説明

収容ケース、流動体の流速低下構造、及び、舶用電子機器

【課題】通気性を有すると共に、強い噴流に対する保護性能を有する収容ケース、流動体の流速低下構造、及び、舶用電子機器を提供する。
【解決手段】内部の収容空間11を外部に連通させる通気孔12を有する収容本体10と、収容本体10に着脱可能に取付けられたベース体20と、収容本体10及びベース体20の当接面に形成され外部と通気孔12とを連通する流路30と、収容本体10側の流路面からベース体20側に向かって突出された本体側突出部40と、本体側突出部40の配設位置とは異なる位置のベース体20側の流路面から収容本体10側に向かって突出されたベース体側突出部50とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容ケース、流動体の流速低下構造、及び、舶用電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、収容空間の外部からの流動体に対して、収容空間への進入を抑制する構成を有するものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の屋外設置装置の筐体構造は、筺体の底部にこの筺体内外の圧力差調整のための通気用の呼吸穴を設け、外気と接する呼吸穴の開口部に耐水性及び通気性を持つ防水通気膜を設け、更に防水通気膜の内側の空気の流路にシリカゲルを充填している。そして、空気が筺体に流出入する場合に防水通気膜及びシリカゲルを通過させ、筺体内へ流入する空気による筺体内の湿度上昇を抑制するように構成されている。
【0004】
また、特許文献2に記載の電子回路基板の収容ケースは、通気孔が穿設されると共に、通気孔にインサート成形によって撥水フィルタが取付けられている。そして、通気孔に排出補助部を形成することで、通気孔に進入した液体や異物を排出するように構成されている。
【0005】
また、特許文献3に記載の電子回路基板の収容ケースは、その外方に向かって突出する中空の突出部を形成して通気孔とすると共に、突出部の端面に撥水フィルタを取付けている。そして、液体がケース表面を伝ってきた場合に、撥水フィルタの取付け部に液体が付着することを防止するように構成されている。
【0006】
また、特許文献4に記載の防水ケースは、内部にプリント配線基板等を収容するものであり、当該防水ケースの内外を呼吸させるための呼吸フィルタと、呼吸フィルタの配置部を取り囲むように起立した保護壁と、保護壁の互いに異なる位置に開口する少なくとも2つ以上の排水用の凹部とを有している。そして、高圧洗浄等による噴流が呼吸フィルタに直接当たることを防ぐように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6―31130号公報
【特許文献2】特開2004―356524号公報
【特許文献3】特開2005―150376号公報
【特許文献4】特開2007―141959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1及び2においては、通気孔または撥水フィルタが直接外気に面しており、例えば、IEC60529保護等級IPX6に規定されるような任意の方向からの強い噴流に対して、通気孔への流動体の進入を防ぐことができない虞がある。また、特許文献3及び4においては、キャップを有する撥水フィルタを用いることで外部からの防水性を高めているが、キャップにより通気性が低下する虞がある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、通気性を有すると共に、強い噴流に対する保護性能を有する収容ケース、流動体の流速低下構造、及び、舶用電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の収容ケースは、本体側取付け面と、内部に形成された収容空間と、該本体側取付け面に形成され該収容空間を外部に連通させる通気孔とを有する収容本体と、前記本体側取付け面に当接されるベース側取付け面を有し、前記収容本体に着脱可能に取付けられたベース体と、前記本体側取付け面と前記ベース側取付け面との当接により形成され、外部と前記通気孔とを連通する流路と、前記流路における前記収容本体側の流路面から前記ベース体側に向かって突出された本体側突出部と、前記流路の連通方向における前記本体側突出部の配設位置とは異なる位置に配置され、前記流路における前記ベース体側の流路面から前記収容本体側に向かって突出されたベース体側突出部とを有している。
【0011】
上記構成によれば、収容ケースは、収容本体の本体側取付け面及びベース体のベース側取付け面の当接により形成された流路を有している。即ち、収容本体等に、本体側突出部及びベース体側突出部が突出された流路を貫通して形成する等が不要であるため、収容ケースの各構成を簡易に成形することができる。これにより、収容ケースを安価に製造することができる。収容ケースの流路は外部と通気孔とを連通するため、外部及び収容空間内部の空気が流路を介して流通自在となっている。これにより、流路を収容空間の通気経路とすることができるようになっている。
【0012】
また、流路は外部からの空気が流通自在であるため、空気に含まれる水が流路に進入する場合や外部から勢いのある水及び海水が進入する場合等がある。このような水や海水等の流動体が外部から流路に進入した場合、流動体は流路の連通方向通気孔側に向かって進行する。流路内には、連通方向における異なる位置に本体側突出部とベース体側突出部とが突出されているため、流動体はベース体側突出部及び本体側突出部の何れか一方に衝突した後、他方の突出部に衝突する。その結果、本体側突出部に衝突した流動体の一部はベース方向に進路変更され、ベース体側突出部に衝突した流動体の一部は収容本体側に進路変更される。そして、両突出部によって夫々逆方向の成分を含む方向に進路変更された流動体の一部同士が衝突する。この結果、外部から進入した流動体の流速が低下し、通気孔を介して収容空間に流入するまでに流動体の進行を停止させることができる。これにより、収容ケースは、収容空間の通気が可能にされると共に、強い噴流に対しても収容空間への水等の進入の可能性を軽減することが可能にされている。
【0013】
本発明の収容ケースの前記流路は、前記本体側突出部及び前記ベース体側突出部が配設され、流路断面積が他の部分の流路断面積よりも前記収容本体と前記ベース体との対向方向に拡大された拡大部を有していてもよい。
【0014】
