説明

取り付けプレート

本発明は、家具本体に固定され得る下部(2)と、変位可能な態様で前記下部に保持される上部(3)とを備える、特にヒンジを家具本体に締結するための取り付けプレート(1)に関する。下部(2)は、等しい長さを有する2つのレバー(22、23)を介して上部(3)に接続され、前記レバーは、上部(3)が下部(2)に対して変位されるときに平行四辺形ガイドを形成する。前記平行四辺形ガイドにより、下部(2)に対する上部(3)の正確で安定した変位が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具本体に固定され得る下部を備えるとともに、変位可能な態様で前記下部に保持される上部を有する取り付けプレート、特にヒンジを家具本体に締結するための取り付けプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許第94 09 459号は、ベースプレートおよび被覆カバープレートが設けられる、ヒンジアームを固定するための締結プレートを開示する。ベースプレートは、カバープレートのそれぞれの凹部に係合し、したがってガイドを形成する横方向ウェブを備える。ベースプレートは家具本体に固定されることができ、また、カバープレートが偏心器によって変位可能である。偏心器が中央領域に配置される限り、カバープレートは変位可能である。しかしながら、大抵は、取り付けプレートの中央領域に偏心器を取り付けるための空間はなく、そのため、取り付けプレートの端部に偏心器を配置しなければならない。その結果、この構造は、変位を更に困難にする引っ掛かりを引き起こす可能性がある。ガイドが幅の狭い構成要素において好ましくないガイド特性を有し、そのため、ガイドエアおよび公差がかなりの程度まで留意される。
【0003】
独国特許第290 06 086号はヒンジアームを締結するための取り付けプレートを開示しており、この場合、支持プレートが変位可能な態様で取り付けプレートに保持される。偏心器を回転させることにより、確実な案内を確保するピンに沿って支持プレートを変位させることができる。そのような取り付けプレートの配置は、比較的複雑であり、数多くの構成要素を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、下部に対する上部の確実な位置決めを可能にするとともに簡単な構造を有する取り付けプレートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の特徴を有する取り付けプレートによって達成される。
【0006】
本発明によれば、上部は、取り付けプレートの下部の一部分と接続され、この部分は、本体に固定される下部の部分と2つのレバーを介して接続される。両方のレバーは、下部に対する上部の変位において平行四辺形ガイドをなす。この平行四辺形ガイドは、下部に対する上部の正確な変位が可能になるようにする。この場合、そのようなガイドは、摩耗および裂けが少なく、ほんの僅かな程度までしか製造公差に依存しない。そのような平行四辺形ガイドは、特に安定した態様で配置できる。
【0007】
本発明の好ましい進展によれば、レバーは、レバーの端部で結合部と接続される。上部と下部の部分との接続の結果として、上部および下部が互いに平行に位置合わせされたままの状態で下部に対する上部の変位が可能となる。2つのレバーが下部と一体に設けられるのが好ましく、それにより、少ない数の構成要素しか必要とされない。下部と一体に設けられる可撓性部分によって結合部を設けることもできる。このようにすると、結合部およびレバーを伴う平行四辺形ガイドが下部に一体的な態様で組み込まれる。無論、レバーおよび結合部を伴う平行四辺形ガイドを上部に一体的な態様で設けることもできる。
【0008】
更なる進展では、下部が家具本体に固定できる中央ウェブを備え、中央ウェブの両側には、平行四辺形ガイドの1つのレバーが設けられる。このようにすると、反対方向に移動され得る変位機構を簡単な方法で実現できる。レバーはブラケット部分を介して互いに接続されることができ、その場合、上部がこのブラケット部分に固定される。上部を固定するための少なくとも2つの互いに離間される締結手段がブラケット部分に設けられると、上部が下部と平行に位置合わせされたままとなることができる。
【0009】
レバーおよびブラケット部分が中央ウェブをU形状で取り囲むことが好ましく、その場合、中央ウェブとレバーとブラケット部分との間に特定の隙間が設けられる。そうすると、上部を所望の位置に位置合わせするために、上部の変位においてこのブラケットが増大または減少されることができる。
【0010】
上部および下部を互いに対して簡単かつ迅速に変位させることができるように、回転可能な偏心器が設けられることができる。この回転可能な偏心器は、ブラケット部分と対向する側の下部の中央ウェブ、すなわち、取り付けプレートの端部に設けることができ、それにより、取り付けプレートの残りの領域が使用されヒンジアームまたは更なる構成要素を固定することができる。
【0011】
正確なガイドのために、好ましくは長穴と該長穴内に突出するピンとを有するガイドが上部と下部との間に設けられることができる。
【0012】
以下、添付図面に示される実施形態を参照して、本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る取り付けプレートの分解斜視図を示している。
【図2】AおよびBは初期位置にある取り付けプレートの図を示している。
