説明

双方向伝送システム

【課題】上り流合雑音による不具合を低減することができる双方向伝送システムを提供する。
【解決手段】センタ局1及び複数の加入者端末装置10を備え、下り信号及び上り信号の伝送機能を有する双方向伝送システムであって、センタ局1は、複数台のRFモデム3と、RFモデム3と同数のデータ通信部(パソコン2内にソフトウェア的に生成されるデータ通信部)とを備え、複数台のRFモデム3とRFモデム3と同数のデータ通信部とは、1対1対応しており、前記データ通信部が、1対1対応しているRFモデム3を経由して伝送されてくる上り信号に対してのみ受信処理を施す双方向伝送システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センタ局及び複数の加入者端末装置を備え、下り信号及び上り信号の伝送機能を有する双方向伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
センタ局及び複数の加入者端末装置を備え、下り信号及び上り信号の伝送機能を有する双方向伝送システムとして、ここでは、伝送路に光伝送路が含まれている双方向光伝送システムを例に挙げて説明する。従来の双方向光伝送システムの一構成例を図5に示す。また、従来の双方向光伝送システムの他の構成例を図6に示す。
【0003】
図5に示す従来の双方向光伝送システムでは、パーソナルコンピュータ(以下、パソコンという)102と、RF(高周波)モデム103と、複数台の光送受信器104とがセンタ局101に設けられている。センタ局101とノードアンプ(下り信号に関して光信号を電気信号に変換し、上り信号に関して電気信号を光信号に変換する機器)106との間の伝送路は、光ファイバ105によって構成され、ノードアンプ106と加入者端末装置110との間の伝送路は、同軸ケーブル109によって構成される。また、ノードアンプ106と加入者端末装置110との間には、双方向増幅器107と、タップオフ108とが設けられている。
【0004】
図6に示す従来の双方向光伝送システムは、パソコン112と、複数台のRFモデム113と、複数台の光送受信器114とがセンタ局111に設けられている。センタ局111とノードアンプ116との間の伝送路は、光ファイバ115によって構成され、ノードアンプ116と加入者端末装置120との間の伝送路は、同軸ケーブル119によって構成される。また、ノードアンプ116と加入者端末装置120との間には、双方向増幅器117と、タップオフ118とが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−15417号公報(段落0002〜段落0004)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
センタ局及び複数の加入者端末装置を備え、下り信号及び上り信号の伝送機能を有する双方向伝送システムでは、上り信号が全てセンタ局に集まってくるため、上り流合雑音が問題となる(特許文献1参照)。
【0007】
図5に示す従来の双方向光伝送システムでは、RFモデム1台で運用しているので、RFモデム103に流入する上り流合雑音のレベルがRFモデム103の対雑音性能を超えると、全ての上りデータがエラーになっていた。
【0008】
また、図6に示す従来の双方向光伝送システムでは、複数のRFモデム113からのデータを合成し、その合成データをパソコン112に送る構成であるので、複数のRFモデム113のうちたとえ1台でもRFモデムに流入する上り流合雑音のレベルがRFモデムの対雑音性能を超えると、全ての上りデータがエラーになっていた。
【0009】
本発明は、上記の状況に鑑み、上り流合雑音による不具合を低減することができる双方向伝送システム及びそれに用いられるセンタ局を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明に係る双方向伝送システムは、センタ局及び複数の加入者端末装置を備え、下り信号及び上り信号の伝送機能を有する双方向伝送システムであって、前記センタ局は、複数台のRFモデムと、前記RFモデムと同数のデータ通信部とを備え、複数台のRFモデムと前記RFモデムと同数のデータ通信部とは、1対1対応しており、前記データ通信部が、1対1対応している前記RFモデムを経由して伝送されてくる上り信号に対してのみ受信処理を施す構成としている。
