説明

原子炉の冷却方法および原子炉冷却装置

【課題】外部電源および非常用電源を使用できない場合でも原子炉内の冷却水を直接冷却できる原子炉の冷却方法を提供する。
【解決手段】原子炉が緊急停止されたとき、原子炉圧力容器(RPV)1から熱交換器3内に導かれた水蒸気を熱交換器3内に設置したヒートパイプ23によって凝縮させて凝縮水を生成する。ヒートパイプ23内を伝えられた熱は放熱板24から原子炉建屋32外に放出される。その凝縮水は配管22により耐圧容器14内に流入して耐圧容器14内に蓄えられる。耐圧容器14は、弁16を設けた配管8及び弁42を設けた配管41によってRPV1に接続される。耐圧容器14内の凝縮水の水位が、レベルスイッチ17が作動する上限水位に達したとき、弁16,42が開いて耐圧容器14内の凝縮水が重力によりRPV1内に注入される。凝縮水の注入によりRPV1内の冷却水が直接冷却される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子炉の冷却方法および原子炉冷却装置に係り、特に、冷却材として水を使用する原子力発電プラントに適用するのに好適な原子炉の冷却方法および原子炉冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原子炉格納容器内の水蒸気を利用して原子炉圧力容器または原子炉格納容器を冷却する方法が、特開2010−203858号公報および特開2006−322627号公報に記載されている。
【0003】
特開2010−203858号公報に記載された原子炉格納容器冷却設備は、原子炉格納容器の外に熱交換プールを備え、熱交換プール内のプール水に熱交換器を浸漬させ、原子炉格納容器のドライウェルに開口する水蒸気吸い込み管をこの熱交換器の伝熱管の一端に連絡し、その伝熱管の他端に凝縮水ドレン配管および非凝縮性ガスベント配管をその伝熱管の他端に連絡している。凝縮水ドレン配管は、ドライウェルに配置された原子炉圧力容器を取り囲む保温材とこの保温材の周囲を取り囲む円筒状のγ線遮へい体の間、または原子炉圧力容器と保温材の間に開口している。非凝縮性ガスベント配管は、原子炉格納容器の圧力抑制室内の圧力抑制プール内に達している。
【0004】
冷却材喪失事故が発生したとき、原子炉内の冷却水がドライウェル内に水蒸気となって放出される。この水蒸気は、水蒸気吸い込み管を通って伝熱管に導かれ、熱交換プール内のプール水によって冷却されて凝縮される。水蒸気の凝縮によって生じた凝縮水は、凝縮水ドレン配管を通って保温材とγ線遮へい体の間、または原子炉圧力容器と保温材の間に供給される。このような凝縮水の供給により、原子炉圧力容器を冷却することができる。水蒸気に含まれた非凝縮性ガスは、非凝縮性ガスベント配管を通って圧力抑制プールに放出される。
【0005】
特開2006−322627号公報に記載された原子炉格納容器システムは、冷却水を溜めた貯水槽内に複数の伝熱管を配置し、これらの伝熱管の一端に連絡される上流側ヘッダーおよびこれらの伝熱管の他端に連絡される下流側ヘッダーを貯水槽の外側に設け、蒸気導入管を上流側ヘッダーに接続し、凝縮水排出管を下流側ヘッダーに接続している。蒸気導入管および凝縮水排出管は、原子炉格納容器内のドライウェルに開口している。冷却材喪失事故時にドライウェル内に放出された水蒸気は、蒸気導入管から伝熱管内に導かれて貯水槽内の冷却水によって凝縮される。水蒸気の凝縮によって生じた凝縮水は、原子炉格納容器内に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−203858号公報
【特許文献2】特開2006−322627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
運転停止中の原子力発電プラントでは、外部電源または非常用電源から供給される電力により電動ポンプを駆動して原子炉内の炉心に冷却水を供給し、この冷却水によって炉心に装荷されている燃料集合体を冷却して燃料集合体に含まれる核燃料物質の崩壊熱を除去している。原子炉で使用していた燃料の崩壊熱の除去は、外部電源および非常用電源が長時間利用できない場合でも、炉心内の燃料集合体の冷却は継続して行わなければならない。このため、消費電力の大きな電動ポンプ等の機器を必要としない原子炉の冷却方法を備えることが、原子力発電プラントの安全性を向上させる上で重要となる。
【0008】
特開2010−203858号公報および特開2006−322627号公報に記載された冷却方法は、原子炉格納容器内に放出された水蒸気の圧力を駆動力として原子炉格納容器内の水蒸気を熱交換器に移送し、その蒸気を冷却している。これらの公報に記載された冷却方法は、いずれも、電動ポンプを必要としない冷却方法である。
【0009】
しかしながら、特開2010−203858号公報に記載された冷却方法は、ドライウェル内の水蒸気を熱交換器で凝縮して凝縮液を生成しており、水蒸気冷却には熱交換プール内のプール水を使用している。生成した凝縮液は、原子炉圧力容器を取り囲む保温材とγ線遮へい体の間、または原子炉圧力容器と保温材の間に供給しており、原子炉圧力容器内で燃料集合体を冷却する冷却水を間接的に冷却している。特開2006−322627号公報に記載された冷却方法も、ドライウェル内の水蒸気を熱交換器で凝縮しており、水蒸気冷却には熱交換器伝熱管外面の冷却水を使用している。
