説明

反射型表示素子

【課題】高コントラストで高反射率かつ高精細な反射型表示素子を提供する。
【解決手段】アレイ基板12に対向基板13を対向配置する。アレイ基板12の透明構造体23と対向基板13の陽極33との間に電解液層14を介在する。電源のオン状態とオフ状態との切り換えにて発色体24の着色状態と非着色状態とを切り換えて、非給電時の入射光の透明構造体23内での全反射と、給電時の透明構造体23での吸収とを制御することで、高反射率かつ高精細にできる。透明構造体23内での反射によって光学距離を増すことで給電時の吸光度を大きくした着色状態にすることで、高コントラストにできる。反射光の内部への侵入を抑制して内部散乱を抑制することで、高反射率にできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロクロミズムを利用した反射型表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示素子は、ノートパソコン、モニター、カーナビゲーション、携帯電話、TVなど様々な分野に応用されている。
【0003】
なかでも、反射型表示素子は、バックライトが不要であることから低消費電力かつ薄型軽量といった利点があり、携帯機器用ディスプレイなどに応用されている。しかしながら、従来の反射型表示素子は、紙、印刷物などと比較して明るさの点で劣る表示性能である。また、反射および透過表示可能な液晶表示素子も、携帯機器用ディスプレイなどに応用されている。しかしながら、バックライトを使用するため、電源となる電池で充分な駆動時間を得ようとするとバックライトの輝度を下げざるをえず、充分な明るさが得られない。
【0004】
これら問題を解決する手段として、ポリマー分散液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)に代表される散乱型液晶表示素子がある。ランダム配列された液晶と屈折率異方性のない等方層との屈折率差、もしくはランダム配列された液晶の分子同志の屈折率差にて、入射した光の散乱および散乱反射を利用するものである。
【0005】
この散乱型液晶表示素子を反射型として用いる場合、液晶層に電界を印加せず、光が入射する方向に対して等方層より液晶層の屈折率が小さく、もしくは液晶層の分子間の屈折率が同様の差があるときに入射光を反射させて明状態とし、一方、液晶層に電界を印加し、光が入射する方向に対して等方層と液晶層との屈折率を等しくし、もしくは液晶層の分子間の屈折率を等しくし、入射光を透過させて素子後方に配置した遮光層により吸収して暗状態を得ている。しかしながら、屈折率差は液晶分子の異常光屈折率および常光屈折率の平均値と常光屈折率との差しか得られず、現在実用的に用いられる液晶材料では、大きくても0.13程度でしかない。このため、充分な反射率を得るには、厚みを厚くする必要があり、駆動電圧が著しく高くなる。従って消費電力が高くなり、携帯機器用ディスプレイに不適となる。
【0006】
また、上記散乱型液晶表示素子を透過型として用いる場合、散乱反射で暗状態を得ているが、反射型同様、充分なコントラストを得るには厚みを厚くする必要があり、駆動電圧が著しく高くなる。従って消費電力が高くなり、携帯機器用ディスプレイに不適となる。
【0007】
一方で、エレクトロクロミズムを利用した反射型の表示装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この表示装置では、観察側(前面)基板などに形成された発色体の着色と消色とを電気化学的な制御により切り換えて表示をしており、表示時(着色時)は、発色体の色を、非表示時(消色時)は、背面基板上に形成された反射層からの反射光を見ることになる。つまり、鮮明な表示を得るには、高い反射率の反射層と発色層の充分な吸光度が必要となる。
【0008】
このような反射型表示装置の場合、液晶表示装置と比較して、低消費電力、高反射率およびメモリー性といったメリットがあるが、現在の構成では前面と背面反射板間の距離によるセル内散乱により反射率をロスしてしまう。加えて、前記距離により視差を生じ高精細表示において表示劣化を引き起こすおそれがある。また、充分な吸光度を得るためには発色層を厚くする必要があるが、この場合、発色層の膜厚が均一でないと色むらを起こすおそれがあり、このような均一な厚膜を形成することは容易ではない。
