説明

原子炉生存可能空間への供給空気の濾過

【課題】原子炉生存可能空間内の空気を循環させ調節するシステムを提供すること。
【解決手段】システムは、生存可能空間内の降下天井隔壁と生存可能空間の天井との間に形成された上方プレナムと、生存可能空間内の嵩上げ床隔壁と生存可能空間の床との間に形成された下方プレナムとを備え得る。システムは、生存可能空間内に配置された少なくとも1つの再循環式エアハンドリングユニットであって、生存可能空間の天井、床または壁を貫通して通風ダクト配管を敷設することなしに下方プレナムと上方プレナムとの間で空気を循環させることによって、生存可能空間内の再循環空気流を発生させるように機能する少なくとも1つの再循環式エアハンドリングユニットをさらに備え得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本教示は、原子炉施設の生存可能空間(habitability area)に濾過空気を供給するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この節の記述は、単に本開示に関する背景情報を提供するものであり、従来技術を構成するものではない。
【0003】
原子炉工場では、放射線および/または毒性事故、すなわち放射性および/または毒性汚染物質、ガス、または煙の不慮の放出または漏洩の場合に、プラント制御室生存可能空間(CRHA)に「清浄空気」を供給する緊急システムが必要である。通常、そのような状況下で清浄で安全な空気、すなわち放射性および毒性汚染物質を含まない空気を主制御室の緊急時生存性のために供給する加圧空気貯蔵システムが装備される。その種公知の加圧空気貯蔵システムは、大型加圧空気タンクによる貯蔵、および関連する管路、チューブ、バルブ、レギュレータ、計装、および操作制御機器の設置を必要とする。さらに、システムおよび装置は、その種公知の加圧空気貯蔵システムの作動中の過剰加圧を回避するように設置しなければならない。したがって、公知の加圧空気貯蔵システムは、設計上の問題を含み、設置、装備および運転に費用が掛かり、維持整備に問題を含み得る。
【0004】
さらに、公知の制御室生存可能空間HVACサブシステムの設計では、CRHA内の空気を循環させ調節する、すなわち空気を暖め冷やすのに、標準的市販の吸込み通風式エアハンドリングユニット(AHU)を通常使用する。より詳細には、そのような設計のレイアウトでは、通常、CRHAの外部に設置された1つまたは複数のAHUおよび戻し/排出ファンを必要とする。たとえば、しばしば、1つまたは複数のAHUおよび戻し/排出ファンは、CRHAとは別の機械装置室の中に配置される。外部AHUおよびファンを使用すると、CRHAの外部からCRHAの内部へ導くべき多量の断熱ダクト配管を設置する必要がある。CRHAの外部からのそのようなダクト配管の敷設は、放射線および/または毒性事故に際し、CRHA外部からの放射性汚染空気の「漏入」に関する安全性要件を満足するのに問題が多い。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様によれば、原子炉の生存可能空間内の空気を循環させ調節するシステムが提供される。様々な実施形態では、システムは、生存可能空間内の降下天井隔壁と生存可能空間の天井との間に形成された上方プレナムと、生存可能空間内の嵩上げ床隔壁と生存可能空間の床との間に形成された下方プレナムとを備え得る。システムは、生存可能空間内に配置された少なくとも1つの再循環式エアハンドリングユニットであって、生存可能空間の天井、床または壁を貫通して通風ダクト配管を敷設することなしに下方プレナムと上方プレナムとの間で空気を循環させることによって、生存可能空間内の再循環空気流を発生させるように機能する少なくとも1つの再循環式エアハンドリングユニットをさらに備え得る。
【0006】
様々な実施形態では、システムは、生存可能空間内の天井隔壁と生存可能空間の天井との間に形成された上方プレナムであって、天井隔壁が複数の通気口を備える上方プレナムと、生存可能空間内の嵩上げ床隔壁と生存可能空間の床との間に形成された下方プレナムであって、床隔壁が複数の通気装置を備える下方プレナムとを備え得る。システムは、生存可能空間内に配置され1対の冗長式再循環式エアハンドリングユニットをさらに備え得る。各再循環式エアハンドリングユニットは、上方プレナムに流体的に接続された空気入口と、下方プレナムに流体的に接続された空気出口と、上方プレナムからそれぞれの空気入口を通して空気を吸い込み、下方プレナム中へそれぞれの空気出口を通して空気を押し出すことによって、それぞれの再循環式エアハンドリングユニットを通る付勢空気流を生成するように機能するファンとを備える。その結果、床隔壁通気装置を通って下方プレナムから流れ出し、天井隔壁通気口を通って上方プレナムへ流入する空気によって、生存可能空間内に再循環空気流が生成される。
【0007】
さらに他の実施形態では、システムは、生存可能空間内の天井隔壁と生存可能空間の天井との間に形成された上方プレナムであって、天井隔壁が複数の通気口を備える上方プレナムと、生存可能空間内の嵩上げ床隔壁と生存可能空間の床との間に形成された下方プレナムであって、床隔壁が複数の通気装置を備える下方プレナムとを備え得る。システムは、生存可能空間内に配置され1対の冗長式再循環式エアハンドリングユニットをさらに備え得る。各再循環式エアハンドリングユニットは、上方プレナムに流体的に接続された空気入口と、下方プレナムに流体的に接続された空気出口と、上方プレナムからそれぞれの空気入口を通して空気を吸い込み、下方プレナム中へそれぞれの空気出口を通して空気を押し出すことによって、それぞれの再循環式エアハンドリングユニットを通る付勢空気流を生成するように機能するファンとを備える。その結果、床隔壁通気装置を通って下方プレナムから流れ出し、天井隔壁通気口を通って上方プレナムへ流入する空気によって、生存可能空間内に再循環空気流が生成される。さらに、システムは、生存可能空間とは別の部屋に配置され、再循環式エアハンドリングユニットのそれぞれに流体的に接続された冷却剤冷却式熱貯蔵タンクを備え得る。冷却剤冷却式熱貯蔵タンクは、それぞれの再循環式エアハンドリングユニットによって生成される再循環空気流を冷却するために、再循環式エアハンドリングユニットに冷却済み冷却剤を供給することができる。
【0008】
本教示のさらに別の適用可能領域は、本明細書に提示される説明から明らかになるであろう。説明および特定の例は、例示のみを目的とするものであり、本教示の範囲を限定するものではないことが理解されるべきである。
