説明

原稿搬送装置

【課題】外側ガイドを開けたときに内側ガイドが自動的に開いて内側ガイドが開閉可能かを判別し易くし、ジャム解除の操作性を改善する。
【解決手段】原稿搬送装置は、外側ガイド部と対向配置され、かつシート状原稿が搬送される搬送経路の一部を構成する内側ガイド部と、前記内側ガイド部を軸周りに回転可能にするヒンジ部と、前記内側ガイド部に搬送経路を間に介して対向配置される駆動ローラと、前記ヒンジ部の回転軸と前記駆動ローラの回転軸とを結んだ直線上に回転軸が配置され、かつ前記駆動ローラと共に前記原稿を挟みながら搬送するプレスローラと、前記ヒンジ部の回転軸と前記駆動ローラの回転軸とを結んだ直線上よりも前記内側ガイド部が開放される方向の側から前記プレスローラを押圧する押圧部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状原稿を読み取り可能にするための原稿搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
かかる原稿搬送装置として、ラインセンサー等を有する原稿読取部に向けてシート状原稿を自動搬送する原稿搬送装置があげられる。このような原稿搬送装置は、複写機や、複写機の機能に加えてスキャナー機能やファクシミリ機能を備えたデジタル複合機に設けられている。かかる複写機やデジタル複合機では、シート状原稿の片面あるいは表裏両面を読み取る機能を備えたものがある。シート状原稿の裏表両面を読み取る機能を備えた複写機やデジタル複合機において、原稿読取部を1つだけ設ける構成の場合は、シート状原稿を搬送するための搬送経路や搬送機構について、工夫が必要である。
【0003】
例えば、給紙部から送りだされた原稿をその表面が読み取られるように読取位置に搬送するための搬送経路と、読取位置から原稿の裏面を読み取らせるために、表裏反転させた原稿を読取位置に搬送するためのループ状の搬送経路と、裏面が読み取られた原稿を排紙部へ搬送するための搬送経路とを備えた原稿搬送装置がある。この原稿搬送装置において、搬送経路に原稿が搬送詰り(ジャム)した場合には、それぞれの搬送経路を構成している搬送路ガイドをユーザが手動で開けて、搬送詰り原稿(ジャム原稿)を取り除いていた。
【0004】
しかしながら、上記のように搬送経路が複雑な機構では、機械内側の搬送経路を構成する内側ガイドをユーザが開閉可能かどうかを判別しにくく、また開閉動作も容易ではない。
【0005】
また、両面搬送路で紙ジャムが発生した場合に、前カバーを操作して外側搬送部材を筐体の外部に引き出し、連結レバーの作用で内側搬送部材も僅かに外側に移動させる機構の画像形成装置がある(特許文献1参照)。しかしながら、この特許文献1では、連結レバーという特殊な部材を用いているため、このような部材を必要としない構成が望まれる。
【0006】
また、シート状原稿の片面を読み取る機能を備えた複写機やデジタル複合機に用いられる原稿搬送装置でも同様に、機械内側の搬送経路を構成する内側ガイドをユーザが開閉可能かどうかを判別しにくく、また開閉動作も容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−58449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、機械内側の搬送経路を構成する内側ガイドが開閉可能かどうかを判別し易く、また、開閉動作が行いやすい機械外側の外側ガイドを開けたときに内側ガイドが自動的に開いてジャム解除時の操作性を向上可能な原稿搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため本発明に係る原稿搬送装置は、
外側ガイド部と、
前記外側ガイド部と対向配置され、かつシート状原稿が搬送される搬送経路の一部を構成する内側ガイド部と、
前記内側ガイド部を軸周りに回転可能にするヒンジ部と、
前記内側ガイド部に搬送経路を間に介して対向配置される駆動ローラと、
