説明

取り外し可能な枢動顎状部材を備えている医療器具

組織と係合するため、例えば、組織を挟み、穿孔を閉じ、又は止血を行うための医療装置、器具、及び方法が提供されている。医療装置(20)は、概ね、ハウジング(42)と、該ハウジングに対して回転可能な第一及び第二の顎状部材(44,46)と、駆動部材(48)と、細長い駆動ワイヤ(22)とを備えている。細長い駆動ワイヤが、前記の駆動部材、第一及び第二の顎状部材、及び前記ハウジングから分離され、これらの部材は組織と係合した状態で生体内に残される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取り外し可能な枢動顎状部材を備えている医療器具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、止血、標識、及び/又は結紮のためには、クリップが内視鏡を介して体管腔内へ導入されて体管腔の生体組織が把持される。このようなクリップは、外科手術用クリップ、内視鏡用クリップ、止血用クリップ、及び血管用クリップとして知られている場合が多い。更に、クリップは、現在のところ、消化性潰瘍、マロリー・ワイス裂傷、デュラホイ病変、血管腫、乳頭切開術後出血、及び活動性出血を伴う小静脈瘤、のような消化管出血に関連する多くの用途に使用されている。クリップはまた、胃内の穿孔を閉じるために使用することも試みられてきた。
【0003】
消化管出血は、治療しないままでいると致命的である場合が多い、幾分一般的で且つ深刻な状態である。この問題により、硬化剤の注射及び接触熱凝固技術のような止血を行なう多数の内視鏡治療方法の開発が促進されてきた。このような方法は、有効な場合が多いけれども、多くの患者においては出血が続いて矯正外科手術が必要になる。外科手術は高い罹患率及びその他の多くの不所望な副作用を伴う侵襲的方法であるので、効率が高く且つ侵襲性の低い処置が必要とされている。
【0004】
クリップのような機械的止血器具が、消化管用途を含む体内の色々な部分において使用されて来た。しかしながら、従来の止血器具及びクリップに伴う問題点のうちの一つは、多くの場合に永久的な止血をもたらすほどの十分な強さがない点である。更に、クリップは胃又は胃腸構造内にある穿孔を閉じる際に使用する試みもなされて来たが、残念ながら、従来のクリップは、難しい位置決めと限られた量の組織を把持する機能に悩まされ、不完全な閉止となる虞があった。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、以下の特徴のいずれかを種々の組み合わせで含むことができ、且つ本明細書及び図面に記載されているその他のいかなる特徴をも含むことができる。
【0006】
第一の特徴に従って、組織と係合するための医療器具が提供されており、医療器具は、ハウジングと、該ハウジングに枢動可能な形態で連結されている第一及び第二の顎状部材と、駆動部材とを備えている。該ハウジングは、内部通路と、該ハウジングの近位端と遠位端との間に延びている長手軸線とを規定している。該ハウジングは、前記内部通路に沿って第一のガイド面と第二のガイド面とを規定している。前記の第一及び第二の顎状部材は、前記ハウジングに摺動可能且つ枢動可能な形態で連結されており且つ各々が近位端と遠位端とを有している。第一の顎状部材は、前記内部通路内に摺動可能な形態で収容されていて、前記第一のガイド面に沿って伸長位置と後退位置との間を長手方向に動くことができるようになされている。第二の顎状部材は、前記内部通路内に摺動可能な形態で収容されていて、前記第二のガイド面に沿って伸長位置と後退位置との間を長手方向に動くことができるようになされている。前記ハウジングは、前記第一及び第二の顎状部材がそれらの後退位置にあるときにこれらの顎状部材の回転を阻止し、それらの伸長位置にあるときにこれらの顎状部材の回転を許容する構造とされている。前記駆動部材は、前記第一及び第二の顎状部材の近位端と係合していて、前記駆動部材の長手方向の動きによって前記第一及び第二の顎状部材が前記第一及び第二のガイドに沿ってそれらの後退位置と伸長位置との間を長手方向に動かされる。前記第一及び第二の顎状部材がそれらの伸長位置にあるときに、駆動部材が長手方向に動くと、前記第一及び第二の顎状部材は前記ハウジングに対して回転する。
【0007】
更に詳細な特徴に従って、第一及び第二の顎状部材がこれらの伸長位置にあるときに、該第一及び第二の顎状部材の近位端はハウジングの遠位端に隣接して配置される。第一及び第二の顎状部材の近位端は、ハウジングに摺動可能且つ枢動可能な形態で取り付けられている。ハウジングは内部通路内に肩部を形成しており、駆動部材は係止タブを備えており、該係止タブは、肩部と係合して駆動部材と第一及び第二の顎状部材との長手方向の動きを制限するように配置されている。該肩部は、駆動部材にかかる遠位方向を向いている長手方向の力が駆動部材並びに第一及び第二の顎状部材を遠位方向に向かって長手方向に動かす所定の力に達すると、係止タブを肩部との係合状態から外れる位置へと動かす。ハウジングは第三のガイド面を規定しているのが好ましく、該第三のガイド面はハウジング内での駆動部材の長手方向の動きをガイドする。該第三のガイド面は肩部を規定している。
【0008】
