説明

印字装置、印字方法、及び、印字制御プログラム

【課題】 印字テープを節約することができる印字装置と、該印字装置においてラベルを作成する印字方法と、ラベルを作成する印字方法を印字装置に実現させるための印字制御プログラムとを提供する。
【解決手段】 印字装置1は、印字テープに印字する印字手段と、搬送手段と、切断手段と、上記印字テープに印字して第1のラベルを作成した後、続けて第2のラベルを作成するか否かを問い合わせるメッセージを表示する表示手段と、上記メッセージの回答をユーザに入力させる入力手段と、上記第2のラベルを作成するか否かを判定する継続印刷判定手段と、制御手段と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベルを作成する印字装置と、該印字装置においてラベルを作成する印字方法と、この印字装置にラベルを作成させる印字方法を実現させるための印字制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
テープ部材を収納したテープカセットを装置内にセットし、そのテープ部材の印字テープに対して、キーボード等の入力手段から入力された或いは他の機器から出力された文字等を任意に印字することで、固有のラベルを作成できる装置として印字装置がある。
【0003】
このような印字装置として、下記に示す特許文献1には、印刷機構とテープカット機構との距離だけ生じるテープ余白にマーク等の印刷を行って、適正なラベルを作成することが出来る印字装置とするものがある。この印字装置は、テキストデータをイメージ展開し、予め設定したマークデータもイメージ展開してRAMのイメージバッファに記憶させ、サーマルヘッドによりイメージバッファに記憶されたテキストデータを印刷し、続けて印刷された一連の文字列の終端がカッター機構を通り過ぎるまでの間にマークをテープ上に印刷し、本来無駄に使用される後余白にマーク印刷を行って、余白テープ分を有効に利用することのできる印字装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−205529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1の印字装置は、ラベル印刷が終了後に、引き続きラベル印刷を継続するか否かを判定する処理を実行するものではない。一般的に、印字装置は、ラベル印刷を終了後、後余白が適切な量になるように、印字テープを空送りする処理を実行し、続けて、サーマルヘッドとカッタ機構との間の距離だけ印字テープを空送りしてから印字テープをカットする。
【0006】
ラベルを続けて印刷する場合には、印刷終了時に必ずしも印字テープをカットする必要はなく、引き続きラベル印刷を継続してもよいが、上述の特許文献1の印字装置は、ラベル印刷が終了後に、引き続きラベル印刷を継続するか否かを判定する処理を実行しないので、サーマルヘッドとカッタ機構との間の距離だけ印字テープを空送りする分だけ、印字テープを無駄に消耗してしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、上述したような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、印字テープを節約することができる印字装置と、該印字装置においてラベルを作成する印字方法と、ラベルを作成する印字方法を印字装置に実現させるための印字制御プログラムとを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る印字装置は、印字テープに印字する印字手段と、前記印字テープを搬送する搬送手段と、前記印字テープを切断する切断手段と、前記印字テープに印字して第1のラベルを作成した後、続けて第2のラベルを作成するか否かを問い合わせるメッセージを表示する表示手段と、前記メッセージの回答をユーザに入力させる入力手段と、前記第2のラベルを作成するか否かを判定する継続印刷判定手段と、前記継続印刷判定手段によって前記第2のラベルをユーザが作成しないと判定すると、前記搬送手段によって前記印字テープをカット位置まで空送りしてから前記切断手段によって前記印字テープをカットする一方で、前記継続印刷判定手段によって前記第2のラベルをユーザが作成すると判定すると、前記搬送手段によって前記印字テープを前記第2のラベルの前余白分空送りしてから前記印字手段によって前記印字テープに印字する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る印字装置の印字方法は、印字テープに印字する印字処理と、前記印字テープを搬送する搬送処理と、前記印字テープを切断する切断処理と、前記印字テープに印字して第1のラベルを作成した後