説明

取り出し用容器

本発明は、消費財の貯蔵と取り出しのための容器を提供し、予め処方された投薬計画に沿って、混合薬剤を後で取り出すために配列し、貯蔵するための丸薬、錠剤又はカプセルの包装のための従来のブリスターパック又は多室容器の代わりに使用できる。容器は消費財を収納するために一つ以上のくぼみ3を形成した概ね平らの上面2を持つトレイ1を含む。シート10は一つ以上のくぼみ3を密封する剥離可能な接着剤を用いて、トレイ1の上面2に接着される。シート10は切り取り線に沿って切り取ることで消費財が取り出されるまで、そのくぼみ3の中に保持するように、くぼみごとに切り取り部分12を確定する、所定の切り取り線13を持つ。各切り取り部分12は高蒸気透過防止性能を持つパッチ24によってもたらされる低蒸気透過性能を持つ。パッチ24は対応するくぼみ3に重なる形状と大きさを持ち、トレイ1の上面2にカバーフィルムを接着するのと同じ剥離可能な接着剤層でシート10の下面に接着される。特定のくぼみ3の中の内容物は切り取り線13を破るために、対応する切り取り部分12を押し下げ、切り取り部分をくぼみの中の消費財の上に押し下げることで取り出し得る。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消費財の貯蔵と取り出しのための容器に関する。消費財という用語は次の(全部網羅はしていない)一覧に示される広汎な商品:加工済みの食事を含む即時消費用,調理前,調理済み又はオーブン調理用の食品、菓子、器材及びDIY品目、化粧品、種子、動物および魚用餌、電子部品、医療用器具および被服、丸薬,錠剤及びカプセルなどの医薬品及び薬剤、を含むものとする。
【0002】
上記容器は、丸薬,錠剤及びカプセルの包装用に従来のブリスターパックの代わりに使われ、または所定の投薬計画に沿って混合薬剤を後で取り出すために配列し、貯蔵するために用いられる。このような混合薬剤容器の原理は、混合薬剤の投薬計画を予め1週間以上の期間用に整備し、患者又は看護師が容器から取り出し、その期間内で予め設定した時間に一つ以上の丸薬,錠剤及び/又はカプセルが投薬計画に沿って各回ごとに服用されるようにすることである。
【背景技術】
【0003】
ブリスターパックはもちろん丸薬,錠剤及びカプセルの貯蔵と取り出し用によく知られており、それらは多数のくぼみを持つトレイのくぼみに一つずつ貯蔵され、くぼみを覆う破断可能なフィルム又はフォイルを通して丸薬,錠剤又はカプセルを押し出すことによって取り出す。フィルム又はフォイルの覆いは紙又はプラスチクフィルムでよく、それらを剥くか破るかしてトレイのくぼみ中の薬剤を露出させるが、一般的にはアルミフォイルであって、破断し易さと蒸気不透過性とで二重の利点を持つ。そのようなブリスターパックは通常各くぼみに同一の薬剤を一単位だけ入れてある。
【0004】
混合薬剤ブリスターパックが提案されている。それは薬剤師によって充填される大きなくぼみを持ち、多数くぼみトレイの各くぼみには薬剤の混合物を充填できる。典型的には、トレイは7日間にわたって一日あたり2,3,4又は5回分に予め処方された薬剤に相当する2X7,3X7,4X7又は5X7のくぼみの配列を持つ。あるいは2,3,4又は5週にわたって一日ごとに処方された一服を持つ。例えば、4X7トレイは一週間毎日朝食,昼食,早夕食及び就寝直前に服用する薬剤を充填し、充填されたくぼみは破断可能な、あるいは順に破断可能なフィルム又はフォイル覆いで封じられる。パック上に印刷された処方書が予め処方された投薬計画に従って、内容物を取り出すために各くぼみを開けるべき順序を規定する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
破断可能なカバーシートを用いる従来のブリスターパックの欠点は、カバーシートを通して薬剤を押し出す際に患者、特に老人が経験する困難さと、始めの充填後にくぼみをアルミカバーシートで封じる高価な積層装置の必要性と、そしてもし薬剤が下からフォイルを通して押し上げられる場合、取り出すべき薬剤を含むくぼみを選択する時に使用者が経験する困難さとである。もし間違ったくぼみを誤って開けてしまうと、カバーシートが破られているので再封印は不可能である。
