説明

原子力プラント制御装置、方法、及びプログラム

【課題】熱的制限値よりも短い周期で出力される簡易情報を利用して、熱的制限値を運転制限の限界値に自動制御により近づけることができる原子力プラントの制御技術を提供する。
【解決手段】熱的制限値監視部40において、第1信号S1を受信する第1信号受信部41と、第1信号S1が限界値Gに到達する推定時間fを導出する推定時間導出部45と、推定時間fに到達するまでの時間が設定値mを切ったことを判定して第2信号S2を要求する判定部46と、前記要求により受信した第2信号S2に基づいて第1信号S1を補正する補正部44と、前記補正に同期して第1信号S1及び第2信号S2の変化率を可変させる第1指令J1を送信する第1指令送信部50と、前記補正した第1信号S1又は第2信号S2が限界値G又はその直近の閾値Kに到達した場合にその値を保持させる第2指令J2を送信する第2指令送信部51と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱的制限値を監視しながら原子炉の出力を制御する原子力プラントの制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
沸騰水型原子力プラントにおいては、燃料の健全性を確認する指標である最小限界出力比や最大線出力密度(熱的制限値と称する)が、限界値を超えないように運転及び管理されている。つまり、燃料の表面温度を直接測定することができないために、原子炉物理学に基づく出力分布演算により求められるこのような熱的制限値を、代わりに監視対象としている。
これら熱的制限値は、核反応断面積の分布から数値解析により求めるもので、高度な演算処理が可能な炉心性能演算システムにより、数分から1時間の周期間隔で演算されている。
【0003】
改良型沸騰水型原子力プラントでは、目標とする原子炉出力及びその出力変化を達成するために、制御棒の引抜・挿入操作及び炉心流量の増減操作を自動制御している。
このように原子炉出力を自動制御するにあたり、この熱的制限値を連続的に監視する必要が生じるが、上述した通り出力分布演算に数分の時間を要するために、熱的制限値を連続的に監視することは困難である。
【0004】
このため、熱的制限値を直接監視する代わりに、原子炉の内部に配置されたセンサからリアルタイム送信される信号に簡単な演算を施した簡易情報を、連続的に監視している。
そして、この簡易情報が予め設定された運転制限の限界値を逸脱した場合は、自動操作の解除指令が出力され、制御棒及び炉心流量の自動制御が解除される(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭51−67898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した簡易情報によれば、それ自身の信頼性が低いことに起因して監視が過度に保守的となり、設定された限界値に対してかなりの余裕を残して解除指令が出力される課題がある。
つまり、簡易情報が、設定された限界値に近づいた炉心状態において、実際の熱的制限値は、限界値を大きく下回る場合が多い。このため、制御棒及び炉心流量の自動制御が一度解除された場合でも、出力分布演算により求められる正確な熱的制限値は、限界値に遠く及ばないために、自動制御を再開させる作業を何回も繰り返す課題があった。
【0007】
このように、一度解除された自動制御を再開するには、自動出力調整部、制御棒操作部、再循環流量操作部等の状態を再構築する必要が有り、原子炉の出力調整の工程が煩雑になる。
これにより、制御再開に伴う対応や確認事項の発生による運転員の負荷増大、原子炉の出力調整に要する時間の増大が課題となっている。
このように、従来技術では、自動制御により熱的制限値を運転制限の限界値に近づけることが困難であった。
【0008】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、熱的制限値よりも短い周期で出力される簡易情報を利用して、熱的制限値を運転制限の限界値に自動制御により近づけることができる原子力プラントの制御技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る原子力プラントの制御装置は、第1信号を受信する第1信号受信部と、前記第1信号が限界値に到達する推定時間を導出する推定時間導出部と、前記推定時間に到達するまでの時間が設定値を切ったことを判定して第2信号を要求する判定部と、前記要求により