説明

卵菌類の真菌病原体を防除するための組成物及び方法

本発明は、卵菌類の病原体により誘発される病気を1つ又はそれ以上の植物において防除するための殺真菌剤組成物及びその使用に関連する。本発明の方法は、遊走子を産生する卵菌類の病原体によって病気にかかる危険性のある植物を、有効量の殺真菌剤、遊走子誘引剤及び遊走子誘引性誘導体の少なくとも1つ、1つ又はそれ以上の結合剤、並びに、必要な場合には他の不活性配合成分を含む組成物と接触させることを含む。或いは、本発明の組成物は、異なる殺真菌剤の混合物と同様に、異なる遊走子誘引剤及び遊走子誘引性誘導体から構成され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2009年10月13日出願の米国仮特許出願第61/251,037号の利益を主張しており、これは参照によって本明細書中に明確に組み込まれる。
【0002】
本発明は、卵菌類の真菌植物病原体を防除するために好適な方法及び組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
いくつかの卵菌偽菌類、例えば、ジャガイモの葉枯れ病の原因であるフィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)、及び、ブドウのべと病を引き起こすプラスモパラ・ビチコラ(Plasmopara viticola)などの無性生活環の期間中に、胞子が、胞子嚢と呼ばれる病原体によって産生される。好適な条件下で、胞子嚢の内容物は、遊走子と呼ばれるさらなる胞子を形成する。遊走子は鞭毛を有しており、水の中を泳ぐことができ、すなわち、遊走子は運動性を有する。遊走子は、植物に感染するために、植物の気孔に、或いは、その他の葉、茎、根、種子又は塊茎上の適する個所に泳ぎ、その近くでシスト形成することによって主要な感染媒介者として働く。葉面上において、その後、発芽中のシストからの発芽管によって気孔の中に入るか、或いは、場合により、シスト形成した遊走子からの発芽管が植物又は根の表面を直接に貫通し得る。
【0004】
これまでの研究では、遊走子を誘引することが知られているいくつかの化学物質が特定されている。これらの遊走子誘引物質は一般には、遊走子による走化性応答を生じさせる物質又は化合物として記載されることがある。遊走子誘引物質の化学物質の例が、論文、「Fatty acids, aldehydes and alcohols as attractants for zoospores of Phytophthora palmivora」 Nature, volume 217, p448, Cameron及びCarlile著に開示される。遊走子誘引物質のさらなる例が、論文、「Biology of Phytophthora zoospores」 in Phytopathology, volume 60, pp1128-1135 by Hickman、また、「Chemotactic response of zoospores of five species of Phytophthora」in Phytopathology, volume 63, pp1511-1517 Khew及びZentmeyer著において見出され得る。上記論文のそれぞれの開示が参照によって本明細書中に明確に組み込まれる。一般に、これらの遊走子誘引性の化学物質又は物質は植物の根領域によって産生され、遊走子が感染のための地点を見つけることを可能にすることによって根圏における感染プロセスを高め得る。植物の葉又は葉面上の特定部位もまた、遊走子を誘引する物質を産生することが可能である。
【0005】
被試験物質を発散する毛細管を用いる方法を含めて、様々な発表された方法を使用して、物質を走化性によりその遊走子誘引能について試験することができる。そのような方法は広範囲に適用可能であり、例えば、下記のような様々な刊行物に記載される:
Donaldson, S. P.及びJ. W. Deacon. 1993. New Phytologist, 123: 289-295.
Tyler, B. M., H-M. Wu, J-M. Wang, W. Cheung及びP. F. Morris. 1996. Applied and Environmental Microbiology, 62: 2811-2817.
Khew, K. I.及びG. A. Zentmeyer. 1973. Phytopathology, 63: 1511-1517.
【0006】
一般に、走化性によりその遊走子誘引能について試験される化合物は、十分な水溶性を有しなければならないか、又は、水溶性が低いならば、試験される化合物は、試験化合物の十分な濡れ及び放出を可能にするための好適な物理的形態でなければならない。好適な物理的形態には、水不溶性溶媒に溶解される適切に乳化されたサンプル、或いは、サンプルが、毛細管システムで試験するために、水における十分な濡れ及び分散を有し、かつ、(10ミクロン未満の)好適なサイズであるように、適切な界面活性剤とともに湿式粉砕又は乾式粉砕されている固体が含まれ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、卵菌類の真菌植物病原体を防除する新しい方法及び組成物を提供する。本発明の組成物は典型的には、改善された病気防除をもたらす、遊走子を産生し得る卵菌類の真菌を防除するために好適な組成物であって、農業的有効量の1つ又はそれ以上の殺真菌剤、遊走子誘引剤及び遊走子誘引性誘導体の少なくとも1つ、1つ又はそれ以上の結合剤、並びに、必要な場合にはその他の不活性配合成分を含む組成物を含む。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、卵菌類の病原体により誘発される病気を1つ又はそれ以上の植物において防除するための殺真菌剤組成物及びその使用に関連する。本発明の方法は、遊走子を産生する卵菌類の病原体によって病気にかかる危険性のある植物を、有効量の殺真菌剤、遊走子誘引剤及び遊走子誘引性誘導体の少なくとも1つ、1つ又はそれ以上の結合剤、並びに、必要な場合にはその他の不活性配合成分を含む組成物と接触させることを含む。或いは、本発明の組成物は、種々の殺真菌剤の混合物と同様に、種々の遊走子誘引剤及び遊走子誘引性誘導体から構成され得る。
【発明を実施するための形態】
【0009】
