説明

原子力発電プラント及びその窒素ガス供給方法

【課題】
冷却材喪失事故が発生した場合でも、確実に原子炉格納容器内に窒素ガスを供給でき、原子炉格納容器内雰囲気の窒素濃度を上げて、再び原子炉格納容器内の不活性化を行うことが可能となり、水素爆発の恐れのない原子力発電プラントを提供すること。
【解決手段】
上記課題を解決するために、本発明の原子力発電プラントは、原子炉圧力容器を収納している原子炉格納容器を備え、これらが原子炉建屋で覆われている原子力発電プラントにおいて、前記原子炉建屋以外の建屋或いは屋外から前記原子炉格納容器内へ接続する配管に、前記原子炉格納容器に窒素ガスを供給する可搬式の窒素ガス発生装置を接続するための接続部を備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は原子力発電プラント及びその窒素ガス供給方法に係り、特に、原子炉格納容器(以下、PCVという)内の圧力が異常に上昇した際に、PCV内の雰囲気を屋外に排気する機能を備えたものに好適な原子力発電プラント及びその窒素ガス供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
沸騰水型原子力発電プラント(以下、BWRプラントという)では、冷却材喪失のような事故時に、原子炉で燃料被覆管と水蒸気の間で「水―ジルコニウム反応」に伴う水素が発生する可能性がある。また、冷却水が原子炉からの放射線による放射線分解を起こして、水素と酸素に分離することも知られている。
【0003】
水素と酸素は可燃性があり、酸素5%、かつ水素4%という条件(可燃組成)に達すると、自発的に水素爆発を起こすことが知られている。
【0004】
従来のBWRプラントでは、PCV内の雰囲気が前記可燃組成に達することを回避するために、通常、運転開始前にPCV内に窒素ガスを封入する(これを「不活性化」と呼ぶ)ための系統を備えている(特許文献1及び2を参照)。これを不活性ガス系(AC系)と呼ぶ。このAC系の代表的な構成を、図3に示すBWRプラントを用いて説明する。
【0005】
図3に示す如く、BWRプラントは、原子炉圧力容器1を収納しているPCV2と、このPVC2に窒素ガスを封入する窒素ガス発生装置7と、PCV2内の雰囲気をPCV2外に排気する排気塔6と、これらを接続する配管及び配管内のガスの流通を開閉する弁とから概略構成されている。PCV2は、原子炉建屋5で覆われており、窒素ガス発生装置7及び排気塔6は、原子炉建屋5外に設置されている。
【0006】
上述した窒素ガス発生装置7は、液体窒素貯槽8と蒸発器9、10及び配管、弁14、15で構成されている。液体窒素貯槽8には、タンクローリ(図示せず)より液体窒素が注入され、規定圧力で保持されている。
【0007】
PCV2内に窒素ガスを封入する際には、窒素ガス発生装置7の配管に設置されている弁14と配管31に設置されている弁16、17、18を開操作して液体窒素を蒸発器9に導き、蒸発器9にて窒素ガス化した上で、配管31、32、33を通してPCV2内へと窒素ガスを供給するものである。
【0008】
蒸発器は2種類あり、定期検査からプラントを起動する際のように、大量の窒素ガスが必要となる時には大容量の蒸発器9を使い、通常運転中に、PCV2から漏洩する微小量のガスの分を補給する時には、小容量の蒸発器10を使用する。PCV2は、ドライウェル3とサプレッションチェンバ4から成り、AC系は、それぞれへの窒素ガスを供給する配管32、33を備えている。
【0009】
一方、同じくPCV2のドライウェル3とサプレッションチェンバ4から、PCV2内雰囲気をPCV2外に排気する配管34、35、36を備えている。この排気ラインの配管34、35は、配管36を介して原子炉建屋5内の非常用ガス処理系11及び換気空調系12に接続されており、通常時は、このいずれかの経路を通してPCV2内の雰囲気を、屋外の排気塔6に導き排気するものである。
【0010】
上述した窒素ガスを封入する配管31、32、33を用いて窒素ガスを供給する際には、同時に、この排気ラインの配管34、35、36に設置されている弁22、24及び27、或いは28を“開”することで、PCV2内の雰囲気を窒素ガスで置換することができる。
【0011】
