説明

反応容器自動開閉用装置

本発明は、反応容器(13)自動開閉するための開閉装置に関する。開閉装置は一つ以上の反応容器(13)を回転しないように保持するための保持装置(16)と、反応容器(13)用のふた(12)を把持するためのグリッパ(11)であって、ふた(12)を保持するためにグリップジョー(20,34)を有しているグリッパ(11)と、グリッパ(11)を回転可能に保持するための回転機構(10)と、を具備している。開閉装置において、ふた(12)は、グリップジョー(20,34)間の部分に挿入される場合、グリップジョー(20,34)により摩擦接触で保持されるようになっていて、グリッパ(11)はグリップジョー(20,34)を開閉するための能動式作動装置を有していないことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は反応容器自動開閉用装置に関する。より詳しくは、本発明はふた付きの反応容器自動開閉用装置に関するものであって、ふたは反応容器にねじ込まれている。本発明は、化学反応及び/又は生物反応を行なうためのロボットを含んだ用途に適しているものである。
【背景技術】
【0002】
グリッパを備えた反応容器の自動開閉用装置は周知であって、そのグリッパはふたを握持するべく作動され、回転機構を備えており、従ってグリッパはふたを反応容器にねじ込んだり、はずしたりするのに使用できるようになっている。一般に反応容器は特殊な形状をしていて、従って反応容器はホルダの適切な保持部分に能動的に係合するようになっている。このことにより、反応容器を回転することのない取り付けが保証されている。
【0003】
特許文献1において同様な装置が公知であって、装置において、反応容器が特定区画に垂直リブを有している。このことが反応容器を回転しないように設置することを可能にしている。これらの反応容器のふたは二つの水平スリットで作られていて、その二つのスリットはふたの本体上部区画にお互いに真反対に配置されている。これらのスリット各々は、一方の端部においてふたの最上部に延伸していて、従ってふたグリップ機構は水平ピンによりふたに係合することができ、反応容器からふたをはずすために必要なトルクを作用することができるようになっている。本グリッパにおいて、以下のことが利点であって、ふたを能動的にグリップするための特別な作動機構を備えていないけれども、代わりに受動的にピンをスリットに係合することだけによりふたを係合することができるようになっている。このことは、付加的な制御機能が省かれるので、ロボットへの組み込みを容易なものにしている。しかしながら、本装置の欠点は特別に設計されたふたが使用されていることである。従って、顧客が入手した反応容器及び生産プロセスによる反応容器の自動開閉用装置のような従来形のふたで閉止された反応容器を使用することが不可能になっている。このことは、従来形のふたを、この目的のために特別に設計されたふたに取り替えることを必要としている。さらに、これらの特別なふたは高価なものである。
【特許文献1】米国特許第6216340号明細書
【特許文献2】国際特許公開第99/26070号パンフレット
【特許文献3】米国特許第4868105号明細書
【特許文献4】米国特許第5635352号明細書
【特許文献5】米国特許第5681702号明細書
【特許文献6】欧州特許第225807号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の目的は簡単な構造であって、しかも従来形の反応容器開閉用ねじ込みふたを容易にかつ確実に握持することができる、反応容器の自動開閉用装置を作りだすことである。
【0005】
本目的は請求項1に記載の特徴を備えた装置により達成されている。
【0006】
本発明は、従来形の反応容器を確実に開閉でき、かつ特別な構造のものではない、反応容器の自動開閉用装置を作りだすことである。
【0007】
本目的は請求項6に記載の特徴を備えた装置により達成されている。
【0008】
本発明における利点のある改良はそれぞれの従属請求項に規定されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による反応容器を自動開閉するための開閉装置が、
一つ以上の反応容器を回転しないように保持するための保持装置と、