いかなる理論によっても拘束されることを望むものではないが、可動性かつ水溶性の遊走子誘引剤及び殺真菌剤の点源(point source)生じさせるために殺真菌剤粒子を遊走子誘引剤又は遊走子誘引性誘導体のごく近くに置くことにより、組成物の有効性が有益に高まり得ることが考えられる。本発明の組成物では、結合剤が、マトリックス、被覆物を提供するために役立ち、又は、接着剤のように作用し、それにより、殺真菌剤と、遊走子誘引剤又は遊走子誘引性誘導体とが互いにごく近接して保持される。本発明の組成物は、噴霧混合物におけるそれぞれの個々の構成成分を別々にタンク混合することと比較したとき、噴霧適用における改善された病気防除を提供することができる。加えて、植物表面における限定された再分布を有する殺真菌剤を含めて、より広い範囲の殺真菌剤を使用することができる。
【0010】
いかなる理論によっても拘束されることを望むものではないが、遊走子誘引剤又は遊走子誘引性誘導体と、1つ又はそれ以上の結合剤と、必要な場合にはその他の不活性配合成分とを使用することにより、遊走子活性な殺真菌剤、例えば、チオカルバマート系薬剤、例えば、マンコゼブ、マネブ、ジネブ、チラム、プロピネブ又はメチラムなど;銅に基づく殺真菌剤、例えば、水酸化銅、オキシ塩化銅又はボルドー液など;フタルイミド系殺真菌剤、例えば、カプタン又はホルペットなど;アミスルブロム;ストロビルリン(strobilurin)系薬剤、例えば、アゾキシストロビン、トリフロキシストロビン、ピコキシストロビン、クレソキシム−メチル、ピラクロストロビン、フルオキサストロビンおよびその他のもの;ファモキサドン;フェナミドン;メタラキシル;メフェノキサム;ベナラキシル;シモキサニル;プロパモカルブ;ジメトモルフ;フルモルフ;マンジプロパミド;イプロバリカルブ;ベンチアバリカルブ−イソプロピル;バリフェナル(valiphenal)、バリフェネート(valiphenate);ゾキサミド;エタボキサム(ethaboxam);シアゾファミド;フルオピコリド;フルアジナム;クロロタロニル;ジチアノン;ホセチル−AL、亜リン酸;トリルフルアニド、アミノスルホン系薬剤、例えば、4−フルオロフェニル(1S)−1−({[(1R,S)−(4−シアノフェニル)エチル]スルホニル}メチル)−プロピルカルバマートなど、又は、トリアゾロピリミジン系化合物、例えば、アメトクトラジン(ametoctradin)、及び、下記式I:
【化1】


(式中、R1は、エチル、1−オクチル、1−ノニル又は3,5,5−トリメチル−1−ヘキシルである;および、R2は、メチル、エチル、1−プロピル、1−オクチル、トリフルオロメチル又はメトキシメチルである)
によって示される化合物などの有効性が高まり得ることが考えられる。
【0011】
有用な遊走子誘引剤は、植物の種類、真菌病原体及び環境条件に応じて異なり得る。典型的な遊走子誘引剤には、C4−C8アルデヒド、C4−C8カルボン酸、C3−C8アミノ酸、C4−C8アルコール、フラボン、フラバン及びイソフラボン、アミン、糖、C4−C8ケトン、スチルベン、ベンゾイン、ベンゾアート、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ビフェニル、クマリン、クロマノン、テトラロン及びアントラキノンが含まれ得る。
【0012】
好適な遊走子誘引性C4−C8カルボン酸には、イソカプロン酸、イソ吉草酸、吉草酸、カプロン酸、ケイ皮酸、及び、誘引剤分子を好適な条件下で放出することができるそれらのC1−C8エステル誘導体が含まれ得る。好適な遊走子誘引性C3−C8アミノ酸には、アスパラギン、L−アスパルタート(アスパラギン酸)、L−グルタマート、L−グルタミン、L−アスパラギン、L−アラニン、アルギニン、ロイシン及びメチオニンが含まれ得る。好適な遊走子誘引性C4−C8アルコールには、イソアミルアルコールが含まれ得る。
【0013】
好適な遊走子誘引性のフラボン及びイソフラボンには、コクリオフィリンA(5−ヒドロキシ−6,7−メチレンジオキシフラボン)、4’−ヒドロキシ−5,7−ジヒドロキシフラボン、ダイドゼイン(7,4’−ジヒドロキシイソフラボン)、ゲニステイン(5,7,4’−トリヒドロキシイソフラボン)、5,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメトキシ−6,7−メチレンジオキシフラボン、プルネチン(5,4’−ジヒドロキシ−7−メトキシイソフラボン)、N−trans−フェルロイル−4−O−メチルドーパミン、それぞれダイドゼイン及びゲニステインの炭水化物複合体であるダイズイン及びゲニスチン、ビオカニンA、フォルモノネチン並びにイソフォルモノネチンが含まれ得る。
【0014】
好適な遊走子誘引性のアミンには、イソアミルアミン及びそのアミド誘導体が含まれ得る。
【0015】
好適な遊走子誘引性の糖には、天然に存在する単糖類及び二糖類、例えば、D−グルコース、D−マンノース、L−フコース、マルトース、D−フルクトース及びスクロースなどが含まれ得る。
【0016】
好適な遊走子誘引性C4−C8ケトンには、4−メチル−2−ペンタノン、3−メチル−2−ペンタノン、3,3−ジメチル−2−ブタノン、並びに、誘引性分子を好適な条件下で放出することができるそれらの誘導体、例えば、ヒドラゾン、アシルヒドラゾン、オキシム、ニトロン、イミン、エナミン、重亜硫酸塩付加化合物、ケタール、及び、尿素との縮合生成物などが含まれ得る。
【0017】
好適な遊走子誘引性C4−C8アルデヒドには、イソバレルアルデヒド、2−メチルブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ブチルアルデヒド、4−メチルペンタナール、3,3−ジメチルブチルアルデヒド、3−メチルチオブチルアルデヒド、2−シクロプロピルアセトアルデヒド、3−メチルクロトンアルデヒド、2−エチルクロトンアルデヒド、クロトンアルデヒド、2−メチルクロトンアルデヒド、フルフラール(2−フルアルデヒド)、2−チオフェンカルボキシアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、シクロプロパンカルボキシアルデヒド、2,3−ジメチルバレルアルデヒド、2−メチルバレルアルデヒド、テトラヒドロフラン−3−カルボキシアルデヒド及びシクロペンタンカルボキシアルデヒド、並びに、誘引剤分子を好適な条件下で放出することができるそれらの誘導体、例えば、ヒドラゾン、アシルヒドラゾン、オキシム、ニトロン、アミナール、イミン、エナミン、重亜硫酸塩付加化合物、アセタール、及び、尿素との縮合生成物などが含まれ得る。
