説明

原油装置における腐食および腐食副産物堆積を低減させる方法

原油装置において腐食および/または腐食副産物堆積を低減させるために、原油装置におけるシステムパラメータを最適化する方法が開示され、主張される。方法は、システムパラメータと関連する特性を測定または予測する工程と、自動制御装置を使用して、特性を分析し、システムパラメータを最適化するように化学プログラムの調節を引き起こす工程と、を含む。システムパラメータの調節は、プロセス流れ中の流体の腐食しやすさを低減させることにより、および/またはシステムを可能性のある腐食性物質から保護することにより原油装置における腐食を効果的に制御する。システムパラメータ感知プローブはプロセス流れ中の1つ以上の位置に配列され、原油装置内のシステムパラメータの正確なモニタリングが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に原油装置において腐食を低減させる方法に関する。より詳細には、本発明は、原油装置のプロセス流れにおけるシステムパラメータを最適化して、原油装置における腐食を低減させる方法に関する。本発明は特に、露点水およびアキュムレータブート水をサンプリングし、システムパラメータを測定し、そのような測定値に応じて、原油装置における腐食および/または腐食副産物堆積を低減させることに関連する。
【背景技術】
【0002】
原油精油所では、一般に、処理のために油が貯蔵タンクから原油装置にポンプで送られる。原油装置は油を脱塩装置で水洗により清浄にし、その後、油を常圧蒸留塔で留分に分離する。これらの留分は原油装置の下流の様々な処理ユニット(例えば、コーカー、接触分解装置、水素化処理装置など)にポンプで送られる。腐食および腐食副産物堆積(後者は時として本明細書では、汚損と呼ばれる)が、原油装置の多くの領域で起こるが、最も重大な腐食および汚損は典型的には、常圧蒸留塔の塔頂凝縮システムで起こる。
【0003】
精油所原油装置処理は、近年益々困難になっており、いくつかの理由のために、よりいっそう挑戦的で、複雑になっていると予測される。例えば、原油価格の著しい上昇により、精油業者は、割引価格で得られる「オポチュニティ」または「チャレンジング」原油を積極的に追求している。より低い価格は、軽質スイートベンチマーク原油よりも望ましくないものとする高酸または高固体量などの原油特性に関連する。
【0004】
製油業者は、原油の種類の増加と組み合わせて、手元の原油在庫を最小にするために、原油スレートを過去よりも、より頻繁に切り換える。原油スレートの切り換えは典型的には、最大数時間までの間、原油装置の定常状態条件を乱してしまう。一般に、これらの切り換えまたは中断の間に約80%の腐食および汚損が起こり、これは、通常、約20%の時間続く。汚損および腐食問題が十分重大である場合、製油業者は、問題を引き起こす原油または原油ブレンドの処理を中止する。しかしながら、これらのチャレンジング原油は割引価格で製油業者が入手可能であり、よって、これらはより収益性が高い。したがって、そのよう問題原油を中止するのは、それほど一般的な選択肢ではない。
【0005】
腐食を低減させようとして、原油装置は、1週間あたり2または3回、あるいは場合によっては毎日、点検され得る。せいぜい毎日の点検が、動的原油装置システムのスナップショット図を提供する。原油の型および/または原料の原油貯蔵タンクが、1週間に数回、時として毎日切り換えられる。各タンクの内容は、互いに違っており、そのため、各々の切り換えは原油装置への供給品質の変化を引き起こし、何度も、定常状態を乱し、システムの中断を引き起こす。予熱、脱塩、および蒸留動作が新たな原油と共に変化し、規格外の生成物および/または排水源が送られる。数時間(場合によっては、数日)にわたって多くの調節が通常行われ、原油装置が定常状態動作に戻される。
【0006】
そのような中断を制御し、原油装置動作を最適化する最も一般的な現在の工業的手法は、十分な労働力および工数を提供することである。例えば、各原油装置は、ユニットのサイズおよび複雑さによって、3人から10人の操作班を有し得る。この班は、湿式化学研究室試験のために様々なサンプルを集め、ユニットを規格内で操業させるために温度および流量を測定し、調節して、1日を費やす場合がある。そのような実施は典型的には、分留品質カット点および終点に対して適正に動作するユニットの維持を対象としており、特別な化学腐食制御プログラムには最小の注意しか払われていない。中断が重大である場合、プロセス化学薬品に変更がなされ、および/またはレベル、流量、または温度の変化が原油装置の周りで推奨され、動的システムが可能な限り最適な条件で維持される。
【0007】
周期的な、または時として長期のヒトの関与の欠如を補うための試みとしては、常圧蒸留塔に、アキュムレータ水ブート塔頂でオンラインpH計を設置することが挙げられるが、pHセンサの汚損速度が高いために、これらの計器のほんの小さな割合しか、短時間でも正確に動作しない。オンライン計装、例えばpH計は、定期保守および較正を必要とする。さらに、オンラインpHは単にpHを追跡し、pHが制御限界外にある場合にオペレータに警告を送る。しばしば、不十分に較正された、および/または汚損されたpH計は頻繁な警告を引き起こす。この頻度は、警告システムの有効性を最小に抑える傾向がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,335,072号明細書
【特許文献2】米国特許第5,425,267号明細書
【特許文献3】米国特許第5,326,482号明細書
【特許文献4】米国特許第5,324,66号明細書
【特許文献5】米国特許第5,302,253号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