反応容器用のふたを把持するためのグリッパであって、前記ふたを保持するためにグリップジョーを有しているグリッパと、
グリッパを回転可能に保持するための回転機構と、
を具備している。
【0010】
請求項1による解決方法において、前記ふたは、前記グリップジョー間の部分に挿入される場合、グリップジョーにより摩擦接触で保持されるようになっていて、前記グリッパはグリップジョーを開閉するための能動式作動装置を有していないことを特徴としている。
【0011】
従って、ふたはグリップジョーとふたとの間の摩擦接触により確実に保持される。グリップジョーを作動するための調節機構は必要なく、そのようないずれの機構の必要もない。それにもかかわらず、従来形のふたはこの目的のために特別な構造を必要とすることなくグリッパにより保持することができる。
【0012】
本発明の好適な改良によると、グリップジョーが回転方向に対して直角に延びている一つ以上の切り込みウェブを自身のグリップ表面に有している。切り込みウェブはふた表面に係合する鋭利な切り込みエッジを有していて、従ってグリッパからふたへの大きなトルクの伝達を可能にしている。
【0013】
請求項6における解決方法において、保持装置が、前記反応容器を保持するために開口部を備えているお互いに上下に配置された三段の多孔板を有している。前記上段多孔板及び下段多孔板は、お互いに同一高さに作られた開口部を有していて、そして固定的に配置されており、前記中段多孔板は第一位置と第二位置との間でスライドするようになっていて、前記第一位置において中段多孔板の開口部が上段及び下段多孔板の開口部と一直線になっているものであり、前記第二位置において中段多孔板の開口部が上段及び下段多孔板の開口部に対して多少オフセットしており、従って前記多孔板の開口部に挿入された前記反応容器はクランプされていることと、前記中段多孔板を前記第二位置に固定する手段が備えられていることと、を特徴としている。
【0014】
一つ以上の反応容器を多孔板の適切な開口部に挿入することができ、そして中段多孔板をスライドすることにより多孔板に回転しないようにクランプすることができ、一方反応容器は中段多孔板を第二位置に固定することにより適切に保持される。
【0015】
好適な実施形態において、前記中段多孔板の前記開口部各々が突起及び開口部のエッジを含んでいて、前記突起は開口部の内側に延伸していて、かつ開口部の中心軸と開口部の端部との間のほぼ交差区画に配置されていて、前記中心軸は前記スライド方向に延びているものである。反応容器が多孔板にクランプされる場合、この突起が多孔板の壁面に対して押しつけられ、従って反応容器を能動的に保持するようになっている。
【0016】
好ましくは、前記上段多孔板の前記開口部各々及び/又は前記下段多孔板の前記開口部各々が突起を含んでいて、前記突起は前記開口部の内側に延伸し、かつ前記中段多孔板の前記突起と真反対側に配置されている。これが、反応容器を多孔板に保持している係合に打ち勝つようになっている。
【0017】
本発明による装置のさらなる利点は以下の組合わせ、すなわち;1)ふたを摩擦接触により保持することと、2)反応容器をクランプすることにより保持することとにより達成されている。というのは、反応容器をクランプすることが反応容器の垂直移動を防止していて、従ってグリッパがふたに押しつけられる場合、又はふたが反応容器からはずされる場合における反応容器の移動を防止している。反応容器をクランプすることが二つの機能を果すようになっていて、一つは、ふたを開閉する際に反応容器を回転しないように保持することであり、もう一つはグリッパの押し込む際、又はふたをはずす際、又はグリッパをふたにねじ込んだ後に外ずす際に力を吸収するようになっていることである。
【0018】
反応容器をクランプすることにより保持するので、グリッパがふたに押しつけられる場合に作用する力は、単にグリッパを作動させるのに使用される装置の機械的特性により限定されるだけである。従ってクランプして保持することはグリッパを押す場合に相当な摩擦力の使用を必要とする。
【0019】
図面を参照して本発明を以下に詳述する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