【0009】
本明細書に記載されている図面は、例示のみを目的とするものであり、決して、本教示の範囲を限定するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下の説明は、本来単に例示的なものであり、決して、本教示、適用、または利用法を限定するものではない。この明細書を通して、同じ要素を指すのに同じ参照番号が使用される。
【0011】
図1は、本開示の様々な実施形態による、原子炉施設の生存可能空間14用の空気濾過および調節(AFC)システム10の概略構成図である。生存可能空間14は、原子力発電所のような原子炉施設の、人間が使用するために構築されたいかなる空間、部屋、または建物でもよい。たとえば、生存可能空間14は、様々な実施形態では、発電所の運転を制御する複数の発電所職員によって使用するように構成し装備された原子力発電所の制御室であり得る。AFCシステム10は、生存可能空間14内に空気流を生成するように構成され機能し、生存可能空間14の使用者に安全で呼吸可能な空気を供給する。より詳細には、以下に説明するように、原子炉施設が正常に作動している間は、AFCシステム10は、塵埃、土埃、花粉など、様々な非放射性、非毒性の環境粒子を除去するために濾過し、所望の温度に調節、すなわち加熱および/または冷却した空気を生存可能空間内に循環させる。さらに、以下に説明するように、核および/または毒性事故が発生した際は、AFCシステム10は、放射性および/または毒性物質および粒子による汚染空気の侵入から生存可能空間を封鎖、または遮断し、そのような放射性および毒性物質および粒子を除去するように濾過した空気を生存可能空間内に循環させる。
【0012】
一般に、AFCシステム10は、正常作動時空気濾過および調節(NOAFC)サブシステム18、および緊急時濾過(EF)サブシステム22を備える。NOAFCシステム18は、原子炉施設の正常な日常の作動状態では、生存可能空間14内に空気流を生成し調節するように構成され機能する。より詳細には、NOAFCサブシステム18は、塵埃、土埃、花粉など、様々な非放射性、非毒性の環境粒子を除去するために濾過し、所望の温度に調節、すなわち加熱および/または冷却した空気を生存可能空間14内に循環させるように構成され機能する。EFサブシステム22は、放射線および/または毒性事故に際し、生存可能空間14へ安全で呼吸可能な空気を供給するように構成され機能する。より具体的には、EFサブシステム22は、核および/または毒性事故に際し、危険で有害な放射性および/または毒性材、物質、粒子、ガスなどを実質的に含まないように濾過された空気流を生存可能空間内に供給するように機能する。
【0013】
NOAFCサブシステム18は、再循環および調節サブシステム26と、換気サブシステム30とを備える。再循環および調節サブシステム26は、生存可能空間14の外側境界を貫通する通風導管、すなわちダクト配管なしに、生存可能空間14内に再循環空気流を生成し調節するように構成され機能する。本明細書で使用される生存可能空間14の外側境界は、生存可能空間14を取り囲む壁、天井、および床の複合構造として定義される。したがって、放射線および/または毒性事故に際し、危険な空気、すなわち放射性および/または毒性物質で汚染された空気が生存可能空間へそれを通して侵入するような、再循環および調節サブシステム26のダクト配管が出入りする開口が外側境界に存在しない。本明細書で使用される放射線および/または毒性事故は、危険で有害な放射性および/または毒性材、物質、粒子、ガスなどが原子炉施設の原子炉から空気中に放出され、または漏出する事故として定義される。
【0014】
換気サブシステム30は、原子炉施設の正常な日常の作動状態では、再循環および調節サブシステム26と連携して働くように構成され機能する。詳細には、換気サブシステムは、塵埃、土埃、花粉など、様々な非放射性、非毒性環境粒子を除去するために濾過した換気を生存可能空間へ供給するように構成され機能する。したがって、原子炉施設の正常な日常の作動状態では、再循環および調節サブシステム26および換気サブシステム30は連携して、非放射性、非毒性環境粒子を除去するように濾過した調節済み空気を生存可能空間14の使用者に供給するように作動する。
【0015】
次いで図2を参照すると、生存可能空間14は、上方プレナム34と下方プレナム38とを備えるように構成されている。様々な実施形態では、上方プレナム34は、生存可能空間14内にたとえば懸架されて配置された天井隔壁42と生存可能空間14の天井46との間に形成される。同様に、様々な実施形態では、下方プレナム38は、生存可能空間14内に配置された嵩上げ床隔壁50と生存可能空間14の床54との間に形成される。生存可能空間14内の天井隔壁42と床隔壁50との間の空間は、本明細書では使用者空間58と呼称される。天井隔壁42は、使用者空間58の内部から上方プレナム34中へ空気を流すことができる複数の通気口62を備える。さらに、床隔壁50は、下方プレナム38の内部から使用者空間58中へ空気を流すことができる複数の通気装置66を備える。
【0016】
上記のように、NOAFCサブシステム18は、再循環および調節サブシステム26と、換気サブシステム30とを備える。再循環および調節サブシステム26および換気サブシステム30は、原子炉施設の正常な作動に際し、調節され濾過された空気流を生存可能空間14内に生成するように連携して作動する。
【0017】
再循環および調節サブシステム26は、生存可能空間14内に配置された1つまたは複数の再循環式エアハンドリングユニット70を備える。すなわち、1つまたは複数の再循環式エアハンドリングユニット70は、生存可能空間14の外側境界の領域内に物理的に配置され装備される。様々な実装形態では、1つまたは複数の再循環式エアハンドリングユニット70は、使用者空間58内に配置される。様々な実施形態では、図2に示すように、再循環および調節サブシステム26は、1対の冗長式再循環式エアハンドリングユニット70を備え得る。冗長式再循環式エアハンドリングユニット70は、1つの再循環式エアハンドリングユニット70が故障または作動不能になった場合、下記のように、2番目の再循環式エアハンドリングユニット70が、生存可能空間14内に調節され濾過された空気流を生成すべく機能するように実装される。様々な実施形態では、各再循環式エアハンドリングユニット70は、空気入口74、空気出口78、少なくとも1つのフィルタ82、およびファンまたは送風機86を備える。ファン86は、空気をそれぞれの再循環式エアハンドリングユニット70に入口74を介して引き込み、その空気に1つまたは複数のフィルタ82の中を通過させ、濾過された空気を出口78を通して押し出すように機能する。
