説明

双方向定圧膨張弁

【課題】従来より正確に冷媒を一定圧力にすることが可能な双方向定圧膨張弁を提供する。
【解決手段】本発明の双方向定圧膨張弁10によれば、一端側及び他端側の感圧部20A,20Bがボディ10Bに固定されているので、一端側及び他端側の感圧部20A,20B自体が冷媒の流れる方向に応じて移動することはない。従って、従来のようにベローズの挫屈を規制しかつベローズを伸縮可能に支持する直動支持機構が不要になる。これにより、直動支持機構の摺動抵抗の影響がなくなり、従来より正確に冷媒を一定圧力にすることが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプ回路の室外熱交換器と室内熱交換器の間に接続されて冷媒が双方向に流され、下流側の冷媒圧力を一定にすることが可能な双方向定圧膨張弁に関する。
【背景技術】
【0002】
図10に示した従来の双方向定圧膨張弁は、冷媒が流される流路1の軸方向に1対のボール弁機構2,2を有すると共に、それらボール弁機構2,2の間に可動体3を直動可能に備えている。また、可動体3は、その直動方向に延びたベローズ4と、そのベローズ4の挫屈を規制しかつベローズ4を伸縮可能に支持した直動支持機構5とを備えている。具体的には、直動支持機構5は、ベローズ4の両端に固定された可動盤5A,5Aから支持突部5B,5Bを互いに接近するように延ばし、それら支持突部5B,5Bに支持ピン5Cを貫通させて、支持突部5B,5Bの相対的な傾きを規制しつつ支持突部5B,5B同士が相互に直動可能な構造になっている。
【0003】
可動体3の両端部からは各ボール弁機構2,2に向かって1対の押圧シャフト6,6が延びており、各押圧シャフト6,6がベローズ4の伸縮度に応じた押圧力で各ボール弁機構2,2のボール2A,2Aを押圧して、各ボール弁機構2の弁開度を調節する。即ち、冷媒が例えば図10における左から右に向かって流れると、可動体3が下流側に移動して流路1内の壁部に当接し、一方の押圧シャフト6が下流側(同図の右側)のボール弁機構2を開弁状態に保持する。この結果、ベローズ4にボール弁機構2の下流側の冷媒圧力がかかり、他方の押圧シャフト6がベローズ4の弾発力に応じた押圧力で上流側(同図の左側)のボール弁機構2のボール2Aを押圧する。これにより、上流側のボール弁機構2が下流側の冷媒圧力に応じた弁開度になり、下流側の冷媒を一定圧力にすることができる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3418271号公報(段落[0024]〜[0028]、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記した従来の双方向定圧膨張弁では、可動体3の側面と流路1の内周面との間のクリアランスの範囲で、可動体3が直動方向と直交する方向にずれると、連結ピン5Cと支持突部5B,5Bとの間にモーメント負荷がかかり、それら連結ピン5Cと支持突部5B,5Bとの間の摺動抵抗がばらつく。すると、これに伴って冷媒圧力に対するベローズ4の伸縮量もばらつく。このため、従来の双方向定圧膨張弁では、冷媒を正確に一定圧力にすることが困難であった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、従来より正確に冷媒を一定圧力にすることが可能な双方向定圧膨張弁の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る双方向定圧膨張弁(10,30)は、ヒートポンプ回路(90)の室内熱交換器(92A)と室外熱交換器(91A)との間に接続されて冷媒が双方向に流され、下流側の冷媒圧力を一定にすることが可能な双方向定圧膨張弁(10,30)において、冷媒の流路(11)を内部に有したボディ(10B)と、ボディ(10B)に設けられて、流路(11)を一端側領域(R1)と中間領域(R3)と他端側領域(R2)とに区画する1対の対向壁(13,13F)と、1対の対向壁(13,13F)に貫通形成されて、略同軸上に配置された1対の弁口(16A,16B)と、ボディ(10B)に固定されて、一端側領域(R1)内で一方の弁口(16A)に対向配置され、一端側領域(R1)内の冷媒圧力が上昇するに従って一方の弁口(16A)から離れるように弾性変形する一端側感圧部(20A)と、ボディ(10B)に固定されて、他端側領域(R2)内で他方の弁口(16B)に対向配置され、他端側領域(R2)内の冷媒圧力が上昇するに従って他方の弁口(16B)から離れるように弾性変形する他端側感圧部(20B)と、中間領域(R3)に収容されて、1対の弁口(16A,16B)の間を移動し、接近した側の弁口(16A,16B)の弁開度を変更可能な可動弁体(17,33)と、1対の弁口(16A,16B)にそれぞれ遊嵌され、可動弁体(17,33)の位置に応じて、一端側又は他端側の感圧部(20A,20B)の何れか一方と可動弁体(17,33)との間で突っ張り状態になる1対の当接シャフト(17D,34)とを備えたところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の双方向定圧膨張弁(10,30)において、一端側及び他端側の感圧部(20A,20B)は、共に一端開放の感圧筒体(21,55)の開口端にダイヤフラム(22)を張ってなり、感圧筒体(21,55)がボディ(10B)に固