オンラインpH計測および他のモニタリングの取り組みは工業的に成功していないため、精油業者はプロセス化学プログラムのための、より魅惑的で効果的なオンライン計装を追求していない。このように、原油装置においてパラメータをモニタし、腐食を低減させるためのより高性能で、効果的なオンラインおよび/または自動化方法が継続して必要である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本発明は、信頼できる原油装置データをフィードバック、フィードフォーワード、または予測ループで発生させ、プロセス流れ処理を実時間調節し、よって、腐食および腐食副産物堆積(本明細書では、時として汚損と呼ばれる)を低減させる方法を提供する。好ましい観点では、本発明は連続的または断続的なフィードバック、フィードフォーワード、または予測情報をプロセス化学薬品注入ポンプに提供し、実時間調節させるように実行される。本発明はプログラミング論理を組み込み、アナライザー信号をポンプ調節論理に変換させ、好ましい実施形態では、複数の化学薬品注入の1つまたは各々を特有の基準で制御する。例としては、pH、塩化物または酸分に基づく中和剤注入、pH、塩化物または酸分に基づく腐食剤注入、および鉄濃度または腐食速度に基づく造膜阻害剤注入が挙げられる。
【0011】
本発明は、既存の電気抵抗腐食プローブ、直線分極プローブ、および/または金属損失を測定するための他の技術からの読み取り値を扱うこともまた想定される。これらの読み取り値は、場合により他の化学薬品注入をオーバーライドし、または変更させ、ポンプ速度を変化させるように、プログラミング論理制御装置(PLC)によりプログラムされる。さらに、原油装置常圧蒸留塔塔頂熱交換システムは、腐食に関する頻繁な費用のかかる問題を受けるので、本発明は原油装置のその部分に焦点を当てる。しかしながら、本発明は、精油所内の多くの他のユニットに有用である。
【0012】
1つの観点では、本発明は、原油装置において腐食を低減させるために、原油装置のプロセス流れにおけるシステムパラメータを最適化する方法を含む。システムパラメータと関連する特性は、原油装置内の1つ以上の点で測定および/または予測され、制御装置に伝送させることができる入力電気信号に変換される。今度は、制御装置は、伝送された入力電気信号を受理し、受理した電気信号を入力数値に変換し、入力数値を分析し、出力数値を発生させ、出力数値を出力電気信号に変換し、出力電気信号を伝送するように動作可能である。入力数値に対する最適な腐食低減範囲が決定され、入力数値が最適範囲外にある場合、伝送された出力電気信号はプロセス流れへの組成物の流入の変化を引き起こす。組成物は、入力数値を最適範囲内に入れるようにシステムパラメータと関連する特性を調節することができる。1つの実施形態では、1つ以上の異なる組成物のプロセス流れへの流入は、集合的に、および/または個々に、システムパラメータ(単数または複数)と関連する特性(単数または複数)を調節することができる。方法は、任意で、複数の異なるシステムパラメータに対して繰り返され、この場合、異なるシステムパラメータはそれぞれ、特有の関連特性を有する。
【0013】
別の観点では、本発明は、原油装置において腐食を低減させるために、原油装置のプロセス流れにおけるシステムパラメータを最適化するためのシステムを含む。システムは、システムパラメータと関連する特性を感知および/または予測し、特性を伝送させることができる入力電気信号に変換するように動作可能な感知装置を備える。送信機は、入力電気信号を制御装置に伝送する。制御装置は、伝送された入力電気信号を受理し、受理した入力電気信号を入力数値に変換し、入力数値を分析して、入力数値が最適範囲内にあるかどうかを決定し、出力数値を発生させ、出力数値を出力電気信号に変換し、出力電気信号を伝送するように動作可能である。受信機は出力電気信号を受理し、出力数値が最適範囲内にない場合、プロセス流れへの組成物の流入速度の変化を引き起こすように動作可能であり、ここで、組成物は、システムと関連する特性を調節することができる。
【0014】
1つの実施形態では、記載される制御装置機能の1つ以上が、1つ以上のデータ収集装置に与えられ得る。
【0015】
本発明の利点は、1つ以上の重要なプロセス腐食制御化学薬品の連続した制御、手動の、多様な頻度最適化の現在の実施に対する改善を提供することである。
【0016】
本発明の別の利点は、腐食および汚損を減少させることにより、規格に合わない製品量を最小に抑えることにより、および廃油処理量を減少させることにより、最適効率を達成するための方法を提供することである。
【0017】
本発明の別の利点は、様々な型の原油スレート、例えば、チャレンジング原油の間での切り換えにより引き起こされる中断ならびにその結果としての腐食および汚損を効率的に最小に抑える、およびそのような切り換え中の腐食、中断および休止時間を最小に抑えるために自動化プロセスを提供することである。
【0018】
本発明のさらなる利点は、中断の大きさを測定し、中断の根本原因をより正確に識別するために連続データを提供することであり、例えば、中断中の腐食のスパイクによりシステムで形成される腐食副産物濃度の決定が挙げられる。
【0019】
本発明の追加の利点は、システム動作パラメータを迅速に安定化することにより原油スレートが変化された場合にシステム効率を最適化する方法を提供することである。
【0020】
本発明のさらに別の利点は、酸性原油を処理するために原油精油システムにおいて高価な精錬アップグレードを阻止するのを助ける腐食制御のレベルに導くデータを提供することである。
【0021】
追加の特徴および利点は本明細書で記載されており、下記詳細な説明、実施例、および図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】様々な原油装置構成要素およびシステムパラメータが測定される例示的な点を示す、本発明の1つの実施形態の線図である。