【特許文献1】特開2005−266711号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、従来のエレクトロクロミズムを利用した反射型表示装置は、対向基板側に反射層を形成しており、視差、散乱による高精細表示時の表示劣化が課題であった。また、高反射率、高コントラストを得るには、セル内散乱光の抑制、充分な発色層の吸光度が必要となる。
【0010】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、高コントラストで高反射率かつ高精細な反射型表示素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、透光性を有する第1導電層を一主面側に備えるとともに、内部にエレクトロクロミズムを示す発色体を有し連続した凸形状に形成された透明構造体を備えた第1基板と、第2導電層および陽極を一主面側に備え前記第1基板に対向配置される第2基板と、前記透明構造体と前記陽極との間に介在された電解液層とを具備したものである。
【0012】
そして、給電と非給電との切り換えにて発色体の着色状態と非着色状態とを切り換えて、非給電時の入射光の透明構造体内での全反射と、給電時の透明構造体での吸収とを制御するとともに、透明構造体内での反射によって光学距離を増すことで給電時の吸光度を大きくした着色状態にし、かつ、反射光の内部への侵入を抑制して内部散乱を抑制する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高コントラストで高反射率かつ高精細な反射型表示素子を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態の反射型表示素子の構成を図1ないし図4を参照して説明する。
【0015】
図1に示すように、反射型表示素子11は、表示面側の第1基板としてのアレイ基板12と、第2基板としての対向基板13と、これらアレイ基板12と対向基板13との間に挟持された電解液層14とを備えている。
【0016】
アレイ基板12は、例えば透明なガラス製の透明基板21を備えている。この透明基板21の対向基板13に対向する内面には、複数のスイッチング素子としてのTFT素子、ドレイン電極、共通電極、信号線、ゲート線などが形成されている。さらに、このアレイ基板12の対向基板13に対向する内面には、例えばITO膜などの、透光性を有する第1導電層としての発色層である透明導電層22が形成され、この透明導電層22上にそれぞれ対向基板13側へ向けて突出する複数の透明構造体23が基板面方向に連続して形成されている。
【0017】
透明導電層22には、各TFT素子で制御される複数の電極22aが例えばマトリクス状に形成されている。
【0018】
また、透明構造体23は、絶縁層である例えばTiO膜にて、透明導電層22側を底辺として一対の傾斜面23aを有する断面形状が略二等辺三角形に形成されている。透明構造体23の底角θは、電解液層14の屈折率をne、透明構造体23の屈折率をnpとしたとき、arcsin(ne/np)≦θ≦{180−arcsin(ne/np)}/3の関係を有するように形成されている。
【0019】
さらに、透明構造体23の内部には、図示しない微細孔が形成され、この微細孔の表面が、エレクトロクロミズムを示す発色体24で覆われている。
【0020】
隣接する透明構造体23間には、アレイ基板12へ向けて拡開するV溝状の凹部25が形成されている。
【0021】
アレイ基板12の透明基板21、透明導電層22、透明構造体23の可視光領域での屈折率は、透明基板21<透明導電層22<透明構造体23の大小関係を有している。
【0022】
透明基板21の外面には図示しない反射防止フィルムなどの反射防止層が形成されている。
【0023】
アレイ基板12の外面である表示面側から見て各透明構造体23の底辺に対向する領域が画素26として形成されている。
【0024】
また、対向基板13は、例えばステンレス(SUS)製の基板31を備えている。この基板31のアレイ基板12に対向する内面には、例えばITO膜などの透光性を有する第2導電層としての透明導電層32が形成され、この透明導電層32上に陽極33が形成されている。
【0025】
そして、これら対向基板13とアレイ基板12とは例えばエポキシ系の熱硬化樹脂などの接着剤を用いて所定の位置で貼り合わされ、電解液層14を構成する電解液が注入口を通じて充填された後にその注入口が紫外線硬化樹脂などで封止されている。
【0026】
また、電解液層14には、例えば電解液として、トリフルオロメタンスルホン酸リチウムの0.2mM水溶液などが用いられている。
【0027】
次に、本実施の形態の作用について説明する。