、続けて第2のラベルを作成するか否かを問い合わせるメッセージを表示する表示処理と、前記メッセージの回答をユーザに入力させる入力処理と、前記第2のラベルを作成するか否かを判定する継続印刷判定処理と、を実行し、前記継続印刷判定処理によって前記第2のラベルをユーザが作成しないと判定すると、前記搬送処理によって前記印字テープをカット位置まで空送りしてから前記切断処理によって前記印字テープをカットする一方で、前記継続印刷判定処理によって前記第2のラベルをユーザが作成すると判定すると、前記搬送処理によって前記印字テープを前記第2のラベルの前余白分空送りしてから前記印字処理によって前記印字テープに印字する処理を実行することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る印字装置の印字制御プログラムは、印字テープに印字する印字処理と、前記印字テープを搬送する搬送処理と、前記印字テープを切断する切断処理と、前記印字テープに印字して第1のラベルを作成した後、続けて第2のラベルを作成するか否かを問い合わせるメッセージを表示する表示処理と、前記メッセージの回答をユーザに入力させる入力処理と、前記第2のラベルを作成するか否かを判定する継続印刷判定処理と、を実行させ、前記継続印刷判定処理によって前記第2のラベルをユーザが作成しないと判定すると、前記搬送処理によって前記印字テープをカット位置まで空送りしてから前記切断処理によって前記印字テープをカットする一方で、前記継続印刷判定処理によって前記第2のラベルをユーザが作成すると判定すると、前記搬送処理によって前記印字テープを前記第2のラベルの前余白分空送りしてから前記印字処理によって前記印字テープに印字する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、印字テープを節約することができる印字装置と、該印字装置においてラベルを作成する印字方法と、ラベルを作成する印字方法を印字装置に実現させるための印字制御プログラムとを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る印字装置の平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る印字装置の内部拡大図及びテープカセットの斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る印字装置に交換可能なテープカセットを組み込んだ状態を示す模式図である。
【図4】本発明の実施形態に係る印字装置の機能ブロック図である。
【図5】本発明の実施形態に係る印字装置の印刷の流れを示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係る印字装置の表示部の表示例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る印字装置の印字テープの印字、搬送及び切断位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて詳説する。図1は、本発明の実施形態に係る印字装置1の平面図であり、図2は、この印字装置1に使用するテープカセット21の外観及び印字装置1の内部構造の一部を示す斜視図である。印字装置1は、表面に印字面を備え裏面が粘着面とされた印刷テープ層と、粘着面に貼付される剥離テープ層と、が積層されて形成されたテープ部材31からなる印字テープに文字等を印字する装置である。
【0014】
なお、テープ部材31は、剥離テープ層を有さず、裏面に粘着層を有する印字用感熱ロールテープとすることもある。
【0015】
印字装置1は、図1に示すように、筐体2の上面に液晶表示装置から構成されてソフトウェアキーボード機能により仮想のキーボードを表示するタッチパネル表示部3を備える。また、タッチパネル表示部3には、文字入力装置として液晶表示装置の表示画面の上面に透明な加圧スイッチであるタッチパネル入力部4が重ねて配設されている。
【0016】
そして、タッチパネル表示部3の表示画面には、アルファベット文字キー、数字キー、記号キー等の文字・記号入力キー(以下、これら総じて文字キーと呼称)や、漢字への変換キー、無変換キー及び実行キー等々の制御キーを備える仮想のキーボードを表示するキーボード領域3a及びそのキーボード領域3aから入力された文字を表示する文字編集領域3bが設けられる。
【0017】
キーボード領域3aは、タッチパネル入力部4の各キーを画像として表示するとともに、タッチパネル入力部4として表示画面上に表示される各キーの位置を押圧することにより、各キーの座標位置のデータを入力するようになっており、これらタッチパネル表示部3とタッチパネル入力部4からソフトウェアキーボードを構成する。尚、仮想のキーボードを表示するキーボード領域3aの代わりに、ハードウェアキーボードを設けてもよい。