【図2】測定されたpHに基づき、システムへの中和剤(複数)の導入を制御する好ましい実施形態の流れ図である。
【図3】塩化物イオン濃度信号により駆動される、システムへの腐食剤(複数)の導入を制御するための本発明の1つの実施形態を示す図である。
【図4】鉄イオン濃度信号により駆動される、システムへの造膜阻害剤(複数)の導入を制御するための本発明の1つの実施形態を示す図である。
【図5】システムの任意の点で、1つ以上の腐食プローブまたは他の腐食モニタリング装置から誘導される腐食速度により駆動される、システムへの中和剤(複数)、腐食剤(複数)、および造膜阻害剤(複数)の導入のオーバーライドを制御するための本発明の1つの実施形態を示す図である。
【図6】原油装置からの実際のデータからの制御上限より上の塩化物濃度の多くのスパイクを示し、修正処置に拘束された場合、本発明の方法が、塩化物イオン濃度を安定化するためにどのように使用されるかを証明する。
【図7】実際の原油装置における時間と共に追跡されたpHおよび塩化物濃度値を示す図であり、これらの値を安定化させるために本発明の方法がどのように使用されるかを証明する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
原油装置プロセスの主構成要素の1つとして、腐食制御は、システム整合性を維持するのに極めて重要な役割を示す。本発明は、原油装置のプロセス流れにおいて1つ以上のシステムパラメータを最適化することにより原油装置の腐食制御構成要素を最適化する方法を提供する。この最適化は、プロセス流れにおけるそれらのパラメータと関連する特性を測定することを含む。
【0024】
本実施形態の腐食制御プログラムは、精油処理装置の腐食およびその後の腐食副産物の堆積による汚損を低減させるように設計される。典型的な腐食制御プログラムは、中和アミン、造膜阻害剤、腐食剤溶液、などの構成要素を含む。そのような腐食制御化学薬品は、従来、つかみ取りサンプルから誘導され、研究室で分析された測定値またはユニットに関するいくらかの流量表示に基づいてシステムに注入される。本実施形態はシステムへの化学薬品注入を調節する自動化方法を提供する。
【0025】
好ましい実施形態の方法は、情報を受理して処理し、様々な構成要素(例えば、化学薬品注入ポンプ)に命令を提供するように動作可能な制御装置を含む。「制御装置」という用語は、手動オペレータまたは、プロセッサ、記憶装置、デジタル記憶媒体、陰極線管、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、タッチスクリーン、または他のモニタなどの構成要素、および/または他の構成要素を有する電子装置を示す。制御装置は、好ましくは、1つ以上の特定用途向け集積回路、プログラム、コンピュータ実行可能な命令またはアルゴリズム、1つ以上の有線装置、無線装置、および/または1つ以上の機械装置との統合のために動作可能である。さらに、制御装置は、本発明のフィードバック、フィードフォーワード、または予測ループを統合するために動作可能である。制御装置システム機能のいくつかまたは全ては、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク、無線ネットワーク、インターネット接続、マイクロ波リンク、赤外線リンク、などによる通信のための、中心位置、例えばネットワークサーバに存在し得る。さらに、信号伝送および信号処理アルゴリズムを促進するために、他の構成要素、例えば信号コンディショナーまたはシステムモニタを包含させてもよい。
【0026】
好ましくは、制御装置は、システムパラメータと関連する任意の測定または予測された特性の優先順位を決めるために階層論理を含む。例えば、制御装置は、塩化物イオン濃度よりもシステムpH、またはその反対を優先するようにプログラムされ得る。そのような階層論理の目的は、システムパラメータの制御の改善を可能にすること、および円形制御ループを回避することであることが認識されるべきである。
【0027】
1つの実施形態では、方法は自動制御装置を含む。別の実施形態では、制御装置は手動または半手動である。例えば、原油精製プロセスがシステム内の様々なセンサから受理される1つ以上のデータセットを含む場合、制御装置が自動的に、どのデータ点/データセットをさらに処理するかを決定してもよく、またはオペレータが部分的に、もしくは完全にそのような決定をしてもよい。例えば、原油装置からのデータセットは、変数またはシステムパラメータ、例えば、酸化−還元電位、pH、ある化学薬品もしくはイオンのレベル(例えば、実験により、自動的に、蛍光により、電気化学的に、比色分析により決定され、直接測定され、計算される)、温度、圧力、プロセス流れ流速、溶解または懸濁固体などを含み得る。そのようなシステムパラメータは典型的には任意の型の適したデータ収集装置、例えばpHセンサ、イオンアナライザー、温度センサ、熱電対、圧力センサ、腐食プローブ、および/または任意の他の適した装置もしくは方法を用いて測定される。データ収集装置は好ましくは、制御装置と連通しており、他の実施形態によれば、制御装置により付与される拡張機能(例えば、本明細書で記載される制御アルゴリズムの任意の部分)を有し得る。
【0028】
測定されたパラメータまたは信号の化学ポンプ、警報器、または他のシステム構成要素へのデータ伝送は、任意の適した装置、例えば、有線または無線ネットワーク、ケーブル、デジタル加入者線、インターネット、などを用いて達成される。任意の適したインターフェース規格(複数)、例えばイーサネット(登録商標)インターフェース、無線インターフェース(例えば、IEEE 802.11a/b/g/x、802.16、ブルートゥース(Bluetooth)、光、赤外線、無線周波数、など)、ユニバーサル・シリアル・バス、電話ネットワーク、などおよびそのようなインターフェース/接続の組み合わせが使用され得る。本明細書で使用されるように、「ネットワーク」という用語は、これらのデータ伝送法の全てを含む。記載される装置のいずれか(例えば、プラントアーカイビングシステム、データ分析ステーション、データ収集装置、処理ステーションなど)は、上記または他の適したインターフェースまたは接続を用いて互いに接続され得る。
