反転ネッキング特性を有する管
軸力の適用時に直径を増大するために適合される改良型管状構造が提供される。直径の増大は、管の軸伸長中に互いに比して移動する多層の材料から管を構築することにより、達成される。本発明の管は、多数の従来の管デバイスに見出される「ネッキング」の問題を回避するために、そして軸伸長中に管の直径の増大が提供されるという付加的利益を提供するという両方のために、用いられ得る。このようなものとして、本発明の管は、製造補助物として、配備鞘として(例えば、医療用デバイスを送達するために)、ならびに管状鞘の除去が容易であることが有益であり得る他の適用において、有用であり得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造において、身体中に医療用診断および治療デバイスを配置し、配備するための装置としてならびに他の用途において使用することを含めた広範な一連の適用に適した独特の特性を有する改良型管状構造に関する。
【背景技術】
【0002】
管が縦方向に伸長される場合、管は直径を短縮するということは、多数の管状構築物、例えば、柔軟性可塑性材料から製造されるものについて既知の特性である。この特性は、一般に、「ネッキング」と呼ばれる。このようなネッキングは、多数の適用において問題であり得る。
【0003】
例えば、可塑性ラップが製造工程において主軸上に適用される場合、主軸からラップを除去するために可塑性ラップの末端を引っ張ると、主軸上にラップネッキングを生じる。これにより、しばしば、主軸から可塑性ラップを滑り剥がすことが難しくなったり、あるいはできなくなるなどして、ラップを切断したりあるいは主軸を捻じ曲げてラップを分離する必要が生じる。
【0004】
同様に、ネッキングは、あるデバイスを含有するかまたは拘束するために可塑性管が用いられる場合の一要素であり得る。例えば、患者における遠隔操作配備のための自己拡張型医療用デバイス、例えばステントまたは血液フィルターでは、それがデバイスおよび拘束管の相対的滑りにより医療用デバイスから分離されるべきである場合、デバイス設計者は可塑性管のネッキングを配慮しなければならない。典型的には、これは、デバイスに望ましくない輪郭を付加し、および/または身体内のその柔軟性および機動性を低減し得るより厚くおよび/またはより堅い材料といったようなネッキングを阻止する可塑性管の使用を必要とする。医者が、より小さく且つより曲がりくねった血管を通して、よりしっかりと処置部位に到達しようと試みる場合、緊密性および柔軟性を最適化することが非常に望ましい。
【0005】
代替的には、医療用デバイス設計者は他の配備方法を用いて埋め込み型デバイスから管を分離し得る。例えば、拘束スリーブは、米国特許第6,352,561号(Leopold等)に記載されているように、埋込み型デバイスから切断または分割されるよう設計され得る。他には、スリーブを裏返して、埋込み型デバイスからスリーブを滑らせるために必要とされる力を低減する、という示唆もあった。この概念に関する変法は、例えば、米国特許第4,732,152号(Wallsten)、米国特許第5,571,135号(Fraser等)、米国特許第6,942,682号(Vrba等)、ならびに米国特許出願第2006/0025844号(Majercak等)および米国特許出願第2006/0030923号(Gunderson)に記載されている。
【0006】
スリーブを裏返すと、拘束スリーブに適用されなければならない張力を低減し得るが、しかし、配備中にそれ自体を覆う鞘および自己拡張型デバイスを引いて動かすため、それらは依然としてかなりの張力を必要とし得る(これは主に、スリーブが除去されつつある間、鞘の裏返されていない部分に鞘の裏返された部分がこすり付けられて摩擦を生じることによる)。配備中にスリーブ材料がデバイス上でネックダウンする程度がどのようなものであっても、これはデバイス設計をさらに複雑にする。これらの問題は、より長いデバイス長、ならびにより大きな外向き圧を発揮するより堅く緊密な自己拡張型デバイスと複合される。鞘を裏返し、除去するために必要とされる張力が大きいほど、配備中にその正確な位置に装置を保持しようとしながら、医療スタッフが鞘を除去することを要求される度合いがより大きくなる。配備中の鞘および配備ライン破損を回避するために、配備張力増大はより強固な鞘構築も必要とする。鞘の裏返しについてのこれらの欠陥が、このような配備方法に関する実際的適用を制限した可能性がある、と考えられる。
【0007】
同時係属中の米国特許出願12/014,536(Irwin等)(MP/273)では、埋め込み型デバイス配備中に鞘除去を手助けするために直径に沿って収容される材料を含む配備鞘が提案されている。例えば、1つ以上の襞または「プリーツ」を有する拘束鞘を構築することにより、鞘がそれ自体の上で裏返る場合にプリーツを開かせることにより、配備中にそれ自体の上でスリーブを裏返すことが非常に容易になる。これは、本質的には、ネッキングとは逆作用を生じる。つまり、プリーツが開くと、管状鞘は、それ自体の上に裏返りながら、直径に沿って大きくなるように見える。これは、配備工程を大いに手助けする、ということが判明している。その結果、このようなプリーツ式配備鞘は、広範な一連の医学的診断および治療デバイス、例えばステント、ステント−移植皮弁、バルーン、血液フィルター、オクルーダー、消息子、弁、電子機器用リード線、整形外科用デバイス等に有用である、と考えられる。
【0008】
明確にプリーツ加工された管は、ネッキングの問題を取り扱うために用いられ得るだけでなく、実際に軸力が管に適用される場合に、管は有効直径を増大し得る。これは、従来の医療用デバイス配備装置を上回る大きな進歩である。それにもかかわらず、プリーツ加工鞘にしっかり制御された「増大」特性を提供することは、医療用デバイス配備のために必要とされる場合、注意深い設計と品質保証制御を要する。プリーツ加工鞘は、さらにまた、裏返された管形状で配備される場合、最良に働く。
【0009】
上記のように用いられる場合のような医療用デバイスを拘束し、配備するためにプリーツ加工鞘を用いることは望ましいが、しかし、デバイス輪郭をさらに低減するため、単一層の材料がこのような適用のために選択可能である、と理解される。
【0010】
したがって、軸張力がそれに適用される場合、直径に沿って増大し得る管状装置を開発することが望ましい。
【0011】
プリーツがある場合もない場合も、単一または多層で用いられ得る、軸方向に伸長されると直径が増大するような管状構築物を開発することがさらに望ましい。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、軸力蛾当該構造に適用される場合に直径を増大するために適合される改良型管状構造に関する。この直径増大は、管の軸伸長中に互いに比して移動する多層の材料から管を構築することにより、成し遂げられ得る。本発明の管は、多数の従来の管デバイスに見出される「ネッキング」の問題を回避するために、そして軸伸長中に管の直径の増大が提供され得るという付加的利益を提供するという両方のために、用いられ得る。このようなものとして、本発明の管は、製造補助物として、配備鞘として(例えば、医療用デバイスを送達するために)、ならびに管状鞘の除去が容易であることが有益であり得る他の適用において、有用であり得る。
【0013】
本発明の一実施形態では、管状構造は、一次ラップ角での一次らせんラップおよび二次ラップ角での二次らせんラップを含み、管状構造は、一次直径および一次軸長を有する。管状構造が一次軸長から伸長二次軸長に増大されると、一次直径は拡大二次直径に増大する。
【0014】
本発明のさらなる実施形態では、管状構造は、xの一次ラップ角度での少なくとも1つのテープのラップ、yの二次ラップ角度での少なくとも1つのテープのラップ(両ラップは同一相対的方向で存在する)を含む縦軸を有する。2つのラップ角xおよびyはともに、管状構造の軸に対比して0〜90度の角度で形成され、角度xは角度yと異なり、そしてxおよびyは互いに関して鋭夾角で配向される。軸力が管状構造に適用される場合、角度xおよびyがともに縦軸に比して低減し、xおよびy間の鋭夾角は増大する。好ましくは、テープの一方または両方が異方性であり、ラップの方向で相対的に非従順性である。このように構築されると、管状構造が一次軸長から伸長された二次軸長に増大された場合、一次直径は拡大二次直径に増大する。
【0015】
本発明のさらに限定される構築物は、張力下で、離軸歪が管状構造に形成される、一次軸長および一次直径を有する管状構造を含む。張力が管状構造に適用されると、管状構造は二次伸長軸長および拡大二次直径を呈する。
【0016】