【0018】
そして、テープカセット21を装填させるために装置の背面に用意される開閉蓋の内側には、図2に示すように、テープ部材31及びインクリボン35を収容したテープカセット21を装填するためのカセット装填部8が形成されている。カセット装填部8内には、テープ印字機構45と、テープカセット21を所定の位置に支持するためのカセット受部15と、が形成されている。
【0019】
このテープ印字機構45は、縦方向に配列された印字素子(不図示)と、印字ヘッドとされるサーマルヘッド11と、サーマルヘッド11との間でテープ部材31及びインクリボン35を挟み込んでこれを搬送するプラテンローラ12と、印字に使用したインクリボン35をテープカセット21内に巻取るリボン巻取軸19と、を備える。
【0020】
また、カセット装填部8の一端部に筐体2の外に通じるテープ繰出部7が形成されており、このテープ繰出部7には、テープ部材31の印刷テープ層及び剥離テープ層を幅方向に切断するフルカット手段としてのフルカット機構17と、テープ部材31の印刷テープ層のみを切断するハーフカット手段としてのハーフカット機構18が組み込まれている。テープ繰出部7はその一端部が筐体2の外部に連通しており、この端部がテープ出口71である。
【0021】
さらに、テープカセット21は、カセットケース22を備え、このカセットケース22の内部には、テープ部材31が巻装されたテープコア23、未使用のインクリボン35が巻装されたリボン供給コア24、使用済みのインクリボン35を巻取るリボン巻取コア25が夫々収納されている。また、テープカセット21のカセットケース22には、カセット装填部8内にテープカセット21を装填した場合にサーマルヘッド11が位置するヘッド配置部27が形成されている。
【0022】
また、カセットケース22の隅部には、カセット装填部8のカセット受部15と係合し、このカセット受部15によって支持される被係合部29が形成されている。そして、このカセットケース22の被係合部29には、図示しないがテープカセット21の種類に応じた所定の凹凸が形成されており、カセット装填部8のカセット受部15には、テープカセット21が装填された場合にカセットケース22の被係合部29に形成された凹凸を判別するテープ幅検出スイッチ16が形成されている。
【0023】
そして、印字装置1は、カセットケース22がカセット装填部8に装填されると、カセットケース22の被係合部29とカセット装填部8のカセット受部15に形成されたテープ幅検出スイッチ16の幾つか或いは全部が係合する。そして、係合したテープ幅検出スイッチ16は押下され、このオン状態となったテープ幅検出スイッチ16の組み合わせによって印字テープのテープ幅等の種類を判別できる。
【0024】
つまり、この印字装置1は、テープカセット21の種類が内蔵するテープ部材31の幅等によって異なるため、このテープカセット21の種類を判別することによって、印字テープの幅等を識別することができ、制御部40がテープ幅に適合した印字データを作成することができるようになっている。
【0025】
この印字装置1は、印字の指示がされると、テープ部材31及びインクリボン35がテープカセット21から繰り出され、プラテンローラ12とサーマルヘッド11との間にこれらのテープ部材31及びインクリボン35が重ね合わされた状態で挟み込まれて搬送される。
【0026】
そして、サーマルヘッド11が印字データに基づいて発熱駆動され、インクリボン35のインクがテープ部材31の印字テープに熱転写されて印字テープに印字が行われ、印字が終了すると設定によりフルカット機構17又はハーフカット機構18が作動してテープ部材31が幅方向に切断され、1枚のテープ状のラベルが作成される。
【0027】
以下、印字装置1でラベルを作成するにあたって、ラベル作成の度に印字テープに余白部分が生成されることについて、図を用いて説明する。図3は、本発明の実施形態に係る印字装置1に交換可能なテープカセットを組み込んだ状態を示す模式図である。
【0028】
この印字装置1は、図3に示すように、印字の際に先述のサーマルヘッド11の先端がインクリボン35に当接する位置と、印字テープ切断時に切断手段であるフルカット機構17におけるカッターの先端がテープ部材31に当接する位置との間に空間がある。このため、フルカット機構17により切断された印字テープ先端からサーマルヘッド11までの距離Lからなる余白部分100がテープ部材31に生成されることになる。
【0029】