【0006】
剥離可能なカバーシートを用いるブリスターパックの主な欠点は、予め指定された単一のくぼみのみの内容物を取り出すために、カバーシートの選択すべき単一の部分を剥き、あるいは破る際に使用者が経験する困難さである。これは予め指定されたくぼみを封じているカバーシートの隅又はつまみ部分を指の爪でこすることで達成できるが、全部分を剥がすために隅をつまむことは、時としてかなりの手先の器用さと良好な視力を必要とし、多くの老人使用者の能力を超えるものである。また、もしカバーシートをトレイに接着するのに粘着性の剥離可能な接着剤が用いられると、トレイの内容物が接着剤に接触しないようにするのが望ましい。最後に、膜カバーシートは金属フォイルのような高い蒸気不透過性を持たないので、薬剤師の中には薬剤が高湿度の環境条件下の貯蔵で劣化しないように、充填日の7日以上後の服用のために混合薬剤ブリスターパックに薬剤を予め充填することを嫌う人がいる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題および欠点の一部または全部を解決することを目的とする本発明は、消費財を収納するための、一つ以上の隔離されたくぼみが形成された、概ね平らな上面を持つトレイと、一つ以上のくぼみに、消費財を保持する一つ以上のくぼみを封じる剥離可能な接着剤でトレイの概ね平らな上面に接着されるカバーフィルムと、を備え、上記カバーフィルムが、切り取り部分を切り取り線に沿って切り取って取り出されるまでくぼみの中で上記消費財を保持するように、くぼみごとの上記切り取り部分を確定する予め設定された上記切り取り線を有し、上記カバーフィルムの切り取り部分が、対応するくぼみを覆って使用される領域における低蒸気透過性能を有し、該低蒸気透過性能が、対応するくぼみを覆う形状と大きさで、上記カバーフィルムを上記トレイの上面に接着するのと同じ剥離可能な接着剤層で上記カバーフィルムの下面に接着される、高蒸気透過防止性能を持つパッチによって生み出される、消費財を貯蔵および取り出しするための容器を提供する。
【0008】
くぼみの内容物を取り出すためには、消費者は切り取り線を破るために、単に人差指で対応する切り取り部分の上を押し下げるだけでよい。これは破断可能なカバーシートを通して消費財を押し出すのに必要な力より小さい力を要するだけである。外された切り取り部分は消費財の上からくぼみの中に押し込まれる。切り取り部分は人差指と親指の間にしっかりつまめるまでくぼみの側面を滑り上がらせることによって、新たにできたカバーフィルムの開口から取り除かれる。あるいは、もしトレイが一つ以上のくぼみがつぶせるような適当な材料(好ましくはプラスチックス)でできているなら、くぼみの内容物はカバーフィルムを通して消費財を後ろから押出し、対応する切り取り部分の周辺に予め設定された切り取り線を破ることによって取り出せる。
【0009】
カバーフィルムの各切り取り部分は低い蒸気透過性を持つので、隔離された各くぼみに一時的に貯蔵された消費財は環境湿度の変動から保護される。もし該容器が食品や丸薬、錠剤およびカプセルなどの薬剤のような劣化する消費財を貯蔵するのに使用されるなら、低蒸気透過性は重要である。
【0010】
各切り取り部分の輪郭は好ましくは予め切れ込みをつけた、あるいは予め孔を開けた切り取り線で確定される。予めつけた切り取り線はカバーフィルムの表面にナイフを押しつけて、カバーフィルムの厚みの全部ではなく、部分的に切るか印をつけることで形成される。各切り取り部分を確定する切り取り線は各くぼみの輪郭のまわりに全面的に、そして対応するパッチの輪郭以内のみに延長される。あるいは各切り取り部分は切り取り線が各くぼみの輪郭のまわりに全面的には延長しないように架橋部分でカバーフィルムの残部につながることができる。従って、切り取り線が破られて、くぼみの内容物が取り出される時に、切り取り部分と対応するパッチはカバーフィルムにくっついたままになっている。くぼみの内容物が取り出される度ごとに個々の切り取り部分を捨てる必要がないので、これは環境により優しいものである。
【0011】