前記ヒンジ部の回転軸と前記駆動ローラの回転軸とを結んだ直線上に配置される回転軸を有し、かつ前記駆動ローラと共に前記原稿を挟みながら搬送するプレスローラと、
前記ヒンジ部の回転軸と前記駆動ローラの回転軸とを結んだ直線上よりも前記内側ガイド部が開放される方向の側から前記プレスローラを押圧する押圧部と、を備える。
【0010】
かかる構成では、ヒンジ部、プレスローラ、および駆動ローラのそれぞれの回転軸が直線上に配置され、かつ押圧部がこの直線上よりも内側ガイド部が開放される方向の側からプレスローラを押圧していることで、外側ガイド部を開閉したときに内側ガイド部が自動的に開放される。
【0011】
内側ガイド部が自動的に開放されるメカニズムについて図9、10を参照しながら説明する。図9は、本発明の内側ガイド部91、ヒンジ部92、駆動ローラ93、プレスローラ94、押圧部95の配置例を示す。ヒンジ部92の回転軸92a、プレスローラ94の回転軸94aおよび駆動ローラ93の回転軸93aが、一点鎖線で示す直線L上に配置され、押圧部95がこの直線Lよりも内側ガイド部91が開放される方向(矢印96)の側(図9において直線Lよりも上側)からプレスローラ94の回転軸94aを押圧するように配置される。図10にそれらの力関係を示す。図10において、押圧部95の押圧力M1がプレスローラ94の回転軸94aに与えられている。このとき、プレスローラ94の押圧方向がオフセットしていることにより、駆動ローラ93にかかる力M2の反力として、駆動ローラ93からの反力M3が発生する。この反力M3は非回転成分M4と回転成分M5とからなり、この回転成分M5が図10において上方に向いていることで、内側ガイド部91がヒンジ部92の回転軸92a周りに回転し、矢印96の方向に開く。
【0012】
以上の記載のとおり、通常時は、対向配置される外側ガイド部によって内側ガイド部が押さえつけられている状態になっているが、例えば、ジャム解除操作において、外側ガイドを開けたときに、内側ガイド部が自動的に開いて、プレスローラと駆動ローラとのニップが解除される。よって、本発明によれば、外側ガイド部が開いたときに内側ガイド部が自動的に開くようにして、内側ガイド部が開閉可能か否かを判別し易くし、かつ、ジャム解除時の操作性を向上させることができる。
【0013】
上記発明の一実施形態において、前記押圧部は、前記プレスローラを前記駆動ローラへ押圧する構成である。
【0014】
この構成によれば、押圧部が、プレスローラを駆動ローラに付勢させるための押圧力を同時に与えることができ、プレスローラを駆動ローラへ付勢させるための押圧部材を別途必要としないため、部材コスト、装置構成を簡素化できる。
【0015】
上記発明の一実施形態において、前記押圧部がバネを有し、前記バネが前記プレスローラの回転軸を押す構成である。
【0016】
上記発明において、ヒンジ部の回転軸、プレスローラの回転軸および駆動ローラの回転軸を結ぶ直線(図10の直線L)が、略水平であることが好ましい。既に述べた反力の回転成分M5が真上方向に向くため、内側ガイド部を上方向に動かす力が大きくなるからである。
【0017】
上記発明の一実施形態において、前記外側ガイド部と対向配置される搬送路カバー部をさらに備え、前記搬送路カバー部および前記外側ガイド部を開放させたときに、前記内側ガイド部が自動的に開放される。この構成では、例えば、搬送路カバーを開けた後に外側ガイド部を開けることで、内側ガイド部を自動的に開放させることができる。かかる構成の場合に、搬送路カバーのフック部が装置本体の被フック部に係止する構成が例示される。
【0018】
また、上記発明の一実施形態として、原稿搬送装置部は、シート状原稿の原稿面を読み取るための原稿読取部と、前記原稿読取部の読取位置の一方側に設けられ、前記原稿の第1面を読み取れるように前記読取位置へ前記原稿を給紙部から導入するための第1搬送経路と、前記読取位置の他方側に設けられ、前記原稿の第2面を読み取れるように前記原稿を前記読取位置へ導入するためのループ状の第2搬送経路と、前記原稿の第2面を読み取った後に、前記原稿を排紙部へ排出するための第3搬送経路とを備える。