次に、印字装置1の回路構成について述べる。この印字装置1は、図4に示すように、制御部40を備える。そして、この制御部40には、記憶手段としてのROM41及びRAM42が接続されている。また、制御部40には、使用者のキー操作を受けて文字データやフォントサイズ等を入力する入力手段としてタッチパネル入力部4が接続されている。そして、制御部40には、入力された情報などの種々の情報を表示する表示手段であるタッチパネル表示部3を駆動させるタッチパネル表示部駆動回路63が接続されている。
【0030】
さらに、制御部40には、サーマルヘッド11を駆動するヘッド駆動回路51と、搬送用モータ46を駆動する搬送用モータ駆動回路52と、カッターモータ48を駆動するカッターモータ駆動回路53と、が接続されている。
【0031】
そして、制御部40には、カートリッジの種別を判別するカートリッジ判別手段であるテープ幅検出スイッチ16が接続されている。
【0032】
制御部40はCPUであって、タッチパネル入力部4からのキー入力信号、又は、自動でROM41に予め記憶されているシステムプログラム、メモリーカードに記憶された制御プログラム、外部機器から読み込まれた制御プログラムなどを起動させ、RAM42をワークメモリとして回路各部の動作を制御する。
【0033】
ROM41には、設定された文字列データ等を表示し印字するためのプログラムや印刷フォント、塗り潰しに使用される斜線や網目、ドット模様等が記憶され、制御部40で読み取り可能なプログラムが記憶された記憶媒体としても機能する。
【0034】
そして、ROM41は、表示用のフォントのパターンデータを記憶する表示用CG(キャラクタージェネレータ)41aを有する。また、ROM41は、印字用のパターンデータを記憶する印字用CG(キャラクタージェネレータ)41bを有する。
【0035】
RAM42には、入力された印刷情報が展開された印刷パターンデータが記憶される印字データメモリ領域42aやタッチパネル表示部3に表示させるパターンデータが記憶される表示データメモリ領域42bなどが確保されており、印字処理などに必要なデータを一時的に記憶するレジスタやカウンタなどのワークエリア42cも設けられている。
【0036】
ヘッド駆動回路51は、印刷情報や書式設定の情報に従って印字手段であるサーマルヘッド11を制御し、テープ部材31に印刷を実行させる。
【0037】
搬送用モータ駆動回路52は、搬送手段を駆動させる回路であって、プラテンローラ12やリボン巻取軸19を回転させるステッピングモータ等の搬送用モータ46を制御し、所定の速度で長手方向にテープ部材31およびインクリボン35を搬送する。
【0038】
カッターモータ駆動回路53は、フルカット手段及びハーフカット手段等の切断手段を制御する駆動回路であり、フルカット機構17で使用されるカッターモータ48としてのステッピングモータやハーフカット機構18で使用されるカッターモータ48としてのDCモータ等を制御する。
【0039】
そして、印字装置1は、制御手段である制御部40が、印字手段であるヘッド駆動回路51、搬送手段である搬送用モータ駆動回路52、及び、切断手段であるカッターモータ駆動回路53等を制御することにより、文字列をテープ部材31に印字し、切断することでラベルを作成することができる。
【0040】
次に、本実施形態の印字装置1を用いてラベルを作成する流れについて図を用いて説明する。図5は、印字装置1でラベルを作成する流れを示すフローチャートである。図6は、本実施形態の印字装置1における印刷動作時のタッチパネル表示部3の表示例である。図7は、本実施形態の印字装置1における印刷動作時の印字テープの搬送処理、印字処理及び切断処理の流れを示す図である。
【0041】
先ず、ユーザが印字装置1の電源スイッチ(不図示)をオンにすると、電源ON処理(ステップS10)が実行されて、ユーザがラベルを作成するラベル作成処理(ステップS15)が実行される。
【0042】
ユーザがラベル作成を完了すると、制御部40は、図6(a)に示すように、タッチパネル表示部3に表示してユーザの入力を待機し、ユーザが印刷を行うか作業を終了するかをユーザからの入力に基づいて判定する印刷判定(ステップS20)を行う。
【0043】
印刷判定(ステップS20)において、ユーザからの入力によって、ユーザが印刷を行うと制御部40が判定した場合、制御部40は、作成するラベルの枚数の設定をユーザに促すメッセージを、タッチパネル表示部3に表示させる枚数設定処理(ステップS100)を実行する。一方、ユーザからの入力によって、ユーザが印刷を行わずに終了すると制御部40が判定した場合、電源OFF処理(ステップS155)を実行し、処理を終了する。
【0044】
なお、ラベル作成開始時は、先述のとおり、前回ラベル作成時に生成されるサーマルヘッド11とフルカット機構17におけるカッターとの間の空間により、図7(a)に示すように、テープ部材31先端からサーマルヘッド11までの距離Lからなる余白部分100が生成されている。ここで、図7において、lはサーマルヘッド11の先端位置、mはフルカット機構17におけるカッターの先端位置、nはテープ出口71の位置(即ち、筐体2の外表面の位置)である。
