説明

卵包装装置および卵包装方法

【課題】従来の卵包装装置では、十二個詰め容器・十個詰め容器・八個詰め容器・六個詰め容器・四個詰め容器などの種類ごとに異なる間隔の違いに対応できないので、出荷先や需要に応じて様々な種類の容器を頻繁に切り換える多品種小ロット生産ができなかった。
【解決手段】卵Eを八個詰め容器2の収容座3に一括して充填する移載部7と、収容座3が2列縦隊となるように複数の八個詰め容器2隣接させて搬送する容器搬送部1と、容器搬送部1によって搬送される八個詰め容器2の収容座3を検出する収容座検出部12と、収容座検出部12が検出した収容座3に充填された卵Eを検出する卵検出部11を備えており、卵検出部11が卵Eを検出しない場合に八個詰め容器2を停止させるように構成しているので、移載部7が複数の八個詰め容器2にまたがって卵Eを充填することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は卵包装装置および卵包装方法に関し、より詳しくは、容器の収容座が2列縦隊となるように複数の容器を隣接させた状態で搬送する容器搬送部を備えた卵包装装置および卵包装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、鶏舎から集卵コンベアにより搬送された卵は、洗卵乾燥工程を経た後、検査・計量が行われて等階級別に選別され、合成樹脂製の卵パック等の容器で包装される。
従来の卵包装装置では、容器を搬送する容器搬送部上にエンドレスチェーンを設け、エンドレスチェーンに所定の間隔で固定されたドグによって押される容器が卵充填位置で停止するように、エンドレスチェーンを間欠的に駆動している(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
このような卵包装装置のほか、出荷量に応じた適切な生産を行うために、卵を等階級別に選別したあと、すぐには出荷用の合成樹脂製の卵パック等の容器で包装せず、トレイなどの仮容器に一旦収容してから保管し、需要に応じて出荷用の合成樹脂製の卵パック等の容器に詰め替えて包装する卵包装装置が知られている。
【0004】
ここで、図面を用いて、トレイなどの仮容器から出荷用の合成樹脂製の卵パック等の容器に詰め替えて包装する従来の卵包装装置について説明を行う。
図5は従来の卵包装装置が八個詰め容器2に卵Eを充填するときの動作を示す図であり、図6は図5に示される従来の卵包装装置をX方向から見た図である。図5および図6に示されるように従来の卵包装装置は、卵搬送部55と、容器搬送部51と、移載部57と、ドグ50aおよびエンドレスチェーン50bで構成されている。
なお、説明を簡略化するため図5において移載部57のアーム58を省略し、図6において卵搬送部55およびトレイ6を省略している。
【0005】
卵搬送部55は5行×6列で区画されたトレイ6に長軸を鉛直として収容した卵Eを卵搬送方向へ搬送する。卵搬送部55はトレイ6の1行目と2行目が二点鎖線で示した移載部57の直下(卵吸着位置)までトレイ6を搬送すると停止する。
【0006】
容器搬送部51に設けられたエンドレスチェーン50bには等間隔でドグ50aが固定されており、八個詰め容器2の収容座3が容器搬送方向に対して2列横隊となるように八個詰め容器2をドグ50aで押しながら搬送する。容器搬送部51は八個詰め容器2の収容座3が実線で示した移載部57の直下(卵充填位置)まで八個詰め容器2を搬送して停止する。
【0007】
移載部57は卵Eを吸着して移載するための吸盤60が12個取り付けられたヘッド59と、ヘッド59を駆動するためのアーム58により構成されている。
移載部57は二点鎖線で示した位置(卵吸着位置)でトレイ6に5行×6列(30個)で収容された卵Eの中から2行×4列(8個)を吸着して取り出す。その後、移載部57は容器搬送部51上の実線で示した位置(卵充填位置)へ移動し、卵Eを八個詰め容器2の収容座3に充填する。
【0008】