更に、従来のBWRプラントは、前記排気ラインの配管36から直接屋外の排気塔6に接続するラインを備えている。これは冷却材喪失等の事故時、PCV2内の圧力が異常に上昇し、設計圧力を超えるような事態となった際に使用するラインであり、弁22或いは23、24或いは25と弁28を開操作し、PCV2内の雰囲気を、配管36、39を通して直接排気塔6から外部に排出し、PCV2内を減圧することを可能としている。この排気をPCVベントと呼ぶ。
【0012】
また、排気ラインの配管39には、ラプチャディスク13が設置されており、弁22或いは23、24或いは25を開操作した後に弁28を“開”とすると、PCV2内の圧力が高い場合に限り、前記ラプチャディスク13が破裂して、PCV2内の雰囲気を、排気塔6を通して屋外に直接排出することが可能となっている。
【0013】
前記PCVベントを実施すると、PCV2内に封入されていた窒素ガスと共に、事故によって発生した水蒸気や非凝縮性ガスが、PCV2外に排出される。PCVベントの停止は、弁22或いは23、24或いは25の閉操作によって行われる。PCVベントによって、窒素ガスが屋外に放出されてしまうため、PCVベント完了後のPCV2内の雰囲気に残留している窒素ガスの量は、PCVベント実施以前よりも少なくなっている。
【0014】
図3に示す窒素ガス発生装置7は、液体窒素貯槽8を備えた大型のものだが、一方で、小型で可搬式の窒素ガス発生装置として、図4に示すようなものが知られている。この可搬式窒素ガス発生装置50は、空気吸込配管51から空気を吸気して窒素と酸素に分離し、高濃度の窒素ガスと酸素ガスを、それぞれ窒素供給配管52と酸素供給配管53に、別々に排気するもので、容量は小さいものの、トラックなどで運搬することが可能であり、また、液体窒素タンクのようにタンクローリによる窒素の補給が必要ない。
【0015】
なお、小容量の窒素ガス供給であれば、図5に示すような窒素ガスカードル56を用いることも行われている。これは窒素ガスボンベ55を多数本用意し、型組みして固定したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2009−180530号公報
【特許文献2】特開2009−180530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
従来の技術では、事故時に一度PCVベントを実施すると、PCV2内に封入されていた窒素ガスの多くがPCV2外に排出される。そのため、PCV2内の雰囲気中の窒素濃度が低くなり、ベント配管の弁22或いは23、24或いは25を閉操作してPCVベントを一旦完了し、その後は、引き続き原子炉で発生する非凝縮性ガスによって、PCV2内の非凝縮性ガスの濃度が容易に高まる。PCV2内では、水蒸気も引き続き発生するものの、非凝縮性ガス濃度が可燃組成に達する可能性が高くなる。
【0018】
従来の技術に示した窒素ガス発生装置7は、耐震設計上の要求を高くしていないため、大規模地震に伴って事故が発生した際には、使用することができないことも考えられる。つまり、PCV2内に再度窒素ガスを封入することができないことがあり得る。
【0019】
また、非凝縮性ガス濃度が可燃組成に達する前に再びPCVベントを実施しようとしても、非凝縮性ガスの発生があまりに多すぎる場合には、配管34、35、36内に流出したPCV2の雰囲気に含まれる水蒸気が、配管内で冷やされて凝縮することで、もともと配管34、35、36内に滞留していた空気中の酸素濃度と相まって、前記配管34、35、36内で可燃組成が成立して水素爆発が起こる可能性がある。
【0020】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、冷却材喪失事故が発生した場合でも、確実にPCV内に窒素ガスを供給でき、PCV内雰囲気の窒素濃度を上げて、再びPCV内の不活性化を行うことが可能となり、水素爆発の恐れのない原子力発電プラント及びその窒素ガス供給方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の原子力発電プラントは、上記目的を達成するために、原子炉圧力容器を収納している原子炉格納容器を備え、これらが原子炉建屋で覆われている原子力発電プラントにおいて、前記原子炉建屋以外の建屋或いは屋外から前記原子炉格納容器内へ接続する配管に、前記原子炉格納容器に窒素ガスを供給する可搬式の窒素ガス発生装置を接続するための接続部を備えていることを特徴とする。