受信した前記第2信号に基づいて前記第1信号を補正する補正部と、前記補正に同期して前記第1信号及び前記第2信号の変化率を可変させる第1指令を送信する第1指令送信部と、前記補正した第1信号又は前記第2信号が前記限界値又はその直近の閾値に到達した場合にその値を保持させる第2指令を送信する第2指令送信部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、熱的制限値よりも短い周期で出力される簡易情報を利用して、熱的制限値を運転制限の限界値に自動制御により近づけることができる原子力プラントの制御技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の原子力プラントの制御装置の実施形態を示す概略図。
【図2】本発明の実施形態に適用される原子炉の水平断面図。
【図3】実施形態に係る原子力プラントの制御装置のブロック図。
【図4】実施形態に係る原子力プラントの制御装置による自動制御の説明図。
【図5】実施形態に係る原子力プラントの制御装置の動作を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
図1に示すように原子炉10は、圧力容器11に保持される炉水を加熱する炉心15と、この加熱された炉水を蒸気と液体に分離する気水分離器14と、分離された蒸気をタービン(図示略)に導く主蒸気管12と、このタービンで仕事をして膨張した蒸気が冷却して凝縮した給水を再び圧力容器11に戻す給水管13と、気水分離された分離水及び戻された給水が合流した炉水を、所定の炉心流量FでダウンカマD、下部プレナムL、上部プレナムUと循環させる再循環ポンプ16と、から構成されている。
【0013】
炉心15は、図2にその水平断面図が示されるように、多数の燃料棒(図示略)が角筒状のチャンネルボックスに収納されてなる燃料集合体17と、中性子吸収によって中性子数を調整し駆動装置19(図1)による引抜・挿入により炉心出力を制御する制御棒18と、この中性子を検出するLPRM検出器21(図1)を4個が一組となるように縦軸方向に配列した計装管20とが、多数配列して構成されている。
このLPRM検出器21は、LPRM信号(第1信号S1)を制御装置30へ連続的に送信している。
【0014】
図1に示すように制御装置30は、炉心性能演算部31と、自動出力調整部32と、制御棒操作部33と、再循環流量操作部34と、熱的制限値監視部40とから構成されている。
【0015】
炉心性能演算部31は、原子炉10に設けられているセンサの検出信号を基に、出力分布演算により熱的制限値(限界出力比又は線出力密度)を高精度で求め、これを第2信号S2として熱的制限値監視部40に送信する。
線出力密度とは、燃料集合体17内の燃料棒(図示略)に対する単位長さ当たりの出力であり、また限界出力比とは、沸騰遷移が起こる燃料集合体17の出力(限界出力)と実際の燃料集合体出力との比である。
【0016】
この炉心性能演算部31におけるこれら熱的制限値(第2信号S2)の演算周期は、第1信号S1の取得間隔に比べて長周期(例えば、30秒程度)である。
この熱的制限値(第2信号S2)は、限界値G(図4参照)よりも充分に小さいときは一定の周期間隔(例えば5分間隔)で出力される一方、後述するように限界値Gに近づくと熱的制限値監視部40からの要求信号Rを受信してから出力される。
【0017】
このように、熱的制限値(第2信号S2)は、その値が高精度で信頼性が高いが、データの取得間隔が長いためにこの熱的制限値(第2信号S2)を直接監視して原子炉出力の自動調整を行うのは困難である。
一方、LPRM信号(第1信号S1)は、データの取得間隔が短く応答性に優れるが、炉心の熱的制限値を直接反映したデータでない。このために、LPRM信号から導かれる簡易情報のみに基づいて原子炉出力の自動調整を行う場合は、制御が過度に保守的になることが避けられない。
【0018】
自動出力調整部32は、熱的制限値監視部40から出力調整指令(第1指令J1)を受信して上昇又は下降する原子炉出力の変化率を可変させたり、解除指令(第2指令J2)を受信して原子炉出力を保持させたりするものである。
ここで、原子炉出力の制御は、原子炉10における炉心流量Fの流量調整と、制御棒18の位置調整とを行うことにより実行される。
制御棒操作部33は、駆動装置19を動作させて制御棒18を所定の位置に所定の速度で移動させるものである。
再循環流量操作部34は、再循環ポンプ16の出力を調整して炉心流量Fを所定の流量に調整するものである。