上記構成によれば、流路は、本体側突出部及び前記ベース体側突出部が配設され、流路断面積が他の部分の流路断面積よりも収容本体とベース体との対向方向に拡大された拡大部を有している。これにより、流路を連通方向に進行する流動体は、流路の拡大部に到達した際に、流路断面積が拡大することにより流速が低下される。そして、拡大部の拡大方向に分散されて流速が低下した流動体の一部は、分散方向の両突出部に衝突して夫々進路変更される。その後、進路変更された流動体の一部同士が衝突し合うことにより流速をさらに低下させることができる。これにより、収容空間への水等の進入の可能性をさらに軽減することができる。
【0015】
本発明の収容ケースの前記ベース体側突出部は、先端の位置が、前記収容本体と前記ベース体との対向方向における前記本体側突出部先端の位置よりも前記収容本体側になるように突出されていてもよい。
【0016】
上記構成によれば、ベース体側突出部は、先端の位置が、収容本体とベース体との対向方向における本体側突出部先端の位置よりも収容本体側になるように突出されている。即ち、本体側突出部及びベース体側突出部は、流路を連通方向から見て先端同士が重なりあうように設けられているため、流路に進入した流動体が両突出部の少なくとも何れか一方に衝突する可能性を高くすることができる。その結果、流路に進入した流動体が両突出部に衝突せずに通気孔方向に進行する可能性を軽減し、収容空間への流動体の進入の可能性をさらに軽減することができる。
【0017】
本発明の収容ケースの前記流路は、前記本体側取付け面及び前記ベース側取付け面の少なくとも一方に形成された溝によって構成されていてもよい。
【0018】
上記構成によれば、本体側取付け面及び前記ベース側取付け面の少なくとも一方に形成された溝が流路を形成している。これにより、本体側取付け面及び前記ベース側取付け面の少なくとも一方に溝を形成し、本体側突出部が形成された収容本体をベース体側突出部が形成されたベース体に取付けるという簡易な構成で流路を形成することができる。例えば、溝を形成した本体側取付け面にフラットなベース側取付け面を当接することにより、簡易に流路を形成することができる。
【0019】
本発明の収容ケースの前記収容本体及び前記ベース体の少なくとも一方は、前記収容本体と前記ベース体との対向方向の前記流路面から突出し、前記溝に嵌合する位置合せ用突部を有していてもよい。
【0020】
上記構成によれば、収容本体及びベース体の少なくとも一方の位置合せ用突部が、収容本体とベース体との対向方向の流路面から突出し溝に嵌合するため、収容本体をベース体に取付ける際に、ベース体に対する収容本体の位置決めを容易に行うことができる。その結果、溝を位置決めに利用することで、収容本体及びベース体に位置決めのための構成の追加が不要となる。
【0021】
本発明の収容ケースの前記流路は、前記通気孔から4方向に隣り合う同士が互いに垂直に延在していてもよい。
【0022】
上記構成によれば、流路は、通気孔から4方向に隣り合う同士が互いに垂直に延在している。これにより、4方向の何れかの流路に流動体が進入した場合であっても、その他の流路から流動体を容易に排することができるようになっている。また、何れの方向からの噴流であっても同様に流速を低下させることができる。
【0023】
本発明の収容ケースの前記各流路の前記本体側突出部及び前記ベース体側突出部の少なくとも一方は、前記通気孔を中心とした円軌跡に沿った形状に形成及び配置されていてもよい。
【0024】
上記構成によれば、各流路の本体側突出部及びベース体側突出部の少なくとも一方は通気孔を中心とした円軌跡に沿った形状に形成及び配置されている。これにより、流動体を流路の通気孔へ向かう連通方向と異なる方向へ進路変更させることができる。その結果、通気孔へ向かう流動体を軽減し、収容空間への流動体の進入の可能性をさらに軽減することができる。
【0025】
本発明の流動体の流速低下構造は、外部の流動体が進入自在に一端を開口された流路と、前記流路内に突出され、該流路を流動する流動体の一部の連通方向を進路変更させる進路変更部と、前記流路内に突出され、該流路を流動する流動体の一部を、前記進路変更部により進路変更された流動体の連通方向に対し逆方向の成分を含む方向に進路変更させる逆流衝突部とを有している。
【0026】
上記構成によれば、外部から流路の開口に流動体が進入した場合、流路を流動する流動体の進行方向に突出された進路変更部により流動体の一部の連通方向が進路変更される。また、逆流衝突部は、流路を流動する流動体の一部を、進路変更部により進路変更された流動体の連通方向に対し逆方向の成分を含む方向に進路変更させて両流動体を衝突させる。
【0027】
本発明の舶用電子機器は、上記収容ケースと、前記収容ケースの前記収容空間に収容された電子回路基板とを有している。
【0028】
上記構成によれば、収容ケースは、収容空間への水等の侵入の可能性を軽減することができる。その結果、波浪、舶用電子機器の設置環境を清掃する際の水しぶき等から収容空間内の電子回路基板を保護することができる。
【0029】
本発明の舶用電子機器は、上記の流動体の流速低下構造と、前記流動体の流速低下構造の前記流路の他端に連通された収容空間に収容された電子回路基板とを有している。
【0030】
上記構成によれば、流動体の流速低下構造は、外部から流路に進入した流動体の流速を低下させることができる。これにより、流路の開口から進入した水等の流動体が収容空間に収容された電子回路基板に至る可能性を軽減することができる。その結果、波浪及び清掃する際の水しぶき等の流動体から収容空間内の電子回路基板を保護することができる。
【0031】
これにより、進路変更部によって進路変更された流動体の一部と、逆流衝突部によって進路変更された流動体の一部とを衝突させることで、両流動体の流速を小さくすることができる。この結果、流路に流動体が進入した場合であっても、流路を流動する流動体の流速を低下させることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明は、任意の方向からの強い噴流に対する保護性能を有する収容ケース、流動体の流速低下構造、及び、舶用電子機器を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】収容ケースの設置態様を示す斜視図である。
【図2】図1のII―II線断面図である。
【図3】収容ケースを示す分解斜視図である。
【図4】図2のIV―IV線断面図である。
【図5】図1のII―II線部分拡大断面図である。
【図6】流路内の拡大領域に到達した際の流動体の垂直方向の流速低下動作を示す部分拡大した切断部端面図である。