【0022】
具体的には、原子炉圧力容器を収納している原子炉格納容器と、該原子炉格納容器に窒素ガスを封入する窒素ガス発生装置と、前記原子炉格納容器内の雰囲気を該原子炉格納容器外に排気する排気塔と、これらを接続する配管及び配管内のガスの流通を開閉する弁とを備えていると共に、前記原子炉格納容器が原子炉建屋で覆われ、かつ、前記窒素ガス発生装置と排気塔とが前記原子炉建屋の外に設置されている原子力発電プラントにおいて、前記原子炉格納容器と前記窒素ガス発生装置を接続する配管に、前記原子炉格納容器に窒素ガスを供給する可搬式の窒素ガス発生装置を接続するための接続部を備えていることを特徴とする。
【0023】
また、本発明の原子力発電プラントの窒素ガス供給方法は、上記目的を達成するために、原子炉圧力容器を収納している原子炉格納容器を覆う原子炉建屋以外の建屋或いは屋外から前記原子炉格納容器内へ接続する配管に設けられている接続部に可搬式の窒素ガス発生装置を接続し、該可搬式の窒素ガス発生装置で前記原子炉格納容器に窒素ガスを供給することを特徴とする。
【0024】
具体的には、原子炉圧力容器を収納している原子炉格納容器と、該原子炉格納容器に窒素ガスを封入する窒素ガス発生装置とを接続する配管に設けられている接続部に可搬式の窒素ガス発生装置を接続し、該可搬式の窒素ガス発生装置で前記原子炉格納容器に窒素ガスを供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、冷却材喪失事故が発生した場合でも、確実にPCV内に窒素ガスを供給でき、PCV内雰囲気の窒素濃度を上げて、再びPCV内の不活性化を行うことが可能となり、水素爆発の恐れのない原子力発電プラント及びその窒素ガス供給方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の原子力発電プラントの実施例1を示す系統構成図である。
【図2】本発明の原子力発電プラントの実施例2を示す系統構成図である。
【図3】従来の原子力発電プラントを示す系統構成図である。
【図4】従来の原子力発電プラントにおける可搬式窒素ガス発生装置の形態を示した構成図である。
【図5】従来の原子力発電プラントにおける窒素ガスカードルの形態を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図示した実施例に基いて本発明の原子力発電プラント及びその窒素ガス供給方法について説明する。なお、符号は、従来と同一のものは同符号を使用する。
【実施例1】
【0028】
図1は、本発明の原子力発電プラントの実施例1を示すものである。その構成は、図3に示した従来例と略同一のため、ここでは、本発明に関連する部分の説明とする。
【0029】
図1に示す如く、本実施例では、PCV2と窒素ガス発生装置7を接続する不活性ガス系の窒素供給ラインの配管31の原子炉建屋5内に位置する部分に、端部が原子炉建屋5外に導出している第1の配管70が接続されている。この第1の配管70は、原子炉建屋5の外で端部フランジに閉止板を設置して通常運転時は閉止されているが、窒素ガス発生装置7が機能喪失した状態で事故が発生した場合に、閉止板を取り外してホース65が接続される接続部100を備えている。
【0030】
また、PCV2と排気塔6を接続するPCVベントの配管36の原子炉建屋5内に位置する部分に、端部が原子炉建屋5外に導出している第2の配管71が接続されている。この第2の配管71は、端部フランジに閉止板を設置して原子炉建屋5の外で通常運転時は閉止されているが、事故が発生した場合に、閉止板を取り外してホース66が接続される接続部101を備えている。
【0031】
上述したホース65と66は、ヘッダー69に接続されており、このヘッダー69に窒素ガス貯槽60がホース64で接続されている。窒素ガス貯槽60には、複数台の可搬式窒素ガス発生装置61、62の窒素ガス供給配管73を接続したヘッダー72から窒素ガスが供給されるようになっている。
【0032】
この可搬式窒素ガス発生装置61、62、窒素ガス供給配管73、弁67、68、ヘッダー69、72、ホース63、64、65、66、窒素ガス貯槽60は、システムで事故が発生した後に取り付ける仮設範囲である。