【0028】
まず、反射型表示素子11の製造方法について説明する。
【0029】
透明基板21上に成膜とパターニングを繰り返す通常のTFTプロセスにより、TFT素子、ドレイン電極、共通電極、信号線およびゲート線などを作成する。
【0030】
さらに、ITO膜を作成して透明導電層22とする。
【0031】
一方で、透明基板21の透明導電層22上に、透明絶縁膜として3μmの微細孔を有するTiO膜を溶液塗布法により形成し、さらに切削法により6μmピッチのV溝形状に加工して透明構造体23を形成したアレイ基板12とする。そして、アレイ基板12をビオロゲン誘導体の水溶液中に浸し、透明構造体23の微細孔表面に化学吸着させて発色体24とする。
【0032】
また、対向基板13として、ステンレス製の基板31上に透明導電層32を形成した後、陽極33として微細孔を有するアンチモンドープした酸化スズ層を形成する。
【0033】
このようにして形成したアレイ基板12と対向基板13との周囲を、例えばエポキシ系の熱硬化樹脂からなる接着剤を用いて、所定の位置で20μmの間隔で貼り合わせる。
【0034】
次いで、電解液としてトリフルオロメタンスルホン酸リチウムの0.2mM水溶液をアレイ基板12と対向基板13との間に充填し、注入口を紫外線硬化樹脂で封止して反射型表示素子11を作成する。
【0035】
次に、反射型表示素子11の表示原理を図2および図3を参照して説明する。
【0036】
図2および図3に示すように、アレイ基板12の外方から入射する入射光は、アレイ基板12の透明基板21、透明導電層22、透明構造体23の順に進入し、透明構造体23と電解液層14との界面に達する。
【0037】
この間の各層での入射角と屈折角の関係は、次のスネルの式により以下の通り表される。
【0038】
n1・sinθ1=n2・sinθ2
【0039】
ここで、n1、n2は入射層の屈折率、屈折層の屈折率を、θ1、θ2は入射角、屈折角を示す。
【0040】
この式より、高屈折率層から低屈折率層に光が進入した場合、入射角に対して屈折角は大きくなる。
【0041】
透明構造体23と電解液層14との界面に達した光も同様にスネルの式に従った振る舞いとなり、図2に示すように、透明構造体23の屈折率が電解液層14の屈折率よりも充分大きく、入射角が大きいときには、透明構造体23と電解液層14との界面で全反射が起こり、透明構造体23から電解液層14への光の進入はなくなる。
【0042】
上記透明構造体23の一方の傾斜面23aと電解液層14との界面で全反射した光は、透明構造体23内を進行し、再び透明構造体23の他方の傾斜面23aと電解液層14との界面で全反射し、入射光と同一面側すなわち入射光の入射方向に対して戻る方向へ向けて高効率に入射光を取り出すことができる。
【0043】
一方、図3に示すように、透明構造体23と電解液層14との界面の屈折率差によって、透明構造体23と電解液層14との界面で全反射が起こらない場合は、フレネルの式に従い透明構造体23と電解液層14との界面の屈折率差に拠った反射率となり、その反射率は全反射と比較して充分小さくなる。
【0044】
入射角θ1=0
R=(n1−n2)/(n1+n2)
【0045】
入射角θ1≠0
Rs=sin(θ2−θ1)/sin(θ2+θ1)
Rp=tan(θ1−θ2)/tan(θ1+θ2)
【0046】
ここで、Rs、Rp、θ1、θ2はそれぞれs偏光、p偏光の反射率、入射角、屈折角を示す。
【0047】
透明構造体23が平面の場合でも全反射は起こるが、通常は入射角が大きい場合に限られ、反射型表示素子11として重要な表示面に対して垂直近傍の角度で充分な反射率が得られない。
【0048】
そして、本実施の形態の反射型表示素子11では、図2に示すように、非給電時、すなわち電源オフの場合、透明構造体23内の発色体24は透明であり、透明構造体23と電解液層14との界面の屈折率差は充分大きいため、透明構造体23と電解液層14との界面に進入した光は、その界面で全反射する。
【0049】
透明構造体23の一方の傾斜面23aと電解液層14との界面で全反射した光は、透明構造体23内を進行し、再び透明構造体23の他方の傾斜面23aと電解液層14との界面で全反射し、入射光と同一面側つまり入射光の入射方向に対して戻る方向へ向けて高効率に入射光を取り出すことができる。つまり、2度の全反射により、白表示となる。
【0050】