【0011】
このような構成によると、センタ局の各データ通信部が、1対1対応しているRFモデムを経由して伝送されてくる上り信号に対してのみ受信処理を施すので、複数台のRFモデム中の或るRFモデムに流入する上り流合雑音が増加して対雑音性能を超え、その或るRFモデムにエラーが発生したとしても、その或るRFモデムに対応するデータ通信部によって受信処理される上りデータのみがエラーになるだけで、他のRFモデムに対応するデータ通信部によって受信処理される上りデータにはエラーの影響が及ばない。このため、エラーの発生を最小限に抑えることができる。したがって、上り流合雑音による不具合を低減することができる。
【0012】
また、上記双方向伝送システムにおいて、前記センタ局が、パーソナルコンピュータを備え、前記RFモデムと同数のデータ通信部が、前記パーソナルコンピュータにソフトウェア的に実装されているようにしてもよい。これにより、エリア拡張工事などによりRFモデムの追加が必要となるときに、データ通信部の追加をソフトウェア的に行うことができるので、作業負担を軽減することができる。
【0013】
また、上記目的を達成するために本発明に係るセンタ局は、双方向伝送システムに用いられ、複数の加入者端末装置との間で双方向通信を行うセンタ局であって、複数台のRFモデムと、前記RFモデムと同数のデータ通信部とを備え、複数台のRFモデムと前記RFモデムと同数のデータ通信部とは、1対1対応しており、前記データ通信部が、1対1対応している前記RFモデムを経由して伝送されてくる上り信号に対してのみ受信処理を施す構成としている。
【0014】
また、前記センタ局において、パーソナルコンピュータを備え、前記RFモデムと同数のデータ通信部が、前記パーソナルコンピュータにソフトウェア的に実装されているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、センタ局の各データ通信部が、1対1対応しているRFモデムを経由して伝送されてくる上り信号に対してのみ受信処理を施すので、複数台のRFモデム中の或るRFモデムに流入する上り流合雑音が増加して対雑音性能を超え、その或るRFモデムにエラーが発生したとしても、その或るRFモデムに対応するデータ通信部によって受信処理される上りデータのみがエラーになるだけで、他のRFモデムに対応するデータ通信部によって受信処理される上りデータにはエラーの影響が及ばない。このため、エラーの発生を最小限に抑えることができる。したがって、上り流合雑音による不具合を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】は、本発明に係る双方向伝送システムの一例であるCATV用双方向光伝送システムの概略構成例を示す図である。
【図2】は、パソコンの概略構成例を示す図である。
【図3】は、パソコンのデータ通信に関する機能ブロックを示す図である。
【図4】は、本発明に係る双方向伝送システムの他の例を示す図である。
【図5】は、従来の双方向光伝送システムの一構成例を示す図である。
【図6】は、従来の双方向光伝送システムの他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。本発明に係る双方向伝送システムの一例であるCATV(ケーブルテレビ)用双方向光伝送システムの概略構成例を図1に示す。図1に示すCATV用双方向光伝送システムは、センタ局及び複数の加入者端末装置を備え、下り信号及び上り信号の伝送機能を有する双方向伝送システムである。
【0018】
図1に示すCATV用双方向光伝送システムでは、パソコン2と、複数台のRFモデム3と、複数台の光送受信器4とがセンタ局1に設けられている。センタ局1とノードアンプ6との間の伝送路は、光ファイバ5によって構成され、ノードアンプ6と加入者端末装置10との間の伝送路は、同軸ケーブル9によって構成される。また、ノードアンプ6と加入者端末装置10との間には、双方向増幅器7と、タップオフ8とが設けられている。
【0019】