【図7】流路内の拡大領域内における流動体の垂直方向の流速低下動作を示す部分拡大した切断部端面図である。
【図8】流路内の流動体の水平方向の流速低下動作を示す説明図である。
【図9】流路内の流動体の水平方向の排出動作を示す説明図である。
【図10】流路が貫通して形成される収容ケースの変形例を説明する説明図である。
【図11】流路が収容本体とシール部材とで形成される収容ケースの変形例を説明する説明図である。
【図12】流速低下構造を構成する進路変更部及び逆流衝突部が収容本体に形成された1つの部材で形成される収容ケースの変形例を説明する部分拡大した切断部端面図である。
【図13】流速低下構造を構成する進路変更部及び逆流衝突部がベース体に形成された1つの部材で形成される収容ケースの変形例を説明する部分拡大した切断部端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態に係る収容ケース、流動体の流速低下構造、及び、舶用電子機器について、図を参照して説明する。
【0035】
図1に示すように、本実施形態の舶用電子機器100は、船舶200の船内に設置され、収容ケース1と収容ケース1内に収容された電子回路基板4とを有している。舶用電子機器100は、収容ケース1により、船舶200が海上にいる場合の波浪、収容ケース1の設置環境を清掃する際の水しぶき等の流動体から内部の電子回路基板4を保護する。
【0036】
ここで、「流動体」とは、定形性をもたない流動性を有する物体をいう。「流動体」は、水、海水、及び、油等の液体に限られるものではなく、例えば、気体、及び、粒状物などの微細な固体の集合であってもよい。
【0037】
(収容ケース1の構成)
図2に示すように、本実施形態の収容ケース1は、収容本体10と、収容本体10に着脱可能に当接して取付けられるベース体20と、収容本体10にベース体20が当接されることにより形成される流路30と、流路30内の流路面に突出された本体側突出部40、及び、ベース体側突出部50とを有している。
【0038】
本実施形態において、収容ケース1は、収容本体10が上部、ベース体20が下部となるように船舶200の船内に設置される。即ち、ベース体20に収容本体10を載置するように取付けられた収容ケース1が、船内に設置される。以降、本実施形態において、特に言及した場合を除き、上部が収容本体10であり、下部がベース体20である収容ケース1について説明する。即ち、収容本体10及びベース体20の対向方向を垂直方向として説明する。尚、収容ケース1の配置態様はこれに限定されることはない。
【0039】
ここで、「流路」とは、一端から他端まで連通され、一端から他端へ流動体が流動可能にされているものをいう。「流路」は、本実施形態のように、収容本体外面の溝により形成されるものであってもよいし、収容ケースに貫通される孔により形成されるものであってもよい。また、「流路」は、パイプ等の管状部材であってもよい。
【0040】
(収容ケース1の構成:収容本体10)
図3は、収容ケース1を示す分解斜視図である。図3に示すように、ベース体20が着脱された収容本体10は、パネル13と、カバー14と、内圧調整用フィルタ15と、パッキン16とから構成される。
【0041】
(パネル13)
図3に示すように、パネル13は、中空で一面が開放された直方体形状を有している。図2に示すように、パネル13は、収容本体10の上部を構成し、この開放面が垂直方向のベース体20側となるように配置される。パネル13の内部には、電子回路基板4を取り付けるための4つの固定部材10bが形成されている。各固定部材10bは、パネル13の開放面に対向する閉鎖面内側の各コーナー部に配置されている。各固定部材10bの頂部には、電子回路基板4をねじ部材により取付け可能にねじ孔が形成されている。各固定部材10bは、閉鎖面から同じ長さで形成されているため、電子回路基板4を閉鎖面と平行に保持することができるようになっている。
【0042】
(カバー14)
図3に示すように、カバー14は、中空で一面が開放された直方体形状を有している。図2に示すように、カバー14は、収容本体10の下部を構成し、開放面がパネル13の開放面に嵌合される。このように、パネル13の開放面と、カバー14の開放面とを接合することで、収容本体10の内部に電子回路基板4を収容する収容空間11を形成することができるようになっている。
【0043】
また、図2に示すように、カバー14は、開放面に対向しベース体20が当接される本体側取付け面10aを有している。図3に示すように、本体側取付け面10aの中央には、凹部14a、通気部14b、及び、本体側突出部40が形成されている。
【0044】
凹部14aは、カバー14の本体側取付け面10a中央が、先端を切り落とした円錐状に立ち上げられて形成されている。即ち、本体側取付け面10aは、ベース体20側から見て、先端を切り落とした円錐状に凹んだ凹部14aを有している。また、通気部14bは、凹部14aの中央が、円柱状に立ち下げられて形成されている。即ち、本体側取付け面10aは、ベース体20側から見て、凹部14a中央に円柱状に突出した通気部14bを有している。尚、通気部14bは、収容空間11側が開放され、ベース体20側には中央を貫通する通気孔12が形成されている。
【0045】
また、図4に示すように、本体側取付け面10aには、凹部14aに、4つの本体側突出部40が突出して形成されている。本体側突出部40は、通気孔12を中心とした円軌跡に沿った形状に形成及び配置されている。そして、図4下部の拡大図に示すように、本体側突出部40は円軌跡上に等間隔で配置され、4つの切欠部41を有している。つまり、本体側突出部40と切欠部41は円筒形状をなすように交互に通気孔12を中心とした円軌跡上に配置されて形成されている。尚、図4下部の該拡大図では、通気孔12等を省略している。
【0046】
また、図4に示すように、カバー14の本体側取付け面10aに4つの溝部31(溝部31a・31b・31c・31d)が形成されている。各溝部31は、凹部14aから本体側取付け面10aの各辺まで4方向に直線状に延在されている。尚、本実施形態において、各溝部31は、本体側取付け面10aの各辺と垂直をなすように形成されているがこれに限定されない。
【0047】
具体的に、各溝部31は、隣り合う溝部31同士が垂直となるように配置されている。即ち、各溝部31は、通気孔12の貫通方向に対し垂直に、隣り合う溝部31同士が垂直となるように、凹部14aから4方向に延在して設けられている。
【0048】
尚、切欠部41は、通気孔12から溝部31へ向かう方向に位置しないように形成されている。