更に詳細な特徴に従って、駆動部材はまた細長い駆動ワイヤをも備えている。該細長い駆動ワイヤは、駆動部材と一緒に長手方向に動くように該駆動部材に選択的に結合されており、係止タブは、該係止タブが肩部の遠位側に位置決めされているときに駆動ワイヤと確実に係合し、該係止タブが肩部の近位側に位置決めされているときには駆動ワイヤに堅固に係合しないで駆動ワイヤが駆動部材から分離されるのを許容している。該駆動ワイヤは、拡大した遠位頭部を備えており、駆動部材は、駆動ワイヤの該拡大した遠位頭部を選択的に収容できる大きさとされているソケットを備えている。該ソケットは、近位方向を向いており且つソケットのサイズを調整するように撓む弾性材料によって作られているのが好ましい。該第一及び第二の顎状部材の近位端はかみ合い歯を有しており、駆動部材は、該顎状部材のかみ合い歯とかみ合うようにされた対応する歯を備えている。第一及び第二の顎状部材の近位端はピニオンとして形成され、駆動部材はラックとして形成されているのが好ましく、この場合に、該駆動部材とラックとが長手方向に動くことによって、該ピニオンと第一及び第二の顎状部材とはそれらの伸長位置で回転される。該駆動部材は、長手方向に延びている中央の棘状突起と、該中心の棘状突起から横断方向に延びている歯とを備えている。該駆動部材は、棘状突起から横断方向で反対の方向に延びていて2つの歯の組を形成している一対の歯を備えており、これらの2つの組の歯の一方が第一の顎状部材のピニオンと係合しており、該2つの歯の組の他方が第二の顎状部材のピニオンと係合している。
【0009】
第二の特徴に従って、組織と係合するための医療装置が提供されており、該医療装置は、ハウジングと、該ハウジングに枢動可能な形態で連結されている第一及び第二の顎状部材と、駆動部材と、細長い駆動ワイヤとを備えている。ハウジングは、内部通路と、該ハウジングの近位端と遠位端との間に延びている長手軸線とを規定している。該ハウジングは更に内部通路に沿った駆動部材ガイド面を規定しており、該駆動部材ガイド面は、近位の幅を有している近位部分と、遠位の幅を有している遠位部分とを備えている。近位の幅は遠位の幅よりも広い。駆動部材は、第一及び第二の顎状部材の近位端と係合している。駆動部材が長手方向に動くと、第一及び第二の顎状部材がハウジングに対して回転する。該駆動部材は更に可動の係止タブを備えている。細長い駆動ワイヤは、駆動部材と一緒に長手方向に動くように駆動部材に選択的に連結される。係止タブは、該係止タブが駆動部材ガイド面の遠位部分に沿って位置決めされているときに前記駆動ワイヤと堅固に係合し、前記係止タブが前記駆動部材ガイド面の近位部分に沿って位置決めされているときに前記駆動ワイヤが前記駆動部材から分離されるのを可能にする。
【0010】
更に詳細な特徴に従って、前記の細長い駆動ワイヤは遠位頭部を備えており、前記駆動部材は前記遠位頭部を受け入れる大きさとされているソケットを備えている。該係止タブは、前記ソケットの入口に位置決めされ且つ該入口のサイズを変えるように動く。駆動部材は2つの係止タブをソケットの両側に備えており、駆動部材ガイド面は前記2つの係止タブに対応するハウジングの両側に2つの面を備えている。該医療装置は更に管状の結合部材を備えており、該管状の結合部材は結合ブロックを摺動可能な形態で受け入れる大きさとされている管腔を規定している。該結合ブロックは、ハウジングの近位端と摩擦係合する構造とされており且つ前記駆動ワイヤを摺動可能な形態で受け入れる穴を規定している。駆動ワイヤの遠位端は、前記の穴より大きいサイズの遠位頭部を規定しており、該遠位頭部は、駆動ワイヤが近位方向に後退したときに結合ブロックと係合し且つ管状の結合部材に対して近位方向に摺動して前記の結合ブロックを前記ハウジングから係合解除する。
【0011】
更に別の特徴によると、ハウジングは、前記駆動部材ガイド面の近位部分と遠位部分との間の移行部分に肩部を規定しているのが好ましく、前記係止タブは、該肩部と係合して前記駆動部材の長手方向の動きを制限するように位置決めされている。該肩部は、駆動部材にかかる遠位方向を向いた長手方向の力が所定の力に達すると、前記タブを前記肩部との係合状態から解除される位置へ偏向させて、駆動部材及び前記第一及び第二の顎状部材が遠位方向へ長手方向に動くのを許容する。
【0012】
第三の特徴に従って、組織をクランプするための方法が提供されている。該方法は、上記し且つ本明細書において更に説明するもののような医療器具又は装置を準備するステップを含んでいる。駆動ワイヤが遠位方向に進められて、第一及び第二の顎状部材がハウジングに対して遠位方向に並進される。駆動ワイヤを遠位方向に進めて第一及び第二の顎状部材を相対的に離れる方向に回転させる。組織を前記第一の顎状部材と第二の顎状部材との間に位置決めし、前記駆動ワイヤを近位方向に後退させて前記第一の顎状部材と第二の顎状部材とを相対的に近づく方向に回転させて、それらの間に組織をクランプする。前記駆動ワイヤを近位方向に後退させて前記第一及び第二の顎状部材をハウジングに対して近位方向へ並進させる。前記駆動ワイヤを前記駆動部材から取り外し、前記第一及び第二の顎状部材が組織にクランプされ且つハウジングに連結された状態のままとする。更に詳細な特徴に従って、駆動ワイヤを近位方向に後退させて前記第一及び第二の顎状部材を近位方向に並進させるステップは、前記駆動部材の遠位方向への動きを制限して組織のクランプを維持するステップを含んでいるのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本明細書に組み入れられており且つ明細書の一部を形成している添付図面は、本発明の幾つかの特徴を示しており且つ明細書の記載と共に本発明の原理を説明する役割を果たす。
【図1】図1は、本発明の教示に従って作られた組織に係合するための医療器具を備えている医療装置の頂面図である。
【0014】
【図2】図2は、図1に類似の頂面図であり、外側構造が点線で示されており、内部の各部が実線で且つ部分的に断面で示されている。
【0015】
【図3】図3は、図1に示されている医療装置及び器具の側面図である。
【0016】