さらに明記すると、本発明は、少なくとも1つの螺旋状配向素子および直径を有する管状構造を含む管状デバイスを含む。軸力を管状デバイスに適用すると、らせん状配向素子は少なくとも部分的に解かれて、管状デバイスの直径を増大する。
【0017】
本発明の利点の1つは、それが均一厚の単一層として利用され得るという点である。用いられる場合、例えば、医療用デバイスを配備するために、これらの特性は、管を裏返すかまたはプリーツ加工する前より重要な利益を提供すると考えられる。しかしながら、本発明は、裏返され、またはプリーツ加工された(あるいはその両方の)構築物を組入れられて、付加的な改良された特性を提供する、と理解されるべきである。これらの種々の反復の全てにおいて、本発明は、より小さく且つより柔軟な輪郭を有する遠隔送達可能な医療用デバイスの送達、ならびに低張力およびより正確な配置を伴うデバイスの配備を可能にするという利益を提供する。
【0018】
医療用デバイス配備装置として、本発明は、患者を診断し、および/または治療するための広範な種々のデバイスを配備するために用いられ得る。このようなデバイスとしては、ステント、ステント−移植皮弁、バルーン、血液フィルター、オクルーダー、消息子、弁、電子機器用リード線(例えば、ペースメーカーまたは除細動器リード線)、整形外科用デバイス等が挙げられ得る。本発明の配備装置は、多数の異なるデバイス送達および配備要求に取り組むために修正され得る。例えば、ラップの数、ラップ角度、ラップ材料の種類、スリットまたは他のバイアス手段の使用、プリーツの配向、鞘裏返しの使用等が調整されて、異なったやり方でデバイスを配備させ得る。さらに、本発明の鞘は、デバイス上に種々の方法で配備されて、異なる配備要件に対応し、例えばデバイスを、ハブから先端まで、または先端からハブまで、あるいは両方向にデバイスの中点から外側に、カテーテルから離れて配備させる。
【0019】
本発明の付加的特徴および利点は、以下の説明に記述され、一部は、その説明から明らかになり、あるいは本発明の実施により習得され得る。本発明の目的およびその他の利点は、書かれた説明およびその特許請求の範囲、ならびに添付の図面に特に指摘された構造により、実現され、到達される。
【0020】
前記の一般的説明および以下の詳細な説明はともに、例示的且つ説明的なものであって、特許請求されるような本発明のさらなる説明を提供するよう意図される、と理解されるべきである。
【0021】
本発明のさらなる理解を提供するために包含され、本明細書中に組入れられて、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を例証し、説明に加えて本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】非歪み形状での本発明の概念を実証する模式的モデルの立面図である。
【図2】軸方向荷重を受けているモデルに関する図1の模式的モデルの立面図であって、モデルが伸長した場合にモデルの直径の増大を実証する。
【図3】一次非歪み形状での本発明の構成成分の相対的配向を例証する線図である。
【図4】軸方向荷重下での二次歪み形状での本発明の構成成分の相対的配向を例証する線図である。
【図5】本発明の管の第一の実施形態の模式図である。
【図6】本発明の管の第二の実施形態の模式図である。
【図7】本発明の管の第三の実施形態の模式図である。
【図8】本発明の管の第四の実施形態の模式図である。
【図9】主軸上に配備される本発明の管の平面図である。
【図10】送達カテーテルの遠位端付近に配備される医療用デバイス配備システムに用いられる方法あの管の一実施形態の平面図である。
【図11】引っ込められている本発明の管を示す送達カテーテルの遠位端の拡大透視図であって、そこに含入された自己拡張型ステントを漸進的に放出する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
ここで、本発明の一実施形態を詳細に参照する。この例は、添付の図面で例証されている。
本発明は、軸力が当該構造に適用された場合に直径を増大するために適合される改良型管状構造に関する。この直径増大は、好ましくは、管の軸伸長中に互いに比して移動する多層の材料から管を構築することにより成し遂げられる。
【0024】
その最も簡単な形態において、本発明の管状構造は、一次ラップ角での一次らせんラップおよび二次ラップ角での二次らせんラップを含み、管状構造は、一次直径および一次軸長を有する。管状構造が一次軸長から伸長二次軸長に増大されると、一次直径は拡大二次直径に増大する。この概念は、図1および2に示したモデルで最も良く例証されている。
【0025】
図1は、軸14からの一次ラップ角度を提示する、恒久的に伸長されたSLINKY(登録商標)バネ玩具の形態の、一次らせん構造12を含むモデル10を示す。3つの日も18a、18b、18cの形態での、二次らせん構造16のラップは、一次らせん構造12の周囲にほぼ等距離点で結合される。この一次非歪み形状では、当該モデルは一次直径xを含む。
【0026】
図2は、それを伸長させる構造に適用される軸力を伴う同一モデル10を示す。この伸長の作用は、二次らせん構造16の角度が軸14に比して低減するものである。これは、一次らせん構造12を本質的に「解く」という作用を有する。一次らせん構造のこの相対的動きは、モデル10を放射的に増大させて、二次拡大直径yとする。
【0027】
この現象は、図3および4の線図を参照することによりさらに理解され得る。図3は、一次非歪み形状での本発明の構成成分の相対的配向を限定する平行四辺形を二次元で示す線図である。管状構造の軸は、線14により明示される。一次構成成分14ラップ角度は、軸14からの角度θにより限定される。二次構成成分16ラップ角度は、軸14からの角度γにより限定される。図3で留意されるように、一次および二次構成成分12、16は、それらのそれぞれのラップ角度θ、γに沿って最小コンプライアンスを有することが望ましい。このように配向される場合、この構造における主な歪みの方向は、線20に沿っている。この管の円周(直径)は、点A−A間の距離により限定される。
【0028】
軸方向荷重が図3の構造に対して線14に沿って適用される場合、その結果生じる構造の再配向は図4に示されている。管が伸長すると、角度γは減少する。線A’−A’により限定される円周は、したがって、角度γが最終的にゼロ(0)に達するまで増大する。
【0029】
このようにして管を構築することにより、5、10、15、20、25%またはそれ以上の伸長中に直径の増大を提供し得る管が設計され得る、ということが確定されている。さらに大きな直径変化が可能であり、30、35、40、45、50%またはそれ以上が容易に達成可能である。理論的には、100%〜500%〜1000%またはそれ以上のさらにより実質的な直径変化が達成され得るが、角度が収束し、軸に近づいた場合、実際の材料および適用限界、例えば配向軸から離れた真歪み、壁厚減少、軸延長、配向強度の欠如等により制限される。
【0030】
本発明の管の作製に関しては、多数の見解がある。好ましくは、管は、意図される軸の周囲の異なる角度での材料の2つ以上の一方向性バイアスラップを含む。好ましくは、一次構成成分の角度θは、管軸から約0〜90度であり、約45〜85度がさらに好ましく、約60〜80℃が最も好ましい。同様に、二次構成成分の角度γは、管軸から約0〜90℃であり、約10〜80度がさらに好ましく、約20〜60℃が最も好ましい。全体的に、小ピッチ、大ラップ角度θ構成成分12は、管にフープ強度を提供する;大ピッチ/小ラップ角度γ構成成分16は、軸強度を提供し、軸歪みを限定する。
【0031】
いくつかの適用に関しては、付加的強度、さらなる厚みまたは緩衝作用、透過性改質、あるいはその他の適用特異的な所望の特性を提供するために、3、4、5またはそれ以上の層の材料の付加的ラップを含むことが所望され得る。
【0032】
本発明の管の構成成分は、多数の形態をとり得る。ほとんどの適用に関して、それらのそれぞれのラップ角度の方向で配向強度および最小コンプライアンスを提供する材料のテープを用いることが好ましい。一次構成成分の角度の変化が管の縦軸に比して二次構成成分の角度の結果的変化を生じるよう、一次構成成分は二次構成成分に固定される必要がある。それらのラップ角度から離れて、多数の適用に関しては、軸伸長中に最大直径増大を提供するために、互いに比して2つの活性構成成分の配向を変えさせるより従順な材料を有することが好ましい。本発明に用いるための適切な材料としては、フルオロポリマー(特にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)およびフッ化エチレンプロピレン(FEP))、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリイミン等、ならびにこれらおよび/または他の材料を組合せて所望の強度およびコンプライアンス特質を達成する複合材料が挙げられるが、これらに限定されない。発泡PTFE(ePTFE)は、それが膨張の方向で優れた軸強度を提供するが、しかし膨張の方向と垂直の方向に容易に従順性であるため、多数の適用のために最も好ましいと考えられる。