八個詰め容器2の収容座3に卵Eが充填されると、八個詰め容器2はさらに容器搬送方向下流へ搬送される。容器搬送方向の下流では、テープシーラーなどの封緘装置が設けられており、封緘装置によって八個詰め容器2の蓋4が閉じられ、封緘される。
【0009】
このような従来の卵包装装置の場合、移載部57による一回の移載動作につき容器搬送部51上の容器に対応した個数しか充填できない。例えば前述の八個詰め容器2に対して卵Eを充填する場合、移載部57のヘッド59に取り付けられている12個の吸盤60のうち、8個の吸盤60のみを使用して卵Eを吸着するので一回の移載動作で最大8個までしか移載することができない。また、8個の卵がトレイ6から移載されると、図5に表されるように、トレイ6上の1行目と2行目にはそれぞれ2個ずつ合計4個の卵Eが残される。
【0010】
そうすると、卵吸着位置に戻った移載部57は二回目の移載動作でトレイ6の1行目と2行目に残った4個の卵Eを吸着して再び卵充填位置へ移動し、八個詰め容器2の収容座3に卵Eを充填しなければならないので、一枚のトレイ6に収容されている卵Eをすべて移載するには移載部57が12個の吸盤60の一部のみを使って何度も卵吸着位置と卵充填位置を往復しなければならなかった。
【0011】
また、移載部57の往復回数を減らすためにトレイ6から2行×6列(12個)の卵を一括して吸着し、八個詰め容器2に8個の卵Eを充填したあとで、容器搬送部51の上流側から送られてくる次の八個詰め容器2に残りの4個の卵Eを充填するようにしても、移載部57の位置を細かく制御したり、吸盤60が卵Eを選択的に吸着および放出したりする必要がある。
【0012】
このような従来の卵包装装置の問題点を解決するには、複数列で搬送されてくる卵を2行ずつ取り出して、容器搬送部によって容器の収容座が2列縦隊となるように複数の容器を隣接させた状態で搬送し、複数の容器に一括して卵を充填すればよい。
このようにすることで、移載部が卵吸着位置と卵充填位置を何度も往復したり、移載部の位置を細かく制御したりする必要がなく、移載部に取り付けられた12個の吸盤すべてを使いながら、常に同じ移載動作で効率よく卵を出荷用の合成樹脂製の卵パック等の容器に詰め替えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】実開平4−106210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
前述のような複数列で搬送されてくる卵を2行ずつ取り出し、複数の容器に一括して卵を充填することが可能な卵包装装置であれば、移載部が常に同じ動作で容器に卵を充填することができるが、一般的な卵用の包装容器である合成樹脂製の卵パックには、本体と蓋の周縁部にフランジが形成されているので、容器をまたいだ収容座同士の間隔はフランジの分だけ広く空いてしまう。
そうすると、エンドレスチェーンに所定の間隔で固定したドグによって容器を搬送する従来の容器搬送部を備えた卵包装装置では、十二個詰め容器・十個詰め容器・八個詰め容器・六個詰め容器・四個詰め容器などの種類ごとに異なる間隔の違いに対応できないので、出荷先や需要に応じて様々な種類の容器を頻繁に切り換える多品種小ロット生産が行えなかった。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の卵包装装置は、卵搬送部から2行×N列で取り出した卵を容器の収容座に一括して充填する移載部と、収容座が2列縦隊となるように複数の容器を隣接させて搬送する容器搬送部と、容器搬送部によって搬送される容器の収容座を検出する収容座検出部と、収容座検出部が検出した収容座に充填された卵を検出する卵検出部を備えており、卵検出部が卵を検出しない場合に容器を停止させるように構成しているので、卵が充填されていない収容座が卵充填位置で停止し、移載部が一括して卵を収容座に充填する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る卵包装装置は、卵が充填されていない容器の収容座を適切な位置に停止させて、卵を一括して充填することができる。また、容器をエンドレスチェーンに固定されたドグによって搬送しないので、十二個詰め容器・十個詰め容器・八個詰め容器・六個詰め容器・四個詰め容器などの様々な種類の容器を頻繁に切り換える多品種小ロット生産に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施例に係る卵包装装置の移載動作を示す図である。