【0018】
各再循環式エアハンドリングユニット70は、それぞれの再循環式エアハンドリングユニット入口74に第1の端部で接続されている入口通風管またはダクト90を介して、上方プレナム34に流体的に接続されている。各入口通風管またはダクト90の反対側の第2の端部は、天井隔壁42を貫通して延在し、上方プロセス34内を終端とする。したがって、空気は、上方プレナム34の内部から、各入口通風管またはダクト90を通って、各再循環式エアハンドリングユニット70中へ流れることができる。さらに、各再循環式エアハンドリングユニット70は、空気が、各再循環式エアハンドリングユニット70の内部からそれぞれの空気出口78を介して下方プレナム中へ流れることができるように、下方プレナム38に流体的に接続されている。様々な実施形態では、各再循環式エアハンドリングユニット70の空気出口78は、それぞれの再循環式エアハンドリングユニット70の底面に配置され、それにより、各空気出口78は、各空気出口78を床隔壁50にある出口孔または開口94それぞれの上に配置することによって、下方プレナム38に流体的に接続される。ただし、様々な実施形態では、各空気出口78は、それぞれの空気出口78とそれぞれの出口孔94との間に接続された適切な空気ダクト配管、ホース、または管路など適切な空気導管手段を介して、下方プレナム38に流体的に接続することができる。
【0019】
すなわち、各再循環式エアハンドリングユニット70は、それぞれのファン86を介して、空気を上方プレナム34からそれぞれの入口通風管またはダクト90、および入口74を通して吸い込み、その空気に1つまたは複数のフィルタ82の中を通過させ、その空気をそれぞれの空気出口78を通して下方プレナム38中に押し出すことによって、それぞれの再循環式エアハンドリングユニット70を通る付勢空気流を生成するように機能する。より詳細には、上方プレナム34から空気を引き込み、その空気を下方プレナム38中に押し出すことによって、1つまたは複数の再循環式エアハンドリングユニット70の作動は、生存可能空間14を通る、かつ/またはその内部での再循環空気流を生成する。すなわち、1つまたは複数の再循環式エアハンドリングユニット70が作動することによって、空気が上方プレナム34から引き込まれ、空気が下方プレナム38中に押し出され、それによって、空気を、通気口62および通気装置66を介して、下方プレナム38から使用空間58を通して上方プレナム34中へ循環および再循環させる。したがって、1つまたは複数の再循環式エアハンドリングユニット70の作動によって、放射線および/または毒性事故に際し危険または有害な空気が生存可能空間14へそれを通って侵入することができるような、再循環および調節サブシステム26の通風ダクト配管が出入りする開口を生存可能空間の外側境界に存在させずに、生存可能空間14内に再循環空気流を生成することができる。
【0020】
上記のように、空気は、各再循環式エアハンドリングユニット70それぞれに押し通されるので、空気は1つまたは複数のフィルタ82の中を通過する。様々な実施形態では、1つまたは複数のフィルタ82は、塵埃、土埃、花粉など非放射性、非毒性環境粒子を生存可能空間14内の再循環空気流から除去するのに適したいかなるフィルタまたはフィルタ列でもよい。さらに、様々な実施形態では、各再循環式エアハンドリングユニット70は、加熱要素98、たとえば電熱コイルを備え得る。各加熱要素98は、各再循環式エアハンドリングユニット70それぞれを通る付勢空気流を加熱することによって、生存可能空間14内の再循環空気流を所望の温度まで加熱するように機能する。
【0021】
さらに、様々な実施形態では、再循環および調節サブシステム26は、各再循環式エアハンドリングユニット70それぞれの冷却コイル106に流体的に接続された冷却剤冷却式熱貯蔵タンク102を備え得る。様々な実施形態では、冷却剤冷却式熱貯蔵タンク102は、生存可能空間14から離れて配置される。たとえば、様々な実装形態では、冷却剤冷却式熱貯蔵タンク102は、生存可能空間14とは別の付帯設備室116A内に配置される。一般に、冷却剤冷却式熱貯蔵タンク102は、多量の冷却剤、たとえば水または他の適切な冷却剤を蓄え冷却するように構成され機能し、その冷却剤が、ポンプ給送されて再循環式エアハンドリングユニットの冷却コイル106に通されて、各再循環式エアハンドリングユニット70を通る付勢空気流を冷却することによって、生存可能空間14内の再循環空気流を所望の温度まで冷却する。より詳細には、各再循環式エアハンドリングユニット70の冷却コイル106は、冷却済み冷却剤管路110および戻り冷却剤管路114を介して、冷却剤冷却式熱貯蔵タンク102に流体的に接続されている。
【0022】
冷却ポンプ118は、冷却済み冷却剤を冷却剤冷却式熱貯蔵タンク102から1つまたは複数の再循環式エアハンドリングユニット70それぞれの冷却コイル106へ給送するために、冷却済み冷却剤管路110のライン中に接続されている。そして、冷却済み冷却剤は、1つまたは複数の冷却コイル106を通って循環し、戻り冷却剤管路114を介して冷却剤冷却式熱貯蔵タンク102へ戻る。上記のように、付勢空気流は、1つまたは複数の再循環式エアハンドリングユニット70を通って循環するので、1つまたは複数の冷却コイル106のそれぞれ、およびその中を流れる冷却済み冷却剤が、下方プレナム38中に押し出される空気から熱を取り去る。したがって、生存可能空間14内、およびそこを通る再循環空気流は、所望の温度まで冷却される。
【0023】
次に、NOAFCサブシステム18の換気サブシステム30を取り上げると、一般に、換気サブシステム30は、生存可能空間14に濾過済み換気を供給する。再循環および調節サブシステム26が作動すると、上記のように、生存可能空間14内に正圧を生成する。その正圧は、生存可能空間の外側境界に開口が出来たとき、生存可能空間14の内側から生存可能空間14の外側へ空気を押し出す。たとえば、開かれた扉、被覆されていない電気差込口などが、生存可能空間14の外側からそこを通って空気が侵入し得る外側境界の開口になる。すなわち、正圧は、生存可能空間14の外側の空気がそのような開口を通って生存可能空間14に侵入し、または入るのを防止する。生存可能空間14内の正圧を維持するために、換気サブシステム30が、生存可能空間14の上方プレナム34および/または下方プレナムに空気を送り込む。図2は、換気流が上方プレナム34に送り込まれていることを示しているが、換気流は同様に下方プレナム38にも送り込まれ得、それは本開示の範囲内であることが理解されるべきである。