【0045】
次に、作成するラベルの枚数がユーザによって設定され、更に印字開始の合図により、制御部40は、図6(b)に示すように、タッチパネル表示部3に「印刷中」のメッセージを表示させる。
【0046】
搬送手段である搬送用モータ駆動回路52を制御して、図7(b)に示すように、新たに作成するラベルの先端部分に所定量の前余白Mを設けるために搬送処理をした後、搬送用モータ駆動回路52および印字手段であるヘッド駆動回路51を制御して、テープ部材31に作成するラベル用の文字の前半部分Qの印字を開始させる印字処理(ステップS101)を実行する。
【0047】
次に、制御部40は、搬送用モータ駆動回路52を制御して、テープ部材31およびインクリボン35を搬送させるとともに、ヘッド駆動回路51を制御して、テープ部材31に文字を印字させる処理を行いながら、搬送処理及び印字処理しているテープ部材31の切断位置がフルカット機構17による切断位置に到達したか否かを判定するカット位置判定(ステップS105)を行う。
【0048】
カット位置判定(ステップS105)において、テープ部材31の切断位置、即ち、テープ部材31において1枚目のラベルの印字開始位置よりも前余白M分だけ前方の位置がフルカット機構17による切断位置に到達したときには、切断処理(ステップS110)に進み、到達していないときには、印字処理(ステップS101)に戻る。
【0049】
制御部40は、図7(c)に示すように、テープ部材31の切断位置がフルカット機構17による切断位置に到達すると、搬送用モータ駆動回路52を制御して、テープ部材31およびインクリボン35の搬送を停止させるとともに、ヘッド駆動回路51を制御して、テープ部材31への文字の印字を停止させる処理を行う。
【0050】
そして、制御部40は、図6(c)に示すように、タッチパネル表示部3に「切断中」のメッセージを表示させるとともに、図7(d)に示すようにカッターモータ駆動回路53を制御して、自動カッターによりテープ部材31を切断位置で切断させる切断処理(ステップS110)を行う。
【0051】
制御部40は、切断処理を完了すると、切断処理(ステップS110)の前の印字処理の続きとなる印字再開動作として、あらためて搬送用モータ駆動回路52を制御して、テープ部材31およびインクリボン35を搬送させるとともに、ヘッド駆動回路51を制御して、テープ部材31に文字の後半部分Pを印字させる印字再開処理(ステップS115)を行う。
【0052】
続いて、制御部40は、印字再開処理(ステップS115)により、作成するラベル用の印字が完了すると、図7(e)に示すように、作成するラベルの後余白N分としてテープ部材31およびインクリボン35を搬送させる空送り処理(ステップS120)を実行する。
【0053】
次に、制御部40は、作成するラベルの後余白N分としてテープ部材31およびインクリボン35を搬送させると、ラベル連続作成モードとして作成したラベルの枚数が「登録」された枚数に達したか否かを判定する設定枚数印刷済判定(ステップS123)を行う。
【0054】
設定枚数印刷済判定(ステップS123)において、作成したラベルの枚数が「登録」された枚数に達したときには、ユーザに対して、更にラベルを作成するかを問い合わせるべく、継続印刷問合せ表示処理(ステップS124)に進み、達していないときには、次のラベルを作成するために前余白Mをあけて文字等を印刷する印字処理(ステップS101)に戻る。
【0055】
制御部40は、継続印刷問合せ表示処理(ステップS124)として、先ず、テープ部材31の搬送を停止させ、図6(d)に示すように、タッチパネル表示部3に「継続印刷? する しない」というメッセージを表示し、印刷を継続するか否かを問い合わせる。
【0056】
継続印刷問合せ表示処理(ステップS124)に続いて制御部40は、継続してラベルを作成することを示す操作がユーザにより行われたか否かを判定する継続印刷判定(ステップS125)を行う。
【0057】
図6(d)の表示中に「する」が選択された場合(ステップS125:YES)、制御部40は、印刷作成判定処理(ステップS50)を実行する。
【0058】
この印刷作成判定処理(ステップS50)において、制御部40は、図6(e)に示す内容をタッチパネル表示部3に表示し、現在のラベルを再度印刷するか、新たなラベルを作成するか、又は印刷を終了するかをユーザに選択させる印刷作成判定処理を実行する。
【0059】