【0010】
特開2010−203858号公報および特開2006−322627号公報に記載された冷却方法は、いずれも、ドライウェル内の水蒸気を熱交換器で凝縮しており、水蒸気冷却に冷却水を使用している。このため、熱交換器への冷却水供給が長時間行えない場合には、冷却水の温度上昇または蒸発による冷却水喪失により、熱交換器による水蒸気の冷却性能が低下すると考えられる。
【0011】
本発明の目的は、外部電源および非常用電源を長時間使用できない場合でも原子炉の冷却を継続できる原子炉の冷却方法および原子炉冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した目的を達成する本発明の特徴は、原子炉圧力容器内の炉心の上端よりも上方に配置された、凝縮水注入装置の耐圧容器よりも上方に配置された熱交換器に、原子炉圧力容器内の蒸気を供給し、この蒸気をその熱交換器に設けられたヒートパイプにより凝縮させて凝縮水を生成し、生成された凝縮水を重力により熱交換器から耐圧容器内に導いて前記耐圧容器内に蓄え、耐圧容器内の凝縮水を、重力を利用して原子炉圧力容器内に供給することにある。
【0013】
熱交換器内でヒートパイプを用いて原子炉圧力容器から導かれた蒸気の凝縮し、この蒸気の凝縮によって生成された凝縮水を重力を利用して耐圧容器を介して原子炉圧力容器に注入するので、消費電力の大きな電動ポンプを使用することなく原子炉圧力容器内の冷却水を直接冷却することができる。このため、外部電源および非常用電源が長時間利用できない場合においても、炉心に装荷された燃料集合体をその冷却された冷却水によって効率良く冷却することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、消費電力の大きな電動ポンプを使用することなく原子炉圧力容器内の冷却水を直接冷却することができるため、外部電源および非常用電源が長時間利用できない場合においても、原子炉の冷却を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の好適な一実施例である実施例1の原子炉の冷却方法に適用される原子炉冷却装置の構成図である。
【図2】図1に示す熱交換器の管板の構成図である。
【図3】本発明の他の実施例である実施例2の原子炉の冷却方法に適用される原子炉冷却装置の構成図である。
【図4】図3に示す制御装置で実行される実施例2における原子炉の冷却方法の処理手順の一部を示す説明図である。
【図5】図3に示す制御装置で実行される実施例2における原子炉の冷却方法の処理手順の残りを示す説明図である。
【図6】本発明の他の実施例である実施例3の原子炉の冷却方法に適用される原子炉冷却装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例1】
【0017】
本発明の好適な一実施例である実施例1の原子炉の冷却方法を、図1を用いて説明する。まず、本実施例の原子炉の冷却方法を適用する沸騰水型原子炉の概略構成を説明する。沸騰水型原子炉は、原子炉および原子炉格納容器10を有する。原子炉は、原子炉圧力容器1、および原子炉圧力容器1内に配置された炉心2を有する。炉心2には、核燃料物質を含む複数の燃料集合体(図示せず)が装荷される。原子炉圧力容器1内において、気水分離器(図示せず)が炉心2の上方に配置され、蒸気乾燥器(図示せず)が気水分離器の上方に配置される。
【0018】
本実施例の原子炉の冷却方法に用いられる原子炉冷却装置44を、図1を用いて説明する。原子炉冷却装置44は、熱交換器3、凝縮水注入装置13、ヒートパイプ23および放熱板24を備えている。原子炉圧力容器1は、原子炉格納容器10のドライウェル内に配置される。原子炉圧力容器1に接続されて隔離弁31が設けられたた主蒸気配管6が、原子炉格納容器10を貫通してタービン(図示せず)に接続される。原子炉格納容器10内には、圧力抑制室11が設けられる。冷却水を充填した圧力抑制プール40が圧力抑制室11内に形成される。原子炉格納容器10は原子炉建屋32内に設置される。原子炉格納容器10内に解放された複数のベント管(図示せず)が、圧力抑制室11内に配置され、これらのベント管の下端部が圧力抑制プール40の冷却水中に浸漬される。
【0019】
本実施例の原子炉の冷却方法に用いられる原子炉冷却装置44を、図1を用いて説明する。原子炉冷却装置44は、熱交換器3、凝縮水注入装置13、ヒートポンプ23および放熱板24を備えている。熱交換器3、凝縮水注入装置13及びヒートパイプ23の一部は、原子炉格納容器10内に配置される。
【0020】
凝縮水注入装置13は、耐圧容器14、弁16を設けた配管8および弁42を設けた配管41を有する。弁16および42は、原子炉の通常運転時において水密性を保つために、それぞれ2個以上にすることが望ましく、電動弁である。本実施例では、弁16および42はそれぞれ2個ずつ設けられる。上限の水位を検出するレベルスイッチ17及び下限の水位を検出するレベルスイッチ18が、耐圧容器14に設けられる。配管8は耐圧容器14の底部に接続されて原子炉圧力容器1に接続される。配管41も耐圧容器14の底部に接続されて原子炉圧力容器1に接続される。配管41の原子炉圧力容器1への接続位置は、配管8の原子炉圧力容器1への接続位置よりも高くなっている。耐圧容器14は、高さ方向において、原子炉圧力容器1内に配置された炉心2より上方に配置される。配管41の原子炉圧力容器1への接続位置は、耐圧容器14の位置よりも下方に位置する。弁15を設けた配管22が、耐圧容器14と熱交換器3の胴19に接続されて、耐圧容器14と熱交換器3の胴19が連絡される。