【0024】
様々な実施形態では、換気サブシステム30は、生存可能空間14から離れて配置されている。たとえば、様々な実装形態では、換気サブシステム30は、生存可能空間14とは別の付帯設備室116B内に配置される。付帯設備室116Aおよび116Bは、別々の設備室として図示されているが、様々な実施形態では、付帯設備室116Aおよび116Bは、冷却剤冷却式熱貯蔵タンク102、換気サブシステム30、および本明細書に記載されている様々な他の設備、システム、およびサブシステムをその中に配置することができる単一の付帯設備室116になり得ることが理解されるべきである。
【0025】
換気サブシステム30は、上方プレナム34および/または下方プレナム38中への換気流を発生させる1つまたは複数の換気ハンドリングユニット122を備える。詳細には、各換気ハンドリングユニット122は、空気入口126、空気出口130、少なくとも1つのフィルタ134、およびファンまたは送風機138を備える。換気ハンドリングユニットの1つまたは複数のフィルタ134は、生存可能空間14の上方プレナム34および/または下方プレナム38に送り込まれる換気流から、塵埃、土埃、花粉など、様々な非放射性、非毒性環境粒子を除去するのに適した1つまたは複数のフィルタであり得る。
【0026】
ファン138は、空気をそれぞれの換気ハンドリングユニット122に入口126を介して引き込み、その空気に1つまたは複数のフィルタ134の中を通過させ、濾過された空気を出口130を通して押し出すように機能する。より具体的には、各換気ハンドリングユニット122は、空気を生存可能空間14の外部環境から引き込み、その空気を上方プレナム34および/または下方プレナム38に換気通風導管、たとえばダクト配管142を介して送り込む。換気ダクト配管142は、各換気ハンドリングユニット122の出口130に接続され、生存可能空間の外側境界を貫通して延在し、上方プレナム34および/または下方プレナム38内を終端とする。したがって、各換気ハンドリングユニットのファン138は、空気を生存可能空間14の外部環境から換気ハンドリングユニット122に引き込み、その空気に1つまたは複数のフィルタ134それぞれの中を通過させ、濾過された空気を換気ダクト配管142を介して生存可能空間の上方プレナム34および/または下方プレナム38に送り込むように機能する。上記のように、上方プレナム34および下方プレナム38の少なくとも1つに空気を送り込むことによって、生存可能空間14の外部の空気が生存可能空間の外側境界の様々な開口を通って生存可能空間14に侵入、または入るのを防止する生存可能空間14内の正圧が生成され維持される。
【0027】
様々な実施形態では、換気サブシステム30は、換気通風ダクト配管142内に1対の遮断ダンパ146をさらに備える。遮断ダンパ146は、放射線および/または毒性事故に際し、換気通風ダクト配管142を介して生存可能空間の上方プレナム34および/または下方プレナム38に空気が流入し、またはそこから流出することがないように、換気通風ダクト配管142内に実質的に気密なシールを形成するように構成され機能する。より詳細には、様々な実施形態では、遮断ダンパ146は、換気ダクト配管142が、遮断ダンパ146と生存可能空間の外側境界の外側との間に、延在したとしても極めて僅かしか延在しないように、換気ダクト配管142内で生存可能空間14の外側境界に実質的に直に隣接して配置される。これにより、遮断ダンパ146と生存可能空間外側境界の外側との間で換気ダクト配管142内に存在し、遮断ダンパ146が閉鎖された後に生存可能空間14に流入することができる空気、たとえば汚染されまたは有害な空気の量が限定される。
【0028】
図2に示されるように、様々な実施形態では、換気サブシステム30は、1対の換気ハンドリングユニット122を備え得る。冗長式換気ハンドリングユニット122は、1つの換気ハンドリングユニット122が故障または作動不能になった場合、下記のように、2番目の換気ハンドリングユニット122が、生存可能空間の上方プレナム34中への換気流を生成すべく機能するように実装される。
【0029】
さらに、様々な実施形態では、再循環および調節サブシステム26が、1つまたは複数のエネルギー貯蔵式電源150を備え得る。1つまたは複数のエネルギー貯蔵式電源150は、一連の直流(DC)バッテリなど、適切ないかなる受動的貯蔵電力供給源でもよい。1つまたは複数のエネルギー貯蔵式電源150は、場外もしくは場内発電機または電力会社などの定常電源が使えなくなった場合に、1つまたは複数の再循環式エアハンドリングユニット70および/または冷却剤冷却式熱貯蔵タンクポンプ118へ電力を供給するように構成され機能する。たとえば、放射線および/または毒性事故が万一発生した場合、1つまたは複数の再循環式エアハンドリングユニット70、冷却剤冷却式熱貯蔵タンク102への冷却剤の補充供給、および冷却剤冷却式熱貯蔵タンクポンプ118への定常的電力供給ができなくなり、または停止する。そのような場合、1つまたは複数のエネルギー貯蔵式電源150は自動的に作動可能になって、1つまたは複数の再循環式エアハンドリングユニット70および/または冷却剤冷却式熱貯蔵タンクポンプ118を、たとえば1時間、2時間、3時間、4時間、1日、2日、3日、4日など限られた継続時間で作動させる電力を供給する。
【0030】
様々な実施形態では、再循環および調節サブシステム26が複数のエネルギー貯蔵式電源150を備え、それにより、各再循環式エアハンドリングユニット70および/または冷却剤冷却式熱貯蔵タンクポンプ118が、それぞれ1つのエネルギー貯蔵式電源150に電気的に接続されるようにすることができる。したがって、定常的電力供給の無いときに、再循環式エアハンドリングユニット70および/または冷却剤冷却式熱貯蔵タンクポンプ118のそれぞれは、別々の独立したエネルギー貯蔵式電源150によって駆動される。あるいは、様々な実施形態では、再循環および調節サブシステム26は、定常的電力供給の無いときに1つまたは複数の再循環式エアハンドリングユニット70および/または冷却剤冷却式熱貯蔵タンクポンプ118のそれぞれに電力を供給するように構成された1つだけのエネルギー貯蔵式電源150を備え得る。またはさらに、他の実施形態では、再循環および調節サブシステム26は、定常的電力供給の無いときに、1つまたは複数の再循環式エアハンドリングユニット70のそれぞれに電力を供給するように構成された第1のエネルギー貯蔵式電源150と、冷却剤冷却式熱貯蔵タンクポンプ118に電力を供給するように構成された第2のエネルギー貯蔵式電源150とを備え得る。