定され、ダイヤフラム(22)が弁口(16A,16B)に対向配置されたところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載の双方向定圧膨張弁(10,30)において、感圧筒体(21,55)の開口縁との間にダイヤフラム(22)の外縁部を挟んで溶接されたダイヤフラム固定盤(50)と、ダイヤフラム固定盤(50)に貫通形成されて、冷媒を通過可能とした冷媒通過孔(51)と、ダイヤフラム固定盤(50)に貫通形成されて、当接シャフト(17D,34)が挿通したシャフト挿通孔(52)と、シャフト挿通孔(52)の開口縁に備えられ、通常はダイヤフラム(22)に隙間を介して対向して、ダイヤフラム(22)が所定量以上変形することを防止する過度変形防止部(53)とを備えたところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3に記載の双方向定圧膨張弁(10)において、感圧筒体(55)とダイヤフラム(22)とダイヤフラム固定盤(50)とを一体化した感圧ユニット(57)と、対向壁(13)から突出し、感圧ユニット(57)を内側に圧入して任意の位置に保持可能な圧入筒部(56)とを備えたところに特徴を有する。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の双方向定圧膨張弁(10,30)において、一方の弁口(16A)と当接シャフト(17D,34)との隙間の開口面積を、他方の弁口(16B)と当接シャフト(17D,34)との隙間の開口面積より広くしたところに特徴を有する。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れかに記載の双方向定圧膨張弁(10,30)において、一端側又は他端側の感圧部(20A,20B)のうち室内熱交換器(92A)側の感圧部(20B)の弾性係数と、室外熱交換器(91A)側の感圧部(20A)の弾性係数とを異ならせたところに特徴を有する。
【0012】
請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れかに記載の双方向定圧膨張弁(10)において、1対の当接シャフト(17D)は、可動弁体(17)の両端部から延設されたところに特徴を有する。
【0013】
請求項8の発明は、請求項1乃至7の何れかに記載の双方向定圧膨張弁(30)において、1対の当接シャフト(34)を、他端側及び一端側の感圧部(20A,20B)にそれぞれ固定し、可動弁体(33)を球体(33)で構成したところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の双方向定圧膨張弁(10,30)を、ヒートポンプ回路(90)の室外熱交換器(91A)と室内熱交換器(92A)の間に接続し、ヒートポンプ回路(90)を冷房運転と暖房運転との何れか一方にすると、双方向定圧膨張弁(10,30)には、一端側領域(R1)、一方の弁口(16A)、中間領域(R3)、他方の弁口(16B)、他端側領域(R2)の順番に冷媒が流れる。すると、中間領域(R3)内の可動弁体(17,33)が冷媒に押されて下流側に移動し、下流側の弁口(16B)に遊嵌された当接シャフト(17D,34)が、可動弁体(17,33)と他端側感圧部(20B)との間で突っ張り状態になる。これにより、可動弁体(17,33)が他端側感圧部(20B)によって位置決めされる。
【0015】
ここで、他端側領域(R2)内の冷媒圧力が比較的大きくなると、他端側感圧部(20B)が弁口(16B)から離れるように変形し、これに伴って可動弁体(17,33)が弁口(16B)に接近して弁開度が小さくなり、他端側領域(R2)内の冷媒圧力が下がる。これとは逆に、他端側領域(R2)内の冷媒圧力が比較的小さくなると、他端側感圧部(20B)が弁口(16B)に近づくように変形し、これに伴って可動弁体(17,33)が弁口(16B)から離れて弁開度が大きくなり、他端側領域(R2)内の冷媒圧力が上がる。これらにより、双方向定圧膨張弁(10,30)における下流側の冷媒圧力が一定になる。
【0016】
冷房運転と暖房運転とを切り替え、上記の場合とは冷媒が流れる方向が逆転して、一端側領域(R1)が下流側に位置した場合も同様に、一端側領域(R1)内の冷媒圧力が比較的大きくなると一方の弁口(16A)の弁開度が小さくなって下流側の冷媒圧力が上昇する一方、一端側領域(R1)内の冷媒圧力が比較的小さくなるとその弁口(16A)の弁開度が大きくなって、下流側の冷媒圧力が低下し、下流側の冷媒圧力が一定になる。なお、冷媒の流れる向きに拘わらず、可動弁体(17,33)が下流側に移動することで、可動弁体(17,33)と上流側の弁口(16A,16B)との間は十分に離れ、上流側の弁口(16A,16B)は常に開弁状態になる。
【0017】
このように、本発明の双方向定圧膨張弁(10,30)によれば、下流側の冷媒圧力を一定にすることができる。しかも、一端側及び他端側の感圧部(20A,20B)がボディ(10B)に固定されているので、一端側及び他端側の感圧部(20A,20B)自体が冷媒の流れる方向に応じて移動することはない。従って、従来のようにベローズの挫屈を規制しかつベローズを伸縮可能に支持する直動支持機構が不要になる。これにより、直動支持機構の摺動抵抗の影響がなくなり、従来より正確に冷媒を一定圧力にすることが可能になる。