【0018】
好ましい遊走子誘引剤は、イソバレルアルデヒド、2−メチルブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ブチルアルデヒド、4−メチルペンタナール及び3,3−ジメチルブチルアルデヒドである。
【0019】
遊走子誘引剤に加えて、遊走子誘引性誘導体もまた、様々な目的のために、例えば、遊走子誘引剤分子の制御された放出などのために本発明の組成物において使用することができる。遊走子誘引性誘導体は、一般には遊走子誘引剤分子から作製又は由来する化学化合物である。遊走子誘引性誘導体は遊走子誘引剤との組合せで使用することができ、又は、独立して使用することができる。好適な遊走子誘引性誘導体、例えば、遊走子誘引剤のヒドラゾン誘導体などを、誘導体が植物表面又は植物隣接区域において水と接触する場合、遊走子誘引剤の制御された放出のために使用することができる。遊走子誘引性誘導体からの遊走子誘引剤の制御された放出は、植物表面における遊走子誘引剤のより長い残留性を提供することによって遊走子誘引剤のより効率的な使用を可能にすることができ、これに対して、遊走子誘引剤だけの使用では、遊走子誘引剤の急速な喪失が、蒸発又は水で洗い落とされることにより引き起こされる可能性があり、従って、誘引剤の効果が低下し得る。ヒドラゾン誘導体技術の例が、PCT特許出願番号WO2006016248、及び、論文、「Controlled release of volatile aldehydes and ketones by reversible hydrazone formation-'classical' profragrances are getting dynamic」 Levrand他、ケミカルコミュニケーションズ(ケンブリッジ、英国)より発行 (2006) pp2965-2967 (ISSN: 1359-7345)に含まれる。上記参考文献のそれぞれの開示は、参照によって本明細書中に明確に組み込まれる。
【0020】
本発明の好ましい遊走子誘引性誘導体は、イソフタル酸ジヒドラジドビス−イソバレルアルデヒドヒドラゾン、テレフタル酸ジヒドラジドビス−イソバレルアルデヒドヒドラゾン、イソバレルアルデヒドのセミカルバゾン、カルボヒドラジドビス−イソバレルアルデヒドヒドラゾン、オキサリルジヒドラジドビス−イソバレルアルデヒドヒドラゾン、マロン酸ジヒドラジドビス−イソバレルアルデヒドヒドラゾン、コハク酸ジヒドラジドビス−イソバレルアルデヒドヒドラゾン、グルタル酸ジヒドラジドビス−イソバレルアルデヒドヒドラゾン、アジピン酸ジヒドラジドビス−イソバレルアルデヒドヒドラゾン、ピメリン酸ジヒドラジドビス−イソバレルアルデヒドヒドラゾン、セバシン酸ジヒドラジドビス−イソバレルアルデヒドヒドラゾン、酢酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾン、プロピオン酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾン、酪酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾン、吉草酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾン、カプロン酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾン、ヘプタン酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾン、オクタン酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾン、ノナン酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾン、デカン酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾン、ドデカン酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾン、テトラデカン酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾン、ヘキサデカン酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾン、ステアリン酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾン、イソバレルアルデヒドの4−フェニルセミカルバゾン、安息香酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾン、及び、イソバレルアルデヒドと、尿素との縮合に由来する化合物である。
【0021】
結合剤は、殺真菌剤と、遊走子誘引剤又は遊走子誘引性誘導体とを互いに近接させ結びつけることができる本発明の構成成分である。1つの実施形態において、結合剤は、異なる構成成分の粒子が互いに密接に会合又は結合することを可能にし、その結果、殺真菌剤の粒子と、遊走子誘引剤の粒子又は遊走子誘引性誘導体の粒子とを含有する団粒状粒子であって、その後、様々な構成成分を植物上又は植物の近くにおいて放出するための点供給源として役立ち得る粒子が形成され得るようにする被覆物又はマトリックスを提供するために役立ち得る。
【0022】
本発明の好適な結合剤には、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、アミノ酸、多糖、リグニン、ゼラチン、ガム質、セルロース、キトサン、天然ラテックス、ウッドロジン及びそれらの修飾された誘導体及びそれらの組合せ、並びに、人工ポリマー、例えば、ポリオレフィン、例えば、ポリアレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、及び、ポリ(置換ブタジエン)、例えば、ポリ(2−t−ブチル−1,3−ブタジエン)、ポリ(2−クロロブタジエン)、ポリ(2−クロロメチルブタジエン)、ポリフェニルアセチレン、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブテン、ポリシクロペンチルエチレン及びポリシクロヘキシルエチレン、ポリスチレン、ポリ(アルキルスチレン)、ポリ(置換スチレン)、ポリ(ビフェニルエチレン)、ポリ(1,3−シクロヘキサジエン)、ポリシクロペンタジエン、ポリアクリラート(ポリアルキルアクリラート及びポリアリールアクリラートを含む)、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリラート(ポリアルキルメタクリラート及びポリアリールメタクリラートを含む)、ポリアセテート、ポリビニルピロリドン、ポリ置換エステル、例えば、ポリ(ジ−n−ブチルイタコナート)及びポリ(アミルフマラート)、ポリビニルエーテル、例えば、ポリ(ブトキシエチレン)及びポリ(ベンジルオキシエチレン)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン)、ポリビニルクロリド、ポリビニリデンクロリド、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタート、ポリビニルカルボキシラートエステル、例えば、ポリビニルプロピオナート、ポリビニルブチラート、ポリビニルカプリラート、ポリビニルラウラート、ポリビニルステアラート、ポリビニルベンゾアート、ポリウレタン、エポキシ樹脂及びその他、並びに、それらの修飾された誘導体、それらの組合せ及びそれらのコポリマー、並びに、無機化合物、例えば、金属塩及び金属酸化物など、並びに、その他の結合剤とのそれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。これらの人工ポリマーはそのまま使用することができ、又は、ラテックスとして一般に公知である水における粒子分散物として使用することができる。
【0023】
好ましい結合剤が、タンパク質、例えば、卵アルブミンなど、人工ラテックス、部分加水分解されたポリビニルアルコール、部分加水分解されたポリビニルアルコールのコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンのコポリマー、修飾デンプン、キトサン、金属塩及び金属酸化物、並びに、それらの混合物である。
【0024】
ラテックスは一般には、水性媒体におけるポリマー微小粒子の安定な分散物として定義される。ラテックスは天然物又は合成物であり得る。自然界に見出されるようなラテックスが、空気にさらされると凝固する多くの植物に存在する乳白色の樹液様流体である。そのような樹液様流体は、タンパク質、アルカロイド、デンプン、糖、オイル、タンニン、樹脂及びガム質が見出される複雑なエマルションである。人工ラテックスゴムは、水系において界面活性剤により乳化されているモノマー又はモノマーを重合することによって、又は、粉末化ポリマーを水に分散することによって作製される。
【0025】
本発明の組成物における好ましい結合剤であるラテックスは、アクリル系ラテックス、ビニルアクリル系ラテックス、メタクリル系ラテックス、ビニルメタクリル系ラテックス及びスチレン−ブタジエン系ラテックス、並びに、それらの混合物、コポリマー及び誘導体である。アクリル含有ラテックス及びメタクリル含有ラテックスは、C1−C20アルコールに由来するエステル基を含む。
【0026】
不活性なものは、キャリア、湿潤化剤、補助剤、分散化剤、安定剤、レオロジー添加物、凝固点降下剤、抗菌剤、結晶化阻害剤、水及び当分野では公知であるその他の好適な構成成分として定義される。
【0027】
本発明の組成物は、本発明の構成成分を好適な粒子サイズで水に好適に分散し、その後、生じた分散物を、乾燥した水和性粉末を提供するために、例えば、噴霧乾燥によって乾燥することによって調製することができる。乾燥することを、噴霧乾燥、ドラム乾燥、又は、当業者には公知であるその他の方法によって達成することができる。乾燥粉末又は水和性粉末はさらに、公知の方法を使用してその他の配合物の種類、例えば、分散性顆粒(DG)、懸濁高濃度物(SC)又は油性分散物(OD)などに加工することができる。
【0028】
本発明の組成物は、配合物の10重量%〜90重量%を構成する1つ又はそれ以上の殺真菌剤、配合物の1重量%〜20重量%を構成する1つ又はそれ以上の結合剤、配合物の1重量%〜25重量%を構成する遊走子誘引剤及び遊走子誘引性誘導体の1つ又はそれ以上、並びに、配合物の1重量%〜90重量%を構成する1つ又はそれ以上の不活性成分を含有することができる。
【0029】
本発明の上記組成物は、病原体、フィトフトラ・インフェスタンス、プラスモパラ・ビチコラ、フィトフトラ・カプシシ(Phytophthora capsici)及びシュードペロノスポラ・クベンシス(Pseudoperonospora cubensis)により引き起こされる病気を防除することにおいて特に効果的であることが見出されている。様々な植物、例えば、トマト、ジャガイモ、コショウ、ブドウ、ウリ科植物、レタス、豆類、モロコシ、トウモロコシ、柑橘類、芝草、ペカン、リンゴ、西洋ナシ、ホップ及びアブラナ科植物など(これらに限定されない)のために同様に防除され得るその他の病原体には、ブレミア・ラクツカエ(Bremia lactucae)、フィトフトラ・ファセオリ(Phytophthora phaseoli)、フィトフトラ・ニコチアネ・パラシチカ変種(Phytophthora nicotiane var. parasitica)、スクレロスポラ・グラミニコラ(Sclerospora graminicola)、スクレロフトラ・ライシアエ(Sclerophthora rayssiae)、フィトフトラ・パルミボラ(Phytophthora palmivora)、フィトフトラ・シトロホラ(Phytophthora citrophora)、スクレロフトラ・マクロスポラ(Sclerophthora macrospora)、スクレロフトラ・グラミニコラ(Sclerophthora graminicola)、フィトフトラ・カクトルム(Phytophthora cactorum)、フィトフトラ・シリンゲ(Phytophthora syringe)、シュードペロノスポラ・フムリ(Pseudoperonospora humuli)及びアルブゴ・カンジダ(Albugo candida)が含まれるが、これらに限定されない。
【0030】
植物における病気発生を防除又は防止する際に用いられる本発明の組成物の有効量は多くの場合、例えば、植物の種類、植物の成長段階、環境条件の厳しさ、真菌病原体及び適用条件に依存する。典型的には、真菌からの保護、真菌防除又は真菌排除を必要としている植物を、約0.1ppmから約5000ppmまでの量の遊走子誘引剤又は遊走子誘引性誘導体(好ましくは、約1ppm〜約1000ppmの誘引剤又は遊走子誘引性誘導体)、及び、約1ppmから40,000ppmまでの量での1つ又はそれ以上の殺真菌剤(好ましくは、約10ppm〜20,000ppmの1つ又はそれ以上の殺真菌剤)を提供する、キャリア、例えば、水などで希釈された本発明の組成物と接触させる。接触は、効果的な様式であれば、どのような様式であってもよい。