【0031】
図1を再び参照すると、様々な実施形態では、再循環および調節サブシステム26は、煙排除サブシステム154を備え得る。煙排除サブシステム154は、生存可能空間14の外部に配置され、生存可能空間外側境界を貫通して延在する煙排除出口導管またはダクト配管162を介して上方プレナム34に流体的に接続された煙排除ファン158を備える。煙排除サブシステム154は、外気取入口170を下方プレナム38にそれを介して流体的に接続する煙排除入口導管またはダクト配管166をさらに備える。煙排除サブシステム154は、生存可能空間14内部から迅速に空気を排除し交換するように構成され機能する。たとえば、生存可能空間が、原子炉施設での、または生存可能空間14内部の事故または火事による煙で充満された場合に、煙排除サブシステム154は、ファン158および出口ダクト配管162を介して煙を生存可能空間14外部の環境へ迅速に排除するために起動され得る。実質的に同時に、生存可能空間14の外部からの換気が、ファン158および入口ダクト配管166を介して生存可能空間14に引き込まれる。
【0032】
さらに、様々な実装形態では、煙排除サブシステム154は、煙排除入口ダクト配管166内に1対の入口遮断ダンパ174をさらに備える。入口遮断ダンパ174は、放射線および/または毒性事故に際し、煙排除入口ダクト配管166を介して生存可能空間14に空気が流入し、またはそこから流出することがないように、煙排除入口ダクト配管166内に実質的に気密なシールを形成するように構成され機能する。より詳細には、入口遮断ダンパ174は、入口ダクト管路166が、入口遮断ダンパ174と生存可能空間外側境界の外側との間に、延在したとしても極めて僅かしか延在しないように、煙排除入口ダクト配管166内で生存可能空間14の外側境界に実質的に直に隣接して配置される。これにより、入口遮断ダンパ174と生存可能空間外側境界の外側との間で入口ダクト配管166内に存在し、入口遮断ダンパ174が閉鎖された後に生存可能空間14に流入またはそこから流出することができる空気、たとえば汚染されまたは有害な空気の量が限定される。
【0033】
さらに、様々な実装形態では、煙排除サブシステム154は、煙排除出口ダクト配管162内に1対の出口遮断ダンパ178をさらに備える。出口遮断ダンパ178は、放射線および/または毒性事故に際し、煙排除出口ダクト配管162を介して生存可能空間14に空気が流入し、またはそこから流出することがないように、煙排除出口ダクト配管162内に実質的に気密なシールを形成するように構成され機能する。より詳細には、出口遮断ダンパ178は、出口ダクト管路162が、出口遮断ダンパ178と生存可能空間外側境界の外側との間に、延在したとしても極めて僅かしか延在しないように、煙排除出口ダクト配管162内で生存可能空間14の外側境界に実質的に直に隣接して配置される。これにより、出口遮断ダンパ178と生存可能空間外側境界の外側との間で出口ダクト配管162内に存在し、出口遮断ダンパ178が閉鎖された後に生存可能空間14に流入またはそこから流出することができる空気、たとえば汚染されまたは有害な空気の量が限定される。
【0034】
ここで図3を参照すると、上記のように、緊急時濾過(EF)サブシステム22は、放射線および/または毒性事故に際し、放射性および/または毒性汚染物質を実質的に含まない空気を生存可能空間14へ供給するように構成され機能する。EFサブシステム22は、1つまたは複数の緊急時空気濾過ユニット(EAFU)182を備える。様々な実施形態では、図3に示すように、EFサブシステム22は、2つ以上の冗長式EAFU182を備え得る。冗長式EAFU182は、1つのEAFU182が故障または作動不能になった場合、放射線および/または毒性事故に際し放射性および/または毒性汚染物質を実質的に含まない空気を生存可能空間14へ供給すべく、第2、第3のEAFU182が、次々に機能するように実装される。EFサブシステム22はEAFU182を1つだけ備えることもでき、それは本開示の範囲内であるが、明確化および単純化のために、本明細書では、EFサブシステム22は2つ以上の冗長式EAFU182を備えるものとして記述される。
【0035】
様々な実施形態では、EAFU182は生存可能空間14から離れて配置されている。たとえば、EAFU182は、生存可能空間14とは別の付帯設備室116、たとえば設備室116A内に配置される。各EAFU182は、放射性および毒性汚染物質を含まない空気を生存可能空間に供給するように構成され機能する。
【0036】
図4を参照すると、各EAFU182は、入口空気導管またはダクト配管194を介して外部空気源190に接続され、出口空気導管またはダクト配管198を介して生存可能空間14に接続されるハウジング186を備える。各EAFU182は、ハウジング186内部のフィルタ列202(図4に最も良く示される)と、少なくとも1つのファンアセンブリ206とをさらに備える。ファンアセンブリ206は、入口ダクト配管194を通して空気を引き込み、その空気をフィルタ列202に押し通して放射性および/または毒性汚染物質を濾し出し、濾過した空気を出口ダクト配管198を通して生存可能空間上方プレナム34および/または下方プレナム38中に押し出すことによって、外部空気源190から生存可能空間14中への空気流を生成するように構成され機能する。
【0037】
様々な実施形態では、図3に示すように、各EAFU182は、2つの冗長式ファンアセンブリ206を備え得る。冗長式ファンアセンブリ206は、1つのファンアセンブリ206が故障または作動不能になった場合、放射性および/または毒性汚染物質を実質的に含まない濾過空気を生存可能空間14へ供給すべく第2のファンアセンブリ206が機能するように実装される。各EAFU182は、ファンアセンブリ206を1つだけ備えることもでき、それは本開示の範囲内であるが、明確化および単純化のために、本明細書では、EAFU182は2つ以上の冗長式ファンアセンブリ206を備えるものとして記述される。
【0038】
