説明

厨房装置

【課題】開閉操作部を備えるキャビネット本体とカウンターの位置関係のずれに影響されずに、開閉操作部の開放時の停止位置精度を向上させること。
【解決手段】上面にカウンター4を取り付けたキャビネット本体3の前面に該カウンター4の下部に沿って前記開閉操作部7が前後方向A,Bに出没可能に設ける。該カウンター4の前面位置4aからの開閉操作部7の出代寸法dを調整するための停止位置調整手段10を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上面にカウンターを取り付けたキャビネット本体と電気機器と該電気機器を操作するスライド式の開閉操作部とを備えた厨房装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、キャビネットの上面にカウンターを取り付け、カウンターに電磁式加熱調理器をビルトインし、キャビネット本体の前面にカウンターの下部に沿って電磁式加熱調理器の操作部を設けた構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、キャビネット本体に対するカウンターの取り付け位置にずれが生じている場合は、操作部の取り付け位置が、操作部を備えるキャビネット本体とカウンターの位置関係のずれ分を含めた位置で決定されてしまう。例えば建築躯体の壁の立ち(壁起こしのときに変形していることが十分に考えられる)により、操作部を取り付けるキャビネット本体とカウンターとの間で位置関係にずれが生じる場合があり、仮りにカウンターがキャビネット本体よりも前方にずれている場合は、カウンターの前面位置からの操作部の出代寸法が必要以上に小さくなり、このため操作部の操作面の露出する部分が小さくなって操作が行ない難くなり、表示も見え難くなってしまうという課題がある。逆に、キャビネット本体がカウンターよりも前方にずれていると、操作部の出代寸法が必要以上に出っ張ってしまうという課題がある。
【特許文献1】特開2000−274761号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その課題とするところは、開閉操作部を備えるキャビネット本体とカウンターの位置関係のずれに影響されずに、開閉操作部の開放時の停止位置精度を向上させることができる厨房装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の課題を解決するために、本発明は、以下の構成を特徴としている。
【0006】
キャビネット2と電気機器5と該電気機器5を操作する開閉操作部7とを備えた厨房装置1である。上面にカウンター4を取り付けたキャビネット本体3の前面に該カウンター4の下部に沿って開閉操作部7を前後方向A,Bに出没可能に設ける。該カウンター4の前面位置4aからの開閉操作部7の出代寸法dを調整するための停止位置調整手段10を設ける。
【0007】
このような構成とすることで、開閉操作部7を備えるキャビネット本体3とカウンター4の位置関係のずれが生じている場合であっても、停止位置調整手段10によって開閉操作部7の開放時の停止位置調整が行なえる。これによりキャビネット本体3とカウンター4の取り付け位置のずれを補正して開閉操作部7とカウンター4との位置関係が一定となるように調整できるので、カウンター4の前面位置4aからの開閉操作部7の出代寸法dが必要以上に小さくなったり、大きくなることがなく、開閉操作部7の表示がみやすく且つ操作がしやすくなる。
【0008】
また前記停止位置調整手段10は、開閉操作部7のキャビネット本体3側への固定部位に設けた係合片11と、開閉操作部7の可動部位に設けた被係合片12とからなると共に係合片11と被係合片12のいずれか一方を前後方向A,Bに移動調整可能に取り付けるのが好ましく、この場合、係合片11または被係合片12の取り付け位置を前後に位置調整するだけで、開閉操作部7の開放時の停止位置調整を容易に行なえるようになり、簡易な構造で停止位置調整手段10を構成できる。
【0009】
また、前記係合片11と被係合片12との間に緩衝用パッキン13を介在させるのが好ましく、この場合、開閉操作時における接触の音、衝撃を緩衝用パッキン13にて緩和できるようになる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、開閉操作部を備えるキャビネット本体とカウンターの位置関係のずれに影響されずに、開閉操作部の開放時の停止位置精度を向上させることができるので、カウンターの前面位置からの開閉操作部の出代寸法が適正となってその表示・操作性を良好にできるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0012】
