説明

収納ラベル

【課題】 被貼付体から剥離しなくても容易に収納物を取り出すことができ、しかも、取り出した後の収納物を再収納することができる収納ラベルを提供することを課題とする。
【解決手段】 下面に粘着部2が設けられた下層フィルム3と、下層フィルム3の上面に重ね合わされ且つ周縁部が接着された上層フィルム4と、を備え、上下層フィルム3,4の間に収納物7が収納されてなる収納ラベル1であって、上層フィルム4が、2枚のフィルム片41,42から構成されており、第1フィルム片41の一縁部41aが第2フィルム片42に接し、第1フィルム片41及び第2フィルム片42の一縁部を除く周縁部41b,42bが下層フィルムに接着されている収納ラベル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下2層のフィルムの間に説明書などの扁平状収納物が収納され、粘着剤を介して商品に貼付できる収納ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、懸賞応募ハガキ、薬品能書、取扱説明書、商品説明書、懸賞応募説明書などの各種説明書、保証書などの各種証明書類、小冊子、各種カード類、付録などの扁平状の収納物を商品に添付するため、図10に示すような収納ラベルが知られている。
この収納ラベル100は、上下2層のフィルム101,102の周縁部を接着することにより、該上下層フィルム間に周縁接着部が形成され、且つ周縁接着部で囲われる領域内に収納部103が形成された本体104と、下層フィルム102の裏面に設けられた粘着部105と、を備え、本体104の一縁部に略V字状の開封用切れ目106が形成された構成からなる。
かかる収納ラベル100は、その収納部103に収納物107を収納し、粘着部105を介して下層フィルム102を商品などの被貼付体に貼付して使用される。
【0003】
上記収納ラベル100から収納物107を取り出すには、収納ラベル100を被貼付体から剥ぎ取り、切れ目106を起点にして本体104を切断して収納部103を開封することによって、収納物107を取り出すことができる。
そして、収納物を取り出した後の上記収納ラベル100は、収納物を収納して被貼付体に貼付するという機能を終え、ゴミとして廃棄される。
【0004】
しかしながら、上記従来の収納ラベル100は、収納物107を取り出す際、被貼付体から剥離し、更に、切れ目106から切断しなければならず、簡単に収納物を取り出すことができない。また、商品説明書などの収納物107は、閲覧した後、収納ラベル100に再収納して保管しておくことが望まれるが、上記従来の収納ラベル100にあっては、取り出した収納物107は、元通りに被貼付体に貼付した状態で収納ラベル100に再収納できない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明者らは、被貼付体から剥離しなくても容易に収納物を取り出すことができ、しかも、取り出した後の収納物を再収納することができる収納ラベルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段として、本発明は、下面に粘着部が設けられた下層フィルムと、下層フィルムの上面に重ね合わされ且つ周縁部が接着された上層フィルムと、を備え、上下層フィルムの間に収納物が収納されてなる収納ラベルであって、上層フィルムが、2枚のフィルム片から構成されており、第1フィルム片の一縁部が第2フィルム片に接し、第1フィルム片及び第2フィルム片の一縁部を除く周縁部が下層フィルムに接着されている収納ラベルを提供する。
【0007】
上記収納ラベルは、上層フィルムが2枚のフィルム片で構成され、第1フィルム片の一縁部が第2フィルム片の上面に接し、第1フィルム片及び第2フィルム片の一縁部を除く周縁部が下層フィルムに接着されているので、第1フィルム片の一縁部から指を入れ第1フィルム片を捲ると、第1フィルム片の周縁接着部が下層フィルムから剥がれる。
このように第1フィルム片を引き剥がすことにより、第2フィルム片と下層フィルムの間に収納された収納物を容易に取り出すことができる。また、収納物を取り出した後、第2フィルム片と下層フィルムの間に、収納物を再収納することもできる。
【0008】