【0033】
適用によって、本発明の管は、連続材料、例えば材料の連続皮膜、テープまたはシートから構築され得る。代替的には、本発明の管は、不連続構造、例えばその中に穴またはスリットを含むシートまたはテープを、あるいは織物、編物またはその他の開放構造から形成される材料でさえ含み得る。
【0034】
本発明の範囲を限定することなく、図5〜8は、本発明を実行するために有用であり得る種々の実施形態を例証する。
【0035】
図5は、完全開放メッシュ管10を含む本発明の一実施形態を示す。この実施形態では、一次構成成分12および二次構成成分16は、各々、繊維またはワイヤ材料を含む。開放空間22は、2つの構成成分12、16間に提供され、これは充填されないままであり得るし、あるいは他の材料(例えば、連続または不連続皮膜)の層で被覆され得る。構成成分12、16の一方または他方または両方として用いられ得る適切な材料としては、スチール、ニチノール等、ポリマー、例えばナイロン、ePTFE等が挙げられ得る。言及してきたように、構成成分12、16の正しい選択に伴って、そして空間22は塞がれないままで、この構築は、本発明にしたがって最適増大特質を提供すると考えられる。
【0036】
図6は、2つの皮膜(または「テープ」)構成成分12、16の偏向巻管を含む本発明の管10の一実施形態を示す。好ましくは、2つのテープ構成成分は、最小剪断および横断強度を有する一軸配向材料である。上気してきたように、ePTFEは、これらの構成成分の一方または両方として用いるのに特に望ましい。
【0037】
図7は、本発明の管10のさらに別の実施形態を示す。この実施形態は、微細ピッチ角らせんの完全密度、高弾性係数皮膜24、例えばポリイミド、および低角度ピッチの一軸性皮膜26、例えばePTFEを用いる。
【0038】
図8は、本発明のさらに別の実施形態を示す。この実施形態では、管10は、均質材料中の配向スリット28により限定される高および低角度配向の両方を有する均質材料を含む。低角度構成成分スリットは、管の円周を取り囲むらせん状横列30で配向されるが、一方、高角度構成成分スリットは、低角度横列30を横断する対角線32として限定される。
【0039】
上記例は、構築され得る本発明の多数の種々の配向のうちの2〜3に過ぎない。例えば、図5の選択開放空間と組合せた図6の連続材料をともに有する管を構築する、あるいは図7の高弾性係数皮膜を他の3つの構築物のうちのいずれかと組合せる、あるいは他の3つの構築物のうちのいずれかの一部または全部に関して図8の配向スリットを用いる等といったように、図5〜8の種々の実施形態の特性の多くは組合せられ得る、と理解されるべきである。
【0040】
本発明の管は、多数の従来の管デバイスに見出される「ネッキング」における問題を回避するために、ならびに軸伸長中に管の直径の増大が提供され得る付加的利益を提供するために用いられ得る。このようなものとして、本発明の管は、製造補助物として、配備鞘(例えば医療用デバイスを送達するための)として、ならびに管状鞘除去が容易であることから利益を得る他の適用において、有用であり得る。
【0041】
図9は、管10が製造主軸34上に配備されるような一適用、例えば種々の管状構造物(例えば、テープ化−ラップ化人工血管構成成分)を構築するために一般に用いられるものを示す。加熱または他の加工処理段階は、主軸周囲の管を縮小し、一旦、製造品が除去されると、主軸から管をスライドさせことを難しくするかまたは不可能にし得る。本発明の管に関しては、管10の軸運動はそれを軸方向に増大させて、主軸からのその除去を非常に容易にする。この特性は、主軸から製造品を除去するのを手助けするのに非常に有益でもあり得る。
【0042】
図10に示したのは、医療用デバイス配備システム36の末端近くの格納鞘として配備された本発明の管10の一実施形態である。配備システムは、遠位オリーブ40から制御ハブ42に延びるカテーテルシャフト38を含む。医療用デバイス、例えばステント、ステント−移植皮弁、バルーン、血液フィルター、オクルーダー、消息子、弁等は、患者の身体内の処置部位に配備されるべき鞘10中に含入され得る。鞘10は、それ自体の上に裏返されて2つの層を形成し、その外側セグメントは内側セグメントを部分的にまたは完全に被覆する。管10は、開口部46を通してカテーテルシャフト中に供給される配備ライン44と接着される。配備ライン46は、ハブ42上の配備ノブ48と操作可能的に連結される。
【0043】
本発明に従って作製される管10は、送達されるべきデバイスを拘束するためにも、除去過程の張力に耐えるためにも十分に強力である任意の材料から形成され得る。鞘10は、小デバイス送達輪郭を維持するために、そして除去過程を助長するために、できるだけ薄く且つ滑らかでもある、というのが望ましい。管10は、送達および配備中に患者内に一時的に深く配置されるため、鞘が生体適合性材料から形成される、ということが同様に望ましい。以下でさらに詳細に説明されるように、適切な鞘材料としては、以下のものが挙げられる:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE);発泡PTFE(ePTFE);フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエステル等。
【0044】
配備ライン44を始動させるために、医療従業者は、配備ノブ48を緩め、ノブ上に引っ張って、配備ラインを接続して、管10を漸進的に格納デバイスから引き出す。管10がそれ自体の上に裏返される場合、それが管の外側セグメントになるよう、本発明の管は漸進的に直径を増大し、内側セグメントを着実に裏返す。管10の外側セグメントは非拘束内側セグメントより大きい直径を形成するため、本発明の管10の直径に沿った増大は裏返しの工程を手助けする。その結果、より大きな直径の外部セグメントは内側セグメント上を容易に滑り、そして2つの層の間で最小摩擦で容易に除去される。
【0045】
デバイス送達の工程は、図11でより良好に観察され得る。この実施形態では、外側セグメント50は、外面の一部を切り開いて内部を見えるようにして、内側セグメント52上に引き出されて示されている。より大きい直径の外側セグメント50が引き出されると、軸力が本発明の管10を曝け出す。管10がこのようにして引き出されると、拘束された自己拡張型ステント54はこの実施形態から漸進的に配備される。
【0046】
本発明を用いる医療用デバイス配備は、上記のように単一層としてまたは裏返し方式で成し遂げられ得る、と理解されるべきである。裏返し実施形態を用いる場合、最終構築物では、2つのセグメント間の摩擦を最小限にするために、外側セグメントは内側セグメントの外径より十分に大きい内径を有するべきである。すなわち、内側セグメントと外側セグメントとの間の干渉を最小限にするために、軸方向に伸長される外側セグメントは、その内径が非拘束内側セグメントの外径を具合よく通り抜けるよう、十分に拡大すべきである。外側セグメントの内径は、内側セグメントの外径より0.1〜50%大きいというのが好ましく、さらに好ましくは10〜20%大きい。
【0047】
例えば、これらの寸法を達成するために、約0.08 mmの壁厚および約2.1 mmの外側セグメント内径を有する管が、典型的には、約1.9 mmの外径を有する非拘束内側セグメントとともに提供される。
【0048】
本発明の管は、デバイスを配備するために必要とされる張力の量を大いに低減すると考えられる。
【0049】
本発明の管の利点は、多数の他のデバイスおよび工程を改良するために容易に適合可能であると考えられる。このような改良型組合せの一例は、本発明の管を、同時係属中の米国特許出願第12/014,538号(Irwin等、2008年1月15日出願)(参照により本明細書中に組入れられる)に開示されているプリーツ式管配備構築物とともに用いることである。この点で、本発明の管は、デバイス送達を手助けするための1つ以上のプリーツを伴って用いられ、さらなる有益な結果を提供し得る。
【0050】
本発明は、多数の他の有用な用途、例えば、血管形成デバイス、回収デバイス、埋込み式フィルター、ステント、伸展移植片等を有すると考えられる。本発明は、事実上任意の寸法に縮尺設計され得る、ということに留意すべきである。
【実施例】
【0051】
本発明の範囲を限定することなく、以下の実施例は、本発明が実行され得る方法のいくつかの実施形態を例証する。