反応容器を自動開閉するための本発明による装置は、ロボットで使用されるようになっている。そのようなロボットを図1に図示する。ロボット1は作業用プラットホーム2、後方壁面3及びロボットアーム4を有している。ロボットアーム4は、後方壁面3の上端部区域における水平レール(図示せず)に沿って横断でき、従って作業用プラットホーム2全体を通過できるようになっている。垂直に延伸する三本のハンドリングアーム5,6,7がロボットアーム上に配置されている。ハンドリングアームはロボットアーム4の中に延在しているレール(図示せず)に交差して取りつけられているので、ロボットアーム4の長手方向に横断できるようになっている。ハンドリングアームが垂直方向にも横断できるようになっている。ハンドリングアーム5は、化学薬品及び/又は生物試薬を取るためのピペットチップを有している。ハンドリングアーム6は、マイクロタイヤプレートを操作するのに使用できるフォーク状のグリップエレメント9を備えている。ハンドリングアーム7は下端部に回転機構10を有していて、反応容器13用のグリップふた12のためのグリッパ11が回転装置に連結されている。グリッパ11について以下に詳述する。
【0021】
種々の作業ステーションがロボットに提供されていて、この種のロボットはユーザのニーズに合うように作られている。本実施形態において、作業用プラットホーム2は各々がバイブレータ14を備えた二つのバイブレータステーションを備えていて、バイブレータ14には反応容器保持用のサーマルブロックが取り付けられている。サーマルブロック15は良熱伝導材料で作られた長方形本体であって、本体には昇温された熱媒体、例えばシリコン油を流すための流路が作られている。サーマルブロック15の上面には、反応容器13の下面が能動的に保持される凹部があって、サーマルブロック15と反応容器との間で良好な熱伝達を可能にしている。反応容器13一式を操作するためのラック16が、サーマルブロック15を備えたバイブレータ14各々に取り付けられている。このラックについて以下に詳述する。
【0022】
本実施形態におけるロボットは、HCV患者からのリンパ液又はリンパ漿中のC型肝炎ビールスのRNA(HCVRNA)をUERSANT(商標名)のHCVRNA3.0テスト(bDNA)により直接定量化するためのものであり、又はHIV−I患者からのリンパ漿中の免疫欠如症ビールスタイプI(HIV−I)をUERSANT(商標名)のHCVRNA3.0テスト(bDNA)により直接定量化するためのものである。これに関連して、特許文献3−6参照のこと。図1に図示する実施形態において、ロボットは実験用キャビネットの中に取り付けられていて、そのキャビネットは熱媒体を昇温し循環させるためのユニットをロボットの下方区域に備えている。本ユニットにおいて、熱媒体はホース17によりサーマルブロックに供給されかつサーマルブロックから除去される。
【0023】
作業用プラットホーム2が使い捨て式ピペットチップ用コンテナと使用済ピペットチップ用コンテナとを有している。他の作業ステーション、例えばサーモサイクラ(thermocycler)がこの種のロボット1に組み込まれてもよい。そのようなロボットの形状及び一般的な構造とに関して特許文献2を参考としてここに包含するものである。ふたを保持するようになっているグリップジョー20により形成された開口部は、調節ねじ23により所定の範囲で調節することができる。
【0024】
図2a及び2bは、本発明によるグリッパ11の第一実施形態を図示している。このグリッパ11は、正六角形ベースと対応する上面とを備えたほぼプリズム状のフレーム構造体を有している。三つの垂直スロット19がフレーム構造体18の側壁面交互に作られている。各スロット19が、フレーム構造体18から下向きにわずかに延伸しているグリップジョー20を含んでいる。シャフト21は各々のグリップジョー20を貫通し、そしてフレーム構造体18に取り付けられている。
【0025】
ばね要素22が、シャフト21の下方区域においてグリップジョー20各々とフレーム構造体18との間に設置されているので、グリップジョー20の下端部は外向きに付勢されている。グリップジョー20各々は調節ねじ23がねじ込まれるタップ穴をシャフト21の上方に含んでいて、その調節ねじ23により、それぞれのグリップジョー20の下端部と垂直対称軸24との間の距離が調節できるようになっている。
【0026】
グリップジョー20各々は、グリッパ11の対称軸24に向かって対面しているグリップ表面25をフレーム構造体18の下方に延在している区域に有している。グリップ表面25各々には、水平ストップウェブ26が最上部に取り付けられている下向きかつ半径方向外向きに延びている挿入スロープ27がグリップ表面25の下部エッジに接続している。
【0027】
少なくとも一つの垂直方向に延びている切り込みウェブ28がグリップ表面25各々に形成されている。本実施形態においては、グリップ表面25各々は一つの切り込みウェブ28を備えている。本発明との関連において、数個の切り込みウェブをグリップ表面各々に取り付けることも可能である。グリップ表面25の上方に突出する切り込みウェブ28の高さは、反応容器13の壁面厚さよりも低い(図6a,6b)。本実施形態においては、高さは0.5mmである。切り込みウェブ28各々は、グリップ表面25から一点に向かってテーパーが付いていて、従って垂直な切り込みエッジを形成している。
【0028】
本発明による装置は、タイプ“microtube 1.5ml”の反応容器をハンドリングするSarstedt社により提供されていて、商品番号SAR−72692及びSAR−62692005で流通されている(www.scimart.com/tubes/screwcap.html)。
【0029】
フレーム構造体18の上面に設置されているのは中心に配置された盲穴29である。グリッパ11は、盲穴29を介して回転機構10の回転式駆動ピンに押し付けられていて、二本の位置決めねじ30により回転機構10に固定されている。
【0030】
初期状態において、グリップジョー20は把持されるふた12の円周部分よりわずかに小さい部分をグリップ表面25を用いて画成している。挿入スロープ27の下部エッジに接続する部分はふた12の円周部分より多少広くなっている。従って、グリッパ11がふた12に押しつけられると、ふた12は弾性的にわずかに変形し、停止ウェブ26に達するまでグリップジョー20の間の部分に挿入される。グリップ表面25とふたの外壁面との間の摩擦接触によりふたはグリッパ11に保持されていて、従って、ふたを操作することができる。さらに、切欠きウェブ28がふたの外壁面を内向きにわずかに押し、締め切り形状となるので、グリッパ11はふた12に大きなトルクを作用することが可能となる。
【0031】
図3a及び3bは本発明によるグリッパ11の第二実施形態を図示している。本グリッパ11は管状区画31を上部に有していて、その管状区画31は、グリッパ11を回転機構10の回転式駆動ピンに固定するために、位置決めねじ30を挿入するための二つのタップ穴を備えている。水平レール区画32が管状区画31の下端部に形成されている。このレール区画32の下側にはあり溝33が形成されている。
【0032】
二つのグリップジョー34があり溝33の中で支持されかつスライドできるようになっていて、そしてグリップジョー34はばね要素35に接続されているので対称軸24の方向に予圧されるようになっている。スペーサエレメント36は二つのグリップジョー34の間の部分に備えられていて、グリップジョー34は初期状態において、すなわちふたなしの状態でばね要素35の予圧により接触されている。
【0033】
グリッパ34各々は円形セグメント状の本体を有していて、その本体には、円形セグメントの中心が対称軸24の近傍にある。グリップジョー34の下三分の一に区画が内面に加工されているので、グリップジョー34がグリップ表面37をこの区域に有していて、グリップ表面37は対称軸24に向かって対面していて、かつ最上部において止め部分38により区切られている。グリップ表面37各々の下部エッジには挿入スロープ29が接続し下向きかつ半径方向外向きに延びている。
【0034】
垂直切り込みウェブ28がグリップ表面37各々に形成されている。本実施形態においては、三つの切り込みウェブがグリップ表面37各々に備えられている。切り込みウェブの構造は第一実施形態のグリッパ11と一致したものである。
【0035】
初期状態において、二つのグリップジョー34は把持するふた12の円周部分より多少小さな区域をグリップ表面37で画成している。挿入スロープ39の下部エッジにより区切られた部分はふた12の円周部分より多少大きくなっている。従って、グリッパ11がふた12に押しつけられると、グリップジョー34が、挿入スロープ39におけるふた12の挿入によりばね要素35のばね作用に抗して押し開かれ、そしてふたは止め部分38に接触するようになるまでグリップジョー34の間の部分に挿入される。ふた12は、グリップ表面37とふたの外壁面との間の摩擦接触によりグリッパ11により保持されているので、操作できるようになっている。切り込みウェブ28は、相当なトルクを伝達するための締切り形状をもたらしている。
【0036】
反応容器保持用のラック16につき以下に詳述する(図4a,4b,4c)。本ラック16は二つの側壁面40と上壁面41とを備えた逆U字形に作られている。側壁面は各々外向きに湾曲していて、従って外向きに突出している細い帯板状のベース区画42を形成している。上壁面41は規則正しく挿入された反応容器を保持するための開口部43を備えた多孔板を形成している。上壁面41から所定距離、例えば5−10mm下方にもう一つの多孔板である下段多孔板44がある。側壁面40に接続する下段多孔板(44)のエッジ部分は、下向きにフランジ取り付けされていて、フランジ取り付けされた区画は、例えばハンダ付け又はねじ継手により側壁面40に取り付けられている。上壁面41である上段多孔板41と下段多孔板44とは中央空間を形成していて、その中央空間にはさらなる多孔板45である中段多孔板が取り付けられている。
【0037】
多孔板45の平面図を図5aに図示する。平面図において、本多孔板はほぼ長方形であって、二つの端部エッジ46と二つの長手エッジ47とを有している。二つの長手エッジ47各々には二つのラグ48が成形されている。ラグ48は側壁面40における対応するスリット49に係合している(図4a)。スリット49はラグ48より長いので、中段多孔板45は、スライド方向を画成する長手エッジ47の方向にスライド可能に取り付けられている。
【0038】
中段多孔板45も開口部43を有していて、その開口部43は、上段及び下段の多孔板41,44の形状、サイズ及びパターンと同一である。
【0039】
上段及び下段の多孔板41,44の開口部は直線投影においてお互いに上下に正確に配置されている。中段多孔板45は三つの多孔板はお互いに上下に正しく配置されている、すなわち三つの多孔板の対応する開口部がお互いに一直線になっている第一位置に合わせられていてもよい。中段多孔板45は、開口部が上段及び下段の多孔板41,44の開口部に対してオフセットしている第二位置に移動することができて、その場合開口部はお互いに一直線上にはない。
【0040】
開口部43(図5b)は移動方向に多少延伸していて、二つの半円セグメント形状であって、お互いにわずかに離間している。本実施形態において、半円セグメントは半径5.6mmで1.2mm離間している。二つの半円セグメントの頂部には、小さな突起50が開口部分に作られている。従って、この突起50は、移動方向に延びている開口部43の中心線と開口部の境界エッジとの間の交差部分に位置している。上から見て、突起50は丸くて角がないので、反応容器を穿孔することはない。
【0041】
三つの多孔板41,44,45のすべての開口部は同一の突起50を有していて、上部及び下部多孔板41,44の突起は各々中段多孔板の突起と真反対に配置されている。
【0042】
二つの調節装置51がラック16の端面に設置されていて、中段多孔板を第一位置と第二位置との間で移動方向に前後できるようになっていて、従って第二位置に固定できるようになっている。調節装置51は二つの蝶ねじ52を有している。蝶ねじ52は、中段多孔板45に接続されたロッドを支持する中心穴を有している。このロッドは長手方向にねじタップ穴を有していて、その中にねじ53がねじ込まれ、ねじ53はねじヘッドを蝶ねじ52に置いている。多孔板の側面において、蝶ねじ各々が対応する止め具54に取り付けられていて、その止め具は上部及び下部多孔板41,44にしっかりと接続されている。中段多孔板に接続されたロッドは止め具54各々を貫通している。止め具54及び蝶ねじ52各々は接触面55,56を有している。
【0043】