【図4】図4は、図3に類似の側面図であり、外側構造は点線で示されており、内部構造は実線で且つ部分的に断面で示されている。
【0017】
【図5】図5は、図1〜4に示されている医療装置の一部である医療器具の側面図である。
【0018】
【図6】図6は、図1〜5に示されている医療装置及び器具の一部分を形成しているハウジングの前面図である。
【0019】
【図7】図7は、図6に示されているハウジングの斜視図である。
【0020】
【図8】図8は、図1〜5に示されている医療装置及び器具の動作を示している側面図である。
【図9】図9は、図1〜5に示されている医療装置及び器具の動作を示している側面図である。
【図10】図10は、図1〜5に示されている医療装置及び器具の動作を示している側面図である。
【図11】図11は、図1〜5に示されている医療装置及び器具の動作を示している側面図である。
【図12】図12は、図1〜5に示されている医療装置及び器具の動作を示している側面図である。
【0021】
【図13】図13は、図1〜4に示されている医療装置及び器具の動作を示している部分的に断面で示されている頂面図である。
【図14】図14は、図1〜4に示されている医療装置及び器具の動作を示している部分的に断面で示されている頂面図である。
【0022】
【図15】図15は、図1〜4に示されている医療装置の動作を示している断面図である。
【図16】図16は、図1〜4に示されている医療装置の動作を示している断面図である。
【0023】
【図17】図17は、図1の医療装置の一部分を形成しているハンドルの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書において使用されている“近位”及び“遠位”という用語は、基準点をユーザーについてのものとすることが意図されている。特に、本明細書を通して、“遠位”及び“遠位方向“という用語は、概ね、ユーザーから離れた位置、離れる方向、又は離れる向きを示しており、“近位”及び“近位方向”という用語は、概ね、ユーザーに近い位置、近づく方向、又は近づく向きを示している。
【0025】
組織T(図11)と係合するための医療器具40を備えている例示的な医療装置20が図1〜4に示されている。医療装置20及び医療器具40は、概ね内視鏡(図示せず)又はその他のスコープのワーキングチャネル内で操作できる大きさ及び構造とされているが、装置20及び器具40は、カテーテル、光ファイバ視覚化装置、針等の他の細長い器具と組み合わせて使用することもできる。一般的に、医療器具20は駆動ワイヤ22を備えており、駆動ワイヤ22はシース23によって摺動可能な形態で覆われており且つ医療器具40に選択的に結合されて、医療器具40を作動させるための管状の結合部材24を遠位端に備えている。本明細書に更に詳しく説明されているように、医療器具40はハウジング42を備えており、ハウジング42は、組織Tと係合するためにハウジング42に枢動可能形態で連結されている第一の顎状部材44と第二の顎状部材を46とを備えている。顎状部材44,46は概ね把持用鉗子を形成しているものとして示されているけれども、これらの顎状部材は、組織を掴み取るため、例えば、穴を塞ぐため又は止血のために使用されるように意図されている。従って、該顎状部材の形状及び構造は、全て、本発明の教示に従って多くの形態をとり且つ多くの目的及び機能を果たすことができることがわかるであろう。
【0026】
医療器具20においては、駆動ワイヤ22は管状の結合部材24内を摺動可能な形態で延びている。“ワイヤ”という用語は駆動ワイヤ22を指すために使用されているけれども、長手方向の力をある距離(例えば、典型的な内視鏡手術、腹腔鏡手術、及びこれらと同様の処置において必要とされる距離)に亘って伝達することができる何らかの細長い制御部材を使用することができ、この制御部材としては、柔軟なロッド若しくはチューブ、単一のフィラメント、又はマルチフィラメント等があることがわかるであろう。結合ブロック26が、管状の結合部材24内に嵌め込まれており且つ駆動ワイヤ22を摺動可能形態で収容する穴28を画成している。結合ブロック26の外側は凹状部分27を含んでおり、ピン30が、管状の結合部材24に結合されて凹状部分27内に嵌り込んで結合ブロック26の長手方向の動きを制限している。
【0027】
駆動ワイヤ22の遠位端には遠位頭部32が設けられ、該遠位頭部は、駆動ワイヤ22よりもサイズが大きく、さらには穴28及び結合ブロック26よりもサイズが大きい。本細書において後に記載するように、遠位頭部32は、結合ブロック26を管状の結合部材24内で摺動させて、医療器具40を医療装置20から分離させるために使用される。同じく図1〜4からも分かるように、医療器具40のハウジング42は、内部空間43を画成している管状部材である。ハウジング42の近位端は、選択的に結合できるように、結合ブロック26の遠位端を内部空間43内で摩擦によって収容している。
【0028】
ハウジング42の内部通路43はまた、第一及び第二の顎状部材44,46と駆動部材48とを収容している。駆動部材48は、駆動ワイヤ22を顎状部材44,46に連結するために使用されている。図1,2,5において最も良くわかるように、駆動部材48は、駆動ワイヤ22の拡大した遠位頭部32を収容できる大きさとされているソケット50を画成している近位部分を備えている。ソケット50の近位の入口には、2つの撓むことができる係止タブ52が形成されており、これらの係止タブは、駆動部材48の残りの部分に対して回る。係止タブ52は、別個に形成されて駆動部材48に枢動可能な形態で取り付けられても良いし、又は駆動部材48と一体に形成されていて径方向内方及び径方向外方へ回るような撓む弾性材料によって作られていても良い。駆動部材48の遠位部分は、顎状部材44,46に係合し且つこれらの顎状部材を作動させるためのラック54を画成している。図示されている実施形態においては、ラック54は中心の棘状突起56を備えており、棘状突起56は該棘状突起から離れる方向に突出している歯58を棘状突起56の両側部に備えている。棘状突起56の一方の側に設けられている一組の歯58は第一の顎状部材44を作動させ、一方、棘状突起56の他方の側に設けられている他方の組の歯58は第二の顎状部材46を作動させる。ラック54は、顎状部材44,46とかみ合う単一の歯の組又はその他のかみ合い構造を備えていることができることがわかるであろう。