さらに、本発明の好ましい態様では、上記第1フィルム片の一縁部が第2フィルム片の上面に重ね合わされており、この重ね合わせ部分に於いて、第1フィルム片の一部分が第2フィルム片の上面に接着されている上記収納ラベルを提供する。かかる収納ラベルは、第1フィルム片と第2フィルム片の重ね合わせ部分が部分接着されているので、流通・保管時などに於いて、第1フィルム片の一縁部と第2フィルム片の上面の間から、ゴミや小昆虫などが侵入し難く、又、第1フィルム片が不用意に捲れ上がることをより防止できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の収納ラベルは、第1フィルム片の周縁接着部を引き剥がすことにより、収納物を容易に取り出すことができる。また、該収納物を取り出す際、第2フィルム片を下層フィルムから引き剥がす必要はないので、第2フィルム片と下層フィルムの間に収納物を再収納することもできる。
また、重ね合わせ部分に於いて、第1フィルム片の一部分が第2フィルム片の上面に接着されている上記収納ラベルは、第1フィルム片と第2フィルム片の間から小昆虫などが侵入することや意図しない第1フィルム片の剥離を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
図1〜図3に於いて、1は、下面に粘着部2が設けられた下層フィルム3と、下層フィルム3の上面に重ね合わされる上層フィルム4と、上下層フィルム3,4間に収納部5を形成すべく、上下層フィルム3,4の周縁部が接着された周縁接着部と、この周縁接着部で囲われる領域(収納部5)内に収納された収納物7と、を備える収納ラベルを示す。
この上層フィルム4は、2枚のフィルム片41,42に分割されており、第1フィルム片41の一縁部41aが第2フィルム片42の上面に接するように、第1フィルム片41の一縁部41aが第2フィルム片42の上面に重ね合わされている。この重ね合わせ部分は、例えば、収納ラベル1の幅方向中央部に帯状に形成されている。
尚、収納ラベル1は、通常、図2に示すように、下層フィルム3に設けられた粘着部2を離型紙8上に仮貼付することで供給される。
【0011】
具体的には、収納ラベル1は、平面視矩形状に形成されている。もっとも、収納ラベル1は、矩形状に限られず、例えば、図4(a)、(b)に示すように、略三角形状、略円形などに形成されていてもよい。このような変形例に於いても、上層フィルム4は、上記と同様に第1及び第2フィルム片41,42から構成される。
【0012】
上下層フィルム3,4は、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系、スチレン系などの合成樹脂製フィルム、紙、合成紙、不織布などの単層フィルム、又は合成樹脂フィルムと紙の積層体などの積層フィルムなど、公知のフィルムを使用することができる。上下層フィルム3,4は、それぞれ同一又は同種のものでも良いし、又は異なる材質でもよい。上下層フィルム3,4の厚みは、概ね10〜120μm程度のものが用いられる。尚、本発明に言うフィルムとは、一般にシートや葉状体などと呼ばれるものも含まれる。
さらに、収納部5に収納された収納物7を透視するため、少なくとも上層フィルム4は、透明又は半透明のフィルム(例えば、合成樹脂フィルムなど)を用いることが好ましい。
具体例を示すと、例えば、上層フィルム4として、耐熱性に優れた厚み10〜50μm程度の透明な2軸延伸ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系又はポリプロピレンなどのポリオレフィン系のフィルムを用いることができ、下層フィルム3として、厚み50〜120μm程度の合成紙を用いることできる。
【0013】
上記上層フィルム4は、2枚のフィルム片41,42に分割されている。この第1及び第2フィルム片41,42は、第1フィルム片41の一縁部41aに於いて重ね合わすため、収納ラベル1の平面形状の半分よりも大きく形成されている。例えば、第1フィルム片41及び第2フィルム片42ともに、その幅が、収納ラベル1の幅の2/3程度に形成されている。
但し、第1フィルム片41及び第2フィルム片42の何れも、収納ラベル1の平面形状の半分よりも大きく形成されているものに限られず、例えば、第1フィルム片41の幅が収納ラベル1の幅の1/3程度(面積1/3程度)で、第2フィルム片42の幅が、収納ラベル1の幅の3/4程度に形成されているなど適宜設計変更可能である。要は、上層フィルム4が2枚のフィルム片41,42からなり、第1フィルム片41の一縁部41aが、第2フィルム片42に接するように設けられていれば、各フィルム片41,42の大きさや形状は特に限定されない。
