説明

取り外し可能な補強要素を有する吸収性物品

本発明は、長手方向、横方向、前部部分(2)、後部部分(4)、および前部部分(2)と後部部分(4)との間に配置された股部部分(3)を有する、生理用ナプキン、おりものシート、または失禁防護帯などの吸収性物品(1、10、100、101、102)に関し、前記物品(1、10、100、101、102)は、物品(1、10、100、101、102)の使用時に、着用者に面することを意図された上側(15)と、物品(1、10、100、101、102)の使用時に、着用者から離れる方向を向くことを意図された下側(11)とを有する吸収部材(5、5’)と、少なくとも物品(1、10、100、101、102)の使用時に、着用者の身体への物品(1、10、100、101、102)の着用具合を改善する所定の形状を物品にもたらす補強要素(6、6’、60、70、80)とを含む。本発明は、補強要素(6、6’、60、70、80)の外側(12)が、吸収部材(5、5’)から離れる方向を向くように、補強要素(6、6’、60、70、80)が吸収部材(5、5’)の下側(11)に固定されることと、補強要素(6、6’、60、70、80)が、機械的固定特性を示す材料を含み、補強要素(6、6’、60、70、80)の外側の少なくとも一部が、前記機械的固定特性を示すこととを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収部材および補強要素を含む、生理用ナプキン、おりものシート、または失禁防護帯などの吸収性物品に関し、補強要素は、少なくとも物品の使用中に、着用者の身体への物品の着用具合を改善する特定の形状を物品に付与する。
【背景技術】
【0002】
生理用ナプキン、失禁防護帯、おりものシート、おむつなどの吸収性物品は、当技術分野において公知である。吸収性物品の重要な機能は、物品の使用中に身体滲出液の漏れを防止することである。通常、物品は、使用中に使用者によく合い、所定の位置に留まるべきである。これはまた、使用者の快適性を高める。
【0003】
少なくとも生理用ナプキン、失禁防護帯、およびおりものシートに関しては、物品に剛性または弾性の形状要素を設けることは従来から公知であり、この形状要素により、使用中の着用具合および所定の位置に留まる能力を改善する形状が物品に付与される。一般的に、剛性の形状要素は、物品の形状が前もって決められ、使用中に維持されるという利点を有する。他方で、剛性の形状要素は、物品の使用中に不快にならないように特に慎重に設計されなければならない。生理用ナプキンおよび同様の吸収性物品の下側に、使用者の衣類に取り付けるための、接着剤などの固定手段を設けることも公知である。
【0004】
特許文献1(国際公開第0117474号パンフレット)は、生理用ナプキン、おりものシート、または失禁防護帯の形態の吸収性物品の例を開示しており、物品の後部部分は、物品の使用中に着用者の臀部間に部分的に延びる剛性形状要素を形成する、長手方向に延びる畝形状の隆起を含む。これは後方の漏れを良好に防止する。
【0005】
特許文献2(国際公開第98/22061号パンフレット)は、剛性の前部部分および股部部分を有する生理用ナプキンの形態の吸収性物品を開示しており、前部部分は、湾曲しながら股部に対して上方に、使用者に向かって傾斜する。さらに、物品は、股部部分に、不快さをもたらすことなく高い剛性を得ることを可能にする細いくびれを有する。所望する剛性は、例えば、物品の内部に、形状を保持する剛性を有する、スプーン形状のプラスチック層または金属層を含むことで達成される。特許文献2(国際公開第98/22061号パンフレット)による物品は、使用中に、特定の取り付け手段を必要とすることなく、使用者の身体に押し当てて所定の位置に確実にかつ快適に保持されることを意図されている。
【0006】
特許文献3(欧州特許第1395218号明細書)は、物品の内部に配置された、補強性と吸収性とを兼ね備えた偏平要素を含む生理用ナプキン、または失禁パッドの形態の吸収性物品を開示しており、この要素は、物品の使用中に、すなわち、物品が、着用者の大腿部で発生する圧縮力によって影響を受ける場合に、様々な領域で(湾曲、ボール形状、および着用者の臀部の間の隆起部分を含む)所定の2次元形状または3次元形状を物品に付与する。特許文献2(国際公開第98/22061号パンフレット)と同様に、前部部分および股部部分は、物品を大腿部の筋腱に固定するのを可能にするように設計されて、取り付け位置での良好な着用具合および安定性を物品にもたらす。
【0007】
補強要素を有する公知の吸収性物品は、多くの場合、良好な着用具合をもたらすが、それでもなお、この種の吸収物品をさらに発展させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第0117474号パンフレット
【特許文献2】国際公開第98/22061号パンフレット