【0019】
熱的制限値監視部40は、図3に示されるように、第1信号S1を受信する第1信号受信部41と、第1信号S1が限界値G(図4)に到達する推定時間fを導出する推定時間導出部45と、推定時間fに到達するまでの時間が設定値mを切ったことを判定して第2信号S2を要求(要求信号Rを出力)する判定部46と、前記要求により受信した第2信号S2に基づいて第1信号S1を補正する補正部44と、前記補正に同期して第1信号S1及び第2信号S2の変化率を可変させる第1指令J1を送信する第1指令送信部50と、前記補正した第1信号S1又は第2信号S2が限界値G又はその直近の閾値Kに到達した場合にその値を保持させる第2指令J2を送信する第2指令送信部51と、を備えている。なお、メモリ52には、限界値G、閾値K、設定値mが蓄積されている。
【0020】
第1信号受信部41で受信される第1信号S1は、中性子を検出するLPRM検出器21(図1)から出力される検出信号である。なお、この第1信号S1はLPRM検出器21から出力されるものに限定されるものではなく、原子炉10に配置されるセンサから出力される検出信号を適宜用いることができる。
【0021】
第1信号S1は、元々はアナログ信号であるがいずれかのタイミングでデジタル信号に変換され、さらに所定のパラメータを用いた簡単な演算処理により、第2信号S2に模した値に変換される。このために、第1信号S1は、数ミリ秒レベルもしくはそれ以下といった短い周期で取得することができる。
第1信号S1は、このような演算プロセスにより得られることに起因して、真値とみなされる第2信号S2に対し、誤差を有する簡易情報である。従って、第1信号S1は、原子炉プラントの保守的な制御動作を確保するために、この誤差が常にプラス側に振れる様に演算処理される。
【0022】
第2信号受信部42で受信される第2信号S2は、炉心15(図1)内の出力分布演算を行う炉心性能演算部31から送信される最大線出力密度又は最小限界出力比といった演算信号である。なお、この第2信号S2は、そのような演算信号に限定されるものではなく、第1信号S1よりも取得間隔の周期が長いデータを適宜用いることができる。
【0023】
補正式定義部43は、判定部46からの要求信号Rにより受信された第2信号S2に基づいて、その後に受信した第1信号S1を補正するための補正式を定義するものである。なお、定義された補正式は、次の要求信号Rにより第2信号S2が受信されて再定義されるまで、同じ補正式が受信した第1信号S1に適用される。
【0024】
このように、補正式が再定義されるようになるのは、第1信号S1及び第2信号S2が限界値Gに近接して判定部46から要求信号Rが送信されるようになってからのことである。一方、第1信号S1及び第2信号S2が限界値Gに遠く及ばない場合は、炉心性能演算部31から第2信号S2が一定の周期間隔で送信されているが、この場合に補正式を再定義しなくてもよい。
【0025】
補正部44は、第1信号受信部41から第1信号S1を取得したタイミングにおいて、補正式定義部43において最新に定義されている補正式を適用し、この第1信号S1を補正するものである。
推定時間導出部45は、図4に示すように、補正後の第1信号S1を外挿して限界値Gに到達する推定時間f(f1,f2,f3,f4)を導出するものである。
【0026】
判定部46は、図4の◇印で示されるように、導出された推定時間fから第1信号S1が受信された時間を差し引いた値が、設定値mを切ったことを判定して第2信号S2の要求信号Rを炉心性能演算部31に送信する。
この炉心性能演算部31では、要求信号Rを受信してから熱的制限値(第2信号S2)の演算を開始する。そして、図4の○印で示されるように、演算された第2信号S2は、第2信号受信部42に受信される。この◇印から○印に至る期間は、炉心性能演算部31における熱的制限値(第2信号S2)の演算時間と、要求信号R及び第2信号S2の伝送時間とを加算した時間に相当する。
このために、設定値mは、熱的制限値(第2信号S2)の演算時間よりも長く設定される必要がある。
【0027】
変化率可変部47は、図4に示されるように、要求信号R(◇印)に基づく第2信号S2(○印)を受信した時点において、第1信号S1及び第2信号S2の変化率が小さくなるように調整するものである。
第1指令送信部50が送信する第1指令J1は、原子炉10の出力変化率が小さくなるように制御棒操作部33及び再循環流量操作部34に働きかける出力調整指令である。
【0028】