もっとも、収納物7を取り出すため第1フィルム片41を引き剥がした際に、第2フィルム片42の一縁部42aから収納物7の一部分が露出するように構成するために、第2フィルム片42は、接着状態に於いて、第2フィルム片42の一縁部42aから収納物7の一部分が外側へ出る程度の大きさに形成されていることが好ましい。
【0014】
第2フィルム片42は、その一縁部42aを除く周縁部が下層フィルム3の周縁部に接着され、これにより第2周縁接着部42bが形成されている。一方、第1フィルム片41は、その一縁部41aが第2フィルム片42の上面に重ね合わされ、且つ第1フィルム片41の一縁部41aを除く周縁部が下層フィルム3の周縁部に接着され、これにより第1周縁接着部41bが形成されている。尚、第1フィルム片41の第1周縁接着部41bのうち、第2フィルム片42に重ね合わされている部分は、図2(b)や(e)に示すように、下層フィルム3に直接接着されておらず、第2フィルム片42に接着されている。換言すると、第1フィルム片41の第1周縁接着部41bのうち、第2フィルム片42の上面に重ね合わされている部分は、第2フィルム片42を介して下層フィルム3に接着されている。このように第2フィルム片42を介して接着されている構成も、第1フィルム片41が下層フィルム3に接着されていることに含まれる。
尚、第2フィルム片42及び第1フィルム片41は、上記のように、その一縁部42a,41aを除く周縁部の全体が接着されていることが好ましいが、第2フィルム片42及び第1フィルム片41が容易に離脱しない程度に接着されていれば、一縁部42a,41aを除く周縁部に非接着部分を部分的に含んでいても構わない。
【0015】
第1フィルム片41及び第2フィルム片42の各周縁接着部41b,42bは、接着剤又は粘着剤を介して接着されている。この接着剤としては、特に限定されず、加熱することで接着性を発揮する感熱性接着剤、紫外線などの光線照射により硬化する光硬化型接着剤、電子線硬化型接着剤、溶剤型接着剤、2液型接着剤などの公知の接着剤を用いることができる。また、粘着剤としては、一般に公知のタックラベルに用いられている感圧型粘着剤、加熱することで粘着性を発揮する感熱性粘着剤などを用いることができる。
第1フィルム片41を下層フィルム3に接着するために、接着剤を用いた場合には、後述するように収納物7を取り出す際、第1フィルム片41を剥離した後、該第1フィルム片41を再接着することはできないが、感圧型粘着剤を用いた場合には、第1フィルム片41を剥離した後、該第1フィルム片41を再接着することができる。従って、取り出した収納物7を再収納した後、第2フィルム片42の一縁部42aを塞ぐように、第1フィルム片41にて再封することができる。このように第1フィルム片41の接着手段として粘着剤を用いた場合、かかる利点がある反面、悪意者が、第1フィルム片41を剥離して収納物7を盗み出す又は悪戯した後、第1フィルム片41を元通りに接着する虞がある。このような悪戯防止の観点から、第1フィルム片41は、接着剤にて接着されていることが好ましいと言える。
【0016】
また、収納物7を取り出す際、第1フィルム片41を引き剥がすことから、少なくとも第1フィルム片41の第1周縁接着部41bは、下層フィルム3から第1フィルム片41を手の力で引き剥がすことができる程度の接着力で接着されている。
この接着力は、接着剤やフィルムの種類、第1周縁接着部41bの接着幅などを適宜設計することにより調整できる。
具体的には、この第1フィルム片41の第1周縁接着部41bと下層フィルム3の上面(部分的に第2フィルム片42の上面)の層間に於ける接着力(剥離強度)は、0.2〜3N程度、好ましくは1〜2N程度が例示される。余りに接着力が弱すぎると、流通・保管時などに不用意に剥離する虞があり、余りに接着力が強すぎると、手で引き剥がすことが困難となるからである。
一方、第2フィルム片42は、収納物7を取り出す際に必ずしも剥離する必要がないので、第2フィルム片42の第2周縁接着部42bと下層フィルム3の上面の層間に於ける接着力(剥離強度)は、0.2N程度以上、好ましくは1N程度以上が例示される。
但し、この接着力(剥離強度)は、JIS Z 0237に準じ、試験材料として実施品の周縁接着部(実際に作製される収納ラベルの周縁接着部)を用い、剥離角度:90度、剥離速さ:300mm/分、温度:23℃の条件下の剥離試験において測定された値である。
