説明

収納棚

【課題】蛍光灯ボックスに収納され、操作性や取付け性などに優れ、かつ、多目的に利用可能な収納棚を提供する。
【解決手段】収納棚1は、対向して取り付けられる一対の基部2と、下側棚60及び回動する上側棚62と、対向する一対の上アーム3と、対向する一対の下アーム4と、係止手段としてのストッパーラッチ用アーム5を備え、上アーム3及び下アーム4が所定の下方位置まで回動すると、上側棚62が開方向に回動され、さらに、上側棚62が重ねられた状態で、上アーム3及び下アーム4が前記所定の上方位置まで回動される構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納棚に関し、特に、蛍光灯ボックスに収納され、さらに、操作性や取付け性などに優れ、かつ、多目的に利用可能な収納棚に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対面型システムキッチン等に設けられた吊戸棚は、吊戸棚の下方のスペースを利用して、利用者の視界を確保しリビングルームと連続した空間を提供することを目的としてある。このため、吊戸棚に取り付けられる棚は、使用しないとき、利用者の目線の邪魔にならないように収容可能な構造であることが要求されてきた。
この要求を満足するために、様々な棚が開発されてきた。
【0003】
たとえば、特許文献1には、吊戸棚に取り付けられたブラケットと、このブラケットに一端部が回動自在に連結された棚支持枠と、この棚支持枠のもう一端部に回動自在に連結された棚とを備え、棚を棚支持枠に重なる位置まで回動したのち、棚支持枠及び棚を水平の状態となる位置まで回動してコンパクトな折畳み収納状態が得られる棚の技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、図9に示すように、流し台の上方側に位置する吊戸棚11に一対の取付け基材101を取り付け、各取付け基材101に、洗浄された洗浄物を水切り状態で載置可能な水切り棚104を平行な姿勢で昇降自在に支持する上側昇降リンク102及び下側昇降リンク103を枢着し、そのうち、少なくとも一つの上側昇降リンク102と取付け基材101との間には、水切り棚104を最下端の水切り位置と最上端の格納位置(収納位置)とに選択的に付勢保持可能な付勢手段(図示せず)を設けた水切り棚装置100の技術が開示されている。なお、吊戸棚11は、正面側に扉111が設けられている。
【特許文献1】特開2001−382号公報 特開2005−288151号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された棚は、棚を完全に降ろし切るまで手を添えて、棚を支える必要があった。
また、特許文献2に開示された水切り棚装置100は、最上端の収納位置が、蛍光灯121が収納される蛍光灯収納スペース122の下方に、位置している。このため、使用しないとき、利用者の目線の邪魔にならないように収容するといった要望に十分応えることができないといった問題があった。また、水切り棚装置100を取り付けるために、吊戸棚11の構造が複雑になってしまったり、蛍光灯121の光を遮ってしまい、光量が減少してしまうといった問題があった。さらに、水切り用棚104は、透光性を有する金網などの部材に限定されるといった制限があり、使用目的が限定されている。
【0006】
また、一般的な利用者が収納棚を購入し、利用者自らが収納棚を吊戸棚に取り付ける場合を想定すると、収納棚にとっては、取付け場所が制限されないことや取付け容易性なども要望されている。
また、消費者の購買意欲を刺激するには、収納棚の付加価値を高める必要があり、例えば、利用目的を多目的化するなどの工夫も要望されている。
【0007】
本発明は、上記諸問題を解決すべく、蛍光灯ボックスに収納され、操作性や取付け性などに優れ、かつ、多目的に利用可能な収納棚の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明の収納棚は、被取付け体に対向して取り付けられる一対の基部と、拡幅可能な棚と、一端が前記基部に回動自在に連結され、他端が前記棚の所定に回動自在に連結された、対向する一対の第一のアームと、一端が前記基部に回動自在に連結され、他端が前記棚に回動自在に連結された、対向する一対の第二のアームと、前記棚、第一のアーム及び第二のアームを所定の上方位置に留めるための係止手段とを備え、前記基部、第一のアーム、第二のアーム及び棚が、一対の対向するリンク機構を構成し、前記第一のアーム、第二のアーム及び棚が前記所定の上方位置まで回動されると、前記基部と前記棚との間に下方が開放された空きスペースが形成される構成としてある。
