説明

収納ケース

【課題】盗難防止機能が向上すると共に、標準規格のDVDケース等とほぼ同じ大きさに形成されたDVD等の収納ケースを提供する。
【解決手段】情報記録媒体が収納される本体部12と蓋体14とをヒンジ部13を介して合体自在に形成し、前記本体部12と蓋体14とを合体させた後に、内部に挿入して合体状態をロックするロックプレート15を備え、前記蓋体14の内部には、係合部42が形成され、前記ロックプレート15には、前記係合部42と係合可能な板バネ52が設けられている情報記録媒体の収納ケース11であって、前記本体部12は、前記情報記録媒体の中央孔が嵌る一対の係止片16、16が下部側に撓むよう弾性をもって設けられていると共に、該係止片16の下部には前記ロックプレート15のプレート片44が挿通する挿通部23が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DVD(デジタル・ビデオ・ディスク)やCD(コンパクト・ディスク)等の情報記録媒体を納める収納ケースに関するものであり、更に詳しくは、防犯タグを保持した状態でロック(施錠)しておくことができる収納ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の収納ケースとしては、次のような構成のものが知られている。この収納ケースは、DVD等が収納される本体部と、この本体部の端部にヒンジ部によって折曲自在に設けられると共に本体部と合体する蓋体と、合体した本体部及び蓋体に嵌め合わせて合体状態をロックするホルダーとから構成される。また、ホルダーには、ロック機構が設けられている(特許文献1参照)。
【0003】
ロック機構は、U字状の板バネと、この板バネによって突出状態が保持されるロック部材とから構成されている。ロック機構の解除は、強力な磁石を備えた特殊な解錠装置を用いて行い、この解錠装置の凹部にロック機構を挿入することにより、板バネを磁力で広げてロック部材との係合を解除する。
【特許文献1】特開2004−131128号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この従来例の収納ケースにおいては、本体部及び蓋体に、ホルダーを嵌め合わせる部位を設ける必要があり、その結果、一般に市販される標準規格のDVDケース等と比較して大型になるという欠点がある。
【0005】
また、ロック機構を解除するための特殊な解錠装置を必要とするので、製造コストが割高になるという欠点も有している。
【0006】
従って、従来例における収納ケースにおいては、一般に市販されている標準規格のDVDケース等とほぼ同じ大きさに形成することと、特殊な解錠装置を必要としないで製造コストを低下させることとに解決しなければならない課題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来例の課題を解決する具体的手段として本発明は、情報記録媒体が収納される本体部と蓋体とをヒンジ部を介して合体自在に形成し、前記本体部と蓋体とを合体させた後に、内部に挿入して合体状態をロックするロックプレートを備え、前記蓋体の内部には、係合部が形成され、前記ロックプレートには、前記係合部と係合可能な板バネが設けられている情報記録媒体の収納ケースであって、前記本体部は、前記情報記録媒体の中央孔が嵌る一対の係止片が下部側に撓むよう弾性をもって設けられていると共に、該係止片の下部には前記ロックプレートのプレート片が挿通する挿通部が設けられていることを特徴とする情報記録媒体の収納ケースを提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る収納ケースは、情報記録媒体が収納される本体部と蓋体とをヒンジ部を介して合体自在に形成し、前記本体部と蓋体とを合体させた後に、内部に挿入して合体状態をロックするロックプレートを備え、前記蓋体の内部には、係合部が形成され、前記ロックプレートには、前記係合部と係合可能な板バネが設けられている情報記録媒体の収納ケースであって、前記本体部は、前記情報記録媒体の中央孔が嵌る一対の係止片が下部側に撓むよう弾性をもって設けられていると共に、該係止片の下部には前記ロックプレートのプレート片が挿通する挿通部が設けられていることによって、特に、収納ケースの内部にロックプレートを挿入してロックする構造なので、従来例のようにホルダーを嵌め合わせる部位が必要ない。従って、従来例よりも小形で、一般に市販される標準規格のDVDケース等とほぼ同様な大きさに形成できる。
また、収納ケースの外部から磁石を宛ててロックを解除する仕組みであり、従来例のように特殊な解錠装置を必要としないので、製造コストが低下する。
更に、ロックプレートのプレート片を挿通部から引き抜かないと、DVD等を係止片から取り外せない構造なので、仮に収納ケースを破壊して無理矢理こじ開けたとしても、DVDだけを持ち去るのは困難であり、盗難防止機能が向上するというという種々の優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。まず、図1から図4において、符号11は収納ケースを示し、この収納ケース11は、DVD等の円盤状情報記録媒体が収納される本体部12と、この本体部12の端部にヒンジ部13によって折曲自在に設けられると共に本体部12に被った状態で合体する蓋体14と、合体した本体部12及び蓋体14の内部に挿入して合体状態をロックするロックプレート15とから構成される。
【0010】