本発明の好ましい実施形態において、各パッチの輪郭を確定する予め形成された切り取り線は耐蒸気パッチがその対応する切り取り部分より大きい、重なっている切り取り部分の輪郭を確定する予め形成された切り取り線の外側にある。各耐蒸気パッチはトレイの上面に接着されず、ただカバーフィルムに接着されているだけであることに注目することは重要である。
【0012】
この好ましい実施形態はカバーフィルムの切り取り部分が対応するくぼみ内に押し下げられ、取り外されたら、容易には対応するくぼみの上に再接着はできないので、異物混入を明らかにする特質が組み込まれている。これは耐蒸気パッチがふたをしている切り取り部分より僅かに大きく、使用時にはトレイの概ね平らな上面部分に重なって、対応するくぼみの輪郭のまわりに全面的に延長しているからである。一旦切り取り部分と耐蒸気パッチとがくぼみの中に押し込まれると、切り取り部分の輪郭を確定する予め形成された切り取り線のすぐ外側にカバーフィルムの狭い境界ができる。この狭い境界が切り取り部分の除去に先立って耐蒸気パッチの輪郭に接着されていることは容易に認められるだろう。実際に、カバーフィルムの下面は剥離可能な接着剤で覆われているので、狭い境界はトレイの概ね平らな上面に接着しようとする。このために耐蒸気パッチの輪郭外縁をカバーフィルムとトレイの上面との間に滑り込ませて、除去された切り取り部分を対応するくぼみに再接着することは極めて困難になる。もし容器が食品や丸薬、錠剤、およびカプセルなどの薬剤の貯蔵と取り出しに使われるなら、異物混入を明らかにする特質はとくに重要である。
【0013】
各切り取り部分の下のパッチは次のようにして透過防止フィルムの単一のシートから作ることができる。透過防止フィルムの単一のシートが剥離可能な接着剤でカバーフィルムの下面に固定される。透過防止フィルムは各耐蒸気パッチの輪郭を確定する予め形成された切り取り線を持ち、カバーフィルムをトレイの概ね平らな上面に固定するために貼り付ける直前に、カバーフィルムから透過防止フィルムの大部分を剥き取ることで、トレイへの接着に必要な領域で剥離可能な接着剤を露出し、しかしカバーフィルムの各切り取り部分の下面にパッチを付着させて置く。
【0014】
透過防止フィルムのシートはさらに予め設定された切り取り線を持つことができ、その一辺に近く、除去される時にカバーフィルムの下面に剥離可能な接着剤の位置固定領域を露出する切り取り片を確定し、透過防止フィルムの大部分を剥き取ってくぼみの上に接着する前に、カバーフィルムの辺部分をトレイの辺部分に接着することができる。カバーフィルムをトレイの上面に接着する工程を補助するために、トレイは直立するカバーフィルム位置固定手段を持つことができる。カバーフィルムはカバーフィルムをトレイに接着する前に、一つ以上のくぼみと使用域に対応する切り取り部分を持つトレイの上にカバーシートの正確な位置固定のための連携手段を持つことができる。
【0015】
カバーフィルムは容器中に貯蔵され、取り出される消費財の種類によって、アルミフォイルのような金属フォイルでも、金属積層高分子膜や紙のシート、または単層または多層構造のプラスチックフィルムでもよい。カバーフィルムは消費財が偶然、あるいは故意にカバーフィルムを通して押し出されないように、破断不可能(切り取り線周辺以外)であることが好ましい。
【0016】
容器は予め処方された投薬計画に沿って薬剤を収納し、取り出す多室容器であり、トレイの概ね平らな上面に一連の隔離されたくぼみが形成され、カバーフィルムは切り取り部分の配列を確定する予め形成された切り取り線を持ち、各切り取り部分は使用時に対応するくぼみの一つを覆うように配列される。カバーフィルムまたは(もしカバーフィルムが透明である場合は)トレイに投薬計画の順序の詳細が印刷でき、使用者は開ける正しい順序を決めて、個々の切り取り部分を押し開けることができる。カバーフィルムの個々の切り取り部分は上向きのトレイの概ね平らな上面から取り除かれ、開ける際に薬剤を床にこぼす危険性は通常逆向きに開けられる破断可能なフォイルに覆われたブリスターパックに比べて非常に低減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明による容器は広範囲の消費財の貯蔵と取り出しに好適であるが、本明細書はこれ以降予め処方された投薬計画に沿って混合薬剤を整理し、貯蔵し、その後取り出すための多室容器としての使用に主として焦点を当てることとする。
