説明

即席流動性米飯の素とその製造法。

【課題】うるち米を原料とし、お湯を注いで攪拌するだけで、即流動性米飯となる新規な即席流動性米飯の素とその新規な製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】うるち米を餅状化した時点でアルファー化生地とし、その生地を圧延乾燥後細粒化した即席無添加流動性米飯の素。本即席無添加流動性米飯の素に、他組成物、微生物、微生物生成酵素を添加混合した事を特徴とする即席混合流動性米飯の素、機能性即席流動状米飯の素。発芽米が原料である事を特徴とする即席無添加流動性発芽米飯の素。詳しくは、水分含量8〜10%の乾燥生地を、粒度60〜80メッシュに粉砕し細粒化することを特徴とする即席無添加流動性米飯の素。及び、即席無添加流動性米飯の素、即席混合流動性米飯の素、機能性即席流動状米飯の素、即席無添加流動性発芽米飯の素の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な即席無添加流動性米飯の素及びその製造方法に関する。本発明の即席無添加流動性米飯の素、及び即席混合流動性米飯の素は、お湯若しくは水を注いで攪拌するだけの簡単作業で、うるち米特有の粘りと旨味をそのまま凝縮した高食味で高品質な流動性米飯を、咀嚼能力が健常者より劣る老人や病人に、短時間にて給する事が出来る。このため、介護食、離乳食に好適である。また、製造方法が簡素で短時間にて製造可能な事から製造コストを低く抑える事が出来る。よって、この高食味な流動性米飯食品は需要者に対し非常に簡単な作業で給することが出来るうえに、安価にて提供する事が出来る。また、本即席無添加流動性米飯の素に対し、食物の消化分解に有効とされる各種酵素を保有する米麹と乳糖分解酵素等を保有する乳酸菌末を添加混合する事により、消化吸収補助機能を付加する事が可能である。加えて、発芽したうるち玄米を原料とする事により、ストレス低減に効果があるとされるアミノ酸の一種γ−アミノ酪酸を含有させる事も容易に出来るものである。
【背景技術】
【0002】
粥などの流動性米飯食品は、介護を要する者にとって非常に食べ易く消化の良い主食である。従来、精白米粥は毎食ごと洗米し40〜50分かけて炊いて作っており、更に玄米粥に至ってはそれ以上の時間がかかり、合わせて咀嚼能力も精白米粥を食する以上に必要である。また、レトルトや缶詰の流動性米飯食品も種々様々あるが製造コストが高いため高価であり毎日の食事には手軽に用いられない。したがって、要介護者にとってはコスト負担が大きく、介護食を毎食調理提供する側にとっては、手間と時間がかかるのが現状である。更に、従来の即席粥製品は、製品の還元手段として熱湯が用いられているため、食物の消化分解に有効とされる各種酵素を活用した機能性即席米飯製品の開発は限定され、且つ高価である。また、原料に発芽米を使用した即席流動性米飯は、一般に知られていない。本発明は、この様な事柄を解決する事が出来るものである。
【0003】
従来の即席流動性米飯の素に関する製造法は特開平06−303927号公報、特開平09−065844号公報、特開平09−135667号公報等多数あるが、その製造方法の全てが凍結乾燥技術を必要とし製造工程も複雑である。更に、還元手段の殆どが沸騰状態に近い熱湯、若しくは加熱を必要とするものである。また、特開平15−47415号公報によれば清水又は調味液に8〜10時間浸漬した米を蒸煮した後、水分含量6〜10%に乾燥させたアルファー化米を粉末にし150℃以上の温度で焙煎するとしている。この方法によれば凍結乾燥の様な時間とコストはかからない。しかし、以下の様な問題もある。第一に、浸漬に1〜10時間の長時間を要する。第二に、米を蒸煮した段階でアルファー化としているが、本来米は咀嚼によって粘りや旨味が引き出されるものであるため、蒸煮のみでは粘りや旨味を十分に引き出す事は困難である。第三に、アルファー化米の乾燥に4〜5時間の長時間を要する。第四に、粉末化後の焙煎によって味や粘りといった素材本来の風味、性質を損なうと推察される。第五に、お粥は通常、主食であるうるち米を原料とするものであり、その特質もうるち米ならではのものである。よって、餅米を原料とした場合、食味食感に差異が生じるうえにコストが高い。第六に、味付けを行う場合は、液体や粉末調味料に限定される。以上の事柄から、即席流動性米飯の素はさらなる製造方法の簡素化と高品質、高機能で安価な製品を提供することが必要であると考えるものである。
