10aは第1フィルムの第2フィルムに積層される面、11、11’は基材層、12は隠蔽層、13、13’は絵柄印刷層、14は中間層、20は第2フィルム、20aは第2フィルムの第1フィルムに積層される面、21は熱接着性樹脂層、22は印字情報層、30は接着剤層、40は乾燥装置、41は第2給紙装置、42はラミネート部、42a、42bはニップロール、43は巻取装置、44、54は光電管マーク検知器、45、55はインクジェットプリンター、50はTダイ、51は第2給紙装置、52はラミネート部、52aはニップロール、52bはチルロール、55は第2給紙装置、Iは印字情報、Aは隠蔽領域をそれぞれ示す。
【0023】
本発明の第一実施形態の印字情報層を備えた積層体1は、図1、図2に示すように、第1フィルム10を構成する基材層11の一方の面に部分的に隠蔽層12を設けて隠蔽領域Aが形成され、隠蔽層12を設けた面全面に絵柄印刷層13が形成されている。第2フィルム20を構成する熱接着性樹脂層21の絵柄印刷層13側の面にインクジェットプリンターで墨色インクを用いて印字情報Iとして識別文字列を印字し、印字情報層22が形成されている。第1フィルムに形成された絵柄印刷層13面と第2フィルムに形成された印字情報層22とが接着剤層30を介して隠蔽層12に印字情報層22を同調させて第1フィルムと第2フィルムが積層されている。つまり、印字情報層を備えた積層体1の印字情報層22は第1フィルムに形成された隠蔽領域A(図1の点線内領域)で覆われるために外面側となる第1フィルム側からは、印字情報Iを確認することができず内面側となる第2フィルム側からのみ視認可能なものとなる。
【0024】
第一実施形態において、第1フィルムは基材層11とし、第2フィルムは熱接着性樹脂層21とし、2層構成の場合を示したが、これに限定されるものではなく、基材層11に第1中間層を積層したものを第1フィルムにすることができる。この場合、隠蔽層12と絵柄印刷層13は、基材層11あるいは第1中間層に設ければよい。また、第2フィルムは、内層に熱接着性樹脂層21とし、第1フィルム側に第2中間層を積層することもできる。この場合、第2中間層側に印字情報層22を設ければよい。さらに、隠蔽層12、絵柄印刷層13は、基材層11の外面側に設けてもよい。つまり、隠蔽層12、絵柄印刷層13は、表印刷、裏印刷いずれでもよい。また、印字情報は、識別文字列に限定されるものではなく、文字、記号、絵柄等を用いることができる。以下に第一実施形態の構成例を示す。
(1)第1フィルム(基材層/隠蔽層/絵柄印刷層)/接着剤層/第2フィルム(印字情報層/熱接着性樹脂層)
(2)第1フィルム(隠蔽層/絵柄印刷層/基材層)/接着剤層/第2フィルム(印字情報層/熱接着性樹脂層)
(3)第1フィルム(基材層/接着剤層/第1中間層/隠蔽層/絵柄印刷層)/接着剤層/第2フィルム(印字情報層/熱接着性樹脂層)
(4)第1フィルム(隠蔽層/絵柄印刷層/基材層/接着剤層/第1中間層)/接着剤層/第2フィルム(印字情報層/熱接着性樹脂層)
(5)第1フィルム(基材層/隠蔽層/絵柄印刷層)/接着剤層/第2フィルム(印字情報層/第2中間層/接着剤層/熱接着性樹脂層)
(6)第1フィルム(隠蔽層/絵柄印刷層/基材層)/接着剤層/第2フィルム(印字情報層/第2中間層/接着剤層/熱接着性樹脂層)
(7)第1フィルム(基材層/接着剤層/第1中間層/隠蔽層/絵柄印刷層)/接着剤層/第2フィルム(印字情報層/第2中間層/接着剤層/熱接着性樹脂層)
(8)第1フィルム(隠蔽層/絵柄印刷層/基材層/接着剤層/第1中間層)/接着剤層/第2フィルム(印字情報層/第2中間層/接着剤層/熱接着性樹脂層)
図3は、図1に示す印字情報層を備えた積層体1を用いて作製した包装袋の一実施例を示す斜視図であって、包装袋2は合掌貼りした背シール部3と上・下端シール部4、4により密封されたピロータイプ包装袋であって、この包装袋2は外面側からは直接的には隠蔽層12で、また、間接的には絵柄印刷層13、あるいは、内容物(図示せず)等により印字情報層22の印字情報Iを確認できないように構成され、包装袋2を開封することにより、図1に示すように、初めて隠蔽領域Aに対応する領域内に形成された印字情報層22の印字情報Iを内面側から熱接着性樹脂層21を透して視認することができるように構成されている。また、印字情報層22は基材層11と熱接着性樹脂層21との間に設けられているために、製造から販売に至る間において脱落することがなく、また改竄防止効果も有し、また、販売時においても正規の購入者以外に不正な行為で確認することができないようになっている。
