原子炉を修理する方法
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の背景】この発明は原子炉、更に具体的に云えば、沸騰水形原子炉を修理する方法に関する。原子炉は、その使用に伴う有害物質のリスクを最小限に抑える様に控え目の仕様になっている。原子炉容器の壁は数吋の厚さであり、原子炉の部品には最も丈夫な材料が使われる。それでも、部品が何十年も極端な応力を受けた場合の破損と云う万が一の場合を考えることが必要である。こう云う万が一の備えとしては、何重もの予防装置だけでなく、起こった問題を是正する手順も必要である。
【0002】こゝで問題とするのは炉心内ハウジングに関係する欠陥である。炉心内計装ハウジングをこゝでは単に「炉心内ハウジング」と呼ぶが、炉心を監視する為に使われる計装と、この計装が収集したデータを解析する為に使われるホスト装置の間のリンクを収容している。ハウジングは筒状であって、原子炉容器の底部を通抜け、この底部に溶接されている。炉心内ハウジングに関係する欠陥は、ハウジング自体、ハウジングを容器の底部に結合している溶接部、並びにハウジングの近辺にある容器の底部の欠陥を含む。こう云う欠陥は、原子炉容器からの漏れの原因になったり或いは招くことがある。したがって、こう云う欠陥を取上げる方法が必要である。
【0003】大がゝりな方式は原子炉の長期的な運転停止を必要とする。原子炉を取替えたり、取外し、修理して再び取付けることがある。こう云う方式は極めてコストがかゝり、その代案が非常に望ましい。ある炉心内ハウジング欠陥は、スリーブを炉心内ハウジングの上に挿入して欠陥を覆い、漏れが起こり得るとしても、それを止めることによって、対処することが出来る。然し、こう云う継ぎ接ぎ(patch )方式は実際にその欠陥を処理するものではなく、更に疲労が進むと、こう云う欠陥が増大し続ける。更に、スリーブとハウジングの間の溶接部が新たな欠陥の原因個所になり得る。
【0004】更に最近になって、交換する以外の原子炉の部品に対する影響が極く小さい炉心内ハウジングを交換する方法が開発された。この方法は、原子炉から全ての燃料を取出し、放射露出を最小限に抑える為に、大抵の工程を水中で行なう。比較的永久的な修理が出来ると共に比較的経済的であるが、この方法は100を越える一連の手順を用い、その手順の中には新しい欠陥を招く惧れのあるものがある。こう云う欠陥は、この交換方法を繰返さざるを得なくなる程重大になることがある。こう云う繰返しは時間を浪費してコストがかゝる点で望ましくない。必要とされるのは、炉心内ハウジング欠陥の比較的永久的な修理を行なう方法として、比較的経済的で、好ましくは原子炉装置を乱すことが極く小さい改良された方法である。
【0005】
【発明の要約】この発明では、炉心内ハウジングを交換する改良された方法が、1つにまとまった一連の超音波検査を用いる。超音波検査は、修理手順が欠陥を持ち込む場合に要求される再修理の規模を最小限に抑える。更にこの発明では、超音波検査を含む大抵の工程が水中で行なわれて、放射露出を最小限に抑える。
【0006】この方法には3つの主な段階があり、各々の段階は構成上の大きい目的とそれに伴う超音波検査を含む。第1の段階は、もとのハウジングを取出し、原子炉容器の底部にある残っている溶接材料及び露出した被覆を検査することである。第2の段階は、盛上げ溶接部(weld buildup)を形成し、この盛上げ溶接部を超音波検査することである。第3の段階は、新しいハウジングを盛上げ溶接部に溶接し、新しいハウジング及び盛上げ溶接部に対するその取付け部を超音波検査することである。
【0007】この方法はもとの炉心内ハウジングを取出すことから始まる。最初、原子炉から全ての燃料を取出し、空にした炉心領域を残す。原子炉容器は通常の水準まで水で充填したまゝにする。第1の超音波プローブを持つ超音波スキャナを開口の上に取付ける。この開口は、炉心内ハウジングを原子炉の底部から通す為の開口である。取出されたハウジングによって開いた空間内で、炉心領域の下方にスキャナを取付ける。
【0008】取付けた第1のプローブは円板形のプローブ・ヘッドを持ち、これはこのヘッドとスキャナの間の垂直軸に対して自由に傾くことが出来る。プローブ・ヘッドを原子炉の底部と接触するまで下げると、プローブ・ヘッドの向きは底部の局部的な輪郭と同形になる。円板形プローブ・ヘッドを軸の軸線の周りに回転しながら、原子炉の底部の被覆並びに取除かれていない溶接材料の超音波検査を行なう。底部の局部的な輪郭との同形性を保つ為に、必要に応じて、プローブ・ヘッドは連続的に向きを変える。スキャナ及び第1のプローブを原子炉容器から取出す。欠陥が見つからなければ、又は検出された欠陥が適正に是正されたら、この手順は次の様に続けられる。
【0009】容器から水を取出す。開口の上に盛上げ溶接部を形成する。容器を再び水で満たし、炉心領域を水没させる。更に、盛上げ溶接部の外側を滑かに加工して、この後の超音波検査を助ける。もとの底部の開口を通って出入りが出来る様にする為に、盛上げ溶接部に開口を加工する。一旦盛上げ溶接部が仕上げられたら、第2の超音波プローブをスキャナに取付ける。スキャナを炉心内ハウジングを取出したことによって開いた空間に固定する。第2のプローブのヘッドは比較的大きい直径を持っていて、それが盛上げ溶接部の内壁に隣合った環状部分を除いて、盛上げ溶接部を通る開口の大部分を埋める。プローブ・ヘッドで盛上げ溶接部の開口に沿って垂直方向に走査し、欠陥があるかどうか、盛上げ溶接部を検査する。垂直走査の合間に、ヘッドは適当な、例えば2°−6°の増分で、円周方向に歩進させる。この増分は相次ぐ走査が必ず重なり合って、検査で飛越す容積がない様に選ばれる。こうして、盛上げ溶接部の円筒形ラスタ走査が実施される。スキャナ及びそれに取付けられた第2のプローブを原子炉から取出す。もう一度、欠陥が見つからないか或いは検出された欠陥が適正に是正されら、手順は次に続く。
【0010】盛上げ溶接部の開口に隣接して、盛上げ溶接部の頂部に、J字形断面を持つ環状溝を加工する。このJ字形を作るのは、盛上げ溶接部と交換用炉心内ハウジングの間の溶接部の準備である。この交換用炉心内ハウジングを容器の底部から上向きに挿入する。新しいハウジングは、容器の底部の輪郭から数吋上方までしか伸びない。一旦交換用炉心内ハウジングを取付けたら、原子炉から水を取出し、前に作ったJ字形の所で、ハウジングを盛上げ溶接部にJ字形に溶接する。原子炉に再び水を張る。
【0011】第3のプローブをスキャナに取付け、第3のプローブを取付けたスキャナを装入されたハウジングのすぐ上に固定する。この第3のプローブのヘッドは比較的直径の小さい円筒であって、交換用ハウジングの内部にすき間をもってはまる。この第3のヘッドをハウジングの中に下げ、ハウジング及びJ字形溶接部の円筒形ラスタ走査を実施する。第3のプローブを取付けたスキャナを取出す。欠陥が見つからないか、或いは検出された欠陥が是正されたら、それ以上の超音波検査は必要ではない。締りばめ結合集成体を交換用ハウジング及び関連する炉心内案内管に取付ける。締りばめ結合部を固定する為に蒸気を加える。修理は実質的に完了する。
【0012】こうして出来た構造は、締りばめ結合部が存在することによって、初めのものとは異なるが、ハウジングが盛上げ溶接部及び容器の底部に取付けられている所では、実質的に「新品同様」である。この修理は近くにある部品を乱すことなく行なわれ、原子炉は最小限の遅延で、運転状態に戻すことが出来る。この修理は種々の継ぎ接ぎ方式よりも一層永久的であり、原子炉の大幅な分解を必要とする大がゝりな方式よりも、一層経済的で便利である。この発明の上記並びにその他の特徴及び利点は、以下図面について説明する所から明らかになろう。
【0013】
【好ましい実施例の説明】沸騰水形原子炉100をこの発明の方法に従って修理する過程が図1に示されている。原子炉100は、図1に示す様に、原子炉容器102、原子炉炉心領域104及びシュラウド106を有する。容器102は頂部ヘッド108、底部ヘッド110及び円筒形側壁112を有する。原子炉の運転中、炉心領域104には垂直方向に伸びる燃料束114の配列がある。(燃料束114及び頂部ヘッド108を破線で示したのは、図1に示す時点では、それらが取外されているからである)原子炉を運転している時、水が(矢印116で示す様に)炉心領域104を上向きに、その後環状立下り部118へ、そして下側高圧室120へと下向きに循環し、再び炉心領域104を上向きに通る。炉心領域104の中を上昇する若干の水が、束114内の核分裂燃料が核分裂する時に放出される熱によって蒸気に変換される。蒸気が蒸気出口ノズル122を介して容器102を出て行き、そこから発電機を駆動するタービンに送られる。タービンにエネルギを供給した後、蒸気が復水し、この復水が給水ノズル124を介して容器102に戻り、給水スパージャ126を介して立下り部118の周りに分配される。
【0014】燃料束114が炉心板128によって案内され、上側案内部130によって上から所定位置に保持される。炉心のエネルギは、制御棒駆動(CRD)ハウジング134内に収容された制御棒駆動部によって駆動されて、制御棒案内管130の中を垂直方向に摺動する制御棒を挿入したり、引込めたりすることによって調整される。CRDハウジング134が短管136に溶接されており、この短管が容器102の底部ヘッド110にある対応する開口に溶接されている。底部ヘッド110の内面には被覆138がある。
【0015】炉心内ハウジング集成体140に設けられた中性子束モニタにより、炉心エネルギが監視される。各々の炉心内ハウジング集成体140が計装案内管142及び炉心内ハウジング144を有する。各々の炉心内ハウジング144は底部ヘッド110を通抜け、それが溶接されている対応する計装案内管142と突合せになる。炉心内監視計器が、下から炉心内ハウジング144を介して原子炉110の中に挿入される。炉心領域104内での計装の動きが、計装案内管142によって垂直方向に案内される。炉心内ハウジング集成体140を案内管142とハウジング144に分割することにより、原子炉の製造が容易になる。この代りに、1本の管が炉心内ハウジング及び計装案内管の両方の作用をしてもよい。