印刷作成判定処理(ステップS50)において、「印刷」が選択された場合、制御部40はステップ100を実行する。「作成」が選択された場合、制御部40は、ユーザにラベルを作成させるラベル作成処理(ステップS60)を実行し、ユーザによるラベル作成が完了すると、制御部40はステップS100を実行する。「終了」が選択された場合、制御部40は、ステップS145を実行する。
【0060】
制御部40は、ラベル連続作成モード終了のために空送り処理(ステップS145)において、空送り終了後、切断処理(ステップS150)を実行し、電源OFF処理(ステップS155)を実行し、処理を終了する。
【0061】
また、継続印刷判定(ステップS125)において、図6(d)の表示中に「しない」が選択された場合(ステップS125:NO)、制御部40は、時間経過判定(ステップS135)において一定時間が経過したか否かを判定し、一定時間が経過していない場合は、電源OFF押下判定(ステップS140)においてユーザが電源スイッチをオフにしたか否かを判定する。
【0062】
ステップS140において電源スイッチをオフにしていないと判定した場合、制御部40はステップS135を実行する。ステップ135において一定時間が経過したか、または、ステップS140においてユーザが電源スイッチをオフにしたと判定した場合、制御部40は、ラベル連続作成モード終了のために空送り処理(ステップS145)に進み、テープ部材31及びインクリボン35の空送り終了後、切断処理(ステップS150)を実行する。
【0063】
上述の実施形態においては、印刷終了後に、制御部40は継続印刷判定(ステップS125)を行い、ラベルの印刷を継続する場合(ステップS125:YES)には、テープ部材31及びインクリボン35の空送り処理(ステップS145)を実行せずに、現在のラベルを再度印刷する処理(ステップS100)を実行したり、新たなラベルを作成する処理(ステップS60)を実行するとともに、ラベルの印刷を継続しない場合(ステップS125:NO)には、テープ部材31及びインクリボン35の空送り処理(ステップS145)を実行して、印刷を終了する(ステップS155)。
【0064】
従って、制御部40が電源OFF処理(ステップS155)を実行するまでは、テープ部材31及びインクリボン35の空送り処理を実行しないので、印刷が終了するたびにテープ部材31及びインクリボン35の空送り処理を実行する場合に比べて、テープ部材31及びインクリボン35を節約することができる。
【0065】
なお、本実施形態としては自動カッターを有する印字装置1の例について説明してきたが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。例えば、自動カッターを有さず手動カッターによる切断手段を有する印字装置1又は、手動カッターも有さず印字テープをユーザが挟み等で切断させる印字装置1にも適用できる。
【0066】
この場合、上述の実施形態のステップS110およびS150において、印字テープをカットする代わりに、切断マークを印字すればよい。具体的には、テープ部材31及びインクリボン35の搬送に伴って、制御部40は、サーマルヘッド11の先端が印字テープを切断するべき位置に到達したか否かを判定し、到達した場合には、サーマルヘッド11によって印字テープに切断マークを印字すればよい。ここで、印字テープを切断するべき位置とは、ラベル用の文字の印字開始位置よりも所定量の前余白M分だけ前方の位置と、ラベル用の文字の印字終了位置よりも所定量の後余白N分だけ後方の位置である。
【0067】
これにより、ユーザがその切断マークを目印にして、手動カッター又は、挟み等により印字テープを切断するようにすれば、適正な余白からなるラベルを作成するとともに、印字テープを節約することができる。
【0068】
以上のように、本発明の実施形態によれば、印字テープを節約することができる印字装置1と、その印字装置1においてラベルを作成する印字方法と、ラベルを作成する印字方法を印字装置1に実現させるための印字制御プログラムとを提供することができる。
【0069】
また、本発明の実施形態によれば、予め作成するラベル枚数を設定させることにより、設定枚数内の印刷においては、確実に印字テープの余白部分100を有効活用して印字テープを節約することができる。
【0070】
さらに、本発明の実施形態によれば、予め設定させたラベル枚数の最後のラベルの作成中に、ラベル作成を継続するか否かを設定できるようにしたことから、印刷すべきラベルが増えた時であっても、印字テープを節約することができる。
【0071】
また、本発明の実施形態によれば、次回のラベルの先端余白200を省略して印字テープを切断させることにより、適正に印字テープを節約することができる。
【0072】
そして、本発明の実施形態によれば、ラベル作成時に印字テープを所定箇所まで搬送して、印字テープを切断させることにより、印字ずれを防止して、適正にラベルを作成することができる。