【0025】
基材層11としては、印字情報層を備えた積層体1の外面側となる層であり、機械的、物理的、化学的等において優れた性質を有する合成樹脂製フィルムを用いることができ、たとえば、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリプロピレン系等の樹脂からなる一軸または二軸方向に延伸した延伸フィルムないしこれらの少なくとも一方の面に酸化珪素や酸化アルミニウム等の金属酸化物、あるいは、ポリ塩化ビニリデンやポリビニルアルコール等の透明な水蒸気や酸素ガスバリアー層を設けたものを使用することができる。また、第1中間層も上記合成樹脂製フィルムが使用できる。なお、基材層11の外面側に隠蔽層、絵柄印刷層を設ける表刷り仕様の場合には、上記合成樹脂フィルムに着色したもの、紙、不織布、アルミニウム箔およびアルミニウム蒸着された上記延伸フィルム等を基材層11および第1中間層として用いることができる。
【0026】
熱接着性樹脂層21としては、熱により溶融し相互に溶着し得る熱接着性樹脂から形成された層であればよく、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等のオレフィン系樹脂の他、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル等の樹脂の一種ないしそれ以上からなる樹脂ないしこれらをフィルム化した単層ないし多層化したものなどを挙げることができる。第2中間層としては、第2フィルムを透して印字情報Iが視認できる透明性があればよく、たとえば、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリプロピレン系等の樹脂からなる未延伸または延伸フィルムないしこれらの少なくとも一方の面に酸化珪素や酸化アルミニウム等の金属酸化物、あるいは、ポリ塩化ビニリデンやポリビニルアルコール等の透明な水蒸気や酸素ガスバリアー層を設けたものやポリビニルアルコール系フィルムを使用することができる。また、紙、不織布等のインクジェットプリンターの墨色インクが浸透する素材も使用することができる。なぜならば、紙、不織布等の素材は、インクジェットプリンターの墨色インクが印字されると墨色インクが前記素材を浸透するので内面側から熱接着性樹脂層21を透して印字情報Iを視認することができるためである。
【0027】
また、絵柄印刷層13、隠蔽層12としては、基材層11または第1中間層に用いる延伸フィルム等の種類により適宜ビヒクルを選定し、これに顔料、溶剤、各種補助剤等を加えてインキ化したものを用いて、グラビア印刷法等の周知の印刷法で印刷することにより形成することができる。
【0028】
また、印字情報層22としては、周知のインクジェットプリンターを用いてインクジェットプリンター用染料タイプないし顔料タイプのインクを用いて印字することにより形成することができる。なお、実施形態においては、印字情報層22の印字情報Iはアラビア数字を例示しているがアルファベット、記号、絵柄等でもよく、あるいはこれらの入り混じったものでもよい。
【0029】
図4は、本発明に係る印字情報層を備えた積層体の第二実施形態を示す図2に相当する断面図であって、図2と同様に内面側を下側にして示したものである。図4に示すように本発明の第二実施形態の印字情報層を備えた積層体1’は、絵柄印刷層13’を有する基材層11’と、隠蔽性を有する中間層14と、インクジェットプリンターで形成された印字情報層22と熱接着性樹脂層21で構成される第2フィルム20とからなり、基材層11’に形成された絵柄印刷層13’面と隠蔽性を有する中間層14が接着剤層30を介して積層され、さらに中間層14と熱接着性樹脂層21に形成された印字情報層22面が接着剤層30を介して積層されている。第2フィルム20を構成する熱接着性樹脂層21に形成された印字情報層22は、インクジェットプリンターで墨色インクを用いて印字情報Iとして識別文字列を印字し、印字情報層22が形成されている。基材層11’に形成された絵柄印刷層13’と熱接着性樹脂層21に形成された印字情報層22とは同調して積層されている。つまり、印字情報層を備えた積層体1’の印字情報層22は隠蔽性を有する中間層14で覆われるために外面側となる基材層11’側からは、印字情報Iを確認することができず内面側となる第2フィルム20を構成する熱接着性樹脂層21側からのみ視認可能なものとなる。