【特許文献1】特開H09−135667号公報
【特許文献2】特開2003−47415号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、お湯若しくは水を注入し2〜3分で即流動性米飯となる新規な即席無添加流動性米飯の素、及び即席混合流動性米飯の素と、その新規な製造方法を提供する事を第一の課題とする。また、本発明は、高食味で安価な即席無添加流動性米飯とその簡素な製造方法を提供する事を第二の課題とする。更に、本発明は、消化吸収補助機能を有する新規な機能性即席流動性米飯の素、アミノ酸の一種であるγ−アミノ酪酸を含有する即席無添加流動性発芽米飯の素と、それらの製造方法を提供する事を第三の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明のうち請求項1に記載する発明は、うるち米を一旦餅状にアルファー化し、その後圧延乾燥したものを細粒状に粉砕した即席無添加流動性米飯の素である。本発明は、うるち米を蒸練し、米の粘りや風味といった特性が最大限引き出された段階でアルファー化完了とする。その後ただちに圧延乾燥し、それらの特性が保持可能になった状態で細粒状に粉砕する手段を用いる。よって還元性と食味が格段に向上した即席無添加流動性米飯の素を得る事が出来る。
【0006】
本発明のうち請求項2に記載する発明は、順に以下の工程を手段とする。第一工程、精白米を原料とする場合は搗精する。搗精歩合、搗精方法は任意とする。第二工程、精製水にて原料米を洗米する。第三工程、粒度80メッシュに粉砕する。粉砕方法は任意とする。第四工程、蒸練機に第三工程の米粉を投入し、その米粉重量に対し160%の水を加水する。さらに、蒸練機内に100℃の蒸気を加えながら餅状になるまで6.5分程度蒸練する。蒸練機、米粉量、蒸練時間は任意とする。第五工程、第四工程において成した餅状物質を生地とし、その生地を厚さ0.8mm程度に圧延し表面積を増大させる。生地の厚さ、圧延方法は任意とする。第六工程、第五工程において成した圧延生地を、炉内温度70〜80℃に設定した乾燥炉に投入し、生地水分含量8〜10%に達するまで約43分間滞留させる。乾燥炉の方式、温度、滞留時間は任意とする。第七工程、第六工程において乾燥した生地を、高速度粉砕機にて粒度60〜80メッシュに粉砕し細粒化とする。なお、粒度は用途目的によって粒度20〜80メッシュの範囲内において調整する。粉砕方法は任意とする。
【0007】
本発明のうち請求項3に記載する発明は、前記請求項1の即席無添加流動性米飯の素に他組成物を添加混合する事により、多種多用な味付け、食感を付加し価値を向上させた即席混合流動性米飯の素である。
【0008】
本発明のうち請求項4に記載する発明は、前記請求項2の第四工程において、米以外の穀類、野菜類、魚類、液体調味料、粉末素材等を、任意に添加し混練する手段によって即席無添加流動性米飯の素に対し簡単に多種多様な味付け、食感を付加する事が出来る製法である。
【0009】
本発明のうち請求項5に記載する発明は、前記請求項1の即席無添加流動性米飯の素が、摂氏20〜40度の水、若しくはぬるま湯においても高い還元性がある事を活用し、本即席無添加流動性米飯の素に乾燥米麹、粉末状乳酸菌末を添加混合する手段を用いる。本即席無添加流動性米飯の素を、熱に弱いとされる酵素の機能を損なわない食品媒体とする事により、各酵素機能を保持した状態で食する事が出来る。よって、主食米飯に対し消化吸収補助機能を付加する事が容易に可能である。
【0010】