【0033】
次に、本実施例のシステムにおける窒素ガス供給方法について説明する。
【0034】
先ず、システムで事故が発生した後、PCVベント実施に合わせ、第1の配管70及び第2の配管71の閉止板を取り外し、上述した仮設範囲の設備を設置する。即ち、第1の配管70の接続部100にホース65を接続し、第2の配管71の接続部101にホース66をそれぞれ接続する。そして、可搬式窒素ガス発生装置61、62を運転し、窒素ガスを窒素ガス供給配管73からヘッダー72とホース63を通して、窒素ガス貯槽60に蓄積する。図1は可搬式窒素ガス発生装置61と62の両方が運転中の状態を示しているが、片方だけを運転する場合は、弁67と弁68にて切替えを行う。
【0035】
PCVベント後に、PCV2内に窒素ガスを再度封入する際には、弁75、16、17、18を開操作し、窒素ガス貯槽60から、ホース64とヘッダー69を通した後、ホース65から配管31、32、33を通して、PCV2のドライウェル3並びにサプレッションチェンバ4へ窒素ガスを供給する。これでPCV2内は、再び不活性化される。
【0036】
再度のPCVベント実施に備え、配管34、35、36内に窒素を封入する際には、弁28を閉操作した上で弁74を開操作し、ホース64とヘッダー69を通した後、ホース66から配管36、34、35へと窒素を供給する。これでベント配管34、35、36内が不活性化され、再度のPCVベント時の水素爆発を回避することが可能となる。
【0037】
このような本実施例とすることにより、大規模地震等によって原子力発電プラントに、予め設置されている窒素ガス発生装置7が機能喪失したとしても、外部から可搬式窒素ガス発生装置61、62を原子力発電プラントに持ち込み、PCV2内に窒素ガスを供給することが可能となる。また、PCVベントの配管34、35、36内に窒素ガスを供給できるので、PCVベントの配管34、35、36内の酸素濃度を低減することが可能となる。更に、同一の可搬式窒素ガス発生装置61、62から、PCV2内及びPCVベントの配管34、35、36の両方に、窒素ガスを供給することが可能となる。
【0038】
従って、本実施例によれば、予め原子力発電プラント内に設置されている窒素ガス発生装置に頼ることなく、PCVベント実施後にPCV内に窒素ガスを供給し、PCV内雰囲気の窒素濃度を上げて、再びPCV内の不活性化を行うことが可能となる。また、PCVベント配管内に窒素ガスを供給し、前記ベント配管内雰囲気の窒素濃度を上げることで酸素濃度を低下させ、不活性化することが可能となる。これにより、PCVベント実施時に前記ベント配管内に流入したPCV内雰囲気ガスが、配管内雰囲気と混合しても、可燃組成に至ることを回避することが可能となる。
【実施例2】
【0039】
図2は、本発明の原子力発電プラントの実施例2を示すものである。本実施例は、PCV2への窒素供給と、PCVベントの配管34、35、36への窒素供給を別々のラインで実施した例である。
【0040】
本実施例では、可搬式窒素ガス発生装置61、62から窒素ガス貯槽60までの構成は実施例1と同じであり、第1の配管70の接続部100に接続されたホース65から第1の配管70に窒素ガスを供給することで、PCV2内を窒素ガスで不活性化する。一方、PCVベントの配管34、35、36への窒素ガス供給を行う第2の配管71の接続部101には、窒素ガスカードル80が接続され、この窒素ガスカードル80からホース66を通して窒素ガスを供給するものである。
【0041】
PCV2に比べてベント配管34、35、36の容積は小さいため、PCVベントの配管34、35、36への窒素ガス供給は必ずしも可搬式窒素ガス発生装置である必要はなく、窒素ガスカードル80を使用することが可能である。
【0042】
このような本実施例でも、実施例1と同様な効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0043】