【0021】
蒸気凝縮装置である熱交換器3は、胴19内にU字に曲げられた複数のヒートパイプ23を配置している。各ヒートパイプ23は胴19内に配置されて胴19に取り付けられた管板39により水密に支持される(図2参照)。熱交換器3の胴19は、重力による凝縮水の流れを考慮し、原子炉圧力容器1内に配置された炉心2及び耐圧容器14よりも高い位置に配置される。安全弁7および主蒸気逃し安全弁12が、原子炉格納容器10内において、主蒸気配管6に設けられる。安全弁7の作動圧力は主蒸気逃し安全弁12の作動圧力よりも低くなっており、安全弁7は主蒸気逃し安全弁12よりも原子炉圧力容器1側に設けられる。安全弁7に接続された配管20が、胴19に接続されて胴19側に連絡される。主蒸気逃し安全弁12に接続された配管30が圧力抑制室11内に達し、配管30の下端部が圧力抑制プール40の冷却水中に浸漬される。胴19の上面に接続された配管21が配管30に接続される。熱交換器3の胴19は、重力による凝縮水の流れを考慮し、配管22との接続点が低くなるように、傾斜されている。
【0022】
各ヒートパイプ23は、それぞれ別々の放熱板24に接続される。各放熱板24は、熱交換器3よりも上方で原子炉建屋32の外部または、非常時に外気との熱交換が可能な原子炉建屋32の内部、例えば建屋外壁が外れる壁面近傍に配置される。
【0023】
沸騰水型原子炉が緊急停止され、外部電源及び非常用ディーゼル発電機からの電力の供給が長時間途絶えた場合を想定する。
【0024】
原子炉が緊急停止された後、原子炉圧力容器1内の冷却水が冷却されない場合、炉心2内の燃料集合体に含まれる核燃料物質の崩壊熱により原子炉圧力容器1内の冷却水の温度が上昇し、原子炉圧力容器1内の圧力が上昇する。原子炉圧力容器1内の圧力が主蒸気逃がし安全弁12の作動圧力に到達すると主蒸気逃がし安全弁12が開いて、原子炉圧力容器1内の水蒸気が配管30を通して圧力抑制プール40内に放出される。この水蒸気は、圧力抑制プール40内の冷却水によって凝縮される。このため、原子炉格納容器10のドライウェルの圧力を大きく上昇させることなく原子炉圧力容器1内の圧力上昇を抑制することができる。
【0025】
本実施例では、原子炉圧力容器1内の圧力が過度に上昇した場合、主蒸気逃がし安全弁12よりも先に安全弁7が開くため、原子炉圧力容器1内の水蒸気が、矢印4で示すように、配管20を通して熱交換器3の胴19内に導かれる。胴19内に達した水蒸気は、熱交換器3の胴19内でヒートパイプ23により冷却されて凝縮水となる。この凝縮水は、重力によって配管22を通って耐圧容器14内に導かれ、耐圧容器14内に蓄えられる。このとき、弁15は開いている。
【0026】
熱交換器3内で水蒸気を冷却して温度が上昇したヒートパイプ23では、放熱板24に熱が伝導され、この熱が放熱板24から原子炉建屋32外の大気中に放出される。ヒートパイプ23は、熱交換器3内の高温になる部分(高温部)が、放熱板24接続部である低温になる部分(低温部)よりも低い位置に存在し、さらに、閉ループを形成している。このため、ヒートパイプ23内に充填した揮発性の冷媒(例えば水)は、高温部で配管20を通して供給される高温の水蒸気により加熱されて蒸発し、低温部で放熱板24からの放熱によって凝縮されて水となる。ヒートパイプ23内において、低温部で生じた凝縮水が重力の作用等により高温部に供給されて再び蒸発するというサイクルが繰返される。このため、ヒートパイプ23を用いることによって、ヒートパイプ23の高温部での冷媒(例えば水)の蒸発によって熱交換器の3の胴部19に原子炉圧力容器1から供給された高温の水蒸気から多量の熱を除去することができる。熱交換器3の胴19は、上記したように重力による凝縮水の流れを考慮し、配管22との接続点が低くなるように、傾斜されているので、胴19内で生成された凝縮水が配管22に向かって流れて配管22に排出される。
【0027】
熱交換器3で生成された凝縮水の耐圧容器14内への流入に伴って、耐圧容器14内の水位が上昇する。上限の水位を検出するレベルスイッチ17が作動したとき、レベルスイッチ17から出力された信号に基づいて弁15が閉じられて弁16および42が開く。この結果、耐圧容器14内の圧力が原子炉圧力容器1内の圧力と同じになるので、耐圧容器14内の凝縮水が、少なくとも、配管8または配管41のいずれかを通して原子炉圧力容器1内に供給される。図1において矢印5は、凝縮水の流れを示す。
【0028】
耐圧容器14から原子炉圧力容器1への凝縮水の注入により、耐圧容器14内の水位が低下する。下限の水位を検出するレベルスイッチ18が作動したとき、レベルスイッチ18から出された信号に基づいて弁16および42が閉じられて弁15が開く。耐圧容器14と原子炉圧力容器1との間が遮断され、熱交換器3の胴19との間が通じるため、熱交換器3で生成された凝縮水が耐圧容器14に供給される。熱交換器3で生成された凝縮水の耐圧容器14への供給に伴い、再び、耐圧容器14内の水位が上昇するサイクルが繰り返される。