各EAFU182のフィルタ列202は、それぞれのファンアセンブリ206を介して、それぞれのEAFU182を通して生成される空気流から放射性および/または毒性汚染物質を除去するのに適した複数のエアフィルタ210を備える。たとえば、様々な実施形態では、各フィルタ列202は、第1の粒子フィルタ210A、第2の粒子フィルタ210B、炭素床フィルタ210C、および第3の粒子フィルタ210Dを備え得る。第1の粒子フィルタ210Aは、空気流が入口ダクト配管194を介してそれぞれのEAFU182に流入するとき、大き目の放射性および/または毒性粒子を空気流から除去するのに適したいかなるフィルタでもよい。空気流は、次いで、第2の粒子フィルタ210B、たとえばHEPAフィルタ中を通過することができ、それにより大部分の残留放射性および/または毒性粒子が除去される。炭素床フィルタ210Cは、空気流を芳香性的に濾過する、すなわち空気流から不快な臭気および/または放射性ガスを除去するのに適したいかなるフィルタでもよく、第3の粒子フィルタ210Dは、あらゆる残留放射性および/または毒性汚染粒子、および炭素床フィルタ210Cを通過した後に空気流に存在し得るあらゆる炭素粉塵を除去するのに適したいかなるフィルタでもよい。このように、各EAFU182を出て、出口ダクト配管198を介して生存可能空間の上方プレナム34および/または下方プレナム38に送り込まれる空気流は、有害な放射性および/または毒性ガスならびに粒子を含まない。
【0039】
様々な実施形態では、EFサブシステム22が、1つまたは複数のエネルギー貯蔵式電源214を備え得る。1つまたは複数のエネルギー貯蔵式電源214は、一連の直流(DC)バッテリなど、適切ないかなる受動的貯蔵電力供給源でもよい。1つまたは複数のエネルギー貯蔵式電源214は、場外もしくは場内発電機または電力会社などの定常電源が使えなくなった場合に、EAFU182へ電力を供給するように構成され機能する。たとえば、放射線および/または毒性事故が万一発生した場合、1つまたは複数のEAFU182への定常電力の供給は不能になり、または停止され得る。そのような場合、1つまたは複数のエネルギー貯蔵式電源214が自動的に作動可能になって、上記のように、1つまたは複数のEAFU182を、たとえば1時間、2時間、3時間、4時間、1日、2日、3日、4日、1週間、2週間など限られた継続時間で作動させる電力を供給する。
【0040】
図3に示すように、様々な実施形態では、再循環および調節サブシステム26は、上記のように、放射線および/または毒性事故の際、EFサブシステム22と連携して作動することができる。たとえば、放射性および/または毒性事故に際し、1つまたは複数の再循環式エアハンドリングユニット70、および冷却剤冷却式熱貯蔵タンク102すなわちポンプ118は、上記のように、1つまたは複数のエネルギー貯蔵式電源150を使用して作動して、EFサブシステム22によって供給される放射性および毒性無しの空気を、生存可能空間14内に循環し、濾過し、冷却することができる。ただし、EFサブシステム22が単独に作動することによって、快適に生き延びるのに十分な安全で呼吸可能な空気を生存可能空間14の使用者に供給するように、生存可能空間14内に放射性および毒性の無い空気を十分に循環させられることが理解されるべきである。
【0041】
図4を詳細に参照すると、各ファンアセンブリ206は、それぞれのEAFU182を通る空気流を生成するために空気駆動装置222、たとえばファンを駆動するように機能するモータ218を備える。様々な実施形態では、入口ダクト配管194に引き込まれた空気がそれぞれのモータ218を横切って、かつ/または外側の周りを流れるように、各ファンアセンブリ206は、入口ダクト配管194のライン中に、またはその内部に配置されている。空気が、それぞれのモータ218を横切って、かつ/またはその周りを流れるとき、空気は、それぞれのモータ218が発生した熱を取り去り、それによって、それぞれのEAFU182を通る空気流の温度を増加させる。したがって、各モータ218の作動によって発生した熱は、生存可能空間の上方プレナム34および/または下方プレナム38に送り込まれる空気を加熱するのに使用することができ、それによって、EFサブシステム22の作動中に生存可能空間14内を循環する空気が加熱される。さらに、各モータ218の作動によって発生した熱は、生存可能空間の上方プレナム34および/または下方プレナム38に送り込まれる空気を乾燥、すなわち空気から湿気を除去するのに使用することができ、それによって、EFサブシステム22の作動中に生存可能空間14内を循環する空気が乾燥する。
【0042】
再び図3および4を参照すると、様々な実施形態では、EFサブシステム22の入口ダクト配管194、フィルタ列202、および出口ダクト配管198は、入口ダクト配管194中を流れる空気と出口ダクト配管198を流れる空気との間の圧力損失が極めて小さくなるような寸法にされた断面積または直径を有する。たとえば、様々な実装形態では、入口ダクト配管194、フィルタ列202、および出口ダクト配管198は、入口ダクト配管194中を流れる空気と出口ダクト配管198中を流れる空気との間で約1w.g.(water gage)〜5w.g.の差圧が発生するだけの十分に大きな特大の断面積または直径を有する。特に、特大のフィルタ列202ならびに入口ダクト配管194および出口ダクト配管198は、フィルタ210両端間の差圧を小さくする。すなわち、特大のフィルタ列202ならびに入口ダクト配管194および出口ダクト配管198は、フィルタ210の中を空気が通過するのに要する必要な空気圧力を減少させ、ダクト配管の内部損失を減少させる。
【0043】
さらに、入口ダクト配管194、フィルタ列202、および出口ダクト配管198の断面積または直系の寸法が大きいと、EFサブシステム22、すなわちEAFU182は、実質的に正圧の空気流を生存可能空間14に通して供給することができる。たとえば、様々な実装形態では、入口ダクト配管194、フィルタ列202、および出口ダクト配管198の断面積または直系の寸法が大きいことにより、各EAFU182が約300cfm(立方フィート/分)〜500cfmの正圧空気流を生存可能空間14に通して供給することが可能になり得る。
【0044】
さらに、特大のフィルタ列202ならびに入口ダクト配管194および出口ダクト配管198から生じる生存可能空間14を通るそのような正圧空気流は、生存可能空間14に侵入し得る非濾過空気の排除および希釈化を強化する。生存可能空間14に侵入する非濾過空気の排除および希釈化が強化されると、非濾過侵入空気中の有害な汚染物質が生存可能空間14の使用者に及ぼす危険度が低減する。たとえば、様々な実装形態では、特大のフィルタ列202ならびに入口ダクト配管194および出口ダクト配管198は、生存可能空間への約1cfm〜13cfmの非濾過空気の漏れ込みを安全に排除または希釈化するのに十分な、生存可能空間14を通る正圧空気流を供給する。