【0029】
図5において最も良くわかるように、第一及び第二の顎状部材44,46は、組織を掴み且つ組織と係合する構造とされている遠位端60,62を備えており、これらは、2008年12月31日に出願された米国特許出願第61/141,934号に開示されている鉤爪形状を有しているのが好ましい。当該米国特許出願の開示内容は、これに言及することによりその全体が本明細書に参考として組み込まれている。第一及び第二の顎状部材44,46の近位端64,66は、各々、一連の歯を備えているピニオンギヤ68,70を備えている。ピニオン68,70の歯が駆動部材48のラック54の歯とかみ合って、駆動部材48の長手方向の並進が第一及び第二の顎状部材44,46の相対的な回転を惹き起こす。一般的には、駆動部材48が遠位方向へ並進することによって、第一及び第二の顎状部材44,46が相対的に離れるように外方に回転され、一方、駆動部材48が近位方向へ後退することによって、第一及び第二の顎状部材44,46が互いに近づくように内方へ回転される。ピン80が、顎状部材44,46の近位端の各々に嵌合していて、これらの顎状部材がハウジング42に対して枢動可能な形態で連結されている。枢動連結を形成するための他の構造も使用でき、該枢動連結はピニオン68,70に対して中心に配置されるのが好ましい。
【0030】
第一及び第二の顎状部材44,46は、ハウジング42に枢動可能に取り付けられていることに加えて、ハウジング42に摺動可能な形態でも取り付けられている。図6及び7において(及び図1〜4と組み合わせると)最も良くわかるように、ハウジング42は、第一の顎状部材44用の第一のガイド面82と第二の顎状部材46用の第二のガイド面84とを画成している。図3においてわかるように、第一及び第二のガイド面82,84は、ハウジング42の両側に形成されている長穴82a,82b,84a,84bによって形成されており、ハウジング42のある厚みをガイド面として機能するように露出された状態で残している。長穴82a,82bは第一の顎状部材44の結合ピン80を収容できるように整合されており、同様に、長穴84a,84bは第二の顎状部材46の結合ピン80を収容できるように整合されている。これらの長穴の端部、例えば、図7に示されている遠位端92,94は、ハウジング42に対する顎状部材44,46の長手方向の動きを制限するように機能する。顎状部材44,46の近位端64,66は穴72,74を備えており、これらの穴はピン80(図、1,2,3)を受け入れ、ピン80は、第一及び第二の顎状部材44,46をハウジング42に摺動可能な形態で且つ枢動可能形態で結合するために使用される。
【0031】
第三のガイド面86を画成していることも図6及び7においてわかり、該第三のガイド面86は、ハウジング42内での駆動部材48の長手方向の動きをガイドする。図示される実施形態におけるガイド面86は、C字型形状の溝として形成されている左側ガイド面86aと右側ガイド面86bとをからなる。図7に示されているように、第三のガイド面86は、比較的狭い近位の幅から比較的広い遠位の幅まで移行していて、該移行部分に肩部88が画成されている。肩部88は、図13及び14に関連して以下において更に説明する。長穴、ガイド面、ピン、及びその他の摺動可能な係合構造の種々の組み合わせが、顎状部材をハウジングに連結するために採用することができる。
【0032】
同じく図6に示されているように、ハウジング42の内部通路43はハウジングの遠位端を貫通して延びており、該内部通路内を第一及び第二の顎状部材44,46が伸長する。更に、図1及び2に示されているように、ハウジング42は互いに対向している長穴45を画成しており、該長穴は、第一及び第二の顎状部材44,46が径方向外方へ回転するときにこれらの顎状部材がその中を通過することができる大きさとされている。従って、第一及び第二の顎状部材44,46の全体または一部がハウジング42の内部通路43内に収容されているときに、ハウジング42は、これらの第一及び第二の顎状部材44,46の回転を阻止する機能を果たすことも、図1及び2から明らかである。
【0033】
次に、医療器具40の動作を図8〜12を参照して説明する。図8は、第一及び第二の顎状部材44,46が、概ねハウジング42内に収容されている後退位置で示されている。用途に応じて、顎状部材44,46の遠位端60,62は、それらの後退位置において、ハウジング42の遠位端から若干突出するか又はハウジング内に完全に位置決めされるようにできる。駆動ワイヤ22が遠位方向へ(図8において右側へ)並進されると、遠位頭部32は駆動部材48と係合する。駆動部材48のラック54は顎状部材44,46の近位端64,60においてピニオン68,70とかみ合っていて、またハウジング42がこれらの部材が回転できないようにしているので、駆動部材48及び顎状部材44,46がハウジング42内を遠位方向に摺動する。既に述べたように、この長手方向の動きは、顎状部材44,46をハウジング42に摺動可能且つ枢動可能な形態で連結しているピン80を収容している第一及び第二のガイド面82,84によってガイドされる。