【0019】
また、上記実施形態として、原稿が載置される給紙部と、前記給紙部から原稿を1枚ずつ搬送路下流へ搬送させるための複数のローラおよび分離パッドと、原稿を前記読取位置へ送りだすための第1搬送ローラ部と、前記読取位置手前に配置される第2搬送ローラ部と、前記読取位置を通過した原稿を第2搬送経路へ導入するための第3搬送ローラ部と、前記原稿をループ状搬送路へ送り出すための第4搬送ローラ部と、前記ループ状搬送路で反転された原稿を前記読取位置へ戻すための第5搬送ローラ部と、を備え、
前記第1搬送ローラ部、第3搬送ローラ部、第5搬送ローラ部のそれぞれが、単一の駆動ローラとこれに連動回転する第1従動ローラ及び第2従動ローラとを備えた3連ローラ機構であって、前記駆動ローラが一方向回転駆動し、
前記第2搬送ローラ部が、単一の駆動ローラとこれに連動回転する単一の従動ローラとを備え、正逆双方向回転駆動し、
前記第4搬送ローラ部が、単一の駆動ローラとこれに連動回転する単一の従動ローラとを備え、一方向回転駆動する構成がある。
【0020】
この構成では、給紙部から原稿が1枚ずつピックアップされて、第1搬送ローラ部(駆動ローラおよび第1従動ローラ)で送り出され、次いで第2搬送ローラ部の正回転駆動で原稿が読取位置へ送り出され、原稿の第1面(表面)が読み取られる。給紙部から読取位置に至る搬送経路が第1搬送経路に相当する(図5のR1参照)。読取位置を通過した原稿は、第3搬送ローラ部(駆動ローラおよびプレスローラ(第1従動ローラ))で送り出され、第4搬送ローラ部でループ状搬送路へ送り出され、ループ状搬送路を通過して反転された原稿が第5搬送ローラ部(駆動ローラおよび第1従動ローラ)および第3搬送ローラ部(駆動ローラおよび第2従動ローラ)で読取位置へ再び送り出される。読取位置からループ状搬送路を通過して再び読取位置に至る搬送経路が第2搬送経路に相当する(図6のR2参照)。再び読取位置を通過した原稿は、第2搬送ローラ部の逆回転駆動で送り出され、次いで第1駆動ローラ部(駆動ローラおよび第2従動ローラ)および第4搬送ローラ部で送りだされ、最後に第5搬送ローラ部(駆動ローラおよび第2従動ローラ)で排紙部へ排出される。読取位置から排紙部に至る搬送経路が第3搬送経路に相当する(図7のR3参照)。なお、第2搬送ローラ部における「正回転」は駆動ローラが左回り回転する方向である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る原稿搬送装置が用いられたデジタル複合機の外観を示す斜視図
【図2】イメージスキャナ装置の構成を示す正面断面図
【図3】搬送路カバーを開けた状態を示す正面断面図
【図4】外側カバーを開けた状態を示す正面断面図
【図5】第1搬送経路を説明する模式図
【図6】第2搬送経路を説明する模式図
【図7】第3搬送経路を説明する模式図
【図8】第4搬送経路を説明する模式図
【図9】内側ガイド部、ヒンジ部、駆動ローラ、プレスローラ、押圧部の配置例の図
【図10】図9の配置における力関係を示す図
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係る原稿搬送装置の好適な実施形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明に係る原稿搬送装置が用いられたデジタル複合機の外観を示す斜視図である。
【0023】
<複合機の全体構成>
複合機1は、コピー機能及びファクシミリ機能を備えており、イメージスキャナ装置(原稿読取装置)11を複合機1の上部に備えている。また、複合機1は、コピー部数、ファクシミリ送信先及び原稿読み取り等を指示するための操作パネル12を備えている。
【0024】
さらに、複合機1は、記録媒体としての用紙に画像を形成する画像形成部等を内蔵した複合機本体13と、用紙を順次供給する給紙カセット14と、を備えている。なお、複合機本体13は、通信回線を介して画像情報を伝送するための不図示の送受信部等を備えている。
【0025】