【0029】
1つの実施形態では、システムパラメータ情報は、システムから受理され、アーカイブされる。別の実施形態では、システムパラメータ情報は、タイムテーブルまたはスケジュールに従い処理される。さらなる実施形態では、システムパラメータ情報は実時間で/実質的に実時間で直ちに処置される。そのような実時間受理としては、例えば、コンピュータネットワークでの「ストリーミングデータ」が挙げられる。
【0030】
以下、図面を参照すると、図1は本発明の好ましい実施形態を示す図である。原油装置の特定の構成は本発明にとっては重要ではなく、図1は1つの可能な構成を示ししていることが認識されるべきである。図1は塔頂熱交換器列102、アキュムレータ104、蒸留塔106ならびにポンプアラウンド熱交換器108aおよび108bを含む原油装置の典型的な常圧蒸留塔システム100を示す。この実施形態では、露点水サンプルが示された点で獲得され、アキュムレータブート水のサンプルが図1の示された点で獲得される。これらのサンプルは、pH、塩化物イオン濃度、および鉄イオン濃度のシステムパラメータに対して測定、分析される。
【0031】
図1は、露点水サンプル点でのpH5.8および塩化物イオン93ppmの値、およびアキュムレータブートサンプル点でのそれぞれ、6.7および10の値、を示す。2つのサンプル点での測定値の差は、化学薬品注入を調節するための対応するアルゴリズムを要求する。pHおよび塩化物濃度を決定するための原油装置における好ましい位置は、通常蒸留塔の塔頂熱交換器から誘導される露点水サンプルである。露点水からpHを決定する別の利点は、pHプローブが遭遇する汚染物質のレベルが低く、ならびに固体粒子および油滴が少なく、汚染の頻度が低くなることである。「露点」という用語は、蒸気の水への最初の凝縮点または、蒸気が冷却するにつれ液体の水の相が水蒸気および液体炭化水素から分離し、液体の水を形成し始める温度を示す。pHおよび塩化物イオンレベルを測定するためにアキュムレータ水ブートを使用することは可能であるが、水露点の下流で凝縮する蒸気ならびに弱酸および塩基の全体積によりデータが希薄化されまたはマスクされるので、精度レベルが通常犠牲になる。
【0032】
好ましい実施形態では、露点水はpHおよび塩化物に対して分析される。露点水は典型的にはより清浄であり、より速い応答を提供し、これらのシステムパラメータのより正確な測定を有するので、pHおよび塩化物に対しては、塔頂アキュムレータ水よりも露点水を分析することが好都合である。試験は通常、これらの2つの位置に由来する水サンプル間の劇的な差を明らかにする。多くのユニット上で、露点塩化物濃度は数百ppmである可能性があるが、塔頂アキュムレータから得られた同様のサンプルは、同じ時に、10〜50ppmである可能性がある。例えば、露点水は5.8のpHおよび93ppmの塩化物イオン濃度を有する可能性があり、一方、同じユニットのアキュムレータブート水はそれぞれ、6.7および10の値を有する可能性がある。
【0033】
同様に、露点水から鉄(または他の金属類、例えば、銅、モリブデン、ニッケル、亜鉛)イオン濃度を測定することが可能である。鉄または他の金属イオン濃度を決定するための好ましい位置はアキュムレータ水ブートであり、というのも、これらのイオンが、腐食が起きたこと、金属がサンプル点の上流のシステム内の内部構成要素から除去されたことを示すからである。
【0034】
露点水サンプルを獲得するために任意の適した方法が使用され得ることが認識されるべきである。例えば、露点水サンプルを獲得するための装置が、「塔頂腐食シミュレータ(“Overhead Corrosion Simulator”)」と題する米国特許第4,335,072号および「プロセス流れの腐食活性をシミュレートするための腐食シミュレータおよび方法“Corrosion Simulator and Method for Simulating Corrosion Activity of a Process Stream,”」と題する同第5,425,267号で開示されており、それぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0035】
他の実施形態では、異なる流体もしくはシステムパラメータまたはシステム内に存在する他の構成成分を測定し/およびまたは分析することができる。代表的な測定パラメータまたは構成成分としては、pH、塩化物イオン、他の強および弱酸類、例えば硫酸、亜硫酸、チオ亜硫酸、二酸化炭素、硫化水素、有機酸類、アンモニア、様々なアミン類、および液体または固体堆積物が挙げられる。そのようなパラメータを測定する様々な方法が企図され、本発明は1つの特定の方法に限定されない。代表的な方法としては、「石油精製所における塔頂水のオンライン酸モニタおよび中和剤供給制御(“On−Line Acid Monitor and Neutralizer Feed Control of the Overhead Water in Oil Refineries”)」と題する米国特許第5,326,482号および、「流体流れ中の塩化物レベルをモニタするためのオンライン法(“On−Line Method for Monitoring Chloride Levels in a Fluid Stream”)」と題する同第5,324,665号、「石油精製所における塔頂水のオンライン酸モニタおよび中和剤供給制御(“On−Line Acid Monitor and Neutralizer Feed Control of the Overhead Water in Oil Refineries”)」と題する同第5,302,253号(それぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)において開示されるものが挙げられるが、それらに限定されない。