光送受信器4とノードアンプ6とは1対1対応しており、各RFモデム3には少なくとも一つの光送受信器4が接続されている。CATV用双方向光伝送システムを構築する際、各光送受信器4に流入する上り流合雑音を測定し、各RFモデム3に流入する上り流合雑音のレベル差ができるだけ少なくなるように、かつ、所定の対雑音性能を超えないように、各光送受信器4と各RFモデム3との接続の組み合わせを決定することが望ましい。上り流合雑音は時々刻々変化するので、上記のように決定した組み合わせは、常に最良とは限らないが、各RFモデム3に流入する上り流合雑音のレベルの均一化に資する。各RFモデム3に流入する上り流合雑音のレベルを均一化することにより、複数台のRFモデム3中の或るRFモデムが他のRFモデムと比べて、RFモデムに流入する上り流合雑音のレベルがRFモデムの所定の対雑音性能を超える可能性が突出して高くなることを防止することができる。
【0020】
なお、光送受信器4とノードアンプ6とは1対1対応しているので、各光送受信器4と各RFモデム3との接続の組み合わせを決定することにより、各ノードアンプ6と各RFモデム3との接続の組み合わせを決定することになる。
【0021】
パソコン2と各RFモデム3とは、RS−232C(Recommended Standard 232 version C)ケーブル、USB(Universal Serial Bus)ケーブル、LAN(Local Area Network)ケーブルなどで接続される。なお、パソコン2のRFモデム接続用端子(RS−232C端子、USB端子、LAN端子など)の数が、RFモデム3の台数より少ない場合は、例えば、パソコン2のRFモデム接続用端子にハブを接続することにより、RFモデム接続用端子を拡張するようにすればよい。
【0022】
パソコン2には、ステータスモニタセンターソフトウェアがインストールされている。このステータスモニタセンターソフトウェアが実行されると、パソコン2は、双方向増幅器7の状態を監視するステータスモニタセンターとして機能する。
【0023】
ここで、パソコン2の概略構成例について図2を参照して説明する。パソコン2は、CPU(Central Processing Unit)21と、RAM(Random Access Memory)22と、表示部23と、入力部24と、記憶部25と、通信部26とを備えている。CPU21、RAM22、表示部23、入力部24、記憶部25、及び通信インターフェイス(以下、通信I/Fという)26はそれぞれバス27に接続されている。
【0024】
CPU21はパソコン2全体を制御し、RAM22はソフトウェアを実行する際に作業領域として用いられる。表示部23は、例えばCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイや液晶ディスプレイなどであり、CPU21によって生成された表示データ(例えば、後述するステータスデータを処理することによって得られる表示データ)に基づく画面表示を行う。入力部24は、例えばキーボードやマウスなどであり、操作者の入力操作に応じた入力データをCPU21に送る。
【0025】
記憶部25は、例えばHDD(Hard Disk Drive)などであり、基本ソフトウェアであるOS(Operation System)、ステータスモニタセンターソフトウェア、及びステータスモニタセンターソフトウェア用データベースなどを記憶している。通信I/F26は、外部から送られてくるデータを受信したり、外部にデータを送信するためのインターフェイスである。
【0026】
入力部24は、各ノードアンプ6と各RFモデム3との接続の組み合わせに関するデータを入力する。CPU21は、入力部24が入力した各ノードアンプ6と各RFモデム3との接続の組み合わせに関するデータをステータスモニタセンターソフトウェア用データベースに反映させ、記憶部25に記憶させる。
【0027】
CPU21は、ステータスモニタセンターソフトウェア用データベースにアクセスして、パソコン2に接続されているRFモデム3の台数を求め、その台数分だけデータ通信部をソフトウェア的に作成する。これにより、パソコン2のデータ通信に関する機能ブロックは図3に示すようになる。
【0028】
パソコン2の各データ通信部(第1のデータ通信部、第2のデータ通信部、…、第Nのデータ通信部)は、ステータスモニタセンターソフトウェア用データベースにアクセスして、どのノードアンプ6がどのRFモデム3に接続されているかを把握し、自分に接続されているRFモデム3に接続されているノードアンプ6に縦続接続されている双方向増幅器7に対して、ポーリングデータ(制御情報)を送信する。すなわち、各データ通信部は、自分に接続されているRFモデム3に接続されているノードアンプ6に縦続接続されている双方向増幅器7のアドレスを、送り先アドレスとして含んでいるポーリングデータを送信する。