一方、図3に示すように、給電時、すなわち電源オンの場合、透明構造体23内の発色体24が着色し、透明構造体23に進入した光は、この透明構造体23の一方の傾斜面23aと電解液層14との界面で全反射されてさらに透明構造体23内を進行し、再び透明構造体23の他方の傾斜面23aと電解液層14との界面で入射光と同一面側つまり入射光の入射方向に対して戻る方向へ向けて全反射されるが、これら全反射により光が透明構造体23内を通過する光学距離が増し、この通過の間に光が吸収される。つまり、光吸収により、黒表示となる。
【0051】
このように、電源のオンオフの切り換えにて発色体24の着色状態と非着色状態(無色状態)とを切り換えて、電源オフ状態での入射光の透明構造体23内での全反射と、電源オン状態での透明構造体23内での吸収とを制御することで、高反射率、高精細な反射型表示素子11となる。この時、透明構造体23内での反射によって光学距離を増すことにより、電源オン状態での吸光度をより大きくした着色状態にできるので、着色状態と非着色状態との明暗の差を向上して高コントラストを得ることができる。さらに、反射光の反射型表示素子11内部への進入を抑制できるので、反射型表示素子11内部での散乱を抑制し、高反射率とすることができる。
【0052】
また、透明構造体23は、断面形状を二等辺三角形とし、その底角θが、電解液層14の屈折率をno、透明構造体23の屈折率をneとしたとき、arcsin(ne/no)≦θ≦{180−arcsin(ne/no)}/3の関係を満たすように形成することにより、入射光を透明構造体23の両側の傾斜面23aと電解液層14との界面で2回全反射させて観察者側に高効率に取り出すことができる範囲を規定することができる。
【0053】
さらに、反射型表示素子11においては、透明構造体23と電解液層14との界面以外の各層間の屈折率差による反射も低コントラストの原因となる。特に、空気層とアレイ基板12の透明基板21との界面の屈折率差が最も大きくなるため、透明基板21の外面に反射防止層を設けることにより、高コントラストが得られる。
【0054】
そして、アレイ基板12の透明基板21、透明導電層22、透明構造体23の可視光領域での屈折率は、透明基板21<透明導電層22<透明構造体23の大小関係であるため、図4に示すように、アレイ基板12への入射光の入射角が小さくても、透明導電層22と透明構造体23との界面には垂直に近い入射角、すなわち0に近い入射角で入射光を入射させることができ、そのため、入射光を透明構造体23と電解液層14との界面で効率的に全反射させることができ、視野角を大きくできる。
【0055】
また、透明構造体23と電解液層14との屈折率差の関係については、透明構造体23の屈折率と電解液層14の屈折率との屈折率差が大きい場合には、より小さな入射角でも全反射して視野角を大きく取ることができ、透明構造体23の屈折率と電解液層14の屈折率との屈折率差が小さい場合には、反射率が低くなり、高コントラストとなる。
【0056】
なお、上記一実施の形態において、特定エリア毎に例えばR,G,Bに着色する発色体24を吸着させカラー表示する、あるいはアレイ基板12上にカラーフィルタなどを作成し、カラー表示をするように構成することも可能である。
【0057】
また、対向基板13の基板31としてステンレスを使用したが、透明基板を用いることも可能であり、また、光を反射する反射層を設けてもよい。
【0058】
さらに、透明構造体23の凸形状は、二等辺三角形状に限らず、半球形状としても同様の作用効果が得られる。
【0059】
そして、アレイ基板12の透明導電層22として透明電極であるITO膜を用いているが、透明構造体23を導電層として用いることもできる。さらに、透明導電層22を透明基板21と透明構造体23との間に配置しているが、透明構造体23の表面に形成することもできる。
【0060】
次に、反射型表示素子11の実施例1〜3と、比較例1および比較例2とについて、標準白色板対比の反射率、白黒表示したときのコントラストを測定し、目視評価をした結果を図5に示す。なお、静止画表示時のエッジぼけがないものを良好とした。
【0061】
実施例1は、前記実施の形態に示した構造であり、屈折率1.5の透明基板21上に成膜とパターニングを繰り返す通常のTFTプロセスによりTFT素子およびドレイン電極、共通電極、信号線、ゲート線を作成した。さらに、ITO膜を作成し透明導電層22とした。この透明導電層22となるITO膜の屈折率は、1.8であった。
【0062】
一方で、透明導電層22を形成した透明基板21上に、透明絶縁膜として3μmの微細孔を有するTiO膜を溶液塗布法により形成し、さらに切削法により6μmピッチのV溝形状に加工してアレイ基板12とした。包絡線法により求めた微細孔を有するTiO膜の屈折率は2.1であった。このアレイ基板12を、ビオロゲン誘導体の水溶液中に浸し、透明構造体23の微細孔表面に発色体24を化学吸着させた。