【図3】AおよびBは変位位置にある取り付けプレートの図を示している。
【図4】図1の取り付けプレートの偏心器の断面詳細図を示している。
【図5】ヒンジアームが取り付けられた取り付けプレートの斜視図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
取り付けプレート1はプレート状の下部2を備えており、この下部2には、同様に略プレート状の上部3が固定されることができる。下部2に対する上部3の変位を可能にするために偏心器4が設けられ、この偏心器は、偏心器4の回転軸から離間されるピン5を備えており、このピンは下部2の中央ウェブ20の開口6内に係合する。偏心器4は、ディスク状部分が上部3の凹部7内に保持される。下部2および上部3は、金属から形成されることができ、好ましくは屈曲金属シートから形成されることができ、また、プラスチックから形成されることもできる。また、下部が上部の下方で曲げられる一体構成を成すこともできる。
【0015】
下部2は中央ウェブ20を備えており、この中央ウェブには2つの互いに離間される開口21が設けられる。下部2を家具本体に固定するために、上記開口にネジまたは他の固定手段が挿入されることができる。
【0016】
中央ウェブ20のそれぞれの長手方向側にはレバー22、23が配置され、このレバーはブラケット部分28へと導かれ、このブラケット部分28には締結手段8によって上部3が締結される。レバー22は、第1の結合部24を介して中央ウェブ20と接続されるとともに、第2の結合部25を介してブラケット部分28と接続される。レバー23は、第1の結合部26を介して中央ウェブ20と接続されるとともに、第2の結合部27を介してブラケット部分28と接続される。結合部24、25、26、27は可撓性を有する材料部分によって形成されており、レバー22、23および結合部24〜27は下部2と一体的態様で配置される。結合部24〜27は、断面が減少されていることから、隣接する領域よりも容易に撓むことができる。このように、ブラケット部分28の中央ウェブ20に対する動作中にレバー22、23によって平行四辺形ガイドが形成されることができ、このガイドは、中央ウェブ20に対するブラケット部分28すなわち上部3の正確で遊びが無い位置合わせを確保する。
【0017】
ブラケット部分28およびレバー22、23はU形状で中央ウェブ20を取り囲んでおり、レバー22、23と中央ウェブ20との間にはU形状隙間29が形成され、この隙間は、例えば2mm〜10mmの幅を有し、したがって、中央ウェブ20と取り囲むレバー22、23との間の相対的な動きを可能にする。
【0018】
ブラケット部分28には2つの互いに離間する締結手段8が設けられており、この締結手段は、上部3を締結するためにリベット、ネジ、スポット溶接等として設けることができる。2つの互いに離間される締結手段8を設けることにより、上部3がブラケット部分28に対して回転することが防止される。また、これは、上部3とブラケット部分28との間の噛み合い嵌合およびリベットによって達成することもできる。
【0019】
下部2には偏心器4と反対の側にウェブ9が設けられ、このウェブは上部3の長穴10内で案内され、それにより、ガイドがなされる。また、例えば長穴内で案内されるピンによって下部2と上部3との間の更なる或いは他のガイドを行なうこともできる。
【0020】
図2のAおよびBは、上部3が下部2に取り付けられる取り付けプレート1の初期位置を示しており、上部3の中央長手方向軸11が下部2の長手方向軸と位置合わせされ、また、ウェブ20およびレバー22が長手方向軸11と平行に配置される。
【0021】
図3のAおよびBにおいて、取り付けプレート1は、上部3が下部2に対して移動された変位位置で示されている。家具本体と接続固定される中央ウェブ20は、上部3の中央長手方向軸11から距離を隔てて配置される中央長手方向軸12を備える。オフセットHは変位経路を表わしている。偏心器4が変位のためにねじられ、それにより、ピン5および偏心ディスクが上部3と下部2との間の強制動作を凹部7内で引き起こされ、上部3が平行四辺形ガイドに沿って案内される。この平行四辺形ガイドはレバー22、23によって形成され、各レバーは、中央ウェブ20と対向する側に結合部24、26を備えるとともに、ブラケット部分28、したがって上部3と対向する側に2つの結合部25、27を備える。平行四辺形ガイドの結果として、上部3は、長手方向軸11が下部2の長手方向軸12と平行に位置合わせされたままとなる。つまり、上部3は、ねじられることなく、長手方向軸12に対して垂直に変位されるだけであり、長手方向軸11の方向の変位は、レバー長さに対して小さい変位経路の結果として無視できる。
【0022】
上部3を下部2に対して変位させることにより、ウェブ9が上部3の長穴10内で変位され、それにより、偏心器4から離れて面する側でもガイドがなされる。
【0023】
図4は、偏心器4の領域を断面図で示している。偏心器4は、スクリュードライバなどの工具の係合のための凹部を備えかつ上部を越えて突出する偏心ヘッド41を備える。上部3の凹部7内に収容される偏心ディスク40が偏心ヘッド41の下側に設けられる。偏心ディスク40にはピン5が形成され、このピンは、下部2の開口6内に挿入されて、開口内で回転可能に保持される。ピン5の回転軸43は偏心ヘッド41の回転軸42から離間されるように配置され、それにより、偏心器4が回転されるときに下部2に対する上部3の変位が生じる。
【0024】