【図2】図1の卵包装装置をX方向から見た図である。
【図3】図2の卵包装装置が八個詰め容器に卵を充填する状態を示す図である。
【図4】本発明の第2実施例に係る卵包装装置が四個詰め容器に卵を充填する状態を示す図である。
【図5】従来技術に係る卵包装装置の移載動作を示す図である。
【図6】図5の卵包装装置をX方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る卵包装装置の第1実施例について、図面を参照して具体的に説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明の第1実施例に係る卵包装装置の移載動作を示す図であり、図2は、本発明の第1実施例に係る卵包装装置をX方向から見た図である。図3は、図2の卵包装装置が八個詰め容器に卵を充填する状態を示す図である。なお、説明を簡略化するため、それぞれの図において一部の構成を省略している。
【0020】
図1に示すように、本発明の第1実施例に係る卵包装装置は、長軸を鉛直としてトレイ6に6列で収容された卵Eを卵搬送方向へ搬送する卵搬送部5と、卵搬送部5から2行×6列で卵Eを取り出す移載部7と、移載部7が取り出した卵Eを一括して充填するための収容座3が2列縦隊となるように複数の八個詰め容器2を隣接させて容器搬送方向へ搬送する容器搬送部1と、容器搬送部1によって搬送される八個詰め容器2の収容座3を検出する収容座検出部12と、収容座検出部12が検出した収容座3に充填された卵Eを検出する卵検出部11とを備えている。
【0021】
卵搬送部5は、5行×6列(30個)の卵Eを収容するトレイ6を卵搬送方向へ搬送するトレイ搬送コンベアである。卵搬送部5には、センサが取り付けられており、トレイ6が所定の位置(卵吸着位置)まで搬送されるとセンサが検知してトレイ6を停止させるように構成されている。卵搬送部5はトレイ6を90°水平に回転させて6行×5列として搬送することもできる。
また、卵搬送部5は、長軸を鉛直として収容された卵Eを整列した状態で卵搬送方向へ搬送すればよいので、トレイ6を搬送するトレイ搬送コンベアに限らず、カップと呼ばれる1行に6個の卵を収容することができるユニットを複数個連続して搬送するカップ搬送コンベアであってもよい。
【0022】
移載部7は、シリコンでできた12個の吸盤10が取り付けられたヘッド9を有しており、ヘッド9は、移載部7を駆動する駆動装置のアーム8に取り付けられている。図1に二点鎖線で示した移載部7は、トレイ6から卵Eを取り出すときの卵吸着位置を表しており、実線で示した移載部7は、トレイ6から取り出した卵Eを八個詰め容器2に充填するときの卵充填位置を表している。
【0023】
移載部7のヘッド9に取り付けられた吸盤10は、トレイ6に収容されている卵Eの間隔と同じ間隔でヘッド9に固定されており、アーム8およびヘッド9の内部を連通する真空配管によって吸盤10の内部の気圧を下げて卵Eを吸着することができるように構成されている。八個詰め容器2の収容座3の間隔は、収容する卵Eのサイズによって多少違いがあるが、吸盤10の弾力によって容器の収容座の間隔にあわせて充填することができるので、本実施例では卵Eの吸着・充填時に吸盤の間隔を変更していない。
特に鶏卵は、充填位置が収容座3の中心から多少ずれていても端部の形状によってきちんと収容座3に充填されるので、吸盤10をヘッド9に固定していても問題となることはないが、トレイ6から卵Eを吸着する時と、八個詰め容器2に卵Eを充填する時とで吸盤10の間隔を変更できるようにすることで、さらに卵Eに負担を与えることなく移載することもできる。