【0073】
さらに、本発明の実施形態によれば、ラベル作成時に印字テープを所定箇所まで搬送すると切断位置マークを印字テープに印字させることにより、連続して印刷してラベルを作成して、後で挟み等で切断させれば、印字テープを節約することができる。
【0074】
さらに、本発明の実施形態におけるフローチャートに示した処理は、コンピュータに実現させることのできる印字制御プログラムとして、例えば磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の記憶媒体に書き込んだ状態で各種装置に適用する、或いは、通信媒体により伝送して各種装置に適用することも可能である。このように所望の記憶媒体に本実施形態で述べた各処理を記憶させ、他のコンピュータ等で印字制御プログラムを実行させることにより、本実施形態の装置を用いた場合と同様の作用効果が得られる。なお、コンピュータは、本実施形態で述べた装置に内蔵されたコンピュータに限定されるわけではなく、記憶媒体に記憶された印字制御プログラムを読み取り可能であって、読み取った印字制御プログラムに従って制御動作を行うCPU等の演算装置を備えているあらゆるコンピュータを含む。
【0075】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0076】
以下に、本願出願の最初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 印字テープに印字する印字手段と、
前記印字テープを搬送する搬送手段と、
前記印字テープを切断する切断手段と、
前記印字テープに印字して第1のラベルを作成した後、続けて第2のラベルを作成するか否かを問い合わせるメッセージを表示する表示手段と、
前記メッセージの回答をユーザに入力させる入力手段と、
前記第2のラベルを作成するか否かを判定する継続印刷判定手段と、
前記継続印刷判定手段によって前記第2のラベルをユーザが作成しないと判定すると、前記搬送手段によって前記印字テープをカット位置まで空送りしてから前記切断手段によって前記印字テープをカットする一方で、前記継続印刷判定手段によって前記第2のラベルをユーザが作成すると判定すると、前記搬送手段によって前記印字テープを前記第2のラベルの前余白分空送りしてから前記印字手段によって前記印字テープに印字する制御手段と、を備えることを特徴とする印字装置。
[2] 前記第1又は第2のラベルを印刷する前に、前記第1又は第2のラベルを作成する枚数を予めユーザに設定させる枚数設定手段をさらに備えることを特徴とする上記[1]に記載の印字装置。
[3] 前記継続印刷判定手段は、前記予め設定された枚数分のラベルを印刷した後に、前記第2のラベルを作成するか否かを判定することを特徴とする上記[2]に記載の印字装置。
[4] 印字テープに印字する印字処理と、
前記印字テープを搬送する搬送処理と、
前記印字テープを切断する切断処理と、
前記印字テープに印字して第1のラベルを作成した後、続けて第2のラベルを作成するか否かを問い合わせるメッセージを表示する表示処理と、
前記メッセージの回答をユーザに入力させる入力処理と、
前記第2のラベルを作成するか否かを判定する継続印刷判定処理と、
を実行し、
前記継続印刷判定処理によって前記第2のラベルをユーザが作成しないと判定すると、前記搬送処理によって前記印字テープをカット位置まで空送りしてから前記切断処理によって前記印字テープをカットする一方で、前記継続印刷判定処理によって前記第2のラベルをユーザが作成すると判定すると、前記搬送処理によって前記印字テープを前記第2のラベルの前余白分空送りしてから前記印字処理によって前記印字テープに印字する処理を実行することを特徴とする印字装置の印字方法。
[5] 印字テープに印字する印字処理と、
前記印字テープを搬送する搬送処理と、
前記印字テープを切断する切断処理と、
前記印字テープに印字して第1のラベルを作成した後、続けて第2のラベルを作成するか否かを問い合わせるメッセージを表示する表示処理と、
前記メッセージの回答をユーザに入力させる入力処理と、
前記第2のラベルを作成するか否かを判定する継続印刷判定処理と、
を実行させ、
前記継続印刷判定処理によって前記第2のラベルをユーザが作成しないと判定すると、前記搬送処理によって前記印字テープをカット位置まで空送りしてから前記切断処理によって前記印字テープをカットする一方で、前記継続印刷判定処理によって前記第2のラベルをユーザが作成すると判定すると、前記搬送処理によって前記印字テープを前記第2のラベルの前余白分空送りしてから前記印字処理によって前記印字テープに印字する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする印字装置の印字制御プログラム。