1…原子炉圧力容器、2…原子炉格納容器、3…ドライウェル、4…サプレッションチェンバ、5…原子炉建屋、6…排気塔、7…窒素ガス発生装置、8…液体窒素貯槽、9、10…蒸発器、11…非常用ガス処理系、12…換気空調系、13…ラプチャディスク、14〜30、67、68、74、75…弁、31〜39…配管、60…窒素ガス貯槽、50、61、62…可搬式窒素ガス発生装置、51…空気吸込配管、52、73…窒素ガス供給配管、53…酸素ガス供給配管、54…トラック、55…窒素ガスボンベ、56、80…窒素ガスカードル、63〜66…ホース、69、72…ヘッダー、70…第1の配管、71…第2の配管、100、101…接続部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉圧力容器を収納している原子炉格納容器を備え、これらが原子炉建屋で覆われている原子力発電プラントにおいて、
前記原子炉建屋以外の建屋或いは屋外から前記原子炉格納容器内へ接続する配管に、前記原子炉格納容器に窒素ガスを供給する可搬式の窒素ガス発生装置を接続するための接続部を備えていることを特徴とする原子力発電プラント。
【請求項2】
原子炉圧力容器を収納している原子炉格納容器と、該原子炉格納容器に窒素ガスを封入する窒素ガス発生装置と、前記原子炉格納容器内の雰囲気を該原子炉格納容器外に排気する排気塔と、これらを接続する配管及び配管内のガスの流通を開閉する弁とを備えていると共に、前記原子炉格納容器が原子炉建屋で覆われ、かつ、前記窒素ガス発生装置と排気塔とが前記原子炉建屋の外に設置されている原子力発電プラントにおいて、
前記原子炉格納容器と前記窒素ガス発生装置を接続する配管に、前記原子炉格納容器に窒素ガスを供給する可搬式の窒素ガス発生装置を接続するための接続部を備えていることを特徴とする原子力発電プラント。
【請求項3】
請求項2に記載の原子力発電プラントにおいて、
前記窒素ガス発生装置は、液体窒素が封入されている液体窒素貯槽と、該液体窒素貯槽内の液体窒素を導き、ガス化する蒸発器と、該蒸発器と前記液体窒素貯槽を接続する配管と、該配管の途中に設置されている弁とを備え、
前記蒸発器でガス化された窒素ガスを前記原子炉格納容器内に供給する窒素ガス供給系配管に、前記可搬式の窒素ガス発生装置を接続するための接続部を備えていることを特徴とする原子力発電プラント。
【請求項4】
請求項3に記載の原子力発電プラントにおいて、
前記窒素ガス供給系配管の原子炉建屋内に位置する部分に、端部が前記原子炉建屋外に導出している第1の配管が接続され、該第1の配管の端部に、前記可搬式の窒素ガス発生装置を接続するための接続部を備えていることを特徴とする原子力発電プラント。
【請求項5】
請求項2に記載の原子力発電プラントにおいて、
前記原子炉格納容器と前記排気塔を接続する前記原子炉建屋内に位置するベント配管に、端部が前記原子炉建屋外に導出している第2の配管が接続され、該第2の配管の端部に、前記可搬式の窒素ガス発生装置を接続するための接続部を備えていることを特徴とする原子力発電プラント。
【請求項6】
請求項2に記載の原子力発電プラントにおいて、
前記窒素ガス供給系配管の原子炉建屋内に位置する部分に、端部が前記原子炉建屋外に導出している第1の配管が接続され、該第1の配管の端部に、前記可搬式の窒素ガス発生装置を接続するための接続部を備えていると共に、前記原子炉格納容器と前記排気塔を接続する前記原子炉建屋内に位置するベント配管に、端部が前記原子炉建屋外に導出している第2の配管が接続され、該第2の配管の端部に、前記可搬式の窒素ガス発生装置を接続するための接続部を備え、
前記2つの接続部には、それぞれホースが接続され、該ホースの先端は第1のヘッダーを介して窒素ガス貯槽と接続され、該窒素ガス貯槽は第2のヘッダーを介して複数の可搬式の窒素ガス発生装置と接続されることを特徴とする原子力発電プラント。
【請求項7】
請求項2に記載の原子力発電プラントにおいて、
前記原子炉格納容器と前記排気塔を接続する前記原子炉建屋内に位置するベント配管に、端部が前記原子炉建屋外に導出している第2の配管が接続され、該第2の配管の端部に、窒素ガスカードルを接続するための接続部を備えていることを特徴とする原子力発電プラント。
【請求項8】
請求項2に記載の原子力発電プラントにおいて、
前記窒素ガス供給系配管の原子炉建屋内に位置する部分に、端部が前記原子炉建屋外に導出している第1の配管が接続され、該第1の配管の端部に、前記可搬式の窒素ガス発生装置を接続するための接続部を備えていると共に、前記原子炉格納容器と前記排気塔を接続する前記原子炉建屋内に位置するベント配管に、端部が前記原子炉建屋外に導出している第2の配管が接続され、該第2の配管の端部に、窒素ガスカードルを接続するための接続部を備え、