【0031】
例えば、植物の任意の部分、例えば、葉又は茎を、遊走子誘引剤又は遊走子誘引性誘導体を殺真菌剤の有効な割合と混合されて含有する本発明の組成物と接触させることができる。そのような組成物を、植物の葉、花、実及び/又は茎に適用することができ、また、様々な場合において、種子、根、塊茎に対して、又は、植物が成長している根圏全体において適用するとき、そのような組成物はまた、病気防除を改善するために効果的であり得る。
【0032】
本発明の上記組成物を、植物の葉に対して、或いは、植物に隣接する土壌又は区域に対して適用することができる。加えて、農業用活性成分、例えば、除草剤、殺昆虫剤、殺菌剤、殺線虫剤、殺ダニ剤、殺生物剤、殺シロアリ剤、殺鼠剤、軟体動物駆除剤、節足動物駆除剤、肥料、植物の生理学又は構造の改変剤、及び、フェロモンなどのあらゆる組合せと本発明の組成物を混合し、又はそれらと共に適用することができる。
【0033】
調製
噴霧乾燥による本開示の組成物の代表的調製(下記の表3におけるサンプル57)
【0034】
69gの水、0.83gの15%ポリビニルアルコール水溶液(Celvol205)及び0.75gのリグノスルホン酸ナトリウム(Borresperse Na)の溶液を分散用攪拌機により十分に撹拌し、その後、(2.2%の湿潤化/分散化用の界面活性剤を含有する)水に分散させた7.8gの24%イソフタル酸ジヒドラジドビス−イソバレルアルデヒドヒドラゾン(下記の表1における化合物A)(これは約2.5ミクロン〜3.0ミクロンの粒子サイズ(d(0.5))に事前にボールミル粉砕された)により処理した。混合物を10分間にわたって十分に撹拌し、その後、0.57gの55% UCAR379Gラテックス水溶液により処理し、最後に、20.8gの85%工業用DITHANE(登録商標)WP(マンコゼブ、Dow AgroSciences,LLCの登録商標)により処理した。得られた混合物をさらに10分間撹拌し、その後、5000rpm〜5500rpmで15分間、Silverson Homogenizerで均質化した(数滴のBreakthru Antifoam9903を加えた)。25gの不揮発性成分を含有する得られた100gの混合物を、Model B−190 Buchi実験室用噴霧乾燥機で噴霧乾燥した:液体供給速度、300mL/hr(シリンジポンプを使用した)、入口温度134℃〜136℃、出口温度88℃〜93℃、600mL/分のノズル空気流量、5barのノズル圧力、及び、アスピレーター真空ポンプをプロセスの最後で使用した(これはBuchi噴霧乾燥機の一部であった)。噴霧乾燥された固体をサイクロンコレクターで集めて、(MasterSizer2000粒子サイズ分析計で水において測定されるとき)10.9ミクロンの平均粒子サイズ(d(0.5))を有する10gの金色固体を得た。この方法又はそのわずかな改変が、表3に列挙されるサンプルを調製するために使用された。
【0035】
下記の表1は、表3に示される本開示の組成物を調製するために使用される遊走子誘引性誘導体を列挙する。
【0036】
【表1】

【0037】
化合物A、化合物B、化合物E及び化合物Fを、対応するヒドラジド出発物質又はビス−ヒドラジド出発物質と、モル過剰のイソバレルアルデヒドとの混合物を、ヒドラジド又はビス−ヒドラジドがイソバレルアルデヒドのモノ−ヒドラゾン又はビス−ヒドラゾンに完全に転換されるまでエタノール溶媒中で加熱還流することによって調製した。その後、生成物を当業者によって一般に使用される方法によって単離及び精製して、プロトンNMR分光法及びCHN元素分析によって特徴づけられた所望される化合物を得た。化合物A、化合物E及び化合物Fは別々に、界面活性剤とともに水においてボールミル粉砕されて、10ミクロン未満の平均粒子サイズ分布(d(0.5))を有するそれぞれの遊走子誘引性誘導体の水性懸濁濃縮物をもたらした。化合物Bは、ミル粉砕することなく使用するために十分に水溶性であった。
【0038】
イソバレルアルデヒド、水及び触媒量の85%リン酸の混合物を機械的に撹拌し、混合物をおよそ40℃に加熱し、その後、混合物を、水に溶解された2モル当量の尿素の溶液により素早く処理することによって、サンプルCが調製された。得られた溶液は、重い白色固体が形成するにつれて、およそ60℃に発熱した。非常に粘性の混合物を周囲温度で1時間撹拌し、存在する固体をろ過によって集め、水により洗浄し、真空オーブンで一定重量に乾燥させた。この物質は界面活性剤とともに水においてボールミル粉砕されて、遊走子誘引性誘導体の水性懸濁高濃度物をもたらした。
【0039】
イソバレルアルデヒドの重亜硫酸ナトリウム付加化合物を水に溶解し、それを水におけるアミノグアニジン塩酸塩の溶液の等モル量により室温で処理することによって、化合物Dを調製した。その後の数日間にわたって結晶化した白色固体を集め、エタノールにより洗浄し、真空乾燥して、ミル粉砕することなく使用するために十分に水溶性であった白色固体を得た。下記の表2は、表3に列挙される本開示のサンプルを調製するために使用される結合剤の説明を提供する。使用されたマンコゼブは、Dow AgroSciences,LLCによって製造される工業用の85% DITHANE(登録商標)(Dow AgroSciences,LLCの商標)であった。ジメトモルフは工業用規格であり、使用前に界面活性剤とともに水においてボールミル粉砕された。
【0040】
【表2】

【0041】
【表3−1】

【0042】
【表3−2】

【0043】
【表3−3】

【0044】
【表3−4】

【0045】
下記の実施例を、温室及び生育チャンバでの実験において行った。
【0046】
ブドウ(Vitis vinifera cv Carignane)、トマト(Lycopersicon esculentum cv Outdoor Girl)及びキュウリ(Cucumis sativus cv Bush Pickle Hybrid #901261)を、MetroMix(商標)生育培地(Scotts、Marysville、OH)を含有する5cm×5cmのポットで種子から成長させた。植物を、14時間の光周期で補助光源を有する温室で栽培し、20℃〜26℃で維持した。健康な植物成長を、完全な範囲の栄養分を含有する薄い液体肥料溶液の定期的な適用により維持した。植物が2枚〜4枚の本葉の成長段階にあるとき、成長がそろっている植物を噴霧適用のために選択し、摘み取った。ブドウは、2枚の本葉を有するように摘み取った;キュウリは、1枚の本葉を有するように摘み取った。