【0036】
測定されたシステムパラメータに応答して、図1は中和剤、造膜阻害剤(時として、本明細書では「フィルマー(filmer)」として示される)、および腐食剤のための例示的な導入点を示す。これらの点は、「酸またはpHに基づく中和剤」、「鉄に基づくフィルマー」、および「塩化物に基づく腐食剤」で表示される。そのような化学薬品はシステム内の任意の適した位置で添加され得るが、好ましくは図1で示された点で添加されることが認識されるべきである。この実施形態では、中和剤および造膜阻害剤が塔頂熱交換器列102の上流で添加され、腐食剤が常圧蒸留塔システム100の原油投入物中に添加される。好ましい実施形態によれば、そのような化学薬品のシステムへの導入は、連続して調節される。他の実施形態では、化学薬品導入は断続的に、または各個々のシステムに対して決定されるスケジュールに関連して調節される。
【0037】
中和剤(複数)、腐食剤(複数)、および造膜阻害剤(複数)は、任意の適した型の化学薬品供給ポンプを使用してシステムに導入され得る。最も一般的には、電気または空気圧による容積式注入ポンプが使用される。特殊化学薬品が十分に、かつ正確に高速移動するプロセス流れに注入されることを確保するために連続フローインジェクションポンプが時として使用される。任意の適したポンプまたは送達システムが使用され得るが、例示的なポンプおよびポンピング法としては、「定流容積式ポンピング装置を用いた処理化学薬品を注入するための方法(“Method for Injecting Treatment Chemicals Using a Constant Flow Positive Displacement Pumping Apparatus”)」と題する米国特許第5,066,199号および「定流容積式ポンピング装置を用いた処理化学薬品を注入するための改善された方法(“Improved Method for Injecting Treatment Chemicals Using a Constant Flow Positive Displacement Pumping Apparatus”)」と題する同第5,195,879号(それぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)において開示されているものが挙げられる。
【0038】
代表的な中和剤としては、3−メトキシプロピルアミン(MOPA)(CAS番号5332−73−0)、モノエタノールアミン(MEA)(CAS番号141−43−5)、N,N−ジメチルアミノエタノール(DMEA)(CAS番号108−01−0)、およびメトキシイソプロピルアミン(MIOPA)(CAS番号37143−54−7)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0039】
腐食剤としては、水酸化ナトリウムの希薄溶液が典型的には、取り扱いを容易にするために、かつ、例えば、原油、または脱塩装置洗浄水中に注入された時点での分配を増強するために、5から10%までの濃度(7.5から14°ボーメまで)で調製される。濃度は周囲条件に従い、例えば、寒冷地での凝固点に対して調節され得る。
【0040】
原油装置腐食制御プログラムにおいて本発明と共に使用される造膜阻害剤またはフィルマーは典型的には、アミド類とイミダゾリン類の油溶性ブレンドである。これらの化合物は、水を運搬するシステムにおける炭化水素類の能力への影響を最小に抑えて良好な腐食制御を提供する。
【0041】
図2は、方法200で表示される、測定されたpHに基づきシステムへの中和剤(複数)の導入を制御する好ましい実施形態の流れ図を示す。ステップ202は、露点(またはアキュムレータ)水のpHに関連する情報を提供する測定装置またはアナライザーを表す。ステップ204で示されるように、アナライザー(例えば、制御装置またはオペレーター)はpHが最適範囲(この例では、5.8から6.0)内にあるかどうかを決定する。pHが予め決められた最適範囲内にある場合、論理は「はい」経路に従い、測定および分析を続行する。pHがこの範囲内にない場合、方法は、ステップ206により表されるようにpHが5.8より低いか、またはステップ208により表されるように6.0より高いかを決定する工程を含む。pHが5.8より低い場合、方法はステップ210により示されるように、中和剤ポンプを、例えば、5%または10%増加させる工程を含む。pHが6.0より高い場合、方法はステップ212により示されるように、中和剤ポンプを、例えば、5%または10%減少させる工程を含む。
【0042】
適したpH制御または最適範囲はそれぞれの各システムに対して決定されるべきであることが認識されるべきである。1つのシステムに対する最適範囲は、別のシステムに対するものとはかなり異なり得る。任意の可能な最適pH範囲を含むことは本発明の概念の範囲内である。
【0043】
異なる実施形態では、中和剤ポンプの変更は頻度が制限されている。好ましくは、調節限界は、最大15分あたり1回で設定されており、同じ向きでの連続調節は8を超えてはならない。例えば、合計8回の調節または50%もしくは100%の変更後、ポンプはある一定時間(例えば、2または4時間)一時停止され、警報が鳴らされ得る。そのような状況に遭遇した場合、オペレータに警告するために警報を鳴らすことが好都合である。他の限界、例えば最大ポンプ出力もまた、実行され得る。制限なく、任意の向きで任意の数の調節を引き起こすことは本発明の範囲内にあることが認識されるべきである。そのような限界はオペレータにより決定されるように適用される。