【0024】
容器搬送部1は、八個詰め容器2の収容部3が容器搬送方向に対して2列縦隊となるように複数の八個詰め容器2を隣接させた状態で搬送する容器搬送コンベアであり、容器搬送部1には図5に示す従来の卵包装装置のようなエンドレスチェーン50bに固定されたドグ50aはなく、搬送面に滑り止め加工がされた搬送ベルトによって八個詰め容器2を搬送している。
【0025】
収容座検出部12は、容器搬送部1によって搬送される八個詰め容器2の収容座3を検出するための光学センサである。収容座検出部12は隣接した状態で搬送されてくる複数の八個詰め容器2の収容座3を検出する検出装置であればよいので、光学センサに限られない。収容座検出部12は、透明な合成樹脂製の容器やパルプモールドと呼ばれる紙製の容器の収容座を検出できるセンサであれば良い。
【0026】
卵検出部11は、収容座検出部12が検出した八個詰め容器2の収容座3に卵Eが充填されているかどうかを検出するための光学センサである。収容座検出部12と同様に、収容座3の卵Eを検出する検出装置であればよいので、光学センサに限られない。
本実施例では収容座検出部12および卵検出部11を分けて記載しているが、両者を一体としてもよい。その場合は八個詰め容器2の上方かつ移載部7に干渉しない位置に一体とした検出部を設けて、下方にある八個詰め容器2の収容座3および収容座3に充填された卵Eを検出するようにしてもよい。また、これらの検出部に八個詰め容器2の先頭を検出する機能をもたせ、収容座3に充填された卵Eの有無によらず八個詰め容器2の先頭が、移載部7によって一括して充填される収容座3の先頭となるようにしてもよい。
【0027】
また、収容座検出部12は、様々な容器の種類に応じて容器搬送方向の上流または下流へ位置を変更することができるスライド機構を備えている。
一般的な卵用の包装容器である合成樹脂製の卵パックには、本体と蓋の周縁部にフランジが形成されており、複数の容器を隣接させて搬送すると、隣り合う容器の収容座の間隔はフランジの分だけ広く空いてしまう。容器をまたいだ収容座同士の間隔はフランジの数が増えるほど広がってしまうので、十二個詰め容器や十個詰め容器と同じ位置で、六個詰め容器や四個詰め容器を停止させると、容器搬送方向の上流側で卵Eが収容座からこぼれてしまい、うまく充填することができない。六個詰め容器や四個詰め容器に卵Eを充填するときは収容座検出部12を容器搬送方向下流側へスライドさせて容器が停止する位置を下流へ変更すればよい。
【0028】
また、容器の種類を入力するための入力部を設け、入力された容器の種類に応じて卵検出部11および収容座検出部12が収容座3および卵Eを検出してから所定時間だけ容器が停止するタイミングを遅らせて停止位置を変更できるようすればスライド機構を設ける必要はない。
さらに、入力部のかわりに容器の種類を特定できるようにバーコードのような識別子を取り付け、その識別子を読み取ることによってその容器に最適な位置で停止できるようにしてもよい。
【0029】
上述のように、本発明に係る卵包装装置が備える、容器の停止位置を変更する機構および制御を総称して停止位置変更部と呼ぶ。
【0030】
次に、上述した本発明の第1実施例に係る卵包装装置による一連の移載動作について説明する。
出荷量に応じた適切な生産を行うために、等階級別に選別された卵Eは仮容器であるトレイ6に一旦収容され、需要に応じて小売り販売店向けの八個詰め容器2に詰め替えるためにトレイ6に収容されたまま卵搬送部5によって卵搬送方向へ搬送される。このとき、図1に示すように卵搬送部5は5行×6列で区画されたトレイ6に長軸を鉛直として収容した卵Eを卵搬送方向へ搬送し、トレイ6の1行目と2行目が二点鎖線で示された移載部7の直下(卵吸着位置)で停止するように制御される。
【0031】