【0049】
外部と収容空間11とを連通する流路30は、溝部31と凹部14aと通気部14bとが形成された本体側取付け面10aがベース側取付け面20aに当接されることにより、収容ケース1に形成される。尚、流路30については後述する。
【0050】
(内圧調整用フィルタ15)
内圧調整用フィルタ15は、通気性を有した円状のフィルタであり、外部との圧力差を調整することが可能となっている。内圧調整用フィルタ15は、通気部14bの開放面に密着するように貼り付けられる。即ち、内圧調整用フィルタ15は、通気孔12の収容空間11側を覆うように設けられている。
【0051】
(パッキン16)
パッキン16は、図3に示すように、ロの字型のゴム部材で形成されている。図2に示すように、パッキン16は、パネル13及びカバー14の接合部に挟まれている。これにより、パッキン16は、パネル13及びカバー14の接合部における外部から収容空間11への流動体の進入を防止するようになっている。
【0052】
このように、収容本体10は、ベース体20を取付ける本体側取付け面10aと、内部に形成された収容空間11と、該本体側取付け面10a側に形成され該収容空間11を外部に連通される通気孔12と、溝部31とを有している。
【0053】
(収容ケース1の構成:ベース体20)
次に、ベース体20の構成について説明する。ベース体20は、本体側取付け面10aが当接されるベース側取付け面20aを有している。即ち、ベース体20は、ベース側取付け面20aが本体側取付け面10aに当接した状態で、収容本体10に着脱可能に取付けられている。
【0054】
図2及び図4に示すように、ベース側取付け面20aには、4つのベース体側突出部50と、2つの位置合せ用突部21とが突出して形成されている。ベース体側突出部50は、通気孔12を中心とした円軌跡に沿った形状に形成及び配置されている。そして、図4下部の拡大図に示すように、ベース体側突出部50は円軌跡上に等間隔で配置され、4つの切欠部51を有している。つまり、ベース体側突出部50と切欠部51は円筒形状をなすように交互に通気孔12を中心とした円軌跡上に配置されて形成されている。そして、ベース体側突出部50が形成及び配置される円軌跡は、本体側突出部40が形成及び配置される円軌跡よりも大きくされている。尚、切欠部51は、通気孔12から溝部31へ向かう方向に位置しないように形成されている。
【0055】
位置合せ用突部21は、図4に示すように、ベース側取付け面20aに対して垂直方向に突出して形成されている。図4に示すように、ベース側取付け面20aには、2つの位置合せ用突部21が形成されている。2つの位置合せ用突部21の幅は、収容本体10にベース体20を取付けた際に、溝部31a・31dに嵌合するように形成されている。これにより、溝部31a及び溝部31dを各位置合せ用突部21に係合させることで、収容ケース1をベース体20に取付ける際の収容ケース1の位置決めを容易に行うことができる。
【0056】
また、図3に示すように、ベース側取付け面20aには2箇所の貫通孔が形成されており、ねじ部材を該貫通孔に挿通し、本体側取付け面10aに形成された2箇所のねじ孔に螺合させることで、収容本体10をベース体20に取付けることができるようになっている。尚、このねじ孔は本体側取付け面10aを貫通するものではなく、本体側取付け面10aに形成された凹みにねじ孔部材が嵌着されたものである。従って、このねじ孔を介して収容空間11に流動体が進入することはない。
【0057】
また、図2に示すように、ベース体20は、固定部22と、固定孔23とを有している。固定部22は、ベース側取付け面20aの対向する2辺の中央外側に夫々形成されている。即ち、各固定部22は、ベース側取付け面20aから水平方向に突出するように形成されている。
【0058】
固定孔23は、各固定部22の中央に形成された貫通孔である。各固定孔23にねじ部材を挿通して船内の水平台等に螺合することで、収容ケース1を固設することができるようになっている。尚、本実施形態では、収容本体10にベース体20を取付けた後、収容ケース1として船内等に設置するようになっているがこれに限定されない。例えば、ベース体20を船内等に設置した後、ベース体20に収容本体10を取付けるような構成であってもよい。
【0059】
上述のように、収容ケース1を構成するパネル13、カバー14、及び、ベース体20は、垂直な方向に立ち上げられるように、立ち下げられるように、又は、突出されるように形成されている。これにより、各構成は、アンダーカットが不要な型成形が可能となるため、安価に製造ができるようになっている。
【0060】
尚、本実施形態において、パネル13、カバー14、及び、ベース体20は、プラスチック製のものを使用しているが、これに限定されない。例えば、メタル等であってもよい。
【0061】
(収容ケース1の構成:流路30)
ここで、本体側取付け面10aと、ベース側取付け面20aとの当接により形成される流路30について説明する。流路30は、本体側取付け面10aに形成された溝部31、凹部14a、及び、ベース側取付け面20aによって構成される。具体的に、図5に示すように、流路30は、本体側取付け面10aとベース側取付け面20aとの当接面における溝部31、及び、凹部14aによって形成された隙間によって形成される。凹部14aは、該当接面中央において、収容空間11が通気孔12を介して通気するための隙間を形成する。また、溝部31は、凹部14aが形成する隙間と収容ケース1外部とを連通する隙間を形成する。このように、流路30は、本体側取付け面10aとベース側取付け面20aとの当接により形成され、収容ケース1の外部と通気孔12とを連通している。以下、流路30の外部から通気孔12へ向かう方向を連通方向と称す。
【0062】
上述のように、本実施形態において、各溝部31は、凹部14aから、本体側取付け面10aの各辺に対して4方向に形成されている(図4参照)ため、4つの流路30(流路30a・30b・30c・30d)が形成される。即ち、流路30は、通気孔12から4方向に隣り合う同士が互いに垂直に延在して設けられている。このため、流動体が流路30の何れかに進入した場合であっても、その他の方向の流路30から流動体を容易に排することができるようになっている。
【0063】
ここで、流路30に形成される本体側突出部40及びベース体側突出部50について説明する。
【0064】