【特許文献3】欧州特許第1395218号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2008/0249496号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、剛性形状要素を有する従来の吸収性物品と比較して改良された特性を示す、着用性の良い、生理用ナプキンなどの吸収性物品を提供することである。この目的は、独立請求項1に含まれる技術的特徴で定義される物品によって達成される。従属請求項は、本発明の有益な実施形態、さらなる発展形態、および変形形態を含む。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、生理用ナプキン、おりものシート、または失禁防護帯などの吸収性物品に関し、この物品は、長手方向、横方向、前部部分、後部部分、および前部部分と後部部分との間に配置された股部部分を有し、前記物品は、物品の使用中に着用者に面することを意図された上側と、物品の使用中に着用者から離れる方向を向くことを意図された下側とを有する吸収部材と、少なくとも物品の使用中に、着用者の身体への物品の着用具合を改善する所定の形状を物品にもたらす補強要素とを含む。
【0011】
本発明は、補強要素の外側が吸収部材から離れる方向を向くように、補強要素を吸収性部材の下側に固定することを特徴とする。さらに、補強要素は、機械的固定特性を示す材料を含み、補強要素の外側の少なくとも一部は、前記機械的固定特性を示す。
【0012】
本明細書において、吸収部材という用語は、体液を吸収する吸収体を含む物品を指す。吸収部材はまた、例えば、吸収体の上側に配置された液体浸透性トップシートと、吸収体の下側に配置された液体不浸透性バックシートとを含むことができる。
【0013】
本明細書において、機械的固定特性という用語は、フック、摩擦接着剤、クリップ、摩擦要素、およびそれらの組合せなどの機械的固定手段を指し、そのような固定手段は当業者には公知であり、取り外し可能な取り付けを可能にする。したがって、機械的固定特性を示す材料には、上記のタイプ(1つまたは複数)の機械的固定手段が含まれる。
【0014】
本発明の吸収性物品は、補強要素が、物品に良好な身体着用具合をもたらし、それと同時に、着用者の衣類、または補強要素が固定される吸収部材の下に置かれた補助吸収部材に物品を取り外し可能に取り付けるのを可能にするという利点を有する。したがって、後者の場合、補強要素が取り付けられる吸収部材は、着用者に面するように配置された上側主吸収部材を形成する。補強要素は、物品に適切な形状を付与するので、(上側)吸収部材が物品の成形に寄与する必要はない。それにより、吸収性物品の快適性を改善する非常に可撓性が高い吸収部材、すなわち非常に可撓性が高い吸収体を使用することが可能になる。
【0015】
吸収性物品を衣類に取り付け可能であることは、国際公開第98/22061号に開示したものなど、高度に身体に合った物品にとっても有用であり、その理由は、そのような物品も同様に、サイクリングまたは他の激しい活動中の着用者との関連において動くことがあるからである。吸収性物品を着用者に面する吸収部材の下に置かれた補助吸収部材に取り付け可能であることは、例えば、対応する1部品構成の製品(すなわち、上側吸収部材)よりも大きい湿潤領域、および/または高い吸収容量を有するように設計することができる2部品構成の吸収性製品を提供するのに有用である。したがって、本発明による吸収性物品は、特定の折りに、利用者がそうしたいと思った場合に、2部品構成の製品に変換できる変更可能部品である。
【0016】
したがって、本発明の吸収性物品では、補強要素は成形および固定という複数の機能を有する。そのような多機能性は、一般的に、吸収性物品の部品点数を減らすのに有用であり、製造をより効果的にする。欧州特許第1395218号に開示された吸収性物品では、多機能性は、吸収体にある程度の剛性を付与することで達成される、すなわち補強(成形)特性および吸収特性が、同じ要素に兼ね備えられている。しかし、補強特性および吸収特性は、容易に兼備されないし、そのような兼用要素はかなりコストが高くなる。対照的に、本発明の補強(成形)要素は、吸収要素との関係において独立した物品であり、補強特性および吸収特性を兼備する代わりに、兼備するのがより容易である補強特性および固定特性を兼備する。例えば、1つの材料の固定特性を改良することで、相応して補強特性が損なわれることは通常ない。さらに、吸収機能を考慮しなくてもよいので、補強要素が、物品の横平面内にこの機能に適合する形状をもつ必要はない、すなわち、本発明の方法で吸収部材の下側に固定される補強要素は、例えば、製造の無駄をなくすか、または削減するために長方形であってもよい。補強特性および固定特性は、兼備するのがより容易であるので、よりコスト効率の良い方法で吸収性物品を製造することが可能になる。
【0017】