【0052】
[実施例1 − 一軸配向性ePTFE皮膜]
本実施例は、アセンブリー主軸から容易に除去され得るePTFE管のアセンブリーを記載する。0.136”スチール主軸上で、1”幅発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)皮膜(縦方向配向強度、最小横断および剪断強度を有し、ならびに接着剤として機能する一側面上のFEPを伴う)を、主軸から離れて面するFEPを伴い右巻きらせん配向で主軸に比して40°ピッチで巻きつけた。次に、0.25”幅ePTFE皮膜を、主軸に面するFEPを伴う一次皮膜の上に右巻きらせん配向で74°ピッチで巻きつけた。次いで、アセンブリーを、320℃の温度で13分間、主軸上で熱処理した。管は主軸から容易に除去され、材料降伏強さより低い荷重ではネッキングは観察されなかった。
【0053】
[実施例2 − ポリイミド皮膜を伴う一軸配向性ePTFE皮膜]
本実施例は、ePTFE層間に非コンプライアントポリイミド皮膜(Kapton(登録商標))を含むePTFE管のアセンブリーを記載する。0.236”スチール主軸上で、1.0”幅ePTFE皮膜を、主軸から離れて面するFEPを伴い右巻きらせん配向で主軸に比して56°ピッチで巻きつけた。次に、0.050”×0.001”ポリイミド皮膜を、一次皮膜の上に右巻きらせん配向で主軸に比して82°ピッチで巻きつけた。次いで、1”幅ePTFE皮膜を、主軸に面するFEPを伴うポリイミド皮膜の上面に右巻らせん配向で主軸に比して56°ピッチで巻きつけた。次に、アセンブリーを、320℃の温度で13分間、主軸上で熱処理し、その後、管を主軸から除去した。
【0054】
高角度ラップのために用いられる非コンプライアントポリイミド皮膜は軸歪みを制限し、より高角度のePTFEラップの使用を可能にする。より高角度のePTFEラップは、所定の軸荷重に関する「巻き戻し」作用を増大する。ポリイミドラップにより限定される直径は軸力に伴って増大するが、しかしネッキングはポリイミド間のePTFE上で観察され得ない。
【0055】
[実施例3 − ポリイミド皮膜を伴う一軸配向性ePTFE]
実施例2で製造した管がネッキングを低減するよう改質され得るか否かを調べるために、(主軸に比して56°ピッチで)皮膜構造のものと平行な配向でePTFEにナイフでスリットを作製した。スリット間は約0.050”の間隔をあけた。これらのスリットは、ePTFE皮膜の「軸外」強度を排除して、ePTFEネッキングを伴わずに張力下でのポリイミドらせんの直径増大を可能にする。したがって、これらのスリットの導入はネッキングを排除する。
【0056】
[実施例4 − 一軸配向性ePTFE皮膜]
本実施例は、実施例1に記載したような、しかし縮小バージョンでのePTFE管のアセンブリーを記載する。0.075”スチール主軸上で、0.25”幅ePTFE皮膜を、主軸から離れて面するFEPを伴い右巻きらせん配向で主軸に比して25°ピッチで巻きつけた。次に、0.125”幅型ePTFE皮膜を、主軸に面するFEPを伴い右巻きらせん配向で主軸に比して75°ピッチで巻きつけた。次いで、アセンブリーを、320℃の温度で13分間、主軸上で熱処理した。この構築物を主軸から除去し、デバイス拘束として用いて、これを配備のために裏返した。
【0057】
[実施例5 − ポリイミド皮膜を伴う一軸配向性ePTFE皮膜]
本実施例は、軸力に良好に応答し、そして小さな相対的力で出発直径に戻るほぼ連続的なポリイミドである管のアセンブリーを記載する。0.083”スチール主軸上で、0.25”幅ePTFE皮膜を、主軸から離れて面するFEPを伴い右巻きらせん配向で主軸に比して28°ピッチで巻きつけた。次に、0.043”×0.001”ポリイミド皮膜を、一次皮膜の上に右巻きらせん配向で主軸に比して68°ピッチ角で巻きつけた。次いで、0.25”幅ePTFE皮膜を、主軸に面するFEPを伴うポリイミド皮膜の上に右巻らせん配向で主軸に比して28°ピッチ角で巻きつけた。次に、アセンブリーを、320℃の温度で13分間、主軸上で熱処理し、その後、管を主軸から除去した。
【0058】
次いで、管を0.075”スチール主軸に移動して、ポリイミドらせんを「巻き落とす」かまたは「ぐるぐる巻き」にして、管と主軸との間の隙間を排除して、全てのラップに関するピッチ角を有効に増大した。次いで、管をePTFEで圧縮ラップ処理して、それを主軸上に固定し、320℃で7分間熱処理して、その後、圧縮ラップを除去した。その結果生じた管はほぼ連続ポリイミドであり、軸力に良好に応答して、小相対力で出発直径に戻る。
【0059】
本発明の特定の実施形態を本明細書中で例証し、記載してきたが、本発明は、このような例証および記載に限定されるものではない。以下の特許請求の範囲内で、本発明の一部として、変更および修正が組み入れられ、具体化され得ることは明らかである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造において、身体中に医療用診断および治療デバイスを配置し、配備するための装置としてならびに他の用途において使用することを含めた広範な一連の適用に適した独特の特性を有する改良型管状構造に関する。
【背景技術】
【0002】
管が縦方向に伸長される場合、管は直径を短縮するということは、多数の管状構築物、例えば、柔軟性可塑性材料から製造されるものについて既知の特性である。この特性は、一般に、「ネッキング」と呼ばれる。このようなネッキングは、多数の適用において問題であり得る。
【0003】
例えば、可塑性ラップが製造工程において主軸上に適用される場合、主軸からラップを除去するために可塑性ラップの末端を引っ張ると、主軸上にラップネッキングを生じる。これにより、しばしば、主軸から可塑性ラップを滑り剥がすことが難しくなったり、あるいはできなくなるなどして、ラップを切断したりあるいは主軸を捻じ曲げてラップを分離する必要が生じる。
【0004】
同様に、ネッキングは、あるデバイスを含有するかまたは拘束するために可塑性管が用いられる場合の一要素であり得る。例えば、患者における遠隔操作配備のための自己拡張型医療用デバイス、例えばステントまたは血液フィルターでは、それがデバイスおよび拘束管の相対的滑りにより医療用デバイスから分離されるべきである場合、デバイス設計者は可塑性管のネッキングを配慮しなければならない。典型的には、これは、デバイスに望ましくない輪郭を付加し、および/または身体内のその柔軟性および機動性を低減し得るより厚くおよび/またはより堅い材料といったようなネッキングを阻止する可塑性管の使用を必要とする。医者が、より小さく且つより曲がりくねった血管を通して、よりしっかりと処置部位に到達しようと試みる場合、緊密性および柔軟性を最適化することが非常に望ましい。
【0005】
代替的には、医療用デバイス設計者は他の配備方法を用いて埋め込み型デバイスから管を分離し得る。例えば、拘束スリーブは、米国特許第6,352,561号(Leopold等)に記載されているように、埋込み型デバイスから切断または分割されるよう設計され得る。他には、スリーブを裏返して、埋込み型デバイスからスリーブを滑らせるために必要とされる力を低減する、という示唆もあった。この概念に関する変法は、例えば、米国特許第4,732,152号(Wallsten)、米国特許第5,571,135号(Fraser等)、米国特許第6,942,682号(Vrba等)、ならびに米国特許出願第2006/0025844号(Majercak等)および米国特許出願第2006/0030923号(Gunderson)に記載されている。
【0006】
スリーブを裏返すと、拘束スリーブに適用されなければならない張力を低減し得るが、しかし、配備中にそれ自体を覆う鞘および自己拡張型デバイスを引いて動かすため、それらは依然としてかなりの張力を必要とし得る(これは主に、スリーブが除去されつつある間、鞘の裏返されていない部分に鞘の裏返された部分がこすり付けられて摩擦を生じることによる)。配備中にスリーブ材料がデバイス上でネックダウンする程度がどのようなものであっても、これはデバイス設計をさらに複雑にする。これらの問題は、より長いデバイス長、ならびにより大きな外向き圧を発揮するより堅く緊密な自己拡張型デバイスと複合される。鞘を裏返し、除去するために必要とされる張力が大きいほど、配備中にその正確な位置に装置を保持しようとしながら、医療スタッフが鞘を除去することを要求される度合いがより大きくなる。配備中の鞘および配備ライン破損を回避するために、配備張力増大はより強固な鞘構築も必要とする。鞘の裏返しについてのこれらの欠陥が、このような配備方法に関する実際的適用を制限した可能性がある、と考えられる。
【0007】