【0047】
候補サンプル及びDITHANE(登録商標)DG NT(マンコゼブ;Dow AgroSciences LLCの商標)を、それぞれの配合物から送達されるマンコゼブ割合が、25ppm、12.5ppm、6.25ppm及び3.12ppmであるように水で調合した。薄い噴霧溶液を、20psiで作動し、かつ、両方の葉表面を完全にカバーするように構成される2つの6128−1/4 JAUPM噴霧ノズル(Spraying Systems、Wheaton、IL)を備える自動化された高容量回転式噴霧装置を使用して適用した。それぞれの処置を3回又は4回繰り返した。噴霧された植物は、噴霧適用後、ランダム化された。
【0048】
植物は配合物適用後18時間〜24時間で接種された。フィトフトラ・インフェスタンス(PHYTIN)の接種物を、固形のライムギ種子寒天において暗所で成長させた培養物から調製した。十分に多くの胞子嚢が存在したとき、脱イオン水を平板に加え、その後、胞子嚢を取り出すために軽く刷毛でこすった。プラスモパラ・ビチコラ(PLASVI)の接種物を、感染したブドウ植物を、胞子形成を促進させるために結露チャンバに一晩入れることによって作製した。十分に多くの胞子嚢を有する葉を脱イオン水に入れ、胞子嚢を取り出すために軽く刷毛でこすった。同様に、シュードペロノスポラ・クベンシス(PSPECU)の接種物を、感染したキュウリ植物を、胞子形成を促進させるために結露チャンバに一晩入れることによって作製した。十分に多くの胞子嚢を有する葉を脱イオン水に入れ、胞子嚢を取り出すために軽く刷毛でこすった。
【0049】
それぞれの病原体の胞子嚢濃度を1mlあたり80,000個の胞子嚢に調節した。植物に、ブドウ、トマト又はキュウリの80個のポットあたりおよそ200mlの体積で、低圧(5psi)の圧縮空気噴霧器により微細なミストを塗布することによって接種した。植物を、植物及び病気により、約16℃〜22℃で維持される結露チャンバにおいて24時間インキュベーションした。その後、トマト及びキュウリは、その後の病気発生のために20℃で維持される十分に照明された生育チャンバに移された。ブドウは14時間の光周期での温室に移され、症状発生のために24℃〜26℃で維持された。トマト及びキュウリにおける病気レベルの目視評価を、非処理であるが、接種されたチェック用植物における病気レベルが75%〜95%病気に達した接種後、4日〜7日で行った。症状がブドウの葉において明確に視認されたとき、葉を、胞子形成を行わせるために結露チャンバの中に入れた。その後、病気レベルの目視評価を、胞子形成している病変部によって覆われる下葉表面のパーセントに基づいて行った。これらの試験の結果が表4〜表6に示される。
【0050】
【表4】

【0051】
【表5】

【0052】
【表6】

【0053】
本発明は、限られた数の実施形態に関して記載されているが、1つの実施形態の具体的特徴が本発明のその他の実施形態に起因すると考えるべきではない。1つの実施形態が本発明のすべての態様を表していない。いくつかの実施形態において、組成物又は方法は、本明細書中に言及されない数多くの化合物又は工程を含むことができる。他の実施形態において、組成物又は方法は、本明細書中に列挙されないいかなる化合物又は工程も含まないか、或いは、本明細書中に列挙されないいかなる化合物又は工程も実質的に含まない。記載された実施形態からの変形及び改変が存在する。最後に、本明細書中に開示されるあらゆる数字は、「約」又は「およそ」の語句が、当該数字を記述することにおいて使用されるかどうかにかかわらず、おおよそであることを意味するように解釈されるべきである。添付された実施形態及び請求項は、すべてのそれらの改変及び変形を、本発明の範囲内に含むものとして包含することを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊走子を産生し得る卵菌類の真菌を防除するために好適な組成物であって、
農業的有効量の殺真菌剤、
遊走子誘引剤及び遊走子誘引性誘導体の少なくとも1つ、並びに結合剤
を含む組成物。
【請求項2】
不活性成分をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記殺真菌剤が、マンコゼブ、マネブ、ジネブ、チラム、プロピネブ、メチラム、水酸化銅、オキシ塩化銅、ボルドー液、カプタン、ホルペット、アミスルブロム、アゾキシストロビン、トリフロキシストロビン、ピコキシストロビン、クレソキシム−メチル、ファモキサドン、フェナミドン、メタラキシル、メフェノキサム、ベナラキシル、シモキサニル、プロパモカルブ、ジメトモルフ、フルモルフ、マンジプロパミド、イプロバリカルブ、ベンチアバリカルブ−イソプロピル、バリフェナル、バリフェナレート、ゾキサミド、エタボキサム、シアゾファミド、フルオピコリド、フルアジナム、クロロタロニル、ジチアノン、トリルフルアニド、4−フルオロフェニル(1S)−1−({[(1R,S)−(4−シアノフェニル)エチル]スルホニル}メチル)プロピル−カルバマート、アメトクトラジン及び下記式1の化合物:
【化2】


(式中、R1は、エチル、1−オクチル、1−ノニル又は3,5,5−トリメチル−1−ヘキシルであり、R2は、メチル、エチル、1−プロピル、1−オクチル、トリフルオロメチル及びメトキシメチルである)
からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記殺真菌剤が、マンコゼブ、クロロタロニル、シモキサニル、メタラキシル、メフェノキサム、ジメトモルフ、マンジプロパミド、プロパモカルブ、フルオピコリド、フルアジナム、メチラム、プロピネブ、フェナミドン及びシアゾファミドから選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記殺真菌剤がマンコゼブである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記遊走子誘引剤が、イソバレルアルデヒド、2−メチルブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ブチルアルデヒド、4−メチルペンタナール、3,3−ジメチルブチルアルデヒド、3−メチルチオブチルアルデヒド、2−シクロプロピルアセトアルデヒド、3−メチルクロトンアルデヒド、2−エチルクロトンアルデヒド、クロトンアルデヒド、2−メチルクロトンアルデヒド、フルフラール(2−フルアルデヒド)、2−チオフェンカルボキシアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、シクロプロパンカルボキシアルデヒド、2,3−ジメチルバレルアルデヒド、2−メチルバレルアルデヒド、テトラヒドロフラン−3−カルボキシアルデヒド及びシクロペンタンカルボキシアルデヒドからなる群から選択されるC4−C8アルデヒドである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記遊走子誘引剤が、イソバレルアルデヒド、2−メチルブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、3,3−ジメチル−ブチルアルデヒド、シクロプロピルアセトアルデヒド、3−メチル−2−ブテンアルデヒド及びバレルアルデヒドである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記遊走子誘引剤がイソバレルアルデヒドである、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記遊走子誘引性誘導体が、イソフタル酸ジヒドラジドビス−イソバレルアルデヒドヒドラゾン、テレフタル酸ジヒドラジドビス−イソバレルアルデヒドヒドラゾン、イソバレルアルデヒドのセミカルバゾン、カルボヒドラジドビス−イソバレルアルデヒドヒドラゾン、オキサリルジヒドラジドビス−イソバレルアルデヒドヒドラゾン、マロン酸ジヒドラジドビス−イソバレルアルデヒドヒドラゾン、コハク酸ジヒドラジドビス−イソバレルアルデヒドヒドラゾン、グルタル酸ジヒドラジドビス−イソバレルアルデヒドヒドラゾン、アジピン酸ジヒドラジドビス−イソバレルアルデヒドヒドラゾン、ピメリン酸ジヒドラジドビス−イソバレルアルデヒドヒドラゾン、セバシン酸ジヒドラジドビス−イソバレルアルデヒドヒドラゾン、酢酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾン、プロピオン酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾン、酪酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾン、吉草酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾン、カプロン酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾン、ヘプタン酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾン、オクタン酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾン、ノナン酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾン、デカン酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾン、ドデカン酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾン、テトラデカン酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾン、ヘキサデカン酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾン、ステアリン酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾン、イソバレルアルデヒドの4−フェニルセミカルバゾン、及び、安息香酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾンの1つである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記結合剤が、タンパク質、アルブミン、天然ラテックス、人工ラテックス、部分加水分解されたポリビニルアルコール、部分加水分解されたポリビニルアルコールのコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンのコポリマー、金属酸化物、金属塩、ゼラチン、キトサン、デンプン、炭水化物、アミノ酸並びにそれらの混合物及び誘導体からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記結合剤が天然ラテックス及び人工ラテックスの1つである、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記人工ラテックスが、アクリル系ラテックス、ビニルアクリル系ラテックス、メタクリル系ラテックス、ビニルメタクリル系ラテックス、スチレン−ブタジエン系ラテックス、並びに、それらの混合物、コポリマー及び誘導体の1つである、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記結合剤が、31,000〜50,000の平均分子量範囲を有する87%〜89%加水分解されたポリビニルアルコールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
乾燥粉末が、前記殺真菌剤、前記遊走子誘引剤及び前記遊走子誘引性誘導体の前記少なくとも1つ、前記結合剤、並びに、前記不活性成分を水に分散及び溶解するステップの1つを行い、その後、得られた分散物を乾燥するステップによって形成される、請求項2に記載の組成物。
【請求項15】
卵菌類の真菌病原体により引き起こされる植物の病気を防除するための方法であって、
請求項1に記載される前記組成物を含む配合物を提供するステップ、
請求項1に記載される前記組成物を含有する前記配合物を好適な農業用キャリアで希釈するステップ、及び
前記配合物を、前記植物、前記植物に隣接する区域、植物の葉、花、茎、実、土壌、種子、発芽中の種子、根、液体及び固体の生育用媒体、並びに、水耕用成長溶液の少なくとも1つに適用するステップ