図5は、キャビネット2に電気機器5と該電気機器5を操作するスライド式の開閉操作部7とを設けた厨房装置1の一例を示している。
【0013】
キャビネット2は、前方Aに開口する箱状のキャビネット本体3に、上面を構成するカウンター4を載設して構成されている。
【0014】
キャビネット2に設けられる電気機器5として電磁式加熱調理器6を例示する。この電磁式加熱調理器6は、カウンター4に設けた上開口部にビルトインされる電磁式加熱調理器本体6aと、電磁式加熱調理器本体6aを操作するための操作スイッチを備えた開閉操作部7とからなる。
【0015】
キャビネット本体3の前面であってカウンター4の下部に沿って横長状の前開口部25が設けられており、前開口部25内部に横長状の開閉操作部7が着脱可能に収納されている。開閉操作部7は、キャビネット本体3に取り付けられる固定部位であるベース部材9と、可動部位である操作面8aを有する操作ユニット8とからなり、操作ユニット8がベース部材9に前後方向A,Bにスライド自在となっている。操作ユニット8を前方Aに引き出すことで上面の操作面8aをカウンター4の前面位置4aよりも前方Aに露出させることができ、押し込むことでカウンター4の下方に収納できるようになっている。図6(a)は開閉操作部7の収納状態を示し、(b)は(a)の状態においてカウンター4及び電磁式加熱調理器6を取り外した状態をそれぞれ示している。
【0016】
上記操作ユニット8は、図7に示すように、電磁式加熱調理器本体6aに設けた複数の電磁式加熱部をそれぞれ操作するための複数の個別操作手段14とこれらを収納する上方に開口した操作ユニットケース15とが一体化されている。各個別操作手段14には、それぞれ個別の電磁式加熱部の通電を制御するための入切操作スイッチ(点火、消化スイッチ)、火力を調整するための火力調整スイッチ等の操作スイッチが設けられており、操作ユニット8を前方Aに引き出した状態で操作スイッチの操作が上方から行なえるようになっている。本例では各個別操作手段14は電磁式加熱調理器本体6aに対してリード線(図示せず)で接続してあり、個別操作手段14からの操作信号がリード線を介して電磁式加熱調理器本体6aの制御部に送信されるようになっている。
【0017】
上記開閉操作部7のベース部材9は、キャビネット本体3の扉20の後方B位置に配置され、一方、操作ユニット8は後方Bに押し込んだ状態でベース部材9よりも前方Aに突出して配置される。本例においては押し込み状態では、操作ユニット8の前面8bよりもベース部材の前面9aが後方Bに後退した段差形状となっている。
【0018】
上記ベース部材9に対して操作ユニット8を前方Aに飛び出させるための飛び出し機構54を備えている。飛び出し機構54は、図7に示すように、ワンプッシュで前方Aへ飛び出す、いわゆるプッシュオープン式であり、付勢手段であるバネ(図示せず)が、操作ユニット8の閉じられる際に押し縮められ、それが元に戻る力を飛び出し付勢力として利用したものである。つまり、操作ユニット8はベース部材9に設けた左右のレール部材51により前後移動自在に支持されていると共に、バネによって常時、前方Aに付勢されている。ベース部材9の後部中央に設けたストライカ52が、操作ユニット8の後部中央に設けたラッチ53に対して一度目の押し込みで係止され、二度目の押し込みで離脱するように、係脱自在に係止されるようになっており、操作ユニット8を押す毎にロックと飛び出しとが交互に繰り返す機構となっている。
【0019】
ここで、本発明においては、カウンター4の前面位置4aからの開閉操作部7の出代寸法dを調整するための停止位置調整手段10を備えている。
【0020】