【0018】
本発明の双方向定圧膨張弁(10,30)における一端側感圧部(20A)及び他端側感圧部(20B)は、ダイヤフラム(22)又はベローズの何れかを備えることで、冷媒圧力に応じて変形する構成にすることができる。また、ダイヤフラム(22)を備えた構成にする場合には、例えば、請求項2の発明のように、一端開放の感圧筒体(21)の開口にダイヤフラム(22)を張り、感圧筒体(21)をボディ(10B)に固定すればよい。
【0019】
請求項3の双方向定圧膨張弁(10,30)によれば、感圧筒体(21,55)の開口縁とダイヤフラム固定盤(50)との間にダイヤフラム(22)の外縁部を挟んで溶接することで、感圧筒体(21,55)へのダイヤフラム(22)の固定が安定する。また、ダイヤフラム固定盤(50)に備えた過度変形防止部(53)を、所定量変形したダイヤフラム(22)に直接又は間接的に当接させることで、ダイヤフラム(22)の過度の変形を防止することができる。
【0020】
請求項4の双方向定圧膨張弁(10)によれば、感圧ユニット(57)の圧入筒部(56)に対する圧入位置を適宜調節することにより、双方向定圧膨張弁(10)の各構成部品の寸法のばらつきによる影響を抑えて、双方向定圧膨張弁(10)の品質を均一にすることができる。
【0021】
また、本発明の双方向定圧膨張弁(10,30)は、従来の双方向定圧膨張弁と異なり、感圧部(20A,20B)を一端側と他端側とに対にして設けたので、室内熱交換器(92A)側の弁口(16B)の冷媒圧力に対する弁開度の特性と、室外熱交換器(91A)側の弁口(16A)の冷媒圧力に対する弁開度の特性とを、それぞれ別々に適した特性に設定することができる。
【0022】
具体的には、請求項5の双方向定圧膨張弁(10,30)のように、暖房冷房いずれかの運転時に下流側に位置する一方の弁口(16A)と当接シャフト(17D,34)との隙間の開口面積を、他方の弁口(16B)と当接シャフト(17D,34)との隙間の開口面積より広くしてもよい。これにより、暖房冷房の何れか一方の運転時に双方向定圧膨張弁(10,30)にて制御されて流される冷媒流量が、他方の運転時に制御されて流される冷媒流量より大きくなり、比較的に大流量(大容量)を必要とする暖房運転時になどに適切に対応することができる。
【0023】
さらに、請求項6の双方向定圧膨張弁(10,30)のように、一端側又は他端側の感圧部(20A,20B)のうち冷房運転時に下流側に位置する室内熱交換器(92A)側の感圧部(20B)の弾性係数と、暖房運転時に下流側に位置する室外熱交換器(91A)側の感圧部(20A)の弾性係数とを異ならせて、冷媒圧力及び冷媒流量が異なる冷房運転時と暖房運転時のそれぞれにおいて冷媒の圧力と流量を制御可能な最適な弁のリフト特性を得ることができる。
【0024】
請求項7の構成によれば、1対の当接シャフト(17D)が、可動弁体(17)の両端部から延設されているので、一端側及び他端側の感圧部(20A,20B)の構造を簡素化することができる。
【0025】
なお、請求項8の構成のように、1対の当接シャフト(34)を、他端側及び一端側の感圧部(20A,20B)にそれぞれ固定し、可動弁体(33)を球体(33)で構成してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
[第1実施形態]
以下、本発明の一実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。
図1に示された本実施形態の双方向定圧膨張弁10のボディ10Bは、パイプ部材12の内部に1対の対向壁13,13を備えてなる。パイプ部材12は、例えば、断面円形をなして真っ直ぐ延びており、両端寄り位置でテーパー状に縮径され、中間部分より両端部の径が小さくなっている。
【0027】
1対の対向壁13,13は、パイプ部材12と別部品になっており、これら両対向壁13,13の間には、円筒状のガイド筒体15Aが備えられている。そして、各対向壁13の中心に円形凹所15Bが形成され、各対向壁13の円形凹所15Bにガイド筒体15Aの各端部が嵌合されている。これにより、対向壁13,13同士が互いに心だしされている。また、円形凹所15Bの奥面にガイド筒体15Aの先端が突き当てられて対向壁13,13同士が位置決めされ、対向壁13,13同士の間隔が一定の大きさになっている。
【0028】
各対向壁13の外周面には係止溝14が全周に亘って形成されている。これに対応して、パイプ部材12の中間部分における軸方向の2箇所には、パイプ部材12の一部を周方向全体に亘って内側に屈曲させて1対の突条12T,12Tが形成されている。そして、各対向壁13,13の係止溝14内に各突条12Tを係合させて、対向壁13,13がパイプ部材12内に位置決め固定されると共に、対向壁13,13の外周面とパイプ部材12の内周面との隙間が塞がれている。これにより、パイプ部材12内の流路11が1対の対向壁13,13によって一端側の一端側領域R1と他端側の他端側領域R2とそれら一端側領域R1と他端側領域R2の中間の中間領域R3とに区画されている。
【0029】