ここで、試料材料を実施品の周縁接着部としたのは次の理由による。接着力は、一般に接着幅によって変化するが、接着部の幅寸法に拘わらず、第1フィルム片41の第1周縁接着部41bが、上記接着力の範囲であれば、第1フィルム片41を下層フィルム3から引き剥がすことができる。従って、接着力は、実施品に則して測定されたもので表している。
尚、通常、第1フィルム片41の第1周縁接着部41b(及び第2フィルム片42の第2周縁接着部42b)の幅寸法は、1mm〜10mm程度、好ましくは、3mm〜7mm程度に形成される。
【0017】
本実施形態では、第1フィルム片41及び第2フィルム片42の下面全体に、図3に示すように、感熱性接着剤6をベタ状に塗工し、第1及び第2フィルム片41,42の一縁部41a,42aを除いた周縁部のみを加熱することにより、第1周縁接着部41b及び第2周縁接着部42bが形成されている。これにより第1フィルム片41の一縁部41aに於いて、第1フィルム片41は第2フィルム片42の上面に接着されておらず、単に重なり合った状態とされている。
【0018】
下層フィルム3の下面に設けられた粘着部2は、一般に公知のタックラベルに用いられている感圧型粘着剤などの公知の粘着剤を、下層フィルム3の下面全体にベタ状に設ける、又は下層フィルム3の下面に部分的に設けることによって形成されている。
【0019】
収納物7としては、薬品能書、取扱説明書、商品説明書、懸賞応募説明書などの各種説明書、保証書などの各種証明書類、小冊子、各種カード類、コイン状物品、付録などの扁平状の収納物が挙げられる。もっとも、このような扁平状の収納物に限られず、ある程度嵩高い収納物を収納することもできる。
【0020】
上記収納物7を収納する収納部5は、収納物7の形状などに応じて適宜設定され、図1に示すような矩形状の収納ラベル1に於いては、収納物7の外形よりも少し大きな平面視矩形状に形成され、図4(a)及び(b)に示すような収納ラベル1では、収納部5は、平面視略三角形状、略円形状に形成される。もっとも、収納ラベル1の平面形状と収納部5の平面形状は同じ形状に形成される場合に限定されるわけではない。
該収納部5は、上下層フィルム3,4の各周縁接着部41b,42bで囲われる領域内に確保されている。
【0021】
上記構成からなる収納ラベル1は、例えば、下記のようにして製造できる。
粘着剤が塗布された離型紙上に、下層フィルム原反(下層フィルム3が連続的に繋がった長尺状のフィルム)を貼り合わせ、下層フィルム原反の下面に粘着剤を転写し、粘着部2を形成する。
他方、下面全体に感熱性接着剤がベタ状に塗工された第1フィルム片原反(第1フィルム片41が連続的に繋がった長尺状のフィルム)及び第2フィルム片原反(第2フィルム片42が連続的に繋がった長尺状のフィルム)を準備する。この第1及び第2フィルム片原反の幅は、下層フィルム原反の幅の1/2より大きく形成されている(具体的には、下層フィルム原反の幅の1/2〜3/4程度)。
尚、該下層フィルム原反、第1及び第2フィルム片原反は、通常、ロール状に巻き取られた状態で提供される。
【0022】
次に、図5に示すように、下層フィルム原反ロール11をラミネート装置(図示せず)の上流側にセットし、該下層フィルム原反12を下流側へと送り出し、下層フィルム原反12の上面(下層フィルム3の上面)に於ける収納部形成予定部位に、収納物7を所定間隔を開けて載置していく。
【0023】
他方、第2フィルム片原反ロール13及び第1フィルム片原反ロール15から第2フィルム片原反14及び第1フィルム片原反16を下流側へ送り出し、第2フィルム片原反14を下層フィルム原反12に重ね合わせ、この第2フィルム片原反14の一側部上面に第1フィルム片原反16の一側部を重ね合わせる。このように重ね合わせることにより、下層フィルム原反12の幅方向中央部に於いて、第2フィルム片原反14の上面に、第1フィルム片原反16の一縁部が重なり合う。
次に、第1及び第2フィルム片原反14,16のうち一縁部を除く周縁部を下層フィルム原反12に接着すべく、第1及び第2フィルム片原反14,16の上面から周縁接着部形成予定部位に(収納物7を囲繞するように)矩形リング状の加熱板17を当て、当該周縁接着部形成予定部位の感熱性接着剤を活性化させつつ押圧する。これにより、第1及び第2フィルム片原反14,16の周縁部が下層フィルム原反12に接着し、第1及び第2周縁接着部41b,42bが形成される。