本発明の有益な実施形態では、機械的固定特性を示す材料も、補強要素の剛性に大きく寄与する。これは、同じ材料が、固定機能と、少なくともかなりの成形/補強機能との両方をもたらすことを意味する。このように、補強要素の構造は、特別な補強部品または補強層を使用する必要性が減ぜられるか、またはなくなることさえあるという点で、単純化することができる。
【0018】
本発明のさらに有益な実施形態では、機械的固定特性を示す材料は、織物材料に固定するために、補強要素の外側から突出するフックを有するフック材料である。フックの形態の機械留め具は、下着などの織物材料、または、例えば、補助吸収部材の不織布材料に取り付けるのに適するとして、吸収性製品の分野で公知である。好ましくは、フック材料は、フックがその層に固定されるフック担体層を有し、フック材料は、補強部材の剛性に大きく寄与する。それによって、フック材料は、固定機能および補強/成形機能の両方をもたらす。この実施形態の変形型では、フック材料は補強要素となる。そのような設計の場合、前記機能を有する補強要素を提供するのにさらなる材料は何ら必要とされない。
【0019】
本発明の別の有益な実施形態では、機械的固定特性を示す材料は摩擦接着材料である。したがって、材料の表面は、補強要素を下着、または補助吸収部材のトップシートに取り付けるのに有用な粘着性を示す。摩擦接着材料も当業者には公知である。この実施形態の変形型では、摩擦接着材料は補強要素となる。そのような設計の場合、前記機能を有する補強要素を提供するのにさらなる材料は何ら必要とされない。
【0020】
フック材料および摩擦接着材料は、補強要素の一部がフック材料を含むことができ、他の部分が摩擦接着材料を含むことができるという点で組み合わせることができる。さらに、吸収性物品は、互いに独立した複数の補強要素を含むことができ、その補強要素は、異なる材料を含むことができる。フック担体材料が粘着性を示すことがさらに可能である。
【0021】
本発明のさらに有益な実施形態では、補強要素は、補強要素を囲む吸収性物品の一部よりも高い剛性を示す。これには、折り曲げの目安が、補強要素に沿って、および/またはその周辺に提示されるという効果がある。これらの折り曲げの目安により、例えば、補強要素の大きさおよび形状とともに、使用時に物品がどの形状になるかが決まる。補強要素は、吸収性部材よりも剛性が高いのが好ましい。
【0022】
本発明のさらに有益な実施形態では、吸収性部材は、体液を吸収する吸収体と、吸収部材の上側に配置された液体浸透性トップシートとを有する。したがって、トップシートは着用者に面し、従来の方法で吸収体を覆う。
【0023】
本発明のさらに有益な実施形態では、吸収性部材は、吸収部材の下側に配置された液体不浸透性バックシートを含み、吸収体はトップシートとバックシートとの間に配置される。この実施形態の変形型では、補強要素は、バックシートの少なくとも一部を形成する。言い換えると、補強要素は、吸収部材の下側の1つまたは複数の何らかの部分でバックシートの代わりをする。したがって、吸収性部材の下側を完全に覆う従来のバックシートを使用する必要はない。液体密封性の補強要素を使用することにより、従来のバックシートを使用する場合と同じ態様で、漏れをないようにするか、または低減することが可能である。
【0024】
本発明のさらに有益な実施形態では、物品は、補強要素が固定される(上側)吸収性部材の下に配置されるように補強要素に取り外し可能に取り付けることができる補助吸収部材を有する。このように、2部品構成の製品が形成される。液体密封性補強要素は、第1に、体液を上側吸収性部材に向けるために使用することができる。この実施形態の変形型では、補強要素は、補助吸収部材に向かう体液の貫流を可能にするように配置される。この実施形態のさらなる変形型では、補助吸収部材は、上側吸収部材よりもさらに横方向に延び、好ましくは長手方向にも延びる。したがって、補助吸収部材は、上側吸収部材よりも幅広く、好ましくは長くもある。これは漏れの危険性を軽減する。
【0025】
本明細書では、永久固定、接着、または取り付けは、通常の使用および着用に耐えることを意図され、固定にかかわる物品の少なくとも1つを破壊する、または破損することなく切り離すことができない固定、接着、および取り付けである。永久固定の例として、補強要素の吸収部材の下側への固定がある。解放可能なまたは取り外し可能は接合には、関係する物品を破損または破壊することなく切り離すことができる接着または取り付けがある。
【0026】
下記の本発明の説明では、以下の図を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の好ましい実施形態を概略的な側断面図で示している。
【図2】本発明の第2の好ましい実施形態を概略的な側断面図で示している。
【図3】本発明の好ましい実施形態による吸収性物品の下側を示している。