次に、図2を参照して、複合機1が備えるイメージスキャナ装置11について説明する。図2は、イメージスキャナ装置11の構成を示す正面断面図である。なお、本実施形態における正面図は、搬送されるシート状原稿の幅方向から見た図に相当する。
【0026】
図2に示すように、イメージスキャナ装置11は、原稿台カバー21と、プラテンガラス22と、コンタクトガラス23と、を備えている。この原稿台カバー21には、原稿搬送装置24が備えられている。また、イメージスキャナ装置11は、プラテンガラス22及びコンタクトガラス23の下方に、原稿Pの画像情報を読み取るためのスキャナーユニット25を備えている。
【0027】
スキャナーユニット25は、原稿台の内部で左右方向に移動可能なキャリッジ110を備えている。このキャリッジ110には、光源111と、複数の反射ミラー112と、集光レンズ113と、CCD114と、が配置されている。光源111は、読み取り原稿に対して光を照射し、読み取り原稿からの反射光は、複数の反射ミラー112で反射した後、集光レンズ113を透過および収束してCCD114において結像される。そして、CCD114は、入射された収束光を電気信号に変換して出力する。
【0028】
また、原稿台カバー21が備える原稿搬送装置24は、図2に示すように、当該原稿台カバー21の上部に設けられた給紙トレイ(給紙部に相当する)52と、この給紙トレイ52の下方に設けられた排紙トレイ(排紙部に相当する)53とを備える。また、原稿搬送装置24の内部には、給紙トレイ52と排紙トレイ53をと連結する原稿搬送経路R1、R2、R3が形成されている。第1、第2、第3原稿搬送経路R1,R2,R3のそれぞれを図5、図6、図7に示す。
【0029】
ユーザが図1に示す操作パネル12(表示部に相当)を操作して、イメージスキャナ装置11をオートドキュメントフィードスキャナとして使用するように指示すれば、給紙トレイ52に重ねてセットされた原稿Pが、第1原稿搬送経路R1に沿って1枚ずつ搬送される(図5)。そして、第1原稿搬送経路R1に沿って搬送される原稿Pがコンタクトガラス23のガラス面(読取位置)を通過するときに、この原稿Pの第1面の画像情報がスキャナーユニット25によって読み取られる。その後、原稿Pは、第2原稿搬送経路R2に沿って搬送されて、再び読取位置に戻り、原稿の第2面が読み取られる(図6)。その後、原稿Pは、第3原稿搬送経路R3に沿って搬送されて排紙トレイ53へ排出される(図7)。ここでは原稿の両面を読み取る場合について説明したが、片面のみを読み取る場合には、第1原稿搬送経路R1の後、図8に示す第4原稿搬送経路R4に沿って原稿が排出される。
【0030】
一方、イメージスキャナ装置11をブックスキャナとして使用する場合は、読み取るべき原稿をユーザがプラテンガラス22上に載置する。そして、原稿搬送装置24の下部に配置されたプラテンシート51によって、原稿を上側から押圧して、動かないように固定する。この状態で、キャリッジ110が左右方向に移動しながらスキャナーユニット25が読み取りを行うことで、原稿の画像情報が読み取られる。
【0031】
<原稿搬送装置の詳細構成>
次に、原稿搬送装置24の内部の構成を詳細に説明する。なお、以下の説明において、正面視で給紙トレイ52がある側を単に「右側」と称し、正面視におけるその反対側を単に「左側」と称することがある。
【0032】
次に各原稿搬送経路に配置される搬送ローラ部について説明する。第1原稿搬送経路R1には、上流側から順に、ピックアップローラ30と、分離ローラ31と、三連ローラ33と、搬送ローラ34とが配置されている。ピックアップローラ30は、分離ローラ31の回転軸を中心にして回動可能に構成されており、原稿搬送装置24の非動作時においては、図2における上側にピックアップローラ30が保持されている。一方、原稿Pを繰り込む際はピックアップローラ30が下方に回動し、給紙トレイ52に重ねてセットされている原稿Pのうち、最上層にある原稿Pの端部に接触する。この状態でピックアップローラ30が回転することによって、給紙トレイ52の最上層の原稿Pが分離ローラ31へ搬送される。