前記可搬式の窒素ガス発生装置を接続するための接続部には、ホースが接続され、該ホースの先端は窒素ガス貯槽と接続され、該窒素ガス貯槽はヘッダーを介して複数の可搬式の窒素ガス発生装置と接続され、一方、前記窒素ガスカードルを接続するための接続部には窒素ガスカードルが接続されることを特徴とする原子力発電プラント。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の原子力発電プラントにおいて、
前記接続部は、通常運転時には、閉止されていることを特徴とする原子力発電プラント。
【請求項10】
原子炉圧力容器を収納している原子炉格納容器を覆う原子炉建屋以外の建屋或いは屋外から前記原子炉格納容器内へ接続する配管に設けられている接続部に可搬式の窒素ガス発生装置を接続し、該可搬式の窒素ガス発生装置で前記原子炉格納容器に窒素ガスを供給することを特徴とする原子力発電プラントの窒素ガス供給方法。
【請求項11】
原子炉圧力容器を収納している原子炉格納容器と、該原子炉格納容器に窒素ガスを封入する窒素ガス発生装置とを接続する配管に設けられている接続部に可搬式の窒素ガス発生装置を接続し、該可搬式の窒素ガス発生装置で前記原子炉格納容器に窒素ガスを供給することを特徴とする原子力発電プラントの窒素ガス供給方法。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の原子力発電プラントの窒素ガス供給方法において、
前記原子炉格納容器に窒素ガスを供給する配管の前記原子炉建屋内に位置する部分に、端部が前記原子炉建屋外に導出し、通常運転時には閉止している第1の配管が接続され、前記ガス発生装置が機能喪失した状態で事故が発生した場合に、該第1の配管の端部に設けられている接続部に可搬式の窒素ガス発生装置を接続し、前記第1の配管の閉止を解除した状態で前記可搬式の窒素ガス発生装置で前記原子炉格納容器に窒素ガスを供給することを特徴とする原子力発電プラントの窒素ガス供給方法。
【請求項13】
請求項10又は11に記載の原子力発電プラントの窒素ガス供給方法において、
前記原子炉格納容器内の雰囲気を該原子炉格納容器外に排気する排気塔を備え、前記原子炉格納容器と前記排気塔を接続する前記原子炉建屋内に位置するベント配管に、端部が前記原子炉建屋外に導出し、通常運転時には閉止している第2の配管が接続され、前記ガス発生装置が機能喪失した状態で事故が発生した場合に、該第2の配管の端部に設けられている接続部に可搬式の窒素ガス発生装置を接続し、前記第2の配管の閉止を解除した状態で前記可搬式の窒素ガス発生装置で前記原子炉格納容器に窒素ガスを供給することを特徴とする原子力発電プラントの窒素ガス供給方法。
【請求項14】
請求項10又は11に記載の原子力発電プラントの窒素ガス供給方法において、
前記原子炉格納容器に窒素ガスを供給する配管の前記原子炉建屋内に位置する部分に、端部が前記原子炉建屋外に導出し、通常運転時には閉止している第1の配管が接続され、かつ、前記原子炉格納容器内の雰囲気を該原子炉格納容器外に排気する排気塔を備え、前記原子炉格納容器と前記排気塔を接続する前記原子炉建屋内に位置するベント配管に、端部が前記原子炉建屋外に導出し、通常運転時には閉止している第2の配管が接続され、前記ガス発生装置が機能喪失した状態で事故が発生した場合に、前記第1の配管の端部に設けられている接続部に可搬式の窒素ガス発生装置を接続し、前記第1の配管の閉止を解除した状態で前記可搬式の窒素ガス発生装置で前記原子炉格納容器に窒素ガスを供給すると共に、前記第2の配管の端部に設けられている接続部に窒素ガスカードルを接続し、前記第2の配管の閉止を解除した状態で前記窒素ガスカードルで前記原子炉格納容器に窒素ガスを供給することを特徴とする原子力発電プラントの窒素ガス供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−233728(P2012−233728A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100832(P2011−100832)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)