本発明のうち請求項6に記載する発明は、前記請求項2の第六工程完了後、粒度60〜80メッシュに粉砕し細粒化した水分含量8〜10%(好ましくは8%)の乾燥米麹と粉末状乳酸菌末を添加混合する手段を用いた製法である。尚、添加量は即席無添加流動性米飯の素重量に対し、各々以下の範囲内とする。細粒化した乾燥米麹は0.1〜0.2%、粉末状乳酸菌末は2〜3×10/g。菌種は、用途に応じ任意とする。
【0011】
本発明のうち請求項7に記載する発明は、前記請求項1の即席無添加流動性米飯の素を製造する工程において、原料の玄米を発芽させる事を前処理とする手段を用いる。
【0012】
本発明のうち請求項8に記載する発明は、請求項2の第二工程時において玄米を洗米後、水温30℃の環境で20時間浸漬し芽が0.5mm〜2.0mmに出揃った時点で発芽完了とし、水切り後第三工程に移行する手段を用いた製法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の即席無添加流動性米飯の素、即席混合流動性米飯の素、機能性即席流動状米飯の素、即席無添加流動性発芽米飯の素は、第一に、水又は湯を加えて攪拌すると短時間で流動状となる。よって、玄米めし、白米めし、玄米かゆ、白米かゆ、玄米おもゆ、白米おもゆ、味付けかゆとして簡便に供給する事が出来るため、咀嚼力に劣る老人、乳児、療養者に、無添加で高食味の状態で提供する事が出来る。第二に、他の組成物と簡単に混合出来る為、多種多様な即席流動性米飯の素を提供する事が可能になる。第三に、類似製品より、短時間で簡単に製造可能なため安価で提供出来る。第四に、水分含量が低く長期保存が可能で簡単に還元できるため、非常食や携帯食としても好適である。第五に、20℃〜40℃の比較的低水温においても短時間で還元できる特徴を持つため、乾燥米麹の保有する各酵素、乳酸菌の保有する乳糖分解酵素、発芽によるγ−アミノ酪酸の各機能、活動を抑制する事なく活用出来るため新たな機能を持った即席米飯の素として提供する事が可能である。
【0014】
以下、本発明に係る即席無添加流動性米飯の素、即席混合流動性米飯の素、機能性即席流動状米飯の素、即席無添加流動性発芽米飯の素、及びその製造方法について、試験例に基づいてさらに詳細に説明する。
【試験例1】
【0015】
アルファー化細粒米及び粉末の流動状還元試験<試験方法>ステンレス製ボール状容器に入れた下記5種類の各試料10gに90℃の熱湯と20℃の水を40ccずつ注ぎ、軽く攪拌後、流動状になるまでの時間とその物質の特性を観察した。試料イ.生うるち米を粒度120〜145メッシュに粉末化したもの。ロ.アルファー化した乾燥生地を粒度120〜145メッシュに粉末化したもの。ハ.アルファー化した乾燥生地を粒度120〜145メッシュに粉末化し150℃で1分間焙煎したもの。ニ.アルファー化した乾燥生地を粒度60〜80メッシュに細粒化したもの。ホ.アルファー化した乾燥生地を粒度20〜40メッシュに細粒化したもの。
【0016】
試験結果は、上記試料番号順に以下の通りであった。試料イ.流動化までの経過時間〇熱湯…流動状にならず〇水…流動状にならず。試料ロ.流動化までの経過時間 〇熱湯…10秒〇水…2分 物質の特性 〇熱湯…粘り良好であるが、ダマになり還元に斑がある。食味は、斑の部分が違和感を与える。〇水…粘りはあるものの熱湯時よりも弱く、ダマになり還元に斑がある。食味は、弱粘性と斑のため米の特質が感じられない。試料ハ.流動化までの経過時間 〇熱湯…10秒〇水…1分 物質の特性 〇熱湯…粘りが弱く、ダマになり還元に斑がある。食味は、米の特質が感じられない。〇水…熱湯時以上に粘りが弱く、ダマになり還元に斑がある。食味は、米の特質が感じられない。試料ニ.流動化までの経過時間 〇熱湯…2分〇水…7分 物質の特性 〇熱湯…米特有の粘りがあり良好。ダマにならず。食味は、米の特質が良く引き出されており非常に高食味である。〇水…熱湯時と比較して粘りは弱い。ダマにならず。食味は、粘りが若干弱いものの、米の特質が感じられ高食味である。試料ホ.