【0030】
第二実施形態において、第2フィルムは、熱接着性樹脂層21のみの場合を示したが、内層を熱接着性樹脂層21とし、中間層側にプラスチックフィルム等の第2中間層を積層した構成としてもよい。その他は第一実施形態と同様である。次に、第二実施形態の具体的構成例を示す。
(1)基材層/絵柄印刷層/接着剤層/中間層/接着剤層/第2フィルム(印字情報層/熱接着性樹脂層)
(2)絵柄印刷層/基材層/接着剤層/中間層/接着剤層/第2フィルム(印字情報層/熱接着性樹脂層)
(3)基材層/接着剤層/絵柄印刷層/中間層/接着剤層/第2フィルム(印字情報層/熱接着性樹脂層)
(4)基材層/絵柄印刷層/接着剤層/中間層/接着剤層/第2フィルム(印字情報層/第2中間層/接着剤層/熱接着性樹脂層)
(5)絵柄印刷層/基材層/接着剤層/中間層/接着剤層/第2フィルム(印字情報層/第2中間層/接着剤層/熱接着性樹脂層)
(6)基材層/接着剤層/絵柄印刷層/中間層/接着剤層/第2フィルム(印字情報層/第2中間層/接着剤層/熱接着性樹脂層)
第二実施形態において基材層11’としては、印字情報層を備えた積層体1’の外面側となる層であり、機械的、物理的、化学的等において優れた性質を有する合成樹脂製フィルムを用いることができ、たとえば、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリプロピレン系等の樹脂からなる一軸または二軸方向に延伸した延伸フィルムないしこれらの少なくとも一方の面に酸化珪素や酸化アルミニウム等の金属酸化物、あるいは、ポリ塩化ビニリデンやポリビニルアルコール等の透明な水蒸気や酸素ガスバリアー層を設けたものを使用することができる。また、基材層11’の外面側に表刷りして絵柄印刷層を設ける場合には、紙、不織布、アルミニウム箔およびアルミニウム蒸着された上記延伸フィルム等を用いることができる。
【0031】
中間層14には、隠蔽性を有する素材が用いられ、上記合成樹脂製フィルムに着色剤を含有させ着色した着色フィルム、上記合成樹脂製フィルムにアルミニウム蒸着を施したフィルムおよび紙、不織布、アルミニウム箔が使用できる。
【0032】
第2フィルムに用いる熱接着性樹脂層21、第2中間層には、第一実施形態で示した素材を使用することができる。その他は第一実施形態と同様の材料が使用できる。
【0033】
図5は、本発明に係る印字情報層を備えた積層体1の製造方法の一実施形態を示す説明図であって、ドライラミネーターの要部概略を示す。ドライラミネーターは、接着剤が塗布される原反をコイル状に巻き取られた巻取を取付けて巻き戻す第1給紙装置、第1給紙より繰り出された原反に接着剤を塗布するコーティング装置、接着剤の希釈溶液を乾燥させる乾燥装置、貼合される原反をコイル状に巻き取った巻取を取付けて巻き戻す第2給紙装置、第1給紙および第2給紙より繰り出された原反を加熱加圧して貼合するラミネート部、貼合された原反をコイル状に巻き取る巻取装置から構成され、図5は、乾燥装置40の一部、第2給紙装置41、ラミネート部42および巻取装置43を示したものである。さらに乾燥装置40とラミネート部42の間に第1フィルム10に形成された隠蔽層12に同調した光電管マーク(図示しない)を検知する光電管マーク検知器44が設置され、第2給紙装置41とラミネート部42の間に第2フィルム20に印字情報層22の印字情報Iを形成するインクジェットプリンター45が設置されている。
【0034】
まず、前工程で印刷され基材層11に隠蔽層12と絵柄印刷層13が形成され構成された第1フィルム10の巻取が第1給紙装置(図示しない)に取付けられる。第1給紙装置より繰り出された第1フィルム10の第2フィルム20に積層される面10a(隠蔽層12と絵柄印刷層13および接着剤層30が形成された面)にコーティング装置(図示しない)で希釈された接着剤を塗布し、乾燥装置40で希釈液を乾燥させ、接着剤層30を形成した後、ラミネート部42に導かれる。一方、第2給紙装置41に取付けられた第2フィルム20の巻取が繰り出され、第2フィルム20の第1フィルム10に積層される面20aにインクジェットプリンター45で例えば、墨色インクで印字情報を印字し印字情報層22を形成した後、ラミネート部42に導かれ、第1フィルム10に形成された接着剤層30面と第2フィルム20に形成された印字情報層22面とを対向させて重ね、ニップロール(加熱金属ロール)42aとニップロール(ゴムロール)42bとで圧着することにより積層された後、巻取装置43で巻き取られ印字情報層を備えた積層体1の巻取とされる。
