説明

反射材、発光材又は蓄光材を備えた装具

【課題】 伸縮自在で、脱着及び持ち運びが容易な、夜間発見率向上に寄与する反射材、発光材又は蓄光材を備えた装具を提供する。
【解決手段】 本発明の装具10は、伸縮性を有する柔軟な基材12と、反射材、発光材又は蓄光材を転写した転写部11と、を有するものであり、転写部が基材の伸縮方向に所望の間隔をあけて複数カ所に形成されていることを特徴とすることで、装具が伸縮自在であることから、腕、足等への脱着が容易で、かつ密着させることができ、また、基材となる繊維等が柔軟であるため、付け心地が不快ではなく、小さく折り畳んで携帯できるという優れた効果を奏する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸縮自在で、脱着及び持ち運びが容易な、夜間発見率向上に寄与する反射材、発光材又は蓄光材を備えた装具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
夕方や夜間になると、自動車等の運転者から歩行者や自転車等が見えにくくなり、交通事故が発生することがある。このような対策として、歩行者等には明るく目立つ服を着用することが推奨されるのだが、一般的には黒っぽい服を着ている人の割合が高いのが実情である。そこで、明るい服を着用するのとは別に、反射材、発光材又は蓄光材を備えた装具(以下、「装具」とは、人が身につける装身具、及び、人以外の物全般に取り付ける物を意味するものとする。)を身につけることで、運転者からの視認性を向上させるという対策が考えられる。
【0003】
反射材等を備えた装具としては、工事現場などで使用されるベストや、特定の作業着などが思い浮かぶが、いずれも一般的に広く使用されるものではない。これにはファッション的要素が大きく影響していると考えられるが、それだけでなく、反射材等が分厚いため着心地が悪いことや、収納や持ち運びに不便であるといったことも影響していると考えられる。
【0004】
また、携帯した腕章等(例えば、特許文献1に記載の腕章)を面ファスナーや安全ピンで留めたり、鞄等に反射性のテープを貼るのも有効であるが、実行している人をあまり見かけない。これは、安全意識が広く浸透していないからであるとも言えるが、従来の腕章等は、折り曲げにくく持ち運びに不便であり、また、装着が煩雑であるという問題を有しているからであるとも言える。なお、反射性のテープは、昼間の見た目が良くないので、あまり使われていないと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平1−136988
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、反射材等で自らの存在位置を運転者に知らせ、夜間発見率向上を図ることは安全面から重要なことであるから、もっと一般に普及させるべきである。そのためには、従来よりも使い易い装具を提供する必要がある。
【0007】
そこで、本発明は斯かる実情に鑑み、伸縮自在で、脱着及び持ち運びが容易な、夜間発見率向上に寄与する反射材、発光材又は蓄光材を備えた装具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の装具は、伸縮性を有する柔軟な基材と、反射材、発光材又は蓄光材を転写した転写部と、を有することを特徴とするものである。なお、基材が主として一方向に伸縮性を有する場合は、転写部は、前記基材の伸縮方向に所望の間隔をあけて複数カ所に形成されている構成にすると良い。また、基材が2方向又は複数の方向に伸縮性を有する場合は、転写部は、点状又は小さな模様で前記基材のそれぞれの伸縮方向に対し所望の間隔をあけて複数カ所に形成されている構成にすると良い。
【0009】
ここで、装具が、基材の1つの伸縮方向に環状を形成している構成にしたり、反射材として再帰性反射材を使用することもできる。また、転写部は、反射材、発光材又は蓄光材を有するフィルムを熱圧着することにより形成しても良いし、反射材、発光材又は蓄光材を含有したインクをスクリーン印刷することにより形成しても良い。
【発明の効果】
【0010】
従来は伸縮性を有する柔軟な基材に反射材等を転写した装具はなかったが、本発明によれば、伸縮性を阻害されないため、転写が可能となった。また、本発明の装具によれば、伸縮自在であることから、腕、足等への脱着が容易で、かつ密着させることができる。そして、基材が柔軟であるため、付け心地が不快ではなく、また、小さく折り畳んで携帯できるという優れた効果を奏する。さらに、人が着用するだけでなく、鞄、杖、自転車、工事用具など様々な物に装着して使用することもできるので、利用範囲が広くなるという効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一方向に伸縮する基材に反射材等を転写した装具を示す図である。
【図2】図1の装具を環状にした図である。
【図3】複数の方向に伸縮する基材に反射材等を転写した装具を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
図1は、一方向に伸縮する基材に反射材等を転写した装具を示す図である。装具10は、基材12の表面に反射材、発光材又は蓄光材を有するフィルムを用いて熱圧着したり、又は、反射材、発光材又は蓄光材を含有するインクをスクリーン印刷した転写部11を形成したものである。基材12は、メリヤスのように主として一方向に伸縮性及び柔軟性を有する繊維、ゴム、樹脂等である。その基材12の表面に、基材12が伸縮する方向に所望の間隔をあけて転写部11を複数カ所に形成している。
【0013】
ここで、転写部11が反射材の場合は、入射した光を光源に向けて反射する再帰性反射材を用いるのが、視認距離が長いことから望ましい。再帰性反射材の場合は、例えば、3M(登録商標)スコッチライト(登録商標)反射トランスファーフィルムを使用することができる。この反射フィルムは、表面にガラスビーズをコーティングしたものであり、裏面には熱活性型接着剤を塗布しているため、熱圧着により基材12に転写できるものである。反射フィルムを転写すると、図1の断面図のように基材12の上に転写部11が設けられることになるのだが、反射フィルムの厚さは0.1mm程度であるため、実際にはほとんど厚さはなく、装具を小さく折り畳んで携帯するには良好である。なお、このような反射材以外でも、夜間の視認性に寄与するという目的であれば、発光材や蓄光材を用いても良い。
【0014】