【図4】本発明の別の好ましい実施形態による吸収性物品の下側を示している。
【図5】本発明のさらに別の好ましい実施形態による吸収性物品の下側を示している。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、本発明による吸収性物品1、この場合は、生理用ナプキンの第1の好ましい実施形態を概略的な側断面図で示している。吸収性物品1は、長手方向、すなわち図1では左右方向、および横方向、すなわち図1の面に対して垂直な方向を有する。さらに、物品1は、前部部分2、後部部分4、および前部部分2と後部部分4との間に配置された股部部分3を有する。物品1のこれらの部分への分割については厳密なものではなく、着用者との関係において物品1の意図された位置を一般的な形で示している。物品1の主要な構成要素は、吸収部材5および補強要素6であり、補強要素6は、この例では、数量が2つである。
【0029】
吸収部材5は、物品1の使用中に、着用者に面することを意図された上側15と、物品1の使用中に着用者から離れる方向を向くことを意図された下側11とを有する。図1に例示された吸収部材5は、ほとんど従来の形で構造化されており、液体浸透性のトップシート5aと、体液を吸収する吸収体5bと、液体不透過性のバックシート5cとを含む。トップシート5aおよびバックシート5cは、吸収体5bを囲むカバーを形成するように、吸収体5bの外縁部を囲んで連結されている(図1には示していない)。
【0030】
トップシート5a、吸収体5b、およびバックシート5cを形成する適切な材料および材料の組合せは、当業者には公知である。適切な材料の例として、トップシート5aに対しては、不織布および有孔樹脂フィルムがあり、吸収体5bに対しては、セルロース繊維、吸収性発泡材料、および超吸収体(SAP)があり、バックシート5cに対しては、ポリエチレンフィルムおよび疎水化剤で処理された不織布がある。
【0031】
補強要素6のそれぞれは、補強要素6の外側12が吸収部材5から離れる方向を向くように、吸収部材5の下側11に沿って長手方向および横方向に延びる。補強要素6は、この例では、バックシート5cに接着することにより吸収部材5に固定されている。
【0032】
図1に示す吸収部材5は、液体不浸透性バックシート5cを含むので、補強要素6は、流体の下方漏れに関する限り、液体透過性か、または液体不透過性のいずれかとすることができる。液体密封性の補強要素6を使用することにより、および補強要素6を吸収部材5の下側11に沿って適切でかつ十分に大きい面積で配置することにより、バックシート5cの少なくとも一部を削除し、補強要素6にバックシート5cの機能を持たせることが可能である。補強要素6の周囲の領域に防水性がより低く/通気性がより高いバックシートを使用することも可能である。
【0033】
図1に示す例では、補強要素6は、吸収部材5に面し、これに固定されたフック担体層(フック基材)9を含み、フック担体層に固定された複数のフック8をさらに含むフック材料で完全にできている。フック8は、フック担体層9から突出している、すなわち、フック8は、補強要素6の外側12から突出している。フックは、織物材料への取り外し可能な取り付けに適した機械留め具の一例である。したがって、図1の補強要素6は、機械的固定特性を示す材料でできており、補強要素6の外側12は、前記機械的固定特性を示す。使用できる他の機械留め具には、クリップまたは摩擦要素がある。異なるタイプの機械留め具の組合せも使用することができる。
【0034】
フック8は、下着材料との相互作用に適しており、これは、図1による吸収性物品1が、着用者の下着に機械的に固定されることにより、使用中に、所定の位置に保持されることを意味する。
【0035】
図1に示すように、補強要素6の一方は、物品1の前部部分2に配置され、他方は、股部部分3から後部部分4に長手方向に延びている。これは、図4に関連して説明されるものと同様である。しかし、図1(および図2)の目的は、単に吸収性物品の構造の概略図を示すことである。補強要素の様々な形状については下記に説明する。
【0036】
図2は、本発明による吸収性物品10、この場合は、生理用ナプキンの第2の好ましい実施形態を概略的な側断面図で、かつ分解された状態で示している。物品の方向および各部分への分割は図1に関連して説明したものと同様である。図2に示す吸収性物品10は、上側の第1の吸収性部材5’、補強要素6’、および補助吸収部材20を含む。上側吸収部材5’は、図1に示す吸収性部材5と同様な主構造を有し、したがって、同じ参照番号が使用されている。下記に説明するように、上側吸収性部材5’と図1に示す吸収性部材5との間、および図1および図2のそれぞれ補強要素6、6’の間にいくつかの相違がある。
【0037】