【0018】
図1に関しては、本発明による多室容器の構成に当って使用される成形したトレイ1が図示されている。トレイ1は熱可塑性樹脂材料のシートで出来ており、例えばプレス成形や真空成形で形成されればよい。トレイ1は概ね平らな上面2を持ち、その中に隔離されたくぼみ3が4×7個の配列で形成される。必要な特定の投薬計画に応じて、隔離されたくぼみの他の配列も可能であることは容易に考えられる。
【0019】
くぼみ3の配列のすぐ上の平らなヘッダー部分4は商標や薬局ラベルなどの印刷情報を取り込むために設置されている。ヘッダー部分4の上隅近くのトレイには、くぼみ3に対応したカバーシートの位置を正確にするために、2個の直立する一体成形された位置決めブラケット5がある。
【0020】
カバーシートは積層構造で、図2乃至4を参照することによって最もよく理解できる。カバーシートの最上面は図2に示されるシート10である。それは平滑、かつ柔軟で、好ましくは透明なプラスチックフィルムであり、その輪郭はそれが使用されるトレイ1の輪郭に概ね一致する。シート10に形成された1対の位置決め用切り欠き11は位置決めブラケット5とともに、トレイ1上のシート10の精密な相互の配列のための正確な位置決めをする。シート10は切り取り部分12の4X7配列を持ち、その各個はシート10がトレイ1の上面2に接着される時、下にあるくぼみの輪郭に全面的に延長される切り込み線13によって確定される。切り込み線13はシート10の予め設定された弱い領域であり、それが使用に当ってプラスチックフィルムの好ましい切り取り線を確定する。図示の目的のために、切り取り部分12のうちの1個は閉環を形成するために下にあるくぼみの輪郭に沿って全面的には延長されていない切り込み線13aで確定されている。ソア線13aの両端は架橋部分16で離されており、切り込み線13aが破られた時にも切り取り部分12aはシート10にくっついたまま残っている。
【0021】
シート10の下面全体は剥離可能な接着剤で覆われている。使用に先立って、シート10は図3に示される透過防止シート20に接着される。透過防止シート20は2個所の位置決め用切り欠き22を確定する切り込み線21を持ち、その切り欠きは使用時にシート10の位置決め用切り欠き11と合致する。切り込み線23は蒸気不透過性パッチ24の4X7配列の外周縁を確定し、そのパッチは使用時に各切り取り部分12の下面に接着され、図1の各くぼみ3の上に直接置かれる。蒸気不透過性パッチ24は切り取り部分12より僅かに大きく、使用時に各くぼみ3の輪郭に沿って全面的に延長して、トレイ1の概ね平らな上面2の領域上に重なる。
【0022】
図4から、図2のシート10が図3の透過防止シート20の上に、位置決め用切り欠き11と22が合致するように置かれて、接着される時に、各切り取り部分12は低蒸気透過性のパッチ24を持つことになる。
【0023】
更なる切り込み線25が透過防止シート20の上面、位置決め用切り欠き22の下に形成され、透過防止シートの上端に沿って切り取り片26を確定する。
【0024】
使用に当っては薬剤師,看護人又は患者自身が丸薬,錠剤及び/又はカプセルの形の薬剤を、7日間または28日間の投薬計画に従って、トレイ1の上面2に形成される28個の隔離されたくぼみ3に配分する。例えば、7列のくぼみは1週間の日数に相当し、4段は28日投薬サイクルの4連続週か、あるいは各1日の治療の異なる4投薬時間に相当する。後者の場合、第1段は朝食時、第2段は昼食時、第3段は早夕、そして第4段は就寝時に相当する。均一の薬剤が28個の隔離されたくぼみに分配されてもよいし、あるいは薬剤の異なる混合物が各くぼみに入れられてもよい。
【0025】