卵吸着位置でトレイ6が停止すると、トレイ6に収容された卵Eと、ヘッド9に取り付けられた吸盤10が十分に接触する高さまで移載部7が下降する。トレイ6に収容された卵Eと吸盤10が接触すると、アーム8およびヘッド9の内部を連通する真空配管が真空ポンプによって減圧されて吸盤10は卵Eを吸着する。卵Eを吸着したまま移載部7は上昇し、トレイ6の1行目と2行目に収容されている2行×6列(12個)の卵Eをトレイ6から取り出す。
【0032】
トレイ6から1行目と2行目の卵Eが取り出されると、卵搬送部5はトレイ6を再び卵搬送方向へ搬送し、トレイ6の3行目と4行目が二点鎖線で示された移載部7の直下(卵吸着位置)となるようにトレイ6を停止させる。
【0033】
トレイ6から卵Eを取り出した移載部7は、容器搬送部1上の実線で示した位置(卵充填位置)へ移動して停止する。このときの容器搬送部1および移載部7をX方向から見た状態が図2あり、容器搬送方向の上流側に設置されている容器供給装置から供給された八個詰め容器2は、容器搬送方向に対して収容座3が2列縦隊となるように隣接した状態で容器搬送部上を搬送される。
【0034】
容器搬送部1上を搬送される八個詰め容器2は、実線で示した移載部7の直下(卵充填位置)に到達すると収容座検出部12によって収容座3が検出され、同時に卵検出部11によって収容座3に充填されている卵Eが検出される。このとき、収容座検出部12によって検出された収容座3に卵Eが充填されていれば八個詰め容器2はそのまま容器搬送方向下流側へ搬送されるが、収容座3に卵Eが充填されていなければ、容器搬送部1は八個詰め容器2を図2の状態で停止させる。
【0035】
移載部7は、卵充填位置で停止している八個詰め容器2に卵Eを充填するため、図3に示すように下降を開始し、そのまま12個の卵Eがすべて収容座3に接触するまで下降する。
上述のように移載部7によって移載される卵Eは12個であり、一つの八個詰め容器2では12個の卵Eをすべて受け取ることができないので、図3に示すように2つ以上の八個詰め容器2にまたがって充填される。
【0036】
このように、2つ以上の八個詰め容器2にまたがって充填されると、隣り合う八個詰め容器2の収容座3の間隔はフランジの分だけ広く間が空いてしまうが、移載部7のヘッド9に取り付けられた吸盤10は、シリコン等の弾性部材で構成されており、また、八個詰め容器2は容器搬送部1上に固定されていないので、収容座3の間隔の違いによって卵Eの充填位置が多少ずれても吸盤10の弾力および、卵Eに押された八個詰め容器2がわずかに動くことで目的の収容座3に充填することができる。
【0037】
12個の卵Eがすべて収容座3に接触すると吸盤10は卵Eから離れ、八個詰め容器2への充填が完了する。八個詰め容器2に卵Eが充填されると、容器搬送部1は再び容器搬送方向へ八個詰め容器2の搬送を開始する。
【0038】
八個詰め容器2の搬送が再開されると、卵Eが充填されていない収容座3が収容座検出部12に到達するまで容器搬送部1は八個詰め容器2を容器搬送方向へ搬送し続ける。容器搬送方向の下流では、テープシーラーなどの封緘装置が設けられており、収容座3すべてに卵Eが充填された八個詰め容器2は、封緘装置によって蓋4が閉じられ、封緘される。
【0039】
八個詰め容器2への卵Eの充填が完了した移載部7は上昇し、再び卵搬送部5上の二点鎖線で示した位置(卵吸着位置)へ移動したあと、トレイ6の3行目と4行目に収容されている2行×6列(12個)の卵Eをトレイ6から取り出し、一連の動作を繰り返す。
【0040】
本発明の第1実施例に係る卵包装装置によれば、どのような種類の容器であっても、移載部7が常に卵搬送部5上の同じ位置で卵Eを吸着して取り出し、常に容器搬送部1上の同じ位置で容器に卵Eを充填することができるので、複雑な制御を必要とせず、移載部7の構造や制御を単純にしながら処理を高速化することができる。
【0041】
なお、本実施例は八個詰め容器2に卵Eを移載する動作について説明を行ったが、本発明に係る卵包装装置の容器搬送部1には従来の卵包装装置ようにエンドレスチェーンに固定されたドグを用いないので、十二個詰め容器・十個詰め容器・八個詰め容器・六個詰め容器・四個詰め容器などの様々な種類の容器を搬送することができる。