同時係属中の米国特許出願12/014,536(Irwin等)(MP/273)では、埋め込み型デバイス配備中に鞘除去を手助けするために直径に沿って収容される材料を含む配備鞘が提案されている。例えば、1つ以上の襞または「プリーツ」を有する拘束鞘を構築することにより、鞘がそれ自体の上で裏返る場合にプリーツを開かせることにより、配備中にそれ自体の上でスリーブを裏返すことが非常に容易になる。これは、本質的には、ネッキングとは逆作用を生じる。つまり、プリーツが開くと、管状鞘は、それ自体の上に裏返りながら、直径に沿って大きくなるように見える。これは、配備工程を大いに手助けする、ということが判明している。その結果、このようなプリーツ式配備鞘は、広範な一連の医学的診断および治療デバイス、例えばステント、ステント−移植皮弁、バルーン、血液フィルター、オクルーダー、消息子、弁、電子機器用リード線、整形外科用デバイス等に有用である、と考えられる。
【0008】
明確にプリーツ加工された管は、ネッキングの問題を取り扱うために用いられ得るだけでなく、実際に軸力が管に適用される場合に、管は有効直径を増大し得る。これは、従来の医療用デバイス配備装置を上回る大きな進歩である。それにもかかわらず、プリーツ加工鞘にしっかり制御された「増大」特性を提供することは、医療用デバイス配備のために必要とされる場合、注意深い設計と品質保証制御を要する。プリーツ加工鞘は、さらにまた、裏返された管形状で配備される場合、最良に働く。
【0009】
上記のように用いられる場合のような医療用デバイスを拘束し、配備するためにプリーツ加工鞘を用いることは望ましいが、しかし、デバイス輪郭をさらに低減するため、単一層の材料がこのような適用のために選択可能である、と理解される。
【0010】
したがって、軸張力がそれに適用される場合、直径に沿って増大し得る管状装置を開発することが望ましい。
【0011】
プリーツがある場合もない場合も、単一または多層で用いられ得る、軸方向に伸長されると直径が増大するような管状構築物を開発することがさらに望ましい。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、軸力蛾当該構造に適用される場合に直径を増大するために適合される改良型管状構造に関する。この直径増大は、管の軸伸長中に互いに比して移動する多層の材料から管を構築することにより、成し遂げられ得る。本発明の管は、多数の従来の管デバイスに見出される「ネッキング」の問題を回避するために、そして軸伸長中に管の直径の増大が提供され得るという付加的利益を提供するという両方のために、用いられ得る。このようなものとして、本発明の管は、製造補助物として、配備鞘として(例えば、医療用デバイスを送達するために)、ならびに管状鞘の除去が容易であることが有益であり得る他の適用において、有用であり得る。
【0013】
本発明の一実施形態では、管状構造は、一次ラップ角での一次らせんラップおよび二次ラップ角での二次らせんラップを含み、管状構造は、一次直径および一次軸長を有する。管状構造が一次軸長から伸長二次軸長に増大されると、一次直径は拡大二次直径に増大する。
【0014】
本発明のさらなる実施形態では、管状構造は、xの一次ラップ角度での少なくとも1つのテープのラップ、yの二次ラップ角度での少なくとも1つのテープのラップ(両ラップは同一相対的方向で存在する)を含む縦軸を有する。2つのラップ角xおよびyはともに、管状構造の軸に対比して0〜90度の角度で形成され、角度xは角度yと異なり、そしてxおよびyは互いに関して鋭夾角で配向される。軸力が管状構造に適用される場合、角度xおよびyがともに縦軸に比して低減し、xおよびy間の鋭夾角は増大する。好ましくは、テープの一方または両方が異方性であり、ラップの方向で相対的に非従順性である。このように構築されると、管状構造が一次軸長から伸長された二次軸長に増大された場合、一次直径は拡大二次直径に増大する。
【0015】
本発明のさらに限定される構築物は、張力下で、離軸歪が管状構造に形成される、一次軸長および一次直径を有する管状構造を含む。張力が管状構造に適用されると、管状構造は二次伸長軸長および拡大二次直径を呈する。
【0016】
さらに明記すると、本発明は、少なくとも1つの螺旋状配向素子および直径を有する管状構造を含む管状デバイスを含む。軸力を管状デバイスに適用すると、らせん状配向素子は少なくとも部分的に解かれて、管状デバイスの直径を増大する。
【0017】
本発明の利点の1つは、それが均一厚の単一層として利用され得るという点である。用いられる場合、例えば、医療用デバイスを配備するために、これらの特性は、管を裏返すかまたはプリーツ加工する前より重要な利益を提供すると考えられる。しかしながら、本発明は、裏返され、またはプリーツ加工された(あるいはその両方の)構築物を組入れられて、付加的な改良された特性を提供する、と理解されるべきである。これらの種々の反復の全てにおいて、本発明は、より小さく且つより柔軟な輪郭を有する遠隔送達可能な医療用デバイスの送達、ならびに低張力およびより正確な配置を伴うデバイスの配備を可能にするという利益を提供する。
【0018】
医療用デバイス配備装置として、本発明は、患者を診断し、および/または治療するための広範な種々のデバイスを配備するために用いられ得る。このようなデバイスとしては、ステント、ステント−移植皮弁、バルーン、血液フィルター、オクルーダー、消息子、弁、電子機器用リード線(例えば、ペースメーカーまたは除細動器リード線)、整形外科用デバイス等が挙げられ得る。本発明の配備装置は、多数の異なるデバイス送達および配備要求に取り組むために修正され得る。例えば、ラップの数、ラップ角度、ラップ材料の種類、スリットまたは他のバイアス手段の使用、プリーツの配向、鞘裏返しの使用等が調整されて、異なったやり方でデバイスを配備させ得る。さらに、本発明の鞘は、デバイス上に種々の方法で配備されて、異なる配備要件に対応し、例えばデバイスを、ハブから先端まで、または先端からハブまで、あるいは両方向にデバイスの中点から外側に、カテーテルから離れて配備させる。
【0019】
本発明の付加的特徴および利点は、以下の説明に記述され、一部は、その説明から明らかになり、あるいは本発明の実施により習得され得る。本発明の目的およびその他の利点は、書かれた説明およびその特許請求の範囲、ならびに添付の図面に特に指摘された構造により、実現され、到達される。
【0020】
前記の一般的説明および以下の詳細な説明はともに、例示的且つ説明的なものであって、特許請求されるような本発明のさらなる説明を提供するよう意図される、と理解されるべきである。
【0021】
本発明のさらなる理解を提供するために包含され、本明細書中に組入れられて、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を例証し、説明に加えて本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】非歪み形状での本発明の概念を実証する模式的モデルの立面図である。
【図2】軸方向荷重を受けているモデルに関する図1の模式的モデルの立面図であって、モデルが伸長した場合にモデルの直径の増大を実証する。
【図3】一次非歪み形状での本発明の構成成分の相対的配向を例証する線図である。
【図4】軸方向荷重下での二次歪み形状での本発明の構成成分の相対的配向を例証する線図である。
【図5】本発明の管の第一の実施形態の模式図である。
【図6】本発明の管の第二の実施形態の模式図である。
【図7】本発明の管の第三の実施形態の模式図である。
【図8】本発明の管の第四の実施形態の模式図である。
【図9】主軸上に配備される本発明の管の平面図である。
【図10】送達カテーテルの遠位端付近に配備される医療用デバイス配備システムに用いられる方法あの管の一実施形態の平面図である。
【図11】引っ込められている本発明の管を示す送達カテーテルの遠位端の拡大透視図であって、そこに含入された自己拡張型ステントを漸進的に放出する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
ここで、本発明の一実施形態を詳細に参照する。この例は、添付の図面で例証されている。
本発明は、軸力が当該構造に適用された場合に直径を増大するために適合される改良型管状構造に関する。この直径増大は、好ましくは、管の軸伸長中に互いに比して移動する多層の材料から管を構築することにより成し遂げられる。
【0024】
その最も簡単な形態において、本発明の管状構造は、一次ラップ角での一次らせんラップおよび二次ラップ角での二次らせんラップを含み、管状構造は、一次直径および一次軸長を有する。管状構造が一次軸長から伸長二次軸長に増大されると、一次直径は拡大二次直径に増大する。この概念は、図1および2に示したモデルで最も良く例証されている。