【0034】
図9に示されているように、第一及び第二の顎状部材44,46は伸長位置となり、該伸長位置においては、顎状部材はハウジング42の遠位端から実質的に突出しており、それらの近位端64,66は、ハウジング42の遠位端に隣接して位置決めされる。従って、駆動ワイヤ22を更に遠位方向に進めることによって、すなわち駆動部材48を更に遠位方向に進めることによって、ピニオン68がラック54の歯58の上で回転する。図10において最も良くわかるように、第一及び第二の顎状部材44,46は、相対的に径方向外方へ回転して組織受け入れ位置となる。注目すべき点は、ハウジング42の遠位端に長穴45が存在することにより、顎状部材44,46は90度までいっぱいに回転でき、これらの間に少なくとも180°の角度が形成される点である。長穴45のサイズ及びラック54及びピニオン68,70の構造によって、第一及び第二の顎状部材44,46が相対的に更に離れる方向に回転することができることがわかるであろう。
【0035】
図10に示されている組織受け入れ状態で、医療器具40及びその顎状部材44,46は組織Tに隣接して位置決めされる。図11に示されているように、組織Tは、第一の顎状部材44と第二の顎状部材46との間に位置決めされ、顎状部材44,46は図9に示されているそれらの位置へと回転されて戻される。組織Tは単一の層として示されているけれども、多数の層が顎状部材44,46間に挟まれても良い。一般的に、駆動ワイヤ22と駆動部材48とが近位方向に引かれると、第一及び第二の顎状部材44,46が再び回転して、それらの間に組織Tが把持される。図12に示されているように、駆動ワイヤ22と駆動部材48とが更に近位方向に引かれると、顎状部材44,46が長手方向に沿って近位方向へ(図12において左側へ)動かされる。
【0036】
医療器具40がクリップとして機能して、組織Tに対する把持を維持するか又は組織の2つの層の相対的な挟持を維持するために、顎状部材44,46は適切な位置に係止され、医療装置20の駆動ワイヤ22は医療装置40から分離される。図13に示されているように、(駆動部材48をガイドする)第三のガイド面86は、近位部分86pと遠位部分86dとを備えている。第三のガイド面86の近位部分86pは、(図13において上下に測定して)第3のガイド面86の遠位部分86dの幅より大きい幅を有している。既に説明したように、第三のガイド面86は、ハウジング42の対向している面又はC字形状の溝86a,86bによって形成されている。近位部分86pと遠位部分86dとの間の移行部分は、肩部88、すなわち、ハウジング42の両側に設けられている2つの肩部88a,88bを形成している。肩部88a,88bは、駆動部材48上に配置された対向する係止タブ52に係合する大きさ及び配置とされている。
【0037】
図13に示されているように、駆動部材48が第三のガイド面86の遠位部分86d内に配置されたときに、係止タブ52は径方向内方へ付勢されて駆動ワイヤ22と確実に摩擦係合した状態となる。別の言い方をすると、遠位頭部32を収容するように駆動部材48によって形成されているソケット50は、係止タブ52の内方への偏向によって入口が狭められている。図13に示されているこの状態においては、駆動ワイヤ22は駆動部材48としっかりと係合しており、すなわち第一及び第二の顎状部材44,46としっかりと係合している。例えば、図12に示されているように組織を把持したときに駆動ワイヤ22と駆動部材48とが近位方向に引かれると、駆動部材48の近位端は、係止タブ52の外方への動きを許容する比較的幅が広い第三のガイド面86の近位部分86p内に受け入れられる。従って、図14に示されている状態においては、係止タブ52は、駆動ワイヤ22の遠位頭部32に緩く且つ取り外し可能な形態で連結されている。すなわち、顎状部材44,46の近位方向への後退は、ハウジング42の遠位端と係合している組織Tによって、又はピン80が第一及び第二のガイド面82,84を画成している長穴82a,82b,84a,84bの近位端に当接することによって、制限される。従って、顎状部材44,46及び駆動部材48の近位方向への動きが制限されているときに、駆動ワイヤ22及びその遠位頭部32を更に近位方向の動かすことによって、遠位頭部32が駆動部材48のソケット50から引き出される。この動作はまた、係止タブ52を径方向外方へ更に偏向させるためにも使用される。組織Tの本来の弾力性によって顎状部材44,46がハウジングからそれらの伸長位置に向かって外方へ引っ張られる傾向がある場合には、係止タブ52,52は、ハウジング42の第三のガイド面の肩部88a,88bに当接して顎状部材44,46が更に遠位方向へ動くのが阻止される。
【0038】
一つの好ましい実施形態においては、係止タブ52は柔軟に変形することができ且つ操作中に駆動ワイヤ22の遠位頭部32の周囲で曲げられる。従って、駆動部材48及び係止タブ52は第三のガイド面86の遠位部分86d内を摺動する初期の大きさを有しており、所定の力による駆動ワイヤ22及び遠位頭部32の近位方向への後退によって、係止タブ52が柔軟に外方へ変形して肩部88a、88bと係合する状態とされ、顎状部材44,46が該肩部を越えて遠位方向へ動くのを阻止することによってクリップが係止される。
【0039】