図5に示すように、本体側突出部40は、上述のように形成された流路30における収容本体10側の流路面からベース体20側に向かって突出されている。即ち、本体側突出部40は、各流路30の収容本体10側を構成する凹部14aからベース体20側に向かって突出して形成される。従って、本実施形態において、本体側突出部40は、収容本体10のカバー14と一体的に形成される。上述の通り、各流路30の本体側突出部40は、通気孔12を中心軸とした円軌跡に沿った形状に形成及び配置されている。
【0065】
ベース体側突出部50は、上述のように形成された流路30におけるベース体20側の流路面から収容本体10側に向かって突出されている。即ち、ベース体側突出部50は、各流路30における凹部14aが形成する隙間において、ベース側取付け面20aから収容本体10側に向かって突出して形成される。従って、本実施形態において、ベース体側突出部50は、ベース体20と一体的に形成される。尚、上述のように、ベース体側突出部50が形成及び配置される円軌跡は、本体側突出部40が形成及び配置される円軌跡よりも大きくされているため、流路30の連通方向における本体側突出部40の配設位置とは異なる位置に配置される。
【0066】
また、ベース体側突出部50は、先端の位置が、垂直方向における本体側突出部40の先端の位置よりも収容本体10側になるように突出されている。
【0067】
また、ベース体側突出部50と本体側突出部40と連通方向の間隔D1(図5参照)をある程度狭くすることが望ましい。例えば、間隔D1を後述の進入路領域33の垂直方向の高さD2(図5参照)よりも狭くする等が挙げられる。
【0068】
上記のように形成される流路30の具体的構成について説明する。図5に示すように、流路30は、開口32、進入路領域33、拡大領域34、及び、通気孔領域35を有している。
【0069】
開口32は、外部の流動体が進入自在であり、カバー14の側面底部中央に形成されている。進入路領域33は、開口32から通気孔12へ向かう連通方向に、断面が四角形状に延在して形成されている領域である。
【0070】
拡大領域34は、進入路領域33が連通方向に延在するように形成されている領域である。また、拡大領域34は、カバー14の本体側取付け面10aに凹部14aが形成されることによって、流路30の断面積が進入路領域33、及び、後述の通気孔領域35の流路断面積よりも垂直方向に拡大されている。また、本体側突出部40及びベース体側突出部50は、拡大領域34に形成される。通気孔領域35は、通気部14bが形成される領域である。
【0071】
このように、収容ケース1は、収容本体10と、ベース体20とを当接させるだけで簡易に流路30を構成することができる。即ち、収容本体10等に、本体側突出部40及びベース体側突出部50が突出された流路30を貫通して形成する等が不要であるため、収容ケース1の各構成を簡易に成形することができる。これにより、収容ケース1を安価に製造することができる。以下、収容ケース1の流路30における流動体の具体的な動作について説明する。
【0072】
(収容ケース1の流路30における流動体の動作)
上述のように、収容ケース1が船舶200に取付けられると、船舶200が海上にいる場合の波浪、及び、収容ケース1の設置環境を清掃する際の水しぶき等により、流動体が収容ケース1に進入する可能性が生じる。ここで、収容ケース1の流路30における流動体の動作について説明する。
【0073】
(流速低下動作)
先ず、収容ケース1は、通気孔12への進入路を、流路30の開口32のみに限定している。これにより、収容ケース1に流動体の噴流が当たる場合でも、収容ケース1へ進入する流動体を開口32に当たったもののみとすることができる。その結果、外部からの噴流に対する保護性能を向上させることができる。
【0074】
次に、開口32から進入する流動体の流速を低下させる動作について説明する。尚、図6〜9中の矢印は、流動体の進行方向を示す。
【0075】
流路30内の流動体の垂直方向の動作を説明する。図6に示すように、流路30は、拡大領域34において流路30の流路断面積が垂直方向に拡大されている。これにより、開口32から進入し進入路領域33を進行した流動体は、図6に示すように、拡大領域34に達した際に拡大方向に扇状に分散される。即ち、流路30の拡大領域34における流動体は、流路が急拡大するため拡大方向に分散され、流速が低下される。
【0076】
次に、拡大領域34に進入した流動体の一部についての動作を説明する。図7に示すように、流路30内の拡大領域34には、連通方向における異なる位置に本体側突出部40とベース体側突出部50とが突出されている。ベース体側突出部50は、本体側突出部40よりも連通方向における開口32側に形成されているため、流動体はベース体側突出部50に衝突した後、本体側突出部40に衝突する。
【0077】
その結果、本体側突出部40に衝突した流動体の一部はベース体20方向に進路変更され、ベース体側突出部50に衝突した流動体の一部は収容本体10側に進路変更される(図7中の矢印参照)。そして、両突出部40・50によって夫々逆方向の成分を含む方向に進路変更された流動体の一部同士が衝突する。この結果、外部から進入した流動体の流速が低下し、通気孔12を介して収容空間11に流入するまでに流動体の進行を停止させることができる。
【0078】
また、ベース体側突出部50は、先端の位置が、垂直方向における本体側突出部40の先端の位置よりも収容本体10側になるように突出されている。即ち、図7に示すように、拡大領域34から通気孔領域35へ向かう流路を、クランク状に屈折したものに形成している。
【0079】
これにより、ベース体側突出部50と本体側突出部40との間を通って通気孔12へ向かう流動体を、少なくすることができる。即ち、本体側突出部40及びベース体側突出部50は、流路30を連通方向から見て先端同士が重なりあうように設けられているため、流路30に進入した流動体が両突出部40・50の少なくとも何れか一方に衝突する可能性を高くすることができる。その結果、流動体が通気孔12から進入する可能性をさらに軽減することができる。
【0080】
このように、流動体同士を衝突させて流速を低下させると共に、通気孔12へ向かう流動体を軽減させている。その結果、流動体が強い噴流である場合であっても、流動体の流速を低下させ、通気孔12に流動体が進入する可能性を軽減している。
【0081】
次に、流路30内の流動体の本体側取付け面10aと平行な水平方向の動作を説明する。図8に示すように、流路30は、拡大領域34において、水平方向の流路断面積が進入路領域33よりも拡大されている。また、本体側突出部40及びベース体側突出部50は、通気孔12を中心とした円軌跡に沿った形状に形成及び配置されている。即ち、通気孔12は、本体側突出部40及びベース体側突出部50に取り囲まれるように形成されている。