を含む方法。
【請求項16】
昆虫、植物の病気及び雑草のうちの少なくとも1つを防除する方法であって、
請求項1に記載される前記組成物を含む配合物を提供するステップ、及び
農業用活性成分及び栄養分の少なくとも1つの配合物との混合での農業的有効量の前記配合物を、植物、植物の葉、花、茎、実、前記植物に隣接する区域、土壌、種子、発芽中の種子、根、液体及び固体の生育用媒体、並びに、水耕用成長溶液の少なくとも1つに適用するステップ
を含む方法。
【請求項17】
卵菌類の真菌病原体により引き起こされる植物の病気を防除するために適合化された農業的有効量の殺真菌剤、
遊走子誘引剤及び遊走子誘引性誘導体の少なくとも1つ、及び
前記遊走子誘引剤及び遊走子誘引性誘導体の前記少なくとも1つと、前記殺真菌剤とを密接に結びつけて、団粒状粒子を形成するために適合化された結合剤
を含む団粒状粒子。
【請求項18】
不活性成分をさらに含む、請求項17に記載の団粒状粒子。
【請求項19】
前記殺真菌剤が、マンコゼブ、クロロタニル、シモキサニル、メタラキシル、メフェノキサム、ジメトモルフ、マンジプロパミド、プロパモカルブ、フルオピコリド、フルアジナム、メチラム、プロピネブ、フェナミドン及びシアゾファミドから選択される、請求項17に記載の団粒状粒子。
【請求項20】
前記遊走子誘引剤がイソバレルアルデヒドである、請求項17に記載の団粒状粒子。
【請求項21】
前記遊走子誘引性誘導体が、イソフタル酸ジヒドラジドビス−イソバレルアルデヒドヒドラゾン、テレフタル酸ジヒドラジドビス−イソバレルアルデヒドヒドラゾン、イソバレルアルデヒドのセミカルバゾン、カルボヒドラジドビス−イソバレルアルデヒドヒドラゾン、オキサリルジヒドラジドビス−イソバレルアルデヒドヒドラゾン、マロン酸ジヒドラジドビス−イソバレルアルデヒドヒドラゾン、コハク酸ジヒドラジドビス−イソバレルアルデヒドヒドラゾン、グルタル酸ジヒドラジドビス−イソバレルアルデヒドヒドラゾン、アジピン酸ジヒドラジドビス−イソバレルアルデヒドヒドラゾン、ピメリン酸ジヒドラジドビス−イソバレルアルデヒドヒドラゾン、セバシン酸ジヒドラジドビス−イソバレルアルデヒドヒドラゾン、酢酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾン、プロピオン酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾン、酪酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾン、吉草酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾン、カプロン酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾン、ヘプタン酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾン、オクタン酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾン、ノナン酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾン、デカン酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾン、ドデカン酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾン、テトラデカン酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾン、ヘキサデカン酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾン、ステアリン酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾン、イソバレルアルデヒドの4−フェニルセミカルバゾン、及び、安息香酸ヒドラジドイソバレルアルデヒドヒドラゾンの1つである、請求項17に記載の団粒状粒子。
【請求項22】
前記遊走子誘引性誘導体が、イソバレルアルデヒドと、尿素との縮合生成物である、請求項17に記載の団粒状粒子。
【請求項23】
前記結合剤が、タンパク質、アルブミン、天然ラテックス、人工ラテックス、部分加水分解されたポリビニルアルコール、部分加水分解されたポリビニルアルコールのコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンのコポリマー、金属酸化物、金属塩、ゼラチン、キトサン、デンプン、炭水化物、アミノ酸並びにそれらの混合物及び誘導体からなる群から選択される、請求項17に記載の団粒状粒子。
【請求項24】
卵菌類の真菌病原体により引き起こされる植物の病気を防除する方法であって、
請求項17に記載される前記団粒状粒子を含む配合物を提供するステップ、
請求項17に記載される前記団粒状粒子を含有する前記配合物を好適な農業用キャリアにおいて希釈するステップ、及び
請求項17に記載される前記団粒状粒子を含む配合物の少なくとも1つを、植物、前記植物に隣接する区域、植物の葉、花、茎、実、土壌、種子、発芽中の種子、根、液体及び固体の生育用媒体、並びに、水耕用成長溶液の少なくとも1つに適用するステップ
を含む方法。
【請求項25】
昆虫、植物の病気又は雑草を防除する方法であって、
請求項17に記載される前記団粒状粒子を含む配合物を提供するステップ、及び
農業用活性成分及び栄養分の少なくとも1つの配合物との混合での農業的有効量の前記配合物を、植物、植物の葉、花、茎、実、前記植物に隣接する区域、土壌、種子、発芽中の種子、根、液体及び固体の生育用媒体、並びに、水耕用成長溶液の少なくとも1つに適用するステップ
を含む方法。

【公表番号】特表2013−507450(P2013−507450A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534317(P2012−534317)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/052477
【国際公開番号】WO2011/047025
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(501035309)ダウ アグロサイエンシィズ エルエルシー (197)
【Fターム(参考)】