くぼみ3が適切に充填されたら、図4の集められたシート10と蒸気不透過性透過防止シート20がトレイ1の上に置かれ、トレイの位置決めブラケット5の隣に位置決め用切り欠き11と22を置くことによってトレイと重ねられる。シート10と透過防止シート20とを片手に持ち、透過防止シートの切り取り片26を剥がすことができ、トレイ上のシート10の配置を保つために位置決め用切り欠き11を位置決めブラケット5の隣に戻して、シート10はトレイ1の上面2に押し下げられる。シート10の下面の剥離可能な接着剤はシートの上端をトレイ1にしっかりと固定する。その段階でトレイを動かさず、隔離されたくぼみ3の内容物を乱さずに、透過防止シート20の主要部分27はシート10の下から剥ぎ取られ、接着剤をシート10の下面に露出し、トレイ1の概ね平らな上面2に接着させる。主要部分27の剥ぎ取りの間に、透過防止シート20は切り込み線23の周辺で切り取られ、パッチ24はシート10の下面に依然接着されたままになっている。
【0026】
切り取り部分12とパッチ24はトレイ1の実質的に平らな上面2に接着されてはないが、切り取り部分の間と周辺のシート10の領域14に置かれて保持され、剥離可能な接着剤でトレイにしっかりと固定される。
【0027】
隔離されたくぼみ3の一つに貯蔵された薬剤を取り出すためには、使用者は単に重なっている切り取り部分12を押し下げるだけでよい。十分な量の力をかければ、切り込み線13が切り取られ、切り取り部分12がシート10の残部から離されて、くぼみ3の中の薬剤の上に押し下げられる。切り取り部分12はシート10に新たに形成された開口を通して、人差指と親指の間にしっかりとつままれるまでくぼみ3の側面に沿って滑らせることによって容易に取り除くことができる。それから薬剤は多室容器を逆さにすることにより、あるいは手でつかみ出す事によって取り出せる。
【0028】
切り取り部分12aは同様に開放されるが、架橋部分16によってシート10の残部にくっついたままになっている。
【0029】
多室容器は異物混入を明らかにする特質が組み込まれており、貯蔵された薬剤が適切に取り出される前に誰もそれに干渉できないように保証している。異物混入を明らかにする特質は蒸気不透過性パッチ24が切り取り部分12より僅かに大きいという事実に基いている。従って、切り取り部分12を十分切り離すためには下にあるパッチ24が切り込み線13を囲むシート10の重なる領域15から剥ぎ取られなければならないことは容易に考えられるだろう。一旦切り取り部分12とパッチ24とがくぼみ3の中に押し下げられて取り除かれれば、シート10の重なる領域15はトレイ1の概ね平らな上面2に接着されることになる。このことは取り除かれた切り取り部分12はくぼみ3の上に再接着はできないことを意味する。なぜなら重なる領域15とトレイ1の上面2の間のパッチ24の周縁端を滑らせることは極めて困難だからである。各切り取り部分12はトレイ1のくぼみ3の開口と同じ大きさか僅かに小さい。従って、もしパッチ24が切り取り部分12から剥ぎ取られても、取り除かれた切り取り部分をトレイ1の概ね平らな上面2に接着することは依然不可能である。
【0030】
薬剤はどの露出された剥離可能な接着剤にも接触することはない。なぜなら切り取り部分13の下面はパッチ24に完全に覆われているからである。
【0031】
投薬計画の時間表に関する使用者への指示印刷物はトレイ1の上にも(カバーフィルムが透明な場合)、あるいはシート10に印刷することもできる。同様に、多室容器の製造者、あるいは薬局、あるいは患者を特定する印刷もトレイ1のヘッダー部分4、あるいはその部分を覆うシート10に印刷できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明による多室容器の鋳造トレイの平面図である。
【図2】本発明による多室容器を構成する図1のトレイとともに用いられるカバーフィルムの平面図である。
【図3】本発明による多室容器の構成において図2のカバーフィルムとともに用いられる透過防止フィルムシートの平面図である。
【図4】本発明による多室容器の構成に先だって図2のカバーシートの下面に取り付けられた図3の透過防止フィルムシートの平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消費財を収納するための、一つ以上の隔離されたくぼみが形成された、概ね平らな上面を持つトレイと、
一つ以上のくぼみに、消費財を保持する一つ以上のくぼみを封じる剥離可能な接着剤でトレイの概ね平らな上面に接着されるカバーフィルムと、を備え、