対向壁13,13の中心部には、弁口16A,16Bが形成されている。これら弁口16A,16Bは、開口形状が共に円形になっており、互いに同軸上に配置されている。また、前記したガイド筒体15A及び円形凹所15Bはこれら弁口16A,16Bの同心円上に配置されている。さらに、一方の対向壁13の弁口16A(図1の上側の弁口16A)の内径は、他方の対向壁13の弁口16Bの内径より大きくなっている。そして、これら弁口16A,16Bを通して冷媒が一端側領域R1と中間領域R3との間、中間領域R3と他端側領域R2との間を流れる。また、両弁口16A,16Bにおける中間領域R3側の開口縁には、テーパー状の弁座16Zが形成されている。
【0030】
ガイド筒体15Aの両端部には、ガイド筒体15Aを軸方向と直交する方向に貫通した冷媒通過孔15Cがそれぞれ形成され、これら冷媒通過孔15Cを通して冷媒がガイド筒体15Aの内側と外側との間を流れる。また、各対向壁13,13には、ガイド筒体15Aの両端部を囲むようにテーパー面15T,15Tが形成されている。そして、例えば、一端側の冷媒通過孔15Cからガイド筒体15Aの外側に向かって流れた冷媒を一端側のテーパー面15Tによってガイド筒体15Aの軸方向に案内すると共に、ガイド筒体15Aの外面に沿って流れた冷媒を他端側のテーパー面15Tによって他端側の冷媒通過孔15C内に案内する役割を果たす。
【0031】
ガイド筒体15Aの内部には、可動弁体17が収容されている。可動弁体17は、ガイド筒体15Aと同軸方向に延びた円柱体構造をなし、両端部に向かうに従って先細りになっている。具体的には、可動弁体17は、軸方向の中央部に摺動部17Aを備え、その摺動部17Aの両端から両先端に向かって、それぞれ遊嵌部17Bと弁部17Cと当接シャフト17Dとを順番に備えている。
【0032】
摺動部17Aは、ガイド筒体15Aの内面を摺動可能な大きさをなし、これにより、可動弁体17がガイド筒体15A及び弁口16A,16Bに心だしされている。
【0033】
各当接シャフト17D,17Dは各弁口16A,16Bに遊嵌されている。そして、各弁口16A,16Bの内周面と当接シャフト17D,17Dの外周面との間の隙間を通して冷媒が弁口16A,16Bを流れる。また、両当接シャフト17D,17Dは同じ外径になっている。そして、前述したように、一方の弁口16Aの内径が、他方の弁口16Bの内径より大きいので、一方の弁口16Aと当接シャフト17Dとの隙間の開口面積が、他方の弁口16Bと当接シャフト17Dとの隙間の開口面積より広くなっている。
【0034】
両遊嵌部17B,17Bは、摺動部17Aに対して段付き状に径が小さくなっており、遊嵌部17Bとガイド筒体15Aの内面との間に形成された隙間は、冷媒が通過することが可能な大きさになっている。
【0035】
弁部17Cは、一端が遊嵌部17Bと同じ外径をなし、他端が当接シャフト17Dと同じ外径をなしたテーパー形状になっている。また、弁部17Cのテーパーの傾斜は、例えば、弁口16A,16Bの開口縁に備えたテーパー状の弁座16Zの傾斜と同じ角度になっている。そして、図3に示すように可動弁体17がガイド筒体15A内を一端側に移動すると、一方の弁部17Cが一方の弁口16Aに接近してその弁口16Aの弁開度が調節可能となると共に、他方の弁部17Cが他方の弁口16Bから十分に離れて弁口16Bが開弁状態になる。これとは逆に、図1に示すように可動弁体17がガイド筒体15A内を他端側に移動すると、他方の弁部17Cが一方の弁口16Bに接近してその弁口16Bの弁開度が調節可能となると共に、一方の弁部17Cが他方の弁口16Aから十分に離れて弁口16Aが開弁状態になる。
【0036】
各弁口16A,16Bの弁開度を調節するために、ボディ10Bの一部としての各対向壁13,13には、本発明に係る一端側感圧部20Aと他端側感圧部20Bとが組み付けられている。
【0037】
一端側感圧部20A及び他端側感圧部20Bは、共に一端開放の感圧筒体21の開口にダイヤフラム22を張ってなる。図4に示すように、感圧筒体21の筒壁は、開口端側の外径が途中で段付き状に拡径され、その筒壁の開口端から側方にフランジ部21Fが張り出されている。感圧筒体21に対してダイヤフラム22を挟んだ位置にはダイヤフラム固定盤50が備えられている。ダイヤフラム固定盤50は、一端有底の扁平円筒形状をなし、その開口端から側方にフランジ部50Fが張り出している。このフランジ部50Fは感圧筒体21のフランジ部21Fと同形状をなし、これらフランジ部21F,50Fの間にダイヤフラム22の外縁部を挟み、両フランジ部21F,50F及びダイヤフラム22が溶接されている。また、ダイヤフラム固定盤50の底壁50Bにおける中心部からは、ダイヤフラム22に向けて過度変形防止部53が膨出している。そして、過度変形防止部53の先端面はダイヤフラム22の中心部分と対向した状態になっている。これにより、ダイヤフラム22がダイヤフラム固定盤50側に所定量まで撓むと過度変形防止部53に当接して、過度の変形が防がれる。
【0038】
過度変形防止部53の先端面における中心には、当接シャフト17Dを挿通可能なシャフト挿通孔52が貫通形成されている。また、底壁50Bのうち過度変形防止部53の周りには、複数の冷媒通過孔51が貫通形成されている。
【0039】
感圧筒体21の内部には、圧縮コイルバネ24が収容され、ダイヤフラム22の内面に宛がったインナー支持盤23に圧縮コイルバネ24の一端部が押し付けられている。インナー支持盤23は、中心部がダイヤフラム22に向かって突出しており、その突出部分の先端面のみがダイヤフラム22に当接している。また、インナー支持盤23の外縁部は感圧筒体21における筒壁の段差部21Dに隙間を介して対向している。そして、ダイヤフラム22が感圧筒体21の奥側に所定量まで撓んだ際に、インナー支持盤23と段差部21Dとが当接して、ダイヤフラム22の過度変形を防止する。