【0082】
これにより、図8に示すように、流動体を、流路30の通気孔12へ向かう連通方向と異なる本体側突出部40及びベース体側突出部50の周方向へ進路変更させることができる。その結果、通気孔12に流動体が進入する可能性を軽減している。
【0083】
このように、流路30内には、本体側突出部40及びベース体側突出部50が突出されている。両突出部40・50は、お互いに流路30を流動する流動体の一部の連通方向を進路変更させる進路変更部としての機能と、流路30を流動する流動体の一部を、進路変更部により進路変更された流動体の連通方向に対し逆方向の成分を含む方向に進路変更させる逆流衝突部としての機能を有する。即ち、流路30、本体側突出部40及びベース体側突出部50は、流動体の流速低下構造としての機能を有している。従って、本実施形態の舶用電子機器100は、流動体の流速低下構造と、流速低下構造の流路30の他端に連通された収容空間11に収容された電子回路基板4とを有している。
【0084】
ここで、「進路変更部」は、流路において、流路を流動する流動体の一部を進路変更させるように突出して形成されるものをいう。また、「逆流衝突部」は、「進路変更部」を回避して進行した流動体の一部を進路変更させるように形成されるものをいう。「進路変更部」及び「逆流衝突部」は、それぞれ流路とは別体の部品が取付けられることにより流路に形成されるものであってもよいし、流路の一部を変形することにより流路と一体的に形成されたものであってもよい。別体の場合には、「逆流衝突部」及び「進路変更部」の形状や配設位置を比較的に自由に変更できるため、各種の条件に最適な形状や位置関係を有した流速低下構造とすることができる。一方、一体の場合には、大量生産に適した流速低下構造とすることができる。
【0085】
(排出動作)
次に、収容ケース1に進入した流動体を排出させる動作について説明する。図9は、流路30に進入した流動体の排出動作を説明する説明図である。図9に示すように、4つの溝部31a・31b・31c・31dに対応する流路30a・30b・30c・30dが設けられている。
【0086】
図9に示すように、流路30bの開口に噴流が当たり、流路30bに流動体が進入した場合、流動体は、図8を用いて説明したように、本体側突出部40、及び、ベース体側突出部50の周方向に進路変更される。この流動体の一部は、図9に示すように、流路30a・30c方向に移動され、流路30a・30c・30dの開口から排出される。
【0087】
また、図7を用いて説明したように、流速が低下された流動体の一部が通気孔領域35に及ぶ可能性がある。この場合、本体側突出部40、及び、ベース体側突出部50に夫々設けられた切欠部41、及び、切欠部51(図4参照)により、通気孔領域35から拡大領域34へ向かう方向へ移動される。そして、通気孔領域35に移動された流動体は、拡大領域34に移動されて、流路30a・30c・30dの開口から排出される。
【0088】
(本実施の形態の概要)
以上のように、本実施形態の収容ケース1は、本体側取付け面10aと、内部に形成された収容空間11と、該本体側取付け面10aに形成され該収容空間11を外部に連通させる通気孔12とを有する収容本体10と、本体側取付け面10aに当接されるベース側取付け面20aを有し、収容本体10に着脱可能に取付けられたベース体20と、本体側取付け面10aとベース側取付け面20aとの当接により形成され、外部と通気孔12とを連通する流路30と、流路30における収容本体10側の流路面からベース体20側に向かって突出された本体側突出部40と、流路30の連通方向における本体側突出部40の配設位置とは異なる位置に配置され、流路30におけるベース体20側の流路面から収容本体10側に向かって突出されたベース体側突出部50とを有する構成にされている。
【0089】
上記構成によれば、収容ケース1は、収容本体10の本体側取付け面10a及びベース体のベース側取付け面20aの当接により形成された流路30を有している。即ち、収容本体10等に、本体側突出部40及びベース体側突出部50が突出された流路30を貫通して形成する等が不要であるため、収容ケース1の各構成を簡易に成形することができる。これにより、収容ケース1を安価に製造することができる。収容ケース1の流路30は外部と通気孔12とを連通するため、外部及び収容空間11内部の空気が流路30を介して流通自在となっている。これにより、流路30を収容空間11の通気経路とすることができるようになっている。
【0090】
また、流路30は外部からの空気が流通自在であるため、空気に含まれる水が流路30に進入する場合や外部から勢いのある水及び海水が進入する場合等がある。このような水や海水等の流動体が外部から流路30に進入した場合、流動体は流路30の連通方向通気孔12側に向かって進行する。流路30内には、連通方向における異なる位置に本体側突出部40とベース体側突出部50とが突出されているため、流動体はベース体側突出部50及び本体側突出部40の何れか一方に衝突した後、他方の突出部に衝突する。その結果、本体側突出部40に衝突した流動体の一部はベース方向に進路変更され、ベース体側突出部50に衝突した流動体の一部は収容本体10側に進路変更される。そして、両突出部40・50によって夫々逆方向の成分を含む方向に進路変更された流動体の一部同士が衝突する。この結果、外部から進入した流動体の流速が低下し、通気孔12を介して収容空間11に流入するまでに流動体の進行を停止させることができる。これにより、収容ケース1は、収容空間11の通気が可能にされると共に、強い噴流に対しても収容空間11への水等の進入の可能性を軽減することが可能にされている。
【0091】
また、本実施形態の収容ケース1の流路30は、本体側突出部40及びベース体側突出部50が配設され、流路断面積が他の部分の流路断面積よりも収容本体10とベース体20との対向方向に拡大された拡大領域34を有する構成にされている。
【0092】
上記構成によれば、流路30は、本体側突出部40及びベース体側突出部50が配設され、流路断面積が他の部分の流路断面積よりも収容本体10とベース体20との対向方向に拡大された拡大領域34を有している。これにより、流路30を連通方向に進行する流動体は、流路30の拡大領域34に到達した際に、流路断面積が拡大することにより流速が低下される。そして、拡大領域34の拡大方向に分散されて流速が低下した流動体の一部は、分散方向の両突出部40・50に衝突して夫々進路変更される。その後、進路変更された流動体の一部同士が衝突し合うことにより流速をさらに低下させることができる。これにより、収容空間11への水等の進入の可能性をさらに軽減することができる。