【0063】
対向基板13として、ステンレス(SUS)により形成された基板31上に透明導電層32を形成した後、陽極33として微細孔を有するアンチモンドープした酸化スズ層を形成した。
【0064】
このようにして作成したアレイ基板12と対向基板13との周囲に、エポキシ系の熱硬化樹脂からなる接着剤を用いて所定の位置で20μmの間隔で貼り合わせた。
【0065】
続いて、電解液層14としてトリフルオロメタンスルホン酸リチウムの0.2mM水溶液をアレイ基板12と対向基板13との間に充填し、注入口を紫外線硬化樹脂で封止して反射型表示素子11を形成した。
【0066】
実施例2は、実施例1の透明構造体23の凸形状を半球状にした以外は、実施例1と同様に作成した。
【0067】
実施例3は、実施例1のアレイ基板12の透明基板21の外面に反射防止層として反射防止フィルムを貼り付けた以外は、実施例1と同様に作成した。
【0068】
比較例1は、実施例1のTiO粒子に発色体処理し、対向基板側の陽極上に微細孔のあるTiO反射層を形成した以外は、実施例1と同様に作成した。
【0069】
比較例2は、実施例1のTiOの代わりに屈折率1.35の微細孔を有するSiOによりV溝を形成した以外は、実施例1と同様に作成した。
【0070】
この結果、図5に示すように、実施例1〜3は、いずれの場合にも、反射率、およびコントラストとも高く、表示品位が良好であった。それに対して、比較例1および比較例2は、反射率、およびコントラストとも低く、表示品位が不良であった。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の一実施の形態を示す反射型表示素子の断面図である。
【図2】同上反射型表示素子の電源オフ時の入射光の挙動を示す説明図である。
【図3】同上反射型表示素子の電源オン時の入射光の挙動を示す説明図である。
【図4】同上反射型表示素子の屈折率の関係が透明基板<透明導電層<透明構造体にあるときの入射光の挙動を示す説明図である。
【図5】各実施例および各比較例についての反射率、コントラスト、表示品位の測定結果を示す表である。
【符号の説明】
【0072】
11 反射型表示素子
12 第1基板としてのアレイ基板
13 第2基板としての対向基板
14 電解液層
21 透明基板
22 第1導電層としての透明導電層
23 透明構造体
24 発色体
32 第2導電層としての透明導電層
33 陽極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する第1導電層を一主面側に備えるとともに、内部にエレクトロクロミズムを示す発色体を有し連続した凸形状に形成された透明構造体を備えた第1基板と、
第2導電層および陽極を一主面側に備え前記第1基板に対向配置される第2基板と、
前記透明構造体と前記陽極との間に介在された電解液層と
を具備したことを特徴とした反射型表示素子。
【請求項2】
前記透明構造体は、断面形状が略二等辺三角形で、前記電解液層の屈折率をne、前記透明構造体の屈折率をnp、前記透明構造体の底角をθとしたとき、arcsin(ne/np)≦θ≦{180−arcsin(ne/np)}/3の関係を有している
ことを特徴とした請求項1記載の反射型表示素子。
【請求項3】
前記第1基板の外面に反射防止層が設けられている
ことを特徴とした請求項1または2記載の反射型表示素子。
【請求項4】
前記第1基板は、前記第2基板に対向する側に前記第1導電層、前記透明構造体が順に形成された透明基板を備え、これら透明基板、第1導電層、透明構造体の可視光領域での屈折率が、透明基板<第1導電層<透明構造体の関係を有している
ことを特徴とした請求項1ないし3いずれか一記載の反射型表示素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−191251(P2008−191251A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−23241(P2007−23241)
【出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(302020207)東芝松下ディスプレイテクノロジー株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】