【0016】図1にその進行を示した修理の際、容器の被覆された底部ヘッド110にある溶接部の検査により、修理を必要とする様な炉心内ハウジングに関係する欠陥が確認されている。容器の頂部ヘッド108を容器の側壁112から取外す。全ての燃料束114を炉心領域104から取出す。これによって炉心領域104を通るアクセス部146が出来、これを介してスキャナ150及びその他の修理装置を下側高圧室120に挿入することが出来る。
【0017】スキャナ150は、ブラケット152を使って、隣接するCRDハウジング134をブレースとする。スキャナ150がスキャナ軸154を持ち、これがバヨネット取付け部を持っていて、この取付け部にプローブを取付けることが出来る。ケーブル156がスキャナ150に電力並びに制御指令を供給すると共に、スキャナ150からのデータを外部のホスト・コンピュータ装置に伝送する。スキャナ150は、その間の連絡が出来る様に、互換性を持つプローブに取付けられた同じ様なケーブルに接続される短い同軸ケーブル(図に示してない)を有する。
【0018】指示された炉心内ハウジング集成体の一部分を取外して、容器の底部ヘッド、並びにこの炉心内ハウジングを容器の底部ヘッドに取付けている溶接部の検査が出来る様にする。開口158が容器の底部ヘッド110に開けられている。新しい炉心内ハウジングを開口158から挿入し、指示された炉心内ハウジング集成体の修理を行なう為に所定位置に溶接する。図1に示す工程では、容器102から水が脱出しない様にする為、開口158は心棒160で塞がれている。
【0019】その進行中を図1に示した修理を行なうこの発明の方法200のフローチャートが図2に示されている。この方法200は、炉心内ハウジング144、炉心内ハウジングを底部ヘッド110に結合している溶接材料、及び底部ヘッドの局部的な被覆の欠陥の修理(例えば図1に示す様な)を行なう。方法200は3つの段階を有する。第1の段階210は指示された炉心内ハウジングを取外し、底部ヘッド110の溶接区域を検査することである。第2の段階220は盛上げ溶接部を作ってそれを検査することである。第3の段階230は新しい炉心内ハウジングを挿入して溶接し、この取付けに使われた溶接部を検査することである。
【0020】第1の段階210は、工程211で、修理が指示された炉心内ハウジングに対する出入りが出来る様にすることである。この出入りが出来る様にする為、原子炉100の運転を停止し、容器の頂部ヘッド108を容器102から分離する。全ての燃料束114を取出し、アクセス部146を作る。蒸気分離器及び蒸気乾燥器の様な他の種々の部品(図に示してない)も取外して、炉心領域104の下方の下側高圧室120に出入り出来る様にする。
【0021】工程212で、図3に示した指示された炉心内ハウジング集成体300の一部分を取外す。この取外しの前、指示された炉心内ハウジング302は下からフランジ303によって密封する。炉心領域104の中を下向きに通して、放電機械(EDM)を下側高圧室120に挿入し、それを使って炉心内ハウジング集成体300に切込みを作り、もとの盛上げ溶接部304より上方にある炉心内ハウジングの部分を切離す。取付けられた安定バー308より下方にある取付けられた炉心内案内管306の下側部分も取外す。この過程により、必然的に炉心内案内管306と炉心内ハウジング302の間にある溶接部310も取外される。EDM機械を使って、大部分の盛上げ溶接部304をも取除き、図4に示す様に、底部ヘッド110に開口158を露出させる。露出させた開口158を上から密封し、炉心内ハウジング302の残っている部分を容器102の下方から取除く。図1に示す心棒160を下から開口158に挿入し、容器102内に水を入れたまゝ、開口158の上方にある封じを取外すことが出来る様にする。
【0022】工程213で、図5に示す第1のプローブ400をスキャナ軸154に取付ける。工程214で、第1のプローブ400を取付けたスキャナ150を、炉心内ハウジング302を取外したことによって空いた空間内の下側高圧室120に取付ける。スキャナ150は、図4に示した開口158のZ軸に沿ってその軸154が伸びる様に整合させる。スキャナ150は基本的には円筒形であって、下側高圧室120の中に送出すことが出来る位に小さい直径を有する。ブラケット152がスキャナ150を隣接した制御棒駆動ハウジング134の間で位置ぎめする。スキャナ150はケーブル156を介して外部と連絡する。このケーブルは炉心領域104を上向きに伸び、容器102から出て行く。図1には、工程214が完了した時の原子炉100が示されている。
【0023】方法200の第2の段階220で形成される盛上げ溶接部の下に来る様な面及び容積の第1の超音波走査(U走査)に第1のプローブ400を使う。従って、残っている盛上げ溶接部、開口158の壁、局部的な被覆、及び底部ヘッドの隣接する容積が超音波で照会される。第1のプローブ400は円板形ヘッド402(図5及び6参照)を持ち、これは結合ボール406を介して下側軸404に傾動自在に結合されている。下側軸404が上側軸408に結合され、上側軸がスキャナ軸154にバヨネット接続されている。中心合せ部材410が玉軸受集成体412を介して下側軸404の底部に結合され、下側軸404及び中心合せ部材410の相対的な回転が出来る様にしている。プローブ400は、その間で連絡が出来る様に、スキャナ150の同軸ケーブルと合さる同軸ケーブル(図に示してない)をも有する。
【0024】結合ボール406は球形で、図7に示す様に、垂直の孔414、横方向の孔416及び環状溝418を有する。下側軸404が垂直の孔414を通り、横方向の孔416及び下側軸404を通るピン420が、結合ボール406及び下側軸404が、図5に示す様に相対的に回転出来る様にしている。従って、実際的には、結合ボール406が下側軸404にしっかりと結合されている。環状溝418は、垂直孔414の両端を通る大円である。図5に見られる様に、円板形ヘッド402は溝418に結合する1対のピン422を有する。この構成により、円板形ヘッド402が下側軸404に対して、溝418の周りに傾動することが出来る。従って、底部ヘッド110に圧接する様に下げられた時、円板形ヘッド402は底部ヘッド410の局部的な輪郭と同形になる様に傾動することが出来る。
【0025】下側軸404が上側軸408にはまっている。下側軸404の外向きに伸びるピン424が、図5に示す様に、上側軸408の垂直方向に細長い孔426を通抜ける。この構成により、相対的な回転は出来ないが、軸404,408の垂直方向の相対的な動きが制限される。下側軸404と上側軸408の間の空間にあるばね428が、ピン424及び孔426によって許される範囲まで、両方の軸を離す様に押圧し、プローブ400を被覆138の方に押し下げる。
【0026】走査は、軸404,408によって構成されたリンク機構を介して、スキャナ軸154、従って円板形プローブ・ヘッド402を回転させることを含む。円板形ヘッド402には、全体的に下向きの5つの変換器431−435があり、これらが工程215で、開口158に隣接した面及び容積を走査する。円板形ヘッド402の変換器431−435は、図5及び6に示す様に、内側、中間及び周辺の直線ビーム変換器431,432,433と中くらいの角度及び大きい角度の変換器434,435とを含む。プローブ400からの同軸ケーブルがスキャナ150の同軸ケーブルと合さって、変換器431−435及びスキャナ150の間で両方向の連絡が出来る様にしている。直線ビーム変換器431,432,433は、図5に示す様に、夫々のビーム441,442,443を円板形ヘッド402に対して垂直に差向ける。円板形ヘッド402は、底部ヘッド410の内面にある隣接した被覆138と平行であるから、これらのビームは屈折によって曲がらない。従って、これらのビームは真直ぐに被覆138及び底部ヘッド110に入り込む。
【0027】底部ヘッド110の中心から離れた位置で、3つの直線ビーム変換器431−433は徹底的な検査にとって重要な領域の照会が出来ないことがある。例えば、こう云う変換器は、開口158の壁452の高側450を有効に照会しない。従って、角度をつけたビーム変換器434,435が、直線ビームが通らない領域を照会する様に設計されている。
【0028】高い角度の変換器435は、その屈折縦方向ビーム445を鉛直から46°に差向け、図5に示す様に、円板形ヘッド402の中心軸線Wの方に差向ける。この46°は、任意の炉心内ハウジングの近辺における最大勾配と大まかに対応する。従って、周辺の炉心内ハウジングを交換する時、高い角度の変換器435はそのビーム445を開口壁452の高側450と平行に差向ける。
【0029】中くらいの角度の変換器434はその屈折した縦方向ビーム444を、垂直から、軸線Wの側に20°の向きに差向ける。中くらいの角度の変換器434は、直線ビーム変換器431−433及び大きい角度の変換器435の極限から外れた領域を照会する。図6に示す様に、3つのローラ454が円板形ヘッド402に取付けられている。ばね428の作用により、ローラ454は被覆138と緊密に接触させられる。ローラ454は、擬似的な反射による雑音を最小限に抑える為、容器の底部110から変換器431−435を正しい間隔の所に保つ。更に、ローラ454は、走査中、円板形ヘッド402が回転し易くする。走査は円板形ヘッド402の1回の360°にわたる回転を用いる。
【0030】動作について説明すると、スキャナ150がケーブル156を介して指令を受取る。その時、スキャナ150が第1のプローブ400を下げ、中心合せ部材410が底部ヘッドの開口158に、そしてその後心棒160の孔456に入る様にする。この挿入は、中心合せ部材410にテーパつきの端458を設けたことによって容易になる。中心合せ部材410には僅かなすき間が設けられている。それと心棒160の間に挟まった粒子によって、中心合せ部材410の回転が拘束された場合、玉軸受集成体412は第1のプローブ400の残りの部分が、この拘束なしに回転することが出来る様にする。