図15及び16を参照すると、駆動ワイヤ22及び遠位頭部32が更に近位方向へ後退されると、拡大した遠位頭部32は、管状の結合部材24内に摺動可能な形態で嵌合されている結合ブロック26に当接する。駆動ワイヤ22に十分な近位方向の力がかけられると、該力は結合ブロック26とハウジング42の近位端との間の摩擦嵌合に打ち勝ち、このようにして、結合ブロック26が近位方向へ(図15及び16において右方向へ)動かされて結合ブロック26が管状の結合部材24内へ後退する。細長いシース23が、駆動ワイヤ22を摺動可能な形態で覆っており且つ該駆動ワイヤに沿って器具の近位端まで近位方向に延びている。シース23は、駆動ワイヤ22及び結合ブロック26を近位方向へ後退させつつ結合部材24及びハウジング42に反力を付与するために使用することができる。従って、駆動ワイヤ22、管状の結合部材24、及び結合ブロック26は、医療器具40から十分に分離され、その結果、第一及び第二の顎状部材44,46とハウジング42とが、組織Tを顎状部材44,46間にクリップし、生体内に保持された状態とされる。
【0040】
当業者は、駆動ワイヤ22とその遠位頭部32とを再び駆動部材48及びそのソケット50に結合して医療器具の追加の操作を可能にしてクリップされている組織Tを調整することができることがわかるであろう。同様に、付加的な医療器具を駆動ワイヤ22及び医療装置20の管状の結合部材24に取り付けて、該付加的な医療器具を配備させることができる。例えば、穴を閉じるか又は止血を行うために組織Tをクリップするために多数の医療器具40を使用しても良い。一般的には、駆動ワイヤ22上に固定された支持リング34(図1〜4)を使用して、駆動ワイヤ22の遠位方向への動きを制限して結合ブロック26に当接する位置に向かって遠位方向へ進入させることができる。従って、駆動ワイヤ22及び支持リング34を、結合ブロック26を管状の結合部材24から遠位方向へ押すために使用して、新しい医療器具(例えば“40”)又はすでに配置されている医療器具40のハウジング(例えば、“42”)に取り付けることができる。別の方法として、ユーザーは、手動によって(すなわち、指又は工具を使用して)結合ブロック26を管状の結合部材24から遠位方向に押して別の器具に結合させても良い。
【0041】
医療器具20はまた、医療器具40を作動させるための近位端の器具及び好ましくは図示されているハンドル90をも備えている。ハンドル90は、内側部材94を摺動可能な形態で受け入れている外側部材92を備えている。外側部材92は、内側部材94を受け入れる通路を画成している管状の部材であり、医療専門家の指によって把持される形状とされている外面上に形成されているスプール96を備えている。内側部材94は、管状又はロッド形状とすることができ且つその近位端に医師が把持するための親指用のリング98を備えている。外側部材92はシース23に取り付けられており、シース23は、当該技術において知られているように、コーティングされたコイル状ワイヤカテーテルであるのが好ましい。内側部材94は駆動ワイヤ22に結合されている。このようにして、内側部材94及び親指用リング98が外側部材92及びスプール96に対して並進することによって、シース23に対する駆動ワイヤ22の相対的な並進がもたらされる。これにより、次いで、既に説明したように、医療器具40すなわちハウジング42及び該ハウジングに対して回転する顎状部材44,46によって形成されているクリップが駆動される。側方ポート100もまた設けられており、この側方ポート100は、止血、閉塞、清浄化、又は上記した方法に関するその他の特徴を補助するために、流体又はその他の試薬の注入のために、外側部材92の内側通路及びシース23と連通状態とされている。
【0042】
当業者は、上記した方法は、体内管腔を介して組織器具を組織内に配置することを概ね含んでいるけれども、該装置、器具、及び方法は、人間及び動物の体及び体管腔に関連する又は関連しない物質(例えば、繊維、布、ポリマー、エストラマ、プラスチック、及びラバー)からなる層上で使用することができることがわかるであろう。例えば、該装置、器具、及び方法は、人間又は動物の体に対する用途を見出すことができるか又はできない1以上の物質の層を、クリップ(又は、切断、結紮、把持)するための、及び同様に体組織ではない物質の層の穴又は穿孔を閉塞するための、研究所及び工業的設備における使用方法を見出すことができる。幾つかの例としては、縫合又は仮縫い及びこれに関連する製造、合成組織の処理、ポリマーシートの結合又は修復、動物の研究、獣医学用途、並びに死後の作業がある。
【0043】
上記した本発明の種々の実施形態の説明は、例示及び説明の目的で提供されたものである。該実施形態を排他的なものとすること又は本発明をここに開示されている実施形態そのものに限定されることは意図されていない。上記の教示を参考にして、多くの改造又は変形が可能である。ここに説明されている実施形態は、本発明の原理の最良の例示及びその実際的な用途を提供して当業者が種々の実施形態において且つ想定される特別な用途に適するように種々改造して本発明を利用することができるように選択され且つ説明されたものである。このような改造及び変更の全てが、公正に、法律的に、法上公平に付与される特許請求の範囲の広さに従って解釈されたときに、該特許請求の範囲によって決定される本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0044】
20 医療装置、 22 駆動ワイヤ、
23 シース、 24 管状の結合部材、
26 結合ブロック、 27 凹状部分、
28 穴、 30 ピン、
32 遠位頭部、 34 支持リング、
40 医療器具、 42 ハウジング、
43 内部空間、内部通路、 44 第一の顎状部材、
45 長穴、 46 第二の顎状部材、
48 駆動部材、 52 係止タブ、
54 ラック、 56 棘状突起、
58 歯、 60,62 顎状部材の遠位端、
64,66 顎状部材の近位端、 68 ピニオンギヤ、
70 ピニオンギヤ、 72 穴、
74 穴、 80 ピン、
82 第一のガイド面、 82a 長穴、