【0093】
また、本実施形態の収容ケース1のベース体側突出部50は、先端の位置が、収容本体10とベース体20との対向方向における本体側突出部40先端の位置よりも収容本体10側になるように突出する構成にされている。
【0094】
上記構成によれば、ベース体側突出部50は、先端の位置が、収容本体10とベース体20との対向方向における本体側突出部40先端の位置よりも収容本体10側になるように突出されている。即ち、本体側突出部40及びベース体側突出部50は、流路30を連通方向から見て先端同士が重なりあうように設けられているため、流路30に進入した流動体が両突出部40・50の少なくとも何れか一方に衝突する可能性を高くすることができる。その結果、流路30に進入した流動体が両突出部40・50に衝突せずに通気孔12方向に進行する可能性を軽減し、収容空間11への流動体の進入の可能性をさらに軽減することができる。
【0095】
また、本実施形態の収容ケース1の流路30は、本体側取付け面10a及びベース側取付け面20aの少なくとも一方に形成された溝部31によって構成されている。
【0096】
上記構成によれば、本体側取付け面10a及びベース側取付け面20aの少なくとも一方に形成された溝部31が流路30を形成している。これにより、本体側取付け面10a及びベース側取付け面20aの少なくとも一方に溝部31を形成し、本体側突出部40が形成された収容本体10をベース体側突出部50が形成されたベース体20に取付けるという簡易な構成で流路30を形成することができる。本実施形態に示すように、溝部31を形成した本体側取付け面10aにフラットなベース側取付け面20aを当接することにより、簡易に流路30を形成している。
【0097】
また、本実施形態の収容ケース1の収容本体10及びベース体20の少なくとも一方は、収容本体10とベース体20との対向方向の流路面から突出し、溝部31に嵌合する位置合せ用突部21を有する構成にされている。
【0098】
上記構成によれば、収容本体10及びベース体20の少なくとも一方の位置合せ用突部21が、収容本体10とベース体20との対向方向の流路面から突出し溝部31に嵌合するため、収容本体10をベース体20に取付ける際に、ベース体20に対する収容本体10の位置決めを容易に行うことができる。その結果、溝部31を位置決めに利用することで、収容本体10及びベース体20に位置決めのための構成の追加が不要となる。
【0099】
また、本実施形態の収容ケース1の流路30は、通気孔12から4方向に隣り合う同士が互いに垂直に延在する構成にされている。
【0100】
上記構成によれば、流路30は、通気孔12から4方向に隣り合う同士が互いに垂直に延在している。これにより、4方向の何れかの流路30に流動体が進入した場合であっても、その他の流路30から流動体を容易に排することができるようになっている。また、何れの方向からの噴流であっても同様に流速を低下させることができる。
【0101】
また、本実施形態の収容ケース1の各流路30の本体側突出部40及びベース体側突出部50の少なくとも一方は、通気孔12を中心とした円軌跡に沿った形状に形成及び配置される構成にされている。
【0102】
上記構成によれば、各流路30の本体側突出部40及びベース体側突出部50の少なくとも一方は通気孔12を中心とした円軌跡に沿った形状に形成及び配置されている。これにより、流動体を流路30の通気孔12へ向かう連通方向と異なる方向へ進路変更させることができる。その結果、通気孔12へ向かう流動体を軽減し、収容空間11への流動体の進入の可能性をさらに軽減することができる。
【0103】
また、本実施形態の流動体の流速低下構造は、外部の流動体が進入自在に一端を開口された流路30と、流路30内に突出され、該流路30を流動する流動体の一部の連通方向を進路変更させる進路変更部(本体側突出部40及びベース体側突出部50の何れか一方)と、流路30内に突出され、該流路30を流動する流動体の一部を、進路変更部により進路変更された流動体の連通方向に対し逆方向の成分を含む方向に進路変更させる逆流衝突部(本体側突出部40及びベース体側突出部50の何れか他方)とを有する構成にされている。
【0104】
上記構成によれば、外部から流路30の開口に流動体が進入した場合、流路30を流動する流動体の進行方向に突出された進路変更部により流動体の一部の連通方向が進路変更される。また、逆流衝突部は、流路30を流動する流動体の一部を、進路変更部により進路変更された流動体の連通方向に対し逆方向の成分を含む方向に進路変更させて両流動体を衝突させる。
【0105】
これにより、進路変更部によって進路変更された流動体の一部と、逆流衝突部によって進路変更された流動体の一部とを衝突させることで、両流動体の流速を小さくすることができる。この結果、流路30に流動体が進入した場合であっても、流路30を流動する流動体の流速を低下させることができる。
【0106】
また、本実施形態の舶用電子機器100は、上記収容ケース1と、収容ケース1の収容空間11に収容された電子回路基板4とを有する構成にされている。
【0107】
上記構成によれば、収容ケース1は、収容空間11への水等の侵入の可能性を軽減することができる。その結果、波浪、舶用電子機器100の設置環境を清掃する際の水しぶき等から収容空間11内の電子回路基板4を保護することができる。
【0108】
また、本実施形態の舶用電子機器100は、上記の流動体の流速低下構造(収容ケース1、本体側突出部40、及びベース体側突出部50)と、流動体の流速低下構造の流路の他端に連通された収容空間11に収容された電子回路基板4とを有する構成にされている。
【0109】
上記構成によれば、流動体の流速低下構造は、外部から流路に進入した流動体の流速を低下させることができる。これにより、流路の開口から進入した水等の流動体が収容空間11に収容された電子回路基板4に至る可能性を軽減することができる。その結果、波浪及び清掃する際の水しぶき等の流動体から収容空間11内の電子回路基板4を保護することができる。
【0110】
(本実施の形態の変形例)
以上、本発明の実施例を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。尚、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0111】
また、本実施形態の流動体の流速低下構造、及び、収容ケースは、以下の構成を上述の実施の形態における構成に変更、追加、或いは、重複して備えていても良い。