【0031】上側軸408の孔426に対してピン424が上向きに移動することによって示される様に、ローラ454がばね428を圧縮する十分な力で被覆138と接触するまで、スキャナ150が第1のプローブ400を下げる。変換器431−435が適切に作動され、スキャナ150は円板形ヘッド402を予め選ばれた増分に分けて、360°にわたって歩進的に回転させる。この増分は包括的に2°乃至6°であることが好ましい。図示の実施例では、4°の増分を用いた。超音波反射を変換器で収集し、その結果得られた欠陥データをケーブル156を介して離れた所にあるホスト装置に伝える。スキャナ150及び第1のプローブ400は、工程216で、検査の後に取出される。
【0032】残っている溶接材料に欠陥が見つかった場合、更に加工することによって欠陥材料を除去することが出来る。その上に更に溶接材料を形成しようとする被覆にある欠陥は、場合に応じて取上げることが出来る。追跡検査を利用して、その是正を評価することが出来る。欠陥が見つからないか、又は一旦見つかった欠陥が是正された場合、方法200の第1の段階210が完了し、第2の段階220に進むことが出来る。
【0033】第2の段階220は、工程221で、溶接装置を下側高圧室120に挿入することから始まる。頂部ヘッド108は所定位置に配置し、溶接装置の制御ケーブルに対するすき間だけを残す。工程222で、容器102から排水する。その後、工程223で、溶接装置を使って、図8に示す様に、前には検査された被覆138及び開口158があった所の上に堅固な盛上げ溶接部502を形成する。工程224で、容器102に再び水を満たし、頂部ヘッド108を取外す。この時、溶接装置を取出すことが出来る。
【0034】溶接装置の運動制御装置の為、盛上げ溶接部502は、図9に示す様な密実な八角柱の形をしている。工程225で、EDM機械を挿入して、盛上げ溶接部102の外側を滑かにすると共に、その中に開口504を開け、こうして図10及び11に示す開口つきの盛上げ溶接部506を作る。開口504は、新しい炉心内ハウジングを入れる為に必要である。粗い八角形の外側を図11に示す様な滑かな円柱形の外側508に平滑することにより、開口つき盛上げ溶接部506の検査能力が改善される。
【0035】工程226で、図12に示す第2のプローブ600をスキャナ150に取付ける。第2のプローブ600は、図12に示す様に、プローブ軸602、プローブ本体604及び中心合せ部材606を有する。プローブ本体604は下向きに伸びる突起608を有する。突起608が中心合せ部材606の中にはまり、それに対して垂直方向に動くことが出来る。中心合せ部材606の中に装着されたばね610がプローブ本体604を上向きに最大限離れる様に押圧する。
【0036】プローブ本体604には、図13及び14に示す様な超音波ビーム621−629を発生する9個の変換器611−619を有する。変換器619は、そのビーム629が、図13に示す様に、半径方向外向きに盛上げ溶接部506に差向けられる様な向きになっている。変換器611−618は4個ずつの2つの群に分けて配置されている。これらの群は、プローブ本体604の両側にある凹部内に配置される。
【0037】第1の群は、盛上げ溶接部506の外径を標的とした4個の変換器611−614を有する。図13R>3に示す様に、変換器611はそのビーム621が上向きになる様な向きであり、変換器612はそのビーム622が下向きになる様な向きである。図14に示す様に、変換器613はそのビーム623が時計廻りになる様な向きであり、変換器614はそのビーム624が反時計廻りになる様な向きである。
【0038】第2の群は、何れも盛上げ溶接部506の内径を標的とする4つの変換器615−618を含む。図13に示す様に、変換器615はそのビーム625が上向きになる様な向きであり、変換器616はそのビーム626が下向きになる様な向きである。図14に示す様に、変換器617はそのビーム627が時計廻りになる様な向きであり、変換器618はそのビーム628が反時計廻りになる様な向きである。
【0039】動作について説明すると、プローブ軸602をスキャナ軸154にバヨネット接続する。プローブ600の同軸ケーブル(図に示してない)をスキャナ150の同軸ケーブルに接続して、プローブ変換器611−619とスキャナ150の間で両方向の連絡が出来る様にする。プローブ600を取付けたスキャナ150を工程227で、炉心領域104の下方及び開口158の上方の同じ場所に取付ける。
【0040】スキャナ150が、中心合せ部材606の底部が心棒160にある孔456の底に接するまで、第2のプローブ600を下げる。最初、変換器611−619は盛上げ溶接部506の頂部か又はその上方にある。変換器611−619を作動し、ビーム621−629を発生する。スキャナ150がプローブ600を垂直方向下向きに駆動し、図13に示す様に、ばね610を圧縮してプローブ600を下げる。変換器が盛上げ溶接部506の底に達した時、スキャナ150がプローブを4°回転させ、プローブ本体604が上向きに走査する。この走査は、間に回転をおいて垂直掃引を続ける。工程228で、このラスタ運動が360°の回転にわたって続けられる。その後、スキャナ150及び第2のプローブ600を工程229で持上げて取出す。検出された欠陥は盛上げ溶接部の修理、又は除去して新しい盛上げ溶接部の形成を必要とする。欠陥が検出されなければ、又は一旦検出された欠陥を是正したら、第2の段階220は完了する。
【0041】第3の段階230では、工程231で再びEDM機械を挿入して、盛上げ溶接部506にJ字形部分702を形成する。J字形部分702は、図15に示す様に、J字形断面を持つ環状溝である。その後EDM機械を取出す。図16に示す「シルクハット形封じ」704を開口504の上に配置する。シルクハット形封じ704は、その形から名付けられているが、容器102内に水を入れたまゝ、新しい炉心内ハウジング706を挿入する為のすき間を作る。
【0042】心棒160を取外し、新しい炉心内ハウジング706にハイドロスェージを挿入する。このハウジングは工程232で取付ける。取外した炉心内ハウジング302は炉心内案内管306まで伸びていたが、それと異なり、新しい炉心内ハウジング706は新しい盛上げ溶接部506より約6吋上方までしか伸びていない。この6吋のすき間がシルクハット形封じ704で埋め合されている。
【0043】ハイドロスェージにポンプ作用をかけ、炉心内ハウジング706を底部ヘッド110の高さの所で膨らませ、底部ヘッドと封着する。この封じは、一旦シルクハット形封じ704を取外しても、底部ヘッド110と炉心内ハウジング706の間で、容器102から水が漏れるのを防止する。ハイドロスェージを取外し、炉心内ハウジング706の底部を密封して、炉心内ハウジング706の内部を通って水が容器102から脱出することを防止する。
【0044】次に工程233で溶接装置を容器102に挿入する。頂部ヘッド108は容器102に配置する。工程234で容器102から排水する。シルクハット形封じ704を取除く。工程235で、図17に示すJ字形溶接部810を形成する。炉心内ハウジング706の底部にある封じを取除く。図19に示すフランジ906を新しい炉心内ハウジング706に取付けて、容器の内部を密封する。工程236で、容器102に再び水を満たす。頂部ヘッド108及び溶接装置を取外す。
【0045】工程237で、図17に示す様に、軸802及びテーパつきの底部を持つ円柱形のプローブ・ヘッド804を持つ第3のプローブ800をスキャナ軸154に取付ける。プローブ800の同軸ケーブル(図に示してない)をスキャナ150の同軸ケーブルと接続する。その後、工程238で、スキャナ150を新しい炉心内ハウジング706より約4吋上方の所に取付ける。
【0046】プローブ800は、新しい炉心内ハウジング706の中に適切なすき間をもってはまる位の比較的小さい直径を持っている。第3のプローブ800の外壁には、幾つかのばね加重のボール806がある。ばねがボールを外向きに押圧する。ハウジングの内壁がこれらのボールと圧接し、ばねを圧縮し、こうして第3のプローブ800を炉心内ハウジング706内で中心合せする。
【0047】第3のプローブ800は5つのビーム821−825を発生する5つの変換器811−815を有する。図17に示す様に、変換器811はビーム821が真直ぐ炉心内ハウジング706に差向けられる様な向きである。勿論、全てのビームは半径方向成分を含んでいるが、残りの変換器はそのビームの半径方向以外の成分が特徴である。変換器812はビーム822が上向きになる様な向きであり、変換器813はビーム823が下向きになる様な向きである。図19に示す様に、変換器814はビーム824が時計廻りになる様な向きであり、変換器815はビーム825が反時計廻りになる様な向きである。
【0048】スキャナ150が、第2のプローブ600に使われたのと同様な円筒形ラスタに沿って第3のプローブ800を駆動するが、今の場合は、工程239で、新しいハウジング706及びJ字形溶接部810に欠陥があるかどうかを超音波検査する。変換器811−815のラスタ動作により、J字形溶接部及び炉心内ハウジング706の隣接した容積の超音波検査が行なわれる。工程240で、スキャナ150及び第3のプローブ800を取出し、実質的に第3の段階230を完了する。
【0049】欠陥が見つからないか、一旦検出された欠陥が是正されたら、この方法200は完成へ進めることが出来る。この目的の為、図19に示す様に、結合管902を垂直方向には、新しい炉心内ハウジング706と炉心内案内管306の残りの部分との間の位置まで、横から挿入する。両端にある締りばめ結合部904を垂直方向に移動して、隣接したハウジング及び管の上に来る様にする。その後、締りばめ結合部904に蒸気を適用して、締りばめ結合部を炉心内案内管306及び新しい炉心内ハウジング706に取付け、工程241を完了する。
【0050】この点で、修理過程をやり易くする為に前に取外した原子炉部品を、工程242で原子炉100の運転を再開するのに備えて、再び取付け又はもと通りにすることが出来る。この発明のこの他の実施例では、手順及び装置に変形が考えられる。使われない装置は、原子炉から完全に取外してもよいし、後で使う為に炉心内に保管してもよい。溶接を水中で行なうことが出来れば、原子炉から排水する必要はない。適正な保護が得られゝば、全ての手順は水なしでも行なうことが出来る。水の代りに、異なる減速材を使うことが出来る。こゝで開示した実施例に対する上記並びにその他の変形は、この発明によって得られるものであり、この発明の範囲は特許請求の範囲のみによって限定されることを承知されたい。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の方法を実施する原子炉の簡略側面図。