82b 長穴、 84 第二のガイド面、
84a 長穴、 84b 長穴、
86 第三のガイド面、 86a 左側ガイド面、
86b 右側ガイド面、溝、 86d 第三のガイド面の遠位部分、
86p 第三のガイド面の近位部分、 88 肩部、
88a 肩部、 88b 肩部、
90 ハンドル、 92 遠位端、外側部材、
94 遠位端、内側部材、 96 スプール、
98 親指用のリング、 100 側方ポート、
T 組織

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織と係合するための医療器具であって
ハウジングであって、内側通路と、該ハウジングの近位端と遠位端との間に延びている長手軸線とを規定しており、前記内部通路に沿って第一のガイド面と第二のガイド面とを規定しているハウジングと、
前記ハウジングに対して摺動可能且つ枢動可能な形態で連結されている第一の顎状部材であって、近位端と遠位端とを有しており、伸長位置と後退位置との間で前記第一のガイド面に沿って長手方向に動くことができるように前記内部通路内に摺動可能な形態で収容されている前記第一の顎状部材と、
前記ハウジングに対して摺動可能且つ枢動可能な形態で連結されている第二の顎状部材であって、近位端と遠位端とを有しており、伸長位置と後退位置との間で前記第二のガイド面に沿って長手方向に動くことができるように前記内部通路内に摺動可能な形態で収容されている前記第二の顎状部材と、
前記第一の顎状部材及び前記第二の顎状部材の各近位端と係合する駆動部材と、を備えており、
前記ハウジングは、前記第一及び第二の顎状部材がそれぞれ前記後退位置にあるときには前記第一及び第二の顎状部材の回転を阻止し、前記第一及び第二の顎状部材がそれぞれ前記伸長位置にあるときには前記第一及び第二の顎状部材の回転を許容する構造とされており、
前記駆動部材が長手方向に動くことによって、前記第一及び第二の顎状部材がそれぞれ前記後退位置と伸長位置との間で前記第一及び第二のガイドに沿って長手方向に動くようになっており、前記第一及び第二の顎状部材がそれぞれ前記伸長位置にあるときに、前記駆動部材が長手方向に動くことによって、前記第一及び第二の顎状部材が前記ハウジングに対して回転するようにされていることを特徴とする医療器具。
【請求項2】
前記第一及び第二の顎状部材がそれぞれ前記伸長位置にあるときに、該第一及び第二の顎状部材の各近位端が前記ハウジングの遠位端に隣接して配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の医療器具。
【請求項3】
前記第一及び第二の顎状部材の各近位端が、前記ハウジングに摺動可能且つ枢動可能な形態で取り付けられている、ことを特徴とする請求項2に記載の医療器具。
【請求項4】
前記ハウジングが前記内部通路内に肩部を形成しており、前記駆動部材が、前記肩部と係合して前記駆動部材、及び前記第一及び第二の顎状部材の長手方向の動きを制限するように位置決めされた係止タブを備えている、ことを特徴とする請求項1に記載の医療器具。
【請求項5】
前記駆動部材にかかる遠位方向に向う長手方向の力が所定の力に達したときに、前記肩部が、前記係止タブを前記肩部との係合が外れた位置へと移動させて、前記駆動部材及び前記第一及び第二の顎状部材が遠位方向へと長手方向で移動するのを許容するようになされている、ことを特徴とする請求項4に記載の医療器具。
【請求項6】
細長い駆動ワイヤを更に備えており、該細長い駆動ワイヤは、前記駆動部材に当該駆動部材と共に長手方向に動くように選択的に連結され、前記係止タブが前記肩部の遠位側に位置決めされているときには前記係止タブが前記駆動ワイヤと堅固に係合し、前記係止タブが前記肩部の近位側に位置決めされているときには前記駆動ワイヤと堅固に係合していないで前記駆動ワイヤが前記駆動部材から分離できるようになされている、ことを特徴とする請求項5に記載の医療器具。
【請求項7】
前記ハウジングが第三のガイド面を規定しており、該第三のガイド面は、前記ハウジング内での前記駆動部材の長手方向の動きをガイドし、該第三のガイド面は前記肩部を規定している、ことを特徴とする請求項5に記載の医療器具。
【請求項8】
拡大した遠位頭部を有している細長い駆動ワイヤを更に備えており、前記駆動部材が近位方向を向いているソケットを備えており、該駆動部材は、前記ソケットのサイズを調整するように撓む弾性材料によって作られており、前記ソケットは、前記駆動ワイヤの前記拡大した遠位頭部を選択的に受け入れる大きさとされている、ことを特徴とする請求項1に記載の医療器具。
【請求項9】
前記第一及び第二の顎状部材の近位端がかみ合い歯を備えており、前記駆動部材が、前記顎状部材の前記かみ合い歯とかみ合うようにされた対応する歯を備えている、ことを特徴とする請求項1に記載の医療器具。
【請求項10】
前記第一及び第二の顎状部材の近位端がピニオンとして形成されており、前記駆動部材がラックとして形成されており、前記駆動部材とラックとが長手方向に動くことによって、前記ピニオン並びに前記第一及び第二の顎状部材がそれらの伸長位置において回転する、ことを特徴とする請求項11に記載の医療器具。
【請求項11】
前記駆動部材が、長手方向に延びている中央の棘状突起と、該棘状突起から横断方向に延びている歯とを備えている、ことを特徴とする請求項12に記載の医療器具。
【請求項12】
前記駆動部材が、前記棘状突起から横断方向でそれぞれ反対方向に向かって延びて二組の歯を形成している一対の歯を備えており、該二組の歯のうちの一方が前記第一の顎状部材のピニオンと係合され、該二組の歯のうちの他方が前記第二の顎状部材のピニオンと係合されている、ことを特徴とする請求項13に記載の医療器具。