また変化率可変部47は、図4に示されるように、限界値Gへの到達時間Wが予め設定されている場合は、この時間Wにおいて熱的制限値(第2信号S2)が一定値に保持されるようにその変化率を可変するものである。つまり、推定時間導出部45で導出された推定時間fに基づきこの変化率を可変して、到達時間Wにおいて、補正した第1信号S1又は第2信号S2が、限界値G又は閾値Kに到達するように調整する。
【0029】
比較部48は、受信した第2信号S2と閾値Kとを比較して、前者が後者に到達している場合は、解除指令送信部51から解除指令(第2指令J2)を送信させる。
解除指令送信部51が送信するこの第2指令J2は、原子炉10の出力調整を解除するように制御棒操作部33及び再循環流量操作部34に働きかけ、第1信号S1又は第2信号S2が一定値に保持されるようにするものである。
【0030】
図5(適宜図3、図4参照)のフローチャートに基づいて原子力プラントの制御装置の動作を説明する。
まず、コンピュータのプロセッサのメモリ52に、限界値G、閾値K、設定値mを取得させる(S11)。そして、第1信号受信部41においてLPRM検出器21からの第1信号S1を受信する(S12)。
【0031】
次に、補正部44は、補正式定義部43で定義されている補正式を取得するとともに(S13)、受信した第1信号S1を補正する(S14)。さらに推定時間導出部45において、この補正した第1信号S1から外挿線を演算し(S15)、補正した第1信号S1が限界値Gに到達する推定時間fを導出する(S16)。
【0032】
次に判定部46は、第1信号S1の受信時間tが、推定時間fから設定値mを差し引いた時間に到達していれば(S17:Yes)、第1信号S1が限界値Gに到達するまでの時間が設定値mを切ったと判定し、炉心性能演算部31に対し第2信号S2を要求する要求信号Rを出力する(S18)。
【0033】
一方、第1信号S1が限界値Gに到達するまでの時間が設定値mを切っていないと判定される期間や(S17:No)、要求信号Rの送信から第2信号S2が受信されるまでの期間は(S19:No)、S12〜S16までのフローを繰り返す。
そして、第2信号S2が第2信号受信部42において受信された場合(S19:Yes)、補正式定義部43は、要求信号Rに基づき受信した第2信号S2を用いて、第1信号S1を補正するための補正式を再定義する(S20)。
【0034】
次に、受信した第2信号S2が限界値Gに到達しているか否かを判定し、到達していない場合は(S21:Yes)、補正式の再定義に同期して熱的制限値(第1信号S1及び第2信号S2)の変化率を可変させる出力調整指令(第1指令J1)を自動出力調整部32に送信する(S22)。さらに、この第1指令J1を送信した後は、動作フローはS12に戻る。
一方、受信した第2信号S2が限界値Gに到達している場合は(S21:No)、その熱的制限値が保持されるように出力調整を解除する解除指令(第2指令J2)を自動出力調整部32に送信する(S23)。
【0035】
以上述べたように本発明の実施形態によれば、LPRM信号のような簡易情報を利用して原子炉出力を変化させ、炉心性能演算部31により求められた信頼性の高い熱的制限値を監視することにより、自動的に原子炉の出力を調整したり出力調整を解除したりする。
このために、短時間でかつ運転員の負担を増加させることなく熱的制限値を、運転制限の限界値Gの近くまで調整することができる。
【0036】
本発明は前記した実施形態に限定されるものでなく、共通する技術思想の範囲内において、適宜変形して実施することができる。
例えば、原子力プラントの制御装置は、コンピュータによって各手段を各機能プログラムとして実現することも可能である。そして、これら機能プログラムを結合して、発明の実施形態を原子力プラントの制御プログラムとすることも可能である。
また、実施形態において、第2信号S2が閾値に到達したところで出力調整の解除指令を送信するとしたが、第1信号S1が閾値又は限界値Gに到達したところで解除指令を送信するように制御を適宜変更することもできる。また、制御に用いられる閾値は、第1信号S1又は第2信号S2においてそれぞれ異なるものとしてもよい。
【符号の説明】
【0037】