上記カバーフィルムが、切り取り部分を切り取り線に沿って切り取って取り出されるまでくぼみの中で上記消費財を保持するように、くぼみごとの上記切り取り部分を確定する予め設定された上記切り取り線を有し、
上記カバーフィルムの切り取り部分が、対応するくぼみを覆って使用される領域における低蒸気透過性能を有し、該低蒸気透過性能が、対応するくぼみを覆う形状と大きさで、上記カバーフィルムを上記トレイの上面に接着するのと同じ剥離可能な接着剤層で上記カバーフィルムの下面に接着される、高蒸気透過防止性能を持つパッチによって生み出される、消費財を貯蔵および取り出しするための容器。
【請求項2】
前記切り取り部分を確定する前記切り取り線が前記くぼみの輪郭に沿って全面的に延び、対応するパッチの輪郭内で延びている、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記切り取り部分が、上記予め形成された切り取り線の中の隙間によって確定される架橋部分によって前記カバーフィルムの残部にくっついている、請求項1に記載の容器。
【請求項4】
前記パッチが、対応する前記切り取り部分より大きく、使用時に対応するくぼみの輪郭の周囲に全面的に延びる前記トレイの概ね平らな上面領域を覆う、請求項1に記載の容器。
【請求項5】
前記くぼみの中に消費財を収納するために、前記トレイの概ね平らな上面への接着に先立って前記カバーフィルムがその下面全面にわたって剥離可能な接着剤で固定された透過防止フィルムのシートを持ち、該透過防止フィルムは高蒸気パッチの輪郭を確定する予め形成された切り取り線を持ち、前記トレイの概ね平らな上面への接着の直前に上記透過防止フィルムの大半を剥ぎ取ることで前記トレイへの接着に必要な領域の剥離可能な接着剤が露出するが、前記カバーフィルム下面のその他の場所に上記パッチを付着したまま残す、請求項1に記載の容器。
【請求項6】
透過防止フィルムのシートがその一端近くに更なる予め設定された切り取り線を持ち、透過防止フィルムの大半を剥してそれをくぼみの上に接着する前に、前記トレイの縁部分に前記カバーフィルムの縁部分を接着するために、取り除かれた時に前記カバーフィルムの下面に剥離可能な接着剤の位置固定領域を露出する切り取り片の境界を示す、請求項5に記載の容器。
【請求項7】
前記トレイがその上に形成される直立したカバーフィルム置決め手段を持ち、
前記カバーフィルムは、前記トレイに接着する前に、前記くぼみを有する前記トレイの上に対応する切り取り部分が位置するように、前記カバーシートの位置を正確に決める連携手段を有する、請求項6に記載の容器。
【請求項8】
前記カバーフィルムがが金属フォイル、金属積層高分子膜或いは紙シート、又は単層或いは多層構造のプラスチックフィルムである、請求項1に記載の容器。
【請求項9】
前記カバーフィルムが前記切り取り線に沿った以外は破断不可能である、請求項1に記載の容器。
【請求項10】
予め処方された投薬計画に沿って薬剤を収納し、取り出すための多室容器であり、その中で一連の隔離されたくぼみがトレイの概ね平らな上面に形成され、前記カバーフィルムが一連の切り取り部分を確定する予め形成された切り取り線を持ち、各切り取り部分が使用時に対応するくぼみの一つを覆うように編成されている、請求項1に記載の容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−516130(P2007−516130A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−508703(P2005−508703)
【出願日】平成15年9月9日(2003.9.9)
【国際出願番号】PCT/GB2003/003905
【国際公開番号】WO2005/023670
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(506080795)フューチャー・テクノロジー(アール・アンド・ディー)・リミテッド (2)
【住所又は居所原語表記】Po Box 608 Banbury Oxfordshire OX16 6EA United Kingdom
【Fターム(参考)】