【図2】この発明による方法のフローチャート。
【図3】図1の原子炉一部分の簡略側面図で、交換しようとする指示された炉心内ハウジングを示す。
【図4】図3に示す原子炉の部分であるが、指示された炉心内ハウジングを取去った後の部分の簡略側面図。
【図5】図2の方法で使われる第1の超音波プローブの側面図であって、その変換器のビーム・パターンを示す。
【図6】図5のプローブの円板形ヘッドの底面図で変換器の配置を示す。
【図7】図5のプローブの部品を機械的に結合するのに使われるボールの簡略平面図。
【図8】図4に示した原子炉の一部分であるが、密実な盛上げ溶接部を形成した後のこの部分の簡略側面図。
【図9】図8の密実な盛上げ溶接部の平面図。
【図10】図8に示した原子炉部分であるが、図8の盛上げ溶接部が加工されて、開口つきの盛上げ溶接部となった後の部分の簡略側面図。
【図11】図10の開口つき盛上げ溶接部の平面図。
【図12】図2の方法に使われる(圧縮されていない状態にある)第2のプローブの簡略側面図。
【図13】圧縮された状態にある図12の第2のプローブの簡略側面図。
【図14】図12の第2のプローブのビーム・パターンを示す平面図。
【図15】図10に示した原子炉の一部分であるが、盛上げ溶接部にJ字形部分を加工した後のこの部分の簡略側面図。
【図16】図15に示した原子炉の一部分であるが、盛上げ溶接部を介して交換の炉心内ハウジングが挿入された後のこの部分の簡略側面図。
【図17】図2の方法に使われる第3のプローブの簡略側面図。
【図18】図17のプローブのビーム・パターンを示す平面断面図。
【図19】図16に示した原子炉の一部分であるが、J字形溶接部が形成され且つ管継手を取付けた後のこの部分の簡略側面図。
【符号の説明】
110 容器の底部ヘッド
144 炉心内計装ハウジング
158 開口
400,600,800 プローブ
502 盛上げ溶接部
【0001】
【発明の背景】この発明は原子炉、更に具体的に云えば、沸騰水形原子炉を修理する方法に関する。原子炉は、その使用に伴う有害物質のリスクを最小限に抑える様に控え目の仕様になっている。原子炉容器の壁は数吋の厚さであり、原子炉の部品には最も丈夫な材料が使われる。それでも、部品が何十年も極端な応力を受けた場合の破損と云う万が一の場合を考えることが必要である。こう云う万が一の備えとしては、何重もの予防装置だけでなく、起こった問題を是正する手順も必要である。
【0002】こゝで問題とするのは炉心内ハウジングに関係する欠陥である。炉心内計装ハウジングをこゝでは単に「炉心内ハウジング」と呼ぶが、炉心を監視する為に使われる計装と、この計装が収集したデータを解析する為に使われるホスト装置の間のリンクを収容している。ハウジングは筒状であって、原子炉容器の底部を通抜け、この底部に溶接されている。炉心内ハウジングに関係する欠陥は、ハウジング自体、ハウジングを容器の底部に結合している溶接部、並びにハウジングの近辺にある容器の底部の欠陥を含む。こう云う欠陥は、原子炉容器からの漏れの原因になったり或いは招くことがある。したがって、こう云う欠陥を取上げる方法が必要である。
【0003】大がゝりな方式は原子炉の長期的な運転停止を必要とする。原子炉を取替えたり、取外し、修理して再び取付けることがある。こう云う方式は極めてコストがかゝり、その代案が非常に望ましい。ある炉心内ハウジング欠陥は、スリーブを炉心内ハウジングの上に挿入して欠陥を覆い、漏れが起こり得るとしても、それを止めることによって、対処することが出来る。然し、こう云う継ぎ接ぎ(patch )方式は実際にその欠陥を処理するものではなく、更に疲労が進むと、こう云う欠陥が増大し続ける。更に、スリーブとハウジングの間の溶接部が新たな欠陥の原因個所になり得る。
【0004】更に最近になって、交換する以外の原子炉の部品に対する影響が極く小さい炉心内ハウジングを交換する方法が開発された。この方法は、原子炉から全ての燃料を取出し、放射露出を最小限に抑える為に、大抵の工程を水中で行なう。比較的永久的な修理が出来ると共に比較的経済的であるが、この方法は100を越える一連の手順を用い、その手順の中には新しい欠陥を招く惧れのあるものがある。こう云う欠陥は、この交換方法を繰返さざるを得なくなる程重大になることがある。こう云う繰返しは時間を浪費してコストがかゝる点で望ましくない。必要とされるのは、炉心内ハウジング欠陥の比較的永久的な修理を行なう方法として、比較的経済的で、好ましくは原子炉装置を乱すことが極く小さい改良された方法である。
【0005】
【発明の要約】この発明では、炉心内ハウジングを交換する改良された方法が、1つにまとまった一連の超音波検査を用いる。超音波検査は、修理手順が欠陥を持ち込む場合に要求される再修理の規模を最小限に抑える。更にこの発明では、超音波検査を含む大抵の工程が水中で行なわれて、放射露出を最小限に抑える。
【0006】この方法には3つの主な段階があり、各々の段階は構成上の大きい目的とそれに伴う超音波検査を含む。第1の段階は、もとのハウジングを取出し、原子炉容器の底部にある残っている溶接材料及び露出した被覆を検査することである。第2の段階は、盛上げ溶接部(weld buildup)を形成し、この盛上げ溶接部を超音波検査することである。第3の段階は、新しいハウジングを盛上げ溶接部に溶接し、新しいハウジング及び盛上げ溶接部に対するその取付け部を超音波検査することである。
【0007】この方法はもとの炉心内ハウジングを取出すことから始まる。最初、原子炉から全ての燃料を取出し、空にした炉心領域を残す。原子炉容器は通常の水準まで水で充填したまゝにする。第1の超音波プローブを持つ超音波スキャナを開口の上に取付ける。この開口は、炉心内ハウジングを原子炉の底部から通す為の開口である。取出されたハウジングによって開いた空間内で、炉心領域の下方にスキャナを取付ける。
【0008】取付けた第1のプローブは円板形のプローブ・ヘッドを持ち、これはこのヘッドとスキャナの間の垂直軸に対して自由に傾くことが出来る。プローブ・ヘッドを原子炉の底部と接触するまで下げると、プローブ・ヘッドの向きは底部の局部的な輪郭と同形になる。円板形プローブ・ヘッドを軸の軸線の周りに回転しながら、原子炉の底部の被覆並びに取除かれていない溶接材料の超音波検査を行なう。底部の局部的な輪郭との同形性を保つ為に、必要に応じて、プローブ・ヘッドは連続的に向きを変える。スキャナ及び第1のプローブを原子炉容器から取出す。欠陥が見つからなければ、又は検出された欠陥が適正に是正されたら、この手順は次の様に続けられる。
【0009】容器から水を取出す。開口の上に盛上げ溶接部を形成する。容器を再び水で満たし、炉心領域を水没させる。更に、盛上げ溶接部の外側を滑かに加工して、この後の超音波検査を助ける。もとの底部の開口を通って出入りが出来る様にする為に、盛上げ溶接部に開口を加工する。一旦盛上げ溶接部が仕上げられたら、第2の超音波プローブをスキャナに取付ける。スキャナを炉心内ハウジングを取出したことによって開いた空間に固定する。第2のプローブのヘッドは比較的大きい直径を持っていて、それが盛上げ溶接部の内壁に隣合った環状部分を除いて、盛上げ溶接部を通る開口の大部分を埋める。プローブ・ヘッドで盛上げ溶接部の開口に沿って垂直方向に走査し、欠陥があるかどうか、盛上げ溶接部を検査する。垂直走査の合間に、ヘッドは適当な、例えば2°−6°の増分で、円周方向に歩進させる。この増分は相次ぐ走査が必ず重なり合って、検査で飛越す容積がない様に選ばれる。こうして、盛上げ溶接部の円筒形ラスタ走査が実施される。スキャナ及びそれに取付けられた第2のプローブを原子炉から取出す。もう一度、欠陥が見つからないか或いは検出された欠陥が適正に是正されら、手順は次に続く。
【0010】盛上げ溶接部の開口に隣接して、盛上げ溶接部の頂部に、J字形断面を持つ環状溝を加工する。このJ字形を作るのは、盛上げ溶接部と交換用炉心内ハウジングの間の溶接部の準備である。この交換用炉心内ハウジングを容器の底部から上向きに挿入する。新しいハウジングは、容器の底部の輪郭から数吋上方までしか伸びない。一旦交換用炉心内ハウジングを取付けたら、原子炉から水を取出し、前に作ったJ字形の所で、ハウジングを盛上げ溶接部にJ字形に溶接する。原子炉に再び水を張る。
【0011】第3のプローブをスキャナに取付け、第3のプローブを取付けたスキャナを装入されたハウジングのすぐ上に固定する。この第3のプローブのヘッドは比較的直径の小さい円筒であって、交換用ハウジングの内部にすき間をもってはまる。この第3のヘッドをハウジングの中に下げ、ハウジング及びJ字形溶接部の円筒形ラスタ走査を実施する。第3のプローブを取付けたスキャナを取出す。欠陥が見つからないか、或いは検出された欠陥が是正されたら、それ以上の超音波検査は必要ではない。締りばめ結合集成体を交換用ハウジング及び関連する炉心内案内管に取付ける。締りばめ結合部を固定する為に蒸気を加える。修理は実質的に完了する。
【0012】こうして出来た構造は、締りばめ結合部が存在することによって、初めのものとは異なるが、ハウジングが盛上げ溶接部及び容器の底部に取付けられている所では、実質的に「新品同様」である。この修理は近くにある部品を乱すことなく行なわれ、原子炉は最小限の遅延で、運転状態に戻すことが出来る。この修理は種々の継ぎ接ぎ方式よりも一層永久的であり、原子炉の大幅な分解を必要とする大がゝりな方式よりも、一層経済的で便利である。この発明の上記並びにその他の特徴及び利点は、以下図面について説明する所から明らかになろう。
【0013】
