説明

反転固定構造体

【課題】
口部の周囲を絞って固定するのではなく、口部4の内面へ段差を生じさせず、口部の開閉固定をワンタッチで行える固定構造体の提供を課題にする。
【解決手段】
向かい合う前面1と背面2とによって袋体3を形成し、袋体3の角領域に口部4を設け、袋体3の角領域に有する口部4よりも中心方向へずれた該口部4の付近へ反転部5を設ける。反転部5の湾出状態では口部4が開口し、反転部5の湾入状態では口部4が閉口し、該反転部5を湾出湾入の各々の状態で固定するために、反転部5を窪み形状にする。口部4の縁どうしは軽く曲がった平行線で閉じるので皺にならない。口部4の開閉固定は、外面に有する反転部5の外圧によって行っているので、口部4の内面に段差を生じず、内容物である粉粒が引っ掛って出難くなったり、段差に嵌り込んで、口部4の開閉を邪魔することも無い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋の開口部を開閉固定する構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
袋の角領域を切離して形成した口部に於いて、従来の開閉固定構造は、口部の周囲を輪ゴムで巻いて固定した物であった。又、特許出願の技術では、溝にレールを嵌め込んで固定する構造のポリファスナーによる固定構造であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開番号WO2007−108251号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の固定構造で、輪ゴム巻き固定は皺になって隙間ができるので密閉度は低い。ポリファスナー固定では、ポリファスナーの設置箇所が段差になり、この段差によって粉状物や顆粒状物などの粉粒収納物が引っ掛って出難くなり、又、段差との境界部分に粉粒が嵌り込み、ポリファスナーの嵌合溝に粉粒が嵌り込んだ場合はポリファスナーの嵌合固定能力が低下するなどの問題点があった。本発明では、これらの問題解決を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
口部の周囲を絞って固定するのではなく、口部の周囲は直線に近い緩やかな平行曲線にする。口部の内面を嵌合固定するのではなく、袋体の外面から押圧して口部を閉じて固定できる構造にする。該押圧固定構造は、口部の近くに反転部を設け、該反転部は窪み形状を成し、適宜に窪んでいる事で、反転部は内側へ湾入したり外側へ湾出したりする各々の状態で固定できる。
【発明の効果】
【0006】
口部に皺が寄っていないので、口部の縁どうしが寄り添って隙間は無くなる。袋体の外面に設けた反転部によって開口部の開閉状態を固定しているので、口部の内面に段差は無く、よって、収納物である粉粒が出難くなったり、隙間に入り込んで開閉固定を阻害したりなどの弊害は無くなった。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】開口状態の左側面斜視図(実施例1)
【図2】閉口状態の要部透視左側面斜視図
【図3】開口状態の正面斜視図
【図4】閉口状態の正面斜視図
【発明を実施するための形態】
【0008】
袋体の外面へ窪み形状の反転部を設け、反転部の湾入によって口部の閉じ状態が固定され、反転部の湾出によって口部の開口状態が固定される反転固定構造体を実現した。
【実施例1】
【0009】
図1は開口状態の左側面斜視図であり、互いに向かい合う前面1と背面2とによって袋体3は形成される。該袋体3は前面1と背面2との四辺を合着した平袋形状であっても良いが、底辺が前後に開いて自立する自立袋であることが望ましく、該自立袋の自立構造は従来技術を用いるので、説明を省く。袋体3の下辺は前後に開いて自立させる役割を果たすが、両側に側合着帯6を設け、頂部に天合着帯7を設け、各々の合着帯を合着して袋体3を形成する。合着帯の合着構造は限定ではなく、接着や縫合であっても良いが、袋体3の素材を人工樹脂にするならば、溶解して合着する溶着が望ましい。
【0010】
反転部5の形成箇所は限定ではないが、説明の便宜上で形成箇所を指定するならば、前面1の左上の角領域にする。口部4の形成は、事前に設けていても良いが、反転部5の近くである袋体3の左上の角領域を切り離して形成することが望ましく、該切り離し箇所を切離縁8とする。
【0011】
反転部5を背方から押圧すると前方へ湾出し、反転部5の湾出によって口部4の両端間は少しだけ近寄るので口部4は開口する。反転部5の隣に図示した大きな矢印は湾曲方向9を表示している。反転部5は前面1にだけ設けることが望ましく、背面2に反転部5は有しておらず、背面2は適宜に腰のある平らな面であることが望ましい。
【0012】
図2は閉口状態の要部透視左側面斜視図であり、透視箇所は破線で表示する。透視箇所で図示された反転部5は、前方から押圧されて背方へ湾入しており、反転部5の湾入によって前面1の部分領域は背面2へ押し付けられて寄り添い、切離縁8は軽く曲がった平行線を成し、切離縁8が平行に寄り添っているので、口部4は閉じている。
【0013】
図3は開口状態の正面斜視図であり、反転部5は正面へ湾出しており、該湾出状態の表示は湾曲方向9の矢印と、反転部5の右下に陰を示す細い破線で行っている。反転部5は反転状態が固定されるのであれば形状は限定ではなく、反転固定能力の高い形状として、円形の窪み形状が望ましい。該反転部5の形成方法は、別個の反転具を合着しても良いが、袋体3の形成に適宜な腰のある素材を用い、前板1の左上領域へ金型を押し当ててプレス加工することが望ましい。
【0014】
湾出した反転部5は口部4の両端どうしを少しだけ近づけているので、口部4は開口している。該開口状態で袋体3を左側へ傾ければ、収納物である粉粒を口部4から注ぎ出すことができ、口部4の内面に段差が無いので、粉粒の注ぎ出しを邪魔する箇所は無い。
【0015】
図4は閉口状態の正面斜視図であり、反転部5は背方へ湾入しており、該湾入状態の表示は湾曲方向9の矢印と、反転部の左上に陰を示す細い破線で行っている。湾入した反転部5は口部4の両端どうしを遠ざける方向へ力が働き、切離縁8が平行な曲線に成ることで口部4は閉口する。該口部4の閉口形状は皺になっていないので、隙間が空かず、内容物である粉粒が外へ出るのを塞き止めている。
【0016】
反転部5の湾出と湾入の反転は、押圧方向をスイッチするだけで完了し、反転部5の反転と連動して、口部4の開閉が行われるので、口部4の開閉をワンタッチで済ますことができる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は、袋体と反転部とが一体になった物であるが、反転部だけを独立させた反転具とし、該反転具の片面に接着層を形成し、普通の袋に反転具を接着させて用いても良い。
【符号の説明】
【0018】
1 前面
2 背面
3 袋体
4 口部
5 反転部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくても向かい合う前面1と背面2とによって袋体3を形成し、袋体3に口部4を設け、該口部4の付近へ反転部5を設け、反転部5の湾出状態では口部4が開口し、反転部5の湾入状態では口部4が閉口し、該反転部5を湾出湾入の各々の状態で固定できる構造にしたことを特徴とする反転固定構造体。
【請求項2】
反転部5を湾入湾出の各々の状態で固定できる構造として、反転部5の素材を人工樹脂にし、反転部5を窪み形状にしたことを特徴とする、請求項1記載の反転固定構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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