流動化までの経過時間 〇熱湯…2分〇水…20分 物質の特性 〇熱湯…米特有の粘りがあり良好。ダマにならず。食味は、米の特質が良く引き出されており非常に高食味である。〇水…熱湯時と比較して粘りは弱い。ダマにならず。食味は、粘りが若干弱いものの、米の特質が感じられ高食味である。<考察>以上の試験結果から、即席流動性米飯とするには、湯の温度と乾燥生地の粉砕粒度が、還元時間と食味に大きな影響を与える事が確認された。5試験サンプル中では、ニのサンプルが総合的に最良と判明した。また、粒度の組合せと湯量の加減によって食感を需要者の用途に合わせる事も可能である。表−1参照。
【0017】
【表1】

【試験例2】
【0018】
試験例1において、還元状態が良好であった試料ニホについて、最短時間で最適還元状態となる水温の確認試験を実施した。<試験方法>ステンレス製ボール状容器に試料ニホを入れ、温度20℃、70℃、80℃、90℃の水、若しくは湯を40ccずつ順次注ぎ、最短で最適還元状態となる時間と温度を確認する。
【0019】
試験結果は、試料番号順に以下の通りであった。試料ニは、水温20℃において還元時間7分。湯温70℃において還元時間2分。試料ホは、水温20℃において還元時間20分。湯温90℃において還元時間5分。以上が、最短時間と最適温度であった。この事から、粒度メッシュは80、水温は70℃が最適の数値と判明した。表−2参照。
【0020】
【表2】

【試験例3】
【0021】
麹菌の生成した各酵素や乳酸菌の乳糖分解酵素等の人体における有益な効果効能は、種々の研究により一般的に周知の通りである。本試験においては、本即席米飯の素を還元した時点での温度が、酵素の働きを抑制するか否かの確認を行うものとする。機能性即席流動状米飯の素に係る還元水温の違いによる酵素機能保持の比較試験。<試験方法>ビーカーに、以下の試料を用意した。イ.本即席無添加流動性米飯の素重量に対し、細粒化した乾燥米麹1%と粉末状乳酸菌末2〜3×10/gを添加混合したもの10gに、37℃の水40ccを注ぎ流動状にしたもの。ロ.本即席無添加流動性米飯の素重量に対し、細粒化した乾燥米麹1%と粉末状乳酸菌末2〜3×10/gを添加混合したもの10gに、95℃の熱湯40ccを注ぎ流動状にしたもの。ハ.本即席無添加流動性米飯の素10gに、95℃の熱湯40ccを注ぎ流動状にしたもの。以上、三つのサンプルを、摂氏28℃の恒温機に24時間入れその後の外観、形状、味、臭いの変化を観察した。尚、使用した即席無添加流動性米飯の素及び、細粒化した乾燥米麹の粒度は共に60〜80メッシュとし、米麹の麹菌種はアスペルギルス オリゼー菌、乳酸菌末の菌種はラクトバチルス・カゼイ菌とした。
【0022】
試験結果は、試料順に以下の通りであった。イ.外観…発泡状態にあり試料が大きく盛り上がっている。形状…液体に近い状態に溶解しており、でんぷん溶液に対しきれいに溶解した。味…甘酒の様な甘味、酸味有り。臭い…弱いアルコール臭有り。ロ.外観…極小さな気泡を確認、極僅かに試料の盛り上がり有り。形状…ゆるいペースト状に溶解しており、でんぷん溶液に対しきれいに溶解した。味…甘味、酸味若干有り。臭い…若干異臭有り。アルコール臭感じず。ハ.外観…変化なし。形状…流動状米飯と変化なし。でんぷん溶液に対し溶解せず。味…流動状米飯のまま変化なし。臭い…特に異臭なし。<考察>以上の試験結果から、高温での還元は酵素、麹菌の働きを抑制するものと確認出来る。よって、低水温で還元できる本即席流動性米飯の素は、各酵素の食品媒体として非常に有効である。
【試験例4】
【0023】
前記請求項8の即席無添加流動性発芽米飯の素の製造試験を以下の方法により実施した。うるち玄米を洗米後、水温30℃の製清水に浸漬し、その水温を保ったまま20時間放置し0.5mm程度の発芽を確認し発芽完了とした。この発芽米を水切りした時点で請求項2の第二工程終了とし、その後第三工程から第七工程迄連続して各工程作業を実施した。原料を発芽米とした事による工程上の問題は、何ら認められる事なく、本即席無添加流動性発芽米飯の素を得る事が出来た。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係る即席無添加流動性米飯の素、及び即席混合流動性米飯の素、機能性即席流動状米飯の素、即席無添加流動性発芽米飯の素、及びその製造方法の実施例に基づいて、最良の実施形態を説明する。