【0029】
RFモデム3は、TV信号とパソコン2から送信されるポーリングデータとを混合したRF信号を光送受信器4に出力する。光送受信器4は、RFモデム3からのRF信号を光信号に変換し、光ファイバ5経由でノードアンプ6に伝送する。ノードアンプ6は、入力した光信号を電気信号に変換し、その電気信号を双方向増幅器7及びタップオフ8経由で加入者端末装置10に伝送する。
【0030】
双方向増幅器7はステータスモニタユニットを内蔵している。双方向増幅器7内のステータスモニタユニットは、パソコン2からのポーリングデータを受信すると、ポーリングデータの送り先アドレスと自分のアドレスとが一致するか否かを確認し、一致していれば、ステータスデータと返信先アドレスとを含む応答信号をパソコン2に返信する。ステータスデータとしては、例えば、双方向増幅器7のRF出力レベル、双方向増幅器7の温度、双方向増幅器7の外装蓋の開閉状態などがある。
【0031】
応答信号は、同軸ケーブル9、ノードアンプ6、光ファイバ5、光送受信器4、及びRFモデム3を介して、返信先アドレスのデータ通信部すなわちポーリングデータを送信したデータ通信部に送られ、返信先アドレスのデータ通信部すなわちポーリングデータを送信したデータ通信部により受信処理が施される。これにより、パソコン2は、双方向増幅器7の状態を監視するステータスモニタセンターとして機能する。
【0032】
図1に示すCATV用双方向光伝送システムでは、上記の通り、パソコン2に接続されるRFモデム3毎にデータ通信部をソフトウェア的に作成し、そのデータ通信部が、1対1対応しているRFモデムを経由して伝送されてくる上り信号に対してのみ受信処理を施している。したがって、複数台のRFモデム3中の或るRFモデムに流入する上り流合雑音が増加して対雑音性能を超え、その或るRFモデムにエラーが発生したとしても、その或るRFモデムに対応するデータ通信部によって受信処理される上りデータのみがエラーになるだけで、他のRFモデムに対応するデータ通信部によって受信処理される上りデータにはエラーの影響が及ばないため、エラーの発生を最小限に抑えることができる。
【0033】
なお、エリア拡張工事などにより、光送受信器4、光ファイバ5、ノードアンプ6、双方向増幅器7、タップオフ8、及び同軸ケーブル9を増設する場合、増設後に各光送受信器4に流入する上り流合雑音を測定し、各RFモデム3に流入する上り流合雑音のレベル差ができるだけ少なくなるように、かつ、所定の対雑音性能を超えないように、各光送受信器4と各RFモデム3との接続の組み合わせを決定し直すようにしてもよいが、作業負担を軽減する観点から、増設した光送受信器4に対応するRFモデム3を追加し、そのRFモデム3の追加に応じてステータスモニタセンターソフトウェア用データベースを更新することが望ましい。
【0034】
次に、本発明に係る双方向伝送システムの他の例を図4に示す。図4に示す双方向伝送システムは、図1に示す双方向伝送システムと同様に、CATV用双方向光伝送システムであり、センタ局及び複数の加入者端末装置を備え、下り信号及び上り信号の伝送機能を有する双方向伝送システムである。
【0035】
図4に示すCATV用双方向光伝送システムでは、パソコン12と、複数台のRFモデム13と、複数台の光送信器14Aと、複数台の光受信器14Bとがセンタ局11に設けられている。センタ局11とノードアンプ16との間の伝送路は、下り信号伝送用光ファイバ15A及び上り信号伝送用光ファイバ15Bによって構成され、ノードアンプ16と加入者端末装置20との間の伝送路は、同軸ケーブル19によって構成される。また、ノードアンプ16と加入者端末装置20との間には、双方向増幅器17と、タップオフ18とが設けられている。
【0036】