【0042】
次に、本発明の卵包装装置の第2実施例について、図面を参照して具体的に説明する。第2実施例の説明において、第1実施例と共通するものについては同一符号を付して、その説明を省略する。
【実施例2】
【0043】
図4は、本発明の第2実施例に係る卵包装装置が四個詰め容器13に卵Eを一括して充填している状態を示す図である。
収容座検出部12aは、容器搬送部1によって搬送される四個詰め容器13の収容座3を検出するための光学センサである。収容座検出部12aは隣接した状態で搬送されてくる複数の四個詰め容器13の収容座3を検出する検出装置であればよいので、光学センサに限られない。収容座検出部12aは、透明な合成樹脂製の容器やパルプモールドと呼ばれる紙製の容器の収容座を検出できるセンサであれば良い。
【0044】
収容座検出部12bは、容器搬送部1によって搬送される四個詰め容器13の収容座3を検出し、検出した収容座3の間隔を計測するための光学センサである。収容座3の検出をON/OFF信号で制御部に送り、制御部はそのON/OFF信号の間隔から収容座3の間隔を計測する。
【0045】
収容座検出部12bを通過した収容座3の間隔を計測することで、移載部7によって卵Eが一括して充填される収容座3の先頭から最後尾までの間隔Lを知ることができる。収容座検出部12bは、収容座検出部12aと同様に隣接した状態で搬送されてくる複数の容器の収容座を検出する検出装置であればよいので、光学センサに限られない。
【0046】
次に、上述した本発明の第2実施例に係る卵包装装置による充填動作について説明する。
実施例1のようにトレイ6から卵Eを取り出した移載部7は、容器搬送部1上の卵充填位置へ移動して停止する。容器搬送方向の上流側に設置されている容器供給装置から供給された四個詰め容器13は、容器搬送方向に対して収容座3が2列縦隊となるように隣接した状態で容器搬送部1上を容器搬送方向へ搬送される。
【0047】
四個詰め容器13の収容座3が収容座検出部12bの前を通過すると、収容座3の存在の有無に応じたON/OFF信号が収容座検出部12bから制御部へ送られ、そのON/OFF信号の間隔と容器搬送部1が搬送した四個詰め容器13の移動量から、卵Eを充填する先頭から最後尾までの収容座3の間隔Lがわかる。
【0048】
さらに容器搬送方向の下流へ搬送される四個詰め容器13は卵充填位置に到達すると収容座検出部12aによって収容座3が検出され、卵検出部11によって収容座3に充填されている卵Eが検出される。このとき、収容座検出部12aによって検出された収容座3に卵Eが充填されていれば四個詰め容器13はさらに容器搬送方向下流側へ搬送されるが、収容座3に卵Eが充填されていなければ、卵検出部11は制御部へ当該収容座に卵Eがないという信号を制御部へ送る。
【0049】
収容座3に卵がないという信号を受け取った制御部は、当該収容座3(先頭)から一括して充填される最後尾の収容座3までの間隔Lの中心が、移載部7のヘッド9に取り付けられた吸盤10の先頭から最後尾までの間隔Mの中心と一致するように四個詰め容器13の停止位置を制御する。
【0050】
移載部7は、卵充填位置で停止している四個詰め容器13に卵Eを充填するために図4に示すように下降を開始し、さらに12個の卵Eがすべて収容座3に接触するまで下降する。
上述のように移載部7によって移載される卵Eは12個であり、一つの四個詰め容器13では12個の卵Eをすべて受け取ることができないので、図4に示すように3つ以上の四個詰め容器13にまたがって充填される。
【0051】
12個の卵Eがすべて収容座3に接触すると吸盤10は卵Eから離れ、四個詰め容器13への充填が完了する。四個詰め容器13に卵Eが充填されると、容器搬送部1は再び容器搬送方向下流側へ四個詰め容器13の搬送を開始する。
【0052】