接触面55,56は移動方向に対して直角に配置された平面に対して鋭角に配置されているばね要素(図示せず)が、止め具54と中段多孔板45との間に備えられていて、多孔板45を止め具54から離間するように付勢している。蝶ねじ52が止め具54の接触面56に対して平坦な接触面55に位置している場合、中段多孔板は止め具54から最も離れた位置になっている。この位置は、中段多孔板45の開口部が上部及び下部多孔板41,44の開口部43と一直線上になるようにねじ53により調節される。蝶ねじ52が180°回転されると、角度の付いた接触面が蝶ねじ52を止め具54に対して移動させる。この結果、中段多孔板45は止め具54へ向けてのばね要素のばね作用に抗して移動され、第二位置に位置して開口部43が上部及び下部多孔板41,44の開口部に対してオフセットする。接触面55,56が小さなスナップ留め凹部と対応するスナップ突起とを備えているので、中段の多孔板が第二位置に位置すると蝶ねじは止め具54に係合する。
【0044】
四つの穴57が二つのベース区画42各々に作られている。二つのベース区画の一方に、スライド58が穴57の真上の部分に備えられている。各スライド58は一方の端部が穴57に合うように拡げられている長穴を有している。対応するピンがバイブレータステーション14に備えられていて、各ピンは穴57を貫通するヘッド60を備えている。ラック16がバイブレータステーション14に置かれる場合、ヘッド60は穴57と長穴59の拡大部分を介してガイドされる。スライド58は、長穴59の狭い部分が背後からヘッド60を係合するように移動され、ラックがバイブレータステーション14に固定される。バイブレータステーション14に形成された適切なフック状エレメントが、他のベース区画42の穴57を通過する。この手段によりラック16はバイブレータステーション14に固定されていて、バイブレータステーションにより作用される振動運動中にバイブレータステーションに保持されているようになっている。
【0045】
図4a及び4bに図示する実施形態において、ホース17用継手61がサーマルブロック15の端面に備えられている。継手61間には、サーマルブロック15に取り付けられた温度センサへのリード線62がある。
【0046】
本発明によるラック16は、多数の反応容器をラック16に配列し固定するためのスコープを用いてロボット1の外部に一連の検体を準備することを可能にしている。中段の多孔板は第一位置において、その開口部は上部及び下部多孔板の開口部に一致している。反応容器は例えば手で開口部43に挿入される。開口部は、反応容器13に形成された環状ウェブ63を用いて反応容器13がそこから落下しないけれども上段多孔板41の最上部に位置するように寸法化されている。すべての反応容器13をラック16に配列する場合、中段多孔板45は蝶ねじ52を回転して第二位置に位置決めされる。このことが反応容器13をラックにしっかりと把持する。というのは、中段多孔板の開口部43が上段及び下段多孔板の開口部43に対して移動するからである。詳しくは、突起50が反応容器13の弾性的に降伏したプラスチック材料を多少圧迫するので、把持による摩擦接触に加えてラック16と反応容器13との間にも締切り形状が形成される。中段及び下段多孔板45,44は、連続した垂直リブが形成されている反応容器13の区画64に作用するようにラック16に配置されている。
【0047】
このようにして反応容器を載せたラック16はバイブレーションステーション14にて操作され固定される。このラックは別の工程、例えばオートクレーブに送り込むことも可能である。
【0048】
本発明によるラックは、多数の反応容器を垂直方向に回転することなく固定するようになっている。このため、本発明によるラックは利点的に本発明によるグリッパと組合わせて使用することができる。というのは、グリッパが反応容器のふたに押しつけられる場合に、そしてグリッパが反応容器にねじ込まれたふたからはずされる場合に作用される大きな力がラックの使用中に安全に、問題を生ずることなく吸収されるからである。
【0049】
本発明によるラックは構造が簡単で、そして安価に製造することができる。さらなる利点は、従来形のふた付き反応容器を使用できることである。
【0050】