本体部12及び蓋体14は、プラスチック等の合成樹脂材で形成されており、適度な剛性と弾性とを有していると共に、内部に収納したDVD等を外部から視認できるように透明又は半透明に形成されている。また、本体部12及び蓋体14の大きさは、所定規格のDVD等を収納できる所要の大きさである。
【0011】
本体部12のほぼ中央位置には、DVD等の中央孔が嵌る一対の係止片16、16が設けられている。この係止片16は、略扇状に形成されており、その縁部には円弧状の外周縁17が形成されている。外周縁17に沿った弧面には、図5及び図6に示すように、凹部18が形成されており、この凹部18に沿って、DVD19の中央孔の内周縁19aが係止できる構成になっている。
【0012】
外周縁17の下部は、弾性部20に接続している。弾性部20は、略扇状に形成されていると共に、段部21を介して背面板22に接続している。従って、係止片16は、弾性部20の存在によって下部側に撓むことができるようになっている。
【0013】
また、係止片16の下部には、後述するロックプレート15のプレート片44が挿通する挿通部23が設けられている。
【0014】
次に、DVD19の係止片16への取付状態について説明する。係止片16、16を下部側に撓ませて、外周縁17、17同士の間隔を幅狭にした状態で、DVD19の内周縁19aを凹部18に沿って係止させる(図5参照)。係止片16、16が上部側に復帰すると、外周縁17、17同士の間隔が元に戻り、凹部18に沿って内周縁19aがピッタリと係止する。従って、DVD19を係止片16から取り外すことができない(図6参照)。
DVD19を取り外すときには、係止片16、16を下部側に押圧して、外周縁17、17同士の間隔を幅狭にすれば、凹部18から内周縁19aが外れることとなる。
【0015】
更に、挿通部23にロックプレート15のプレート片44を挿通させれば、このプレート片44が邪魔板の役目を果たして、係止片16を下部側に撓ませることができない(図6参照)。従って、ロックプレート15のプレート片44を挿通部23から引き抜かない限り、DVD19を係止片16から取り外せない構造であり、仮に収納ケース11を破壊して無理矢理こじ開けたとしても、DVD19だけを取り外すことはできないのである。
【0016】
また、本体部12には、収納するDVD等の外周縁が沿う円形位置に凸条部24が形成されている。この凸条部24は、DVD等を係止片16に係止するときに案内部材の役目を果たすので、DVD等を所定位置に容易に納めることができる。
【0017】
本体部12の両端には、側板25、26が設けられており、一方の側板25に隣接した位置には、ロックプレート15が挿通可能な隙間部27が設けられている。
【0018】
本体部12のヒンジ部13側に対向する端部には、天板28が設けられている。この天板28の内側には、フラットアーチ状の門部29と門部30とが所定の間隔をもって設けられている。門部29及び門部30は、後述するロックプレート15のプレート長片45が挿通可能なように構成されている。
【0019】
蓋体14のほぼ中央位置には、円形状の凸部31が設けられており、凸部31の外周縁が段部53を介して正面板54に連続している。この凸部31は、本体部12と蓋体14とを合体させたときに、係止片16に沿い、DVD19の係止状態を安定させる役目を果たす。
【0020】
また、蓋体14には、本体部12の凸条部24と対応する円形位置に、凸条部32が形成されている。
【0021】
蓋体14の両端には、側板33、34が設けられており、一方の側板33に隣接した位置には、ロックプレート15が挿通可能な隙間部35が設けられている。この隙間部35は、本体部12と蓋体14とを合体させたときに、本体部12の隙間部27と重なり合うように構成されており、重なった状態の隙間部35及び隙間部27の外部からロックプレート15が挿入される(図1参照)。
【0022】
また、隙間部35には、フラットアーチ状の小門部36、36…がそれぞれ所定の間隔を開けて4箇所に連設されている。この小門部36、36…は、後述するロックプレート15のプレート短片49、49…が挿通可能である。
【0023】
蓋体14のヒンジ部13側に対向する端部には、天板37が設けられており、この天板37には、切欠部38が設けられている。
【0024】
天板37の内側近傍には、該天板37から所定の隙間を開けてフラットアーチ状の門部39及び門部40が設けられている。また、門部39と門部40とは所定の間隔を開けて設けられている。門部39及び門部40は、本体部12と蓋体14とを合体させたときに、本体部12の門部29及び門部30と互い違いに且つ一列に並ぶように構成されており、更に、後述するロックプレート15のプレート長片45が連続して挿通可能なように構成されている。
【0025】
また、天板37の内側近傍には、該天板37から所定の隙間を開けて角柱状の柱体41が設けられており、この柱体41の両端部には、鋭角状の係合部42、42が形成されている。この係合部42、42は、後述するロックプレート15の板バネ52、52と係合するように構成されている。
【0026】
次に、ロックプレート15について説明する。ロックレート15は、図7及び図8に示すように、板状に形成されると共に防犯タグ(図示せず)が貼着されるプレート本体43と、このプレート本体43の一端に延設されるプレート片44と、プレート本体43の他端に延設されるプレート長片45と、プレート本体43の基部側に設けられる基部板46と、プレート本体43の他端側に設けられる側板47とを有する。
【0027】