【実施例1】
【0025】
良質の玄米を搗精歩合95%にて精白米にした後、精製水で洗米し水切りをする。その後、粒度80〜100メッシュに粉砕し、米粉に対して1.6倍の水を加え100℃の蒸気で6分30秒捏ね、餅状にしアルファー化生地とした。アルファー化生地を即座に0.8mmの厚さに圧延し70〜80度の乾燥炉で43分滞留させ、水分含量8〜10%の乾燥生地を製した。その乾燥生地を粉砕機にて、粒度メッシュ60〜80に細粒化後、アルミ袋に充填し即席無添加流動性米飯の素とした。
【実施例2】
【0026】
良質の玄米を、精製水で洗米し浸漬後水切りをする。その後、粒度80〜100メッシュに粉砕し、米粉に対して1.6倍の水を加え100℃の蒸気で6分30秒捏ね、餅状にしアルファー化生地とした。アルファー化生地を即座に0.8mmの厚さに圧延し70〜80℃の乾燥炉で43分滞留させ、水分含量8〜10%の乾燥生地を製した。その乾燥生地を粉砕機にて、粒度60〜80メッシュに粉砕後、アルミ袋に充填し即席無添加流動性米飯の素とした。
【実施例3】
【0027】
良質の玄米を搗精歩合95%にて精白米にした後、精製水で洗米し水切りをする。その後、粒度80〜100メッシュに粉砕し、米粉に対して1.6倍の水を加え100℃の蒸気で6分30秒捏ね、餅状にしアルファー化生地とした。アルファー化生地を即座に0.8mmの厚さに圧延し70〜80℃の乾燥炉で43分滞留させ、水分含量8〜10%の乾燥生地を製した。その乾燥生地を粉砕機にて、粒度60〜80メッシュに粉砕後、0.6%の粉末かつお昆布だしと混合しアルミ袋に充填し即席混合流動性米飯の素とした。
【実施例4】
【0028】
良質の玄米を搗精歩合95%にて精白米にした後、精製水で洗米し水切りをする。その後、粒度80〜100メッシュに粉砕し、米粉に対して3%の大豆粉と1.6倍の水を加え100℃の蒸気で6分30秒捏ね、餅状にしアルファー化生地とした。アルファー化生地を即座に0.8mmの厚さに圧延し70〜80℃の乾燥炉で43分滞留させ、水分含量8〜10%の乾燥生地を製した。その乾燥生地を粉砕機にて、粒度60〜80メッシュに細粒化後、アルミ袋に充填し即席混合流動性米飯の素とした。
【実施例5】
【0029】
良質の玄米を搗精歩合95%にて精白米にした後、精製水で洗米し水切りをする。その後、粒度80〜100メッシュに粉砕し、米粉に対して1.6倍の水を加え100℃の蒸気で6分30秒捏ね、餅状にしアルファー化生地とした。アルファー化生地を即座に0.8mmの厚さに圧延し70〜80℃の乾燥炉で43分滞留させ、水分含量8〜10%の乾燥生地を製した。その乾燥生地を粉砕機にて、粒度60〜80メッシュに細粒化後、前述の細粒化生地重量に対し粒度60〜80メッシュに細粒化した乾燥米麹0.1%と、粉末状乳酸菌末2〜3×10/gを添加混合し、アルミ袋に充填し機能性即席流動状米飯の素とした。
【実施例6】
【0030】
良質のうるち玄米を洗米後、水温30℃の製清水に浸漬し、その水温を保ったまま20時間放置する。0.5mm程度の発芽状態に揃った事を確認したのち水切りを行う。その後、粒度80〜100メッシュに粉砕し、米粉に対して1.6倍の水を加え100℃の蒸気で6分30秒捏ね、餅状にしアルファー化生地とした。アルファー化生地を即座に0.8mmの厚さに圧延し、70〜80℃の乾燥炉で43分滞留させ、水分含量8〜10%の乾燥生地を製した。その乾燥生地を粉砕機にて、粒度60〜80メッシュに細粒化後、アルミ袋に充填し即席無添加流動性発芽米飯の素とした。
【0031】
実施例1で製した即席無添加流動性米飯の素50gに、95℃の熱湯200ccを攪拌しながら注ぎ、2分後食した。米の粘りや風味が生きており、炊きたてのお粥の味と何ら変わらず食する事が出来た。