【0025】
図1は、軸14からの一次ラップ角度を提示する、恒久的に伸長されたSLINKY(登録商標)バネ玩具の形態の、一次らせん構造12を含むモデル10を示す。3つの日も18a、18b、18cの形態での、二次らせん構造16のラップは、一次らせん構造12の周囲にほぼ等距離点で結合される。この一次非歪み形状では、当該モデルは一次直径xを含む。
【0026】
図2は、それを伸長させる構造に適用される軸力を伴う同一モデル10を示す。この伸長の作用は、二次らせん構造16の角度が軸14に比して低減するものである。これは、一次らせん構造12を本質的に「解く」という作用を有する。一次らせん構造のこの相対的動きは、モデル10を放射的に増大させて、二次拡大直径yとする。
【0027】
この現象は、図3および4の線図を参照することによりさらに理解され得る。図3は、一次非歪み形状での本発明の構成成分の相対的配向を限定する平行四辺形を二次元で示す線図である。管状構造の軸は、線14により明示される。一次構成成分14ラップ角度は、軸14からの角度θにより限定される。二次構成成分16ラップ角度は、軸14からの角度γにより限定される。図3で留意されるように、一次および二次構成成分12、16は、それらのそれぞれのラップ角度θ、γに沿って最小コンプライアンスを有することが望ましい。このように配向される場合、この構造における主な歪みの方向は、線20に沿っている。この管の円周(直径)は、点A−A間の距離により限定される。
【0028】
軸方向荷重が図3の構造に対して線14に沿って適用される場合、その結果生じる構造の再配向は図4に示されている。管が伸長すると、角度γは減少する。線A’−A’により限定される円周は、したがって、角度γが最終的にゼロ(0)に達するまで増大する。
【0029】
このようにして管を構築することにより、5、10、15、20、25%またはそれ以上の伸長中に直径の増大を提供し得る管が設計され得る、ということが確定されている。さらに大きな直径変化が可能であり、30、35、40、45、50%またはそれ以上が容易に達成可能である。理論的には、100%〜500%〜1000%またはそれ以上のさらにより実質的な直径変化が達成され得るが、角度が収束し、軸に近づいた場合、実際の材料および適用限界、例えば配向軸から離れた真歪み、壁厚減少、軸延長、配向強度の欠如等により制限される。
【0030】
本発明の管の作製に関しては、多数の見解がある。好ましくは、管は、意図される軸の周囲の異なる角度での材料の2つ以上の一方向性バイアスラップを含む。好ましくは、一次構成成分の角度θは、管軸から約0〜90度であり、約45〜85度がさらに好ましく、約60〜80℃が最も好ましい。同様に、二次構成成分の角度γは、管軸から約0〜90℃であり、約10〜80度がさらに好ましく、約20〜60℃が最も好ましい。全体的に、小ピッチ、大ラップ角度θ構成成分12は、管にフープ強度を提供する;大ピッチ/小ラップ角度γ構成成分16は、軸強度を提供し、軸歪みを限定する。
【0031】
いくつかの適用に関しては、付加的強度、さらなる厚みまたは緩衝作用、透過性改質、あるいはその他の適用特異的な所望の特性を提供するために、3、4、5またはそれ以上の層の材料の付加的ラップを含むことが所望され得る。
【0032】
本発明の管の構成成分は、多数の形態をとり得る。ほとんどの適用に関して、それらのそれぞれのラップ角度の方向で配向強度および最小コンプライアンスを提供する材料のテープを用いることが好ましい。一次構成成分の角度の変化が管の縦軸に比して二次構成成分の角度の結果的変化を生じるよう、一次構成成分は二次構成成分に固定される必要がある。それらのラップ角度から離れて、多数の適用に関しては、軸伸長中に最大直径増大を提供するために、互いに比して2つの活性構成成分の配向を変えさせるより従順な材料を有することが好ましい。本発明に用いるための適切な材料としては、フルオロポリマー(特にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)およびフッ化エチレンプロピレン(FEP))、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリイミン等、ならびにこれらおよび/または他の材料を組合せて所望の強度およびコンプライアンス特質を達成する複合材料が挙げられるが、これらに限定されない。発泡PTFE(ePTFE)は、それが膨張の方向で優れた軸強度を提供するが、しかし膨張の方向と垂直の方向に容易に従順性であるため、多数の適用のために最も好ましいと考えられる。
【0033】
適用によって、本発明の管は、連続材料、例えば材料の連続皮膜、テープまたはシートから構築され得る。代替的には、本発明の管は、不連続構造、例えばその中に穴またはスリットを含むシートまたはテープを、あるいは織物、編物またはその他の開放構造から形成される材料でさえ含み得る。
【0034】
本発明の範囲を限定することなく、図5〜8は、本発明を実行するために有用であり得る種々の実施形態を例証する。
【0035】
図5は、完全開放メッシュ管10を含む本発明の一実施形態を示す。この実施形態では、一次構成成分12および二次構成成分16は、各々、繊維またはワイヤ材料を含む。開放空間22は、2つの構成成分12、16間に提供され、これは充填されないままであり得るし、あるいは他の材料(例えば、連続または不連続皮膜)の層で被覆され得る。構成成分12、16の一方または他方または両方として用いられ得る適切な材料としては、スチール、ニチノール等、ポリマー、例えばナイロン、ePTFE等が挙げられ得る。言及してきたように、構成成分12、16の正しい選択に伴って、そして空間22は塞がれないままで、この構築は、本発明にしたがって最適増大特質を提供すると考えられる。
【0036】
図6は、2つの皮膜(または「テープ」)構成成分12、16の偏向巻管を含む本発明の管10の一実施形態を示す。好ましくは、2つのテープ構成成分は、最小剪断および横断強度を有する一軸配向材料である。上気してきたように、ePTFEは、これらの構成成分の一方または両方として用いるのに特に望ましい。
【0037】
図7は、本発明の管10のさらに別の実施形態を示す。この実施形態は、微細ピッチ角らせんの完全密度、高弾性係数皮膜24、例えばポリイミド、および低角度ピッチの一軸性皮膜26、例えばePTFEを用いる。
【0038】
図8は、本発明のさらに別の実施形態を示す。この実施形態では、管10は、均質材料中の配向スリット28により限定される高および低角度配向の両方を有する均質材料を含む。低角度構成成分スリットは、管の円周を取り囲むらせん状横列30で配向されるが、一方、高角度構成成分スリットは、低角度横列30を横断する対角線32として限定される。
【0039】
上記例は、構築され得る本発明の多数の種々の配向のうちの2〜3に過ぎない。例えば、図5の選択開放空間と組合せた図6の連続材料をともに有する管を構築する、あるいは図7の高弾性係数皮膜を他の3つの構築物のうちのいずれかと組合せる、あるいは他の3つの構築物のうちのいずれかの一部または全部に関して図8の配向スリットを用いる等といったように、図5〜8の種々の実施形態の特性の多くは組合せられ得る、と理解されるべきである。
【0040】
本発明の管は、多数の従来の管デバイスに見出される「ネッキング」における問題を回避するために、ならびに軸伸長中に管の直径の増大が提供され得る付加的利益を提供するために用いられ得る。このようなものとして、本発明の管は、製造補助物として、配備鞘(例えば医療用デバイスを送達するための)として、ならびに管状鞘除去が容易であることから利益を得る他の適用において、有用であり得る。
【0041】
図9は、管10が製造主軸34上に配備されるような一適用、例えば種々の管状構造物(例えば、テープ化−ラップ化人工血管構成成分)を構築するために一般に用いられるものを示す。加熱または他の加工処理段階は、主軸周囲の管を縮小し、一旦、製造品が除去されると、主軸から管をスライドさせことを難しくするかまたは不可能にし得る。本発明の管に関しては、管10の軸運動はそれを軸方向に増大させて、主軸からのその除去を非常に容易にする。この特性は、主軸から製造品を除去するのを手助けするのに非常に有益でもあり得る。
【0042】
図10に示したのは、医療用デバイス配備システム36の末端近くの格納鞘として配備された本発明の管10の一実施形態である。配備システムは、遠位オリーブ40から制御ハブ42に延びるカテーテルシャフト38を含む。医療用デバイス、例えばステント、ステント−移植皮弁、バルーン、血液フィルター、オクルーダー、消息子、弁等は、患者の身体内の処置部位に配備されるべき鞘10中に含入され得る。鞘10は、それ自体の上に裏返されて2つの層を形成し、その外側セグメントは内側セグメントを部分的にまたは完全に被覆する。管10は、開口部46を通してカテーテルシャフト中に供給される配備ライン44と接着される。配備ライン46は、ハブ42上の配備ノブ48と操作可能的に連結される。