図1に示す実施形態と比較した主な相違は、補助吸収部材20が含まれることである。補助吸収部材20は、2つの吸収部材を有する2部品構成の製品を形成するように、上側25により、補強要素6’に、ひいては上側吸収性部材5’に取り外し可能に取り付けることができる。図2では、吸収性物品10が分解されている。矢印29は、2つの吸収部材5’、20を取り外し可能に互いに取り付けることができることを示している。
【0038】
図2では、バックシート5cおよび補強要素6’はともに、体液が補助吸収部材20に向かって貫流するのを可能にする液体浸透性である。
【0039】
図1に関連して説明したものと同様に、補強要素6’は、上側吸収性部材5’に面し、これに固定されたフック担体層(フック基材)を含み、フック担体層に固定された複数のフック8をさらに含むフック材料でできている。フック8は、フック担体層から突出し、したがって、補強要素6’の外側12から突出している。フック8は、織物材料への取り付けに適する。
【0040】
図2に例示するような補助吸収部材を使用する場合、フック8が着用者の下着を破損する恐れがあるかどうかを考慮する必要がない。したがって、そのような場合、より粗いフック8を使用することが可能である。そのようなフックの例は、特許文献4(米国特許出願公開第2008/0249496号明細書)に記載されている。
【0041】
補助吸収部材20は、図1に示す吸収部材5と同様の構造を有する、すなわち、補助吸収部材20は、液体浸透性トップシート20a、体液を吸収する吸収体20b、および液体不浸透性バックシート20cを含む。トップシート20aおよびバックシート20cは、吸収体20bを囲むカバーを形成するように、吸収体20bの外縁部を囲んで連結されている(図2には示していない)。この場合に、トップシート20aは、フック8への良好な取り付けを可能にする不織布でできている。例えば、発泡体またはエアレイドからなるトップシートも良好な取り付けを可能にする。
【0042】
補助吸収部材20の下側21には、吸収性物品20を使用者の下着に取り付けるために、例えば、接着剤の形態の固定手段22が設けられている。固定手段22はオプションである。
【0043】
図2に示すように、補助吸収部材20は、上側の主吸収部材5’よりも長手方向に(すなわち、図2では横方向に)さらに延びている。補助吸収部材20はまた、上側の主吸収部材5’よりも横方向にさらに延びている。その結果、上記から分かるように、補助吸収部材20は、上側の主吸収部材5’を囲む、すなわち、補助吸収部材20は、吸収性物品10の使用者に向かう方向で見て、上側の主吸収部材5’よりも大きな面積を示す。要するに、示す例では、補助吸収部材20は、上側吸収部材5’より長くもあり、幅広くもある。これは、漏れ防止を強化するのに有用である。
【0044】
なお、図2に関連して、バックシート5cおよび補強要素6’は、体液が補助吸収部材20に送られるのを可能にする液体浸透性である必要はない。バックシート5cおよび補強要素6’のいずれか、または両方が液体不浸透性の場合、体液は横方向(および長手方向)に流れ、これらの構成要素のいずれか、または両方の外縁部を通過し、次いで、補助吸収部材20に達することがあり得る。少なくとも、バックシート5cが液体不浸透性の場合、補助吸収部材20は、上側の主吸収部材5’よりも幅広く、好ましくは、長くもあることが特に重要である。補強要素6’が大きな面積で配置されている場合、補助吸収部材20の方が大きいことが同様に重要である。しかし、構造材料が液体浸透性である必要なしに、液体が通過できるようにするために、補強要素6’が中間に開口を有する細いストリップまたはバーの形態で配置されてもよいし、または開口を設けられてもよい。
【0045】
図1および図2に示す実施形態用の適切なフック材料は、3M CompanyからKHK0002またはCHK 00752として入手可能である。これらの材料は、使用中に物品1に良好な形状を付与する適切な剛性を有し、良好な取り付けをもたらす。
【0046】
当然、フック8は、意図した使用法に適するように選択される。例えば、フック8は、特定のタイプの衣類用織物材料、または補助吸収部材20の特定のタイプの上側25と特によく相互作用するように合わせることができる。
【0047】
上記のフック材料の代替として、補強要素6、6’は、少なくとも部分的に、摩擦接着材料で作製することができる、すなわち、補強材料6、6’を、例えば、着用者の下着または補助吸収部材20に機械式に留めるのに使用できる粘着性を示す材料で作製することができる。そのような場合に、補助吸収部材20のトップシート20aは、例えば、摩擦接着材料への良好な取り付けを可能にする不織布材料または有孔プラスチックフィルムで作製することができる。
【0048】
摩擦材料とも呼ばれる摩擦接着材料を従来の固定接着剤と混同してはならない。これらの材料間の一般的な相違は、従来の固定材料の感圧接着剤が、システムに圧力をかけることで接合が始まった後、適度な粘着性、剥離強さ、および剪断強さをもたらすことである。そのような挙動とは異なり、摩擦接着材料は、主に剪断強さをもたらす。この剪断強さまたは摩擦は、摩擦材料を第2の表面に押しつけるために使用される力に比例する。圧力を解除した後、システムは、基本的に、残存する粘着性、剥離強さ、または摩擦を何ら示さない。