【0033】
ピックアップローラ30の駆動によって分離ローラ31へ送られた原稿Pは、回転駆動する分離ローラ31によって1枚ずつ分離された後に、下流側に配置された3連ローラ33へ搬送される。分離ローラ31は、それと対向する分離パッド311によって原稿を1枚ずつ分離できる機構である。
【0034】
三連ローラ33は、中央に配置される駆動ローラ331と、この駆動ローラ331を挟持するように上下に配置される従動ローラ332,333とで構成されている。原稿Pは、駆動ローラ331とその上方に配置される従動ローラ332の間を通過して左斜め下方へ搬送される。三連ローラ33を通過した原稿Pは、下流側に配置された搬送ローラ34へ搬送される。なお、駆動ローラ331の下方に配置される従動ローラ333は、従動ローラ332と回転方向が同一となっており、駆動ローラ331と従動ローラ333との間を通過する原稿Pを右側へ搬送することができる(第3原稿搬送経路R3である)。
【0035】
搬送ローラ34は、対向する従動ローラ341と共に原稿Pをニップして回転することで、この原稿Pを右斜め下側(読取位置)へ搬送する。そして、原稿Pが読取位置を通過するときに、スキャナーユニット25によって第1面(表面)の画像情報が読み取られる。なお、この搬送ローラ34は、回転方向を切り換え可能に構成されており、逆方向に回転することで、原稿Pを左斜め上方向(三連ローラ33側)へ搬送することができる(第3原稿搬送経路R3である)。
【0036】
<片面用排出経路>
次に、片面用排出経路R4(第4原稿搬送経路)について説明する。片面用排出経路R4には、上流側から順に、三連ローラ35と、搬送ローラ36と、三連ローラ38とが配置されている。以下、上流側から下流側の順で、片面用排出経路R4の経路上に配置される各部の構成について説明する。
【0037】
読取位置のやや下流側には、上下に分岐する箇所があり、この分岐箇所の近傍には、三連ローラ35が配置されている。この三連ローラ35は、中央に配置される駆動ローラ351と、駆動ローラ351を挟持するように上下に配置される従動ローラ352,353とで構成されている(従動ローラ352はプレスローラに相当する)。スキャナーユニット25によって画像情報が読み取られた原稿Pは、駆動ローラ351とその上方に配置される従動ローラ352との間を通過して右斜め上側へ搬送される。この三連ローラ35を通過した原稿Pは、下流側に配置された搬送ローラ36および従動ローラ361によって、この搬送ローラ36の右斜め下側に位置する三連ローラ38へ搬送される。この三連ローラ38は、中央に配置される駆動ローラ381と、駆動ローラ381を挟持するように上下に配置される従動ローラ382,383とで構成されている。原稿Pは、駆動ローラ381とその下方に配置される従動ローラ383との間を通過して右側の排紙トレイ53へ排出される。
【0038】
<両面読み取り>
次に、原稿Pの両面を読み取るときの経路について説明する。図6は、第2原稿搬送経路R2を説明する模式図である。図7は、両面用排出経路R3(第3原稿搬送経路)を説明する模式図である。
【0039】
原稿Pの両面を読み取るときにおいても、原稿Pが第1原稿搬送経路R1に沿って読取位置まで搬送される。そして、原稿Pの第1面の画像情報がスキャナーユニット25によって読み取られる。原稿Pは、第1原稿搬送経路R1に沿って読取位置まで搬送された後に、図6に示す第2原稿搬送経路R2に沿って搬送されるように構成されている。
【0040】
第2原稿搬送経路R2には、上流側から順に、三連ローラ35と搬送ローラ36と三連ローラ38と再び三連ローラ35とが配置されている。まず原稿Pは、駆動ローラ351とその上方に配置される従動ローラ352(プレスローラに相当する。)の間を通過して右斜め上方へ搬送される。そして、原稿Pは、搬送ローラ36および従動ローラ361によって、右方向へ搬送されてループ状の反転経路へ搬送される。この反転経路は、右側に膨らんだ(右側に凸となるように湾曲した)経路となっている。この反転経路沿って搬送されることで、原稿Pの表裏が反転する。次いで、原稿Pは、三連ローラ38の駆動ローラ381とその上方に配置される従動ローラ382の間を通過して左斜め下方へ搬送される。さらに、原稿Pは、三連ローラ35の駆動ローラ351とその下方に配置される従動ローラ353の間を通過して、読取位置を通過する。