【0044】
図3は、本発明の1つの実施形態を、塩化物イオン濃度信号により駆動されるシステム中への腐食剤(複数)の導入を制御するための方法300として示す図である。ステップ302は、露点水の塩化物イオン濃度に関連する情報を提供する測定装置またはアナライザーを表す。ステップ304で示されるように、アナライザー(例えば、制御装置またはオペレーター)は塩化物イオン濃度が最適範囲(この例では、50から100ppmまで)内にあるかどうかを決定する。塩化物イオン濃度が予め決められた最適範囲内にある場合、論理は「はい」経路に従い、測定および分析を続行する。塩化物イオン濃度がこの範囲内にない場合、方法は、ステップ306により表されるように塩化物イオン濃度が50ppmより低いか、またはステップ308により表されるように100ppmより高いかを決定する工程を含む。塩化物イオン濃度が50ppmより低い場合、方法はステップ310により示されるように、腐食剤ポンプを、例えば、20%減少させる工程を含む。塩化物イオン濃度が100ppmより高い場合、方法はステップ312により示されるように、腐食剤ポンプを、例えば、20%増加させる工程を含む。
【0045】
適したまたは最適な塩化物イオン濃度範囲はそれぞれの各システムに対して決定されるべきであることが認識されるべきである。1つのシステムに対する最適範囲は、別のシステムに対するものとはかなり異なり得る。任意の可能な最適塩化物イオン濃度範囲を含むことは本発明の概念の範囲内である。
【0046】
異なる実施形態では、腐食剤ポンプの変更は頻度が制限されている。好ましくは、調節限界は、最大30分あたり1回で設定されており、同じ向きでの連続調節は4を超えてはならない。例えば、合計4回の調節または50%もしくは100%の変更後、ポンプはある一定時間(例えば、2または4時間)一時停止され、警報が鳴らされ得る。そのような状況に遭遇した場合、オペレータに警告するために警報を鳴らすことが好都合である。他の限界、例えば最大ポンプ出力またはシステムへの最大ナトリウム寄与もまた、実行され得る。制限なく、任意の向きで任意の数の調節を引き起こすことは本発明の範囲内にあることが認識されるべきである。そのような限界はオペレータにより決定されるように適用される。
【0047】
図4は、本発明の1つの実施形態を、鉄イオン濃度信号により駆動されるシステム中への造膜阻害剤の導入を制御するための方法400として示す図である。他の金属、例えばモネル、チタン、黄銅などがいくつかのシステムで使用され得る。これらの場合においては、鉄イオン濃度信号よりむしろ、適切な金属イオン(例えば、銅、ニッケル、亜鉛など)濃度信号が検出され、分析される。ステップ402は、アキュムレータブート水の鉄イオン濃度に関連する情報を提供する測定装置またはアナライザーを表す。ステップ404で示されるように、アナライザー(例えば、制御装置またはオペレーター)は鉄イオン濃度が最適範囲(この例では、0.05から1.0ppmまで)内にあるかどうかを決定する。鉄イオン濃度が予め決められた最適範囲内にある場合、論理は「はい」経路に従い、測定および分析を続行する。鉄イオン濃度がこの範囲内にない場合、方法は、ステップ406により表されるように鉄イオン濃度が0.05ppmより低いか、またはステップ408により表されるように1.0ppmより高いかを決定する工程を含む。鉄イオン濃度が0.05ppmより低い場合、方法はステップ410により示されるように、造膜阻害剤(すなわち、フィルマー)ポンプを、例えば、5%減少させる工程を含む。鉄イオン濃度が1.0ppmより高い場合、方法はステップ412により示されるように、フィルマーポンプを、例えば、5%増加させる工程を含む。
【0048】
金属イオンは一般に2つ以上の酸化状態で存在する。例えば、鉄はFe2+およびFe3+で存在し、同様に、溶解状態(イオンおよび微粒子)、不溶状態(すなわち、濾過可能)などで存在する。金属イオンの分析および制御は、システム中に存在するそのような順列のいずれか(または全て)の組み合わせの測定または予測を含む。
【0049】
異なる実施形態では、造膜阻害剤ポンプの変更は頻度が制限されている。好ましくは、調節限界は、最大30分あたり1回で設定されており、同じ向きでの連続調節は4を超えてはならない。例えば、合計4回の調節または50%もしくは100%の変更後、ポンプはある一定時間(例えば、2または4時間)一時停止され、警報が鳴らされ得る。そのような状況に遭遇した場合、オペレータに警告するために警報を鳴らすことが好都合である。他の限界、例えば最大ポンプ出力もまた、実行され得る。制限なく、任意の向きで任意の数の調節を引き起こすことは本発明の範囲内にあることが認識されるべきである。そのような限界はオペレータにより決定されるように適用される。
【0050】
図5は、本発明の1つの実施形態を、システム中の任意の点の1つ以上の腐食プローブまたは他の腐食速度感知装置から誘導された腐食速度により駆動されるシステム中への、中和剤(複数)、腐食剤(複数)、およびフィルマーの導入のオーバーライドを制御するための方法500として示す図である。ほとんどの原油装置が、塔頂熱交換器の入口および/または出口に配置された電気抵抗型腐食プローブを使用する。任意の型の腐食感知装置が企図されるが、上記の型が好ましい。
【0051】