【0035】
ここで、第1フィルム10に形成された隠蔽層12と第2フィルム20に形成された印字情報層22とを同調させる方法について説明する。乾燥装置40からラミネート部42に向かって走行する第1フィルム10の基材層11に形成された隠蔽層12および該隠蔽層12に同調した光電管マークの形成された面の反対面側(積層材となった外面側)から基材層11を透して光電管マークを光電管マーク検知器44にて検知し、検知された信号をインクジェットプリンター45にフィードバックし、第2フィルム20の第1フィルム10に積層される面20aにインクジェットプリンター45にて印字され、印字情報層22が形成された後、ラミネート部42で第1フィルム10に形成された隠蔽層12の位置と第2フィルム20に形成された印字情報層22の位置が同調した位置関係となるようにして第1フィルム10と第2フィルム20とがラミネート部42に送り込まれ、ニップロール42a、42bにて第1フィルム10に形成された接着剤層30面と第2フィルム20に形成された印字情報層22面とを対向させて重ね、圧着することにより積層される。なお、光電管マーク検知器44の位置からニップロール42a、42bで圧着される位置までの第1フィルム10のパスP1と、インクジェットプリンター45からニップロール42a、42bで圧着される位置までの第2フィルム20のパスP2との関係が、P2がP1の整数倍となる位置に光電管マーク検知器44とインクジェットプリンター45を設置することにより隠蔽層12と印字情報層22を同調させることができる。また、インクジェットプリンター45とラミネート部42との間に、例えば、可動ロール等を設けてパスP2が可変とされ隠蔽層12と印字情報層22の位置合せの修正を容易とする自動位置合せ制御装置を設けてもよい。その後、積層された印字情報層を備えた積層体1は巻取装置43で巻き取られる。
【0036】
その後、印字情報層を備えた積層体1の巻取は、所定の条件(温度、時間)でエージング(熟成)され、接着剤層30の接着剤が硬化することにより、完成される。なお、接着剤には、ポリエステルポリオール−イソシアネート系、ポリエーテルポリオール−イソシアネート系、ポリウレタン−イソシアネート系等の主剤と硬化剤とからなる2液タイプのものが好適に使用される。
【0037】
印字情報層を備えた積層体1’の場合には、前工程で基材層11’または中間層14に印刷により絵柄印刷層13’と該絵柄印刷層13’に同調した光電管マークが形成された後、基材層11’と中間層14とを積層した巻取、もしくは基材層11’と中間層14とを積層した後に基材層11’面ないし中間層14に絵柄印刷層13’と該絵柄印刷層に同調した光電管マークを形成した巻取が第1給紙装置に取付けられ、中間層14面に接着剤が塗布される。その他は、印字情報層を備えた積層体1と同じ方法で製造される。
【0038】
図6は、本発明に係る印字情報層を備えた積層体1の製造方法のその他の実施形態を示す説明図であって、押出しラミネーターの要部概略を示す。押出しラミネーターは、アンカー剤が塗布される原反をコイル状に巻き取られた巻取を取付けて巻き戻す第1給紙装置、第1給紙より繰り出された原反にアンカー剤を塗布するACコーティング装置、アンカー剤の希釈溶液を乾燥させる乾燥装置、貼合される原反をコイル状に巻き取った巻取を取付けて巻き戻す第2給紙装置、第1給紙および第2給紙より繰り出された原反を熱可塑性樹脂からなる接着剤層を介して積層するラミネート部、ホッパー部に供給されたペレット状の熱可塑性樹脂を加熱溶融させながら押出しスクリューでTダイに送り込みTダイからカーテン状に押出し接着剤層を形成する押出し装置、積層された原反をコイル状に巻き取る巻取装置から構成され、図6は、押出し装置のTダイ50、第2給紙装置51、ラミネート部52を示したものである。図6に示すようにラミネート部52の乾燥装置(図示しない)側近傍に光電管マークを検知する光電管マーク検知器54が設置され、第2給紙装置51とラミネート部52の間に第2フィルム20に印字情報層22の印字情報Iを形成するインクジェットプリンター55が設置されている。