【0049】
適切な摩擦接着材料の例には、3M Companyから入手可能な5401 Traction Tapeがある。
【0050】
フック材料および摩擦接着材料は、補強要素6、6’の一部(または、複数存在する場合、複数の補強要素の一部)がフック材料を含み、一部が摩擦接着材料を含むことで、吸収性物品1、10において組み合わせることができる。両方の特性を有する材料、例えば、粘着性を示すフック材料を使用することも可能である。
【0051】
本発明の補強要素は、吸収性物品の使用中に、物品が無制御の態様で圧縮される、あるいは変形されるのを可能な限り防止するために十分な剛性とされる。
【0052】
補強要素6は、補強要素を囲む吸収性物品1、10の材料よりも高い剛性を示すべきである。
【0053】
これは、ここで説明した実施形態に関連して、補強要素6、6’が、(上側)吸収性部材5、5’よりも高い剛性であるべきであることを意味する。補強要素6、6’の剛性がその周囲物よりも高いことで、折り曲げの目安が、補強要素6、6’に沿って、および/またはその周辺に提示されるという効果が得られる。これらの折り曲げの目安により、例えば、補強要素6、6’の大きさおよび形状とともに、使用時に物品1がどの形状になるかが決まる。
【0054】
補強要素6、6’は、ASTM D 4032-82に従って測定して、乾燥状態において1N〜15N程度の剛性を示すのが好ましい。
【0055】
補強要素は様々な形状と、所望する形状に応じた位置とをとることができる。吸収性物品の種々の有益な形状が当業者には公知である。いずれの場合も、補強要素(1つまたは複数)は、少なくとも物品の使用中に、着用者の身体への物品の着用具合を改善する何らかの所定の形状を物品にもたらすように配置される。補強要素は、使用前に偏平形態を有するが、物品の使用時に、すなわち、物品が、着用者の大腿部で発生した圧縮力から影響を受ける場合に、3次元形状をとることができる。あるいは、補強要素は、物品の使用前にすでに3次元形状を有することができる。
【0056】
補強要素(1つまたは複数)6、6’は、少なくとも物品の使用中に、次の形状の1つまたは複数を物品にもたらすように配置されるのが好ましい。
- 股部部分3と前部部分2との間の移行部27(図3を参照のこと)の幅Hが、前部部分2の幅よりも短いこと。これは、使用者の大腿部の筋腱に/大腿部の筋腱間に物品を固定するのを可能にし、使用中に物品が後方に移動するのを防止する。幅Hは、15mm〜45mmの範囲にあるのが好ましい。
- 前部部分2内の領域の3次元ボール状形状。これは身体への着用具合を改善する。
- 物品の使用中に着用者の臀部間に部分的に延びる畝形状の隆起。これは後部の漏れを防止する。
- 物品の使用中に着用者の生殖器と接触することを意図された隆起部分(こぶ)。これは、体液のより良好な吸収をもたらす。
【0057】
図3〜5は、本発明による吸収性物品を示しており、下記から分かるように、主目的は、好ましい補強要素形状の例を示すことである。したがって、これらの図では、(上側)吸収部材の下側11、および補強要素の外側12が上向きになっている。補助吸収部材は示されていない。吸収体5bの位置は点線で示されている。
【0058】
図3は、補強要素60の適切な形状の第1の例を含む、本発明による吸収性物品100を示している。この例では、補強要素60は偏平であり、欧州特許第1395218号に示したものと同様な形状を有する。補強要素60の外縁部は、参照番号62によって示されている。補強要素60の外縁部62の外側に広がる吸収部材5の下側11の一部は、物品の通気性を改善するために、バックシートなしで構成されてもよい。
【0059】
補強要素60の主な特徴は、平坦性に加えて、とりわけ、i)補強要素60が、物品100の長手方向で、股部部分3上に、かつ少なくともいくらかは前部部分2上に延びること、ii)補強要素60が、股部部分3と前部部分2との間の移行部27で、15mm〜45mmの範囲内の幅Hを有すること、iii)補強要素60が、股部部分3に70mm〜120mmの範囲内の長さGを有すること、iv)補強要素60の側縁部が、物品100の長手方向の線に対して、股部領域から前部部分2に及ぶ方向に鋭角α(すなわち、<90°、好ましくは35°〜55°)を形成すること、およびv)補強要素60が、いくらかは後部部分4上にも延び、補強要素60の後端縁部から股部部分3に向かう方向に延びる楔形切欠き部66を有し、その結果として、製品は、使用時に、前記切欠き部66内で物品100の長手方向に沿った折れ部を付与され、この折れ部は、物品100の使用時に、着用者の臀部間の割れ目内に延びること、である。これらの特徴はすべて、使用中に着用者への物品の着用具合に寄与する。これらの特徴の1つまたは複数は、物品の着用具合を改善するために使用することができる。