【0040】
なお、感圧筒体21は、内部を真空や大気圧等の一定圧力に保つようになっている。また、円環状突部18には、軸方向と直交する方向に貫通孔18Aが形成されており、この貫通孔18Aを通してダイヤフラム22と対向壁13との間の空間が一端側領域R1(又は、他端側領域R2)全体に連通している。
【0041】
上記した感圧筒体21、ダイヤフラム22、インナー支持盤23、圧縮コイルバネ24及びダイヤフラム固定盤50の複数の部品は、上記した溶接により一体化されて感圧ユニット57になっている。この感圧ユニット57を各対向壁13,13に取り付けるために、各対向壁13,13のうち中間領域R3との反対面には、外寄り部分に円環状突部18が形成され、その円環状突部18の外縁部から係止片19が起立している。そして、感圧ユニット57におけるダイヤフラム固定盤50の円筒壁50Aを円環状突部18の内側に押し込んで芯だしすると共に、フランジ部21F,50Fの外縁部を円環状突部18の端面に押し付けて軸方向を位置決めした状態で、係止片19がフランジ部21F,50F側に押し倒されている。これにより、感圧ユニット57,57が各対向壁13,13に固定されて一端側感圧部20Aと他端側感圧部20Bが構成されている。
【0042】
上記したダイヤフラム22及び圧縮コイルバネ24を合わせた弾性係数は、一端側と他端側の感圧部20A,20B(図1参照)の間で異なっている。具体的には、他端側感圧部20Bの弾性係数が、一端側感圧部20Aの弾性係数より大きくなっている。また前述したように、一方の弁口16Aと当接シャフト17Dとの隙間の開口面積が、他方の弁口16Bと当接シャフト17Dとの隙間の開口面積より広くなっており、これらの弾性係数と開口面積とを所定の値に設定して組み合わせることで、他端側領域R2が下流になった場合のその他端側領域R2の冷媒圧力が、一端側領域R1が下流になった場合のその一端側領域R1の冷媒圧力より大きくなるように構成されている。
【0043】
本実施形態に係る双方向定圧膨張弁10の構成の説明は以上であり、次に、この双方向定圧膨張弁10を、図5に示したヒートポンプ回路90に組み付けた場合の動作について以下説明する。このヒートポンプ回路90は、例えば、一般家庭用のルームエアコンに備えられている。ヒートポンプ回路90には室外熱交換器91Aと室内熱交換器92Aとが備えられ、その室外熱交換器91Aは、ルームエアコンの室外機91に組み込まれる一方、室内熱交換器92Aは室内機92に組み込まれている。そして、1対の管路96A,96Bによってこれら室外熱交換器91Aと室内熱交換器92Aとの間が接続されて、室外熱交換器91A及び室内熱交換器92Aを含む冷媒循環路96が形成され、冷媒がこれら室外熱交換器91A及び室内熱交換器92Aを通過して冷媒循環路96を循環する。そして、冷媒が室外熱交換器91Aを通過する際に冷媒と外気との間で熱交換が行われ、冷媒が室内熱交換器92Aを通過する際に冷媒と室内の空気との間で熱交換が行われる。
【0044】
本実施形態の双方向定圧膨張弁10は、室外機91内に組み付けられると共に、室外熱交換器91Aと室内熱交換器92Aとの間を連絡する一方の管路96Aの途中に接続されている。そして、ボディ10Bのうち図1の上側に示した一端側領域R1が室外熱交換器91Aに常時連通する一方、図1の下側に示した他端側領域R2が室内熱交換器92Aに常時連通した状態になっている。また、室外機91側では、他方の管路96Bの途中に四方弁93を介して圧縮機94が接続されている。そして、ヒートポンプ回路90を冷房運転と暖房運転とに切り替えると、四方弁93が作動して、冷媒循環路96を流れる冷媒の向きが逆転する。
【0045】
さて、ヒートポンプ回路90の冷房運転時には、一方の管路96Aにおいては、冷媒が室内熱交換器92Aから室外熱交換器91Aに流され、このとき、双方向定圧膨張弁10においては、図1の矢印で示したように、冷媒が一端側領域R1、一方の弁口16A、中間領域R3、他方の弁口16B、他端側領域R2の順番に流れる。すると、中間領域R3内の可動弁体17が冷媒に押されて下流側(この場合は図1の下側)に移動し、下流側の弁口16Bに遊嵌された当接シャフト17Dが、可動弁体17と他端側感圧部20Bとの間で突っ張り状態になる。これにより、可動弁体17が他端側感圧部20Bによって位置決めされる。
【0046】
ここで、他端側領域R2内の冷媒圧力が比較的大きくなると、他端側感圧部20Bのダイヤフラム22が弁口16Bから離れるように変形し、これに伴って可動弁体17が弁口16Bに接近して弁開度が小さくなり、他端側領域R2内の冷媒圧力が下がる。これとは逆に、他端側領域R2内の冷媒圧力が比較的小さくなると、他端側感圧部20Bのダイヤフラム22が弁口16Bに近づくように変形し、これに伴って可動弁体17が弁口16Bから離れて弁開度が大きくなり、他端側領域R2内の冷媒圧力が上がる。これにより、下流側の冷媒圧力を一定にすることができる。
【0047】