尚、上記製法に代えて、先ず、第2フィルム片原反14を下層フィルム原反12に重ね合わせ、該第2フィルム片14の周縁接着部形成予定部位を接着した後、第1フィルム片原反16を重ね合わせ、該第1フィルム片16の周縁接着部形成予定部位を接着してもよい。
また、上記製法では、予めロール状に巻かれた第1フィルム片原反16及び第2フィルム原反14を準備しているが、例えば、下面全体に感熱性接着剤がベタ状に塗工された幅広フィルム原反(上記第1フィルム片原反16及び第2フィルム原反14が幅方向繋がったフィルム原反)を準備し、これを下流側に引き出して、下層フィルム原反12に重ねる前に、該幅広フィルム原反を長手方向に切断して、第1フィルム片原反16及び第2フィルム原反14をそれぞれ作製してもよい。
【0024】
最後に、各周縁接着部41b,42bの外縁にて第1及び第2フィルム片原反14,16及び下層フィルム原反12を切断し、収納ラベル1以外のフィルム原反(不要となった抜き滓フィルム)を取り除く。これにより図2に示すような、内部に一の収納物を収納した収納ラベル1が、長尺状の離型紙8の上に所定間隔をあけて並べて仮貼付された収納ラベル連続体を得ることができる。
【0025】
かかる収納ラベル連続体は、ロール状に巻き取られ、収納ラベル1を個々に被貼付体に貼付するためラベリング装置(図示せず)に装填される。該装置に装填された収納ラベル連続体は、収納ラベル1が離型紙から剥離され、該収納ラベル1は、図6(a)に示すように、粘着部2を介して商品の外箱などの被貼付体10に連続的に貼付される。
【0026】
上記収納ラベル1は、上層フィルム4が2枚のフィルム片41,42で構成され、第1フィルム片41の一縁部41aが第2フィルム片42の上面に(接着されておらず)重ね合わされているので、第1フィルム片41の一縁部41aから指を入れ第1フィルム片41を捲ると、第1フィルム片41の第1周縁接着部41bが下層フィルム3から剥がれる(図6(b)参照)。
第1フィルム片41を引き剥がすと、第2フィルム片42の一縁部42aの外側に、収納物7の一側部が露出する。従って、使用者は、収納ラベル1から収納物7を摘み出すことにより、収納物7を簡単に取り出すことができる。また、収納物7を取り出した後、第2フィルム片42と下層フィルム3の間に、収納物7を再収納することもできる。
【0027】
上記収納物7を取り出す際、第1フィルム片41は、第1周縁接着部41b全体を完全に剥離することにより、下層フィルム3から分離することもできる。しかしながら、収納物7を再収納することから、図6(b)に示すように、第1周縁接着部41bのうち両側部分のみを剥離することにより、第1フィルム片41の他縁部41cを、下層フィルム3に接着させた状態にしておくことが好ましい。このように第1フィルム片41の他縁部41cが、接着状態のままであれば、収納物7を再収納した際、第2フィルム片42の一縁部42aを第1フィルム片41にて再度覆うことができる。
【0028】
また、上記収納ラベル1は、上層フィルム4が2枚のフィルム片41,42で構成され、第1フィルム片41の一縁部41aが第2フィルム片42の上面に(接着されておらず)重ね合わされているので、第1フィルム片41及び第2フィルム片42を下層フィルム3に接着する際、周縁接着部に空気を逃がすための空気抜き通路を形成する必要がない。つまり、従来のこの種の収納ラベルでは、上層フィルムの周縁部を接着する場合、形成される収納部内の空気を逃がすため、周縁接着部には、非接着部分を部分的に形成する必要がある。この点、本発明の収納ラベル1に於いては、第1フィルム片41の一縁部41aは第2フィルム片42の上面に接着されていないので、上層フィルム3を接着して収納部5を形成する際、この部分から空気が抜ける。従って、上層フィルム4の周縁接着部に空気抜き通路を設計する必要がないのである。
【0029】
次に、本発明の変形例を示す。以下、主として上記実施形態と異なる構成及び作用効果について説明し、同様の構成などについては、その説明を省略し、図番を援用することがある。
上記各実施形態では、第1フィルム片41の一縁部41aが第2フィルム片42の上面に重ね合わされ、第1フィルム片41と第2フィルム片42間に帯状の重ね合わせ部分が形成されているため、収納部5の封緘性に優れるので好ましいが、必ずしも第1フィルム片41は、第2フィルム片42に重ね合わされている構成に限られない。