【0029】
配管20により熱交換器3の胴19内に供給されて凝縮されなかった水蒸気は、矢印9で示すように、配管21及び30を通して圧力抑制プール40の冷却水中に放出され、凝縮される。このため、原子炉格納容器10の内圧は大きく上昇しない。
【0030】
レベルスイッチ17及び18からの信号に基づく弁15,16及び42の開閉操作は、それらの信号を受信する制御装置(図示せず)によって行われる。この制御装置には蓄電池を備えた無停電電源から電力が供給され、弁15,16及び42の開閉操作にも蓄電池からの電力が用いられる。
【0031】
原子炉の冷却により原子炉圧力容器1内の圧力が安全弁7の作動圧力よりも低下した場合には、安全弁7が閉じられ、原子炉圧力容器1から熱交換器3の胴19内への水蒸気の供給が停止される。
【0032】
弁15,16及び42の開閉操作は、制御装置を用いないで、表示されたレベルスイッチ17及び18からの信号を見たオペレータが手動で実施しても良い。
【0033】
本実施例によれば、ヒートパイプ23を用いて原子炉圧力容器1内の水蒸気を熱交換器3内で凝縮しているので、原子炉圧力容器1内の水蒸気を、消費電力の大きな電動ポンプ、及び熱交換器の冷媒として冷却水を使用することなく、冷却することができる。また、熱交換器3内で生成された凝縮水が、重力によって、耐圧容器14を経て原子炉圧力容器1内に注入することができる。凝縮水の温度は原子炉圧力容器1内の冷却水の温度よりも低いので、原子炉圧力容器1内への凝縮水の注入は、原子炉圧力容器1内の冷却水の温度を低下させる。
【0034】
上記したように、本実施例は、熱交換器3内でのヒートパイプ23を用いた原子炉圧力容器1から導かれた水蒸気の凝縮、及び熱交換器3で生成された凝縮水の原子炉圧力容器1への注入によって、外部電源および非常用電源が長時間利用できない場合や原子炉の他の冷却系の熱交換器に冷却水を供給できない場合でも、蓄電池を備えた無停電電源からの少量の電力により、弁の開閉操作を長時間継続することができるため、長時間継続して原子炉内の冷却水を直接冷却することができる。
【0035】
耐圧容器14が、高さ方向において、気水分離器より上方の位置、例えば、蒸気乾燥器が設置された高さに配置されるので、耐圧容器14内の凝縮水を容易に原子炉圧力容器1内に供給することができる。この温度の低い凝縮水の供給により、炉心2内の燃料集合体内の燃料棒の上端は、常に、原子炉圧力容器1内の冷却水に浸漬される。燃料棒の上端が、原子炉圧力容器1内の冷却水の水面より上方に顔を出すことがないので、燃料集合体に含まれる核燃料物質の崩壊熱を十分に除去することができる。
【0036】
耐圧容器14は、高さ方向において、蒸気乾燥器の下方であっても、炉心2の上端よりも上方に設置すれば、耐圧容器14内の凝縮水を原子炉圧力容器1内に注入することができる。例えば、耐圧容器14の底が高さ方向において、炉心の上端よりも上に配置されたとき、原子炉圧力容器1内の水蒸気が原子炉圧力容器1外の熱交換器3に放出されて原子炉圧力容器1内の冷却水の水面が炉心2の上端まで低下したことを想定する。このような状態では、耐圧容器14が炉心の上端よりも上に配置されているので、熱交換器3内で原子炉圧力容器1から排気された水蒸気から生成されて耐圧容器14内に溜まっている温度が低い凝縮水を、原子炉圧力容器1内に容易に注入することができる。この凝縮水の注入によって原子炉圧力容器1内の冷却水の水位が上昇する。したがって、燃料集合体内の燃料棒の上端が冷却水の水面よりも上方に顔を出すことがないので、冷却水の冷却によって核燃料物質の崩壊熱を除去することができる。
【0037】
また、弁15を閉じて弁16および42を開いて、凝縮水が蓄えられた耐圧容器14内の圧力を原子炉圧力容器1内の圧力と同じにすることができるので、原子炉圧力容器1内の圧力が高い状態でも原子炉圧力容器1内に凝縮水を供給できる。このため、原子炉が緊急停止された直後の圧力が高い原子炉圧力容器1内に冷却水として凝縮水を供給することができる。
【0038】
耐圧容器14と原子炉圧力容器1を2本の配管、具体的には、配管8及び41で連絡しているため、耐圧容器14から原子炉圧力容器1への凝縮水の注入時において原子炉圧力容器1内のガスが耐圧容器14に抜けるので、耐圧容器14内の凝縮水を、短時間に原子炉圧力容器1内に注入することができる。
【0039】
さらに、熱交換器3に供給された水蒸気からの除熱方法として、ヒートパイプ23による熱伝導を採用しているため、熱交換器3、及び入口側の弁15及び出口側の弁16,42を備えた耐圧容器14を有する凝縮水注入装置13を、原子炉格納容器10内に設置することによって、原子炉圧力容器1内の冷却水(一次系の冷却水)を内包した配管が原子炉格納容器10の外を通過することなく、原子炉を冷却することができる。
【0040】
各放熱板24を原子炉建屋32内に配置しても良い。この場合には、原子炉建屋32に設けられた複数のブローアウトパネルを開いて、原子炉建屋32の外部の空気を、原子炉建屋32内に導いて、ヒートパイプ23から放熱板24に伝えられる熱を、この空気により除去する。1つのブローアウトパネルが開いた開口部から導入された外気は、放熱板24から除去した熱で加熱され、他のブローアウトパネルが開いた他の開口部から原子炉建屋32の外に排気する。
【実施例2】
【0041】
本発明の他の実施例である実施例2の原子炉の冷却方法を、図3、図4及び図5を用いて説明する。本実施例の原子炉の冷却方法は、冷却材として水を使用する原子力発電プラントに適用される。
【0042】
本実施例の原子炉の冷却方法に用いられる原子炉冷却装置44Aを、図3を用いて説明する。原子炉冷却装置44Aは、実施例1で用いられる原子炉冷却装置44において、凝縮水注入装置を変更している。原子炉冷却装置44Aの他の構成は原子炉冷却装置44と同じである。本実施例で用いられる凝縮水注入装置は、原子炉冷却装置44における凝縮水注入装置13以外に凝縮水注入装置13Aを有している。凝縮水注入装置13Aの構成は凝縮水注入装置13と同じであり、本実施例は実質的に凝縮水注入装置13を2系統有している。凝縮水注入装置13は3系統以上設けても良い。
【0043】
凝縮水注入装置13Aは、耐圧容器14A、弁16Aを設けた配管8Aおよび弁42A(図示せず)を設けた配管41Aを有する。弁16Aおよび42Aは、弁16および42と同様に、原子炉の通常運転時において水密性を保つために、それぞれ2個設けられ、電動弁である。弁15Aが設けられた配管22Aが、耐圧容器14Aと切替弁33を接続する。上限の水位を検出するレベルスイッチ17A及び下限の水位を検出するレベルスイッチ18Aが、耐圧容器14Aに設けられる。配管8Aは耐圧容器14Aの底部に接続されて原子炉圧力容器1に接続される。配管41Aも耐圧容器14Aの底部に接続されて原子炉圧力容器1に接続される。配管41Aの原子炉圧力容器1への接続位置は、配管8Aの原子炉圧力容器1への接続位置よりも高くなっている。耐圧容器14Aは、配管41Aの原子炉圧力容器1への接続位置よりも高い位置に配置される。耐圧容器14Aは、高さ方向において、原子炉圧力容器1内に配置された炉心2より上方に配置される。熱交換器3は耐圧容器14Aよりも上方に配置される。
【0044】
三方弁である切替弁33が弁15の上流で配管22に設けられる。配管22Aが切替弁33に接続される。
【0045】
本実施例の原子炉の冷却方法は、凝縮水注入装置13及び凝縮水注入装置13Aを備えた原子炉冷却装置44Aを用いているので、原子炉圧力容器1内に凝縮水を連続して供給することができる。このような本実施例の原子炉の冷却方法を、図3に示された原子炉冷却装置44A、図4及び図5に示された処理手順に基づいて、具体的に説明する。図4及び図5に示された処理手順における各弁の操作は、制御装置43で実行される。なお、凝縮水注入装置13をA系と称し、凝縮水注入装置13AをB系と称する。
【0046】
制御装置43は、切替弁33、凝縮水注入装置13の弁15,16,42、および凝縮水注入装置13Aの弁15A,16A,42Aを初期状態に制御する(ステップS1)。沸騰水型原子炉の通常運転時または熱交換器3によって原子炉圧力容器1から排出される水蒸気を凝縮させる前の初期状態では、切替弁33が熱交換器3とA系の耐圧容器14を連絡するように開いている。このとき、熱交換器3とB系の耐圧容器14Aは切替弁33によって連絡されていない。A系では、耐圧容器14内の水位に基づいて、レベルスイッチ17からOFF信号が出力され、レベルスイッチ18からON信号が出力される。制御装置43は、レベルスイッチ17からOFF信号に基づいてA系の弁15を開いた状態にし、レベルスイッチ18からON信号に基づいてA系の弁16,42を閉じた状態にする。また、制御装置43は、レベルスイッチ17AからOFF信号に基づいてB系の弁15Aを開いた状態にし、レベルスイッチ18AからON信号に基づいてB系の弁16A,42Aを閉じた状態にする。A系の耐圧容器14及びB系の耐圧容器14Aのそれぞれの内圧は、ともに、原子炉圧力容器1の内圧よりも低くなっている。
【0047】
A系のレベルスイッチ18からのOFF信号を入力する(ステップS2)。原子炉圧力容器1から熱交換器3内に水蒸気が供給され、前述したように、熱交換器3内で水蒸気が凝縮されて凝縮水が生成される。この凝縮水が、配管22及び弁15を通してA系の耐圧容器14内に流入する。耐圧容器14内の凝縮水の液面が上昇し、耐圧容器14内の水位が下限の水位よりも上昇する。このため、耐圧容器14内の水位を検出するA系のレベルスイッチ18がOFF信号を出力し、制御装置43はこのOFF信号を入力する。弁15,16,42,15A,16A,42Aのそれぞれは、ステップS1での初期状態と同じ状態になっている。
【0048】
A系の各弁及び切替弁33を制御する(ステップS3)。熱交換器3で生成された凝縮水のA系の耐圧容器14内への供給が継続され、その耐圧容器14内の水位が、レベルスイッチ17が検出する上限の水まで上昇したとき、レベルスイッチ17がON信号を出力する。制御装置43は、このON信号を入力し、このON信号に基づいて、A系において、弁15を閉じて弁16,42を開き、さらに、切替弁33を、熱交換器3とB系の耐圧容器14Aを連絡するように開く。A系において、弁15を閉じて弁16,42を開くので、実施例1と同様に、A系の耐圧容器14の内圧が原子炉圧力容器1の内圧と等しくなり、A系の耐圧容器14内の凝縮水が重力により少なくとも、配管8または配管41のいずれかを通って原子炉圧力容器1内に供給される。さらに、切替弁33の操作によって、熱交換器3とB系の耐圧容器14Aが連絡されるため、燃料交換器3内で生成された凝縮水が、配管22,22Aを通って耐圧容器14A内に供給される。
【0049】
B系のレベルスイッチ18AからのOFF信号を入力し、A系のレベルスイッチ17からのOFF信号を入力する(ステップS4)。凝縮水の供給によりB系の耐圧容器14A内の凝縮水の液面が上昇し、耐圧容器14A内の水位が下限の水位よりも上昇する。このため、耐圧容器14A内の水位を検出するB系のレベルスイッチ18AがOFF信号を出力し、制御装置43はこのOFF信号を入力する。A系の耐圧容器14内の水位が凝縮液の排出により低下するため、制御装置43はA系のレベルスイッチ17からのOFF信号を入力する。弁15,16,42,15A,16A,42Aのそれぞれは、ステップS3における状態と同じ状態になっている。制御装置43がスイッチ18Aから出力されたOFF信号を入力しているとき、A系のレベルスイッチ18がOFF信号を出力している間では、A系の耐圧容器14内の凝縮水が原子炉圧力容器1内に供給される。
【0050】
A系及びB系の各弁及び切替弁33を制御する(ステップS5)。熱交換器3で生成された凝縮水のB系の耐圧容器14A内への供給が継続され、その耐圧容器14A内の水位が、レベルスイッチ17Aが検出する上限の水まで上昇したとき、レベルスイッチ17AがON信号を出力する。制御装置43は、このON信号を入力し、このON信号に基づいて、B系において、弁15Aを閉じて弁16A,42Aを開き、さらに、切替弁33を、熱交換器3とA系の耐圧容器14を連絡するように開く。また、制御装置43は、レベルスイッチ17Aから出力されたON信号に基づいてA系の弁15を開いて弁16,42を閉じる。B系において、弁15Aを閉じて弁16A,42Aを開くので、B系の耐圧容器14Aの内圧が原子炉圧力容器1の内圧と等しくなり、耐圧容器14A内の凝縮水が重力により少なくとも、配管8Aまたは配管41Aのいずれかを通って原子炉圧力容器1内に供給される。A系においても、弁15が開いて弁16,42が閉じられる。さらに、切替弁33の操作によって、熱交換器3とA系の耐圧容器14が連絡されるため、燃料交換器3内で生成された凝縮水が、配管22を通って耐圧容器14内に供給される。
【0051】
A系のレベルスイッチ18からのOFF信号を入力し、B系のレベルスイッチ17AからのOFF信号を入力する(ステップS6)。凝縮水の供給によりA系の耐圧容器14内の凝縮水の液面が上昇し、耐圧容器14内の水位が下限の水位よりも上昇する。このため、耐圧容器14内の水位を検出するA系のレベルスイッチ18がOFF信号を出力し、制御装置43はこのOFF信号を入力する。B系の耐圧容器14A内の水位が凝縮液の排出により低下するため、制御装置43はB系のレベルスイッチ17AからのOFF信号を入力する。弁15,16,42,15A,16A,42Aのそれぞれは、ステップS5における状態と同じ状態になっている。制御装置43がスイッチ18から出力されたOFF信号を入力しているとき、B系のレベルスイッチ18AがOFF信号を出力している間では、B系の耐圧容器14A内の凝縮水が原子炉圧力容器1内に供給される。
【0052】
ステップS6以降では、ステップS3からステップS6の各処理が繰り返して実行され、熱交換器3での水蒸気の凝縮および原子炉圧力容器1内への凝縮水の供給が継続して行われる。
【0053】
本実施例は、実施例1で生じる各効果を得ることができる。さらに、本実施例は、複数の凝縮水注入装置が並列に設けられるので、原子炉圧力容器1から熱交換器3に導かれる水蒸気の凝縮、及び原子炉圧力容器1への凝縮水の供給を継続して行うことができる。このため、本実施例は、実施例1に比べて、原子炉圧力容器1内の冷却水の冷却効率を向上させることができる。
【0054】
また、原子炉圧力容器1内の水蒸気から生成される凝縮水の割合を増加させるためには、複数の熱交換器3を直列に接続して、第一の熱交換器3で水蒸気を凝縮した後に第1の熱交換器3内に残存する水蒸気を、第1の熱交換器3に接続された第二の熱交換器3で凝縮することが望ましい。
【実施例3】
【0055】
本発明の他の実施例である実施例3の原子炉の冷却方法を、図6を用いて説明する。本実施例の原子炉の冷却方法は、冷却材として水を使用する原子力発電プラントに適用される。
【0056】
本実施例の原子炉の冷却方法に用いられる原子炉冷却装置44Bを、図6を用いて説明する。原子炉冷却装置44Bは、実施例1で用いられる原子炉冷却装置44において、ヒートパイプ23を構成するチューブ25に冷媒供給装置28および気体排出装置29を接続した構成を有する。ヒートパイプ23を構成するチューブ25は、内部を気体排出装置29により排気した後で揮発性の冷媒を充填しており、圧力計26が設けられる。原子炉冷却装置44Bの他の構成は原子炉冷却装置44と同じである。
【0057】
気体排出装置29は、真空ポンプ36、コネクタ37及び配管45を有する。弁27及び37が設けられた配管45がチューブ25に接続される。真空ポンプ36がコネクタ37によって配管45に接続される。真空ポンプ36は、常時設置されている必要はなく、メンテナンスの際に、コネクタ37によって配管45に接続される。冷媒供給装置28は弁35を設けた冷媒容器38を有する。冷媒容器38は、弁27と弁37の間で配管45に接続される。気体排出装置29によりチューブ25の内部を排気した後で、弁27と弁37を閉、弁35を開として揮発性の冷媒(例えば、水)を充填した後に、弁35を閉とし、その後、弁27を開とすることで、揮発性の冷媒(例えば、水)をチューブ25内に充填する。
【0058】
ヒートパイプ23による熱伝導においては、内部が真空のチューブ25内に封入した揮発性の冷媒の蒸発と凝縮を利用して熱量を輸送する。このため、ヒートパイプ23に高い熱伝導性能を与え、これを維持するには、定期的にチューブ25内を揮発性の冷媒(例えば、水)のみの状態に維持すること(メンテナンス)が必要である。通常、弁27、弁35及び弁37は閉じられており、チューブ25内の圧力を設定圧力に保持している。メンテナンスの際には、チューブ25内の気体を排出するため、コネクタ37に真空ポンプ36を接続する。弁27及び37を開いて真空ポンプ36を駆動することによって、チューブ25内の気体を、配管45を通して外部に排気する。気体の排気後、弁34を閉じ、真空ポンプを配管45から取り外す。その後、弁27と弁37を閉、弁35を開として揮発性の冷媒(例えば、水)を充填し、その後、弁35を閉、弁27を開とすることで、揮発性の冷媒(例えば、水)をチューブ25内に注入する。圧力計で計測されたチューブ25内の圧力が設定圧力になったとき、チューブ25内への揮発性冷媒の注入を終了し、弁27を閉じることで、設定圧力を維持する。
【0059】
原子炉冷却装置44Bを用いた本実施例の原子炉の冷却方法における原子炉圧力容器1内の水蒸気の凝縮および凝縮水の注入は、実施例1と同様に実行される。
【0060】
本実施例は、実施例1で生じる各効果を得ることができる。本実施例は、ヒートパイプ23内の気体を排気して新たな揮発性冷媒をヒートパイプ23内に注入するので、ヒートパイプ23の熱伝導性能が向上し、原子炉圧力容器1から熱交換器3に供給される水蒸気の凝縮効率を高めることができる。
【0061】
原子炉冷却装置44Bの圧力計26、冷媒供給装置28および気体排出装置29を、実施例2で用いる原子炉冷却装置44Aに設けても良い。
【符号の説明】
【0062】
1…原子炉圧力容器、2…炉心、3…熱交換器、6…主蒸気配管、7…安全弁、8,8A,20,21,22,22A,41,41A…配管、10…原子炉格納容器、11…圧力抑制室、12…主蒸気逃がし安全弁、13,13A…凝縮水注入装置、14,14A…耐圧容器、15,15A,16,16A,27,34,42,42A…弁、17,18…レベルスイッチ、23…ヒートパイプ、24…放熱板、25…チューブ、28…冷媒供給装置、29…気体排出装置、32…原子炉建屋、33…切替弁、36…真空ポンプ、38…冷媒容器、40…圧力抑制プール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉圧力容器内の炉心の上端よりも上方に配置された、凝縮水注入装置の耐圧容器よりも上方に配置された熱交換器に、原子炉圧力容器内の蒸気を供給し、
この蒸気を前記熱交換器に設けられたヒートパイプにより凝縮させて凝縮水を生成し、
生成された凝縮水を重力により前記熱交換器から前記耐圧容器内に導いて前記耐圧容器内に蓄え、
前記耐圧容器内の前記凝縮水を、重力を利用して前記原子炉圧力容器内に供給することを特徴とする原子炉の冷却方法。
【請求項2】
第1弁が設けられて前記凝縮水を導く第1配管により前記耐圧容器が前記熱交換器に接続され、第2弁が設けられて前記凝縮水を導く第2配管により前記耐圧容器が前記原子炉圧力容器に接続された前記凝縮水注入装置を用い、
前記耐圧容器内の前記凝縮水の前記原子炉圧力容器への供給は、前記耐圧容器内の前記凝縮水の水位が設定水位まで上昇したとき、前記第2弁を開いて前記耐圧容器内の前記凝縮水を前記原子炉圧力容器に導くことによって行われる請求項1に記載の原子炉の冷却方法。
【請求項3】
前記耐圧容器内の前記凝縮水の前記原子炉圧力容器への供給は、前記耐圧容器の内圧が前記原子炉圧力容器の内圧と同じになったときに、前記耐圧容器内の前記凝縮水が前記原子炉圧力容器内に排出されることによって行われる請求項1または2に記載の原子炉の冷却方法。
【請求項4】
前記ヒートポンプ内の気体を前記ヒートポンプの外部に排気し、その後、前記ヒートポンプ内に冷媒を注入する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の原子炉の冷却方法。
【請求項5】
前記耐圧容器内の前記凝縮水の水位が上限の第1設定水位まで上昇したとき、前記第1弁を閉じて前記第2弁を開いて前記耐圧容器内の前記凝縮水を前記原子炉圧力容器内に供給し、
前記耐圧容器内の前記凝縮水の水位が下限の第2設定水位まで低下したとき、前記第1弁を開いて前記熱交換器から前記凝縮水を前記耐圧容器に供給して前記第2弁を閉じて前記耐圧容器内の前記凝縮水の前記原子炉圧力容器への供給を停止する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の原子炉の冷却方法。
【請求項6】