【0039】
まず、前工程で印刷され基材層11に隠蔽層12と絵柄印刷層13が形成され構成された第1フィルム10の巻取が第1給紙装置(図示しない)に取付けられる。第1給紙装置より繰り出された第1フィルム10を構成する基材層11に形成された隠蔽層12と絵柄印刷層13の面にACコーティング装置(図示しない)で希釈されたアンカー剤を塗布し、乾燥装置(図示しない)で希釈液を乾燥させ、ラミネート部52に導かれる。一方、第2給紙装置51に取付けられた第2フィルム20の巻取が繰り出され、第2フィルム20の第1フィルム10に積層される面20aにインクジェットプリンター55で例えば、墨色インクで印字情報を印字し印字情報層22を形成した後、ラミネート部52に導かれ、第1フィルム10の第2フィルム20に積層される面10a(隠蔽層12、絵柄印刷層13が形成されアンカー剤が塗布された面)と第2フィルム20に形成された印字情報層22面との間にTダイ50より熱可塑性樹脂を溶融押出しして形成された接着剤層30を介してニップロール52aとチルロール52bとで圧着し、サンドイッチラミネーションされると共に冷却された後、巻取装置(図示しない)で巻き取られ印字情報層を備えた積層体1の巻取とされる。
【0040】
第1フィルム10に形成された隠蔽層12と第2フィルム20に形成された印字情報層22とを同調させる方法については、一実施形態と同様に行う。乾燥装置からラミネート部52に向かって走行する第1フィルム10に形成された隠蔽層12と該隠蔽層12に同調した光電管マーク(図示しない)の形成された面の反対面側(積層材となった外面側)から基材層11を透して光電管マークを光電管マーク検知器54にて検知し、検知された信号をインクジェットプリンター55にフィードバックし、第2フィルム20の第1フィルム10に積層される面20aにインクジェットプリンター55にて印字され、印字情報層22が形成された後、ラミネート部52で第1フィルム10に形成された隠蔽層12の位置と第2フィルム20に形成された印字情報層22の位置が同調した位置関係となるようにして第1フィルム10と第2フィルム20とがラミネート部52に送り込まれ、ニップロール52aとチルロール52bにて第1フィルム10に形成されたアンカー剤塗布面と第2フィルム20に形成された印字情報層22面との間に接着剤層30を介して圧着・冷却することにより積層される。その他は一実施形態と同じであり説明を省略する。
【0041】
また、上記製造方法には、ポリエチレンイミン系、有機チタネート系、イソシアネート系、ウレタン系、ポリブタジエン系等の汎用のアンカー剤が用いられる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等の押出し可能なオレフィン系樹脂等が使用できる。なお、アンカー剤は使用しなくてもよいが、第1フィルム10と接着剤層30との接着力が向上するので使用する方がよい。
【0042】
印字情報層を備えた積層体1’の場合には、前工程で基材層11’または中間層14に印刷により絵柄印刷層13’と該絵柄印刷層13’に同調した光電管マークが形成された後、基材層11’と中間層14とを積層した巻取、もしくは基材層11’と中間層14とを積層した後に基材層11’面ないし中間層14に絵柄印刷層13’と該絵柄印刷層13’に同調した光電管マークを形成した巻取が第1給紙装置に取付けられ、中間層14面にアンカー剤が塗布される。その他は、印字情報層を備えた積層体1の製造方法と同じである。
【0043】
次に、本発明について、以下に実施例を挙げてさらに詳しく説明する。
【実施例】
【0044】
〔実施例1〕