10…原子炉、11…圧力容器、12…主蒸気管、13…給水管、14…気水分離器、15…炉心、16…再循環ポンプ、17…燃料集合体、18…制御棒、19…駆動装置、20…計装管、21…LPRM検出器、30…制御装置、31…炉心性能演算部、32…自動出力調整部、33…制御棒操作部、34…再循環流量操作部、40…熱的制限値監視部、41…第1信号受信部、42…第2信号受信部、43…補正式定義部、44…補正部、45…推定時間導出部、46…判定部、47…変化率可変部、48…比較部、50…出力調整指令送信部(第1指令送信部)、51…解除指令送信部(第2指令送信部)、52…メモリ、S1…LPRM信号(第1信号)、S2…熱的制限値,最大線出力密度,最小限界出力比(第2信号)、J1…出力調整指令(第1指令)、J2…解除指令(第2指令)、G…限界値、K…閾値、m…設定値、f…推定時間、F…炉心流量、W…到達時間、R…要求信号、D…ダウンカマ、L…下部プレナム、U…上部プレナム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1信号を受信する第1信号受信部と、
前記第1信号が限界値に到達する推定時間を導出する推定時間導出部と、
前記推定時間に到達するまでの時間が設定値を切ったことを判定して第2信号を要求する判定部と、
前記要求により受信した前記第2信号に基づいて前記第1信号を補正する補正部と、
前記補正に同期して前記第1信号及び前記第2信号の変化率を可変させる第1指令を送信する第1指令送信部と、
前記補正した第1信号又は前記第2信号が前記限界値又はその直近の閾値に到達した場合にその値を保持させる第2指令を送信する第2指令送信部と、を備えることを特徴とする原子力プラントの制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の原子力プラントの制御装置において、
前記第1信号は原子炉に配置されるセンサから出力される検出信号であって、
前記第2信号は原子炉に配置されるセンサの出力に基づいて演算される演算信号であることを特徴とする原子力プラントの制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の原子力プラントの制御装置において、
前記検出信号は中性子を検出するLPRM検出器から出力されるもので、
前記演算信号は炉心内の出力分布演算を行う炉心性能演算部から送信される最大線出力密度又は最小限界出力比で、
前記第1指令は原子炉の出力変化率が小さくなるように制御棒操作部及び再循環流量操作部に働きかける出力調整指令で、
前記第2指令は原子炉の出力調整を解除するように制御棒操作部及び再循環流量操作部に働きかける解除指令であることを特徴とする原子力プラントの制御装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の原子力プラントの制御装置において、
前記推定時間導出部で導出された推定時間に基づき前記変化率を可変して、前記補正した第1信号又は前記第2信号が前記限界値又は前記閾値に到達する時間を調整する変化率可変部を備えることを特徴とする原子力プラントの制御装置。
【請求項5】
第1信号を受信するステップと、
前記第1信号が限界値に到達する推定時間を導出するステップと、
前記推定時間に到達するまでの時間が設定値を切ったことを判定して第2信号を要求するステップと、
前記要求により受信した前記第2信号に基づいて前記第1信号を補正するステップと、
前記補正に同期して前記第1信号及び前記第2信号の変化率を可変させる第1指令を送信するステップと、
前記補正した第1信号又は前記第2信号が前記限界値又はその直近の閾値に到達した場合にその値を保持させる第2指令を送信するステップと、を含むことを特徴とする原子力プラントの制御方法。
【請求項6】
コンピュータを、
第1信号を受信する手段、
前記第1信号が限界値に到達する推定時間を導出する手段、
前記推定時間に到達するまでの時間が設定値を切ったことを判定して第2信号を要求する手段、
前記要求により受信した前記第2信号に基づいて前記第1信号を補正する手段、
前記補正に同期して前記第1信号及び前記第2信号の変化率を可変させる第1指令を送信する手段、
前記補正した第1信号又は前記第2信号が前記限界値又はその直近の閾値に到達した場合にその値を保持させる第2指令を送信する手段、として機能させることを特徴とする原子力プラントの制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−247827(P2011−247827A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123502(P2010−123502)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】