例えば、図7に示すように、第1フィルム片41の一縁部41aが、第2フィルム片42の一縁部42aに当接されていてもよい(突き合わせて接している)。かかる構成の収納ラベル1でも、第1フィルム片41の一縁部41aから第1フィルム片41を簡単に剥離し、収納物7を取り出すことができ、又、収納物7を再収納することもできる。
【0030】
もっとも、上記のように第1フィルム片41の一縁部41aが、第2フィルム片42の上面に接した状態で重ね合わせることにより、流通・保管時などに於いて、収納部5内にゴミなどが入り難く、又、不用意に第1フィルム片41が剥離することも防止できるので好ましい。
特に、図8に示すように、第1フィルム片41の一縁部41aが第2フィルム片42の上面に接した状態で重ね合わせ、この重ね合わせ部分に於いて、第1フィルム片41の一部分が第2フィルム片42の上面に接着されている収納ラベル1は、収納部5内にゴミや小昆虫などが入り難く、又、不用意に第1フィルム片41が捲れ上がることをより防止できるので、より好ましい。
具体的には、この変形例に係る収納ラベル1は、第1フィルム片41の一縁部41aを含む又は一縁部41a近傍の下面中央部41dに於いて、接着剤などを介して第1フィルム片41が第2フィルム片42に部分接着されている。この第1フィルム片41と第2フィルム片42の接着は、第1フィルム片41と第2フィルム片42の重ね合わせ部分全体に設けられておらず、該重ね合わせ部分の一部分(例えば中央部41dなど)に設けられている。
このように第1フィルム片41と第2フィルム片42の重ね合わせ部分が部分接着されていることにより、第1フィルム片41の一縁部41aが第2フィルム片42に密着する。従って、該収納ラベル1は、流通・保管時などに於いて、第1フィルム片41の一縁部41aと第2フィルム片42の上面の間から、ゴミや小昆虫などがより侵入し難く、又、第1フィルム片41が不用意に捲れ上がることをより防止できる。また、部分接着なので、収納部5を形成する際、空気の抜け道も確保できる。
尚、この重ね合わせ部分の部分接着の接着力は、上記第1周縁接着部41bと同様であり、手で剥離可能な程度である。
【0031】
また、上記各実施形態では、第1フィルム片41及び第2フィルム片42は、その下面全体に感熱性接着剤が設けられ、周縁接着部形成予定部位を加熱することで、各周縁接着部41b,42bが形成されているが、第1フィルム片41及び第2フィルム片42の接着方法は、この方法に限定されない。
【0032】
例えば、図9(a)に示すように、第1フィルム片41及び第2フィルム片42の下面全体に接着剤又は粘着剤6(例えば感圧型粘着剤など)をベタ状に塗工し、その下面のうち、周縁接着部形成予定部位を除く領域に、非接着処理層21を設けてもよい。非接着処理層21は、上記領域に、紫外線硬化型インキなどを塗工したり、薄いフィルムを貼着するなどにより、形成することができる。
【0033】
また、上記のように第1フィルム片41及び第2フィルム片42の下面全体に接着剤や粘着剤をベタ状に塗工せずに、図9(b)に示すように、各周縁接着部41b,42bにのみ、接着剤6(又は粘着剤)を塗工することによって、第1フィルム片41及び第2フィルム片42を下層フィルム3に接着してもよい。
かかる収納ラベル1は、例えば、下記の方法にて製造できる。
第1フィルム片原反(第1フィルム片41が連続的に繋がったもの)と第2フィルム片原反(第2フィルム片42が連続的に繋がったもの)を準備する。これら原反の下面には、接着剤や粘着剤が塗工されていない。
上記実施形態で示した製造方法と同様にして、下層フィルム原反の上面に収納物7を所定間隔を開けて載置していく。
他方、第2フィルム片原反の下面のうち、周縁接着部形成予定部位に、遅効性紫外線硬化型接着剤を塗工する。該接着剤の塗工は、凸版輪転印刷機などの公知の印刷機にて行うことができる。
ここで、遅効性紫外線硬化型接着剤とは、公知の印刷法などによって塗布可能で、且つ紫外線を照射することによって接着可能な状態となる紫外線硬化型接着剤であって、紫外線を照射した後、緩やかに硬化が進行するタイプの紫外線硬化型接着剤である。このような紫外線硬化型接着剤としては、オリゴマー成分、モノマー成分、及び光重合開始剤を含み、必要に応じて光重合促進剤、粘度改良剤、ミスト防止剤、安定剤などの各種添加剤が配合されたものが挙げられる。
【0034】