【符号の説明】
【0077】
1 印字装置 2 筐体
3 タッチパネル表示部 3a キーボード領域
3b 文字編集領域
4 タッチパネル入力部 7 テープ繰出部
8 カセット装填部 11 サーマルヘッド
12 プラテンローラ
15 カセット受部 16 テープ幅検出スイッチ
17 フルカット機構 18 ハーフカット機構
19 リボン巻取軸
21 テープカセット 22 カセットケース
23 テープコア 24 リボン供給コア
25 リボン巻取コア 27 ヘッド配置部
29 被係合部 31 テープ部材
35 インクリボン 40 制御部
41 ROM 41a 表示用CG
41b 印字用CG
42 RAM
42a 印字データメモリ領域 42b 表示データメモリ領域
42c ワークエリア
45 テープ印字機構
46 搬送用モータ 48 カッターモータ
51 ヘッド駆動回路 52 搬送用モータ駆動回路
53 カッターモータ駆動回路 63 タッチパネル表示部駆動回路
71 テープ出口
100 余白部分 200 先端余白


【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字テープに印字する印字手段と、
前記印字テープを搬送する搬送手段と、
前記印字テープを切断する切断手段と、
前記印字テープに印字して第1のラベルを作成した後、続けて第2のラベルを作成するか否かを問い合わせるメッセージを表示する表示手段と、
前記メッセージの回答をユーザに入力させる入力手段と、
前記第2のラベルを作成するか否かを判定する継続印刷判定手段と、
前記継続印刷判定手段によって前記第2のラベルをユーザが作成しないと判定すると、前記搬送手段によって前記印字テープをカット位置まで空送りしてから前記切断手段によって前記印字テープをカットする一方で、前記継続印刷判定手段によって前記第2のラベルをユーザが作成すると判定すると、前記搬送手段によって前記印字テープを前記第2のラベルの前余白分空送りしてから前記印字手段によって前記印字テープに印字する制御手段と、を備えることを特徴とする印字装置。
【請求項2】
前記第1又は第2のラベルを印刷する前に、前記第1又は第2のラベルを作成する枚数を予めユーザに設定させる枚数設定手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の印字装置。
【請求項3】
前記継続印刷判定手段は、前記予め設定された枚数分のラベルを印刷した後に、前記第2のラベルを作成するか否かを判定することを特徴とする請求項2に記載の印字装置。
【請求項4】
印字テープに印字する印字処理と、
前記印字テープを搬送する搬送処理と、
前記印字テープを切断する切断処理と、
前記印字テープに印字して第1のラベルを作成した後、続けて第2のラベルを作成するか否かを問い合わせるメッセージを表示する表示処理と、
前記メッセージの回答をユーザに入力させる入力処理と、
前記第2のラベルを作成するか否かを判定する継続印刷判定処理と、
を実行し、
前記継続印刷判定処理によって前記第2のラベルをユーザが作成しないと判定すると、前記搬送処理によって前記印字テープをカット位置まで空送りしてから前記切断処理によって前記印字テープをカットする一方で、前記継続印刷判定処理によって前記第2のラベルをユーザが作成すると判定すると、前記搬送処理によって前記印字テープを前記第2のラベルの前余白分空送りしてから前記印字処理によって前記印字テープに印字する処理を実行することを特徴とする印字装置の印字方法。
【請求項5】
印字テープに印字する印字処理と、
前記印字テープを搬送する搬送処理と、
前記印字テープを切断する切断処理と、
前記印字テープに印字して第1のラベルを作成した後、続けて第2のラベルを作成するか否かを問い合わせるメッセージを表示する表示処理と、
前記メッセージの回答をユーザに入力させる入力処理と、
前記第2のラベルを作成するか否かを判定する継続印刷判定処理と、
を実行させ、
前記継続印刷判定処理によって前記第2のラベルをユーザが作成しないと判定すると、前記搬送処理によって前記印字テープをカット位置まで空送りしてから前記切断処理によって前記印字テープをカットする一方で、前記継続印刷判定処理によって前記第2のラベルをユーザが作成すると判定すると、前記搬送処理によって前記印字テープを前記第2のラベルの前余白分空送りしてから前記印字処理によって前記印字テープに印字する処理をコンピュータに実行させることを特徴とする印字装置の印字制御プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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