四個詰め容器13の搬送が再開されると、卵Eが充填されていない収容座3が収容座検出部12aに到達するまで容器搬送部1は停止せず四個詰め容器13を搬送し続ける。容器搬送方向の下流にはテープシーラーなどの封緘装置が設けられており、収容座3すべてに卵Eが充填された四個詰め容器13は、封緘装置によって蓋が閉じられ、封緘される。
【0053】
本発明の第2実施例に係る卵包装装置によれば、実施例1のように容器を別の種類に切り換えるとき、その容器の種類をあらかじめ入力したり、容器に取り付けたバーコードなどによって容器の種類を識別したりする必要がなく、様々な種類の容器を混在させることも可能となる。
また、卵Eを一括して充填する収容座の先頭から最後尾までの間隔Lがわかるので、間隔Lの中心が移載部7のヘッド9に取り付けられた吸盤10の間隔Mの中心となるように容器を停止させる位置を調節することができ、より正確に卵Eを収容座に充填することが可能となる。
【0054】
さらに、本実施例では、収容座検出部12bが収容座3の間隔を計測するだけでなく、容器が収容座検出部12bから所定の距離だけ搬送されたときに容器を停止させるようにすれば、収容座検出部12aは設けなくとも容器を停止させることができる。ほかに、移載部7によって卵Eを一括して充填できない程度に大きく容器同士の間隔が開いている場合は、収容座検出部12bから制御部へ容器の供給異常を知らせる信号を送り、容器の搬送を停止すると同時に供給異常を知らせる警報を鳴らして作業者に知らせるといったこともできる。
【0055】
なお、本発明の実施例に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施例に記載されたものに限定されない。
【符号の説明】
【0056】
1 容器搬送部
2 八個詰め容器
3 収容座
4 蓋
5 卵搬送部
6 トレイ
7 移載部
8 アーム
9 ヘッド
10 吸盤
11 卵検出部
12 収容座検出部
13 四個詰め容器
50a ドグ
50b エンドレスチェーン
51 容器搬送部
55 卵搬送部
57 移載部
58 アーム
59 ヘッド
60 吸盤
E 卵

【特許請求の範囲】
【請求項1】
卵包装装置であって、
長軸を鉛直方向としてN列で収容された卵を搬送する卵搬送部と、
前記卵搬送部から2行×N列で取り出した卵を容器の収容座に一括して充填する移載部と、
前記移載部が卵を充填する収容座が2列縦隊となるように複数の容器を隣接させて搬送する容器搬送部と、
前記容器搬送部によって搬送される容器の収容座を検出する収容座検出部と、
前記収容座検出部が検出した収容座に充填されている卵を検出する卵検出部と、
前記卵検出部が収容座に卵を検出しない場合に容器を停止させる制御部と
を備える卵包装装置。
【請求項2】
前記制御部が容器の種類に応じて容器を停止させる位置を変更する停止位置変更部をさらに備える請求項1に記載の卵包装装置。
【請求項3】
前記停止位置変更部は、前記収容座検出部を容器搬送方向の上流または下流へ移動させる移動部を含む請求項2に記載の卵包装装置。
【請求項4】
卵包装方法であって、
長軸を鉛直方向としてN列で収容された卵を搬送するステップと、
2行×N列で取り出した卵を容器の収容座に一括して充填するステップと、
収容座が2列縦隊となるように複数の容器を隣接させて搬送するステップと、
搬送される容器の収容座を検出するステップと、
前記収容座を検出するステップで検出した収容座に充填されている卵を検出するステップと、
前記卵を検出するステップで収容座に卵を検出しない場合に容器を停止させるステップと
を備える卵包装方法。
【請求項5】
容器の種類に応じて容器を停止させる位置を変更するステップをさらに備える請求項4に記載の卵包装方法。
【請求項6】
前記容器を停止させる位置を変更するステップは、収容座検出部を容器搬送方向の上流または下流へ移動させるステップを含む請求項5に記載の卵包装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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