プレート片44は、前述のように、本体部12の挿通部23に挿通されて邪魔板の役目を果たすので、係止片16の下部側への撓みを阻止して、DVD19を係止片16から取り外せないようにする。
【0028】
プレート長片45は、段差部48を介して延設されており、このプレート長片45が蓋体14の門部39、門部40、及び本体部12の門部29、門部30を連続して挿通する。この場合、蓋体14の門部39、門部40と、本体部12の門部29、門部30とは、互い違いに位置するので、収納ケース11の開成が阻止されることとなる。
【0029】
基部板46は、図7に示すように、一方の縁部に沿ってプレート短片49、49…が所定の間隔を開けて4箇所に連設されている。このプレート短片49、49…が、蓋体14の小門部36、36…に挿通する。
【0030】
また、基部板46には、図7及び図8に示すように、他方の縁部に沿ってL字状の係止部50が形成されている。この係止部50は、本体部12の隙間部27の端縁51に係止される。従って、プレート短片49が蓋体14の小門部36に挿通すると同時に、係止部50が本体部12の端縁51に係止するので、収納ケース11の開成が阻止されることとなる。
【0031】
側板47の内側には、所定の間隔を開けて、2本の板バネ52、52が設けられている。この板バネ52の基部52aが側板47に固定されており、先端部52bが側板47から離隔した状態で突出している。この先端部52bが、蓋体14の係合部42と係合するようになっており、ロックプレート15の引き抜きが阻止される。
【0032】
板バネ52と係合部42との係合状態を解除するときには、天板37の外部から図示しない磁石を宛てて、先端部52bの突出状態を側板47側に吸着させる。そして、ロックプレート15を収納ケース11の外部に引き抜けばよく、収納ケース11の開成が可能になる。
【0033】
次に、図9に他の実施例に係る板バネ55を示す。この板バネ55は、先端部55bがコ字状に形成されている。そして、板バネ55の基部55aが側板47に固定されて、先端部55bが側板47から離隔した状態で突出する。このように、先端部55bがコ字状に形成されるので、不正な外力が加わっても変形しにくいという特徴を有する。
【0034】
以上のように構成される収納ケース11は、収納ケース11の内部にロックプレート15を挿入してロックする構造なので、従来例のようにホルダーを嵌め合わせる部位が必要ない。また、収納ケース11の外部から磁石を宛ててロックを解除する仕組みであり、特殊な解錠装置を必要としない。
更に、ロックプレート15のプレート片44を挿通部23から引き抜かないと、DVD19を係止片16から取り外せない構造なので、仮に収納ケース11を破壊して無理矢理こじ開けたとしても、DVD19だけを持ち去るのは困難である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る収納ケース11の斜視図である。
【図2】収納ケース11を開いた状態の、本体部12及び蓋体14の平面図である。
【図3】本体部12の斜視図である。
【図4】蓋体14の斜視図である。
【図5】係止片16にDVD19を係止させる状態の縦断面図である。
【図6】係止片16にDVD19を係止させ、挿通部23にプレート片44を挿通した状態の縦断面図である。
【図7】ロックプレート15の斜視図である。
【図8】ロックプレート15の斜視図である。
【図9】板バネの他の実施例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
11 収納ケース
12 本体部
13 ヒンジ部
14 蓋体
15 ロックプレート
16 係止片
17 外周縁
18 凹部
19 DVD
19a内周縁
20 弾性部
21 段部
22 背面板
23 挿通部
24 凸条部
25、26 側板
27 隙間部
28 天板
29、30 門部
31 凸部
32 凸条部
33、34 側板
35 隙間部
36 小門部
37 天板
38 切欠部
39、40 門部
41 柱体
42 係合部
43 プレート本体
44 プレート片
45 プレート長片
46 基部板
47 側板
48 段差部
49 プレート短片
50 係止部
51 端縁
52 板バネ
52a基部
52b先端部
53 段部
54 正面板
55 板バネ
55a基部
55b先端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報記録媒体が収納される本体部と蓋体とをヒンジ部を介して合体自在に形成し、前記本体部と蓋体とを合体させた後に、内部に挿入して合体状態をロックするロックプレートを備え、
前記蓋体の内部には、係合部が形成され、
前記ロックプレートには、前記係合部と係合可能な板バネが設けられている情報記録媒体の収納ケースであって、
前記本体部は、前記情報記録媒体の中央孔が嵌る一対の係止片が下部側に撓むよう弾性をもって設けられていると共に、該係止片の下部には前記ロックプレートのプレート片が挿通する挿通部が設けられていることを特徴とする情報記録媒体の収納ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−91261(P2007−91261A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−281803(P2005−281803)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(391013047)株式会社ハゴロモ (7)
【Fターム(参考)】