【好ましい実施例の説明】沸騰水形原子炉100をこの発明の方法に従って修理する過程が図1に示されている。原子炉100は、図1に示す様に、原子炉容器102、原子炉炉心領域104及びシュラウド106を有する。容器102は頂部ヘッド108、底部ヘッド110及び円筒形側壁112を有する。原子炉の運転中、炉心領域104には垂直方向に伸びる燃料束114の配列がある。(燃料束114及び頂部ヘッド108を破線で示したのは、図1に示す時点では、それらが取外されているからである)原子炉を運転している時、水が(矢印116で示す様に)炉心領域104を上向きに、その後環状立下り部118へ、そして下側高圧室120へと下向きに循環し、再び炉心領域104を上向きに通る。炉心領域104の中を上昇する若干の水が、束114内の核分裂燃料が核分裂する時に放出される熱によって蒸気に変換される。蒸気が蒸気出口ノズル122を介して容器102を出て行き、そこから発電機を駆動するタービンに送られる。タービンにエネルギを供給した後、蒸気が復水し、この復水が給水ノズル124を介して容器102に戻り、給水スパージャ126を介して立下り部118の周りに分配される。
【0014】燃料束114が炉心板128によって案内され、上側案内部130によって上から所定位置に保持される。炉心のエネルギは、制御棒駆動(CRD)ハウジング134内に収容された制御棒駆動部によって駆動されて、制御棒案内管130の中を垂直方向に摺動する制御棒を挿入したり、引込めたりすることによって調整される。CRDハウジング134が短管136に溶接されており、この短管が容器102の底部ヘッド110にある対応する開口に溶接されている。底部ヘッド110の内面には被覆138がある。
【0015】炉心内ハウジング集成体140に設けられた中性子束モニタにより、炉心エネルギが監視される。各々の炉心内ハウジング集成体140が計装案内管142及び炉心内ハウジング144を有する。各々の炉心内ハウジング144は底部ヘッド110を通抜け、それが溶接されている対応する計装案内管142と突合せになる。炉心内監視計器が、下から炉心内ハウジング144を介して原子炉110の中に挿入される。炉心領域104内での計装の動きが、計装案内管142によって垂直方向に案内される。炉心内ハウジング集成体140を案内管142とハウジング144に分割することにより、原子炉の製造が容易になる。この代りに、1本の管が炉心内ハウジング及び計装案内管の両方の作用をしてもよい。
【0016】図1にその進行を示した修理の際、容器の被覆された底部ヘッド110にある溶接部の検査により、修理を必要とする様な炉心内ハウジングに関係する欠陥が確認されている。容器の頂部ヘッド108を容器の側壁112から取外す。全ての燃料束114を炉心領域104から取出す。これによって炉心領域104を通るアクセス部146が出来、これを介してスキャナ150及びその他の修理装置を下側高圧室120に挿入することが出来る。
【0017】スキャナ150は、ブラケット152を使って、隣接するCRDハウジング134をブレースとする。スキャナ150がスキャナ軸154を持ち、これがバヨネット取付け部を持っていて、この取付け部にプローブを取付けることが出来る。ケーブル156がスキャナ150に電力並びに制御指令を供給すると共に、スキャナ150からのデータを外部のホスト・コンピュータ装置に伝送する。スキャナ150は、その間の連絡が出来る様に、互換性を持つプローブに取付けられた同じ様なケーブルに接続される短い同軸ケーブル(図に示してない)を有する。
【0018】指示された炉心内ハウジング集成体の一部分を取外して、容器の底部ヘッド、並びにこの炉心内ハウジングを容器の底部ヘッドに取付けている溶接部の検査が出来る様にする。開口158が容器の底部ヘッド110に開けられている。新しい炉心内ハウジングを開口158から挿入し、指示された炉心内ハウジング集成体の修理を行なう為に所定位置に溶接する。図1に示す工程では、容器102から水が脱出しない様にする為、開口158は心棒160で塞がれている。
【0019】その進行中を図1に示した修理を行なうこの発明の方法200のフローチャートが図2に示されている。この方法200は、炉心内ハウジング144、炉心内ハウジングを底部ヘッド110に結合している溶接材料、及び底部ヘッドの局部的な被覆の欠陥の修理(例えば図1に示す様な)を行なう。方法200は3つの段階を有する。第1の段階210は指示された炉心内ハウジングを取外し、底部ヘッド110の溶接区域を検査することである。第2の段階220は盛上げ溶接部を作ってそれを検査することである。第3の段階230は新しい炉心内ハウジングを挿入して溶接し、この取付けに使われた溶接部を検査することである。
【0020】第1の段階210は、工程211で、修理が指示された炉心内ハウジングに対する出入りが出来る様にすることである。この出入りが出来る様にする為、原子炉100の運転を停止し、容器の頂部ヘッド108を容器102から分離する。全ての燃料束114を取出し、アクセス部146を作る。蒸気分離器及び蒸気乾燥器の様な他の種々の部品(図に示してない)も取外して、炉心領域104の下方の下側高圧室120に出入り出来る様にする。
【0021】工程212で、図3に示した指示された炉心内ハウジング集成体300の一部分を取外す。この取外しの前、指示された炉心内ハウジング302は下からフランジ303によって密封する。炉心領域104の中を下向きに通して、放電機械(EDM)を下側高圧室120に挿入し、それを使って炉心内ハウジング集成体300に切込みを作り、もとの盛上げ溶接部304より上方にある炉心内ハウジングの部分を切離す。取付けられた安定バー308より下方にある取付けられた炉心内案内管306の下側部分も取外す。この過程により、必然的に炉心内案内管306と炉心内ハウジング302の間にある溶接部310も取外される。EDM機械を使って、大部分の盛上げ溶接部304をも取除き、図4に示す様に、底部ヘッド110に開口158を露出させる。露出させた開口158を上から密封し、炉心内ハウジング302の残っている部分を容器102の下方から取除く。図1に示す心棒160を下から開口158に挿入し、容器102内に水を入れたまゝ、開口158の上方にある封じを取外すことが出来る様にする。
【0022】工程213で、図5に示す第1のプローブ400をスキャナ軸154に取付ける。工程214で、第1のプローブ400を取付けたスキャナ150を、炉心内ハウジング302を取外したことによって空いた空間内の下側高圧室120に取付ける。スキャナ150は、図4に示した開口158のZ軸に沿ってその軸154が伸びる様に整合させる。スキャナ150は基本的には円筒形であって、下側高圧室120の中に送出すことが出来る位に小さい直径を有する。ブラケット152がスキャナ150を隣接した制御棒駆動ハウジング134の間で位置ぎめする。スキャナ150はケーブル156を介して外部と連絡する。このケーブルは炉心領域104を上向きに伸び、容器102から出て行く。図1には、工程214が完了した時の原子炉100が示されている。
【0023】方法200の第2の段階220で形成される盛上げ溶接部の下に来る様な面及び容積の第1の超音波走査(U走査)に第1のプローブ400を使う。従って、残っている盛上げ溶接部、開口158の壁、局部的な被覆、及び底部ヘッドの隣接する容積が超音波で照会される。第1のプローブ400は円板形ヘッド402(図5及び6参照)を持ち、これは結合ボール406を介して下側軸404に傾動自在に結合されている。下側軸404が上側軸408に結合され、上側軸がスキャナ軸154にバヨネット接続されている。中心合せ部材410が玉軸受集成体412を介して下側軸404の底部に結合され、下側軸404及び中心合せ部材410の相対的な回転が出来る様にしている。プローブ400は、その間で連絡が出来る様に、スキャナ150の同軸ケーブルと合さる同軸ケーブル(図に示してない)をも有する。
【0024】結合ボール406は球形で、図7に示す様に、垂直の孔414、横方向の孔416及び環状溝418を有する。下側軸404が垂直の孔414を通り、横方向の孔416及び下側軸404を通るピン420が、結合ボール406及び下側軸404が、図5に示す様に相対的に回転出来る様にしている。従って、実際的には、結合ボール406が下側軸404にしっかりと結合されている。環状溝418は、垂直孔414の両端を通る大円である。図5に見られる様に、円板形ヘッド402は溝418に結合する1対のピン422を有する。この構成により、円板形ヘッド402が下側軸404に対して、溝418の周りに傾動することが出来る。従って、底部ヘッド110に圧接する様に下げられた時、円板形ヘッド402は底部ヘッド410の局部的な輪郭と同形になる様に傾動することが出来る。
【0025】下側軸404が上側軸408にはまっている。下側軸404の外向きに伸びるピン424が、図5に示す様に、上側軸408の垂直方向に細長い孔426を通抜ける。この構成により、相対的な回転は出来ないが、軸404,408の垂直方向の相対的な動きが制限される。下側軸404と上側軸408の間の空間にあるばね428が、ピン424及び孔426によって許される範囲まで、両方の軸を離す様に押圧し、プローブ400を被覆138の方に押し下げる。
【0026】走査は、軸404,408によって構成されたリンク機構を介して、スキャナ軸154、従って円板形プローブ・ヘッド402を回転させることを含む。円板形ヘッド402には、全体的に下向きの5つの変換器431−435があり、これらが工程215で、開口158に隣接した面及び容積を走査する。円板形ヘッド402の変換器431−435は、図5及び6に示す様に、内側、中間及び周辺の直線ビーム変換器431,432,433と中くらいの角度及び大きい角度の変換器434,435とを含む。プローブ400からの同軸ケーブルがスキャナ150の同軸ケーブルと合さって、変換器431−435及びスキャナ150の間で両方向の連絡が出来る様にしている。直線ビーム変換器431,432,433は、図5に示す様に、夫々のビーム441,442,443を円板形ヘッド402に対して垂直に差向ける。円板形ヘッド402は、底部ヘッド410の内面にある隣接した被覆138と平行であるから、これらのビームは屈折によって曲がらない。従って、これらのビームは真直ぐに被覆138及び底部ヘッド110に入り込む。
【0027】底部ヘッド110の中心から離れた位置で、3つの直線ビーム変換器431−433は徹底的な検査にとって重要な領域の照会が出来ないことがある。例えば、こう云う変換器は、開口158の壁452の高側450を有効に照会しない。従って、角度をつけたビーム変換器434,435が、直線ビームが通らない領域を照会する様に設計されている。
【0028】高い角度の変換器435は、その屈折縦方向ビーム445を鉛直から46°に差向け、図5に示す様に、円板形ヘッド402の中心軸線Wの方に差向ける。この46°は、任意の炉心内ハウジングの近辺における最大勾配と大まかに対応する。従って、周辺の炉心内ハウジングを交換する時、高い角度の変換器435はそのビーム445を開口壁452の高側450と平行に差向ける。
【0029】中くらいの角度の変換器434はその屈折した縦方向ビーム444を、垂直から、軸線Wの側に20°の向きに差向ける。中くらいの角度の変換器434は、直線ビーム変換器431−433及び大きい角度の変換器435の極限から外れた領域を照会する。図6に示す様に、3つのローラ454が円板形ヘッド402に取付けられている。ばね428の作用により、ローラ454は被覆138と緊密に接触させられる。ローラ454は、擬似的な反射による雑音を最小限に抑える為、容器の底部110から変換器431−435を正しい間隔の所に保つ。更に、ローラ454は、走査中、円板形ヘッド402が回転し易くする。走査は円板形ヘッド402の1回の360°にわたる回転を用いる。
【0030】動作について説明すると、スキャナ150がケーブル156を介して指令を受取る。その時、スキャナ150が第1のプローブ400を下げ、中心合せ部材410が底部ヘッドの開口158に、そしてその後心棒160の孔456に入る様にする。この挿入は、中心合せ部材410にテーパつきの端458を設けたことによって容易になる。中心合せ部材410には僅かなすき間が設けられている。それと心棒160の間に挟まった粒子によって、中心合せ部材410の回転が拘束された場合、玉軸受集成体412は第1のプローブ400の残りの部分が、この拘束なしに回転することが出来る様にする。
【0031】上側軸408の孔426に対してピン424が上向きに移動することによって示される様に、ローラ454がばね428を圧縮する十分な力で被覆138と接触するまで、スキャナ150が第1のプローブ400を下げる。変換器431−435が適切に作動され、スキャナ150は円板形ヘッド402を予め選ばれた増分に分けて、360°にわたって歩進的に回転させる。この増分は包括的に2°乃至6°であることが好ましい。図示の実施例では、4°の増分を用いた。超音波反射を変換器で収集し、その結果得られた欠陥データをケーブル156を介して離れた所にあるホスト装置に伝える。スキャナ150及び第1のプローブ400は、工程216で、検査の後に取出される。
【0032】残っている溶接材料に欠陥が見つかった場合、更に加工することによって欠陥材料を除去することが出来る。その上に更に溶接材料を形成しようとする被覆にある欠陥は、場合に応じて取上げることが出来る。追跡検査を利用して、その是正を評価することが出来る。欠陥が見つからないか、又は一旦見つかった欠陥が是正された場合、方法200の第1の段階210が完了し、第2の段階220に進むことが出来る。
【0033】第2の段階220は、工程221で、溶接装置を下側高圧室120に挿入することから始まる。頂部ヘッド108は所定位置に配置し、溶接装置の制御ケーブルに対するすき間だけを残す。工程222で、容器102から排水する。その後、工程223で、溶接装置を使って、図8に示す様に、前には検査された被覆138及び開口158があった所の上に堅固な盛上げ溶接部502を形成する。工程224で、容器102に再び水を満たし、頂部ヘッド108を取外す。この時、溶接装置を取出すことが出来る。
【0034】溶接装置の運動制御装置の為、盛上げ溶接部502は、図9に示す様な密実な八角柱の形をしている。工程225で、EDM機械を挿入して、盛上げ溶接部102の外側を滑かにすると共に、その中に開口504を開け、こうして図10及び11に示す開口つきの盛上げ溶接部506を作る。開口504は、新しい炉心内ハウジングを入れる為に必要である。粗い八角形の外側を図11に示す様な滑かな円柱形の外側508に平滑することにより、開口つき盛上げ溶接部506の検査能力が改善される。
【0035】工程226で、図12に示す第2のプローブ600をスキャナ150に取付ける。第2のプローブ600は、図12に示す様に、プローブ軸602、プローブ本体604及び中心合せ部材606を有する。プローブ本体604は下向きに伸びる突起608を有する。突起608が中心合せ部材606の中にはまり、それに対して垂直方向に動くことが出来る。中心合せ部材606の中に装着されたばね610がプローブ本体604を上向きに最大限離れる様に押圧する。
【0036】プローブ本体604には、図13及び14に示す様な超音波ビーム621−629を発生する9個の変換器611−619を有する。変換器619は、そのビーム629が、図13に示す様に、半径方向外向きに盛上げ溶接部506に差向けられる様な向きになっている。変換器611−618は4個ずつの2つの群に分けて配置されている。これらの群は、プローブ本体604の両側にある凹部内に配置される。
【0037】第1の群は、盛上げ溶接部506の外径を標的とした4個の変換器611−614を有する。図13R>3に示す様に、変換器611はそのビーム621が上向きになる様な向きであり、変換器612はそのビーム622が下向きになる様な向きである。図14に示す様に、変換器613はそのビーム623が時計廻りになる様な向きであり、変換器614はそのビーム624が反時計廻りになる様な向きである。
【0038】第2の群は、何れも盛上げ溶接部506の内径を標的とする4つの変換器615−618を含む。図13に示す様に、変換器615はそのビーム625が上向きになる様な向きであり、変換器616はそのビーム626が下向きになる様な向きである。図14に示す様に、変換器617はそのビーム627が時計廻りになる様な向きであり、変換器618はそのビーム628が反時計廻りになる様な向きである。
【0039】動作について説明すると、プローブ軸602をスキャナ軸154にバヨネット接続する。プローブ600の同軸ケーブル(図に示してない)をスキャナ150の同軸ケーブルに接続して、プローブ変換器611−619とスキャナ150の間で両方向の連絡が出来る様にする。プローブ600を取付けたスキャナ150を工程227で、炉心領域104の下方及び開口158の上方の同じ場所に取付ける。
【0040】スキャナ150が、中心合せ部材606の底部が心棒160にある孔456の底に接するまで、第2のプローブ600を下げる。最初、変換器611−619は盛上げ溶接部506の頂部か又はその上方にある。変換器611−619を作動し、ビーム621−629を発生する。スキャナ150がプローブ600を垂直方向下向きに駆動し、図13に示す様に、ばね610を圧縮してプローブ600を下げる。変換器が盛上げ溶接部506の底に達した時、スキャナ150がプローブを4°回転させ、プローブ本体604が上向きに走査する。この走査は、間に回転をおいて垂直掃引を続ける。工程228で、このラスタ運動が360°の回転にわたって続けられる。その後、スキャナ150及び第2のプローブ600を工程229で持上げて取出す。検出された欠陥は盛上げ溶接部の修理、又は除去して新しい盛上げ溶接部の形成を必要とする。欠陥が検出されなければ、又は一旦検出された欠陥を是正したら、第2の段階220は完了する。
【0041】第3の段階230では、工程231で再びEDM機械を挿入して、盛上げ溶接部506にJ字形部分702を形成する。J字形部分702は、図15に示す様に、J字形断面を持つ環状溝である。その後EDM機械を取出す。図16に示す「シルクハット形封じ」704を開口504の上に配置する。シルクハット形封じ704は、その形から名付けられているが、容器102内に水を入れたまゝ、新しい炉心内ハウジング706を挿入する為のすき間を作る。
【0042】心棒160を取外し、新しい炉心内ハウジング706にハイドロスェージを挿入する。このハウジングは工程232で取付ける。取外した炉心内ハウジング302は炉心内案内管306まで伸びていたが、それと異なり、新しい炉心内ハウジング706は新しい盛上げ溶接部506より約6吋上方までしか伸びていない。この6吋のすき間がシルクハット形封じ704で埋め合されている。
【0043】ハイドロスェージにポンプ作用をかけ、炉心内ハウジング706を底部ヘッド110の高さの所で膨らませ、底部ヘッドと封着する。この封じは、一旦シルクハット形封じ704を取外しても、底部ヘッド110と炉心内ハウジング706の間で、容器102から水が漏れるのを防止する。ハイドロスェージを取外し、炉心内ハウジング706の底部を密封して、炉心内ハウジング706の内部を通って水が容器102から脱出することを防止する。
【0044】次に工程233で溶接装置を容器102に挿入する。頂部ヘッド108は容器102に配置する。工程234で容器102から排水する。シルクハット形封じ704を取除く。工程235で、図17に示すJ字形溶接部810を形成する。炉心内ハウジング706の底部にある封じを取除く。図19に示すフランジ906を新しい炉心内ハウジング706に取付けて、容器の内部を密封する。工程236で、容器102に再び水を満たす。頂部ヘッド108及び溶接装置を取外す。
【0045】工程237で、図17に示す様に、軸802及びテーパつきの底部を持つ円柱形のプローブ・ヘッド804を持つ第3のプローブ800をスキャナ軸154に取付ける。プローブ800の同軸ケーブル(図に示してない)をスキャナ150の同軸ケーブルと接続する。その後、工程238で、スキャナ150を新しい炉心内ハウジング706より約4吋上方の所に取付ける。
【0046】プローブ800は、新しい炉心内ハウジング706の中に適切なすき間をもってはまる位の比較的小さい直径を持っている。第3のプローブ800の外壁には、幾つかのばね加重のボール806がある。ばねがボールを外向きに押圧する。ハウジングの内壁がこれらのボールと圧接し、ばねを圧縮し、こうして第3のプローブ800を炉心内ハウジング706内で中心合せする。
【0047】第3のプローブ800は5つのビーム821−825を発生する5つの変換器811−815を有する。図17に示す様に、変換器811はビーム821が真直ぐ炉心内ハウジング706に差向けられる様な向きである。勿論、全てのビームは半径方向成分を含んでいるが、残りの変換器はそのビームの半径方向以外の成分が特徴である。変換器812はビーム822が上向きになる様な向きであり、変換器813はビーム823が下向きになる様な向きである。図19に示す様に、変換器814はビーム824が時計廻りになる様な向きであり、変換器815はビーム825が反時計廻りになる様な向きである。
【0048】スキャナ150が、第2のプローブ600に使われたのと同様な円筒形ラスタに沿って第3のプローブ800を駆動するが、今の場合は、工程239で、新しいハウジング706及びJ字形溶接部810に欠陥があるかどうかを超音波検査する。変換器811−815のラスタ動作により、J字形溶接部及び炉心内ハウジング706の隣接した容積の超音波検査が行なわれる。工程240で、スキャナ150及び第3のプローブ800を取出し、実質的に第3の段階230を完了する。
【0049】欠陥が見つからないか、一旦検出された欠陥が是正されたら、この方法200は完成へ進めることが出来る。この目的の為、図19に示す様に、結合管902を垂直方向には、新しい炉心内ハウジング706と炉心内案内管306の残りの部分との間の位置まで、横から挿入する。両端にある締りばめ結合部904を垂直方向に移動して、隣接したハウジング及び管の上に来る様にする。その後、締りばめ結合部904に蒸気を適用して、締りばめ結合部を炉心内案内管306及び新しい炉心内ハウジング706に取付け、工程241を完了する。
【0050】この点で、修理過程をやり易くする為に前に取外した原子炉部品を、工程242で原子炉100の運転を再開するのに備えて、再び取付け又はもと通りにすることが出来る。この発明のこの他の実施例では、手順及び装置に変形が考えられる。使われない装置は、原子炉から完全に取外してもよいし、後で使う為に炉心内に保管してもよい。溶接を水中で行なうことが出来れば、原子炉から排水する必要はない。適正な保護が得られゝば、全ての手順は水なしでも行なうことが出来る。水の代りに、異なる減速材を使うことが出来る。こゝで開示した実施例に対する上記並びにその他の変形は、この発明によって得られるものであり、この発明の範囲は特許請求の範囲のみによって限定されることを承知されたい。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の方法を実施する原子炉の簡略側面図。
【図2】この発明による方法のフローチャート。
【図3】図1の原子炉一部分の簡略側面図で、交換しようとする指示された炉心内ハウジングを示す。
【図4】図3に示す原子炉の部分であるが、指示された炉心内ハウジングを取去った後の部分の簡略側面図。
【図5】図2の方法で使われる第1の超音波プローブの側面図であって、その変換器のビーム・パターンを示す。
【図6】図5のプローブの円板形ヘッドの底面図で変換器の配置を示す。
【図7】図5のプローブの部品を機械的に結合するのに使われるボールの簡略平面図。
【図8】図4に示した原子炉の一部分であるが、密実な盛上げ溶接部を形成した後のこの部分の簡略側面図。
【図9】図8の密実な盛上げ溶接部の平面図。
【図10】図8に示した原子炉部分であるが、図8の盛上げ溶接部が加工されて、開口つきの盛上げ溶接部となった後の部分の簡略側面図。
【図11】図10の開口つき盛上げ溶接部の平面図。
【図12】図2の方法に使われる(圧縮されていない状態にある)第2のプローブの簡略側面図。
【図13】圧縮された状態にある図12の第2のプローブの簡略側面図。
【図14】図12の第2のプローブのビーム・パターンを示す平面図。
【図15】図10に示した原子炉の一部分であるが、盛上げ溶接部にJ字形部分を加工した後のこの部分の簡略側面図。
【図16】図15に示した原子炉の一部分であるが、盛上げ溶接部を介して交換の炉心内ハウジングが挿入された後のこの部分の簡略側面図。
【図17】図2の方法に使われる第3のプローブの簡略側面図。
【図18】図17のプローブのビーム・パターンを示す平面断面図。
【図19】図16に示した原子炉の一部分であるが、J字形溶接部が形成され且つ管継手を取付けた後のこの部分の簡略側面図。
【符号の説明】
110 容器の底部ヘッド
144 炉心内計装ハウジング
158 開口
400,600,800 プローブ
502 盛上げ溶接部
【特許請求の範囲】
【請求項1】 炉心内計装ハウジングに関係する欠陥を持つ原子炉を修理する方法に於て、(a)指示された炉心内計装ハウジング(302)を取出し、(b)盛上げ溶接部を形成すべき面に隣接する容積を超音波検査し、(c)前記面上に盛上げ溶接部(506)を形成し、(d)前記盛上げ溶接部を超音波検査し、(e)前記盛上げ溶接部の開口(504)並びに原子炉の容器の底部を介して新しい炉心内計装ハウジング(706)を挿入し、(f)前記新しい炉心内計装ハウジングを前記盛上げ溶接部に溶接し、(g)前記盛上げ溶接部と前記新しい炉心内計装ハウジングとの間の溶接部(810)を超音波検査する工程を含む方法。
【請求項2】 前記工程(b)で、円板形ヘッド(402)を持つ第1の超音波プローブ(400)を用いる請求項1記載の方法。
【請求項3】 前記工程(d)で、超音波変換器(611−619)をそなえたプローブ本体(604)及び中心合せ部材(606)を持つ第2の超音波プローブ(600)を用い、該工程(d)は、前記プローブ本体と前記中心合せ部材とを結合するばね(610)が交互に圧縮及び弛緩される様に、前記中心合せ部材が一定の垂直位置にとゞまる間、前記プローブ本体を垂直方向に移動させることを含む請求項1記載の方法。
【請求項4】 前記工程(b)、(d)及び(g)が水中で行なわれる請求項1記載の方法。
【請求項5】 前記工程(a)の後、かつ前記工程(b)の前に、第1の超音波プローブ(400)を取付けたスキャナ(150)を原子炉の炉心領域(104)の下方に配置する請求項1記載の方法。
【請求項6】 前記工程(c)の前に、前記スキャナ及び前記第1の超音波プローブを原子炉から取出し、そして前記工程(c)の後、かつ前記工程(d)の前に、第2の超音波プローブ(600)を前記スキャナに取付けて、前記炉心領域の下方に配置することを含む請求項5記載の方法。
【請求項7】 前記工程(e)の前に、前記スキャナ及び前記第2の超音波プローブを前記原子炉から取出し、前記工程(f)の後、かつ前記工程(g)の前に、第3の超音波プローブ(800)を前記スキャナに取付けて、前記炉心領域の下方に配置することを含む請求項6記載の方法。
【請求項8】 炉心内ハウジングに関係する欠陥を持つ沸騰水形原子炉を修理する方法に於て、(a)燃料束(114)を前記原子炉の炉心領域(104)から取出し、(b)指示された炉心内ハウジング(302)を取出して、該炉心内ハウジングが前はその中に伸びていた原子炉の底部開口(158)を露出する様にし、(c)自動的に向きを調整する円板形ヘッド(402)を持つ第1の超音波プローブ(400)を超音波スキャナ(150)に取付け、(d)前記スキャナを前記底部開口の真上で前記原子炉の炉心領域の下方に配置し、(e)前記第1の超音波プローブが前記容器の底部の内面にある被覆(138)と係合して、前記第1の超音波プローブの円板形ヘッドが前記底部開口の近辺で前記被覆と平行になる様に自らの向きを調整するまで、前記第1の超音波プローブを下げ、(f)前記第1の超音波プローブの変換器(611−619)をパルス駆動し、前記底部開口の周りの前記被覆の区域を検査する様に前記プローブを回転することによって、前記被覆を超音波検査し、(g)前記スキャナ及び前記第1の超音波プローブを取出し、(h)前記底部開口の上に盛上げ溶接部(502)を形成し、(i)前記盛上げ溶接部を加工して、その半径方向の外面(508)を滑かにすると共に、前記底部開口の場所に溶接開口(504)を形成し、(j)比較的厚手の円筒形プローブ・ヘッド(604)を持つ第2の超音波プローブ(600)を前記スキャナに取付け、(k)前記スキャナを前記盛上げ溶接部の真上で炉心領域の下方に配置し、(l)前記比較的厚手の円筒形プローブ・ヘッドが前記溶接開口に入り込むまで、前記第2の超音波プローブを下げ、(m)前記比較的厚手の円筒形プローブ・ヘッドで前記盛上げ溶接部内をラスタ走査することによって前記盛上げ溶接部を超音波検査し、該ラスタ走査は前記溶接開口の高さに沿って前記比較的厚手の円筒形プローブ・ヘッドを掃引しながら、前記比較的厚手の円筒形プローブ・ヘッドを円周方向に歩進させることを含み、(n)前記スキャナ及び第2の超音波プローブを取出し、(o)前記溶接開口を介して新しい炉心内ハウジング(706)を挿入し、(p)前記新しい炉心内ハウジングを前記盛上げ溶接部に溶接し、(q)比較的直径の小さい円筒形プローブ・ヘッド(804)を持つ第3の超音波プローブ(800)を前記スキャナに取付け、(r)前記スキャナを前記新しい炉心内ハウジングの真上、そして前記炉心領域の下方に配置し、(s)前記比較的直径の小さい円筒形プローブ・ヘッドが前記新しい炉心内ハウジングに入り込むまで、前記第3の超音波プローブを下げ、(t)前記比較的直径の小さい円筒形プローブ・ヘッドで前記新しい炉心内ハウジング内をラスタ走査することによって、前記新しい炉心内ハウジングを前記盛上げ溶接部に取付けている溶接部(810)を超音波検査し、このラスタ走査は、前記盛上げ溶接部の高さに沿って前記比較的厚手の円筒形プローブ・ヘッドを掃引しながら、前記比較的直径の小さい円筒形プローブ・ヘッドを円周方向に歩進させることを含み、(u)前記スキャナ及び第3の超音波プローブを取出し、(v)もとの指示された炉心内ハウジング(302)が前に取付けられていた炉心内案内管(306)に、前記新しい炉心内ハウジング(706)を締りばめで結合する工程を含む方法。
【請求項9】 前記工程(h)の前に、原子炉から水を取出して、炉心領域が水に没しない様にし、前記工程(i)の前に、前記原子炉に水を加えて、炉心領域が水中に没する様にし、前記工程(p)の前に、水を取出して、前記炉心領域が水中に没しない様にし、前記工程(q)の前に、水を加えて、前記炉心領域が水中に没するようにする請求項8記載の方法。
【請求項10】 水平面に対して垂直方向に伸びる垂直孔(414)を持つと共に該孔に対して横方向に伸びる横孔(416)を持ち、更に垂直方向の大円に沿って形成された溝(418)を持つ結合ボール(406)と、前記垂直孔を通って垂直方向に伸びる軸(404)を含んでいて、超音波スキャナ(150)に電気的並びに機械的に結合される軸手段と、前記軸及び結合ボールの相対的な回転を防止する様に、前記軸及び結合ボールを機械的に結合するピン(420)と、大体下向きの超音波ビームを発生する複数個の超音波変換器(431−435)を有する円板形プローブ・ヘッド(402)であって、当該円板形プローブ・ヘッドが前記軸に対して傾くことが出来る様に、前記溝に係合している1対の結合ピン(422)を持つ円板形プローブ・ヘッドと、前記円板形プローブ・ヘッドの下方に配置されていて、前記軸に結合された中心合せ手段(410)と、を有する超音波プローブ。
【請求項11】 水平面に対して垂直方向に伸びる軸(602)と、前記軸にしっかりと結合された垂直方向に伸びるプローブ・ヘッド(604)であって、大体半径方向の超音波ビームを発生する複数個の超音波変換器(611−619)を有するプローブ・ヘッドと、前記プローブ・ヘッドの下方に伸びている中心合せ部材(606)であって、当該中心合せ部材に対して前記プローブ・ヘッドが垂直方向に移動出来る様に前記プローブ・ヘッドに機械的に結合されている中心合せ部材と、を有する超音波プローブ。
【請求項1】 炉心内計装ハウジングに関係する欠陥を持つ原子炉を修理する方法に於て、(a)指示された炉心内計装ハウジング(302)を取出し、(b)盛上げ溶接部を形成すべき面に隣接する容積を超音波検査し、(c)前記面上に盛上げ溶接部(506)を形成し、(d)前記盛上げ溶接部を超音波検査し、(e)前記盛上げ溶接部の開口(504)並びに原子炉の容器の底部を介して新しい炉心内計装ハウジング(706)を挿入し、(f)前記新しい炉心内計装ハウジングを前記盛上げ溶接部に溶接し、(g)前記盛上げ溶接部と前記新しい炉心内計装ハウジングとの間の溶接部(810)を超音波検査する工程を含む方法。
【請求項2】 前記工程(b)で、円板形ヘッド(402)を持つ第1の超音波プローブ(400)を用いる請求項1記載の方法。
【請求項3】 前記工程(d)で、超音波変換器(611−619)をそなえたプローブ本体(604)及び中心合せ部材(606)を持つ第2の超音波プローブ(600)を用い、該工程(d)は、前記プローブ本体と前記中心合せ部材とを結合するばね(610)が交互に圧縮及び弛緩される様に、前記中心合せ部材が一定の垂直位置にとゞまる間、前記プローブ本体を垂直方向に移動させることを含む請求項1記載の方法。
【請求項4】 前記工程(b)、(d)及び(g)が水中で行なわれる請求項1記載の方法。
【請求項5】 前記工程(a)の後、かつ前記工程(b)の前に、第1の超音波プローブ(400)を取付けたスキャナ(150)を原子炉の炉心領域(104)の下方に配置する請求項1記載の方法。
【請求項6】 前記工程(c)の前に、前記スキャナ及び前記第1の超音波プローブを原子炉から取出し、そして前記工程(c)の後、かつ前記工程(d)の前に、第2の超音波プローブ(600)を前記スキャナに取付けて、前記炉心領域の下方に配置することを含む請求項5記載の方法。
【請求項7】 前記工程(e)の前に、前記スキャナ及び前記第2の超音波プローブを前記原子炉から取出し、前記工程(f)の後、かつ前記工程(g)の前に、第3の超音波プローブ(800)を前記スキャナに取付けて、前記炉心領域の下方に配置することを含む請求項6記載の方法。
【請求項8】 炉心内ハウジングに関係する欠陥を持つ沸騰水形原子炉を修理する方法に於て、(a)燃料束(114)を前記原子炉の炉心領域(104)から取出し、(b)指示された炉心内ハウジング(302)を取出して、該炉心内ハウジングが前はその中に伸びていた原子炉の底部開口(158)を露出する様にし、(c)自動的に向きを調整する円板形ヘッド(402)を持つ第1の超音波プローブ(400)を超音波スキャナ(150)に取付け、(d)前記スキャナを前記底部開口の真上で前記原子炉の炉心領域の下方に配置し、(e)前記第1の超音波プローブが前記容器の底部の内面にある被覆(138)と係合して、前記第1の超音波プローブの円板形ヘッドが前記底部開口の近辺で前記被覆と平行になる様に自らの向きを調整するまで、前記第1の超音波プローブを下げ、(f)前記第1の超音波プローブの変換器(611−619)をパルス駆動し、前記底部開口の周りの前記被覆の区域を検査する様に前記プローブを回転することによって、前記被覆を超音波検査し、(g)前記スキャナ及び前記第1の超音波プローブを取出し、(h)前記底部開口の上に盛上げ溶接部(502)を形成し、(i)前記盛上げ溶接部を加工して、その半径方向の外面(508)を滑かにすると共に、前記底部開口の場所に溶接開口(504)を形成し、(j)比較的厚手の円筒形プローブ・ヘッド(604)を持つ第2の超音波プローブ(600)を前記スキャナに取付け、(k)前記スキャナを前記盛上げ溶接部の真上で炉心領域の下方に配置し、(l)前記比較的厚手の円筒形プローブ・ヘッドが前記溶接開口に入り込むまで、前記第2の超音波プローブを下げ、(m)前記比較的厚手の円筒形プローブ・ヘッドで前記盛上げ溶接部内をラスタ走査することによって前記盛上げ溶接部を超音波検査し、該ラスタ走査は前記溶接開口の高さに沿って前記比較的厚手の円筒形プローブ・ヘッドを掃引しながら、前記比較的厚手の円筒形プローブ・ヘッドを円周方向に歩進させることを含み、(n)前記スキャナ及び第2の超音波プローブを取出し、(o)前記溶接開口を介して新しい炉心内ハウジング(706)を挿入し、(p)前記新しい炉心内ハウジングを前記盛上げ溶接部に溶接し、(q)比較的直径の小さい円筒形プローブ・ヘッド(804)を持つ第3の超音波プローブ(800)を前記スキャナに取付け、(r)前記スキャナを前記新しい炉心内ハウジングの真上、そして前記炉心領域の下方に配置し、(s)前記比較的直径の小さい円筒形プローブ・ヘッドが前記新しい炉心内ハウジングに入り込むまで、前記第3の超音波プローブを下げ、(t)前記比較的直径の小さい円筒形プローブ・ヘッドで前記新しい炉心内ハウジング内をラスタ走査することによって、前記新しい炉心内ハウジングを前記盛上げ溶接部に取付けている溶接部(810)を超音波検査し、このラスタ走査は、前記盛上げ溶接部の高さに沿って前記比較的厚手の円筒形プローブ・ヘッドを掃引しながら、前記比較的直径の小さい円筒形プローブ・ヘッドを円周方向に歩進させることを含み、(u)前記スキャナ及び第3の超音波プローブを取出し、(v)もとの指示された炉心内ハウジング(302)が前に取付けられていた炉心内案内管(306)に、前記新しい炉心内ハウジング(706)を締りばめで結合する工程を含む方法。
【請求項9】 前記工程(h)の前に、原子炉から水を取出して、炉心領域が水に没しない様にし、前記工程(i)の前に、前記原子炉に水を加えて、炉心領域が水中に没する様にし、前記工程(p)の前に、水を取出して、前記炉心領域が水中に没しない様にし、前記工程(q)の前に、水を加えて、前記炉心領域が水中に没するようにする請求項8記載の方法。
【請求項10】 水平面に対して垂直方向に伸びる垂直孔(414)を持つと共に該孔に対して横方向に伸びる横孔(416)を持ち、更に垂直方向の大円に沿って形成された溝(418)を持つ結合ボール(406)と、前記垂直孔を通って垂直方向に伸びる軸(404)を含んでいて、超音波スキャナ(150)に電気的並びに機械的に結合される軸手段と、前記軸及び結合ボールの相対的な回転を防止する様に、前記軸及び結合ボールを機械的に結合するピン(420)と、大体下向きの超音波ビームを発生する複数個の超音波変換器(431−435)を有する円板形プローブ・ヘッド(402)であって、当該円板形プローブ・ヘッドが前記軸に対して傾くことが出来る様に、前記溝に係合している1対の結合ピン(422)を持つ円板形プローブ・ヘッドと、前記円板形プローブ・ヘッドの下方に配置されていて、前記軸に結合された中心合せ手段(410)と、を有する超音波プローブ。
【請求項11】 水平面に対して垂直方向に伸びる軸(602)と、前記軸にしっかりと結合された垂直方向に伸びるプローブ・ヘッド(604)であって、大体半径方向の超音波ビームを発生する複数個の超音波変換器(611−619)を有するプローブ・ヘッドと、前記プローブ・ヘッドの下方に伸びている中心合せ部材(606)であって、当該中心合せ部材に対して前記プローブ・ヘッドが垂直方向に移動出来る様に前記プローブ・ヘッドに機械的に結合されている中心合せ部材と、を有する超音波プローブ。
【図1】
【図3】
【図4】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図8】
【図15】
【図5】
【図6】
【図12】
【図13】
【図14】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図3】
【図4】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図8】
【図15】
【図5】
【図6】
【図12】
【図13】
【図14】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【特許番号】第2544074号
【登録日】平成8年(1996)7月25日
【発行日】平成8年(1996)10月16日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−80396
【出願日】平成5年(1993)4月7日
【公開番号】特開平6−18696
【公開日】平成6年(1994)1月28日
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【登録日】平成8年(1996)7月25日
【発行日】平成8年(1996)10月16日
【国際特許分類】
【出願日】平成5年(1993)4月7日
【公開番号】特開平6−18696
【公開日】平成6年(1994)1月28日
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
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