【0041】
次いで、第2面(裏面)の画像情報が読み取られた原稿Pは、図7に示す両面用排出経路R3へ搬送される。両面用排出経路R3に沿って搬送される原稿Pは、読取位置を左側へ通過した後に、搬送ローラ34および従動ローラ341によって左斜め上側へ搬送される。そして、原稿Pは、三連ローラ33の駆動ローラ331と、その下方に配置される従動ローラ333との間を通過して右方向へ搬送される。この際、搬送ローラ34は、回転方向を切り換え可能であり、上記の双方向搬送に対応している。なお、読取位置から三連ローラ33までの両面用排出経路R3は、左側に膨らんだ(左側に凸になるように湾曲した)経路となっている。
【0042】
そして、三連ローラ33を通過した原稿Pは、右方向に搬送され、搬送ローラ36および従動ローラ361を経由した後に、右斜め下方へ搬送される。そして、原稿Pは、三連ローラ38の駆動ローラ381とその下方に配置される従動ローラ383との間を通過して右側の排紙トレイ53へ排出される。
【0043】
<ジャム検出>
ジャム検出部は、ジャム検出センサーを備えている。一例として、ジャム検出センサーは、三連ローラ35の上流側に設けられている。ジャム検出センサーは、反射型の光センサーや透過型の光センサーにより構成することができる。
【0044】
反射型光センサーの場合は、搬送経路の一方側に発光部と受光部が設けられ、原稿Pが存在していれば、発光部からの照射光は原稿Pの表面で反射して受光部で受光することができる。原稿Pが存在していなければ、光は戻ってこない。透過型光センサーの場合は、搬送経路を挟むように発光部と受光部が設けられ、原稿Pが存在していれば、発光部からの照射光は遮断され、受光部で受光することができない。原稿Pが存在していなければ、受光部へ光が到達し、受光することができる。光センサーの具体的な構成は、種々の変形例が可能である。
【0045】
このジャム検出センサーは、原稿Pが搬送されてきたことを検出する目的で設けられている。ジャムが発生せず、正常に原稿Pが搬送されていれば、ジャム検出センサーにより原稿Pの先端部を検出した後、所定時間以内に後端部が検出される。仮に、所定時間以内に後端部を検出できなければ、ジャム(紙詰まり)が生じているものと判断することができる。
【0046】
なお、三連ローラ35の上流側にジャム検出センサーを配置している例を説明したが、適宜の場所に複数のジャム検出センサーを配置することができる。配置する場所により、どの場所でジャムが発生したのかを検出することができ、その後の処理を適切に行うことができる。
【0047】
<プレスローラを押す押圧部の構成>
図2に示すように、ヒンジ部81の回転軸811、プレスローラ352の回転軸3521および駆動ローラ351の回転軸3511が一点鎖線で示す直線L上に配置されている。押圧部82は、この直線Lよりも内側ガイド部80が開放される方向の側(図2において直線Lよりも上側)からプレスローラ352の回転軸3521を押圧している。これにより、プレスローラ352が駆動ローラ351に付勢される。押圧部82は、そのホルダー内部に圧縮バネ821を有し、この圧縮バネ821がプレスローラ342の回転軸3521を直接押圧している。この状態において、図10に示すような駆動ローラ351からの反力の回転成分(M5)が上側に生じているが、外側ガイド部70によって内側ガイド部80が押さえつけられているため、内側ガイド部80は閉じられた状態である。
【0048】
<ジャム解除操作>