光送信器14A及び光受信器14Bとノードアンプ16とは1対1対応しており、各RFモデム13には少なくとも一対の光送信器14A及び光受信器14Bが接続されている。CATV用双方向光伝送システムを構築する際、各光受信器14Bに流入する上り流合雑音を測定し、各RFモデム13に流入する上り流合雑音のレベル差ができるだけ少なくなるように、かつ、所定の対雑音性能を超えないように、各光送信器14A及び各光受信器14Bと各RFモデム13との接続の組み合わせを決定することが望ましい。上り流合雑音は時々刻々変化するので、上記のように決定した組み合わせは、常に最良とは限らないが、各RFモデム13に流入する上り流合雑音のレベルの均一化に資する。各RFモデム13に流入する上り流合雑音のレベルを均一化することにより、複数台のRFモデム13中の或るRFモデムが他のRFモデムと比べて、RFモデムに流入する上り流合雑音のレベルがRFモデムの所定の対雑音性能を超える可能性が突出して高くなることを防止することができる。
【0037】
なお、光送信器14A及び光受信器14Bとノードアンプ16とは1対1対応しているので、各光送信器14A及び各光受信器14Bと各RFモデム13との接続の組み合わせを決定することにより、各ノードアンプ16と各RFモデム13との接続の組み合わせを決定することになる。
【0038】
パソコン12と各RFモデム13とは、RS−232Cケーブル、USBケーブル、LANケーブルなどで接続される。なお、パソコン12のRFモデム接続用端子(RS−232C端子、USB端子、LAN端子など)の数が、RFモデム13の台数より少ない場合は、例えば、パソコン12のRFモデム接続用端子にハブを接続することにより、RFモデム接続用端子を拡張するようにすればよい。
【0039】
パソコン12には、ステータスモニタセンターソフトウェアがインストールされている。このステータスモニタセンターソフトウェアが実行されると、パソコン12は、双方向増幅器7の状態を監視するステータスモニタセンターとして機能する。
【0040】
パソコン12の概略構成例及びデータ通信に関する機能ブロックは、パソコン2の概略構成例(図2参照)及びデータ通信に関する機能ブロック(図3参照)と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0041】
パソコン12の各データ通信部(第1のデータ通信部、第2のデータ通信部、…、第Nのデータ通信部)は、ステータスモニタセンターソフトウェア用データベースにアクセスして、どのノードアンプ16がどのRFモデム13に接続されているかを把握し、自分に接続されているRFモデム13に接続されているノードアンプ16に縦続接続されている双方向増幅器17に対して、ポーリングデータ(制御情報)を送信する。すなわち、各データ通信部は、自分に接続されているRFモデム13に接続されているノードアンプ16に縦続接続されている双方向増幅器17のアドレスを、送り先アドレスとして含んでいるポーリングデータを送信する。
【0042】
RFモデム13は、TV信号とパソコン12から送信されるポーリングデータとを混合したRF信号を光送信器14Aに出力する。光送信器14Aは、RFモデム13からのRF信号を光信号に変換し、その光信号を下り信号伝送用光ファイバ15A経由でノードアンプ16に伝送する。ノードアンプ16は、入力した光信号を電気信号に変換し、その電気信号を双方向増幅器17及びタップオフ18経由で加入者端末装置20に伝送する。
【0043】
双方向増幅器17はステータスモニタユニットを内蔵している。双方向増幅器17内のステータスモニタユニットは、パソコン12からのポーリングデータを受信すると、ポーリングデータの送り先アドレスと自分のアドレスとが一致するか否かを確認し、一致していれば、ステータスデータと返信先アドレスとを含む応答信号をパソコン12に返信する。ステータスデータとしては、例えば、双方向増幅器17のRF出力レベル、双方向増幅器17の温度、双方向増幅器17の外装蓋の開閉状態などがある。
【0044】
応答信号は、同軸ケーブル19、ノードアンプ16、上り信号伝送用光ファイバ15B、光受信器14B、及びRFモデム13を介して、返信先アドレスのデータ通信部すなわちポーリングデータを送信したデータ通信部に送られ、返信先アドレスのデータ通信部すなわちポーリングデータを送信したデータ通信部により受信処理が施される。これにより、パソコン12は、双方向増幅器17の状態を監視するステータスモニタセンターとして機能する。
【0045】
図4に示すCATV用双方向光伝送システムでは、上記の通り、パソコン12に接続されるRFモデム13毎にデータ通信部をソフトウェア的に作成し、そのデータ通信部が、1対1対応しているRFモデムを経由して伝送されてくる上り信号に対してのみ受信処理を施している。したがって、複数台のRFモデム13中の或るRFモデムに流入する上り流合雑音が増加して対雑音性能を超え、その或るRFモデムにエラーが発生したとしても、その或るRFモデムに対応するデータ通信部によって受信処理される上りデータのみがエラーになるだけで、他のRFモデムに対応するデータ通信部によって受信処理される上りデータにはエラーの影響が及ばないため、エラーの発生を最小限に抑えることができる。
【0046】
なお、エリア拡張工事などにより、光送信器14A、光受信器14B、下り信号伝送用光ファイバ15A、上り信号伝送用光ファイバ15B、ノードアンプ16、双方向増幅器17、タップオフ18、及び同軸ケーブル19を増設する場合、増設後の各光受信器14Bに流入する上り流合雑音を測定し、各RFモデム13に流入する上り流合雑音のレベル差ができるだけ少なくなるように、かつ、所定の対雑音性能を超えないように、各光送信器14A及び各光受信器14Bと各RFモデム3との接続の組み合わせを決定し直すようにしてもよいが、作業負担を軽減する観点から、増設した光送信器14A及び光受信器14Bに対応するRFモデム13を追加し、そのRFモデム13の追加に応じてステータスモニタセンターソフトウェア用データベースを更新することが望ましい。
【0047】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明の範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実行することができる。例えば、上述した実施形態では、ステータスモニタユニットが双方向増幅器に内蔵されていたが、双方向伝送システム内に設置されている他の機器に内蔵され、ステータスモニタセンターが当該他の機器の状態を監視する形態であってもよい。
【符号の説明】
【0048】
1、11、101、111 センタ局
2、12、102、112 パソコン
3、13、103、113 RFモデム
4、104、114 光送受信器
5、105、115 光ファイバ
6、16、106、116 ノードアンプ
7、17、107、117 双方向増幅器
8、18、108、118 タップオフ
9、19、109、119 同軸ケーブル
10、20、110、120 加入者端末装置
14A 光送信器
14B 光受信器
15A 下り信号伝送用光ファイバ
15B 上り信号伝送用光ファイバ
21 CPU
22 RAM
23 表示部
24 入力部
25 記憶部
26 通信I/F
27 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センタ局及び複数の加入者端末装置を備え、下り信号及び上り信号の伝送機能を有する双方向伝送システムであって、
前記センタ局は、複数台のRFモデムと、前記RFモデムと同数のデータ通信部とを備え、
複数台のRFモデムと前記RFモデムと同数のデータ通信部とは、1対1対応しており、前記データ通信部が、1対1対応している前記RFモデムを経由して伝送されてくる上り信号に対してのみ受信処理を施すことを特徴とする双方向伝送システム。
【請求項2】
前記センタ局が、パーソナルコンピュータを備え、
前記RFモデムと同数のデータ通信部が、前記パーソナルコンピュータにソフトウェア的に実装されていることを特徴とする請求項1に記載の双方向伝送システム。
【請求項3】
双方向伝送システムに用いられ、複数の加入者端末装置との間で双方向通信を行うセンタ局であって、
複数台のRFモデムと、前記RFモデムと同数のデータ通信部とを備え、
複数台のRFモデムと前記RFモデムと同数のデータ通信部とは、1対1対応しており、前記データ通信部が、1対1対応している前記RFモデムを経由して伝送されてくる上り信号に対してのみ受信処理を施すことを特徴とするセンタ局。
【請求項4】
パーソナルコンピュータを備え、
前記RFモデムと同数のデータ通信部が、前記パーソナルコンピュータにソフトウェア的に実装されていることを特徴とする請求項3に記載のセンタ局。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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