基材層に厚さ20μmの片面コロナ処理した二軸延伸ポリプロピレン(OPP)を用いてコロナ処理面に絵柄をグラビア印刷して絵柄印刷層と光電管マークを形成し、中間層に厚さ6.5μmのアルミニウム箔(AL)を用い、ポリエステルポリオール−イソシアネート系接着剤を用いてドライラミネーション法(DL)により積層し、OPP20μm/絵柄印刷層/DL/ALM6.5μmなる中間積層体を作製した。一方、上質紙(P)52.3g/m2 の片面をコロナ処理し、該コロナ処理面に押出しラミネーション法により低密度ポリエチレン(PE)を熱溶融させて厚さ20μmの熱接着性樹脂層を形成し、第2フィルムを作製した。次にインクジェットプリンターと光電管マーク検知器を搭載したドライラミネーターを使用し、中間積層体のALM面に接着剤を塗布し、接着剤層を形成した後、第2フィルムの上質紙面に絵柄印刷層に同調させて印字情報をインクジェットプリンターにより墨色インクで印字し印字情報層を形成し、該印字情報層と接着剤層とを重ね、圧着することにより、OPP20μm/絵柄印刷層/DL/ALM6.5μm/接着剤層/印字情報層/P52.3g/m2 /PE25μmなる構成の印字情報層を備えた積層体1’を作製した。
〔実施例2〕
基材層に厚さ20μmの片面コロナ処理した二軸延伸ポリプロピレン(OPP)を用いてコロナ処理面に絵柄をグラビア印刷して絵柄印刷層と光電管マークを形成し、中間層に厚さ6.5μmのアルミニウム箔(AL)を用い、ポリエステルポリオール−イソシアネート系接着剤を用いてドライラミネーション法(DL)により積層し、OPP20μm/絵柄印刷層/DL/ALM6.5μmなる中間積層体を作製した。一方、第2フィルムは熱接着性樹脂層のみとし、厚さ40μmの低密度ポリエチレンフィルム(PEF)を準備した。次に、インクジェットプリンターと光電管マーク検知器を搭載した押出しラミネーターを使用し、中間積層体のALM面にアンカー剤を塗布した後、PEFのALM面に積層される面に絵柄印刷層に同調させて印字情報をインクジェットプリンターにより墨色インクで印字し印字情報層を形成し、該印字情報層とALMのアンカー剤塗布面との間に熱接着性樹脂として低密度ポリエチレン(PE)を用いて押出しラミネーション法によりPEを熱溶融させて20μmの接着剤層を形成し、該接着剤層を介して積層することにより、OPP20μm/絵柄印刷層/DL/ALM6.5μm/アンカー剤/PE20μm/印字情報層/PEF40μmなる構成の印字情報層を備えた積層体1’を作製した。
〔実施例3〕
第1フィルムの基材層として厚さ12μmの片面に酸化アルミニウム蒸着膜が形成された二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(VPET)を用いて蒸着膜面にグラビア印刷方式にて所定位置に部分的な隠蔽領域となる隠蔽層と光電管マークを印刷して形成し、その上に絵柄印刷層を印刷形成した。隠蔽層は、隠蔽性が得られるようにアルミペーストを分散させたシルバーインキを用いて、所定位置に部分的に設けられる隠蔽領域相当部分の版深が30μmのグラビア版にて印刷し形成した。一方、第2フィルムに厚さ40μmの低密度ポリエチレンフィルム(PEF)を準備した。
【0045】
次にインクジェットプリンターと光電管マーク検知器を搭載したドライラミネーターを使用し、第1フィルムの絵柄印刷層面に接着剤を塗布し、接着剤層を形成した後、第2フィルムの第1フィルムに積層される面に隠蔽層に同調させて印字情報をインクジェットプリンターにより墨色インクで印字し印字情報層を形成し、該印字情報層と接着剤層とを重ね、圧着することにより、VPET12μm/隠蔽層/絵柄印刷層/接着剤層/印字情報層/PEF40μmなる構成の印字情報層を備えた積層体1を作製した。
〔実施例4〕
実施例3の第2フィルムを実施例1で作成した第2フィルムに置換えただけで、その他は実施例3と同じとしてVPET12μm/隠蔽層/絵柄印刷層/接着剤層/印字情報層/P52.3g/m2 /PE25μmなる構成の印字情報層を備えた積層体1を作製した。
【0046】
上記実施例1〜4で得られた印字情報層を備えた積層体1、1’はいずれも、外面側(OPPまたはVPET側)からは、印字情報が隠蔽層または中間層(ALM)に隠蔽されて確認することができず、内面側(PEまたはPEF側)からは視認可能であった。
【符号の説明】
【0047】
1、1’ 印字情報層を備えた積層体
2 包装袋
3 背シール部
4 上・下端シール部
10 第1フィルム
10a 第1フィルムの第2フィルムに積層される面
11、11’ 基材層
12 隠蔽層
13、13’ 絵柄印刷層
14 中間層
20 第2フィルム
20a 第2フィルムの第1フィルムに積層される面
21 熱接着性樹脂層
22 印字情報層
30 接着剤層
40 乾燥装置
41 第2給紙装置
42 ラミネート部
42a、42b ニップロール
43 巻取装置
44、54 光電管マーク検知器