【0032】
実施例2で製した即席無添加流動性米飯の素50gに、95℃の熱湯200ccを攪拌しながら注ぎ、2分後食した。本実施例は、原料を玄米としたものであるが、炊きたての玄米粥の味覚と何ら変わらず食する事が出来た。精白米にて製したものと比較した場合、繊維質が豊富であるため粘り度合いは低い。
【0033】
実施例3で製した即席混合流動性米飯の素50gに、95℃の熱湯200ccを攪拌しながら注ぎ、2分後食した。米の粘りや風味が生きているうえに、かつお、昆布だしが利いて非常に美味である。
【0034】
実施例4で製した即席混合流動性米飯の素50gに、95℃の熱湯200ccを攪拌しながら注ぎ、2分後食した。米の粘りや風味が生きているうえに、後味として大豆のコクが利いて非常に美味である。
【0035】
実施例5で製した機能性即席流動状米飯の素50gに、35℃の熱湯200ccを注ぎ、攪拌し10分後食した。実施例1と比較した場合、水温が低いために還元時間は多少多くかかるものの、味覚変化は感じられない。酵素等の働きにより、放置時間に比例して味覚変化が生ずる。
【0036】
実施例6で製した即席無添加流動性発芽米飯の素50gに、95℃の熱湯200ccを攪拌しながら注ぎ、2分後食した。本実施例は、原料を発芽させた玄米としたものであるが、炊きたての玄米粥の味覚と何ら変わらず食する事が出来た。
【産業上の利用可能性】
【0037】
第一に、病院、介護施設、若しくは在宅要介護において、療養者や要介護者に対し食事を給する場合、本即席流動性米飯の素を利用する事によって、毎食ごとの洗米、炊飯の時間と作業を削減し、調理作業の軽減を図ることによって、生産性とサービスの向上が可能になる。第二に、他組成物、微生物生成酵素との混合組合せによって新規な機能性食品、非常用食品等、多種多様の製品創造も容易に可能である。第三に、本発明の製造方法は、米菓の生産設備をそのまま利用出来ることから、大量生産によって安価な価格設定も可能になり利用範囲の拡大が期待できる。第四に、利用法が簡便なことから、外食産業、食品製造業において新たなメニューや製品の開発に寄与する事が期待出来る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
うるち米を餅状アルファー化後、乾燥細粒化した即席無添加流動性米飯の素。
【請求項2】
うるち玄米、若しくはうるち精白米を餅状化生地にし、水分含量8〜10%に圧延乾燥後、粒度60〜80メッシュに細粒化した事を特徴とする即席無添加流動性米飯の素の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の餅状化生地の製造段階において、米以外の組成物を添加し混練した餅状生地を水分含量8〜10%に圧延乾燥後、粒度60〜80メッシュに細粒化した事を特徴とする即席混合流動性米飯の素。
【請求項4】
請求項3に記載の即席混合流動性米飯の素の製造法。
【請求項5】
請求項1に記載の即席無添加流動性米飯の素重量に対し、粒度60〜80メッシュに細粒化した0.1〜0.2%の乾燥米麹と2〜3×10/gの粉末状乳酸菌末を添加混合した消化吸収補助機能を有する機能性即席流動状米飯の素。
【請求項6】
請求項5に記載の機能性即席流動状米飯の素の製造法。
【請求項7】
請求項1に記載の即席無添加流動性米飯の素の原料を、発芽したうるち玄米とした即席無添加流動性発芽米飯の素。
【請求項8】
請求項7に記載の即席無添加流動性発芽米飯の素の製造法。

【公開番号】特開2007−282585(P2007−282585A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−114727(P2006−114727)
【出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【出願人】(306009145)
【Fターム(参考)】