ステップ502は、システム中の腐食速度に関連する情報を提供する1つ以上の腐食プローブを示す。ステップ504で示されるように、アナライザー(例えば、制御装置またはオペレーター)は腐食速度が予め決められた速度(この例では25mpy)よりも大きいかどうかを決定する。実用的な腐食速度は典型的にはケースバイケースで熟練した技術者により決定され、多数のシステム因子に依存する。腐食速度が予め決められた許容される速度より小さい場合、論理は「いいえ」経路に従い、測定および分析を続行する。腐食速度が予め決められた許容される速度を超える場合、方法は、ステップ506により示されるように、全ての他のプログラミングをオーバーライドさせ、警報を鳴らす工程を含む。他の実施形態では、オーバーライドではなくむしろ、他のプログラミングがオペレータまたは制御装置により決定されるように修正され得る。この例では、オーバーライドは、ステップ508により示されるように、中和剤、腐食剤およびフィルマーポンプ速度を、例えば20%増加させる工程を含む。他の実施形態では、ポンプ速度は、オペレータまたは制御装置により決定されるように個々に変更される。
【0052】
腐食プローブ(例えば、電気抵抗腐食プローブ、直線分極プローブ、および/または金属損失を決定するための任意の他の適した方法)は、システム内の任意の好都合な位置に配置することができ、好ましくは、システム内の歴史的に信頼できる位置に配置される。さらに、例えば、2つのオーバーライドが12時間の期間にわたって活性化される場合、確実に、腐食プローブが適正に動作するように信頼性チェックが典型的には開始される。そのような状況に遭遇した場合、オペレータに警告するために警報を鳴らすことが好都合である。他の制限、例えば最大ポンプ出力もまた実行され得る。制限なく、任意の向きで任意の数の調節を引き起こすことは本発明の範囲内にあることが認識されるべきである。そのような限界はオペレータにより決定されるように適用される。
【0053】
前記は下記の実施例を参照することにより、よりよく理解することができ、これらの実施例は例示目的のためのものであり、本発明を制限することを意図しない。
【実施例】
【0054】
(実施例1)
本発明の例示的な実施形態は、露点水サンプリング装置からの水サンプルを受理する防爆ボックス内のオンラインアナライザーのクラスターから構成される。これらのアナライザーにより生成されるデータは、適切に調整され、制御信号が様々なプロセス化学薬品注入ポンプに送られる。当業者によりプログラミングされたプログラマブル論理制御装置(PLC)が生データをポンプ制御信号に変換する。典型的なシステムは1つ以上の下記構成要素、塩化物アナライザー、鉄アナライザー、腐食速度モニタリング装置、導電率、pH計、露点水サンプル装置、クラスI、Div II防爆筐体、複数の入力/出力が可能なPLC、塩化物、pHおよび鉄データをポンプ速度制御に変換するための論理プログラミング、ならびにPLCからポンプまでの無線または有線接続を含む。
【0055】
(実施例2)
本発明の例示的な実施形態は、塩化物イオン濃度、pH、および鉄イオン濃度の3つの試験パラメータの各々に対する制御の改善を提供する。これらの3つの中で、塩化物は、適正に制御されなければ、通常最も損害を与える。図6のグラフは、どのようにして、本発明が塩化物濃度の制御を改善することができるかを証明する(点線が最適濃度を示す)。本発明の方法によるより良好な制御の同様な概念がpH、鉄イオン濃度および他のシステムパラメータに当てはまり、最終的には腐食速度が前のレベルから低減され、装置の連続運転時間が延長される。
【0056】
図6は原油装置からの実際のデータからの制御上限を超える塩化物濃度の多くのスパイクを示す。塩化物スパイクは装置に損害を与え、データの事後検査は、これらのエピソード中の腐食および汚損の増加を明らかにするであろう。そのようなスパイクは、原油スレートがチャレンジングまたはオポチュニティ原油に切り換えられた場合により頻繁になり、与える損害が大きくなる。塩化物イオン濃度の増加は通常、処理装置の腐食および腐食副産物の堆積によるその後の汚損の同時増加を併発する。「制御の実行」と表示された図6のグラフの部分は、中断を最小に抑える(または排除する)ためにより頻繁にデータを使用することができる場合、どのように、本発明の方法が使用されて、塩化物イオン濃度が安定化されるかを証明する。
【0057】
(実施例3)
図7のグラフは、実際の原油装置に対する時間と共に追跡されたpHおよび塩化物濃度を示す(点線は最適濃度を示す)。pH値の急降下は通常、塩化物イオン濃度の上方スパイクと同時に生じることが見られる。そのようなpHの急降下により、典型的には、熱交換器の腐食およびその後の汚損(腐食副産物による)が増加する。「制御の実行」と表示されたグラフの部分は、どのように、本発明の方法が使用されて、塩化物イオン濃度およびpHが安定化され、よってシステム内の腐食および汚損が低減されるかを証明する。流入塩化物値の変動を平滑化すると、より厳格なpH制御およびより安定で、予測可能な化学薬品使用が可能になる。
【0058】
本明細書で記載される現在好ましい実施形態に対する様々な変更および改変は当業者には明らかであることが理解されるべきである。そのような変更および改変は本発明の精神および範囲から逸脱せずに、その所期の利点を損なうことなく実施することができる。そのため、そのような変更および改変は添付の特許請求の範囲に含まれることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原油装置において腐食および/または腐食副産物堆積を低減させるために、前記原油装置のプロセス流れにおけるシステムパラメータを最適化する方法であって、
(a)前記原油装置内の1つ以上の点で、前記システムパラメータに関連する特性を測定および/または予測する工程と、
(b)前記測定および/または予測された特性に関連する最適範囲を決定し、前記最適範囲は任意でユーザにより規定される、工程と、