第1および第2の前記凝縮水注入装置を用い、
前記耐圧容器内の前記凝縮水の前記原子炉圧力容器への供給は、前記第1凝縮水注入装置の前記耐圧容器内の前記凝縮水の水位が設定水位まで上昇したときに前記第2凝縮水注入装置の前記第2弁を閉じて前記第1凝縮水注入装置の前記第2弁を開いて行い、前記第2凝縮水注入装置の前記耐圧容器内の前記凝縮水の水位が前記設定水位まで上昇したときに前記第1凝縮水注入装置の前記第2弁を閉じて前記第2凝縮水注入装置の前記第2弁を開いて行う請求項2に記載の原子炉の冷却方法。
【請求項7】
前記第1凝縮水注入装置の前記耐圧容器内の前記凝縮水の前記原子炉圧力容器への供給は、前記第1凝縮水注入装置の前記耐圧容器の内圧が前記原子炉圧力容器の内圧と同じになったときに、前記第1凝縮水注入装置の前記耐圧容器内の前記凝縮水が前記原子炉圧力容器内に排出されることによって行われ、
前記第2凝縮水注入装置の前記耐圧容器内の前記凝縮水の前記原子炉圧力容器への供給は、前記第2凝縮水注入装置の前記耐圧容器の内圧が前記原子炉圧力容器の内圧と同じになったときに、前記第2凝縮水注入装置の前記耐圧容器内の前記凝縮水が前記原子炉圧力容器内に排出されることによって行われる請求項6に記載の原子炉の冷却方法。
【請求項8】
前記第1凝縮水注入装置の前記耐圧容器内の前記凝縮水の水位が上限の第1設定水位まで上昇したとき、前記第1凝縮水注入装置において前記第1弁を閉じて前記第2弁を開いて前記耐圧容器内の前記凝縮水を前記原子炉圧力容器内に供給し、
前記第1凝縮水注入装置の前記耐圧容器内の前記凝縮水の水位が下限の第2設定水位まで低下したとき、前記第1凝縮水注入装置において前記第1弁を開いて前記熱交換器から前記凝縮水を前記耐圧容器に供給して前記第2弁を閉じて前記耐圧容器内の前記凝縮水の前記原子炉圧力容器への供給を停止し、
前記第2凝縮水注入装置の前記耐圧容器内の前記凝縮水の水位が上限の第1設定水位まで上昇したとき、前記第2凝縮水注入装置において前記第1弁を閉じて前記第2弁を開いて前記耐圧容器内の前記凝縮水を前記原子炉圧力容器内に供給し、
前記第2凝縮水注入装置の前記耐圧容器内の前記凝縮水の水位が下限の第2設定水位まで低下したとき、前記第2凝縮水注入装置において前記第1弁を開いて前記熱交換器から前記凝縮水を前記耐圧容器に供給して前記第2弁を閉じて前記耐圧容器内の前記凝縮水の前記原子炉圧力容器への供給を停止する請求項6に記載の原子炉の冷却方法。
【請求項9】
原子圧力容器の外側で前記原子炉圧力容器を取り囲む原子炉格納容器の内側で前記原子炉圧力容器内の炉心の上端よりも上方に配置されて凝縮水を蓄える耐圧容器、及び前記耐圧容器と前記原子炉圧力容器を接続して前記凝縮水を導く第1配管を有する凝縮水注入装置と、
前記耐圧容器よりも上方に配置されて前記原子炉圧力容器から供給される蒸気を凝縮するヒートパイプが内部に設けられ、前記蒸気の凝縮により生成された前記凝縮水を導く第2配管によって前記耐圧容器に接続される熱交換器とを備えたことを特徴とする原子炉冷却装置。
【請求項10】
前記凝縮水注入装置が、前記熱交換器および前記耐圧容器に接続されて第1弁が設けられ、前記凝縮水を導く第1配管と、前記耐圧容器および前記原子炉圧力容器に接続されて第2弁が設けられ、前記凝縮水を導く第2配管とを有し、
水位検出器が前記耐圧容器に設けられ、
前記水位検出器が、前記耐圧容器内の前記凝縮水の水位が設定水位になったことを検出したとき、前記第2弁を開く制御装置を備えた請求項9に記載の原子炉冷却装置。
【請求項11】
前記原子力圧力容器に接続される、第3弁が設けられた第3配管が、前記耐圧容器に接続され、
前記水位検出器が、前記耐圧容器内の前記凝縮水の水位が前記設定水位になったことを検出したとき、前記第3弁を開く前記制御装置を備えた請求項10に記載の原子炉冷却装置。
【請求項12】
第1水位検出器及び第2水位検出器を前記耐圧容器に設け、
前記凝縮水注入装置が、前記熱交換器および前記耐圧容器に接続されて第1弁が設けられ、前記凝縮水を導く第1配管と、前記耐圧容器および前記原子炉圧力容器に接続されて第2弁が設けられ、前記凝縮水を導く第2配管と、前記原子力圧力容器および前記耐圧容器に接続され、第3弁が設けられた第3配管とを有し、
前記耐圧容器内の前記凝縮水の水位が上限の第1設定水位まで上昇したことを前記第1水位検出器が検出したときに、前記第1弁を閉じて前記第2弁および第3弁を開き、前記耐圧容器内の前記凝縮水の水位が下限の第2設定水位まで低下したことを前記第2水検出器が検出したときに、前記第1弁を開いて前記第2弁および前記第3弁を閉じる制御装置を備えた請求項9に記載の原子炉冷却装置。
【請求項13】
前記ヒートポンプに接続され、前記ヒートポンプ内の気体を排出する気体排出装置と、前記ヒートポンプ内に冷媒を注入する冷媒供給装置とを備えた請求項9ないし12のいずれか1項に記載の原子炉冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−233711(P2012−233711A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100543(P2011−100543)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)