【0060】
図4は、補強要素70の適切な形状の第2の例を含む、本発明による吸収性物品101を概略図で示している。この場合、補強要素70は3つの部分、すなわち、実質的に前部部分2に配置された1つの前部要素と、物品101の後部部分4と一部は股部分3とにおいて長手方向に平行して延びる2つの細長い後部要素とを含む。示した例では、前部要素および後部要素は、製造を単純化し、無駄を省くためにすべて長方形である。当然、これらの要素は、快適性が増す(こすれを回避する)ように多少丸みをつけてもよい。特に、前部要素の後方隅部は、前部補強要素70の正確な配置および剛性に応じて、丸みをつけることが必要な場合がある。前部要素は、前部部分2内の領域に3次元ボール状形状をもたらす。後部要素は、図3に示す補強要素の後部部分と同様に、物品101の長手方向に沿った折れ部をもたらす。図4に示す例では、前部部分2と股部部分3との間の移行領域27に剛性要素がないため、この位置における物品101の幅が適切なものとなる。
【0061】
図3および図4に示すように、本発明の吸収物品100、101には、着用者の下着への物品の取り付けを改善するために接着剤(図には示していない)がついた固定用翼状部30を設けることができる。そのような翼状部は当業者には公知である。
【0062】
図5は、補強要素80の適切な形状の第3の例を含む、本発明による吸収性物品102を概略図で示している。この場合、補強要素80は、前部部分2に配置された3次元ボール形状部と、こぶが形成される股部部分3にわたって延び、上記のように、後方への漏れを防止するためにいくぶん後方部分4に延びる細い方の部分とを備えたスプーン形状を有する。
【0063】
本発明は、上記の実施形態によって限定されるものではなく、特許請求の範囲内で様々な形で修正することができる。例えば、本発明の補強要素は、フック材料、摩擦接着材料、またはそれらの組合せを含むかどうかにかかわらず、必ずしも完全にこの、またはこれらの材料で作製される必要はない。補強要素は、例えば、ともに全剛性を構築する様々な材料の層を含むことができる。重要なことは、剛性が、使用中に適切な所定の形状を吸収性物品に付与するのに十分であること、および補強要素の外側が機械的固定特性を示すことである。
【0064】
補強要素は、物品の長手方向の可撓性を高めるために、可動式に連接することができる。この目的のために、補強要素を構成する材料片がフック材料を含む場合、長手方向に分配されたスリットまたはフックのない領域の形態の「ヒンジ」を配置することができる。
【0065】
発泡体は、補強要素を形成する有用な材料の一例である。
【0066】
補強要素は、例えば、接着剤、および/または超音波、熱、もしくはレーザによる処理を用いて吸収部材の下側に固定することができる。
【0067】
本発明の吸収性物品は、図2に示す下側補助吸収部材20を含んでもよいし、または含まなくてもよい。上側吸収部材5’、および下側吸収部材20は、別個に包装するか、または販売することができ、使用前に使用者が組み立てることができる。下側吸収部材20には、上側吸収部材5を正確に位置決めするために、マークを付けるのが好ましい。例えば、下側吸収部材20の上側25には、上側吸収部材5’の外縁部に対応する線の形態のマークを付けることができる。
【符号の説明】
【0068】
1 吸収性物品
2 前部部分
3 股部部分
4 後部部分
5 吸収部材
5a トップシート
5b 吸収体
5c バックシート
6 補強要素
8 フック
9 フック担体層
11 下側
12 外側
15 上側

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向、横方向、前部部分(2)、後部部分(4)、および前記前部部分(2)と前記後部部分(4)との間に配置された股部部分(3)を有する、生理用ナプキン、おりものシート、または失禁防護帯などの吸収性物品(1、10、100、101、102)であって、
- 前記物品(1、10、100、101、102)の使用時に着用者に面することを意図された上側(15)と、前記物品(1、10、100、101、102)の使用時に前記着用者から離れる方向を向くことを意図された下側(11)とを有する吸収部材(5、5’)と、
- 少なくとも前記物品(1、10、100、101、102)の使用時に、前記着用者の身体への前記物品(1、10、100、101、102)の着用具合を改善する所定の形状を前記物品にもたらす補強要素(6、6’、60、70、80)と、
を含む吸収性物品において、
前記補強要素(6、6’、60、70、80)は、前記補強要素(6、6’、60、70、80)の外側(12)が、前記吸収部材(5、5’)から離れる方向を向くように、前記吸収部材(5、5’)の前記下側(11)に固定されることと、