(c)前記測定および/または予測された特性がその特性に関連する前記最適範囲外にある場合、前記プロセス流れへの組成物の流入の変化を引き起こし、前記組成物は、前記測定および/または予測された特性を前記最適範囲内に入れるように前記システムパラメータと関連する前記特性を調節することができる、工程と、
(d)任意で、(i)前記測定された特性を制御装置に伝送させることができる入力電気信号に変換し、かつ(ii)前記入力電気信号を前記制御装置に伝送する工程と、
(e)任意で、複数の異なるシステムパラメータに対し工程(a)から(d)を繰り返し、異なるシステムパラメータはそれぞれ、特有の関連特性を有する工程と、
を含む。方法。
【請求項2】
無線インターフェースを使用して、信号を伝送および/または受理する工程をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記制御装置は、(i)前記伝送された入力電気信号を受理し、(ii)前記受理した電気信号を入力数値に変換し、(iii)前記入力数値を分析し、(iv)出力数値を発生させ、(v)前記出力数値を出力電気信号に変換し、および(vi)前記出力電気信号を伝送するように動作可能である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記制御装置は、(i)前記入力数値を分析し、および(ii)前記入力数値が前記測定された特性と関連する前記最適範囲に対応するかどうかを決定するように動作可能である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記入力数値が前記最適範囲に対応しない場合、前記伝送された出力電気信号は前記プロセス流れへの前記組成物の流入の変化を引き起こし、前記組成物は、前記入力数値を前記最適入力範囲に対応させるように前記システムパラメータと関連する前記特性を調節することができる、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記システムパラメータを連続して、または断続的に測定および/または予測する工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
実時間で前記システムパラメータをモニタする工程を含む、請求項1記載の方法。
請求項1記載の方法。
【請求項8】
複数の異なる組成物を含み、1つ以上の前記異なる組成物の前記プロセス流れへの流入は、集合的に、および/または個々に、前記システムパラメータと関連する特性を調節することができる、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記複数の異なるシステムパラメータは、pH、塩化物イオン濃度、鉄イオン濃度、非鉄金属イオン濃度、腐食速度、およびそれらに組み合わせからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記原油装置は、少なくとも1つの熱交換器を備えた常圧塔を含む複数の構成要素を有し、前記pHおよび塩化物イオン濃度は前記原油装置内の露点水サンプルおよび/またはアキュムレータブート水サンプルから誘導され、前記鉄イオン濃度および前記非鉄金属イオン濃度は前記原油装置内の前記アキュムレータブート水サンプルから誘導される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
オンラインの、任意で自動化されたサンプリング装置を用いて前記露点水サンプルおよび/または前記ブート水サンプルを獲得する工程を含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記方法を連続して、自動的に、およびオンラインで、またはバッチを基本として動作させる工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
ネットワークで前記方法を動作させる工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
その上に保存されたコンピュータで実行可能な命令、請求項1記載の方法を実行するように動作可能な命令を有するデジカル記憶媒体。
【請求項15】
原油装置において腐食および/または腐食副産物堆積を低減させるために、原油装置のプロセス流れにおけるシステムパラメータを最適化するためのシステムであって、
(a)前記システムパラメータと関連する特性を感知および/または予測し、前記特性を伝送させることができる入力電気信号に変換するように動作可能な感知装置と、
(b)前記入力電気信号を伝送するように動作可能な送信機と、
(c)前記伝送された入力電気信号を受理し、前記受理した入力電気信号を入力数値に変換し、前記入力数値を分析し、前記分析された値が最適範囲内にあるかどうかを決定し、前記分析された値に基づき出力数値を発生させ、前記出力数値を出力電気信号に変換し、前記出力電気信号を伝送するように動作可能な制御装置と、
(d)前記出力電気信号を受理し、前記出力信号が前記最適範囲内にない場合、前記プロセス流れへの組成物の流入速度の変化を引き起こすように動作可能であり、前記組成物は、前記システムと関連する特性を調節することができる、受信機と、
を備える、システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−507612(P2012−507612A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−534865(P2011−534865)
【出願日】平成21年11月3日(2009.11.3)
【国際出願番号】PCT/US2009/063028
【国際公開番号】WO2010/062728
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(507248837)ナルコ カンパニー (91)
【Fターム(参考)】