【請求項13】
組織と係合するための医療装置であって
ハウジングであって、内側通路と、該ハウジングの近位端と遠位端との間に延びている長手軸線とを規定しており、前記内部通路に沿った駆動部材ガイド面を画成しており、該駆動部材ガイド面は近位幅を有している近位部分と、遠位幅を有している遠位部分とを備えており、前記近位幅が前記遠位幅より広くなされている、前記ハウジングと、
前記ハウジングに対して回転可能であり且つ近位端と遠位端とを有している第一の顎状部材と、
前記ハウジングに対して回転可能であり且つ近位端と遠位端とを有している第二の顎状部材と、
前記第一及び第二の顎状部材の近位端と係合した駆動部材であって、該駆動部材の長手方向の動きによって、前記第一及び第二の顎状部材が前記ハウジングに対して回転させるようになされており、可動の係止タブを備えている、駆動部材と、
前記駆動部材に選択的に結合されて前記駆動部材と一緒に長手方向に動くようになされている細長い駆動ワイヤとを備えており、
前記係止タブは、前記駆動部材ガイド面の遠位部分に沿って位置決めされたときには前記駆動ワイヤに堅固に係合し、前記駆動部材ガイド面の近位部分に沿って位置決めされたときには前記駆動ワイヤが前記駆動部材から分離できるようになされている、細長い駆動ワイヤと、
を備えている、ことを特徴とする医療装置。
【請求項14】
前記細長い駆動ワイヤが遠位頭部を備えており、前記駆動部材が前記遠位頭部を受け入れる大きさとされているソケットを備えており、前記係止タブが前記ソケットへの入口に位置決めされて前記入口の大きさを変えるように動く、ことを特徴とする請求項13に記載の医療装置。
【請求項15】
前記駆動部材が前記ソケットの互いに対向する両側に2つの係止タブを備えており、前記駆動部材のガイド面が、前記2つの係止タブに対応して前記ハウジングの対向する側部に2つの面を備えている、ことを特徴とする請求項14に記載の医療装置。
【請求項16】
結合ブロックを摺動可能な形態で受け入れる大きさとされている管腔を形成している管状の結合部材を更に備えており、前記結合ブロックは前記ハウジングの近位端と摩擦係合する構造とされており、前記結合ブロックは前記駆動ワイヤを摺動可能な形態で受け入れる穴を形成しており、前記駆動ワイヤの遠位端は、前記穴よりもサイズが大きい遠位頭部を形成しており、前記遠位頭部は、前記駆動ワイヤが近位方向に後退したときに前記結合ブロックと係合して前記管状の結合部材に対して近位方向に摺動し、前記結合ブロックを前記ハウジングとの係合状態から外すようになされている、ことを特徴とする請求項13に記載の医療装置。
【請求項17】
前記ハウジングが、前記駆動部材のガイド面の近位部分と遠位部分との間の移行部分に肩部を形成しており、前記係止タブが、前記肩部と係合して前記駆動部材の長手方向の動きを制限するように位置決めされている、ことを特徴とする請求項13に記載の医療装置。
【請求項18】
前記駆動部材にかかる遠位方向を向いた長手方向の力が所定の力に達すると、前記肩部が前記タブを該肩部と係合している位置から偏向させて、前記駆動部材並びに前記第一及び第二の顎状部材の長手方向遠位方向の動きが可能にされる、ことを特徴とする請求項17に記載の医療装置。
【請求項19】
医療装置を作動させる方法であって、
ハウジングであって、内部通路と、該ハウジングの近位端と遠位端との間に延びている長手軸線とを画成しているハウジングと、該ハウジングに摺動可能且つ枢動可能な形態で連結されている第一及び第二の顎状部材と、該第一及び第二の顎状部材と係合されていて該第一及び第二の顎状部材の長手方向の動作及び回転動作をさせる駆動部材と、該駆動部材に選択的に結合されて該駆動部材と一緒に長手方向に動くようになされている細長い駆動ワイヤとを備えている、医療装置を準備するステップと、
前記駆動ワイヤを遠位方向に進めて前記第一及び第二の顎状部材を前記ハウジングに対して遠位方向に並進させるステップと、
前記駆動ワイヤを遠位方向に進めて前記第一及び第二の顎状部材を相対的に離れる方向に回転させて開放位置とするステップと、
前記駆動ワイヤを近位方向に後退させて前記第一及び第二の顎状部材を相対的に近づく方向に回転させて閉止位置とするステップと、
前記駆動ワイヤを近位方向に後退させて前記第一及び第二の顎状部材を前記ハウジングに対して近位方向に並進させるステップと、
前記駆動ワイヤを前記駆動部材から分離して、前記第一及び第二の顎状部材を前記ハウジングに連結されている状態で前記閉止位置のままとするステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
前記駆動ワイヤを近位方向へ後退させて前記第一及び第二の顎状部材を近位方向に並進させる前記ステップが、前記駆動部材の遠位方向の動きを制限して前記顎状部材を前記閉止位置に維持するステップを含んでいる、ことを特徴とする請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2013−514865(P2013−514865A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546087(P2012−546087)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/061077
【国際公開番号】WO2011/087723
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(511152957)クック メディカル テクノロジーズ エルエルシー (76)
【氏名又は名称原語表記】COOK MEDICAL TECHNOLOGIES LLC
【Fターム(参考)】