ジャムが発生したときにユーザがジャム解除操作を行う。このとき、ユーザは、図3に示すように搬送路カバー60を開ける。搬送路カバー60にはフック部61が設けられており、通常時には装置本体の被フック部611に係止しているが、カバー上面のグリップ部(不図示)を引くことで、フック部61が傾き係止状態が解除され、搬送路カバー60のヒンジ部62の軸周りに回転して搬送路カバー60が開く。次いで、図4に示すように、外側ガイド部70のヒンジ部(駆動ローラ331)の軸周りに回転させて外側ガイド部70を開ける。なお、ここで外側ガイド部70はフック部を備えていないが、フック部を有する構成であってもよい。
【0049】
上記で外側ガイド部70が開けられたことで、図4に示すように、内側ガイド部80が自動的に開放される。上述したとおり、図10に示すような駆動ローラ351からの反力の回転成分(M5)が上側に生じているため、外側ガイド部70の押さえがなくなると自動的に内側ガイド部80がヒンジ部81の回転軸811周りに回転し矢印方向に開く。
【0050】
これによって、内側ガイド部80が開閉可能であることを簡単に確認でき、開閉操作も簡単となる。さらに、プレスローラ352と駆動ローラ351とのニップが解除されるため、ジャム原稿を視認し易くなり、かつジャム原稿を除去し易くなる。なお、圧縮バネ821の代わりに、例えば、板バネや弾性部材等を用いても良い。
【0051】
本実施形態において、正転あるいは逆転という用語を使用しているが、原稿の第1面(例えば表面)を読み取るときの搬送ローラ34の回転方向を便宜上正転と称し、第2面(例えば裏面)を読み取るときの回転方向を便宜上逆転と称するものである。従って、時計方向であるか反時計方向であるかに限定されるものではない。
【0052】
<別実施形態>
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0053】
上記実施形態で用いた縮小光学系のスキャナーユニット25に代えて、密着型イメージセンサ等を使用する構成に変更することができる。
【0054】
上記実施形態では、原稿の裏表を反転させる経路によって両面を読取可能な原稿搬送装置24に本発明を適用する例を示したが、原稿の搬送方向を逆転させるスイッチバック機能を備えた構成の原稿搬送装置や、両面搬送機能を有しない構成の原稿搬送装置にも本発明を適用することができる。
【0055】
上記実施形態ではイメージスキャナ装置11は複合機1の一部として備えられているが、この構成に代えて、単体のイメージスキャナ装置として構成することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 複合機
35 三連ローラ
351 駆動ローラ
352 プレスローラ(従動ローラ)
60 搬送路カバー
62 搬送路カバーのヒンジ部
70 外側ガイド部
80 内側ガイド部
81 ヒンジ部
82 押圧部
821 圧縮バネ
P 原稿
R1 第1原稿搬送経路
R2 第2原稿搬送経路
R3 両面用排出経路
R4 片面用排出経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側ガイド部と、
前記外側ガイド部と対向配置され、かつシート状原稿が搬送される搬送経路の一部を構成する内側ガイド部と、
前記内側ガイド部を軸周りに回転可能にするヒンジ部と、
前記内側ガイド部に搬送経路を間に介して対向配置される駆動ローラと、
前記ヒンジ部の回転軸と前記駆動ローラの回転軸とを結んだ直線上に配置される回転軸を有し、かつ前記駆動ローラと共に前記原稿を挟みながら搬送するプレスローラと、
前記ヒンジ部の回転軸と前記駆動ローラの回転軸とを結んだ直線上よりも前記内側ガイド部が開放される方向の側から前記プレスローラを押圧する押圧部と、を備える原稿搬送装置。
【請求項2】
前記押圧部は、前記プレスローラを前記駆動ローラへ押圧する構成である請求項1に記載の原稿搬送装置。
【請求項3】
前記押圧部がバネを有し、前記バネが前記プレスローラの回転軸を押す構成である、請求項1または2に記載の原稿搬送装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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