本発明を、実施形態を用いて説明してきた。本発明との関連において、第一実施形態によるグリッパ11の三つの調節ねじ23の代りに、盲穴29のベース部分が円錐テーパを備えていてもよくて、そしてグリップジョーの上部がこの円錐面に接触していてもよい。テーパはグリッパの垂直なタップ穴に支持されたねじ山付きロッドに設置されている。ねじ山付きロッドを回転することにより、テーパの垂直位置が変化し、そしてグリップジョーがシャフト21周囲で旋回するので、保持部分が調節されるようになっている。
【0051】
本発明のさらなる修正により、自転車のハブとして衆知な急速式クランプエレメントが前述した調節装置51の代りに使用されてもよい。
【0052】
本発明の範囲内において、ロボットが共通の水平レール上に延びている数個のロボットアームを有していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、本発明による反応容器自動開閉装置を備えたロボットである。
【図2a】図2aは、本発明によるグリッパの斜視図である。
【図2b】図2bは、図2aにおけるグリッパの断面図である。
【図3a】図3aは、本発明による他のグリッパの斜視図である。
【図3b】図3bは、図3aにおけるグリッパの断面図である。
【図4a】図4aは、本発明による反応容器を保持するためのラックであって、熱ブロック及びバイブレータも合わせて図示されている。
【図4b】図4bは、図4aにおける装置の平面図である。
【図4c】図4cは、図4aにおける装置の部分断面図である。
【図5a】図4aにおけるラックの多孔板の平面図である。
【図5b】多孔板の孔の拡大図である。
【図6a】ふた付き反応容器の側面図である。
【図6b】図6bにおける反応容器及びふたの斜視図である。
【符号の説明】
【0054】
1 ロボット
2 作業用プラットホーム
3 後方壁面
4 ロボットアーム
5 ハンドリングアーム
6 ハンドリングアーム
7 ハンドリングアーム
8 ピペット先端
9 グリップエレメント
10 回転機構
11 グリッパ
12 ふた
13 反応容器
14 バイブレータステーション
15 サーマルブロック
16 ラック
17 ホース
18 フレーム構造体
19 スロット
20 グリップジョー
21 シャフト
22 ばね要素
23 調節ねじ
24 対称軸
25 グリップ表面
26 停止ウェブ
27 挿入スローブ
28 切り込みウェブ
29 盲穴
30 位置決めねじ
31 管状区画
32 レール区画
33 スロット
34 グリップジョー
35 ばね要素
36 スペーサエレメント
37 グリップ表面
38 ストップステップ
39 挿入スロープ
40 側壁面
41 上段多孔板
42 ベース区画
43 開口部
44 下段多孔板
45 中段多孔板
46 端部エッジ
47 長手エッジ
48 ラグ
49 スリット
50 突起
51 調節装置
52 蝶ねじ
53 ねじ
54 停止エレメント
55 接触表面
56 接触表面
57 穴
58 スライド
59 長穴
60 ヘッド
61 継手
62 リード線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応容器を自動開閉するための開閉装置であって、
一つ以上の反応容器(13)を回転しないように保持するための保持装置(16)と、
前記反応容器(13)用のふた(12)を把持するためのグリッパ(11)であって、前記ふた(12)を保持するためにグリップジョー(20,34)を有しているグリッパ(11)と、
前記グリッパ(11)を回転可能に保持するための回転機構(10)と、
を具備する開閉装置において、
前記ふた(12)は、前記グリップジョー(20,34)間の部分に挿入される場合、グリップジョー(20,34)により摩擦接触で保持されるようになっていて、前記グリッパ(11)はグリップジョー(20,34)を開閉するための能動式作動装置を有していないことを特徴とする、
開閉装置。
【請求項2】
前記グリップジョー(20,34)が挿入スロープ(27,39)を有していることを特徴とする、請求項1に記載の開閉装置。
【請求項3】
前記グリップジョー(20,34)が、回転方向に対して直角に延びている一つ以上の切り込みウェブ(28)を自身のグリップ表面(25,37)に有していることを特徴とする、請求項1に記載の開閉装置。
【請求項4】
前記切り込みウェブ(28)が前記グリップ表面(25,37)を越えて突出している高さは、前記反応容器(13)の壁面厚さより小さくて、好ましくは0.5mm以下であることを特徴とする、請求項3に記載の開閉装置。