【0043】
本発明に従って作製される管10は、送達されるべきデバイスを拘束するためにも、除去過程の張力に耐えるためにも十分に強力である任意の材料から形成され得る。鞘10は、小デバイス送達輪郭を維持するために、そして除去過程を助長するために、できるだけ薄く且つ滑らかでもある、というのが望ましい。管10は、送達および配備中に患者内に一時的に深く配置されるため、鞘が生体適合性材料から形成される、ということが同様に望ましい。以下でさらに詳細に説明されるように、適切な鞘材料としては、以下のものが挙げられる:ポリテトラフルオロエチレン(PTFE);発泡PTFE(ePTFE);フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエステル等。
【0044】
配備ライン44を始動させるために、医療従業者は、配備ノブ48を緩め、ノブ上に引っ張って、配備ラインを接続して、管10を漸進的に格納デバイスから引き出す。管10がそれ自体の上に裏返される場合、それが管の外側セグメントになるよう、本発明の管は漸進的に直径を増大し、内側セグメントを着実に裏返す。管10の外側セグメントは非拘束内側セグメントより大きい直径を形成するため、本発明の管10の直径に沿った増大は裏返しの工程を手助けする。その結果、より大きな直径の外部セグメントは内側セグメント上を容易に滑り、そして2つの層の間で最小摩擦で容易に除去される。
【0045】
デバイス送達の工程は、図11でより良好に観察され得る。この実施形態では、外側セグメント50は、外面の一部を切り開いて内部を見えるようにして、内側セグメント52上に引き出されて示されている。より大きい直径の外側セグメント50が引き出されると、軸力が本発明の管10を曝け出す。管10がこのようにして引き出されると、拘束された自己拡張型ステント54はこの実施形態から漸進的に配備される。
【0046】
本発明を用いる医療用デバイス配備は、上記のように単一層としてまたは裏返し方式で成し遂げられ得る、と理解されるべきである。裏返し実施形態を用いる場合、最終構築物では、2つのセグメント間の摩擦を最小限にするために、外側セグメントは内側セグメントの外径より十分に大きい内径を有するべきである。すなわち、内側セグメントと外側セグメントとの間の干渉を最小限にするために、軸方向に伸長される外側セグメントは、その内径が非拘束内側セグメントの外径を具合よく通り抜けるよう、十分に拡大すべきである。外側セグメントの内径は、内側セグメントの外径より0.1〜50%大きいというのが好ましく、さらに好ましくは10〜20%大きい。
【0047】
例えば、これらの寸法を達成するために、約0.08 mmの壁厚および約2.1 mmの外側セグメント内径を有する管が、典型的には、約1.9 mmの外径を有する非拘束内側セグメントとともに提供される。
【0048】
本発明の管は、デバイスを配備するために必要とされる張力の量を大いに低減すると考えられる。
【0049】
本発明の管の利点は、多数の他のデバイスおよび工程を改良するために容易に適合可能であると考えられる。このような改良型組合せの一例は、本発明の管を、同時係属中の米国特許出願第12/014,538号(Irwin等、2008年1月15日出願)(参照により本明細書中に組入れられる)に開示されているプリーツ式管配備構築物とともに用いることである。この点で、本発明の管は、デバイス送達を手助けするための1つ以上のプリーツを伴って用いられ、さらなる有益な結果を提供し得る。
【0050】
本発明は、多数の他の有用な用途、例えば、血管形成デバイス、回収デバイス、埋込み式フィルター、ステント、伸展移植片等を有すると考えられる。本発明は、事実上任意の寸法に縮尺設計され得る、ということに留意すべきである。
【実施例】
【0051】
本発明の範囲を限定することなく、以下の実施例は、本発明が実行され得る方法のいくつかの実施形態を例証する。
【0052】
[実施例1 − 一軸配向性ePTFE皮膜]
本実施例は、アセンブリー主軸から容易に除去され得るePTFE管のアセンブリーを記載する。0.136”スチール主軸上で、1”幅発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)皮膜(縦方向配向強度、最小横断および剪断強度を有し、ならびに接着剤として機能する一側面上のFEPを伴う)を、主軸から離れて面するFEPを伴い右巻きらせん配向で主軸に比して40°ピッチで巻きつけた。次に、0.25”幅ePTFE皮膜を、主軸に面するFEPを伴う一次皮膜の上に右巻きらせん配向で74°ピッチで巻きつけた。次いで、アセンブリーを、320℃の温度で13分間、主軸上で熱処理した。管は主軸から容易に除去され、材料降伏強さより低い荷重ではネッキングは観察されなかった。
【0053】
[実施例2 − ポリイミド皮膜を伴う一軸配向性ePTFE皮膜]
本実施例は、ePTFE層間に非コンプライアントポリイミド皮膜(Kapton(登録商標))を含むePTFE管のアセンブリーを記載する。0.236”スチール主軸上で、1.0”幅ePTFE皮膜を、主軸から離れて面するFEPを伴い右巻きらせん配向で主軸に比して56°ピッチで巻きつけた。次に、0.050”×0.001”ポリイミド皮膜を、一次皮膜の上に右巻きらせん配向で主軸に比して82°ピッチで巻きつけた。次いで、1”幅ePTFE皮膜を、主軸に面するFEPを伴うポリイミド皮膜の上面に右巻らせん配向で主軸に比して56°ピッチで巻きつけた。次に、アセンブリーを、320℃の温度で13分間、主軸上で熱処理し、その後、管を主軸から除去した。
【0054】
高角度ラップのために用いられる非コンプライアントポリイミド皮膜は軸歪みを制限し、より高角度のePTFEラップの使用を可能にする。より高角度のePTFEラップは、所定の軸荷重に関する「巻き戻し」作用を増大する。ポリイミドラップにより限定される直径は軸力に伴って増大するが、しかしネッキングはポリイミド間のePTFE上で観察され得ない。
【0055】
[実施例3 − ポリイミド皮膜を伴う一軸配向性ePTFE]
実施例2で製造した管がネッキングを低減するよう改質され得るか否かを調べるために、(主軸に比して56°ピッチで)皮膜構造のものと平行な配向でePTFEにナイフでスリットを作製した。スリット間は約0.050”の間隔をあけた。これらのスリットは、ePTFE皮膜の「軸外」強度を排除して、ePTFEネッキングを伴わずに張力下でのポリイミドらせんの直径増大を可能にする。したがって、これらのスリットの導入はネッキングを排除する。
【0056】
[実施例4 − 一軸配向性ePTFE皮膜]
本実施例は、実施例1に記載したような、しかし縮小バージョンでのePTFE管のアセンブリーを記載する。0.075”スチール主軸上で、0.25”幅ePTFE皮膜を、主軸から離れて面するFEPを伴い右巻きらせん配向で主軸に比して25°ピッチで巻きつけた。次に、0.125”幅型ePTFE皮膜を、主軸に面するFEPを伴い右巻きらせん配向で主軸に比して75°ピッチで巻きつけた。次いで、アセンブリーを、320℃の温度で13分間、主軸上で熱処理した。この構築物を主軸から除去し、デバイス拘束として用いて、これを配備のために裏返した。
【0057】
[実施例5 − ポリイミド皮膜を伴う一軸配向性ePTFE皮膜]
本実施例は、軸力に良好に応答し、そして小さな相対的力で出発直径に戻るほぼ連続的なポリイミドである管のアセンブリーを記載する。0.083”スチール主軸上で、0.25”幅ePTFE皮膜を、主軸から離れて面するFEPを伴い右巻きらせん配向で主軸に比して28°ピッチで巻きつけた。次に、0.043”×0.001”ポリイミド皮膜を、一次皮膜の上に右巻きらせん配向で主軸に比して68°ピッチ角で巻きつけた。次いで、0.25”幅ePTFE皮膜を、主軸に面するFEPを伴うポリイミド皮膜の上に右巻らせん配向で主軸に比して28°ピッチ角で巻きつけた。次に、アセンブリーを、320℃の温度で13分間、主軸上で熱処理し、その後、管を主軸から除去した。
【0058】
次いで、管を0.075”スチール主軸に移動して、ポリイミドらせんを「巻き落とす」かまたは「ぐるぐる巻き」にして、管と主軸との間の隙間を排除して、全てのラップに関するピッチ角を有効に増大した。次いで、管をePTFEで圧縮ラップ処理して、それを主軸上に固定し、320℃で7分間熱処理して、その後、圧縮ラップを除去した。その結果生じた管はほぼ連続ポリイミドであり、軸力に良好に応答して、小相対力で出発直径に戻る。