前記補強要素(6、6’、60、70、80)は、機械的固定特性を示す材料を含み、
前記補強要素(6、6’、60、70、80)の前記外側の少なくとも一部が前記機械的固定特性を示すことと、
を特徴とする吸収性物品(1、10、100、101、102)。
【請求項2】
前記機械的固定特性を示す材料は、前記補強要素(6、6’、60、70、80)の剛性にも大きく寄与することを特徴とする、請求項1に記載の吸収性物品(1、10、100、101、102)。
【請求項3】
前記機械的固定特性を示す材料は、織物材料に固定するために、前記補強要素(6、6’、60、70、80)の前記外側(12)から突出するフック(8)を有するフック材料であることを特徴とする、請求項1または2に記載の吸収性物品(1、10、100、101、102)。
【請求項4】
前記フック材料は、前記フック(8)が固定されるフック担体層(9)を含み、前記フック材料は、前記補強要素(6、6’、60、70、80)の剛性に大きく寄与することを特徴とする、請求項2および3に記載の吸収性物品(1、10、100、101、102)。
【請求項5】
前記フック材料は、前記補強要素(6、6’、60、70、80)を構成することを特徴とする、請求項4に記載の吸収性物品(1、10、100、101、102)。
【請求項6】
前記機械的固定特性を示す材料は摩擦接着材料であることを特徴とする、請求項1または2に記載の吸収性物品(1、10、100、101、102)。
【請求項7】
前記摩擦接着材料は、前記補強要素(6、6’、60、70、80)を構成することを特徴とする、請求項6に記載の吸収性物品(1、10、100、101、102)。
【請求項8】
前記補強要素(6)は、前記補強要素(6、6’、60、70、80)を囲む前記吸収性物品(1、10、100、101、102)の一部よりも高い剛性を示すことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の吸収性物品(1、10、100、101、102)。
【請求項9】
前記補強要素(6、6’、60、70、80)は、前記吸収性部材(5、5’)よりも剛性が高いことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の吸収性物品(1、10、100、101、102)。
【請求項10】
前記吸収性部材(5、5’)は、体液を吸収する吸収体(5b)と、前記吸収部材(5、5’)の前記上側(15)に配置された液体浸透性トップシート(5a)とを含むことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の吸収性物品(1、10、100、101、102)。
【請求項11】
前記吸収性部材(5、5’)は、前記吸収部材(5、5’)の前記下側(11)に配置された液体不浸透性のバックシート(5c)を含み、前記吸収体(5b)は、前記トップシート(5a)と前記バックシート(5c)との間に配置されることを特徴とする、請求項10に記載の吸収性物品(1、10、100、101、102)。
【請求項12】
前記補強要素(6、6’)は、前記バックシート(5c)の少なくとも一部を形成することを特徴とする、請求項11に記載の吸収性物品(1、10、100、101、102)。
【請求項13】
前記補強要素(6’)が固定される前記吸収性部材(5’)の下に配置されるように、前記補強部材(6’)に取り外し可能に取り付けることができる補助吸収部材(20)を含むことを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の吸収性物品(1、10、100、101、102)。
【請求項14】
前記補強要素(6’)は、前記補助吸収部材(20)に向かう体液の貫流を可能にするように配置されることを特徴とする、請求項13に記載の吸収性物品(1、10、100、101、102)。
【請求項15】
前記補助吸収部材(20)は、前記上側吸収部材(5’)よりもさらに横方向に延び、好ましくは長手方向にも延びることを特徴とする、請求項13または14に記載の吸収性物品(1、10、100、101、102)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−519533(P2012−519533A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−552906(P2011−552906)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【国際出願番号】PCT/SE2009/050239
【国際公開番号】WO2010/101502
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(506215320)エスセーアー・ハイジーン・プロダクツ・アーベー (157)
【Fターム(参考)】