このようにすると、下方が開放された空きスペースに、蛍光灯を位置させることができるので、蛍光灯の光を遮るといった不具合を回避できる。すなわち、本発明の棚は、金網などの透光性の部材に限定されるものではなく、たとえば、遮光性の板でもよく、これにより、様々な載置物に対応することができ、多目的に利用することができる。
【0009】
また、好ましくは、前記棚が、重ねられた状態から開方向に回動される回動棚を有し、前記第一のアーム及び第二のアームが所定の下方位置まで回動すると、前記回動棚が開方向に回動され、さらに、前記回動棚が重ねられた状態で、前記第一のアーム、第二のアーム及び棚が前記所定の上方位置まで回動されるとよい。
このようにすると、棚の一部(回動棚)が折り重ねられた状態で、所定の上方位置(収納位置)に収納されるので、棚と基部との間に大きな空きスペースを確保することができる。この大きな空きスペースを利用して、蛍光灯の位置を避けることができるので、蛍光灯の光を遮るといった不具合をより確実に回避できる。さらに、上記の大きな空きスペースを確保することにより、被取付け体の構造の自由度が増大し、様々な構造の被取付け体に容易に取り付けることができる。
また、所定の下方位置(使用位置)では、少なくとも一つ以上の回動棚を、同一平面及び/又は平行面(段をなす状態)をなすように広げることができるので、広い棚面積を確保することができる。なお、重ねられる回動棚の数は、通常一つであるが、これに限定されるものではなく、たとえば、二つの回動棚を設け、基となる棚との合計三段重ねにしてもよい。また、回動棚の広げ方は、通常、同一平面をなすように広げられるが、これに限定されるものではなく、たとえば、手前側を低くかつ奥側を高くといった階段のような平行面をなすように広げてもよい。
【0010】
また、好ましくは、前記被取付け体が、蛍光灯ボックスであり、前記空きスペースに蛍光灯が位置するとよい。
このようにすると、吊戸棚などの蛍光灯ボックス内の収納スペースを利用して収納棚を設置することができる。また、吊戸棚が対面型キッチンに設けられている場合、使用後の棚がそのまま放置されるといった不具合を回避でき、対面型キッチンの効果を発揮することができる。
【0011】
また、好ましくは、前記係止手段として、ストッパーラッチ用アームを設け、該ストッパーラッチ用アームが、前記所定の上方位置において、前記基部と前記第一のアームを連結する回動軸に係止し、前記回動軸に対する前記第二のアームの距離を規定するストッパーラッチを有し、さらに、前記基部の方向に付勢された状態で、かつ、前記第二のアームの長手方向にスライド自在に、前記第二のアームに取り付けられるとよい。
このようにすると、ストッパーラッチ用アームを棚の方向に移動させることにより、係止状態を容易に解除することができる。また、通常、所定の上方位置におけるストッパーラッチ用アームは、ほぼ水平状態にあり、解除する動作がストッパーラッチ用アームを正面方向(利用者側)に引っ張るといった動作となり、誤って押してしまうことにより解除されるといった危険性を低減することができる。さらに、被取付け体に係止手段などを取り付ける必要がないので、取付け性を向上させることができる。
【0012】
また、好ましくは、前記ストッパーラッチ用アームが、前記所定の上方位置において、正面側斜め下方に向かって屈曲しているハンドル用屈曲部を有しており、前記一対のハンドル用屈曲部の端部に、ハンドルが取り付けられるとよい。
このようにすると、利用者の近くにハンドルを設けることができるので、使い易さを向上させることができる。また、このハンドルを布巾掛けとしても利用することができ、商品の付加価値を向上させることができる。
【0013】
また、好ましくは、前記所定の上方位置に位置する前記第一のアーム及び第二のアームが、所定の下方位置の方向に回動する際に、この回動速度を減速させる回転ダンパーを備えるとよい。
このようにすると、所定の上方位置における係止状態が解除された際、重力の作用により棚、第一のアーム及び第二のアームが所定の下方位置まで落下するような勢いで回動するといった不具合を回避し、棚を自動的に(重力を利用して)ゆっくり降ろすことができる。これにより、利用者は、棚を支えながら降ろす必要がなくなるので、係止状態を解除するワンタッチ操作で、棚を降ろすことができる。また、回転ダンパーは、所定の下方位置の方向への回動にのみ作用し、所定の上方位置の方向への回動に対しては、負荷を発生させないので、棚などを収納する際に、この回転バンパーによってよけい重くなることはない。
【0014】
また、好ましくは、前記棚として、押出成形されたアルミ板を用いるとよい。
このようにすると、棚の切断長さを変更するだけで、様々な間口の吊戸棚に対応することができる。
【0015】
また、好ましくは、前記基部が、T字切欠の形成された上板を有し、前記T字切欠に装入されたねじによって、前記被取付け体にあらかじめ取り付けられた取付けステーに螺着されるとよい。
このようにすると、まず、被取付け体に取付けステーを取り付け、取付けステーに途中まで締め込まれたねじに、T字切欠を利用して基部を係止し(仮止めし)、この状態でねじを締め込むことができる。したがって、重い本体を持ち上げながらねじ締め作業を行なくてもすむので、取付け作業を容易かつ安全に行うことができる。
【0016】
また、好ましくは、前記棚の少なくとも一部を水切り用棚とするとよい。
このようにすると、少なくとも二つ以上の棚を多目的に利用することができ、商品としての付加価値を向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明における収納棚によれば、蛍光灯ボックスに収納され、さらに、操作性や取付け性などに優れ、かつ、多目的に利用可能な収納棚を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、本発明の一実施形態にかかる収納棚の使用状態を説明する概略斜視図を示している。
また、図2は、本発明の一実施形態にかかる、使用状態の収納棚の概略斜視図を示している。
また、図3は、本発明の一実施形態にかかる、収納状態の収納棚の概略斜視図を示している。
さらに、図4は、本発明の一実施形態にかかる収納棚の構造を説明するための、要部の概略分解斜視図を示している。
図1,2,3,4において、収納棚1は、吊戸棚11の下面に設けられた蛍光灯ボックス12に取り付けられている。なお、吊戸棚11は、対面型キッチン13の上方に設けてある。
また、収納棚1は、基部2、上アーム3、下アーム4、ストッパーラッチ用アーム5、下側棚60、上側棚62、ハンドル64、連結棒65、基部カバー7及び取付けステー8などを備えている。
【0019】
<基部>
基部2は、被取付け体である蛍光灯ボックス12の蛍光灯収納スペース123内に、対向して一対をなすように設けられている。
この基部2は、上アーム3、下アーム4、ストッパーラッチ用アーム5などを収容するための間隔を開けて対向する、ほぼ矩形状の外側側板21及び内側側板23と、外側側板21及び内側側板23の上端部どうしを連結する上板22とからなっている。基部2は、金属製であり、プレス成形により一体的に加工される。
【0020】
内側側板23は、ほぼ中央部に、上アーム用リベット25が挿入される上アーム軸支用孔234が形成されている。また、上アーム軸支用孔234の正面側斜め上方に、ストッパー用リベット24が挿入されるストッパーリベット用孔236が形成されている。また、上アーム軸支用孔234の背面側斜め下方に、下アーム用リベット26が挿入される下アーム軸支用孔235が形成されている。さらに、上アーム軸支用孔234の正面側斜め下方及び背面側斜め上方に、雌ねじ233が形成されており、ねじ27によって回転ダンパー28が螺着される。また、下アーム軸支用孔235の背面側及び上方にかけて、下アーム軸支用孔235を中心とする角度約90°の円弧状の連結棒用開口部232が形成されている。連結棒用開口部232には、連結棒65が挿入され、下アーム4の先端部に連結された連結棒65は、下アーム4の回動とともに連結棒用開口部232内を回動する。さらに、正面側及び背面側の上端部には、基部カバー7の係止部74が係入されるほぼ正方形の係止孔231が形成されている。
【0021】
外側側板21は、ストッパー用リベット24、上アーム用リベット25及び下アーム用リベット26が挿入される孔(図示せず)が形成されている。さらに、連結棒用開口部232に対応する位置に、連結棒用開口部232に挿入された連結棒65と下アーム4の先端部を連結するためのビス締め用開口部211が形成されている。連結棒65と下アーム4の先端部を連結する二本のビス(図示せず)は、外側側板21の外側から、ビス締め用開口部211を通って下アーム4のビス用孔41に挿入され、連結棒65に締め込まれる。
【0022】
上板22は、正面側及び背面側の端部に、T字切欠221が同じ向きに形成されている。背面側のT字切欠221は、T字の縦線に対応する部分が外部と連通しており、背面側からねじ85が装入される。また、正面側のT字切欠221は、T字の縦線に対応する部分が貫通孔222と連通しており、貫通孔222からねじ85が装入される。このねじ85によって、基部2は、蛍光灯ボックス12にあらかじめ取り付けられた取付けステー8に螺着される。すなわち、まず、蛍光灯ボックス12に取付けステー8を取り付け、取付けステー8に途中まで締め込まれたねじ85に、T字切欠221を利用して基部2を係止し、この状態でねじ85を締め込むことができる。したがって、重い収納棚1の本体を持ち上げながらねじ締め作業を行わなくてもすむので、取付け作業を容易かつ安全に行うことができる。また、T字切欠221のT字の横線に対応する部分を利用して、取付け位置の間口方向への微調整を行うことができる。
【0023】
上記構成の基部2に、ねじ27によって回転ダンパー28が螺着される。この回転ダンパー28は、所定の下方位置(図2に示す使用状態の位置)の方向への回動にのみ作用し、回動速度を減速させる。また、所定の上方位置(図3に示す収納状態の位置)の方向への回動に対しては、負荷を発生させないので、収納する際に、所定の上方位置の方向へハンドル64を回動させても、回転バンパー28によってよけい重くなることはない。
【0024】
上アーム用リベット25は、回転ダンパー28、上アーム軸支用孔234、カラー33、上アーム3の矩形孔31、及び、外側側板21の上アーム用リベット25が挿入される孔(図示せず)に挿入され、外側側板21から突き出た先端部がかしめられる。この上アーム用リベット25は、回転ダンパー28及び上アーム3に係止された状態で挿入されているので、上アーム3が所定の下方位置の方向へ回動する際のトルクが回転ダンパー28に伝達され、この回動速度が減速される。また、上アーム用リベット25は、上アーム軸支用孔234、及び、外側側板21の上アーム用リベット25が挿入される孔(図示せず)に軸支され自由に回動する。このように回転ダンパー28を設けることにより、所定の上方位置における係止状態が解除された際、重力の作用により下側棚60、上側棚62、上アーム3及び下アーム4が所定の下方位置まで落下するような勢いで回動するといった不具合を回避し、これらを自動的に(重力を利用して)ゆっくり降ろすことができる。これにより、利用者は、下側棚60や上側棚62などを支えながら降ろす必要がなくなるので、係止状態を解除するワンタッチ操作で、下側棚60や上側棚62などを降ろすことができる。
また、カラー33は、フッ素樹脂などの摩擦抵抗の小さい材料からなる円筒部材であり、これを設けることにより、ストッパーラッチ用アーム5のストッパーラッチ51がスムースに係止できる。
【0025】
下アーム用リベット26は、下アーム軸支用孔235、引張りばね57の一方の係止リング、下アーム4の矩形孔42、及び、外側側板21の下アーム用リベット26が挿入される孔(図示せず)に挿入され、外側側板21から突き出た先端部がかしめられる。この下アーム用リベット26は、下アーム4に係止された状態で挿入され、また、下アーム軸支用孔235、及び、外側側板21の下アーム用リベット26が挿入される孔(図示せず)に軸支され自由に回動する。また、上アーム3及び下アーム4は、外側側板21と当接する位置に取り付けられる。
【0026】
ストッパー用リベット24は、ストッパーリベット用孔236、及び、外側側板21のストッパー用リベット24が挿入される孔(図示せず)に挿入され、外側側板21から突き出た先端部がかしめられる。このストッパー用リベット24は、上アーム3が所定の下方位置の方向に回動してくると、上アーム3の上部と当接する。すなわち、ストッパー用リベット24は、上アーム3などの所定の下方位置を位置決めする。
また、この所定の下方位置は、上アーム3が真下を向く位置から、手前側に微小角度だけ傾いた位置としてある。このようにすると、下側棚60や上側棚62の自重により、所定の下方位置における下側棚60及び上側棚62を安定させることができる。
【0027】
<基部カバー>
基部カバー7は、側板71、正面板75、背面板77及び底板78を有する樹脂製のカバーであり、押出成形などによって一体的に形成される。
側板71は、背面側に、連結棒65が回動自在に挿入される、上記連結棒用開口部232とほぼ同じ形状の連結棒用開口部72が形成されている。また、連結棒用開口部72の上方を覆うように、側板71の基部2側の面から、上方カバー73が突設されている。さらに、側板71の基部2側の面から、係止孔231に係入される係止部74が突設されている。正面板75は、取り付けられた際、外側側板21に到達する幅寸法としてあり、さらに、上アーム3、下アーム4及びストッパーラッチ用アーム5を回動させるためのアーム用切欠76が形成されている。また、底板78は、上アーム3、下アーム4及びストッパーラッチ用アーム5を回動させることが可能な幅寸法としてある。さらに、基部カバー7は、右側の基部2及び左側の基部2に共用できるように、正面側と背面側とが対称な形状としてある。
【0028】
<取付けステー>
取付けステー8は、直角に折り曲げられた金属板であり、固定板83及び連結板81とからなっている。
連結板81は、基部2のT字切欠221に対応する位置に雌ねじ82が切られており、ねじ85が締め込まれる。また、固定板83は、四隅に木ねじ用孔84が形成されており、蛍光灯ボックス12の側板に木ねじ(図示せず)によって螺着される。
なお、取付けステー8の形状は、上記形状に限定されるものではなく、たとえば、取付け位置などに応じて様々な形状としてもよい。
【0029】
<上アーム>
上アーム3は、金属性の細長い板であり、基部2側の端部に矩形孔31が形成され、下側棚60側の先端部に段付きリベット用孔32が形成されている。また、上アーム3は、下側棚60の幅寸法(正面側から背面側への寸法)より長い寸法としてあり、本実施形態では、下側棚60の幅寸法のほぼ二倍の長さとしてある。
【0030】
<下アーム>
下アーム4は、上アーム3とほぼ同じ長さを有する金属性の細長い板であり、基部2側の先端部の二箇所にビス用孔41が形成され、基部2側の端部に矩形孔42が形成され、下側棚60側の先端部に段付きリベット用孔44が形成されている。さらに、下アーム4は、所定の上方位置に位置する際、上アーム用リベット25のほぼ真下となる位置に、段付きリベット58が挿入される段付きリベット固定用孔43が形成されている。
【0031】
<ストッパーラッチ用アーム>
ストッパーラッチ用アーム5は、下側棚60側の端部が約50°の角度で曲っている金属性の細長い板であり、基部2側の先端部に引張りばね57の他方の係止リングが係止される引張りばね用係止部53が突設され、下アーム4の段付きリベット固定用孔43に対応する位置に、長手方向に沿って長孔52が形成されている。また、ストッパーラッチ用アーム5は、長孔52の付近に、カラー33と当接する円弧形状を有し、カラー33を係止するストッパーラッチ51が形成されている。さらに、下アーム4の段付きリベット用孔44と対応する位置に、長手方向に沿って長孔54が形成されている。また、ストッパーラッチ用アーム5は、長孔54の付近から約50°の角度で曲っているハンドル用屈曲部55を有しており、ハンドル用屈曲部55の先端部の二箇所に、ハンドル64を固定するためのビス用孔56が形成されている。
なお、ハンドル用屈曲部55は、所定の上方位置において、正面側斜め下方に向かって屈曲している。
【0032】
ここで、好ましくは、ストッパーラッチ用アーム5の幅寸法を、下アーム4の幅寸法と同じにし、さらに、後述するように、ストッパーラッチ用アーム5を下アーム4に重ね合わせるように設けるとよい。このようにすると、下アーム4とストッパーラッチ用アーム5がほぼ一体的に見えるので、外観的にスマートであり、機能美を発揮するといった効果をも有する。
【0033】
下側棚側板61は、下側棚60の断面形状にほぼ対応する形状の金属性の細長い板であり、両端部に下側棚60を固定するためのビス用孔611が形成されている。また、下アーム4の段付きリベット用孔44に対応する位置に、段付きリベット用孔612が形成され、さらに、上アーム3の段付きリベット用孔32に対応する位置に、段付きリベット用孔613が形成されている。また、段付きリベット用孔613の下方には、上側棚62を開き方向に回動した際、上側棚側板63の係止端部633と当接する係止端部614が形成されている。
【0034】
上側棚側板63は、上側棚62の断面形状にほぼ対応する形状の金属性の細長い板であり、両端部に上側棚62を固定するためのビス用孔631が形成されている。また、上アーム3の段付きリベット用孔32に対応する位置に、段付きリベット用孔632が形成されている。また、段付きリベット用孔632の上方には、上側棚62を開き方向に回動した際、下側棚側板61の係止端部614と当接する係止端部633が形成されている。
なお、上アーム3、下アーム4、ストッパーラッチ用アーム5、下側棚側板61及び上側棚側板63は、プレス成形などにより一体的に形成される。
【0035】
引張りばね57は、両端に係止リングを有しており、一方の係止リングは下アーム用リベット26に係止され、他方の係止リングは引張りばね用係止部53に係止され、ストッパーラッチ用アーム5を基部2の方向に付勢する。
また、段付きリベット58は、座金59、ストッパーラッチ用アーム5の長孔52、座金59、及び、下アーム4の段付きリベット固定用孔43に挿入され、下アーム4より突き出た端部が、ストッパーラッチ用アーム5がスライド自在となる状態でかしめられる。
さらに、段付きリベット45は、下アーム4の段付きリベット用孔44、座金46、ストッパーラッチ用アーム5の長孔54、及び、下側棚側板61の段付きリベット用孔612に挿入され、下側棚側板61より突き出た端部が、ストッパーラッチ用アーム5がスライド自在となる状態でかしめられる。
また、段付きリベット34は、上アーム3の段付きリベット用孔32、座金35、下側棚側板61の段付きリベット用孔613、座金35、及び、上側棚側板63の段付きリベット用孔632に挿入され、上側棚側板63より突き出た端部が、上側棚側板63が回動自在となる状態でかしめられる。
【0036】
<下側棚>
下側棚60は、金属や樹脂などの剛体からなる細長い矩形板としてあり、ビス用孔611に対応する位置に孔(図示せず)が形成されている。この孔にビス601が締め込まれ、下側棚側板61に螺着される。
【0037】
<上側棚>
回動棚としての上側棚62は、金属や樹脂などの剛体からなる細長い矩形板としてあり、ビス用孔631に対応する位置に孔(図示せず)が形成されている。この孔にビス621が締め込まれ、上側棚側板63に螺着される。
また、好ましくは、下側棚60及び上側棚62として、押出成形されたアルミ板を用いるとよい。このようにすると、このアルミ板には、ビス止めする際に利用する貫通孔が形成されているので、棚の切断長さを変更することにより、様々な間口の吊戸棚11に容易に対応することができる。
【0038】
<連結棒>
連結棒65は、通常、押出成形されたアルミ棒が用いられ、図示してないが、ビスが締め込まれる貫通孔が形成されている。このようにすると、連結棒65の切断長さを変更することにより、様々な間口の吊戸棚11に容易に対応することができる。
また、この連結棒65は、上述したように、基部カバー7の連結棒用開口部72及び基部2の連結棒用開口部232に挿入された状態で、下アーム4に螺着される。これにより、収納棚1の全体的な機械的強度を向上させるとともに、回動動作をスムースに行うことができる。
【0039】
<ハンドル>
ハンドル64は、通常、押出成形されたアルミ棒が用いられ、図示してないが、ビス641が締め込まれる貫通孔が形成されている。このようにすると、ハンドル64の切断長さを変更することにより、様々な間口の吊戸棚11に対応することができる。
また、このハンドル64は、上述したように、一対のストッパーラッチ用アーム5のハンドル用屈曲部55に螺着される。これにより、利用者の近くにハンドル64を設けることができるので、使い易さを向上させることができる。また、このハンドル64を布巾掛けとしても利用することができ、商品の付加価値を向上させることができる。
なお、上記説明は、図4に示す収納棚1の右側の部分について説明してあるが、収納棚1の左側の部分は、右側の部分と鏡像関係を有する構成としてある。
【0040】
上記構成の収納棚1は、基部2、上アーム3、下アーム4及び下側棚60が、一対の対向するリンク機構を構成しており、上アーム3、下アーム4、ストッパーラッチ用アーム5、下側棚60及び上側棚62などが、所定の上方位置と所定の下方位置との間を回動する。
また、係止手段としてのストッパーラッチ用アーム5は、基部2の方向に付勢された状態で、かつ、下アーム4の長手方向にスライド自在に、下アーム4に取り付けられている。また、ストッパーラッチ51が、所定の上方位置において、基部2と上アーム3を連結する上アーム用リベット25のカラー33を係止し、上アーム用リベット25に対する下アーム4の距離を規定する。これにより、上アーム3、下アーム4、ストッパーラッチ用アーム5、下側棚60及び上側棚62などを所定の上方位置に留めることができる。また、ハンドル64を手前に引くと、ストッパーラッチ用アーム5が手前に移動し、ストッパーラッチ51による係止状態が容易に解除される。また、通常、所定の上方位置におけるストッパーラッチ用アーム5は、ほぼ水平状態にあり、解除する動作がハンドル64を正面方向(利用者側)に引っ張るといった動作となり、誤って押してしまうことにより解除されるといった危険性を低減することができる。さらに、被取付け体である蛍光灯ボックス12に、磁石などの係止手段を取り付ける必要がないので、取付け性を向上させることができる。
【0041】
次に、収納棚1の動作などを図面を参照して説明する。
図5は、本発明の一実施形態にかかる収納棚の収納状態を説明するための概略断面図を示している。
図5において、収納棚1は、基部2が、取付けステー8を介して蛍光灯ボックス12の側板の背面側端部に取り付けられている(図3参照)。また、上側棚62が下側棚60に重ねられた状態のまま、ハンドル64が利用者によって所定の上方位置の方向に持ち上げられるように回動されることによって、上アーム3、下アーム4及びストッパーラッチ用アーム5がほぼ水平状態となっている。そして、引張りばね57によって付勢されたストッパーラッチ用アーム5は、ストッパーラッチ51が、上アーム用リベット25に挿入されたカラー33を係止し、上アーム用リベット25に対する下アーム4の距離を規定している。これにより、上アーム3及び下アーム4は、リンク機構として機能することができなくなるので、上アーム3、下アーム4、ストッパーラッチ用アーム5、下側棚60及び上側棚62などは、所定の上方位置に留まる(所定の上方位置で停止する)。
【0042】
また、収納棚1は、蛍光灯収納スペース123に、ほぼ全体が収まるので、利用者の視線を遮るといった不具合を回避することができる。さらに、上側棚62が折り重ねられた状態で、所定の上方位置(収納位置)に収納されるので、基部2と下側棚60及び上側棚62との間に、下方が開放された大きな空きスペースを確保することができる。したがって、この空きスペースに蛍光灯121を位置させることができ、また、下方が開放されているので、蛍光灯121の光を遮るといった不具合をより確実に回避できる。さらに、上記の大きな空きスペースを確保することにより、被取付け体である蛍光灯ボックス12の構造の自由度が増大し、様々な構造の被取付け体に容易に取り付けることができる。
【0043】
図6は、本発明の一実施形態にかかる収納棚の収納が解除された状態を説明するための概略断面図を示している。
図6において、利用者(図示せず)が、ハンドル64を手前方向(正面側方向)に引っ張ると、ストッパーラッチ用アーム5が正面側に移動し、ストッパーラッチ51がカラー33の係止を解除する。係止が解除されると、下側棚60や上側棚62などの自重によって、上アーム3や下アーム4などが所定の下方位置に回動する。この回動速度は、回転ダンパー28によって適度な速度に減速されるので、勢いよく落下するように回動するといった不具合を回避し、利用者に安心感を与えることができる。
【0044】
図7は、本発明の一実施形態にかかる収納棚のアームが下方に回動した状態を説明するための概略断面図を示している。
また、図8は、本発明の一実施形態にかかる、アームが下方に回動した状態の収納棚の概略斜視図を示している。
図7,8において、所定の下方位置の方向にゆっくり回動してきた上アーム3及び下アーム4は、上アーム3の先端部が、ストッパー用リベット24と当接することによって、回動を停止する。また、この回動を停止した位置が、所定の下方位置である。
次に、利用者は、上側棚62の背面側の端部を掴み、正面側に回動させる(図2参照)。これにより、下側棚60と上側棚62を利用することができるので、十分広い棚面積を確保することができる。
また、収納棚1の利用が終了し、収納棚1を収納する際、利用者は、上記手順を戻ることにより、収納棚1を蛍光灯ボックス12に収納させることができる。
【0045】
以上説明したように、本実施形態の収納棚1は、上側棚62が折り重ねられた状態で、所定の上方位置に収納されるので、下側棚60や上側棚62と基部2との間に大きな空きスペースを確保することができる。この空きスペースを利用して、蛍光灯121の位置を避けることができるので、蛍光灯121の光を遮るといった不具合をより確実に回避できる。さらに、大きな空きスペースを確保することにより、蛍光灯ボックス12の構造の自由度が増大し、様々な構造の蛍光灯ボックス12に容易に取り付けることができる。
また、ストッパーラッチ用アーム5を用いた係止手段を設けることにより、操作性や取付け性などを向上させることができる。また、下側棚60や上側棚62として、遮光性の板材や水切り用の金網などを用いることができるので、多目的に利用することができる。
さらに、収納棚1は、吊戸棚11の蛍光灯ボックス12の蛍光灯収納スペース123を利用して設置することができる。また、吊戸棚11が対面型キッチン13に設けられているので、使用後の下側棚60や上側棚62がそのまま放置されるといった不具合を回避でき、対面型キッチン13の効果を発揮することができる。
【0046】
本発明の収納棚について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
たとえば、上記実施形態では、拡幅可能な棚として、下側棚60及び回動棚としての上側棚62を用いたが、この棚に限定されるものではなく、たとえば、図示してないが、スライド式の棚などを用いてもよい。
また、図示してないが、棚の少なくとも一部、例えば、上側棚62を水切り用棚としてもよい。このようにすると、下側棚60及び上側棚62を多目的に利用することができ、商品としての付加価値を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態にかかる収納棚の使用状態を説明する概略斜視図を示している。
【図2】本発明の一実施形態にかかる、使用状態の収納棚の概略斜視図を示している。
【図3】本発明の一実施形態にかかる、収納状態の収納棚の概略斜視図を示している。
【図4】本発明の一実施形態にかかる収納棚の構造を説明するための、要部の概略分解斜視図を示している。
【図5】本発明の一実施形態にかかる収納棚の収納状態を説明するための概略断面図を示している。
【図6】本発明の一実施形態にかかる収納棚の収納が解除された状態を説明するための概略断面図を示している。
【図7】本発明の一実施形態にかかる収納棚のアームが下方に回動した状態を説明するための概略断面図を示している。
【図8】本発明の一実施形態にかかる、アームが下方に回動した状態の収納棚の概略斜視図を示している。
【図9】従来例にかかる水切り棚装置の要部の概略断面図を示している。
【符号の説明】
【0048】
1 収納棚
2 基部
3 上アーム
4 下アーム
5 ストッパーラッチ用アーム
7 基部カバー
8 取付けステー
11 吊戸棚
12 蛍光灯ボックス
13 対面型キッチン
21 外側側板
22 上板
23 内側側板
24 ストッパー用リベット
25 上アーム用リベット
26 下アーム用リベット
27 ねじ
28 回転ダンパー
31 矩形孔
32 段付きリベット用孔
33 カラー
34 段付きリベット
35 座金
41 ビス用孔
42 矩形孔
43 段付きリベット固定用孔
44 段付きリベット用孔
45 段付きリベット
46 座金
51 ストッパーラッチ
52 長孔
53 引張りばね用係止部
54 長孔
55 ハンドル用屈曲部
56 ビス用孔
57 引張りばね
58 段付きリベット
59 座金
60 下側棚
61 下側棚側板
62 上側棚
63 上側棚側板
64 ハンドル
65 連結棒
71 側板
72 連結棒用開口部
73 上方カバー
74 係止部
75 正面板
76 アーム用切欠
77 背面板
78 底板
81 連結板
82 雌ねじ
83 固定板
84 木ねじ用孔
85 ねじ
100 水切り棚装置
101 取付け基材
102 上側昇降リンク
103 下側昇降リンク
104 水切り用棚
111 扉
121 蛍光灯
122 蛍光灯収納スペース
123 蛍光灯収納スペース
211 ビス締め用開口部
221 T字切欠
222 貫通孔
231 係止孔
232 連結棒用開口部
233 雌ねじ
234 上アーム軸支用孔
235 下アーム軸支用孔
236 ストッパーリベット用孔
601 ビス
611 ビス用孔
612 段付きリベット用孔
613 段付きリベット用孔
614 係止端部
621 ビス
631 ビス用孔
632 段付きリベット用孔
633 係止端部
641 ビス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付け体に対向して取り付けられる一対の基部と、
拡幅可能な棚と、
一端が前記基部に回動自在に連結され、他端が前記棚に回動自在に連結された、対向する一対の第一のアームと、
一端が前記基部に回動自在に連結され、他端が前記棚に回動自在に連結された、対向する一対の第二のアームと、
前記棚、第一のアーム及び第二のアームを所定の上方位置に留めるための係止手段と
を備え、
前記基部、第一のアーム、第二のアーム及び棚が、一対の対向するリンク機構を構成し、前記第一のアーム、第二のアーム及び棚が前記所定の上方位置まで回動されると、前記基部と前記棚との間に下方が開放された空きスペースが形成されることを特徴とする収納棚。
【請求項2】
前記棚が、重ねられた状態から開方向に回動される回動棚を有し、前記第一のアーム及び第二のアームが所定の下方位置まで回動すると、前記回動棚が開方向に回動され、さらに、前記回動棚が重ねられた状態で、前記第一のアーム、第二のアーム及び棚が前記所定の上方位置まで回動されることを特徴とする請求項1に記載の収納棚。
【請求項3】
前記被取付け体が、蛍光灯ボックスであり、前記空きスペースに蛍光灯が位置することを特徴とする請求項1又は2に記載の収納棚。
【請求項4】
前記係止手段として、ストッパーラッチ用アームを設け、該ストッパーラッチ用アームが、前記所定の上方位置において、前記基部と前記第一のアームを連結する回動軸に係止し、前記回動軸に対する前記第二のアームの距離を規定するストッパーラッチを有し、さらに、前記基部の方向に付勢された状態で、かつ、前記第二のアームの長手方向にスライド自在に、前記第二のアームに取り付けられたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の収納棚。
【請求項5】
前記ストッパーラッチ用アームが、前記所定の上方位置において、正面側斜め下方に向かって屈曲しているハンドル用屈曲部を有しており、前記一対のハンドル用屈曲部の端部に、ハンドルが取り付けられたことを特徴とする請求項4に記載の収納棚。
【請求項6】
前記所定の上方位置に位置する前記第一のアーム及び第二のアームが、所定の下方位置の方向に回動する際に、この回動速度を減速させる回転ダンパーを備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の収納棚。
【請求項7】
前記棚として、押出成形されたアルミ板を用いたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の収納棚。
【請求項8】
前記基部が、T字切欠の形成された上板を有し、前記T字切欠に装入されたねじによって、前記被取付け体にあらかじめ取り付けられた取付けステーに螺着されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の収納棚。
【請求項9】
前記棚の少なくとも一部を水切り用棚としたことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の収納棚。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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