【0059】
本発明の特定の実施形態を本明細書中で例証し、記載してきたが、本発明は、このような例証および記載に限定されるものではない。以下の特許請求の範囲内で、本発明の一部として、変更および修正が組み入れられ、具体化され得ることは明らかである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の:
一次ラップ角での一次らせんラップ、及び二次ラップ角での二次らせんラップ;並びに
一次直径と一次軸長を有する管状構造;
を含む管状構造であって、該管状構造が、該一次軸長から伸長された二次軸長に増大されるとき、該一次直径が拡大された二次直径に増大する、前記管状構造。
【請求項2】
前記管状構造が、自己拡張型デバイスを含有する鞘を含む、請求項1に記載の管状構造。
【請求項3】
前記自己拡張型デバイスが、埋め込み型医療用デバイスを含む、請求項2に記載の管状構造。
【請求項4】
前記埋め込み型医療用デバイスがステントを含む、請求項3に記載の管状構造。
【請求項5】
主軸と関連して用いられる製造補助物を含む、請求項1に記載の管状構造。
【請求項6】
前記二次直径が、前記一次直径よりも少なくとも5%大きい、請求項1に記載の管状構造。
【請求項7】
前記二次直径が、前記一次直径よりも少なくとも10%大きい、請求項1に記載の管状構造。
【請求項8】
前記二次直径が、前記一次直径よりも少なくとも15%大きい、請求項1に記載の管状構造。
【請求項9】
各々、前記構造の周囲で同一の相対的方向で適用されるが、互いに対して異なる角度で配向される少なくとも2つのらせんテープラップから、形成される、請求項1に記載の管状構造。
【請求項10】
軸力が管状構造に適用されるとき、テープラップ間の相対角度が増大して拡大された二次直径を形成する、請求項9に記載の管状構造。
【請求項11】
以下の:
xの一次ラップ角度での少なくとも1つのテープのラップ、及びyの二次ラップ角度での少なくとも1つのテープのラップ(両ラップは同一相対的方向で存在する);
管状構造の軸に対比して約0〜90度の角度でともに形成されるxとy;
yと異なる角度であるx、及び互いに関して鋭夾角で配向されるxとy;
を含む縦軸を有する管状構造であって、該軸力が管状構造に適用されるとき、xとyはともに縦軸に比して低減し、そしてxとy間の鋭夾角が増大する前記管状構造。
【請求項12】
前記管状構造は、一次直径と一次軸長を有し;そして
前記管状構造が一次軸長から伸長された二次軸長に増大されるとき、該一次直径が拡大二次直径に増大する、請求項11に記載の管状構造。
【請求項13】
自己拡張型デバイスを含有する鞘を含む、請求項11に記載の管状構造。
【請求項14】
前記自己拡張型デバイスが、埋め込み型医療用デバイスを含む、請求項13に記載の管状構造。
【請求項15】
前記埋め込み型医療用デバイスがステントを含む、請求項14に記載の管状構造。
【請求項16】
主軸と関連して用いられる製造補助物を含む、請求項11に記載の管状構造。
【請求項17】
前記二次直径が前記一次直径よりも少なくとも5%大きい、請求項12に記載の管状構造。
【請求項18】
前記二次直径が前記一次直径よりも少なくとも10%大きい、請求項12に記載の管状構造。
【請求項19】
前記二次直径が前記一次直径よりも少なくとも15%大きい、請求項12に記載の管状構造。
【請求項20】
一次軸長と一次直径を含む管状構造であって、張力下で、離軸歪が管状構造に形成され;そして、張力が適用されるとき、管状構造が二次伸長軸長と拡大二次直径を呈する前記管状構造。
【請求項21】
前記二次直径が前記一次直径よりも少なくとも10%大きい、請求項20に記載の管状構造。
【請求項22】
少なくとも1つのらせん状配向素子と直径を有する管状構造を含む管状デバイスであって、該管状デバイスへの軸力の適用が、らせん状配向素子を少なくとも部分的に解かせて、該管状デバイスの直径が増大する前記管状デバイス。
【請求項23】
前記軸力の適用後に増大される直径が、前記軸力の適用前の直径よりも少なくとも10%大きい、請求項22に記載の管状構造。
【請求項1】
以下の:
一次ラップ角での一次らせんラップ、及び二次ラップ角での二次らせんラップ;並びに
一次直径と一次軸長を有する管状構造;
を含む管状構造であって、該管状構造が、該一次軸長から伸長された二次軸長に増大されるとき、該一次直径が拡大された二次直径に増大する、前記管状構造。
【請求項2】
前記管状構造が、自己拡張型デバイスを含有する鞘を含む、請求項1に記載の管状構造。
【請求項3】
前記自己拡張型デバイスが、埋め込み型医療用デバイスを含む、請求項2に記載の管状構造。
【請求項4】
前記埋め込み型医療用デバイスがステントを含む、請求項3に記載の管状構造。
【請求項5】
主軸と関連して用いられる製造補助物を含む、請求項1に記載の管状構造。
【請求項6】
前記二次直径が、前記一次直径よりも少なくとも5%大きい、請求項1に記載の管状構造。
【請求項7】
前記二次直径が、前記一次直径よりも少なくとも10%大きい、請求項1に記載の管状構造。
【請求項8】
前記二次直径が、前記一次直径よりも少なくとも15%大きい、請求項1に記載の管状構造。
【請求項9】
各々、前記構造の周囲で同一の相対的方向で適用されるが、互いに対して異なる角度で配向される少なくとも2つのらせんテープラップから、形成される、請求項1に記載の管状構造。
【請求項10】
軸力が管状構造に適用されるとき、テープラップ間の相対角度が増大して拡大された二次直径を形成する、請求項9に記載の管状構造。
【請求項11】
以下の:
xの一次ラップ角度での少なくとも1つのテープのラップ、及びyの二次ラップ角度での少なくとも1つのテープのラップ(両ラップは同一相対的方向で存在する);
管状構造の軸に対比して約0〜90度の角度でともに形成されるxとy;
yと異なる角度であるx、及び互いに関して鋭夾角で配向されるxとy;
を含む縦軸を有する管状構造であって、該軸力が管状構造に適用されるとき、xとyはともに縦軸に比して低減し、そしてxとy間の鋭夾角が増大する前記管状構造。
【請求項12】
前記管状構造は、一次直径と一次軸長を有し;そして
前記管状構造が一次軸長から伸長された二次軸長に増大されるとき、該一次直径が拡大二次直径に増大する、請求項11に記載の管状構造。
【請求項13】
自己拡張型デバイスを含有する鞘を含む、請求項11に記載の管状構造。
【請求項14】
前記自己拡張型デバイスが、埋め込み型医療用デバイスを含む、請求項13に記載の管状構造。
【請求項15】
前記埋め込み型医療用デバイスがステントを含む、請求項14に記載の管状構造。
【請求項16】
主軸と関連して用いられる製造補助物を含む、請求項11に記載の管状構造。
【請求項17】
前記二次直径が前記一次直径よりも少なくとも5%大きい、請求項12に記載の管状構造。
【請求項18】
前記二次直径が前記一次直径よりも少なくとも10%大きい、請求項12に記載の管状構造。
【請求項19】
前記二次直径が前記一次直径よりも少なくとも15%大きい、請求項12に記載の管状構造。
【請求項20】
一次軸長と一次直径を含む管状構造であって、張力下で、離軸歪が管状構造に形成され;そして、張力が適用されるとき、管状構造が二次伸長軸長と拡大二次直径を呈する前記管状構造。
【請求項21】
前記二次直径が前記一次直径よりも少なくとも10%大きい、請求項20に記載の管状構造。
【請求項22】
少なくとも1つのらせん状配向素子と直径を有する管状構造を含む管状デバイスであって、該管状デバイスへの軸力の適用が、らせん状配向素子を少なくとも部分的に解かせて、該管状デバイスの直径が増大する前記管状デバイス。
【請求項23】
前記軸力の適用後に増大される直径が、前記軸力の適用前の直径よりも少なくとも10%大きい、請求項22に記載の管状構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2012−533347(P2012−533347A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520709(P2012−520709)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/041765
【国際公開番号】WO2011/008723
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/041765
【国際公開番号】WO2011/008723
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】
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