45、55 インクジェットプリンター
50 Tダイ
51 第2給紙装置
52 ラミネート部
52a ニップロール
52b チルロール
55 第2給紙装置
I 印字情報
A 隠蔽領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絵柄印刷層と隠蔽層を有する第1フィルムと、インクジェットプリンターで形成された印字情報層と内層に熱接着性樹脂層を有する第2フィルムとが、接着剤層を介して積層され、前記印字情報層の印字情報が前記第2フィルム側からのみ視認可能な印字情報層を備えた積層体。
【請求項2】
絵柄印刷層を有する基材層と、隠蔽性を有する中間層と、インクジェットプリンターで形成された印字情報層と内層に熱接着性樹脂層を有する第2フィルムとが、接着剤層を介して積層され、前記印字情報層の印字情報が前記第2フィルム側からのみ視認可能な印字情報層を備えた積層体。
【請求項3】
請求項1に記載の印字情報層を備えた積層体の製造方法であって、
インクジェットプリンターを備えたラミネーターを使用して、前記第2フィルムの前記第1フィルムに積層される面にインクジェットプリンターで前記第1フィルムの前記隠蔽層に同調させて印字情報を印字し印字情報層を形成すると共に、前記第1フィルムの前記第2フィルムに積層される面に接着剤を塗布し、乾燥し、接着剤層を形成した後、前記第1フィルムに形成された前記接着剤層面と前記第2フィルムに形成された前記印字情報層面とを対向させて重ね、圧着することにより積層することを特徴とする印字情報層を備えた積層体の製造方法。
【請求項4】
請求項2に記載の印字情報層を備えた積層体の製造方法であって、
前記基材層と前記中間層を積層した後、インクジェットプリンターを備えたラミネーターを使用して、前記第2フィルムの前記中間層に積層される面にインクジェットプリンターで前記基材層の前記絵柄層に同調させて印字情報を印字し印字情報層を形成すると共に、前記中間層の前記第2フィルムに積層される面に接着剤を塗布し、乾燥し、接着剤層を形成した後、前記中間層に形成された前記接着剤層面と前記第2フィルムに形成された前記印字情報層面とを対向させて重ね、圧着することにより積層することを特徴とする印字情報層を備えた積層体の製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載の印字情報層を備えた積層体の製造方法であって、
インクジェットプリンターを備えた押出しラミネーターを使用して、前記第2フィルムの前記第1フィルムに積層される面にインクジェットプリンターで前記第1フィルムの前記隠蔽層に同調させて印字情報を印字し印字情報層を形成すると共に、前記第1フィルムの前記第2フィルムに積層される面と前記第2フィルムに形成された前記印字情報層面との間に熱可塑性樹脂を溶融押出し形成された接着剤層を介して積層することを特徴とする印字情報層を備えた積層体の製造方法。
【請求項6】
請求項2に記載の印字情報層を備えた積層体の製造方法であって、
前記基材層と前記中間層を積層した後、インクジェットプリンターを備えた押出しラミネーターを使用して、前記第2フィルムの前記中間層に積層される面にインクジェットプリンターで前記基材層の前記絵柄層に同調させて印字情報を印字し印字情報層を形成すると共に、前記中間層面と前記第2フィルムに形成された前記印字情報層面との間に熱可塑性樹脂を溶融押出し形成された接着剤層を介して積層することを特徴とする印字情報層を備えた積層体の製造方法。
【請求項7】
前記第2フィルムが、熱接着性樹脂層からなることを特徴とする請求項1または2に記載の印字情報層を備えた積層体。
【請求項8】
前記第2フィルムが、熱接着性樹脂層からなることを特徴とする請求項3乃至6のいずれかに記載の印字情報層を備えた積層体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−60025(P2013−60025A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−2085(P2013−2085)
【出願日】平成25年1月9日(2013.1.9)
【分割の表示】特願2008−332122(P2008−332122)の分割
【原出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】