一方、ヒートポンプ回路90を冷房運転から暖房運転に切り替えると、冷媒が流れる方向が逆転して、図2の矢印で示したように、冷媒が他端側領域R2、他方の弁口16B、中間領域R3、一方の弁口16A、一端側領域R1の順番に流れる。すると、図2から図3の変化に示したように、中間領域R3内の可動弁体17が冷媒に押されて下流側(この場合は、図3の上側)に移動し、下流側の弁口16Aに遊嵌された当接シャフト17Dが、可動弁体17と一端側感圧部20Aとの間で突っ張り状態になる。これにより、可動弁体17が一端側感圧部20Aによって位置決めされる。
【0048】
そして、冷房運転時と同様に、一端側領域R1内の冷媒圧力が比較的大きくなると、これに伴って可動弁体17が弁口16Aに接近して弁開度が小さくなり、一端側領域R1内の冷媒圧力が下がる。これとは逆に、他端側領域R2内の冷媒圧力が比較的小さくなると、これに伴って可動弁体17が弁口16Bから離れて弁開度が大きくなり、他端側領域R2内の冷媒圧力が上がる。これにより、下流側の冷媒圧力を一定にすることができる。
【0049】
このようにして、本実施形態の双方向定圧膨張弁10によれば、冷媒の流れる向きに拘わらず、下流側の冷媒圧力を一定にすることができる。そして、本実施形態の双方向定圧膨張弁10では、一端側及び他端側の感圧部20A,20Bは、ボディ10Bに固定されているので、一端側及び他端側の感圧部20A,20B自体が、冷媒の流れる方向に応じて移動することはない。従って、従来のようにベローズの挫屈を規制しかつ伸縮可能に支持した直動支持機構が不要になる。これにより、直動支持機構の摺動抵抗の影響がなくなり、従来より正確に冷媒を一定圧力にすることが可能になる。しかも、可動弁体17はガイド筒体15Aによって直動可能に案内されているので、可動弁体17の直動位置と弁開度との対応関係が従来より安定し、この点においても、従来より正確に冷媒を一定圧力にすることが可能になる。
【0050】
また、本実施形態の双方向定圧膨張弁10は、従来の双方向定圧膨張弁と異なり、感圧部20A,20Bを一端側と他端側とに対にして設けたので、室内熱交換器92A側の弁口16Bの冷媒圧力に対する弁開度の特性と、室外熱交換器91A側の弁口16Aの冷媒圧力に対する弁開度の特性とを、それぞれ別々に適した特性に設定することができる。そして、本実施形態の双方向定圧膨張弁10では、冷房運転時における下流側の冷媒圧力を、暖房運転時における下流側の冷媒圧力より大きくなるように構成したので、冷房運転時と暖房運転時のそれぞれで最適な温度及び圧力に制御された冷媒を室外及び室内の熱交換器91A,92Aに供給することができる。
【0051】
しかも、暖房運転時に下流側に位置する一方の弁口16Aと当接シャフト17Dとの隙間の開口面積を、他方の弁口16Bと当接シャフト17Dとの隙間の開口面積より広くしたので、冷媒の流量が比較的大きい暖房運転時にも、適切に対応することができる。
【0052】
さらに、冷房運転時に下流側に位置する他端側感圧部20Bの弾性係数と、暖房運転時時に下流側に位置する一端側感圧部20Aの弾性係数とを異ならせて、冷媒圧力及び冷媒流量が異なる冷房運転時と暖房運転時のそれぞれにおいて最適な弁のリフト特性を得ることができる。
【0053】
[第2実施形態]
本実施形態では、感圧ユニット57の対向壁13に対する位置を調節可能である点が第1実施形態異なる。具体的には、図6に示すように本実施形態の各対向壁13には、前記第1実施形態の係止片19に代えて、円環状突部18の外縁部から圧入筒部56が突出形成されている。また、感圧筒体55は、ダイヤフラム22を固定するためのフランジ部21Fより外径が大きな圧入軸部55Kが備えられ、この圧入軸部55Kを圧入筒部56に圧入することで、感圧ユニット57を対向壁13に対して任意の位置に保持することができる。上記以外の構成は、第1実施形態と同様であるので、重複した説明は省略する。
【0054】
本実施形態の感圧ユニット57は以下のようにして位置調節される。即ち、各対向壁13の圧入筒部56に対して感圧ユニット57を比較的浅く圧入し、当接シャフト17Dがダイヤフラム22に接触して各弁口16A,16Bが僅かに開く位置に各感圧ユニット57を配置して双方向定圧膨張弁10の組付けを完成させておく。そして、例えば、他端側感圧部20Bにおける感圧ユニット57を調節するには、パイプ部材12における他端側感圧部20B側の開口端に流量を絞るためのオリフィス60を取り付けると共に、中間領域R3内の圧力を検出するための図示しない圧力計を取り付ける。
【0055】
この状態で、双方向定圧膨張弁10の一端側領域R1内を所定の圧力(例えば、2MPa)にする。すると、弁口16Bを通して他端側領域R2に流れ込んだ冷媒の圧力により他端側感圧部20Bのダイヤフラム22が感圧筒体21の奥側に撓む。このとき、他端側感圧部20B側における感圧ユニット57の圧入筒部56に対する圧入量が足りなければ、中間領域R3内が圧力、即ち、双方向定圧膨張弁10の下流側の圧力が設計通りの基準圧力(例えば、0.5MPa)を下回っても弁口16Bが閉じた状態に保持される。その場合、他端側感圧部20B側の感圧ユニット57を僅かに押し込んでから、再度、双方向定圧膨張弁10の一端側領域R1内を所定の圧力にする。そして、中間領域R3内が設計通りの基準圧力で弁口16Bが開いた状態に保持される位置まで感圧ユニット57を押し込めばよい。そして、同様の方法で、一端側感圧部20Aにおける感圧ユニット57の位置調節作業を行えばよい。
【0056】