図5は、ヒンジ部30が上部3に固定される典型的な設置位置で取り付けプレート1を示している。ヒンジ部30は、フラップなどの旋回可能な家具部品に固定され得るヒンジカップ31とレバー機構を介して接続される。偏心器4はヒンジ部30から距離を隔てて上部3の端部に配置され、それにより、取り付けられたヒンジ部30でも上部3の変位が生じ得る。
【0025】
図示の実施形態において、偏心器4は、変位手段として、特に一定直径偏心器として設けられる。勿論、上部3を下部2に対して移動させるために他の変位手段を設けることもできる。例えば、下部2に対する上部3の変位のために、螺旋形状の輪郭部を有する回転可能なディスクを設けることができ、前記輪郭部がガイド要素と係合する。
【0026】
また、ウェブ9および長方形穴10の代わりに、上部3と下部2との間に他のガイドが設けられることができる。
【0027】
この実施形態において屈曲結合部として設けられる結合部を、例えば、ブラケット部分28、レバー22、23、および、中央ウェブ20などの多要素部品間に関節結合されるリベット接続部として設けることもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具本体に固定され得る下部(2)と、変位可能な態様で前記下部に保持される上部とを備える取り付けプレート(1)、特にヒンジを家具本体に締結するための取り付けプレート(1)において、
前記下部(2)が等しい長さの2つのレバー(22、23)を介して前記上部(3)と接続され、前記レバーが、前記下部(2)に対する前記上部(3)の変位において平行四辺形ガイドを形成することを特徴とする、取り付けプレート。
【請求項2】
前記各レバー(22、23)の両側が結合部(24〜27)と接続されることを特徴とする、請求項1に記載の取り付けプレート。
【請求項3】
前記2つのレバー(22、23)が前記下部(2)と一体に設けられることを特徴とする、請求項1または2に記載の取り付けプレート。
【請求項4】
前記結合部(24〜27)は、前記下部(2)と一体に設けられる可撓性部分によって形成されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の取り付けプレート。
【請求項5】
前記下部(2)が家具本体に固定され得る中央ウェブ(20)を有し、前記平行四辺形ガイドのレバー(22、23)が前記中央ウェブ(20)の両側に設けられることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の取り付けプレート。
【請求項6】
前記レバー(22、23)がブラケット部分(28)を介して互いに接続され、前記上部(3)が前記ブラケット部分(28)に固定されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の取り付けプレート。
【請求項7】
前記上部(3)を固定するための少なくとも2つの互いに離間される締結手段(8)が前記ブラケット部分(28)に設けられることを特徴とする、請求項6に記載の取り付けプレート。
【請求項8】
前記上部(3)を固定するための締結手段が前記ブラケット部分(28)に設けられ、前記締結手段は、前記上部(3)と前記ブラケット部分(28)との間のねじれに耐えられる接続を行なうことを特徴とする、請求項6に記載の取り付けプレート。
【請求項9】
前記レバー(22、23)および前記ブラケット部分(28)が前記中央ウェブ(20)をU形状に取り囲むことを特徴とする、請求項6〜8のいずれか1項に記載の取り付けプレート。
【請求項10】
前記上部(3)を前記下部(2)に対して変位させるために回転可能な偏心器(4)が設けられることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の取り付けプレート。
【請求項11】
回転可能な前記偏心器(4)は、前記ブラケット部分(28)と対向する側で、前記下部(2)の前記中央ウェブ(20)に設けられることを特徴とする、請求項10に記載の取り付けプレート。
【請求項12】
前記上部(3)を前記下部(2)に対して変位させるために螺旋形状の輪郭部を有する回転可能なディスクが設けられ、前記輪郭部がガイド要素と係合することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の取り付けプレート。
【請求項13】
好ましくは長穴を有するガイドが前記上部(3)と前記下部(2)との間に設けられることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の取り付けプレート。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−511183(P2011−511183A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543399(P2010−543399)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【国際出願番号】PCT/EP2008/065247
【国際公開番号】WO2009/095103
【国際公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(503226235)ヘティッヒ−オーエヌイー ゲーエムベーハー ウント ツェーオー.カーゲー (14)
【Fターム(参考)】