【請求項5】
前記保持装置(16)が、前記反応容器(13)をクランプし保持するためのクランプ機構を有していることを特徴とする、請求項1−4のいずれか一項に記載の開閉装置。
【請求項6】
反応容器を自動開閉するための開閉装置であって、
一つ以上の反応容器(13)の非回転保持用の保持装置(16)と、
前記反応容器(13)用のふた(12)を把持するためのグリッパ(11)であって、前記ふた(12)を保持するためにグリップジョー(20,34)を有しているグリッパ(11)と、
前記グリッパ(11)を回転可能に保持するための回転機構(10)と、
を具備する開閉装置において、
前記保持装置(16)が、前記反応容器(13)を保持するために開口部(43)を備えているお互いに上下に配置された三段の多孔板(41,44,45)を有していて、前記上段多孔板及び下段多孔板(41,44)は、お互いに同一高さに作られた開口部を有していて、そして固定的に配置されており、前記中段多孔板(45)は第一位置と第二位置との間でスライドするようになっていて、前記第一位置において中段多孔板の開口部(43)が上段及び下段多孔板の開口部と一直線になっていて、前記第二位置において中段多孔板の開口部(43)が上段及び下段多孔板の開口部(43)に対して多少オフセットしており、従って前記多孔板(41,44,45)の開口部(43)に挿入された前記反応容器(13)はクランプされていることと、
前記中段多孔板(45)を前記第二位置に固定する手段(51)が備えられていることと、
を特徴とする、請求項1−5のいずれか一項に記載の開閉装置。
【請求項7】
前記中段多孔板(45)が一方向だけのスライド方向にスライドするように取り付けられていることを特徴とする、請求項6に記載の開閉装置。
【請求項8】
前記開口部(43)の前記スライド方向における大きさは、スライド方向に直角な方向の大きさと比較してより大きいことを特徴とする、請求項7に記載の開閉装置。
【請求項9】
前記中段多孔板(45)の前記開口部(43)各々が突起(50)及び開口部(43)のエッジを含んでいて、前記突起(50)は開口部(43)の内側に延伸していて、かつ開口部(43)の中心軸と開口部(43)の端部との間のほぼ交差区画に配置されていて、前記中心軸は前記スライド方向に延びているものであることを特徴とする、請求項7又は8に記載の開閉装置。
【請求項10】
前記上段多孔板(41)の前記開口部(43)各々及び/又は前記下段多孔板(44)の前記開口部(43)各々が突起(50)を含んでいて、前記突起(50)は前記開口部(43)の内側に延伸し、かつ前記中段多孔板(45)の前記突起(50)と真反対側に配置されていることを特徴とする、請求項9に記載の開閉装置。
【請求項11】
前記中段多孔板(45)を前記スライド方向に移動しかつ固定するための手段が備えられていることを特徴とする、請求項6−10のいずれか一項に記載の開閉装置。
【請求項12】
作業用プラットホーム(2)と、一つ以上のハンドリングアーム(5,6,7)とを備えたロボットであって、
請求項1−11のいずれか一項に記載の開閉装置を特徴としていて、
一つのハンドリングアーム(7)がグリッパ(11)を回転可能に保持するための回転機構(10)を備えている、
ロボット。
【請求項13】
前記作業用プラットホームには、保持装置(16)を回転しないように取り付けるための取り付け具、例えば位置決め装置が備えられていることを特徴とする、請求項11に記載のロボット。

【図1】
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【公表番号】特表2007−526983(P2007−526983A)
【公表日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516090(P2006−516090)
【出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【国際出願番号】PCT/EP2004/007179
【国際公開番号】WO2005/002728
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】