このように双方向定圧膨張弁10によれば、感圧ユニット57を圧入筒部56に圧入する位置を適宜調節することにより、双方向定圧膨張弁10の各構成部品の寸法のばらつきによる影響を抑えて、双方向定圧膨張弁10の品質を均一にすることができる。なお、上記した圧入作業を容易に行うために、螺子嵌合によって感圧ユニット57を圧入筒部56に固定してもよい。
【0057】
[第3実施形態]
本実施形態の双方向定圧膨張弁30は、図7に示されている。以下、前記第1実施形態と同一の構成に関しては同一の符号を付して重複した説明は省略し、第1実施形態と相違する構成に関してのみ説明する。
【0058】
図7において符号31は、第1内壁構成体であって、前記第1実施形態における一方の対向壁13の外径を若干小さくして、その外周面から係止突条31Aを張り出した構造になっている。また、符号32は、第2内壁構成体であって、前記第1実施形態における他方の対向壁13のうち外縁部から他端側感圧部20Bと反対側に係止突片31Bを張り出した構造になっている。そして、第1内壁構成体31と第2内壁構成体32の一端面同士を接合した状態にして、係止突片31Bを内側に折り曲げて係止突条31Aに係合することで、第1内壁構成体31と第2内壁構成体32とが一体化されている。
【0059】
第2内壁構成体32の中心部分には、第1内壁構成体31との接合面に断面円形の陥没部38が形成される一方、第1内壁構成体31の中心部分には、円筒突部39が形成されている。そして、陥没部38に円筒突部39が嵌合され、その円筒突部39の内側が、本発明に係る中間領域R3をなし、陥没部38と円筒突部39の各奥壁が本発明に係る1対の対向壁13F,13Fになっている。そして、中間領域R3の内部には、本発明に係る可動弁体としての球体33が収容されている。
【0060】
また、一端側感圧部20A及び他端側感圧部20Bの各ダイヤフラム22には、それぞれ中心部に当接シャフト34の一端部が固定され、当接シャフト34の他端部がシャフト挿通孔52、弁口16A,16B内に配置されている。また、当接シャフト34の一端部には大径部34Dが備えられている。さらに、本実施形態のダイヤフラム固定盤50における底壁50Bは平坦になっており、シャフト挿通孔52はその底壁50Bの中心部に配置され、シャフト挿通孔52の開口縁が過度変形防止部53になっている。そして、この過度変形防止部53が通常は当接シャフト34の大径部34Dに対して隙間を介して対向し、ダイヤフラム22の過度変形を防止している。
【0061】
本実施形態の双方向定圧膨張弁30によれば、冷媒が図7において下向きに流れると、球体33が弁口16B側に移動し、その弁口16Bの弁座16Zと球体33との間に隙間が形成される。そして、他端側領域R2内の圧力が比較的高くなると、球体33が弁口16Bの弁座16Zに接近して弁開度が小さくなり、他端側領域R2内の圧力が比較的小さくなると、球体33が弁口16Bの弁座16Zから離れて弁開度が大きくなる。これにより、他端側領域R2の冷媒圧力が一定に保持される。
【0062】
冷媒が流れる向きが逆転した場合には、球体33が弁口16A側に移動し、同様に、一端側領域R1内の冷媒圧力に応じて弁口16Aの弁開度が調節されて、一端側領域R1の冷媒圧力が一定に保持される。
【0063】
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0064】
(1)前記第1〜第3の実施形態の一端側感圧部20A及び他端側感圧部20Bは、ダイヤフラム22を備えていたが、このダイヤフラム22に代えてベローズを一端側感圧部及び他端側感圧部に設けた構成にしてもよい。
【0065】
(2)前記第1〜第3の実施形態のボディ10Bは、パイプ部材12と対向壁13(13F)とを組み付けて構成されていたが、対向壁13(13F)をパイプ部材12に一体形成したものも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0066】
(3)図8に示すように前記第1実施形態の双方向定圧膨張弁10からダイヤフラム固定盤50を排除したもの、又は、図9に示すように前記第3実施形態の双方向定圧膨張弁30からダイヤフラム固定盤50を排除したものも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0067】
(4)前記第1実施形態は、暖房運転時と冷房運転時とで下流側の冷媒圧力が異なるように構成になっていたが、上記した双方向定圧膨張弁の両端部の構成を同一にして暖房運転時と冷房運転時とで下流側の冷媒圧力が同一になるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1実施形態に係る双方向定圧膨張弁の側断面図
【図2】その双方向定圧膨張弁の側断面図
【図3】その双方向定圧膨張弁の側断面図
【図4】双方向定圧膨張弁の一部を拡大した側断面図
【図5】ヒートポンプ回路の概念図
【図6】第2実施形態に係る双方向定圧膨張弁の側断面図
【図7】第3実施形態に係る双方向定圧膨張弁の側断面図
【図8】変形例の双方向定圧膨張弁の側断面図
【図9】変形例の双方向定圧膨張弁の側断面図
【図10】従来の双方向定圧膨張弁の側断面図
【符号の説明】
【0069】
10,30 双方向定圧膨張弁
10B ボディ
11 流路
13,13F 対向壁
15A ガイド筒体
15C 冷媒通過孔
16A,16B 弁口
17 可動弁体
17D,34 当接シャフト
20A 一端側感圧部
20B 他端側感圧部