【0045】
さらに、フィルタ列202ならびに入口ダクト配管194および出口ダクト配管198の特大化による各EAFU182それぞれを通って流れる空気の内部空気圧力、ならびに入口ダクト配管194および出口ダクト配管198を通って流れる空気の内部損失の減少は、各モータ218それぞれの必要出力を軽減させる。すなわち、フィルタ列202ならびに入口ダクト配管194および出口ダクト配管198を特大化し、それによってフィルタ列202の両端間の圧力降下を小さくすることは、各ファンアセンブリモータ218の必要馬力を低減することに直接繋がる。たとえば、様々な実施形態では、各ファンアセンブリモータ218それぞれは、約0.5hp〜2.0hp、たとえば1.5hpを定格として、上記の生存可能空間14両端間の差圧およびそこを通る正圧空気流を生成することができる。
【0046】
さらに、様々な実施形態では、空気源190は、EAFU182に引き込まれる空気が、放射線および/または毒性事故の際に最も低い放射性および/または毒性汚染物質濃度を有する可能性が最も高いと判断されるような、原子炉施設の原子炉に対する固定位置に配置される。たとえば、放射線および/または毒性事故に際し、最も低い放射性および/または毒性汚染物質濃度を有する可能性が最も高い原子炉施設内の適切な場所を求めるのに、数学モデルを使用することができる。したがって、様々な実施形態では、空気源190は、EFサブシステム22が、上記のように、放射線および/または毒性事故の際に最も低い放射性および/または毒性汚染物質濃度を有する可能性が最も高いと予め判断された空気を濾過すべく作動するように、予め求められた最適位置に配置される。
【0047】
第1、第2、第3などの用語が、様々な要素、構成部品、領域、および/または部分を記述するのに本明細書で使用されることがあるが、これらの要素、構成部品、領域、および/または部分は、これらの用語によって限定されるべきでないことが理解されるべきである。これらの用語は、ある要素、構成部品、領域、または部分を、別の構成部品、領域、または部分と区別するためのみに使用され得る。
【0048】
さらに、「下側」、「下」、「下方」、「上」、「上方」などの空間的関係用語は、本明細書では、ある要素または特徴の、別の1つまたは複数の要素または1つまたは複数の特徴に対する図に示された関係を記述するのに記述を容易にするために使用されることがある。空間的関係用語は、図に示された向きに加えて、使用または作動中の装置の様々な向きを包含することを意図し得ることを理解されたい。たとえば、図中の装置がひっくり返された場合、他の要素または特徴の「下」または「下側」として記述されている要素は、そのとき、他の要素または特徴の「上」の向きになる。したがって、この用語例「下」は、上下の向き両方を包含することができる。装置は別の向きにされ得(90°回転され、または他の向きに)、本明細書に使用される空間的関係の記述語は、それにしたがって解釈される。
【0049】
さらに、本明細書に使用される術語は、特定の例示的実施形態を記述する目的のためのみであり、限定することを意図するものではない。本明細書で用いられるとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が、相違することを明らかに示さない限り、複数形も同時に含むことを意図し得る。用語「備える(comprises)」および/または「含んでいる(comprising)」は、この明細書で使用されるとき、言及された特徴、完全体、ステップ、操作、要素、構成部品などの存在を明記するが、それらの1つまたは複数の他の特徴、完全体、ステップ、操作、要素、構成部品、グループなどの存在または追加を排除するものではないことをさらに理解されたい。
【0050】
本明細書の記述は本来単に例示的なものであり、したがって、記述されたその主旨から逸脱しない変形形態は、本教示の範囲内にあるものとする。そのような変形形体は、本教示の精神および範囲から逸脱していると見なすべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本開示の様々な実施形態による、原子炉施設の生存可能空間用の空気濾過および調節(AFC)システムの概略構成図である。
【図2】本開示の様々な実施形態による、図1に示すAFCシステムの正常作動時空気濾過および調節サブシステムの概略構成図である。
【図3】本開示の様々な実施形態による、図1に示すAFCシステムの緊急時濾過サブシステムを示す概略構成図である。
【図4】本開示の様々な実施形態による、図3に示す緊急時濾過サブシステムに含まれる緊急時空気濾過ユニットの概略構成断面図である。
【符号の説明】
【0052】
10 空気濾過および調節システム
14 生存可能空間
18 正常作動時空気濾過および調節サブシステム
22 緊急時濾過サブシステム
26 再循環および調節サブシステム
30 換気サブシステム
34 上方プレナム
38 下方プレナム
42 天井隔壁
46 生存可能空間天井
50 床隔壁
54 生存可能空間床
58 使用者空間
62 通気口
66 通気装置
70 再循環式エアハンドリングユニット
74 再循環式エアハンドリングユニット入口
78 再循環式エアハンドリングユニット出口
82 再循環式エアハンドリングユニットフィルタ
86 再循環式エアハンドリングユニットファン
90 再循環式エアハンドリングユニット入口通風管
94 出口孔
98 再循環式エアハンドリングユニット加熱要素
102 冷却剤冷却式熱貯蔵タンク
106 再循環式エアハンドリングユニット冷却コイル
110 冷却済み冷却剤管路
114 戻り冷却剤管路
116 付帯設備室
118 冷却剤ポンプ
122 換気ハンドリングユニット
126 換気ハンドリングユニット入口
130 換気ハンドリングユニット出口
134 換気ハンドリングユニットフィルタ
138 換気ハンドリングユニットファン
142 換気導管
146 換気導管遮断ダンパ
150 エネルギー貯蔵式電源
154 煙排除サブシステム
158 煙排除ファン
162 煙排除出口ダクト配管
166 煙排除入口ダクト配管
170 外気取入口
174 煙排除入口遮断ダンパ
178 煙排除出口遮断ダンパ
182 緊急時空気濾過ユニット(EAFU)
186 EAFUハウジング
190 外部空気源
194 EAFU入口ダクト配管
198 EAFU出口ダクト配管