本例の停止位置調整手段10は、図1〜図4に示すように、開閉操作部7の可動部位である操作ユニット8に取り付けられるL字形の調整金具16と、開閉操作部7の固定部位であるベース部材9の前面9aから立ち上がる係合片11とからなる。 ここで、調整金具16の水平片16aは操作ユニットケース15の取り付け部となり、操作ユニットケース15に設けたネジ穴15aに対してビス60(図4)で固定される長穴16b(図3(b))が前後方向A,Bに長く形成されており、ビス60を緩めることで長穴16bに沿って調整金具16の取り付け位置が前後方向A,Bに移動調整可能となっている。調整金具16の下方に突出する垂直片16cが被係合片12となり、被係合片12の前面に左右方向に長尺帯状の軟質弾性材料からなる緩衝用パッキン13が取り付けられている。一方、ベース部材9の前面9aからは上方に係合片11が立設されており、操作ユニット8を前方Aに開放した状態で、調整金具16の被係合片12が緩衝用パッキン13を介して係合片11に係合する構造となっている。なお、ベース部材9の前面9aには扉20に当たるドアパッキン26が複数設けられている。
【0021】
しかして、建築躯体の影響等を受けてキャビネット本体3とカウンター4との間に位置関係のずれが生じている場合であっても、停止位置調整手段10によって開閉操作部7のずれを調整できる。つまり、調整金具16の取り付け位置を図4の矢印Aで示す前方向に移動調整すると、被係合片12が前方に移動するのに伴い操作ユニット8の開放停止位置が図4の矢印Bで示す後方に後退して操作ユニット8の出代寸法d(図1)を小さくできる。逆に調整金具16の取り付け位置を後方に移動調整することで操作ユニット8の出代寸法dを大きくできる。これにより、カウンター4の前面位置4aに合わせて操作ユニット8の開放時の停止位置調整ができるので、キャビネット本体3とカウンター4の取り付け位置のずれを補正して開閉操作部7とカウンター4との位置関係が一定となるように調整でき、開閉操作部7の操作面8aが必要以上に出っ張ったり小さくなることがなく、表示・操作性が良好となる。
【0022】
また、停止位置調整手段10を構成する係合片11と被係合片12間には緩衝用パッキン13を設けてあるので、開閉操作時における接触の音、衝撃を緩和することができる利点もある。
【0023】
上記実施形態では、電気機器5として電磁式加熱調理器6の例を示したが、これに限定されるものではなく、厨房装置1に用いるガスコンロ、換気扇、浄水器等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】(a)は本発明の一実施形態に用いる開閉操作部を備えた厨房装置の側面断面図、(b)は開閉操作部付近の拡大図である。
【図2】同上の開閉操作部を下方から見た斜視図である。
【図3】(a)は同上の開閉操作部の分解斜視図、(b)は調整金具の拡大図である。
【図4】同上の開閉操作部の側面図である。
【図5】同上の厨房装置全体の斜視図である。
【図6】(a)は同上の開閉操作部の収納状態を示す斜視図、(b)は(a)の状態からカウンター及び電磁式加熱調理器を取り外した状態を示す斜視図である。
【図7】同上の開閉操作部の飛び出し機構を説明する斜視図である。
【符号の説明】
【0025】
1 厨房装置
2 キャビネット
3 キャビネット本体
4 カウンター
5 電気機器
7 開閉操作部
8 操作ユニット
9 ベース部材
10 停止位置調整手段
11 係合片
12 被係合片
13 緩衝用パッキン
A 前方
B 後方
d 出代寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビネットと電気機器と該電気機器を操作する開閉操作部とを備えた厨房装置において、上面にカウンターを取り付けたキャビネット本体の前面に該カウンターの下部に沿って開閉操作部を前後方向に出没可能に設けると共に、該カウンターの前面位置からの開閉操作部の出代寸法を調整するための停止位置調整手段を設けたことを特徴とする厨房装置。
【請求項2】
前記停止位置調整手段は、開閉操作部のキャビネット本体側への固定部位に設けた係合片と、開閉操作部の可動部位に設けた被係合片とからなると共に係合片と被係合片のいずれか一方を前後方向に移動調整可能に取り付けてなることを特徴とする請求項1記載の厨房装置。
【請求項3】
前記係合片と被係合片との間に緩衝用パッキンを介在させたことを特徴とする請求項2記載の厨房装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−5049(P2010−5049A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−166604(P2008−166604)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】