該接着剤を塗工した後、第1フィルム片原反に紫外線を照射すると、遅効性紫外線硬化型接着剤は、一部分が重合反応を開始し、接着可能なほどに粘度が上がるが、直ぐには硬化しない。そして、このように接着剤を接着可能な状態にした後、第2フィルム片原反の他側縁を、下層フィルム原反の一側縁に揃えるように重ね合わせ、押圧ローラにて押圧する。次に、第1フィルム片原反についても同様にして、第1フィルム片原反の下面のうち、周縁接着部形成予定部位に、遅効性紫外線硬化型接着剤を塗工し、紫外線照射後、第1フィルム片原反の他側縁を、下層フィルム原反の他側縁に揃えるように重ね合わせ、押圧ローラにて押圧する。
【0035】
尚、遅効性紫外線硬化型接着剤に代えて、通常の紫外線硬化型接着剤、感熱性接着剤、溶剤型接着剤、電子線硬化型接着剤、これら性質の粘着剤などを用いることもできる。感熱性のものを用いる場合には、紫外線照射に代えて、所定温度に加熱し、溶剤型のものを用いる場合には、紫外線照射に代えて、溶剤を揮発させ、電子線硬化型のものを用いる場合には、紫外線照射に代えて、電子線照射を行えばよい。
かかる製法により、第1フィルム片41及び第2フィルム片42の下面のうち、各周縁接着部41b,42bにのみ接着剤又は粘着剤が塗工された収納ラベル1を簡単に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】(a)は、一実施形態の収納ラベルを上面側から見た平面図、(b)は、同下面側から見た底面図。但し、同図(a)に於いて、便宜上、第1フィルム片の周縁部が接着された第1周縁接着部を「網掛け」で、第2フィルム片の周縁部が接着された第2周縁接着部を「薄墨塗り」で示している。以下、図4、図7(a)及び図8(a)に於いても同様。
【図2】離型紙に載った状態の収納ラベル(収納ラベル連続体)を上面側から見た一部省略平面図。
【図3】(a)は、図1のA−A線矢視断面図、(b)は、図1のB−B線矢視断面図、(c)は、図1のC−C線矢視断面図、(d)は、図1のD−D線矢視断面図、(e)は、図1のE−E線矢視断面図。
【図4】(a)、(b)共に、他の実施形態の収納ラベルを上面側から見た平面図。
【図5】収納ラベルの製造方法を示す参考図であって、(a)は、その参考側面図、(b)は、同(a)の(イ)〜(ハ)の各工程に於いて、上面側から見た一部省略参考平面図。
【図6】(a)、(b)共に、収納ラベルの使用状態を示す斜視図。但し、薄墨塗りは、粘着部が設けられた範囲を示す。
【図7】他の実施形態の収納ラベルを示し、(a)は、それを上面側から見た平面図、(b)は、同F−F線矢視断面図。
【図8】他の実施形態の収納ラベルを示し、(a)は、それを上面側から見た平面図、(b)は、同G−G線矢視断面図。
【図9】(a)、(b)共に、他の実施形態の収納ラベルを幅方向で切断した断面図。
【図10】(a)は、従来の収納ラベルを上面側から見た平面図、(b)は、同H−H線矢視断面図。
【符号の説明】
【0037】
1…収納ラベル、2…粘着部、3…下層フィルム、4…上層フィルム、41…第1フィルム片、41a…第1フィルム片の一縁部、41b…第1周縁接着部、42…第2フィルム片、42a…第2フィルム片の一縁部、42b…第2周縁接着部、5…収納部、6…接着剤又は粘着剤、7…収納物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面に粘着部が設けられた下層フィルムと、下層フィルムの上面に重ね合わされ且つ周縁部が接着された上層フィルムと、を備え、上下層フィルムの間に収納物が収納されてなる収納ラベルであって、
上層フィルムが、2枚のフィルム片から構成されており、第1フィルム片の一縁部が第2フィルム片に接し、
第1フィルム片及び第2フィルム片の一縁部を除く周縁部が下層フィルムに接着されていることを特徴とする収納ラベル。
【請求項2】
第1フィルム片の一縁部が第2フィルム片の上面に重ね合わされており、この重ね合わせ部分に於いて、第1フィルム片の一部分が第2フィルム片の上面に接着されている請求項1記載の収納ラベル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−57623(P2007−57623A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−240471(P2005−240471)
【出願日】平成17年8月22日(2005.8.22)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)