202 EAFUフィルタ列
206 EAFUファンアセンブリ
210 フィルタ
214 エネルギー貯蔵式電源
218 ファンアセンブリモータ
222 ファンアセンブリファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉の生存可能空間(14)内の空気を循環させ調節するシステム(10)であって、
前記生存可能空間(14)内の降下天井隔壁(42)と生存可能空間(14)の天井(46)との間に形成された上方プレナム(34)と、
前記生存可能空間(14)内の嵩上げ床隔壁(50)と生存可能空間(14)の床(54)との間に形成された下方プレナム(38)と、
前記生存可能空間(14)内に配置された少なくとも1つの再循環式エアハンドリングユニット(70)であって、前記生存可能空間(14)の前記天井、床または壁を貫通して通風ダクト配管を敷設することなしに前記下方プレナム(38)と上方プレナム(34)との間で空気を循環させることによって、前記生存可能空間(14)内の再循環空気流を発生させるように機能する少なくとも1つの再循環式エアハンドリングユニット(70)とを備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
定常供給電力の停止に際し、限られた時間の間、前記少なくとも1つの再循環式エアハンドリングユニット(70)に作動電力を供給するように構成され機能する少なくとも1つの再循環式エアハンドリングユニットエネルギー貯蔵式電源(150)をさらに備えることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの再循環式エアハンドリングユニット(70)が、前記少なくとも1つの再循環式エアハンドリングユニット(70)によって生成される再循環空気流を加熱する加熱要素(98)を備えることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記生存可能空間(14)とは別の室内に配置され、前記少なくとも1つの再循環式エアハンドリングユニット(70)に流体的に接続された冷却剤冷却式熱貯蔵タンク(102)をさらに備え、それによって、前記少なくとも1つの再循環式エアハンドリングユニット(70)に冷却された冷却剤を供給して、前記少なくとも1つの再循環式エアハンドリングユニット(70)によって生成される再循環空気流を冷却することを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項5】
定常供給電力の停止に際し、限られた時間の間、前記冷却剤冷却式熱貯蔵タンク(102)のポンプ(118)に作動電力を供給するように構成され作動する少なくとも1つの冷却剤冷却式熱貯蔵タンク(102)エネルギー貯蔵式電源(150)をさらに備えることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項6】
換気サブシステム(30)をさらに備え、前記換気サブシステム(30)が、
前記生存可能空間(14)とは別の室内に配置された少なくとも1つの換気ハンドリングユニット(122)と、
前記生存可能空間(14)へ換気を供給するために、前記少なくとも1つの換気ハンドリングユニット(122)を前記上方プレナム(34)および前記下方プレナム(38)の1つに接続する換気通風ダクト配管(142)と
を備えることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記換気サブシステム(30)が、前記換気通風ダクト配管(142)内で前記生存可能空間(14)の外側境界に実質的に直に隣接して1対の遮断ダンパ(146)をさらに備え、前記遮断ダンパ(146)が、前記換気通風ダクト配管を介して空気が前記生存可能空間(14)へ流入しまたはそこから流出することがないように、前記換気通風ダクト配管(142)内に実質的気密シールを形成するように構成され機能することを特徴とする請求項6記載のシステム。
【請求項8】
煙排除サブシステム(154)をさらに備え、前記煙排除サブシステム(154)が、
前記生存可能空間(14)の外部に配置され、煙排除出口ダクト配管(162)を介して前記上方プレナム(34)に接続された煙排除ファン(158)と、
外気取入口(170)を前記下方プレナム(38)へそれを介して接続する煙排除入口ダクト配管(166)と
を備え、
前記煙排除ファン(158)が、前記煙排除入口ダクト配管(166)を介して前記生存可能空間(14)に外気を引き込み、前記生存可能空間(14)内部から前記煙排除出口ダクト配管(162)を介して前記生存可能空間(14)の外部環境へ空気を排除するように機能することを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項9】
前記煙排除サブシステム(154)が、
前記煙排除入口ダクト配管(166)内で前記生存可能空間(14)の外側境界に実質的に直に隣接して1対の入口遮断ダンパ(174)をさらに備え、
前記入口遮断ダンパ(174)が、前記煙排除入口ダクト配管(166)を介して空気が前記生存可能空間(14)へ流入しまたはそこから流出することがないように、前記煙排除入口ダクト配管(166)内に実質的気密シールを形成するように構成され機能することを特徴とする請求項8記載のシステム。
【請求項10】
前記煙排除サブシステム(154)が、
前記煙排除出口ダクト配管(162)内で前記生存可能空間(14)の外側境界に実質的に直に隣接して1対の出口遮断ダンパ(178)をさらに備え、
前記出口遮断ダンパ(178)が、前記煙排除出口ダクト配管(162)を介して空気が前記生存可能空間(14)へ流入しまたはそこから流出することがないように、前記煙排除出口ダクト配管(162)内に実質的気密シールを形成するように構成され機能することを特徴とする請求項8記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−145338(P2009−145338A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−313823(P2008−313823)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(508177046)ジーイー−ヒタチ・ニュークリア・エナージー・アメリカズ・エルエルシー (101)
【氏名又は名称原語表記】GE−HITACHI NUCLEAR ENERGY AMERICAS, LLC