21 感圧筒体
22 ダイヤフラム
33 球体
50 ダイヤフラム固定盤
51 冷媒通過孔
52 シャフト挿通孔
53 過度変形防止部
57 感圧ユニット
90 ヒートポンプ回路
91A 室外熱交換器
92A 室内熱交換器
R1 一端側領域
R2 他端側領域
R3 中間領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートポンプ回路(90)の室内熱交換器(92A)と室外熱交換器(91A)との間に接続されて冷媒が双方向に流され、下流側の冷媒圧力を一定にすることが可能な双方向定圧膨張弁(10,30)において、
前記冷媒の流路(11)を内部に有したボディ(10B)と、
前記ボディ(10B)に設けられて、前記流路(11)を一端側領域(R1)と中間領域(R3)と他端側領域(R2)とに区画する1対の対向壁(13,13F)と、
前記1対の対向壁(13,13F)に貫通形成されて、略同軸上に配置された1対の弁口(16A,16B)と、
前記ボディ(10B)に固定されて、前記一端側領域(R1)内で一方の前記弁口(16A)に対向配置され、前記一端側領域(R1)内の冷媒圧力が上昇するに従って前記一方の弁口(16A)から離れるように弾性変形する一端側感圧部(20A)と、
前記ボディ(10B)に固定されて、前記他端側領域(R2)内で他方の前記弁口(16B)に対向配置され、前記他端側領域(R2)内の冷媒圧力が上昇するに従って前記他方の弁口(16B)から離れるように弾性変形する他端側感圧部(20B)と、
前記中間領域(R3)に収容されて、前記1対の弁口(16A,16B)の間を移動し、接近した側の前記弁口(16A,16B)の弁開度を変更可能な可動弁体(17,33)と、
前記1対の弁口(16A,16B)にそれぞれ遊嵌され、前記可動弁体(17,33)の位置に応じて、前記一端側又は他端側の感圧部(20A,20B)の何れか一方と前記可動弁体(17,33)との間で突っ張り状態になる1対の当接シャフト(17D,34)とを備えたことを特徴とする双方向定圧膨張弁(10,30)。
【請求項2】
前記一端側及び他端側の感圧部(20A,20B)は、共に一端開放の感圧筒体(21,55)の開口端にダイヤフラム(22)を張ってなり、前記感圧筒体(21,55)が前記ボディ(10B)に固定され、前記ダイヤフラム(22)が前記弁口(16A,16B)に対向配置されたことを特徴とする請求項1に記載の双方向定圧膨張弁(10,30)。
【請求項3】
前記感圧筒体(21,55)の開口縁との間に前記ダイヤフラム(22)の外縁部を挟んで溶接されたダイヤフラム固定盤(50)と、
前記ダイヤフラム固定盤(50)に貫通形成されて、冷媒を通過可能とした冷媒通過孔(51)と、
前記ダイヤフラム固定盤(50)に貫通形成されて、前記当接シャフト(17D,34)が挿通したシャフト挿通孔(52)と、
前記シャフト挿通孔(52)の開口縁に備えられ、通常は前記ダイヤフラム(22)に隙間を介して対向して、前記ダイヤフラム(22)が所定量以上変形することを防止する過度変形防止部(53)とを備えたことを特徴とする請求項2に記載の双方向定圧膨張弁(10,30)。
【請求項4】
前記感圧筒体(55)と前記ダイヤフラム(22)と前記ダイヤフラム固定盤(50)とを一体化した感圧ユニット(57)と、
前記対向壁(13)から突出し、前記感圧ユニット(57)を内側に圧入して任意の位置に保持可能な圧入筒部(56)とを備えたことを特徴とする請求項3に記載の双方向定圧膨張弁(10)。
【請求項5】
一方の前記弁口(16A)と前記当接シャフト(17D,34)との隙間の開口面積を、他方の前記弁口(16B)と前記当接シャフト(17D,34)との隙間の開口面積より広くしたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の双方向定圧膨張弁(10,30)。
【請求項6】
前記一端側又は他端側の感圧部(20A,20B)のうち前記室内熱交換器(92A)側の感圧部(20B)の弾性係数と、前記室外熱交換器(91A)側の感圧部(20A)の弾性係数とを異ならせたことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の双方向定圧膨張弁(10,30)。
【請求項7】
前記1対の当接シャフト(17D)は、前記可動弁体(17)の両端部から延設されたことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の双方向定圧膨張弁(10)。
【請求項8】
前記1対の当接シャフト(34)を、前記他端側及び一端側の感圧部(20A,20B)にそれぞれ固定し、前記可動弁体(33)を球体(33)で構成したことを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の双方向定圧膨張弁(30)。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−232224(P2007−232224A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−47910(P2006−47910)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【出願人】(000204033)太平洋工業株式会社 (143)