転写部11は、基材12と比べて伸縮率が小さいため、基材12の全面に渡って反射材等を転写すると、伸縮を阻害し、転写部11には割れや剥がれを生じることがある。そこで、反射材等を伸縮方向に所望の間隔をあけて転写すれば、基材12はその転写していない部分で伸縮できるので、装具10全体の伸縮性は阻害されることがない。よって、転写部11の形状は、基材12の伸縮方向に直交する方向を長辺とする長方形、楕円、その他の細長の形状とすることが望ましい。また、伸縮方向に所望の間隔をあけていれば、点状の列や、波状の模様などにすることも可能である。なお、基材12が一方向のみに伸縮する場合であっても、転写部11の長手方向にも基材12は多少伸縮する。しかし、この方向の伸縮は、転写部11でもほぼ追従可能である。
【0015】
また、反射材、発光材又は蓄光材を含有したインクを基材12にスクリーン印刷することで、フィルムを熱圧着したときと同様の効果を奏する転写部11を形成することができる。このときも、伸縮方向に間隔をあけて印刷すれば、装具10全体の伸縮性を阻害しないという効果が得られる。
【0016】
図2は、図1の装具を環状にした図である。このように、環状にすることにより、手軽にいろいろな部位に、本発明の装具10を装着することができる。例えば、腕章として用いるだけでなく、足に装着することもできる。また、大きさを変えれば、頭(帽子又はヘルメット)に付けたり、胴に付けることも可能である。さらに、人に着用するだけでなく、杖や傘の持ち手部分、鞄などに取り付けて使用することもできる。また、自転車のカゴに被せるような形にすれば、ひったくり対策を兼ねた使用もできる。つまり、従来よりも手軽に持ち運びができ、利用範囲も広くなる。
【0017】
なお、図2では装具10自体で閉じた環状にする例を示しているが、図1の装具10の端部に面ファスナーやファスナーを設けることで環状にして使用することもできる。腕章のような場合には、図2のような閉じた環状になっている方が、腕を通すだけで良いので手軽であるが、例えば靴を履いているときに足に通したいような場合には、靴が邪魔になるので、足に巻き付けて、面ファスナー等で留める方が装着しやすいことになる。
【0018】
図3は、複数の方向に伸縮する基材(例えばゴム)に反射材等を転写した装具を示す図である。ここでは、基材12があらゆる方向に伸縮する場合の転写部11の配置が問題となる。反射材等は、基材12と比較して伸縮率が小さいため、伸縮方向に間隔をあけずに転写すると、基材12の伸縮性を阻害することになり、また、転写部11に割れや剥がれが生じやすくなるからである。
【0019】
基材12の伸縮方向が図1のように一方向であれば、転写部11は長方形等の細長の形状にし、伸縮方向に間隔をあければ良いのだが、図3のように複数の方向に伸縮する場合は、転写部11は、点状又は小さな模様として、配置させる必要がある。そして図3のように等間隔に整列させると、縦横、斜めのいずれの方向に対しても転写部11はある程度の間隔をあけることができるので、装具20の伸縮に際して割れ等の問題は生じにくいと考えられる。なお、ここで小さな模様というのは、丸、三角、四角等のような単純な形状だけではなく、製造できる範囲に限られるものの、文字やワンポイントの図柄のようなものであっても良い。
【0020】
なお、図3のような複数の方向に伸縮する基材の場合も、図2のように環状にすることによって、利用範囲が広がり、携帯性も向上する。また、あらゆる方向に伸縮するため、膝や肘のような関節にも装着することができる。
【0021】
また、反射材、発光材又は蓄光材を含有したインクをスクリーン印刷した場合も、熱圧着したときと同様に、転写部11を点状又は小さな模様として配置させれば、伸縮を阻害することはなく、転写部11に割れや剥がれが生じることを抑制することもできるという同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明のように、伸縮性及び柔軟性に富む繊維等に反射材等を熱圧着又はスクリーン印刷して使用することにより、反射材等の利用範囲が広がった。また、本発明の装具は、小さく折り畳めるので手軽に携帯できることから、一般に普及しやすく、交通安全に貢献できるものと考える。
【符号の説明】
【0023】
10,20 装具
11 転写部
12 基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮性を有する柔軟な基材と、反射材、発光材又は蓄光材を転写した転写部と、を有することを特徴とする装具。
【請求項2】
前記基材が、主として一方向に伸縮性を有する基材であり、
前記転写部は、前記基材の伸縮方向に所望の間隔をあけて複数カ所に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の装具。
【請求項3】
前記基材が、2方向又は複数の方向に伸縮性を有する基材であり、
前記転写部は、点状又は小さな模様で前記基材のそれぞれの伸縮方向に対し所望の間隔をあけて複数カ所に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の装具。
【請求項4】
前記装具が、前記基材の1つの伸縮方向に環状を形成していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の装具。
【請求項5】
前記反射材が、再帰性反射材であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の装具。
【請求項6】
前記転写部が、反射材、発光材又は蓄光材を有するフィルムを熱圧着することにより形成されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の装具。
【請求項7】
前記転写部が、反射材、発光材又は蓄光材を含有したインクをスクリーン印刷して形成されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の装具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−44235(P2011−44235A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189619(P2009−189619)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(309028684)有限会社アゴラ (1)
【Fターム(参考)】