【0112】
本実施形態において、収容ケース1をベース体20に取付けることで、流路30を形成していたがこれに限定されることはない。例えば、図10に示す収容ケース300のように、収容ケース300の底部に、収容ケース300側面から通気孔12まで貫通する流路330を形成するものであってもよい。
【0113】
また、本実施形態において、流路30を通気孔12から水平方向に4方向に形成したが、これに限定されない。流路の数、及び、形成角度等はこれに限定されず、例えば、2つの流路30が直線を形成するように2方向に形成してもよいし、隣り合う流路が120度を形成するように3方向に形成してもよい。
【0114】
また、例えば、図11に示す収容ケース400のように、本実施形態のベース体20の代替として、シール部材401を貼り付けて収容ケース400の底部に流路430を形成するものであってもよい。また、シール部材401を使用せずに直接平坦な台等に貼りつけるものであってもよい。この場合、進路変更部及び逆流衝突部としての機能を有する突部440を用いてもよい。
【0115】
また、本実施形態において、流速低下構造を構成する進路変更部及び逆流衝突部を、それぞれ本体側突出部40及びベース体側突出部50として形成したが、これに限定されない。例えば、図12のように、進路変更部及び逆流衝突部として、カバー14側に拡大方向を覆うカバー側突部441のみを設けてもよい。この場合、ベース体20に、カバー側突部441の先端に係合するベース側凹部442を設けてもよい。
【0116】
また、同様に、図13に示すように、進路変更部及び逆流衝突部として、ベース体20側に拡大方向を覆うベース側突部451のみを設けてもよい。この場合、カバー14に、ベース側突部451の先端に係合するカバー側凹部452を設けてもよい。
【0117】
また、本実施形態において、収容ケース1をパネル13が上部、カバー14が下部となるように設置したがこれに限定されない。例えば、本実施形態のカバー14の本体側取付け面10aが上面となるように設置してもよいし、側面となるように設置してもよい。
【0118】
また、本実施形態において、舶用電子機器100は、流路30、本体側突出部40及びベース体側突出部50を収容ケースに形成されていたがこれに限定されない。例えば、舶用電子機器は、船舶に形成される収容空間に電子回路基板を収容し、外部と該収容空間とを連通する流路に進路変更部及び逆流衝突部を形成するものであってもよい。これにより、船舶が有する電子回路基板を通気可能に収容すると共に、波浪及び清掃する際の水しぶき等の流動体から内部の電子回路基板を保護することができる。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は、通気性を有し、強い噴流に対する保護性能を有する構造全般に利用することができる。
【符号の説明】
【0120】
1 収容ケース
4 電子回路基板
10 収容本体
10a 本体側取付け面
11 収容空間
12 通気孔
20 ベース体
20a ベース側取付け面
21 位置合せ用突部
30 流路
31 溝部
34 拡大領域
40 本体側突出部
50 ベース体側突出部
100 舶用電子機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体側取付け面と、内部に形成された収容空間と、該本体側取付け面に形成され該収容空間を外部に連通させる通気孔とを有する収容本体と、
前記本体側取付け面に当接されるベース側取付け面を有し、前記収容本体に着脱可能に取付けられたベース体と、
前記本体側取付け面と前記ベース側取付け面との当接により形成され、外部と前記通気孔とを連通する流路と、
前記流路における前記収容本体側の流路面から前記ベース体側に向かって突出された本体側突出部と、
前記流路の連通方向における前記本体側突出部の配設位置とは異なる位置に配置され、前記流路における前記ベース体側の流路面から前記収容本体側に向かって突出されたベース体側突出部と
を有することを特徴とする収容ケース。
【請求項2】
前記流路は、
前記本体側突出部及び前記ベース体側突出部が配設され、流路断面積が他の部分の流路断面積よりも前記収容本体と前記ベース体との対向方向に拡大された拡大部を有していることを特徴とする請求項1に記載の収容ケース。
【請求項3】
前記ベース体側突出部は、
先端の位置が、前記収容本体と前記ベース体との対向方向における前記本体側突出部先端の位置よりも前記収容本体側になるように突出されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の収容ケース。
【請求項4】
前記流路は、前記本体側取付け面及び前記ベース側取付け面の少なくとも一方に形成された溝によって構成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の収容ケース。
【請求項5】
前記収容本体及び前記ベース体の少なくとも一方は、前記収容本体と前記ベース体との対向方向の前記流路面から突出し、前記溝に嵌合する位置合せ用突部を有することを特徴とする請求項4に記載の収容ケース。
【請求項6】
前記流路は、前記通気孔から4方向に隣り合う同士が互いに垂直に延在していることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の収容ケース。
【請求項7】
前記各流路の前記本体側突出部及び前記ベース体側突出部の少なくとも一方は、前記通気孔を中心とした円軌跡に沿った形状に形成及び配置されていることを特徴とする請求項6に記載の収容ケース。
【請求項8】
外部の流動体が進入自在に一端を開口された流路と、
前記流路内に突出され、該流路を流動する流動体の一部の連通方向を進路変更させる進路変更部と、
前記流路内に突出され、該流路を流動する流動体の一部を、前記進路変更部により進路変更された流動体の連通方向に対し逆方向の成分を含む方向に進路変更させる逆流衝突部と
を有していることを特徴とする流動体の流速低下構造。
【請求項9】
請求項1乃至7の何れか1項の収容ケースと、
前記収容ケースの前記収容空間に収容された電子回路基板と
を有していることを特徴とする舶用電子機器。
【請求項10】
請求項8に記載の流動体の流速低下構造と、
前記流動体の流速低下構造の前記流路の他端に連通された収容空間に収容された電子回路基板と
を有していることを特徴とする舶用電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate