説明

収納装置

【課題】様々な物品を効率よく収納して、限られたスペースをより有効に活用できるようにした収納装置を提供すること。
【解決手段】複数のベルト部材と、該複数のベルト部材間に差し渡され取り付けられる収納部材とを備え、該収納部材は取付手段を備えており、該取付手段は、前記ベルト部材を挟持することによりベルト部材に取り付け可能となされたものであって、これにより、収納部材をベルト部材に対して着脱自在に取り付け可能とした。また、前記取付手段は、可撓性を有する薄肉部を介して連設された2つの把持体を備え、前記薄肉部を折り曲げて2つの把持体の対向する面同士がベルト部材を挟持して互いに向かい合うようになされると共に、2つの把持体は互いに係脱自在な係合部を備えており、当該係合部を係合させて、両把持体がベルト部材を挟持するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納装置に関するものであり、より詳しくは、クローゼット内やドアの壁面、スチールラックの側面などの空いたスペースを有効に利用して様々な物品を収納できるようにした収納装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、スペースの有効活用を図った収納装置、収納用具が様々に工夫されてきている。特に、日本の住宅事情を考慮すれば、限られた居住空間の中であまり上手に活用されていない所謂デッドスペースを有効活用することは非常に重要であり、それゆえ、そのようなデッドスペースを利用した収納装置等が多く提案されてきている。
【0003】
そのような収納装置として、例えば、本出願の出願人は、下記特許文献1に記載の収納装置を既に提案している。特許文献1に記載の収納装置は、クローゼット内の空間を有効に利用するためのものであり、収納スペース内に吊り下げられる複数のベルトと、前記複数のベルト間に差し渡され該ベルトに対して着脱自在に固定される収納部とを備え、前記ベルトは、長手方向に所定の間隔を空けて複数の係止孔が形成されており、前記収納部は、任意の前記係止孔に着脱自在に固定されることによって、複数のベルト間に差し渡され、取り付けられていることを特徴とするものである。
【0004】
この特許文献1に記載の発明によれば、収納部がベルトの係止孔に対して着脱自在となっているため、簡単に収納部の配置変更を行うことができ、それゆえ確かにクローゼット内などのスペースを有効に活用して様々な物品を収納することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−082293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、この特許文献1に記載の収納装置においては、係止孔の間隔でしか収納部の配置を調節することができない。それゆえ、収納する物品の大きさ等に応じて収納部の配置を変更するにも限界がある。この点、例えば係止孔間の間隔を狭くしてより多くの係止孔を形成することも考えられるが、そのようにすると外観(美観)が損なわれ、またベルト部材の強度が落ちてしまう。
【0007】
(なお、特許文献1に記載の収納装置においては、例えば左右2本のベルト間に収納部を取り付ける際、左右のベルトの取付箇所の形状等が異なる場合には、左右のベルトに形成された係止孔の高さが不揃いとなり、収納部が水平になるように取り付けることができない可能性がある。)
【0008】
ある程度重量のある物品を収納する場合には、係止孔に収納部が取り付けられている特許文献1に記載の収納装置は、収納部が脱落する恐れが少なく優れたものとなっている。しかしながら一方、比較的軽い物品を、収納部をよりフレキシブルに配置変更して効率よく収納できるようにすることが求められている。
【0009】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、様々な物品を効率よく収納して、限られたスペースをより有効に活用できるようにした収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明に係る収納装置は、複数のベルト部材と、該複数のベルト部材間に差し渡され取り付けられる収納部材とを備え、該収納部材は取付手段を備えており、該取付手段は、前記ベルト部材を挟持することによりベルト部材に取り付け可能となされたものであって、これにより、収納部材をベルト部材に対して着脱自在に取り付け可能としたことを特徴とする。
【0011】
ここで、上記「収納部材」は、ベルト部材間に差し渡して取り付け可能であって、衣服やバッグ、小物等の物品を収納可能であればどのような形状のものでもよく、例えば棚状の部材であってもよいし、ボックス形状の部材、或いは棒状の部材などであってもよい。
【0012】
本発明の収納装置によれば、取付手段がベルト部材を挟持するものとなされているので、収納部材をベルト部材の任意の位置に取り付けることが可能となる。それゆえ、収納する物品の形状や大きさなどに応じて収納部材の取付位置を自由に変えることができ、また、収納部材のベルト部材への取り付けが容易なものとなる。
【0013】
本発明に係る収納装置において、取付手段は、可撓性を有する薄肉部を介して連設された2つの把持体を備え、前記薄肉部を折り曲げて2つの把持体の対向する面同士がベルト部材を挟持して互いに向かい合うようになされると共に、2つの把持体は互いに係脱自在な係合部を備えており、当該係合部を係合させて、両把持体がベルト部材を挟持するようにして把持するようにしてもよい。
【0014】
このようにすれば、係合部を係合させるだけで収納部材をベルト部材に取り付けることができるので、収納部材の着脱が非常に容易となる。
【発明の効果】
【0015】
以上のとおり、本発明に係る収納装置によれば、取付手段がベルト部材を挟持するものとなされているので、収納部材をベルト部材の任意の位置に取り付けることが可能となる。それゆえ、収納する物品の形状や大きさなどに応じて収納部材の取付位置を自由に変えることができ、また、収納部材のベルト部材への取り付けが容易なものとなる。
【0016】
また、前記取付手段を、可撓性を有する薄肉部を介して連設された2つの把持体を備えるものとし、前記薄肉部を折り曲げて2つの把持体の対向する面同士がベルト部材を挟持して互いに向かい合うようになされると共に、2つの把持体は互いに係脱自在な係合部を備えており、当該係合部を係合させて、両把持体がベルト部材を挟持するようにして把持するようにすれば、係合部を係合させるだけで収納部材をベルト部材に取り付けることができるので、収納部材の着脱が非常に容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る収納装置の一実施形態を示す図であり、その使用状態を示した斜視図である。
【図2】図1における収納部材(ウォールポケット)を示す(ア)は正面側から見た斜視図であり、(イ)は背面側から見た斜視図である。
【図3】図1におけるクリップフックの(ア)は正面側から見た斜視図、(イ)は背面側から見た斜視図である。
【図4】図1の実施形態におけるクリップフックを示す(ア)は正面側から見た斜視図であり、(イ)は背面側から見た斜視図である。
【図5】図4のクリップフックをベルト本体に取り付ける際の手順を示す説明図である。
【図6】図4のクリップフックを実際にベルト本体に取り付ける様子を示す説明図であって、(ア)〜(エ)は、正面側から見た斜視図であり、(カ)〜(ケ)はそれぞれ(ア)〜(エ)を背面側から見た斜視図である。
【図7】図1の実施形態におけるハンガーバーがベルト本体に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図8】図7のハンガーバーにおけるクリップ保持具の(ア)は正面側から見た斜視図、(イ)は背面側から見た斜視図である。
【図9】図7のハンガーバーを実際にベルト本体に取り付ける様子を示す説明図であって、(ア)〜(ウ)は、正面側から見た斜視図であり、(カ)〜(ク)はそれぞれ(ア)〜(ウ)を背面側から見た斜視図である。
【図10】本発明に係る収納装置の別の一実施形態を示す図であり、その使用状態を示す斜視図である。
【図11】図10の収納装置におけるベルト部材をドアに取り付けた状態を示す斜視図である。
【図12】図10の収納装置における取付金具を示す斜視図である。
【図13】図10の収納装置において、取付金具にベルト本体を取り付ける手順を示す説明図である。
【図14】図10の収納装置において、取付金具をドアの上端に取り付ける様子を示す説明図である。
【図15】図10の収納装置において、ベルト本体及び取付金具をドアにしっかりと固定する様子を示す説明図である。
【図16】図10の収納装置において、ドアを閉めた状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明に係る収納装置の一実施形態を示すものであり、この実施形態における収納装置1は、2本のベルト部材2、2と、当該2本のベルト部材2、2間に差し渡されて取り付けられた収納部材3、4、5とにより構成されている。ベルト部材2は、いずれも水平杆Pから吊り下げられており、当該ベルト部材間に収納部材3、4、5が取り付けられて、この収納部材3、4、5に様々な物品を収納できるようになされたものである。
【0020】
ベルト部材2は、この実施形態においては、ポリプロピレン製の織物で形成された長尺のベルト本体21の一端部に、略四角形状をした金属製のリング部材(所謂角カン)22が取り付けられてなるものである。このベルト本体21を水平杆Pの周囲に回すようにしたのち、リング部材22にバンド本体21の他端部を挿通させ、当該他端部を下方に引っ張るようにして、ベルト部材21は水平杆Pに吊り下げられる。当該ベルト本体21は、可撓性があり所定の強度を備えていれば任意の材料にて形成できるものであり、またリング部材22は、角カンに限定されず、任意の形状のものを適宜選択して用いることが可能である。
【0021】
ベルト部材2、2間に取り付けられた収納部材3は、ウォールポケットである。ウォールポケット3は、四角形状の背面布31の前面に計5つの収納ポケット32を形成したものであり、この収納ポケット32に雑誌や書類、小物などを入れて整理することができるものである。このウォールポケット3は、図1および図2に示すとおり、取付手段であるクリップフック7によってベルト部材2に取り付けられている。以下、クリップフック7について、図3以下を参照しながら、より詳細に説明する。
【0022】
図3は、クリップフック7をベルト部材2に取り付けた状態を示すものである。クリップフック7は、ベルト本体21をその表裏面から挟持するようにして把持する把持部71と、把持部71の壁面から突出するように一体的に形成され、物品を引っ掛けて吊るすことが可能な形状としたフック部72とを備えている。ウォールポケット3は、その背面布31の左右両端かつ上端部近傍に形成された係止孔33をクリップフック7のフック部72に引っ掛けることにより、図1および図2に示すように、ベルト部材2に吊り下げられている。
【0023】
図4は、この実施形態におけるクリップフック7の展開図である。クリップフック7は、上述のとおり把持部71とフック部72とからなる。把持部71は、可撓性を有する薄肉部713を介して連設された2つの把持体(第一把持体711及び第二把持体712)を備えており、当該薄肉部713を折り曲げると2つの把持体の対向する面同士がベルト本体21を挟持して互いに向かい合うようになされている。
【0024】
図4(イ)に示すように、この両把持体711、712の相対向する面には、それぞれ相対向する面の方向へ突出する多数の突起部711a、712aが形成されている。この実施形態においては、突起部711a、712aは、それぞれ把持体711、712の壁面から略円すい台形状に突出したものとなされ、全ての突起部(円すい台)711a、712aの軸線は互いに同軸ではなく、第一把持体711に形成された突起部711aの先端面と、第二把持体712に形成された突起部712aの先端面とは突き合わされることがない。また、薄肉部713を折り曲げて2つの把持体の対向する面同士がベルト本体21を挟持して互いに向かい合うようにした状態において、円すい台の高さは、いずれも両把持体の相対向する面の間に生じる隙間の距離の二分の一よりも高くなされている。これにより、把持部71がベルト本体21を強く把持することが可能となるので、クリップフック7がベルト部材2に対してしっかりと取り付けられ、容易に脱落しない。
【0025】
また、両把持体は、それぞれ第一係合部715第二係合部716を備えており、この両係合部が係合することによって、クリップフック7がベルト本体21を把持した状態に取り付けられる。第一係合部715は、第一把持体711の側端部に薄肉部718を介して連設されていて、平面視略L字形状の板状部材となされている。この第一係合部715が第二把持体712の側端部、すなわち第二係合部716に対しこれを覆うようにして係合される。第二係合部716は、第二把持体712の側端部近傍に、第一係合部715の先端部に形成された凸条715aに対して嵌合可能な凹溝716aが形成されている。図4に示すように、凹溝716aは、第二把持体712の外側壁面に該壁面を上下方向へ半円柱状に切り抜くようにして形成されている。
【0026】
次に、図5に従ってクリップフック7の取り付け方を示しながら、この実施形態におけるクリップフック7の構成を再度説明する。尚、本来、クリップフック7は図6に示すようにベルト部材2を挟持するようにして取り付けられるものであるが、説明を分かり易くするため、図5においては敢えてベルト部材2を図示せずに説明をするものである。
【0027】
図5(ア)にあるように、両把持部によってベルト本体21を挟持するようにすべく、クリップフック7の薄肉部713を折り曲げる(矢印X)。図5(イ)の矢印Yの方向へ更に薄肉部713を折り曲げてゆき、両把持体によりベルト本体21を挟持させた状態(ベルトは図示せず)で薄肉部718を折り曲げ、矢印Zの方向へ第一係合部715を回動させる。そして第一係合部715が第二把持体712の側端部716を覆うようにするとともに、第一係合部715に形成された凸条715aが第二係合部716の凹溝716aに嵌入するようにして、第一係合部715が第二係合部716に係合(嵌着)させられる。これによって、クリップフック7は、ベルト部材2にしっかりと取り付けられるのである。
【0028】
ところで、図3、4に示すように、クリップフック7には、その第一把持体711の外側壁面から突出するようにしてフック部72が一体的に形成されている。この実施形態においては、フック部72は、第一把持体711の外側壁面の略中央下端部近傍から立ち上がり、先ず第一把持体711の外側壁面から該外側壁面に対して直交して水平方向へ延び、その先端から屈曲してやや上方へ角度を変えて更に延び、その先端において更に屈曲して上方へ延びる断面略円形状の突出片721により形成されている。当該突出片の中間部の周面には、屈曲内側方向へ突出する突起部722が複数形成されている。これによってフック部72に引っ掛けた収納物品が容易にフック部72から脱落しないようになされている。
【0029】
さらに、収納物品の脱落を防止するため、図2に示すように、フック部72の先端には返し部731が設けられている。返し部731は、嵌入部732と一体的に形成された先端キャップ73の一部であり、クリップフック7の本体(把持体71及びフック部72)とは別体として作製されている。先端キャップ73は、フック部72の先端に形成された孔部725に嵌入部732が嵌入されて、フック部72の先端に取り付けられる。返し部731は略円盤形状となされ、フック部72の「断面略円形状」の円形断面積よりも、断面積が大きいものとなされており、この返し部731があることで、フック部72に引っ掛けた収納物品が抜け落ちないようになされている。
【0030】
嵌入部732は、返し部731の下面から垂直に延びる先細りの円柱形状ないし円すい形状となされ、その周面には、当該周面を周回すると共に当該周囲から半径方向に延びて封緘突条732aが上下3段、形成されている。他方、フック部72の先端には、上方に開口する円柱状の孔部725が形成されていて、図5及び図6の(ウ)、(エ)図に示されるとおり、当該孔部725に先端キャップ73の嵌入部732が嵌入されて取り付けられる。
【0031】
尚、この先端キャップ73は必ずしも取り付けられる必要はない。フック部72に引っ掛けられ、吊り下げられる物品の大きさ、重さ、あるいは形状によって、必要な場合にのみ取り付けるようにすることもできる。
【0032】
また、この返し部731の形状は、この実施形態の形状に限られず、任意の形状とすることができる。さらに、先端キャップ73はクリップフック7の本体(把持体71およびフック部72)とは別体として作製されているが、クリップフック7の本体と一体的に成形されるようにしてもよい。
【0033】
この実施形態においては、クリップフック7は、先端キャップ73を含めポリプロピレンにより作製されているが、これに限られず、同様に成形可能であって所定の強度を備えていれば他の樹脂材料、金属材料、木材、その他任意の材料を適宜選択して用いることが可能である。
【0034】
図1における収納部材4は、ハンガーバーである。ハンガーバー4には、図1に示すようにS字フックFなどの吊り下げ具を引っ掛けてこれに収納する物品を吊るしたり、ハンガーバー4に直接物品を引っ掛けたりすることができる。
【0035】
図7に示すように、このハンガーバーは、金属パイプよりなるパイプ材41と、パイプ材41の両端部に取り付けられるクリップ保持具42とからなる。クリップ保持具42は、上述したクリップフック7の把持部71と同様の部材421において、パイプ材41の端部を嵌入して保持するためのパイプ保持部422を第一把持体の外側壁面に備えるようにしたものであって、当該パイプ保持部422には、パイプ材41を嵌入可能なパイプ保持孔422aが形成されている(図8参照)。
【0036】
ハンガーバー4は、左右一対のクリップ保持具42を備えており、それらのパイプ保持422部の嵌入孔422aにパイプ材41を嵌入して保持させて形成されたものであって、図9に示すように、上述したクリップフック7と同様の手順で、ベルト本体21に取り付けられる。
【0037】
図1における収納部材5は、収納ボックスである。収納ボックス5は、図1に示すように、背面板51と、底面板52と、前面板53と、左右一対の側板54とからなり、これらの板状部材に囲まれて形成された空間を収納部58として、ここに様々な物品を入れることが可能なものである。尚、背面板51、底面板52、前面板53、及び左右一対の側板54は不織布により一体のものとして形成されるとともに、背面板51、底面板52、前面板53、及び左右一対の側板54の各板部には硬質の板材が内包されて作製されている。
【0038】
収納ボックス5は、上述のウォールポケット3と同様、取付手段であるクリップフック7により、ベルト部材2に取り付けられている。すなわち、収納ボックス5の背面板51の両側端における上端部近傍には、それぞれ係止孔511が形成されており、ベルト部材2に取り付けられたクリップフック7のフック部72に当該係止孔511を引っ掛けるようにして、図1に示すように収納ボックス5をベルト部材2に取り付けている。
【0039】
このようにして形成された図1の収納装置1は、収納部材3、4、及び5のそれぞれに様々な物品を収納できるものであって、各収納部材は任意の位置に取り付け可能であり、かつ着脱自在となっているので、必要や好みなどに応じて取付位置を自在に変更、調節できる。むろん、各収納部材3、4、及び5の上下位置を入れ替えるなどすることも自在である。
【実施例2】
【0040】
図10は、本発明に係る収納装置の別の実施形態を示す図である。この実施形態における収納装置は、実施例1に示した実施形態の収納装置と共通する部分も多いため、主に実施例1の収納装置と相違する点について説明をするものとする。
【0041】
図10に示すように、この実施形態における収納装置1は、ドアDの壁面に取り付けられており、その取り付けのための構成が実施例1における収納装置1と異なっている。収納部材3、4、5およびそれらの取付方法等については共通するので、ここでは説明を省略する。
【0042】
この実施形態におけるベルト部材2は、ポリプロピレン製の織物で形成された長尺のベルト本体25と、その上端および下端に設けられた取付金具26とからなる。
【0043】
このベルト本体25は、図11に示すように、この取付金具26がドアDの上下端からドアDを挟持するようにして、ドアDの壁面に取り付けられる。
【0044】
取付金具26は、スチールを樹脂で被覆した板状体から作製され、図12に示すように、ドアDの上下縁部を跨ぐように係止させてドアDの上下縁部に取り付け可能としたコの字形状のドア係止部261と、ベルト本体25を挿通すると共にベルト本体25を所定の長さに調節して固定することができる長さ調節手段262とを一体に形成して構成されている。
【0045】
より具体的には、ドア係止部261は、ドアDの上端面に接してドアを挟持する挟持部261aと、挟持部261aの端部から該挟持部261aと直交して延び、収納装置1がドアから脱落しないようにドアDの背面側、即ちベルト部材2を取り付けない側に引っ掛けられる背面部261bと、挟持部261aの端部から該挟持部261aと直交してドアの正面側、即ちベルト本体25を取り付ける側に延びる正面部261cとからなる。
【0046】
そして、正面部261cには、長さ調節手段262が形成されている。すなわち、取付金具26の正面部261cの下部近傍に、ベルト本体25よりも若干幅広な略四角形状の孔を形成して、ベルト本体25を挿通する挿通孔262aとなしている。さらに、取付金具26に一体に形成され、ブリッジ状にドアの正面側(正面部261cのドアに接しない面の側)に突出して当該挿通孔262aの左右両端部を接続するブリッジ262bが設けられている。
【0047】
これにより、図13の(ア)〜(ウ)に示すように、先ず正面部261cの背面側から挿通孔262aにベルト本体25の端部を挿通させた後、ブリッジ262bを跨ぐようにして、再度ベルト本体25の端部を正面側から挿通孔262aに挿通させて、ベルト本体25の両端部に取付金具26が取り付けられる。
【0048】
上記のようにベルト本体25の両端部に取付金具26を取り付けたのち、図14のようにして、当該取付金具26のドア係止部261をドアDの上下縁部に引っ掛けて係止させる。図14においては、ドアDの上縁部しか示していないが、下縁部についても同様である。尚、このとき、容易に係止、取り付けができるよう、上下両端の取付金具26、3間の長さがドアDの高さ寸法より少し長くなるように、ベルト本体25の長さを調整しておく。
【0049】
以上のようにして、2本のベルト本体25をドアDに取り付けた後、図15に示すとおり、ベルト本体25の両端部のいずれか(もしくは両方)を強く引っ張って(図15中の矢印X)、ベルト本体25がピンと張るようにする。これによって、ベルト本体25は、その両端に取り付けた取付金具26のドア係止部261が上下からドアDを挟持するようにして、しっかりと固定される。
【0050】
また、ベルト本体25をピンと張ることによって、図13の(ウ)に示すように、ベルト本体25の先端部近くの一部251が、ベルト本体25の取付金具26、26間にピンと張られた部分252と、取付金具26の正面部261cの背面部との間に押圧、挟持される。それゆえ、収納装置1に様々な物品を収納し、ベルト本体25に大きな荷重がかかった場合でも、ベルト本体25が緩んで取付金具26から抜け落ちてしまう恐れがない。
【0051】
尚、上記のようにして取り付けたベルト本体25が長過ぎ、端部が大きく余るようであれば、図15に示すように、ハサミ等で切ってしまってもよい。
【0052】
尚、この取付金具26は、上記のほか、ステンレス、あるいは樹脂材料など、所定の強度を備えていればどのような材料で作製してもよい。また、取付金具26におけるドア係止部261及び長さ調節手段262の形状、構成は上記のものに限られず、容易にドアD取り付け、取り外しが可能であり、またベルト本体25を長さ調節可能に取り付けることができるものであれば、どのような形状、構成とすることもできる。
【0053】
さらに、この実施形態においては、取付金具26にベルトの長さ調節手段262を一体的に形成するようにしたが、長さ調節手段262を取付金具26とは別体として設けるようにしてもよい。例えば、各種公知の金具等を利用してベルト長さ調節手段262とし、ベルト本体25の中間部でベルト長さを調節できるようにすることもできる。また、当該金具26を例えばベルトのバックルのように装飾的なものとして、デザイン性を向上させてもよい。
【0054】
ところで、この実施形態における取付金具26は、約1.5mmの厚みを有し樹脂被覆を施したスチール板により作製されている。この取付金具26は、図16に示すとおり、ドアDとドア枠Wの隙間(図16中、矢印Yで示される間隔)に挟持部261aが配置されるものであるから、前記隙間寸法よりも小さい厚み寸法とする必要がある。
【0055】
以上のような構成を備え、ドアDの壁面に取り付けられた2本のベルト部材2間に、上述した実施例1の場合と同様にして、収納部材3、4、および5が取り付けられ、各収納部材に様々な物品を収納することが可能となる。この収納装置1によれば、これまで活用されていなかったドアの壁面を有効に利用して様々な物品を収納、整理することができる。また、ベルト部材を挟持する取付手段を用いることで、収納部材をベルト部材の任意の位置に取り付けることが可能となる。それゆえ、収納する物品の形状や大きさなどに応じて収納部材の取付位置を自由に変えることができ、また、収納部材のベルト部材への取り付けが容易なものとなる。
【0056】
以上、本発明に係る収納装置について、いくつかの実施形態を示して説明したが、本発明は、これらの実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々に形態等を変更することが可能なものである。
【符号の説明】
【0057】
1 収納装置
2 ベルト部材
3 収納部材(ウォールポケット)
4 収納部材(ハンガーバー)
5 収納部材(収納ボックス)




【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のベルト部材と、該複数のベルト部材間に差し渡され取り付けられる収納部材とを備え、
該収納部材は取付手段を備えており、
該取付手段は、前記ベルト部材を挟持することによりベルト部材に取り付け可能となされたものであって、
これにより、収納部材をベルト部材に対して着脱自在に取り付け可能としたことを特徴とする収納装置。
【請求項2】
取付手段は、可撓性を有する薄肉部を介して連設された2つの把持体を備え、
前記薄肉部を折り曲げて2つの把持体の対向する面同士がベルト部材を挟持して互いに向かい合うようになされると共に、
2つの把持体は互いに係脱自在な係合部を備えており、当該係合部を係合させて、両把持体がベルト部材を挟持するようにして把持するようにしたことを特徴とする請求項1記載の収納装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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